JP5112888B2 - トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンを含有する感熱記録材料 - Google Patents

トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンを含有する感熱記録材料 Download PDF

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Description

本発明は、水及び/又はメタノールを包摂したトリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンを含有する感熱記録材料に関する。
トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(以下、「AO−30」とも称する)は、ポリオレフィン、ABS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等の合成高分子材料の酸化防止剤として広く用いられている化合物である。また、特許文献1には、感熱記録紙における保存性改良剤としての有用性が提案されている。この様に有用なAO−30は、例えば、下記特許文献2に記載されているように、2−t−ブチル−5−メチルフェノールとクロトンアルデヒドを反応させることによって製造されることが知られている。また、下記特許文献3〜5には、製造工程における再結晶溶媒や添加物等の違いによって、異なる結晶形の結晶、有機溶媒含有量を低減した結晶又は水和結晶のAO−30が得られることが記載されており、臭気、流動性、作業性等の製造上の問題や、配合時の発泡性、着色性等を改善するできることが示唆されているが、これらのAO−30を感熱記録材料に用いることに関しては記載がない。
これまで、AO−30を感熱記録紙の保存性改良材として用いる場合に、非印字部の着色抑制には使用材料の融点を高くすることが有効と考えられてきた。例えば、特許文献6では、高い融点を持つ新規な結晶が記載されており、その新規な結晶は印字部の耐湿熱性を保持しながら、非印字部の耐熱性も改善していると報告されている。しかし、地肌かぶりが生じるという問題を完全に解決できておらず、更なる着色抑制性能の改善が望まれていた。
特開昭58−57990号公報 特公昭39−4469号公報 特開昭56−40629号公報 米国特許第4467119号公明細書 特開平1−301634号公報 特許第3816132号公報
従って、本発明の目的は、印字部の耐湿熱性を保持しながら、印字部の発色強化性能を持ち、非印字部の耐熱性が改善された感熱記録紙等の感熱記録材料を提供することにある。
本発明者等は、種々検討を重ねた結果、意図的にAO−30の水及び/又はメタノールを含む結晶を作り、該結晶を用いることで、感熱記録紙の非印字部の耐熱性が向上することを見出した。
さらに、この良好な耐熱性を付与するAO−30について検討したところ、公知の製法により得られるAO−30よりも低い融点を示すことを見出した。さらに、このAO−30が、Cu−Kαの波長のX線を用いた回折X線測定によって回折角2θ=6.58°に最大の回折X線ピークを示すことを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、Cu−Kαの波長のX線を用いた回折X線測定によって回折角2θ=6.58°に最大の回折X線ピークを示す結晶構造を有する、水及び/又はメタノールを包摂したトリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンを保存性改良材として含有する感熱記録材料を提供するものである。
本発明によれば、特定の結晶構造を有し、水及び/又はメタノールを包摂するAO−30を、感熱記録紙等の感熱記録材料の保存性改良材として含有させることにより、従来の結晶形のAO−30を含有させるよりも、印字部の耐湿熱性を保持しながら、非印字部の耐熱性が向上した感熱記録材料を提供することができる。
以下、特定のAO−30〔トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン〕を保存性改良材として含有する本発明の感熱記録材料について更に詳細に説明する。尚、本発明に係るAO−30は、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンである。
本発明に係るAO−30の結晶は、上述のように、Cu−Kαの波長のX線を用いた回折X線測定によって回折角2θ=6.58°に最大の回折X線ピークを示し、水及び/又はメタノールを包摂するAO−30の結晶である。
本発明に係るAO−30の結晶は、水及び/又はメタノールを包摂することで、融点が公知の結晶形のAO−30よりも低下している。本発明に係るAO−30の結晶は、TG/DTA測定におけるDTAのピークから読み取ることができる融点が、100〜140℃であることが好ましく、該融点はさらに好ましくは110〜140℃、最も好ましくは113〜135℃である。
後述の実施例においてさらに詳細に説明するが、本発明に係るAO−30の結晶は、例えば以下の製造方法により得ることができる。
先ず、常法に従ってAO−30の粗結晶溶液を得た後、該粗結晶溶液に再結晶溶媒を加え、AO−30の純結晶を得る。該再結晶溶媒としては、トルエンが好ましく用いられるが、その他にキシレン、メシチレン、n−オクタン、n−デカン等も用いることができる。
次に、上記のAO−30の純結晶をメタノールに溶解させてメタノール溶液とした後、該メタノール溶液を晶析させる。晶析した結晶が本発明に係るAO−30の結晶である。この際、水を加えることによって該メタノール溶液中から晶析すると、効率的に本発明に係るAO−30の結晶である水和結晶を得ることができる。上記のAO−30の純結晶100質量部に対して、メタノールの使用量は200〜1000質量部が好ましい。上記水を使用する場合、その使用量は、上記のAO−30の純結晶100質量部に対して、150〜500質量部とすることが好ましい。
このようにして得られた本発明に係るAO−30の結晶は、後述の実施例にも示すとおり、Cu−Kαの波長のX線を用いた回折X線測定によって回折角2θ=6.58°に最大の回折X線ピークを示し、融点が公知の結晶形のAO−30よりも低い。
本発明に係るAO−30の結晶は、上記のX線回折ピークを示すものであれば水のみを包摂してもよいし、水及びメタノールの両者あるいはメタノールのみを包摂してもよい。メタノールの包摂量が多くなると、水のみを包摂したものよりも融点は上昇する。分子中に包摂される水及び/又はメタノールの合計量は、0.1〜10質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.5〜8.0質量%、最も好ましくは3.0〜7.0質量%である。
本発明に係るAO−30の結晶は、後述する実施例の通り、感熱記録紙等の感熱記録材料に保存性改良材として含有させた場合に、印字部の耐湿熱性を保持しながら、非印字部の耐熱性が向上する効果がある。
本発明の感熱記録材料は、支持体及び感熱記録層からなるもので、該感熱記録層中に本発明に係るAO−30の結晶を含有する点以外は、従来の感熱記録材料と同様であり、用途、製造方法等で制限されるものではない。
上記支持体としては、感熱記録材料の用途に応じて、紙、プラスチック、ガラス等から適宜選択して用いることができ、その厚みに特に制限はない。
上記感熱記録層は、本発明に係るAO−30の結晶、顕色剤と発色剤とにより形成され、通常は更に結合剤及び充填剤、必要に応じて、本発明に係るAO−30の結晶以外の保存安定剤、増感剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、金属石けん類、ハイドロタルサイト類、可塑剤、アマイド類、ワックス類、酸化防止剤、耐水化剤、分散剤、消泡剤、界面活性剤、蛍光染料、抗菌剤、抗黴剤、防腐剤等を添加して形成することができる。
本発明に係るAO−30の含有量は、感熱記録層中、感熱記録層基準で0.1〜15質量%であることが好ましく、1.0〜5.0質量%であることがより好ましい。本発明に係るAO−30が0.1質量%未満の場合は添加効果が得られず、15質量%を超えて使用しても印字部保存性は殆ど向上せず地肌カブリを誘発する。
本発明に係るAO−30以外の保存安定剤を併用する場合は、同様の観点から、全保存安定剤の合計量が感熱記録層中0.1〜15質量%であることが好ましく、1.0〜5.0質量%であることがより好ましい。この場合、本発明に係るAO−30以外の保存安定剤の使用量は、質量基準で、本発明に係るAO−30の使用量の10倍以下とすることが好ましい。
本発明に係るAO−30以外の上記保存安定剤としては、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)等のヒンダードフェノール化合物、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート等が挙げられ、これらは一種類又は二種類以上併用することができる。
本発明の感熱記録材料に使用される上記顕色剤としては、例えば、p−オクチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシアセトフェノン、α−ナフトール、β−ナフトール、p−t−オクチルカテコール、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス−((3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニルチオ)エトキシ〕メタン、4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノール、4−(4−アリルオキシフェニルスルホニル)フェノール、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、2,4−ジヒドロキシベンズアニリド、2,4−ジヒドロキシ−2’−メトキシベンズアニリド、2,4−ジヒドロキシ−2’,4’−ジメチルベンズアニリド、2,4−ジヒドロキシ−2’−メトキシ−5’−メチルベンズアニリド、ビス(4−(2,4−ジヒドロキシフェニルカルボニルアミノ)−3−メトキシフェニル)メタン、4−メチルベンゼンスルホン酸−2−ヒドロキシアニリド、(ポリ)4−ヒドロキシ安息香酸と3価以上の多価アルコールとのエステル化合物、又は特開平11−322727号公報に記載の化合物等のフェノール類、ノボラックフェノール等のフェノール樹脂類、特開平11−286175号公報に記載の化合物等のスルホンアミド類、特開2007−196631号公報に記載の化合物等のリン酸アミド類、レゾルシノール類、安息香酸等の有機カルボン酸、サリチル酸亜鉛等の金属塩、N,N−ジアリールチオウレア誘導体、スルホニルウレア誘導体、ウレタンウレア化合物等が挙げられ、これら顕色剤は、一種類又は二種類以上を使用してよい。
これらの顕色剤の中でも、4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノール、4−(4−アリルオキシフェニルスルホニル)フェノール等のスルホニルフェノール類が、本発明に係る保存性改良材であるAO−30の効果を著しく発揮するため好ましい。
上記顕色剤の添加量は、感熱記録層中、20〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。
本発明の感熱記録材料において感熱記録層中に使用される上記発色剤としては、例えば通常無色ないし淡色の各種周知の染料を挙げることができ、一般の感熱記録材料等に用いられているものであれば特に制限を受けるものではない。これらの発色剤の具体例としては、例えば、(i)3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニル−3−インドリル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチル−3−インドリル)フタリド、3,3−ビス(9−エチル−3−カルバゾリル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニル−3−インドリル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)ビニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のトリアリールメタン系化合物;(ii)4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等のジフェニルメタン系化合物;(iii)ローダミン−β−アニリノラクタム、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(β−エトキシエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(γ−クロロプロピルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(4−アニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン等のキサンテン系化合物;(iv)ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等のチアジン系化合物;(v)3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロジベンゾピラン等のスピロ系化合物;(vi)その他3,5’,6−トリス(ジメチルアミノ)−スピロ〔9H−フルオレン−9,1’−(3’H)−イソベンゾフラン〕−3’−オン、1,1−ビス〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロ(3H)イソベンゾフラン−3−オン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、フェノキサジン誘導体等が挙げられ、また、これらの染料は数種類を混合して用いることもできる。
これらの(i)〜(vi)の例示のうち、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が好ましく用いられる。また、本発明の感熱記録材料には、必要に応じて、脂肪族第二鉄等のキレート発色剤を併用してもよい。
上記発色剤の使用量は、感熱記録層中、0.1〜80質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。
必要に応じて用いられる上記増感剤としては、例えば、酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ベヘニン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、サリチル酸ドデシルエステル亜鉛塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム等の有機酸の金属塩;ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、ステアリン酸メチロールアミド、ステアロイル尿素、アセトアニリド、アセトトルイジド、アセト酢酸アニリド、アセト酢酸−o−クロロアニリド、ベンゾイル酢酸アニリド、安息香酸ステアリルアミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオクチル酸アミド等のアミド化合物;1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、p−ベンジロキシビフェニル、ジフェニルカーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ジベンジルオキザレート、ビス(4−メチルベンジル)オキザレート、ビス(4−クロロベンジル)オキザレート、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸ベンジル、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸フェニル、メチレンベンゾエート、1,4−ビス(2−ビニロキシエトキシ)ベンゼン、2−ベンジロキシナフタレン、4−ベンジロキシ安息香酸ベンジル、ジメチルフタレート、テレフタル酸ジベンジル、ジベンゾイルメタン、ジフェニルスルホン、p−トルエンスルホン酸アニリド、4−メチルフェノキシ−p−ビフェニル、4−クロロフェニルフェニルスルホン等を用いることができ、これらの増感剤は、一種類又は二種類以上を使用してよい。これらのうち、特にビス(4−メチルベンジル)オキザレート、ビス(4−クロロベンジル)オキザレート、アセト酢酸−o−クロロアニリド、ジフェニルスルホン、ステアリン酸アミド、ステアリン酸メチロールアミド又はテレフタル酸エステル化合物等が好ましく用いられる。
これらの増感剤を添加する場合、その添加量は、感熱記録層中、0.1〜80質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。増感剤を原料として使用する場合、上記他の各原料と別個に用いることもできるが、予め顕色剤と溶融混合して原料として使用することもできる。
本発明の感熱記録材料において使用される上記顕色剤、発色剤及び増感剤は、本発明に係るAO−30を含めた保存安定剤等の他の原料と共に、通常、ボールミル、アトライター、サンドグラインダー等の磨砕機、或いは適当な乳化装置により微粒子化され、目的に応じてさらに各種の添加剤が加えられ、塗液として調製される。
上記塗液には通常、上記結合剤として、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、でんぷん類、スチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体或いはこれらの変性物等が配合され、また、上記充填剤として、カオリン、シリカ、珪藻土、タルク、二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、メラミン等が配合される。この他に上述の金属石けん類、アマイド類、ワックス類、光安定剤、耐水化剤、分散剤、消泡剤等を必要に応じて塗液に含有させてもよい。
また、本発明の感熱記録材料には、より高い保存安定性を付与する目的で、上記感熱記録層の表面にオーバーコート層を設けてもよく、また、発色感度を更に向上させるためにアンダーコート層を設けてもよい。
上記オーバーコート層としては、例えば、光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂等を塗布した後、硬化させて皮膜状に形成したものでもよく、また、皮膜の形成が可能なラテックスや水溶性高分子をコーティングして皮膜を形成する際に、エポキシ化合物等の架橋剤又は硬化剤を併用した皮膜でもよい。コーティング方法としては、公知のいかなる方法を用いてもよく、コート層の厚さも何ら限定されるものではなく、所望の性能になるように適宣選択される。
また、上記アンダーコート層としては、例えば、無機顔料及び/又は有機顔料と接着剤とを主成分とする層、発泡性フィラーと接着剤とを主成分とする層、粒状及び/又は繊維状の無機及び/又は有機中空材料と接着剤とを主成分とする層、水溶性高分子又は水分散性高分子化合物を含有する水溶液を機械的に発泡させて得た塗液で形成された発泡層等の断熱性に優れた素材を用いることができる。このような素材を用いることにより、少ないエネルギーによる発色が可能となる。該アンダーコート層においても、そのコーティング方法やコート層の厚さは特に制限されるものではなく、所望の性能になるように適宣選択される。
さらに、感熱記録材料に特に高度の耐光性、地肌部の保存安定性が要求される場合には、上記感熱記録層及び/又は上記オーバーコート層中に、公知のヒンダードアミン系光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を一種類又は二種類以上添加することもできる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1−〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−t−オクチルアミノ−4,6−ジシクロ−s−トリアジン/N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−t−オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−t−ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−t−オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−t−ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−t−アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩又は金属キレート等が挙げられる。これらのうち、特にニッケル又はクロムの塩又はキレート類、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類が好ましい。
これらの光安定剤及び紫外線吸収剤の添加量は、上記顕色剤1質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、更に好ましくは0.05〜5質量部であり、0.01質量部未満ではその安定化効果が充分に得られないことがあり、10質量部を超えて使用しても無駄であるばかりでなく、むしろ塗膜物性に悪影響を及ぼすおそれがある。
本発明の感熱記録材料は、各種計測機器、コンピューター、ファクシミリ、テレックス等に用いられる記録紙;自動券売機等により感熱記録される乗車券、プリペイドカード等;ラベル、レシート等の感熱記録材料が応用される各種用途に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
下記実施例1−1〜1−2及び比較例1−1〜1−2は、各種AO−30の製造例である。得られた各種AO−30は、回折X線分析等の分析に供し、本発明に係るAO−30の結晶形が新規であるとする根拠となる分析結果を得た。
下記実施例2−1及び比較例2−1〜2−3は、感熱記録材料としての感熱記録紙の実施例及び比較例である。
〔実施例1−1〕
2−t−ブチル−5−メチルフェノール492g(3モル)、濃塩酸175ml(2モル)をメタノール300mlに溶解し、還流撹拌下クロトンアルデヒド70g(1モル)を1時間で滴下した。還流下で1時間反応後、炭酸ナトリウム水溶液で中和して粗AO−30溶液とした。得られた粗AO−30溶液にトルエン1500gを加え、115℃まで加熱して脱メタノール、脱水を30分で行った。冷却して沈澱をろ取し、トルエン及び水で洗浄して加熱減圧乾燥して融点187℃の白色粉末(以下、「B晶」と称する)446g(収率82%)を得た。
得られたB晶400g、メタノール1,600gを3L反応フラスコに入れ、60℃まで昇温し、溶解させた。これにイオン交換水800gを約1時間かけて滴下し、晶析させた。これを室温まで冷却したのち、吸引ろ過し、得られた白色粉末をロート上でイオン交換水1,600gを用いて洗浄した。これをロータリーエバポレーターで、60℃にて4時間真空減圧乾燥させ、白色粉末(以下、「A晶」と称する)394g(収率98.5%)を得た。得られたA晶を、下記の各種分析に供した。
〔実施例1−2〕
上記実施例1−1で得られたB晶200g、メタノール850gを2L反応フラスコに入れ、60℃まで昇温し、溶解させた。これを65℃まで引き続き加熱し、メタノールを600g留去した。留去後、室温まで冷却し、生じた結晶をろ別し、60℃にて4時間真空減圧乾燥させ、白色粉末(以下、「A’晶」と称する)140g(収率70.0%)を得た。得られたA’晶を、下記の各種分析に供した。
〔比較例1−1〕
上記実施例1−1で得られたB晶をそのまま、下記の各種分析に供した。
〔比較例1−2〕
実施例1−1においてB晶を得る際に用いた再結晶溶媒としてのトルエンを、乾洗油(中國石油(台湾)製芳香族・脂肪族混合炭化水素溶媒)に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、白色粉末(以下、「C晶」と称する)462g(収率85%)を得た。得られたC晶を、下記の各種分析に供した。
〔各種分析〕
以上で得られたA晶、A’晶、B晶及びC晶について、TG/DTA測定、1H−NMRスペクトル測定、水分測定、及びX線回折分析を行なった。測定装置は以下のものを用いた。
・TG/DTA:Seiko Instruments製、EXSTAR TG/DTA 6200
1H−NMR:日本電子製、ECA400
・水分計:三菱化学製、MOISTURE CA−06
(陽極溶媒:三菱化学製、アクロミクロン AKX)
(陰極溶媒:三菱化学製、アクロミクロン CXU)
・X線回折:RIGAKU製、Ultima+
1H−NMRスペクトル測定(溶媒:DMSO−d6)の結果、上記A晶、A’晶、B晶及びC晶の各1H−NMRスペクトルに含有溶媒以外の相違点は認められなかった。
また、上記A晶、A’晶、B晶及びC晶についてTG/DTA測定及び水分測定を行った結果を下記〔表1〕に示す。ここで、〔表1〕において、融点は、TG/DTA測定装置により、リファレンスをアルミナとして、昇温速度毎分10℃にて測定されたDTAのボトムピークから読み取った値であり、重量減少はTG/DTA測定において250℃までの重量減少を読み取った値である。
下記〔表1〕から明らかなように、A晶及びA’晶は、重量減少については、C晶と比べると大きく、B晶と比べると大きく変わらないが、融点については、公知であるB晶及びC晶のいずれよりも低かった。また、A晶及びA’晶(特にA晶)は、B晶及びC晶に比べて水分を多く含有していた。
Figure 0005112888
さらに、Cu−Kαの波長のX線を用いた回折X線分析により得られた上記A晶、A’晶、B晶及びC晶の回折X線ピークをそれぞれ〔図1〕、〔図2〕、〔図3〕及び〔図4〕のチャート〔横軸に回折角2θ(°)をとる〕に示す。また、それらの回折X線ピークの数値データを下記〔表2〕に示す。尚、下記〔表2〕においては、回折X線ピークについて、各々のスペクトルのピーク強度最大のものを100とした場合の各ピークの相対強度を示している。
X線回折測定の測定条件は以下の通りとした。
(X線回折測定条件)
X線回折分析条件:X線;Cu−Kα、管電圧/管電流;40kV/40mA、ゴニオメータ;水平ゴニオメータ(Ultima+)、アタッチメント;標準試料ホルダー、フィルタ:不使用、インシデントモノクロ:不使用、カウンタモノクロメータ;固定モノクロメータ、発散スリット;1/2°、発散縦制限スリット;10mm、散乱スリット;0.73mm、受光スリット;0.3mm、モノクロ受光スリット:なし、カウンタ:シンチレーションカウンタ、走査モード;連続、スキャンスピード;4.000°/min、サンプリング幅:0.020°、走査軸;2θ/θ、走査範囲:2.000〜60.000(又は2.000〜80.000)、θオフセット:0.000。
Figure 0005112888
図1〜4及び上記〔表2〕より、A晶及びA’晶のAO−30は、この回折X線測定によって回折角2θ=6.58°に最大の回折X線ピークを示すのに対し、B晶は回折角2θ=9.98°、11.20°に最大の回折X線ピークを示し、C晶は回折角2θ=18.12°に最大の回折X線ピークを示すことが明らかである。従って、A晶及びA’晶のAO−30は、公知の保存性改良材として用いられてきたB晶やC晶とは異なる結晶形を有する結晶であることが明らかである。
〔実施例2−1及び比較例2−1〜2−3〕
以下の手順により、感熱記録紙を作成して評価した。尚、以下において「%」は「重量%」を示す。
『10%PVA溶液の作成』
2000mLビーカーに水900gを加え、約60℃まで昇温し、撹拌・保持した状態で、クラレポバールPVA405(クラレ製、ポリビニルアルコール)を少量ずつ計100g溶解させ、10%PVA溶液とした。
『顕色剤分散液の作成』
100mL細口ポリ瓶に、上記10%PVA水溶液2g、10%花王製ペレックスSSH水溶液0.2g、水8.3g、顕色剤として4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノール2.0g、ガラスビーズ(平均粒径0.177〜0.250)20gを加え、サーモニクス(株)製サーモシェーカーMODEL Z−1でSPEED3.5に設定し、12時間振動させ、顕色剤分散液とした。
『保存性改良材分散液の作成』
100mL細口ポリ瓶に、上記10%PVA水溶液2g、10%花王製ペレックスSSH水溶液0.2g、水8.3g、保存性改良材として1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(表3及び4参照)2.0g、ガラスビーズ(平均粒径0.177〜0.250)20gを加え、サーモニクス(株)製サーモシェーカーMODEL Z−1でSPEED3.5に設定し、12時間振動させ、保存性改良材分散液とした。
『染料分散液の作成』
100mL細口ポリ瓶に、上記10%PVA溶液2g、第一工業薬品製エパン420の0.02g、水8.48g、染料(発色剤)としての3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン2.0g、ガラスビーズ(平均粒径0.177〜0.250)20gを加え、サーモニクス(株)製サーモシェーカーMODEL Z−1でSPEED3.5に設定し、12時間振動させ、染料分散液とした。
『塗工液の作成』
以上で作成した染料分散液1g、顕色剤分散液2g、保存剤分散液0.2gをスクリュー管瓶No.2(6cc)に計量し、約1時間撹拌後、泡立ちが無くなるまで静置し、塗工液とした。
『感熱記録紙の作成及び評価』
上記塗工液を基紙上にバーコーターを用いて厚さ32μmで塗布し、乾燥し、感熱記録紙とした。該感熱記録紙にオオクラエンジニアリング製静発色試験機で220℃にて印字して、評価片とした。この評価片の印字部及び非印字部の濃度を、マクベス濃度計(マクベス社製RD−933型)により測定した。この評価片を下記の耐熱保存試験条件及び耐湿熱保存試験条件それぞれにて保存した後、再度印字部及び非印字部の濃度を測定した。印字部についての測定結果を〔表3〕に、非印字部についての測定結果を〔表4〕にそれぞれ示す。
・耐熱保存試験条件
80℃又は100℃、乾燥下、2時間保存、装置:東京理科機械(株)製「EYRLA WFO−400」
・耐湿熱保存試験条件
60℃、90%RH、1時間保存、装置:楠本化成(株)製「小型環境試験機 JUINORシリーズ SD−01」
Figure 0005112888
上記〔表3〕の結果から以下のことが明らかである。保存性改良材を加えないと、保存後の印字部の濃度が低下し、耐湿熱性が悪い。一方、保存性改良材を加えると、保存後も印字部の濃度が維持される(即ち耐湿熱性が向上する)が、保存性改良材の結晶形によって耐湿熱性の向上効果に差はない。つまり、結晶形を、従来知られているものから、本発明に係るAO−30の結晶形に変えても、従来の結晶形が示す印字部の保存性能を維持することができる。
Figure 0005112888
上記〔表4〕の結果から以下のことが明らかである。
非印字部の耐熱性については、保存前(初期)と、100℃、2時間保存後とを比べると、B晶が1.22、C晶が1.13の濃度上昇を示すのに対し、A晶は1.08しか上昇しておらず、A晶は、B晶及びC晶に比べて、非印字部の耐熱性を向上させ、白色度を十分に改善している。また、耐湿熱性については、保存前後を比べると、B晶は0.10、C晶は0.05の濃度上昇を示すのに対して、A晶は0.03の上昇しか示さず、比較化合物の中では効果の高いC晶に比べてもその特性をさらに40%も改善しており、白色度を著しく改善している。
以上のことから、本発明に係るAO−30は、従来のAO−30にはない保存性改良材としての有用性が顕著に認められる。
実施例1−1で得られた本発明に係るAO−30(A晶)のX線回折チャートである。 実施例1−2で得られた本発明に係るAO−30(A’晶)のX線回折チャートである。 比較例1−1のAO−30(B晶)のX線回折チャートである。 比較例1−2のAO−30(C晶)のX線回折チャートである。

Claims (3)

  1. Cu−Kαの波長のX線を用いた回折X線測定によって回折角2θ=6.58°に最大の回折X線ピークを示す結晶構造を有する、水及び/又はメタノールを包摂したトリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンを保存性改良材として含有する感熱記録材料。
  2. 上記トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンを、感熱記録層中に該感熱記録層基準で0.1〜15質量%含有する請求項1記載の感熱記録材料。
  3. 上記トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン中における上記水及び/又はメタノールの包摂量が、合計で0.1〜10質量%である請求項1又は2記載の感熱記録材料。
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