JP3599767B2 - 感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、感熱記録材料、詳しくは、特定のベンゾトリアゾール化合物を含有せしめることによって、特に耐光性等の保存性の改善された感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
感熱記録材料は、通常無色ないし淡色の発色性物質と熱の作用を受けると発色性物質を発色させる顕色剤とを、増感剤、バインダーおよびその他の添加剤とともに、紙、合成紙、プラスチックフィルムもしくはシートなどの支持体表面に塗布することにより製造されている。そして、記録装置において、サーマルヘッドや熱ペンなどの発熱素子が接触した時に、発色性物質と顕色剤が反応して黒色などに発色して記録される。而してかかる記録体(感熱記録材料)は、他の記録体に比較して現像や定着などの煩雑な処理を施すことがなく、比較的簡単な装置でしかも短時間で記録が得られること、騒音の発生が少ないことや環境汚染が少ないこと、コストが安いことなどの利点があるために、図書、文書などの複写ばかりでなく、各種計測用記録紙、コンピューター、ファクシミリ、テレックス、乗車券自動販売機、プリペイドカード、ラベルなどの記録材料として広く使用されている。
【0003】
従来の感熱記録材料においては、発色性物質(ロイコ染料)、これを熱的に発色させる顕色剤および必要に応じて用いられる増感剤を適切に組み合わせて用いることにより、発色感度および地肌カブリの観点からは実用上満足しえるものが得られている。
【0004】
しかしながら、これらの感熱記録材料を日光や照明に長時間暴露した場合には、印字部がかすんだりあるいは消えてしまうばかりでなく、地肌部が黄変してしまう欠点があり、ファクシミリ受信紙やワープロ、パソコン等のプリントアウトを机上に放置した場合には、記録画像が不鮮明となり、文書保存面でも問題となっている。
【0005】
さらに、従来の感熱記録材料は、耐光性に劣るばかりでなく、指紋あるいは塩化ビニル樹脂製のデスクマットから移行する可塑剤によっても同様に保存性が低下してしまう欠点があり、感熱記録材料の保存性を改善することが強く求められていた。
【0006】
このため、特開昭58−87093号公報、特開昭63−15783号公報、特開平3−23986号公報、特開平5−8545号公報等にはベンゾトリアゾール化合物を用いることによって、耐指紋性あるいは耐可塑剤性等の耐油性および耐光性を改善することが提案されているが、これらの化合物を用いた場合の効果はまだまだ不十分であり、しかも、これらの公報に記載された化合物を用いた場合には、地肌部の汚れ(地肌カブリ)が大きくなる欠点もあり、実用上は到底満足できるものではなかった。
【0007】
従って、本発明の目的は、特に、日光、蛍光灯等に長時間照射された場合にも発色部(印字部)および地肌部の変色が防止された、耐光性等の保存性の良好な感熱記録材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、特定のベンゾトリアゾール化合物を含有させた感熱記録材料が、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
即ち、本発明は、無色ないし淡色の発色性物質と、熱の作用を受けると該発色性物質を発色させる顕色剤とを含有する感熱記録層を支持体表面に形成させた感熱記録材料において、上記感熱記録層中に、上記顕色剤の少なくとも一部として、下記〔化2〕(前記〔化1〕と同じ)の一般式(I)で表されるベンゾトリアゾール化合物の少なくとも一種を含有してなることを特徴とする感熱記録材料を提供するものである。
【0010】
【化2】
(式中、Xは水素原子、塩素原子、メチル基のいずれかを示し、RおよびR’は水素原子もしくは炭素数1から8までのアルキル基を示し、ZはA a Y y B b で表される構造の結合手を示し、AおよびBは各々、硫黄原子、酸素原子、スルホニル基、オキシスルホニル基、スルホニルオキシ基、オキシカルボニル基、カルボニルオキシ基のいずれかを示し、Yはアルキレン基、ヒドロキシ基置換アルキレン基、エーテル結合で中断されてもよいアルキレン基を示す。a、bおよびyは0または1を示し、a、bおよびyのうち少なくとも1つは1を示す。)
【0011】
以下、本発明の感熱記録材料について詳細に説明する。
【0012】
本発明に用いられる上記一般式(I)で表されるベンゾトリアゾール化合物において、式中のR およびR’の示すアルキル基としてはメチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、tert−オクチル基等が挙げられる。
【0014】
従って、本発明に用いられる上記一般式(I)で表されるベンゾトリアゾール化合物のより具体的な代表例としては、下記〔化3〕〜〔化22〕に示すNo.1〜No.20 化合物が挙げられる。
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】
【化9】
【0022】
【化10】
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】
【化13】
【0026】
【化14】
【0027】
【化15】
【0028】
【化16】
【0029】
【化17】
【0030】
【化18】
【0031】
【化19】
【0032】
【化20】
【0033】
【化21】
【0034】
【化22】
【0035】
本発明に用いられる上記一般式(I)で表されるベンゾトリアゾール化合物は、感熱記録材料の耐光性等の保存性を改善する効果に優れるが、ベンゾトリアゾール化されていないヒドロキシフェニル基を有する化合物なので、それ自身で顕色剤としての効果をも有しており、他の顕色剤を用いなくとも保存安定性に優れた感熱記録材料を得ることができる。
【0036】
上記ベンゾトリアゾール化合物の使用量は、要求される性能および記録適性、染料あるいは併用される他の顕色剤、増感剤などの他の添加剤の種類および使用量によっても変わるため、特に限定されるものではないが、通常、発色性物質1重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。上記使用量が発色性物質1重量部に対して0.01重量部未満の場合には保存性の改善効果が乏しく、また、10重量部を超えて使用してもその効果はそれ以上大きくならず不経済である。
【0037】
上記ベンゾトリアゾール化合物は、公知の化合物であり、例えば、ビスフェノール化合物を周知の方法でベンゾトリアゾール化することによって、もしくは2,4−ジヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールのヒドロキシ基へのフェノール構造を有する反応性化合物の付加反応により容易に製造することができる。また、下記合成例のようにベンゾトリアゾール化合物を処理することによっても製造することができる。
【0038】
以下に本発明に係る上記一般式(I)のベンゾトリアゾール化合物の合成例を示す。しかし、これらの合成例(合成例1〜3)により、本発明はなんら制限を受けるものではない。
【0039】
合成例1
〔下記〔化23〕の式で表される化合物Aの合成〕
【0040】
【化23】
【0041】
ベンゾトリアゾール45g(0.20モル)、ジエチレングリコールジメチルエーテル400mlの懸濁液に48%苛性ソーダ水溶液18.3g(0.22モル)を30℃を越えないように冷却しながら滴下した。滴下終了後透明となった溶液に沃化ナトリウム0.8gを加えた後、110℃迄加熱した。温度を保ちつつ、アクリルブロマイド26.6g(0.22モル)をディップパイプを通して30分で滴下した。その後、110℃で4時間反応させた。TLC(nーヘキサン/酢酸エチル=2/1)でベンゾトリアゾールの消失を確認した後、冷却して析出した臭化ナトリウムをろ別してろ液を減圧下にて脱溶媒し残留物をトルエンに溶解し、3回水洗して無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧下、トルエンを留去して52.9gの液状のエーテル化合物を得た。この液状物を195℃まで加熱して5時間保持した。冷却後、エタノールより再結晶して黄色粉末45.9g(収率86.6%)を得た。
【0042】
〔化合物Aの酸化〕
前記のようにして得られた化合物A5g(0.019モル)をクロロホルム50mlに溶解して、25℃以下でメタクロロ過安息香酸4.9g(0.028モル)を加えた。30℃まで発熱した溶液を室温まで冷却後、8時間反応させた。TLC(n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で化合物Aの消失を確認した。析出したメタクロロ安息香酸の沈澱をろ別後、ろ液を脱溶媒して残留物をトルエンに溶解し、3回水洗して有機層に無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した。減圧脱トルエンして残留物をイソプロパノールより再結晶して微黄色粉末3g(収率56.6%)を得た。
【0043】
〔No.1化合物の合成〕
前記の化合物Aの酸化物1g(3.6ミリモル)、4−メルカプトフェノール0.54g(4.32ミリモル)にジメチルホルムアミド10mlを加え、80℃で5時間反応させた。TLC(n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で化合物Aの酸化物の消失を確認した。その後、減圧脱溶媒して残留物をメタノールから再結晶して微黄色粉末1g(収率68.3%)を得た。融点181.2℃で、マススペクトルより分子量407の化合物(目的物の分子量の理論値は407)であることを確認した。
【0044】
合成例2
〔No.2化合物の合成〕
前記の化合物Aの酸化物2g(7.1ミリモル)、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸1.4g(8.0ミリモル)にジメチルホルムアミド20mlを加え、60℃で4時間反応させた。TLC(n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で化合物Aの酸化物の消失を確認した。その後、減圧脱溶媒して残留物をクロロホルムに溶解し、炭酸水素ナトリウム水溶液で弱アルカリとなるまで洗浄した後、中性になるまで蒸留水で洗浄した。減圧脱溶媒して残留物をクロロホルムから再結晶して微黄色粉末2.4g(収率74.3%)を得た。融点148.6℃で、マススペクトルより分子量455の化合物(目的物の分子量の理論値は455)であることを確認した。
【0045】
合成例3
〔No.3化合物の合成〕
ベンゾトリアゾール・マンニッヒベース6.2g(0.02モル)、4−メルカプトフェノール3g(0.024モル)にジエチレングリコールジメチルエーテル20mlを加え、窒素気流下、154℃で6時間反応させた。TLC(n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)でマンニッヒベースの消失を確認した。次いで減圧脱溶媒して残留物をエタノールより再結晶して微黄色粉末2.6g(収率36.7%)を得た。融点160.7℃でマススペクトルより分子量354の化合物(目的物の分子量理論値は354)であることを確認した。
【0046】
本発明においては、通常、無色ないし淡色の発色性化合物が使用され、該発色性物質としては、各種の染料が周知であり、一般の感熱記録紙などに用いられているものであれば特に制限を受けない。
【0047】
上記染料(発色性物質)の具体例としては、(1)トリアリールメタン系化合物;例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニル−3−インドリル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチル−3−インドリル)フタリド、3,3−ビス(9−エチル−3−カルバゾリル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニル−3−インドリル)−5−ジメチルアミノフタリドなど、(2)ジフェニルメタン系化合物;例えば、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなどのN−ハロフェニルロイコオーラミンなど、(3)キサンテン系化合物;例えば、ローダミン−β−アニリノラクタム、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(β−エトキシエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−(γ−クロロプロピルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(4−(4−アニリノ)アニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオランなど、(4)チアジン系化合物;例えば、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなど、(5)スピロ系化合物;例えば、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピランなど、その他、3,5’,6−トリス(ジメチルアミノ)−スピロ〔9H−フルオレン−9,1’(3’H)−イソベンゾフラン〕−3’−オン、1,1−ビス〔2−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロ(3H)イソベンゾフラン−3−オンなどが挙げられ、また、これらの染料は1種又は2種以上を混合して用いることもできる。
【0048】
また、先述のように、本発明で用いられるベンゾトリアゾール化合物は、それ自身顕色剤としての効果を奏するので、他の顕色剤を用いる必要はないが、発色感度を増大させる必要がある場合は、フェノール系、カルボン酸系あるいは金属塩系等の周知の顕色剤を併用することができる。また、これらの他の顕色剤を併用することによって本発明のベンゾトリアゾール化合物の使用量を低減させることもできる。
【0049】
上記顕色剤としては、例えば、p−オクチルフェノール、p−第三ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシアセトフェノン、α−ナフトール、β−ナフトール、p−第三オクチルカテコール、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノール−A、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニルチオ)エトキシ〕メタン、4−(4−イソプロポキシベンゼンスルホニル)フェノール、4−ヒドロキシフタル酸ジメチルエステル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチルエステル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、3,5−ジ第三ブチルサリチル酸などのフェノール類、安息香酸などの有機カルボン酸、サリチル酸亜鉛などの金属塩等が挙げられ、特にフェノール系の顕色剤を用いることが好ましい。
【0050】
上記顕色剤の使用量は、通常、発色性物質1重量部に対して好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは0.2〜5重量部である。上記顕色剤の使用量が発色性物質1重量部に対して0.1重量部未満の場合には発色感度が不十分であり、また、10重量部を超えて使用してもその効果はそれ以上大きくならず不経済となる傾向にある。
【0051】
本発明の感熱記録材料の発色感度を高めるために、各種の増感剤を併用することも可能である。該増感剤としては、例えば、酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ベヘニン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、サリチル酸ドデシルエステル亜鉛塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムなどの金属有機酸塩、ステアリン酸アミド、ステアリン酸メチロールアミド、ステアロイル尿素、アセトアニリド、アセトトルイジド、アセト酢酸アニリド、安息香酸ステアリルアミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオクチル酸アミドなどのアミド化合物、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、p−ベンジロキシビフェニル、ジフェニルカーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ジベンジルオキザレート、ビス(4−メチルベンジル)オキザレート、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸ベンジル、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸フェニル、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸アニリド、メチレンジベンゾエート、1,4−ビス(2−ビニロキシエトキシ)ベンゼン、2−ベンジロキシナフタレン、4−ベンジロキシ安息香酸ベンジル、ジメチルフタレート、テレフタル酸ジベンジル、ジベンゾイルメタン、4−メチルフェノキシ−p−ビフェニルなどを挙げることができ、これらの増感剤は、通常、発色性物質1重量部に対して0.1〜10重量部が使用される。
【0052】
本発明に用いられる上記ベンゾトリアゾール化合物とともに、必要に応じて公知の保存安定剤を併用することができ、特に高度の耐水性、耐熱性、耐油性が要求される場合には他の保存安定剤を併用することによって目的を達成することができる。
【0053】
本発明の感熱記録材料に使用することのできる保存安定剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)などのヒンダードフェノール化合物、4−ベンジロキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェートなどが挙げられ、これらの保存安定剤は、通常、発色性物質1重量部に対して0.1〜10重量部が使用される。
【0054】
本発明に用いられるベンゾトリアゾール化合物、通常用いられる発色性物質(無色染料)、必要に応じて用いられる他の顕色剤、増感剤、他の保存安定剤等は、通常、ボールミル、アトライザー、サンドグラインダーなどの磨砕機あるいは適当な乳化装置により微粒化され、目的に応じてさらに各種の添加材料を加えて塗液とする。
【0055】
上記塗液には、通常、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド重合体、澱粉類、スチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体などの結合剤、カオリン、シリカ、珪藻土、タルク、二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの充填剤が配合されるが、この他にワックス類、耐水化剤、分散剤、消泡剤などを必要に応じて配合させて使用することができる。
【0056】
上記塗液を紙あるいはフィルム類に塗布することによって目的とする感熱記録材料が得られ、得られた感熱記録材料はファクシミリ用紙、プリンター用紙、ラベル、値札、切符等の感熱記録材料が応用される各種の用途に用いることができる。
【0057】
【実施例】
以下、実施例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではない。
【0058】
実施例1
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20gおよび10%ポリビニルアルコール水溶液100gを充分に磨砕して分散液Aとした。
【0059】
試料化合物(下記〔表1〕に示すNo.1〜No.6化合物のいづれかの化合物)20gを10%ポリビニルアルコール水溶液100gとともにボールミル中で磨砕して分散液Bを得た。
【0060】
1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン20gおよび10%ポリビニルアルコール水溶液100gを充分に磨砕して分散液C液を得た。
【0061】
ステアリン酸亜鉛20gを10%ポリビニルアルコール水溶液100gとともにボールミル中で磨砕して分散液Dを得た。
【0062】
ポリエチレンワックス20gを10%ポリビニルアルコール水溶液100gとともにボールミル中で磨砕して分散液Eを得た。
【0063】
ビスフェノールA10gと必要に応じて比較化合物1または2のいずれか10gを10%ポリビニルアルコール水溶液100gとともにボールミル中で磨砕して分散液Fを得た。
【0064】
上記分散液A、B、C、DおよびEを1:2:2:0.3:0.3の重量比で混合し、混合液200gに対し炭酸カルシウム50gを添加し、充分に分散させて塗液とし、この塗液を50g/m2の基紙上に厚さ32μmで塗布し、乾燥して実施例1−1〜1−6の感熱記録材料を得た。
【0065】
また、上記分散液Bを上記分散液Fに置き換える他は同様にして比較例1−1〜1−3の感熱記録材料を得た。
【0066】
得られた感熱記録材料を用い、感熱印字装置(TH−PMD:株式会社大倉電機製)を用いて、パルス幅0.8 msec で印字した記録像の発色濃度及び地肌部の濃度(初期濃度)を、マクベス濃度計(マクベス社製RD−933型)により測定した。
【0067】
また、耐光性を評価するために、この発色させた感熱記録材料をカーボンアークフェードメーター中に入れ、10時間照射した後の印字部の濃度を測定した。また、地肌部の濃度については黄色フィルターを用いて測定した。さらに、発色させた感熱記録材料の印字部にジオクチルフタレートをスタンプして室温で3日間保存した後の濃度変化を測定し、耐油性を評価した。
【0068】
それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【化24】
【0071】
【化25】
【0072】
実施例2
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン20gおよび10%ポリビニルアルコール水溶液100gを充分に磨砕して分散液Aを得た。
【0073】
ビスフェノールA20gおよび10%ポリビニルアルコール水溶液100gを充分に磨砕して分散液Bを得た。
【0074】
4−ベンジルビフェニル20gおよび10%ポリビニルアルコール水溶液100gを充分に磨砕して分散液Cを得た。
【0075】
試料化合物(下記〔表2〕に示す)20gを10%ポリビニルアルコール水溶液100gとともにボールミル中で磨砕して分散液Dを得た。
【0076】
上記分散液A、B、C、Dおよび微粉末状シリカを重量比1:3:2:1:0.5の割合で混合し、充分に分散させて塗液とし、この塗液を50g/m2の基紙上に厚さ32μmで塗布し、乾燥して感熱記録材料を得た。
【0077】
得られた感熱記録材料を用い、感熱印字装置(TH−PMD:株式会社大倉電機製)を用いて、パルス幅0.8 msec で印字した記録像の発色濃度及び地肌部の濃度(初期濃度)を、マクベス濃度計(マクベス社製RD−933型)により測定した。
【0078】
また、この発色させた感熱記録材料を用いて実施例1と同様の操作により、耐光性および耐油性評価を行った。
【0079】
それらの結果を下記〔表2〕に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
実施例3
3−ジブチルアミノ−7−(2−クロルフェニル)アミノフルオラン20gおよび10%ポリビニルアルコール水溶液100gを充分に磨砕して分散液Aを得た。
【0082】
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン20gおよび10%ポリビニルアルコール水溶液100gを充分に磨砕して分散液Bを得た。
【0083】
4−ベンジルビフェニル20gを10%ポリビニルアルコール水溶液100gとともにボールミル中で磨砕して分散液Cを得た。
【0084】
試料化合物(下記〔表3〕に示す)20gを10%ポリビニルアルコール水溶液100gとともにボールミル中で磨砕して分散液Dを得た。
【0085】
上記分散液A、B、Cおよび微粉末状シリカを1:2:1:0.5の重量比で混合し、ここに下記〔表3〕に記載した重量比で分散液Dを加え、この混合液200gに対し炭酸カルシウム50gを添加、分散させて塗液とし、この塗液を用い、実施例1と同様にして感熱記録材料を作り、実施例1と同様の操作により、耐光性及び耐油性評価を行った。それらの結果を下記〔表3〕に示す。
【0086】
【表3】
【0087】
上記〔表1〕〜〔表3〕に示したように、ベンゾトリアゾール化合物を用いない場合には、保存安定性(耐光性及び耐油性)に劣り、特に、紫外線に照射された場合の発色部(印字部)の消色および地肌部の変色が著しい。従来知られているモノベンゾトリアゾール化合物を用いた場合には、耐光性は若干改善されるが、その効果は未だ不十分なばかりでなく、地肌カブリを生じる欠点がある。
【0088】
これに対し、本発明に係る前記一般式(I)で表されるベンゾトリアゾール化合物を用いた場合には保存安定性(耐光性及び耐油性)に優れ、特に、紫外線に照射された後でも発色部(印字部)の消色および地肌部の変色を防止する効果が極めて大きいばかりでなく、地肌カブリも少ないことが明らかである。しかも、本発明に係る上記ベンゾトリアゾール化合物は他の顕色剤を用いなくとも優れた発色画像を与えるものであり、保存安定性に優れた顕色剤としての効果をも奏するものである。
【0089】
【発明の効果】
本発明の感熱記録材料は、特に、日光、蛍光灯等に長期間照射された場合にも発色部(印字部)および地肌部の変色が防止された、耐光性等の保存性の良好なものである。
Claims (1)
- 無色ないし淡色の発色性物質と、熱の作用を受けると該発色性物質を発色させる顕色剤とを含有する感熱記録層を支持体表面に形成させた感熱記録材料において、上記感熱記録層中に、上記顕色剤の少なくとも一部として、下記〔化1〕の一般式(I)で表されるベンゾトリアゾール化合物の少なくとも一種を含有してなることを特徴とする感熱記録材料。
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-
1994
- 1994-01-18 JP JP365094A patent/JP3599767B2/ja not_active Expired - Lifetime
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