JP6781356B2 - 感熱記録体 - Google Patents
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Description
近年、感熱記録体の用途は、各種チケット用、レシート用、ラベル用、銀行のATM用、ガスや電気の検針用、車馬券等の金券用などにも拡大してきており、これまで以上の過酷な条件、例えば、真夏の車内の高温状態などの環境下における画像部及び白紙部の保存性や、長期間フィルムや合成皮革などに接した状態で保管しても印字部の読み取り適性に問題を生じない耐可塑剤性などが求められている。
そのため、特定の顕色剤と安定剤を組み合わせて用いることにより画像部の保存性を向上させた感熱記録体(特許文献1)、特定の2種類の顕色剤を組み合わせて用いることにより、発色性能と画像部の保存性を向上させた感熱記録体(特許文献2)、フェノール系化合物とBPS系顕色剤などの2種の顕色剤を組み合わせて用いることにより保存安定性を高めた感熱記録体(特許文献3〜4)、2種のスルホン系の顕色剤を組み合せて用いた感熱記録体(特許文献5)などが開示されている。
更に本発明者らは、ウレアウレタン系化合物とBPS系化合物の2種の顕色剤を組み合わせて用いることにより、過酷な環境下における発色性能、特にバーコード読み取り適性が良好である感熱記録体(特許文献6)を開示している。
そのため、本発明者らは、既に、ウレアウレタン系化合物とBPS系化合物の2種の顕色剤を組み合わせて用いることにより、過酷な環境下における発色性能、特にバーコード読み取り適性が良好である感熱記録体(特許文献6)を開発している。
しかし、市場を調査した結果、この感熱記録体(特許文献6)については、更に、過酷な条件下における変色を改善する必要があることが分かった(後記の比較例3参照)。
そこで、本発明は、過酷な環境下における発色性能、特にバーコード読み取り適性が良好であって、更に、過酷な条件下における変色に耐性のある感熱記録体を提供することを目的とする。
本発明において過酷な環境又は過酷な条件とは、例えば、高温及び/又は多湿条件をいい、高温とは、例えば、70℃以上をいい、多湿とは、例えば、80%RH以上をいう。また、この過酷な条件には、電子レンジでの加熱(例えば、500W〜1500W程度のエネルギーで1〜5分間程度加熱)等も含まれる。
例えば、従来の感熱記録体を食品ラベルに用いた場合、印字後の食品ラベルが貼付された食品を電子レンジで加熱すると、食品ラベルの白紙部が発色(変色)し、美観が損なわれると共に、食品ラベルの印字情報の読み取りが困難となる(後記の比較例1〜4、6参照)。
更に、長期間フィルムや合成皮革などに接した状態で保管しても印字部の読み取り適性に問題を生じない耐可塑剤性の重要性が高まってきている。
すなわち、本発明は、支持体上に無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層を設けた感熱記録体であって、該感熱記録層が、電子受容性顕色剤としてスルホン化合物及びフェノール系化合物を含有し、該スルホン化合物が下記一般式(化1)
この感熱記録層は、耐可塑剤性を更に高めるために、電子受容性顕色剤として、更に、下記一般式(化8)で表されるウレアウレタン系化合物を含有してもよい。
更に、ウレアウレタン系化合物を含む3種の顕色剤を用いることにより、これに加えて耐可塑剤性を更に高めることができる。
またR2及びR3は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシ基である。より好ましくは、R2及びR3の少なくとも一方が水素原子であり、さらに好ましくはR2及びR3が共に水素原子である。
mは1〜3の整数、好ましくは1又は2、より好ましくは1である。
またこのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ(アミルオキシ)基、イソペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2−メチルブトキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、1−エチルプロポキシ基、ヘキシルオキシ基等の直鎖又は分岐状の炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基である。
本発明で用いられる更に好ましいスルホン化合物として、4−ヒドロキシ−4'−ベンジルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−フェネチルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−(3−フェニルプロポキシ)ジフェニルスルホンが挙げられ、最も好ましくは4−ヒドロキシ−4'−ベンジルオキシジフェニルスルホン(化6)である。
このようなフェノール系化合物として、好ましくは下記一般式(化2)で表される架橋型化合物が挙げられる。
このアルキル基又はアルケニル基は、炭素数が1〜6のアルキル基又はアルケニル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、2−メチル−2−プロペニル基等が挙げられる。
また、ハロゲン原子としては塩素、臭素、フッ素又はヨウ素、好ましくは塩素又は臭素を表す。
nは、それぞれ同じであっても異なってもよく、好ましくは同一であり、0〜4、好ましくは0を表す。
OH基及び−OR5O−基は、SO2基に対して、パラ位にあることが好ましい。
oは1〜11である。この化合物はoが1〜11の混合物であることが好ましい。
R5としては、エーテル結合を有してもよい炭素数1〜12、好ましくは3〜7の飽和若しくは不飽和の、好ましくは飽和の、直鎖若しくは分枝の、好ましくは直鎖の炭化水素基であってもよい。このような炭化水素としては、ポリアルキレンオキシド鎖やアルキレン基、好ましくはポリアルキレンオキシド鎖が好ましい。R5がポリアルキレンオキシド鎖の場合、−OR5O−としては、−O−(CpH2pO)1〜3−(式中、p=2〜4、好ましくは2〜3、より好ましくは2)が挙げられる。アルキレン基としては、−CqH2q−(式中、q=1〜12、好ましくは3〜7)が挙げられる。
R5としては、これらの中で、上記のエーテル結合を有してもよい炭素数1〜12の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分枝の炭化水素基が好ましい。
上記一般式(化2)で表されるフェノール系化合物として、下式で表される化合物(日本曹達(株)製、D−90として入手可能)が好ましい。
また、本発明の感熱記録層は顕色剤として、更にウレアウレタン系化合物を含有する場合には、上記スルホン化合物1重量部に対し上記ウレアウレタン系化合物を0.01〜1.0重量部含有する。更に、該感熱記録層は、上記スルホン化合物1重量部に対し上記ウレアウレタン系化合物を、好ましくは0.05重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上含有する。また、該感熱記録層は、上記スルホン化合物1重量部に対し上記ウレアウレタン系化合物を、好ましくは0.8重量部以下、より好ましくは0.6重量部以下、更に好ましくは0.6重量部未満含有する。
上記スルホン化合物に対する上記フェノール系化合物の含有比がこの範囲であることにより、過酷な環境下における感熱記録体の発色性能、特にバーコード読み取り適性が最も良好になり、更に、過酷な条件下における変色が抑えられる(後記の実施例参照)。なお、上記スルホン化合物1重量部に対し上記フェノール系化合物が0.01重量部未満であると、バーコード読み取り適性が十分でないことがある。また、スルホン化合物1重量部に対し上記フェノール系化合物が1.0重量部を超えると、変色の抑制が不十分となることがある。
本発明の感熱記録層は顕色剤として、更にウレアウレタン系化合物を含有する場合には、上記スルホン化合物1重量部に対し上記ウレアウレタン系化合物が0.01重量部未満であると、耐可塑剤性が十分でないことがある。また、スルホン化合物1重量部に対し上記ウレアウレタン系化合物が1.0重量部を超えると、白紙部の白色度が低下することがある。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン、3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
3,6,6'−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕、3,6,6'−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3'−ニトロ)アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4'−ニトロ)アニリノラクタム、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン、1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン、ビス−〔2,2,2',2'−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
感熱記録層中のバインダーの含有量(固形分)は5〜25重量%程度が好ましい。
この保護層は、主としてバインダーと顔料とから成り、これに更に架橋剤を加えてもよい。
このバインダーとしては、上述の感熱記録層に使用可能なバインダーが適宜使用可能であるが、カルボキシ変性ポリビニルアルコール及び非コアシェル型アクリル系樹脂が好ましい。これらのバインダーは1種又は2種以上用いてもよい。
また、架橋剤としては、上述の感熱記録層に使用可能な架橋剤が適宜使用可能であるが、エピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂(エピクロロヒドリン系樹脂に含まれるものを除く。)が好ましい。
保護層にカルボキシ変性ポリビニルアルコールと共に、エピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂を含有させることがより好ましく、これにより発色性能が更に改善される。
この非コアシェル型アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸、及び(メタ)アクリル酸と共重合可能な単量体成分を含み、(メタ)アクリル酸が非コアシェル型アクリル系樹脂100重量部中1〜10重量部であることが好ましい。(メタ)アクリル酸は、アルカリ可溶性であり、中和剤の添加により非コアシェル型アクリル系樹脂を水溶性樹脂にする特性を有している。非コアシェル型アクリル系樹脂を水溶性樹脂に変化させることによって、特に保護層中に顔料を含有する場合、顔料への結合性が著しく向上し、多量の顔料含有下でも優れた強度を有する保護層を形成することができる。(メタ)アクリル酸と共重合可能な成分としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸オクチルなどのアクリル酸アルキル樹脂及びエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、スチレン又はその誘導体によって変性された上記アクリル酸アルキル樹脂などの変性アクリル酸アルキル樹脂、(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸エステル、ヒドロキシアルキルアクリル酸エステルを例示できるが、特に(メタ)アクリロニトリル及び/又はメタクリル酸メチルを配合することが好ましい。(メタ)アクリロニトリルは非コアシェル型アクリル系樹脂100部中15〜70部配合することが好ましい。また、メタクリル酸メチルは非コアシェル型アクリル系樹脂100部中20〜80部含むことが好ましい。(メタ)アクリロニトリル及びメタクリル酸メチルを含む場合、(メタ)アクリロニトリルを非コアシェル型アクリル系樹脂100部中15〜18部、メタクリル酸メチルを非コアシェル型アクリル系樹脂100部中20〜80部配合することが好ましい。
保護層中のバインダーの含有量(固形分)は好ましくは20重量%以上、20〜80重量%程度がより好ましく、保護層が顔料を含む場合、顔料およびバインダーの含有量は、顔料100重量部に対しバインダーは固形分で30〜300重量部程度が好ましい。
保護層の塗工液には必要に応じて、上述の感熱記録層に使用可能な架橋剤、滑剤、安定剤や、紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等の各種助剤を適宜配合してもよい。
この下塗り層は、主としてバインダーと顔料とから成る。
下塗り層に用いるバインダーとしては、上述の感熱記録層に使用可能なバインダーが適宜使用可能である。これらのバインダーは1種又は2種以上用いてもよい。
本発明のプラスチック中空粒子は、熱可塑性樹脂を殻とし、内部に空気その他の気体を含有するもので、既に発泡状態となっている微小中空粒子である。熱可塑性樹脂の例としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、あるいはこれらの共重合体を挙げることが可能である。特にポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリアクリル酸エステルやポリアクリルニトリル等のアクリル系樹脂、これらの共重合体、あるいはポリ塩化ビニリデンとポリアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。このような有機中空粒子は、JSR社製SX8782、日本ゼオン社製MH5055、MH8108A、ローム&ハースジャパン社製ローペイクHP−91、松本油脂社製マイクロスフィアなどとして入手可能である。
本発明のプラスチック中空粒子の体積中空率は40〜95%程度が好ましい。体積中空率を40%以上とすることにより、断熱性を向上させ、発色性能をより一層高めることができる。一方、95%以下とすることにより、中空粒子の殻の強度を上げて中空状態を効果的に保ち、表面強度が良好な下塗り層を得ることが容易となる。ここで体積中空率は(d3/D3)×100で求められる値である。該式中、dは有機中空粒子の内径を示し、Dは有機中空粒子の外径を示す。
本発明においては、下塗り層が、顔料として、プラスチック中空粒子を含有することが好ましい。下塗り層が、顔料として、プラスチック中空粒子を含有する場合、下塗り層は、顔料の全量(固形分)に対して、プラスチック中空粒子を15重量%以上含有することが好ましく、45重量%以上含有することがより好ましい。
下塗り層が含有するプラスチック中空粒子以外の顔料としては、上記無機顔料を使用できるが、焼成カオリンを使用することが好ましい。
下塗り層の塗工液には必要に応じて、分散剤、可塑剤、pH調整剤、消泡剤、保水剤、防腐剤、着色染料、紫外線防止剤等の各種助剤を適宜配合してもよい。
感熱記録層及び感熱記録層以外の塗工層の塗工量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、感熱記録層の一般的な塗工量は固形分で2〜12g/m2程度である。また、下塗り層の一般的な塗工量は固形分で1〜15g/m2程度であり、保護層の一般的な塗工量は固形分で1〜5g/m2程度である。本発明では、保護層の塗工量を固形分で1〜3g/m2とすることが好ましい。
また、各層の塗工後にスーパーカレンダー掛けなどの平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必要適宜付加することができる。
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、下塗り層用塗工液を調製した。
<下塗り層用塗工液>
焼成カオリン(BASF社製、商品名:アンシレックス90)
100.0部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン社製、
商品名:ST5526、固形分48%) 10.0部
水 50.0部
4−ヒドロキシ−4'−ベンジルオキシジフェニルスルホン(日華化学
社製、商品名:BPS−MA3) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:PVA
117、固形分10%) 5.0部
水 1.5部
化学式(化7)で表されるフェノール系化合物(日本曹達社製、
商品名:D−90) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン
(三菱ケミカル株式会社製、商品名TOMILAC KN) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
1−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−4−[
4−(4−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ブタン
(三菱ケミカル社製、商品名:TOMILAC214) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化成
社製、商品名:ODB−2) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
増感剤分散液(C液)
1,2−ビス−(3−メチルフェノキシ)エタン(三光社製、
商品名:KS232) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
<感熱記録層塗工液1>
顕色剤分散液(A1液) 18.0部
顕色剤分散液(A2液) 18.0部
ロイコ染料分散液(B液) 18.0部
増感剤分散液(C液) 9.0部
シリカ分散液(水澤化学社製、商品名:ミズカシルP−537、固形分
25%) 17.5部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 25.0部
顕色剤分散液(A1液) 18.0部
顕色剤分散液(A2液) 18.0部
ロイコ染料分散液(B液) 18.0部
増感剤分散液(C液) 9.0部
シリカ分散液(ミズカシルP−537) 7.5部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 25.0部
<保護層塗工液>
水酸化アルミニウム分散液(マーティンスベルグ社製、
商品名:マーティフィンOL、固形分50%) 9.0部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:
KL318、固形分10%) 30.0部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC社製、商品名:WS4
030、固形分25%) 4.0部
ステアリン酸亜鉛(中京油脂社製、商品名:ハイドリンZ−7−30、
固形分30%) 2.0部
支持体(坪量47g/m2の上質紙)の片面に、下塗り層用塗工液を、固形分で塗工量10.0g/m2となるようにベントブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、下塗り層塗工紙を得た。
この下塗り層塗工紙の下塗り層上に、感熱記録層塗工液1を固形分で塗工量6.0g/m2となるようにロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行い、スーパーカレンダーで平滑度が500〜1000秒になるように処理して感熱記録体を作製した。
感熱記録層塗工液1中の顕色剤分散液(A1液)の配合量を31.5部、顕色剤分散液(A2液)の配合量を4.5部にした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例3]
感熱記録層塗工液1中の顕色剤分散液(A1液)の配合量を25.5部、顕色剤分散液(A2液)の配合量を10.5部にした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例4]
感熱記録層塗工液1において、顕色剤分散液(A1液)の配合量18.0部を9.0部に変更し、顕色剤分散液(A6液)9.0部を加えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
感熱記録層塗工液1において、顕色剤分散液(A2液)の配合量18.0部を8.0部に変更し、顕色剤分散液(A3液)10.0部を加えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例6]
支持体(坪量47g/m2の上質紙)の片面に、下塗り層用塗工液を、固形分で塗工量10.0g/m2となるようにベントブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、下塗り層塗工紙を得た。
この下塗り層塗工紙の下塗り層上に、感熱記録層塗工液2を固形分で塗工量6.0g/m2となるようにロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行い、スーパーカレンダーで平滑度が500〜1000秒になるように処理して感熱記録層塗工紙を作製した。
次いで、この感熱記録層塗工紙の感熱記録層上に、保護層塗工液を、固形分で塗工量2.0g/m2となるように、ロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、感熱記録体を作製した。
感熱記録層塗工液1において、顕色剤分散液(A1液)の配合量18.0部を36.0部に変更し、顕色剤分散液(A2液)を省いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例2]
感熱記録層塗工液1において、顕色剤分散液(A2液)の配合量18.0部を36.0部に変更し、顕色剤分散液(A1液)を省いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例3]
感熱記録層塗工液1において、顕色剤分散液(A2液)の代わりに顕色剤分散液(A3液)を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例4]
感熱記録層塗工液1において、顕色剤分散液(A1液)の代わりに顕色剤分散液(A4液)を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
感熱記録層塗工液1中の顕色剤分散液(A1液)の配合量を4.5部、顕色剤分散液(A2液)の配合量を31.5部にした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例6]
感熱記録層塗工液1において、顕色剤分散液(A1液)の代わりに顕色剤分散液(A5液)を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
<発色性能(印字濃度)>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.35mJ/dot、印字速度50mm/secで市松模様を印字した。
印字部の印字濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、発色性能(印字濃度)を評価した。
作製した感熱記録体について、下記2環境条件下で24時間処理した後、23℃、50%RH環境下に3時間静置した。
(1)80℃
(2)50℃、90%RH
ゼブラ社製ラベルプリンタ140XiIIIを用い、印字レベル+10、印字速度15.2cm/秒(6インチ/秒)でバーコード(CODE39)を印字した後、印字されたバーコードをバーコード検証機(Honeywell社製、QCPC600、光源640nm)で読み取り試験を実施し、バーコード読み取り適性を評価した。評価結果をANSI規格のシンボルグレードで記した。
シンボルグレード:バーコードをバーと垂直方向に10分割して、各箇所1回ずつ読み取り試験を実施し、その平均値を(優)A、B、C、D、F(劣)の5段階評価で表す。
作製した感熱記録体について、50℃、95%RH環境下で4日間処理した後、23℃、50%RH環境下に3時間静置した。
非印字部(白紙部)の濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、処理前後の値の差から地色発色値を算出し、下記の基準で非印字部(白紙部)の変色を評価した。
地色発色値=(処理後の非印字部の濃度)−(処理前の非印字部の濃度)
優:地色発色値が0.1未満
良:地色発色値が0.1以上0.3未満
可:地色発色値が0.3以上0.5未満
不可:地色発色値が0.5以上
作製した感熱記録体について、ゼブラ社製ラベルプリンタ140XiIIIを用い、印字レベル+10、印字速度15.2cm/秒(6インチ/秒)で文字を印字した後に、出力800Wの電子レンジで2分間加熱処理を行い、23℃、50%RH環境下に3時間静置した。
下記の基準で、目視にて記録体の変色を評価した。
優:白紙部が発色(変色)しておらず、問題なく文字の読み取りが可能
良:白紙部が僅かに発色(変色)しているが、文字の読み取りに支障はない
可:白紙部が発色(変色)しているが、文字の読み取りは可能
不可:白紙部が著しく発色(変色)しており、文字の読み取りができない
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、
京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.35mJ/dot、印字
速度50mm/secで市松模様を印字した。
印字した感熱記録体を、紙管に塩ビラップ(三井化学製ハイラップKMA)を1回巻き付けた上に貼り付け、更にその上に塩ビラップを3重に巻き付けて、下記環境条件下で24時間静置した。
(1)23℃、50%RH
(2)50℃、50%RH
印字部の印字濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、処理前後の値から残存率を算出し、下記の基準で耐可塑剤性を評価した。評価は優、良であれば実用上問題はない。
残存率(%)=(処理後の印字部の印字濃度/処理前の印字部の印字濃度)×100
優:残存率が90%以上
良:残存率が75%以上90%未満
可:残存率が50%以上75%未満
不可:残存率が50%未満
Claims (9)
- 支持体上に無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料と電子受容性顕色剤とを含有する感熱記録層を設けた感熱記録体であって、該感熱記録層が、電子受容性顕色剤としてスルホン化合物及びフェノール系化合物を含有し、更に、増感剤として1,2−ビス−(3−メチルフェノキシ)エタンを含有し、該スルホン化合物が、下記一般式(化5)で表され、
該フェノール系化合物が、下記一般式(化2)で表され、
- 前記感熱記録層が、前記スルホン化合物1重量部に対し前記ウレアウレタン系化合物を0.01〜1.0重量部含有する請求項2に記載の感熱記録体。
- 前記スルホン化合物1重量部に対し、前記フェノール系化合物を0.05〜0.8重量部の割合で含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の感熱記録体。
- 前記R2及びR3の少なくとも一方が水素原子である請求項1〜4のいずれか一項に記載の感熱記録体。
- 前記mが1である請求項1〜5のいずれか一項に記載の感熱記録体。
- 前記スルホン化合物が、4−ヒドロキシ−4'−ベンジルオキシジフェニルスルホンである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の感熱記録体。
- 前記感熱記録層上に保護層を有しない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の感熱記録体。
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