JP2004306262A - 1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物及びこれを用いた感熱記録体 - Google Patents
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Abstract
【課題】増感剤として、加熱発色性等の基本的性能に優れた、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン化合物の粉砕特性を、当該発色性等を損なうことなく、顕著に改善し、これを増感剤として使用する感熱記録体を提供する。
【解決手段】1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−チルフエノキシ)エタンを50ppm〜5.0質量%含有させた感熱記録体用組成物を増感剤として使用する。
【選択図】 なし
【解決手段】1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−チルフエノキシ)エタンを50ppm〜5.0質量%含有させた感熱記録体用組成物を増感剤として使用する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無色又は淡色の塩基性染料前駆体、顕色剤及び増感剤等の熱発色反応を利用した感熱記録体に関し、より詳しくは、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物を増感剤として用いた感熱記録体に関する。
【0002】
【従来の技術】
実質的に無色又は淡色の塩基性染料前駆体、これを発色させる顕色剤及び増感剤等の熱発色反応を利用した感熱記録体は、システムが簡便、安価であることから、感熱ファクシミリ、感熱プリンター、感熱ラベル等の分野で広く応用されている。これら感熱記録体においては、加熱発色性を向上させるために、増感剤を記録層中に含有させることが必須である。しかして、加熱発色性と地肌の汚れは、往々にして相反することが多く、加熱発色性を改善したものは、地肌の汚れが増加しやすく、また、反対に、地肌の汚れを押さえようとすると、発色性が低下しやすくなる。従って、両者とも改善された増感剤が強く求められている。
【0003】
かかる基本的要請に関し、増感剤として、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン化合物を使用するものは、上記加熱発色性及び地肌の汚れの両方の点でバランスが優れている増感剤として、定評があり、非常な長期間に渡って、広く、製造・販売・使用されている代表的な増感剤なのである(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
基本的には、増感剤は、界面活性剤、消泡剤及び分散剤等の基本成分を含む水性媒体中で、ボールミル、サンドミル等の粉砕媒体を使用する粉砕装置により、通常5μm以下、好ましくは1.5μm以下の粒子径まで粉砕、分散させて増感剤を含む塗布液を調整するものである。
【0005】
通常、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンは、合成後、再結晶して得られた状態では、大部分が粒径50〜700μm程度の粒子径の粉粒体として提供されるものであり、塗布液に配合使用するときには、粉砕が必須である。
【0006】
すなわち、上記したように、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンは、界面活性剤、消泡剤、分散剤等の成分を含む水性媒体中で、粉砕して、通常5μm以下、好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1μm以下の粒子径まで粉砕することが要請されるが、当該化合物は、基本的に非常に粉砕され難い化合物であり、当該粉砕工程に、かなりの長時間を要する点が、感熱記録紙等の感熱記録体の製造工程において、一つの大きなネックとなっており、改善されなければならない大きな問題となっていた。
【0007】
【特許文献1】
特許第1804948号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、以上のごとく、増感剤として、加熱発色性等の基本的性能に優れた、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン化合物の粉砕特性を、当該発色性等を損なうことなく、顕著に改善すること、及びこれを増感剤として使用する感熱記録体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの粉砕性改善について鋭意検討した結果、当該化合物に、特定の化合物を特定量含有せしめた組成物とすることにより、著しくその粉砕性が改善されることを見出した。
【0010】
しかも、当該1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物を増感剤とする感熱記録体は、その発色性が劣化するどころか、むしろ、予想に反し、より発色性が向上するという驚くべき知見を得た。本発明は、かかる知見に基づき、なされるに至ったものである。
【0011】
本発明に従えば、以下の発明が提供される。すなわち、
〔請求項1〕に規定の感熱記録体用組成物は、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタン50ppm〜5.0質量%を含有させたことを特徴とする感熱記録体用組成物である。
【0012】
〔請求項2〕に規定の感熱記録体用組成物は、上記において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンを500ppm〜2.0質量%含有させたことを特徴とする感熱記録体用組成物である。
【0013】
〔請求項3〕に規定の感熱記録体は、支持基体上に、少なくとも塩基性染料前駆体及び顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、増感剤として上記に記載の組成物を当該記録層中に含有させたことを特徴とする感熱記録体である。
【0014】
〔請求項4〕に規定の感熱記録体は、前記塩基性染料前駆体として、3−N,N−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N,N−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N,N−ジエチル−6−クロロ−7−アニリノフルオラン及び3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリドからなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする上記に記載の感熱記録体である。
【0015】
〔請求項5〕に規定の感熱記録体は、前記顕色剤として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5−メチルペンタン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−ジメチル−1,3−ビス(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、4,4’−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−ジフェニルメタン及び4,4’−〔オキシビス(エチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル)〕ジフェノールからなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする上記に記載の感熱記録体である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の感熱記録体用組成物は、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンを50ppm〜5.0質量%、好ましくは500ppm〜2.0質量%含有させた感熱記録体用組成物である。
【0018】
このような組成物(以下、「1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物」又は「本発明の組成物」と称することがある。)は、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンを合成する際の原料の組成を適宜調整することにより得ることもできるし、当該組成物の各成分である1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンのそれぞれを各別に調製し、混合することにより得ることも可能である。例えば、以下のような方法が適用される。
【0019】
(a)1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン合成の主たる原料である3−メチルフェノール中に、4−メチルフェノールを、本発明で規定する組成に対応する量となるように、含有若しくは添加せしめて、これを1,2−ジブロモエタン又は1,2−ジクロロエタン等の1,2−ジハロゲノエタンと反応せしめることにより、主たる生成物たる1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンを生成せしめ、所望量含有した組成物とする方法である。この方法によれば、合成の過程で直接本発明の組成物が調製できる。
【0020】
(b)あらかじめ、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンのそれぞれを別に調製し、これらを混合し、加熱溶融させた後、冷却し、結晶化させる方法も使用できる。このように、溶融・結晶化することにより均一な組成物が得られる。
【0021】
(c)あらかじめ調製した、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンのそれぞれを、粉砕時に混合し、機械的に粉砕して、上記組成物とする方法も可能である。
【0022】
これらの調製方法は、目的とする組成等に応じて、適当な方法を採用することができ、また、これらを適宜組み合わせることも可能である。なお、上記の方法は、典型的な方法を例示したものであり、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明の組成物においては、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンを50ppm〜5.0質量%、好ましくは500ppm〜2.0質量%含有したものである。(なお、組成物中に1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンの両者を含有する場合は、含有量は、その合計量とする。)
【0024】
含有量が50ppm未満であると、本発明で目的とする粉砕性の向上効果は実質的に奏されず、また、5.0質量%をあまり超えた場合は、粉砕性は、むしろ悪化するとともに、当該組成物を増感剤として使用した場合の、感熱記録体としての高温における地肌のよごれが無視できなくなる。
【0025】
本発明の組成物は、感熱記録体の増感剤として好適に使用されるが、更に別の増感剤、例えばジフェニルスルホン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、β−ナフチルベンジルエーテル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジル、シュウ酸−p−クロロベンジル、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、p−ベンジルビフェニール、m−ターフェニル、p−ビフェニル−p−トリルエーテル等の一種若しくは二種以上を併用して、更に感度を向上させることも可能である。
【0026】
本発明の感熱記録体に使用する無色ないし淡色の塩基性染料前駆体(以下、単に「塩基性染料」または「染料」と称することがある。)としては、従来公知の化合物、例えば、フルオラン化合物、インドリルフタリド化合物、ジビニルフタリド化合物、ピリジン化合物、スピロ化合物、フルオレン化合物、トリアリールメタン化合物、ジアリールメタン化合物等を好ましく使用することができる。例えば、以下のものが好ましく使用される。
【0027】
3−N,N−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N,N−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−モルホリノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−オクチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
【0028】
3−(N−n−プロピル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ブチル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ブチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチル)アミノ−6メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソブチル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソブチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−オクチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
【0029】
3−(N−シクロペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−n−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−n−ヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−n−オクチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、 3−N,N−ジエチル−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、
【0030】
3−N−(2−メトキシエチル)−N−イソブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(2−エトキシエチル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3−メトキシプロピル)−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3−エトキシプロピル)−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(2−テトラヒドロフルフリル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(4−メチルフェニル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
【0031】
3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−モルホリノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−オクチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
【0032】
3−N−n−プロピル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−ブチル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−ブチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−イソブチル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−イソブチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−ペンチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−イソペンチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−オクチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロペンチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−プロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−ヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−オクチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
【0033】
3−N−(2−メトキシエチル)−N−イソブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(2−エトキシエチル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3−メトキシプロピル)−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3−エトキシプロピル)−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(2−テトラヒドロフルフリル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(4−メチルフェニル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
【0034】
3,6−ジメトキシフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−ブチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−N−エチル−N−イソペンチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,7−ジメチルフルオラン、3,6−ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソペンチルアミノ−7−アニリノフルオラン等のフルオラン化合物;
【0035】
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(2−エトキシ−4−ジブチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等のインドリルフタリド化合物;
【0036】
3,3−ビス〔2,2−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2,2−ビス(4−ピロリジノフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス〔2−(4−メトキシフェニル)−2−(4−ジメチルアミノフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(4−メトキシフェニル)−2−(4−ピロリジノフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリドなどのジビニルフタリド化合物;
【0037】
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4または7−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4または7−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4または7−アザフタリド、3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4または7−アザフタリド、3−(2−n−ブトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4または7−アザフタリド、3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4または7−アザフタリド、3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4または7−アザフタリド、3,3−ビス(2−メトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4または7−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4または7−アザフタリドなどのピリジン化合物;
【0038】
3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3−フェニルスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロジベンゾピランなどのスピロ化合物;
【0039】
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3−(6−ジメチルアミノ)フタリド、3−ジエチルアミノ−6−(N−アリル−N−メチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3−(6−ジメチルアミノ)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)−9−スピロ〔フルオレン−9,6−6H−クロメノ(4,3−b)インドール〕、3,6−ビス(ジメチルアミノ)−3−メチル−スピロ〔フルオレン−9,6−6H−クロメノ(4,3−b)インドール〕、3,6−ビス(ジエチルアミノ)−3−メチル−スピロ〔フルオレン−9,6−6H−クロメノ(4,3−b)インドール〕などのフルオレン化合物;
【0040】
3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〕、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−メチルピロール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリドなどのトリアリールメタン化合物;
【0041】
4,4−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなどのジアリールメタン化合物等が挙げられる。
【0042】
これらのなかで、最も好ましい塩基性染料としては、請求項4に記載した、3−N,N−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N,N−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N,N−ジエチル−6−クロロ−7−アニリノフルオラン及び3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド等が挙げられる。
【0043】
これらの塩基性染料は、単独、あるいは発色画像の色調の調整や多色感熱記録材料を得るなどの目的で二種以上混合して用いてもよい。
【0044】
染料の使用量は、増感剤100質量部に対し、染料10〜500質量部が好ましく、更に好ましくは20〜400質量部、最も好ましくは30〜200質量部である。使用量がこれより少なすぎると、本来の発色性を奏することができず、また、これよりもあまり過大に使用しても、それ以上の発色性の向上は得られず、経済的に無駄である。
【0045】
また、顕色剤としては、従来公知のもの、例えばフェノール性化合物、スルホン系化合物、イオン系化合物、窒素系化合物及びサリチル酸系化合物等が使用可能なものとして挙げられる。
【0046】
なかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5−メチルペンタン、2,2−ジメチル−1,3−ビス(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン;
【0047】
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン;
【0048】
2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、2,4−ビス(フェニルスルホニル)−5−メチルフェノール、4,4’−〔オキシビス(エチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル)〕ジフェノール;
【0049】
1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、1,8−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,6−ジオキサオクタン、4,4’−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−ジフェニルメタン;
【0050】
4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド;
3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸及びそのZn塩;及び
4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル等が好ましいものとして挙げられる。
【0051】
なかでも、請求項5に記載した、以下の化合物が顕色剤として特に好ましい。
すなわち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5−メチルペンタン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルスルホン、2,2−ジメチル−1,3−ビス(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、4,4’−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−ジフェニルメタン及び4,4’−〔オキシビス(エチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル)〕ジフェノールからなる群より選択される少なくとも一種である。
【0052】
これらの顕色剤は、その一種あるいは二種以上を混合して使用してもよい。
顕色剤の使用量は、増感剤100質量部に対して、10〜500質量部が好ましく、30〜400質量部がより好ましく、50〜300質量部がさらに好ましい。
【0053】
本発明における感熱記録層は、それ自身公知の方法により製造することができ、何ら特殊な方法を採用する必要はない。例えば、塩基性染料、顕色剤、増感剤、顔料、金属セッケン、ワックス等を界面活性剤、消泡剤及び分散剤等を含む水性媒体中で、ボールミル及びサンドミル等の手段により通常5μm以下、好ましくは1.5μm以下の粒径にまで粉砕・分散させて各塗布液を調整することができる。
【0054】
顔料としては、一般的に感熱記録体に用いられる顔料、例えば、カオリン、シリカ、非晶質シリカ、焼成カオリン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、硫酸バリウム及び合成ケイ酸アルミニウム等の無機系微粉末;スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂及び尿素−ホルマリン樹脂等の有機系樹脂微粉末等を、上記染料と併用使用することもできる。
【0055】
これら顔料の使用量は、塩基性染料100質量部に対し、10〜2000質量部が好ましく、より好ましくは20〜1000質量部である。
【0056】
金属セッケンとしては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸アルミニウム等が例示される。
【0057】
更に、ワックスとしては、キャンデリリラワックス、ライスワックス、木ろう、みつろう、ラノリン、モンタンワックス、カルナバワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及び牛脂や椰子油等の天然ワックス、更にはポリエチレンワックス、ステアリン酸等の誘導体並びにフィシャー・トロプシュワックス等を挙げることができる。これらは、単独あるいは混合して使用してもよい。
【0058】
界面活性剤としては、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩及びラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩等が例示される。
【0059】
消泡剤としては、高級アルコール系、脂肪酸エステル系、オイル系、シリコーン系、ポリエーテル系、変性炭化水素油系、パラフィン系等が例示される。
【0060】
分散剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(各種の鹸化度、pH及び重合度のもの)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、でんぷん及びスチレン−無水マレイン酸共重合体のアンモニウム塩等が例示される。
【0061】
さらに必要に応じ、耐水性改良剤として、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン及び4−ベンジルオキシ−4’−2,3−プロポキシ−ジフェニルスルホン等を用いてもよい。
【0062】
また、耐光性改良剤として、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕及びマイクロカプセル化された2−(2−ヒドロキシ−3−ドデシル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0063】
感熱記録体の製造工程においては、感熱記録体を構成する染料、顕色剤、増感剤及び顔料等の原料分散液を調整する工程が律速であり、とりわけ、当該増感剤の分散液を調整する工程が長時間、例えば24時間に及ぶことがあり、問題となっていた。本発明によれば、後記実施例のごとく、当該増感剤の粉砕工程が40%も短縮される。また、粉砕機としては、上記のごとくボールミルやサンドミル等各種の可動部分を有する粉砕機が使われるが、粉砕時間が大幅に短縮されることに伴い、粉砕設備の稼働時間の短縮により、設備のライフも大きく延長され、機械保守上、きわめて好ましい。
【0064】
本発明の感熱記録体において、その感熱記録層は、公知の技術に従って形成することができ、形成方法は、特に限定されるものではない。例えば、感熱記録層用の塗布液を、支持体面上にエアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター、カーテンコーター及びワイヤーバー等の適当な塗布装置で塗布し、乾燥して記録層を形成することができる。
【0065】
塗布液の塗布量に関しても特に限定するものではなく、支持体面に対し、一般に乾燥質量で0.5〜50.0g/m2が好ましく、1.0〜20.0g/m2の範囲がさらに好ましい。なお、支持体としては、紙、プラスチックシート及び合成紙等が用いられる。
【0066】
更に、発色感度を高めるために、下塗り層を設けてもよい。下塗り層の材料は、主として顔料若しくは有機中空粒子と接着剤からなる。
【0067】
この顔料としては、すでに述べたごとき焼成カオリン、炭酸マグネシウム、無定型シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、尿素−ホルマリン樹脂フィラー等が挙げられる。また、有機中空粒子としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリルニトリル及びスチレン等の単量体の単独重合体若しくは共重合体の樹脂が挙げられる。
【0068】
更に、接着剤としては、ゼラチン、カゼイン、デンプン及びその誘導体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メトキシセルロース、完全(部分)ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、アクリルアミド−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合等の水溶性高分子及びスチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル系樹脂等の疎水性高分子が挙げられる。なお、下塗り層の形成は、特に制限されるものではなく、例えば、先に述べた感熱記録層と同様にして形成することができる。
【0069】
また、更に保存性を高める目的で、感熱記録層の上に、保護層を設けてもよい。かかる保護層は、成膜性を有する接着剤及び顔料等を主成分とし、必要に応じ紫外線吸収剤等を用いてもよい。
【0070】
成膜性を有する接着剤として、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール及びジアセトン変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。一方、顔料及び紫外線吸収剤は、先に述べた感熱記録層のものを用いてもよい。
【0071】
かかる保護層の形成も特に制限されるものではなく、例えば、先に述べた感熱記録層と同様にして成形することができる。
【0072】
なお、感熱記録体においては、必要に応じて、支持体の裏面側にも保護層を設けたり、天然ゴム、アクリル樹脂系の粘着剤、スチレンイソプレンブロックコポリマー及び二液架橋形アクリル樹脂系の粘着剤を主成分とする粘着層を設けたり、あるいは各層の塗布後にスーパーカレンダー掛け等の平滑化処理を施すこともできる。
【0073】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、例中の「部」および「%」は特に断らない限りそれぞれ「質量部」および「質量%」を表す。
【0074】
また、本発明において、結晶生成物または1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の分析は、ガスクロマトグラフィーにより以下のごとく行った。
【0075】
(a)1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの分析
ガスクロマトグラフ装置:島津GC−14B(FID検出装置)
カラム:内径3mm×1.1mガラスカラム
充填剤:シリコーンOV−17 3%/ユニポートHP(60−80メッシュ)(ジーエルサイエンス社製)
カラム温度:70→280℃(12℃/mim昇温)
【0076】
(b)1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタンの分析
ガスクロマトグラフ装置:島津GC−14B(FID検出装置)
カラム:内径2.6mm×2.1mガラスカラム
充填剤:KG−02/ユニポートHP(60−80メッシュ)
(ジーエルサイエンス社製)
カラム温度:190℃
【0077】
〔比較例1〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
3−メチルフェノール108g(4−メチルフェノール0.5%含む。)と、48%水酸化ナトリウム水溶液100gを、1L反応釜に仕込み、N2ガスを充満させた後、100℃に昇温し、1,2−ジブロモエタン94gを、5時間かけて滴下、装入した。
【0078】
滴下完了後、100℃で6時間熟成反応させた。反応終了後、反応液を静置して、水層と油層に二層分離せしめた。当該分取した油層を50gの水で100℃において水洗した。この水洗操作を2回繰り返した後、油層にメタノール1000gを添加・溶解して濾過し、濾液を15℃まで徐冷した。生成した結晶物を濾別し、濾過ケーキをメタノール100gで洗浄した。得られた結晶生成物を、メタノール500gで再結晶法により再度精製後、乾燥し、結晶生成物91gを得た。
【0079】
当該結晶生成物は、融点98.3℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン99.99%に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン10ppm及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物であった。
【0080】
〔実施例1〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
3−メチルフェノール108g(4−メチルフェノール1.0%含む。)と、48%水酸化ナトリウム水100gを、1L反応釜に仕込み、N2ガスを充満させた後、100℃に昇温し、1,2−ジブロモエタン94gを、5時間かけて滴下、装入しながら反応させた。
【0081】
滴下完了後、100℃で6時間熟成反応させた。反応終了後、反応液を静置して、水層と油層に二層分離せしめた。当該分取した油層を50gの水で100℃において水洗した。この水洗操作を2回繰り返した後、油層にメタノール500gを添加・溶解して濾過し、濾液を15℃まで徐冷した。生成した結晶物を濾別し、濾別ケーキをメタノール100gで洗浄した。得られた結晶生成物を、再結晶することなく、そのまま乾燥し、結晶生成物97gを得た。
【0082】
当該結晶生成物は、融点98.0℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン99.45%、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン5000ppm、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン15ppmからなる組成物であった。
【0083】
〔合成例1〕(1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタンの製造)
4−メチルフェノール108g(和光純薬工業社製、試薬特級)と、ジエチレングリコールジメチルエーテル400g及び水酸化カリウム62gを、1L反応釜に仕込み、N2ガスを充満させた後、100℃に昇温し、溶解後、同温度で1−ブロモ−2−(3−メチルフェノキシ)エタン215gを、5時間かけて滴下、装入しながら反応させた。
【0084】
滴下完了後、100℃で6時間熟成反応させた。反応終了後、反応混合物を水400g中に排出した。20℃まで冷却し、析出した結晶を濾別した。濾別ケーキを水200gで洗浄後、これをメタノール2000gに加えて加熱・溶解後、さらに濾過して得られた濾液を15℃まで徐冷した。生成した結晶物を濾別し、ケーキをメタノール200gで洗浄した。得られた結晶生成物を、メタノール1000gで再結晶法により再度精製後、乾燥し、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン182gを得た。これは融点94℃、純度99.8%のものであった。
【0085】
〔合成例2〕(1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタンの製造)
4−メチルフェノール108g(和光純薬工業社製、試薬特級)と、ジエチレングリコールジメチルエーテル600g及び水酸化カリウム62gを、1L反応釜に仕込み、N2ガスを充満させた後、100℃に昇温し、溶解後、同温度で1,2−ジブロモエタン94gを、5時間かけて滴下、装入しながら反応させた。
【0086】
滴下完了後、100℃で6時間熟成反応させた。反応終了後、反応混合物を水400g中に排出した。20℃まで冷却し、析出した結晶を濾別した。濾別ケーキを水200gで洗浄後、これをメタノール2000gに加えて加熱・溶解後、さらに濾過して得られた濾液を15℃まで徐冷した。生成した結晶物を濾別し、ケーキをメタノール200gで洗浄した。得られた結晶生成物を、メタノール1000gで再結晶法により再度精製後、乾燥し、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン200gを得た。これは融点134℃、純度99.9%のものであった。
【0087】
〔実施例2〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
実施例1で得られた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物50gと合成例1で得られた1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン50mgを200mL反応釜に仕込み、N2ガスを充満させながら加熱溶解させ110℃で溶解し、バットに排出し、70℃で10時間熟成させ、結晶化させた。
【0088】
当該結晶生成物は、融点98.1℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン99.85%に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン1000ppm及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物であった。
【0089】
〔実施例3〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
実施例1で得られた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物50gと合成例1で得られた1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン1.28gを、200mL反応釜に仕込み、N2ガスを充満させながら加熱溶解させ110℃で溶解し、バットに排出し、70℃で10時間熟成させ、結晶化させた。
【0090】
当該結晶生成物は、融点96.3℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン97.45%に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン2.50%及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物であった。
【0091】
〔実施例4〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
実施例1で得られた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物50gと合成例2で得られた1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン0.25gを、200mL反応釜に仕込み、N2ガスを充満させながら加熱溶解させ110℃で溶解し、バットに排出し、70℃で10時間熟成させ、結晶化させた。
【0092】
当該結晶生成物は、融点98.0℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン99.4%に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン10ppm及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5000ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物であった。
【0093】
〔実施例5〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
実施例1で得られた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物50g、合成例1で得られた1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン0.25g、及び合成例2で得られた1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン0.25gを、200mL反応釜に仕込み、N2ガスを充満させながら加熱溶解させ110℃で溶解し、バットに排出し、70℃で10時間熟成させ、結晶化させた。
【0094】
当該結晶生成物は、融点97.8℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン98.95%に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン5000ppm及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5000ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物であった。
【0095】
〔比較例2〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
実施例1で得られた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物50gと合成例1で得られた1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン2.8g、及び、合成例2で得られた1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン2.8gを200mL反応釜に仕込み、N2ガスを充満させながら加熱溶解させ110℃で溶解し、バットに排出し、70℃で10時間熟成させ、結晶化させた。
【0096】
当該結晶生成物は、融点96.1℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン89.95%に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン5.0%及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5.0%を含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物であった。
【0097】
〔比較例3〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
実施例1で得られた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物50gと合成例1で得られた1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン8.8gを、200mL反応釜に仕込み、N2ガスを充満させながら加熱溶解させ110℃で溶解し、バットに排出し、70℃で10時間熟成させ、結晶化させた。
【0098】
当該結晶生成物は、融点94.5℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン84.95%に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン15.0%及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタンを4ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物(以下、「サンプル組成物」と称する。)であった。
【0099】
〔実施例6〕(粉砕試験/増感剤分散体の製造)
(1)実施例2で得られた1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン1000ppm及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物を、粉砕機(日本精機製作所社製、ZM1型)により金網(金網穴:一辺1.5mm)を用いて予備粉砕した。
【0100】
次に篩(IIDASEISAKUSHO社製、TESTING SIEVE(目開0.85mm))により、篩分処理し、パスした粉状のサンプル組成物を次の粉砕試験に用いた。
【0101】
(2)粉砕試験は、三段羽根型粉砕機(イガラシ機械製造社製、TSG4H型)を用い、以下の条件で行った。
【0102】
300mL容量のジャケット付ポットに、篩い分けした粉状のサンプル組成物33.4g、5%メトローズ(信越化学工業社製、分散剤、60SH−03)27.5g、消泡剤(サンノプコ社製、ノプコ1407−K、5%水溶液)0.2g、ペレックス(KAO社製、分散剤、ペレックスTR)0.4g及び分散用水22.0gを仕込み、スパチュラで上記粉状組成物を分散用水によく浸透させた後、1時間放置した。
【0103】
上記粉砕機に粉砕媒体ビーズ(アズワン社製ビーズ、品番BZ−1、ビーズ径1mm)200gを仕込み、三段羽根の回転数1000rpmにて、ポットジャケットに20〜25℃の水を循環させながら、粉砕を開始した。
【0104】
粉砕工程中に随時サンプル組成物を採取し、粒子径を、粒径測定装置(島津製作所社製、島津SALD−200OJ)により、経時的に測定した。粉砕を平均粒子径が1μmになるまで実行したところ、150分を要した。これが本発明の目的とする増感剤分散体である。結果を表1に示す。
【0105】
〔実施例7〜10〕(粉砕試験/増感剤分散体の製造)
実施例6における、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン1000ppm及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物を、表1に記載する、実施例1、実施例3、実施例4、実施例5で得られた、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物にそれぞれ変更したことを除いては、実施例6と同様の実験を行い、増感剤分散体を得た。結果を表1に示す。
【0106】
〔比較例4〜6〕(粉砕試験/増感剤分散体の製造)
実施例6における、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン1000ppm及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物を、表1に記載する、比較例1、比較例2、比較例3でそれぞれ得られた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物にそれぞれ変更したことを除いては、実施例6と同様の実験を行い、増感剤分散液を得た。結果を表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
表1より明らかなように、本発明の組成物は、比較例の組成物に比較して、その粉砕性がはるかに優れたものであることがわかる。
【0109】
すなわち、感熱記録体を製造するための増感剤粉粒体の水性分散液を調整するための粉砕時間が、実施例における小規模の装置でも、従来は250分程度要していたものが、本発明の場合、150分程度(約40%)にも短縮される。実際の製造装置では、すでに述べたように、粉砕して増感剤粉粒体の水性分散液を調整する工程が24時間以上を要する例もあるところから、本発明における粉砕時間短縮の効果の製造工程全体に及ぼす影響は、きわめて大きいというべきである。
【0110】
なおこのように、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−チルフエノキシ)エタンを本発明で規定する特定量含有させた場合、粉砕効率が格段に向上するメカニズムは、正確には明らかではないが、少量の異なる構造の化合物を混入させることにより、主成分である1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの結晶構造が、硬度の高い純粋物質の状態から比較的柔らかい混合物の結晶状態へと変化するためではないかと推定される。
【0111】
また、本発明により粉砕性が大幅に改善される結果、所望により、さらに粒子径1μmより微細なものに粉砕することも可能であることが見出された。
【0112】
〔実施例11〕(感熱記録体の製造)
引き続き、実施例6〜10において得られた本発明の組成物を増感剤とする感熱記録体の製造について試験した。
【0113】
<下塗り層用塗布液の調整>
焼成カオリン(EC社製、商品名:アンシレックス、)80g、炭酸カルシウム(白石工業社製、商品名:ユニバー70)20g、ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−117、5%水溶液)140g、スチレン−ブタジエン系ラテツクス(48%エマルション)15g、ポリアクリル酸ナトリウム(20%水溶液)2g、及び水30gを混合撹拌して下塗り層用塗布液を得た。
【0114】
<感熱記録層用塗布液の調整>
(顕色剤分散液の調整)
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルホン30gを濃度5%のメチルセルロース水溶液70g中で、サンドグラインダーを用いて粉砕し、平均粒子径1.0μmの顕色剤の水性分散液を調整した。
【0115】
(染料分散液の調整)
3−N,N−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン30gを、濃度5%のポリビニルアルコール(PVA−117)水溶液70g中で、サンドグラインダーを用いて粉砕し、平均粒子径1μmの染料の水性分散液を調整した。
【0116】
(増感剤分散液の調整)
実施例6で得られた増感剤分散体40gに、水13.3gを添加し、30%の水性分散液に調整した。
【0117】
(顔料分散液の調整)
炭酸カルシウム(ユニバー70)を30g、水69g及び40%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液1.0gを、ホモジナイザー(特殊機化社製、TKホモディスパーL型)で回転数5000rpmにて5分間撹拌し、顔料分散液を調整した。
【0118】
(感熱記録層用塗布液の調整)
以上のように調整した、顕色剤分散液7.2g、染料分散液3.6g、増感剤分散液7.2g、顔料分散液7.2g、滑剤分散液としてのステアリン酸亜鉛30%エマルション(中京油脂社製、商品名:ハイドリンZ−7)1.8g、及び更にポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA−117、5%水溶液)21.6gを混合して感熱記録層用塗布液を得た。
【0119】
<感熱記録体の作製>
64g/m2の上質の中性紙の片面に、下塗り層用塗布液及び感熱記録層用塗布液を、乾燥後の塗布量がそれぞれ10g/m2 、3g/m2となるように、順次塗布・乾燥して感熱記録体を得た。なお、下塗り層及び感熱記録層を形成した後、スーパーカレンダー掛けして平滑化処理した。
【0120】
〔実施例12〜15〕
実施例11において、増感剤を表2に示したものに変更したほかは、実施例11と同様の操作を行い、感熱記録体を作製した。
【0121】
〔比較例7〜9〕
実施例11において、増感剤を表2に示したものに変更したほかは、実施例11と同様の操作を行い、感熱記録体を作製した。
【0122】
【表2】
【0123】
<性能比較試験>
実施例11〜15,比較例7〜9で得られた感熱記録紙を感熱紙発色試験装置(大倉電気社製、TH−PMD)により、感熱ヘッド(KYOCERA社製、TYPE KJT−256−8MGFI−ASH)1653Ωを用い、印字電圧24V、印字周期(加熱時間)0.7msec、1.4msecで印字テストを行い、以下の項目につき、性能試験を行った。結果を表3に示す。
【0124】
(1)地肌及び印字濃度
マクベス濃度計(マクベス社製、RD−948型)を用いて測定した。
【0125】
(2)耐湿性試験
印字した後の当該感熱記録紙を、温度45℃、湿度85%の雰囲気下に24時間放置した後の地肌のかぶり及び印字濃度をマクベス濃度計で測定した。なお、「地肌」とは、記録紙の印字してない部分の白さを云う。
【0126】
(3)耐熱性試験
温度60℃で24時間放置した後の地肌のかぶり及び印字濃度を上記と同様にマクベス濃度計で測定した。
【0127】
【表3】
【0128】
表3より、本発明の感熱記録体は、その初期値より、地肌のかぶりが少なく、かつ、発色性に優れ、また、耐湿性及び耐熱性より、地肌及び記録像(印字)の保存性に優れた、バランスのよいものであることがわかる。
【0129】
具体的には、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタンをほとんど含有しない場合(比較例7)は、地肌かぶりは、本発明の実施例と同程度であるが、印字発色濃度において劣り、これら含有量が、本発明で規定する範囲を超えて大きくはずれるもの(比較例8、比較例6)の場合は、地肌かぶりや印字発色濃度の耐湿性、耐熱性が悪化することがわかる。
【0130】
【発明の効果】
上記したように、本発明に従えば、従来の1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの有する増感剤としての優れた特性をなんら損なうことなく、これを主体とする特定の組成物とすることにより、当該化合物の有する粉砕性を大幅に改善することが可能である。
【0131】
しかも、当該1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物を増感剤とする感熱記録体は、その初期発色性や耐湿性や耐熱性の点で、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン化合物そのものを使用する場合と比較して何ら遜色ないどころか、むしろより優れた特性を示していることが特筆されるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、無色又は淡色の塩基性染料前駆体、顕色剤及び増感剤等の熱発色反応を利用した感熱記録体に関し、より詳しくは、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物を増感剤として用いた感熱記録体に関する。
【0002】
【従来の技術】
実質的に無色又は淡色の塩基性染料前駆体、これを発色させる顕色剤及び増感剤等の熱発色反応を利用した感熱記録体は、システムが簡便、安価であることから、感熱ファクシミリ、感熱プリンター、感熱ラベル等の分野で広く応用されている。これら感熱記録体においては、加熱発色性を向上させるために、増感剤を記録層中に含有させることが必須である。しかして、加熱発色性と地肌の汚れは、往々にして相反することが多く、加熱発色性を改善したものは、地肌の汚れが増加しやすく、また、反対に、地肌の汚れを押さえようとすると、発色性が低下しやすくなる。従って、両者とも改善された増感剤が強く求められている。
【0003】
かかる基本的要請に関し、増感剤として、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン化合物を使用するものは、上記加熱発色性及び地肌の汚れの両方の点でバランスが優れている増感剤として、定評があり、非常な長期間に渡って、広く、製造・販売・使用されている代表的な増感剤なのである(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
基本的には、増感剤は、界面活性剤、消泡剤及び分散剤等の基本成分を含む水性媒体中で、ボールミル、サンドミル等の粉砕媒体を使用する粉砕装置により、通常5μm以下、好ましくは1.5μm以下の粒子径まで粉砕、分散させて増感剤を含む塗布液を調整するものである。
【0005】
通常、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンは、合成後、再結晶して得られた状態では、大部分が粒径50〜700μm程度の粒子径の粉粒体として提供されるものであり、塗布液に配合使用するときには、粉砕が必須である。
【0006】
すなわち、上記したように、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンは、界面活性剤、消泡剤、分散剤等の成分を含む水性媒体中で、粉砕して、通常5μm以下、好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1μm以下の粒子径まで粉砕することが要請されるが、当該化合物は、基本的に非常に粉砕され難い化合物であり、当該粉砕工程に、かなりの長時間を要する点が、感熱記録紙等の感熱記録体の製造工程において、一つの大きなネックとなっており、改善されなければならない大きな問題となっていた。
【0007】
【特許文献1】
特許第1804948号明細書
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、以上のごとく、増感剤として、加熱発色性等の基本的性能に優れた、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン化合物の粉砕特性を、当該発色性等を損なうことなく、顕著に改善すること、及びこれを増感剤として使用する感熱記録体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの粉砕性改善について鋭意検討した結果、当該化合物に、特定の化合物を特定量含有せしめた組成物とすることにより、著しくその粉砕性が改善されることを見出した。
【0010】
しかも、当該1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物を増感剤とする感熱記録体は、その発色性が劣化するどころか、むしろ、予想に反し、より発色性が向上するという驚くべき知見を得た。本発明は、かかる知見に基づき、なされるに至ったものである。
【0011】
本発明に従えば、以下の発明が提供される。すなわち、
〔請求項1〕に規定の感熱記録体用組成物は、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタン50ppm〜5.0質量%を含有させたことを特徴とする感熱記録体用組成物である。
【0012】
〔請求項2〕に規定の感熱記録体用組成物は、上記において、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンを500ppm〜2.0質量%含有させたことを特徴とする感熱記録体用組成物である。
【0013】
〔請求項3〕に規定の感熱記録体は、支持基体上に、少なくとも塩基性染料前駆体及び顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、増感剤として上記に記載の組成物を当該記録層中に含有させたことを特徴とする感熱記録体である。
【0014】
〔請求項4〕に規定の感熱記録体は、前記塩基性染料前駆体として、3−N,N−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N,N−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N,N−ジエチル−6−クロロ−7−アニリノフルオラン及び3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリドからなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする上記に記載の感熱記録体である。
【0015】
〔請求項5〕に規定の感熱記録体は、前記顕色剤として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5−メチルペンタン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−ジメチル−1,3−ビス(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、4,4’−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−ジフェニルメタン及び4,4’−〔オキシビス(エチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル)〕ジフェノールからなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする上記に記載の感熱記録体である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の感熱記録体用組成物は、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンを50ppm〜5.0質量%、好ましくは500ppm〜2.0質量%含有させた感熱記録体用組成物である。
【0018】
このような組成物(以下、「1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物」又は「本発明の組成物」と称することがある。)は、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンを合成する際の原料の組成を適宜調整することにより得ることもできるし、当該組成物の各成分である1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンのそれぞれを各別に調製し、混合することにより得ることも可能である。例えば、以下のような方法が適用される。
【0019】
(a)1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン合成の主たる原料である3−メチルフェノール中に、4−メチルフェノールを、本発明で規定する組成に対応する量となるように、含有若しくは添加せしめて、これを1,2−ジブロモエタン又は1,2−ジクロロエタン等の1,2−ジハロゲノエタンと反応せしめることにより、主たる生成物たる1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンを生成せしめ、所望量含有した組成物とする方法である。この方法によれば、合成の過程で直接本発明の組成物が調製できる。
【0020】
(b)あらかじめ、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンのそれぞれを別に調製し、これらを混合し、加熱溶融させた後、冷却し、結晶化させる方法も使用できる。このように、溶融・結晶化することにより均一な組成物が得られる。
【0021】
(c)あらかじめ調製した、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンのそれぞれを、粉砕時に混合し、機械的に粉砕して、上記組成物とする方法も可能である。
【0022】
これらの調製方法は、目的とする組成等に応じて、適当な方法を採用することができ、また、これらを適宜組み合わせることも可能である。なお、上記の方法は、典型的な方法を例示したものであり、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明の組成物においては、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンを50ppm〜5.0質量%、好ましくは500ppm〜2.0質量%含有したものである。(なお、組成物中に1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンの両者を含有する場合は、含有量は、その合計量とする。)
【0024】
含有量が50ppm未満であると、本発明で目的とする粉砕性の向上効果は実質的に奏されず、また、5.0質量%をあまり超えた場合は、粉砕性は、むしろ悪化するとともに、当該組成物を増感剤として使用した場合の、感熱記録体としての高温における地肌のよごれが無視できなくなる。
【0025】
本発明の組成物は、感熱記録体の増感剤として好適に使用されるが、更に別の増感剤、例えばジフェニルスルホン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、β−ナフチルベンジルエーテル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジル、シュウ酸−p−クロロベンジル、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、p−ベンジルビフェニール、m−ターフェニル、p−ビフェニル−p−トリルエーテル等の一種若しくは二種以上を併用して、更に感度を向上させることも可能である。
【0026】
本発明の感熱記録体に使用する無色ないし淡色の塩基性染料前駆体(以下、単に「塩基性染料」または「染料」と称することがある。)としては、従来公知の化合物、例えば、フルオラン化合物、インドリルフタリド化合物、ジビニルフタリド化合物、ピリジン化合物、スピロ化合物、フルオレン化合物、トリアリールメタン化合物、ジアリールメタン化合物等を好ましく使用することができる。例えば、以下のものが好ましく使用される。
【0027】
3−N,N−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N,N−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−モルホリノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−オクチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
【0028】
3−(N−n−プロピル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ブチル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ブチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチル)アミノ−6メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソブチル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソブチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−オクチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
【0029】
3−(N−シクロペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−n−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−n−ヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−n−オクチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、 3−N,N−ジエチル−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、
【0030】
3−N−(2−メトキシエチル)−N−イソブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(2−エトキシエチル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3−メトキシプロピル)−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3−エトキシプロピル)−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(2−テトラヒドロフルフリル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(4−メチルフェニル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
【0031】
3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−モルホリノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−オクチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
【0032】
3−N−n−プロピル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−ブチル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−ブチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−イソブチル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−イソブチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−ペンチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−イソペンチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−オクチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロペンチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−プロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−ヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−オクチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
【0033】
3−N−(2−メトキシエチル)−N−イソブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(2−エトキシエチル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3−メトキシプロピル)−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3−エトキシプロピル)−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(2−テトラヒドロフルフリル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(4−メチルフェニル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
【0034】
3,6−ジメトキシフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−ブチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−N−エチル−N−イソペンチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,7−ジメチルフルオラン、3,6−ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソペンチルアミノ−7−アニリノフルオラン等のフルオラン化合物;
【0035】
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(2−エトキシ−4−ジブチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド等のインドリルフタリド化合物;
【0036】
3,3−ビス〔2,2−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2,2−ビス(4−ピロリジノフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス〔2−(4−メトキシフェニル)−2−(4−ジメチルアミノフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(4−メトキシフェニル)−2−(4−ピロリジノフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリドなどのジビニルフタリド化合物;
【0037】
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4または7−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4または7−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4または7−アザフタリド、3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4または7−アザフタリド、3−(2−n−ブトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4または7−アザフタリド、3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4または7−アザフタリド、3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4または7−アザフタリド、3,3−ビス(2−メトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4または7−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4または7−アザフタリドなどのピリジン化合物;
【0038】
3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3−フェニルスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロジベンゾピランなどのスピロ化合物;
【0039】
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3−(6−ジメチルアミノ)フタリド、3−ジエチルアミノ−6−(N−アリル−N−メチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3−(6−ジメチルアミノ)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)−9−スピロ〔フルオレン−9,6−6H−クロメノ(4,3−b)インドール〕、3,6−ビス(ジメチルアミノ)−3−メチル−スピロ〔フルオレン−9,6−6H−クロメノ(4,3−b)インドール〕、3,6−ビス(ジエチルアミノ)−3−メチル−スピロ〔フルオレン−9,6−6H−クロメノ(4,3−b)インドール〕などのフルオレン化合物;
【0040】
3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〕、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−メチルピロール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリドなどのトリアリールメタン化合物;
【0041】
4,4−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなどのジアリールメタン化合物等が挙げられる。
【0042】
これらのなかで、最も好ましい塩基性染料としては、請求項4に記載した、3−N,N−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N,N−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N,N−ジエチル−6−クロロ−7−アニリノフルオラン及び3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド等が挙げられる。
【0043】
これらの塩基性染料は、単独、あるいは発色画像の色調の調整や多色感熱記録材料を得るなどの目的で二種以上混合して用いてもよい。
【0044】
染料の使用量は、増感剤100質量部に対し、染料10〜500質量部が好ましく、更に好ましくは20〜400質量部、最も好ましくは30〜200質量部である。使用量がこれより少なすぎると、本来の発色性を奏することができず、また、これよりもあまり過大に使用しても、それ以上の発色性の向上は得られず、経済的に無駄である。
【0045】
また、顕色剤としては、従来公知のもの、例えばフェノール性化合物、スルホン系化合物、イオン系化合物、窒素系化合物及びサリチル酸系化合物等が使用可能なものとして挙げられる。
【0046】
なかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5−メチルペンタン、2,2−ジメチル−1,3−ビス(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン;
【0047】
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン;
【0048】
2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、2,4−ビス(フェニルスルホニル)−5−メチルフェノール、4,4’−〔オキシビス(エチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル)〕ジフェノール;
【0049】
1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、1,8−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,6−ジオキサオクタン、4,4’−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−ジフェニルメタン;
【0050】
4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド;
3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸及びそのZn塩;及び
4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル等が好ましいものとして挙げられる。
【0051】
なかでも、請求項5に記載した、以下の化合物が顕色剤として特に好ましい。
すなわち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5−メチルペンタン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルスルホン、2,2−ジメチル−1,3−ビス(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、4,4’−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−ジフェニルメタン及び4,4’−〔オキシビス(エチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル)〕ジフェノールからなる群より選択される少なくとも一種である。
【0052】
これらの顕色剤は、その一種あるいは二種以上を混合して使用してもよい。
顕色剤の使用量は、増感剤100質量部に対して、10〜500質量部が好ましく、30〜400質量部がより好ましく、50〜300質量部がさらに好ましい。
【0053】
本発明における感熱記録層は、それ自身公知の方法により製造することができ、何ら特殊な方法を採用する必要はない。例えば、塩基性染料、顕色剤、増感剤、顔料、金属セッケン、ワックス等を界面活性剤、消泡剤及び分散剤等を含む水性媒体中で、ボールミル及びサンドミル等の手段により通常5μm以下、好ましくは1.5μm以下の粒径にまで粉砕・分散させて各塗布液を調整することができる。
【0054】
顔料としては、一般的に感熱記録体に用いられる顔料、例えば、カオリン、シリカ、非晶質シリカ、焼成カオリン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、硫酸バリウム及び合成ケイ酸アルミニウム等の無機系微粉末;スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂及び尿素−ホルマリン樹脂等の有機系樹脂微粉末等を、上記染料と併用使用することもできる。
【0055】
これら顔料の使用量は、塩基性染料100質量部に対し、10〜2000質量部が好ましく、より好ましくは20〜1000質量部である。
【0056】
金属セッケンとしては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸アルミニウム等が例示される。
【0057】
更に、ワックスとしては、キャンデリリラワックス、ライスワックス、木ろう、みつろう、ラノリン、モンタンワックス、カルナバワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及び牛脂や椰子油等の天然ワックス、更にはポリエチレンワックス、ステアリン酸等の誘導体並びにフィシャー・トロプシュワックス等を挙げることができる。これらは、単独あるいは混合して使用してもよい。
【0058】
界面活性剤としては、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩及びラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩等が例示される。
【0059】
消泡剤としては、高級アルコール系、脂肪酸エステル系、オイル系、シリコーン系、ポリエーテル系、変性炭化水素油系、パラフィン系等が例示される。
【0060】
分散剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(各種の鹸化度、pH及び重合度のもの)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、でんぷん及びスチレン−無水マレイン酸共重合体のアンモニウム塩等が例示される。
【0061】
さらに必要に応じ、耐水性改良剤として、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン及び4−ベンジルオキシ−4’−2,3−プロポキシ−ジフェニルスルホン等を用いてもよい。
【0062】
また、耐光性改良剤として、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕及びマイクロカプセル化された2−(2−ヒドロキシ−3−ドデシル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0063】
感熱記録体の製造工程においては、感熱記録体を構成する染料、顕色剤、増感剤及び顔料等の原料分散液を調整する工程が律速であり、とりわけ、当該増感剤の分散液を調整する工程が長時間、例えば24時間に及ぶことがあり、問題となっていた。本発明によれば、後記実施例のごとく、当該増感剤の粉砕工程が40%も短縮される。また、粉砕機としては、上記のごとくボールミルやサンドミル等各種の可動部分を有する粉砕機が使われるが、粉砕時間が大幅に短縮されることに伴い、粉砕設備の稼働時間の短縮により、設備のライフも大きく延長され、機械保守上、きわめて好ましい。
【0064】
本発明の感熱記録体において、その感熱記録層は、公知の技術に従って形成することができ、形成方法は、特に限定されるものではない。例えば、感熱記録層用の塗布液を、支持体面上にエアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター、カーテンコーター及びワイヤーバー等の適当な塗布装置で塗布し、乾燥して記録層を形成することができる。
【0065】
塗布液の塗布量に関しても特に限定するものではなく、支持体面に対し、一般に乾燥質量で0.5〜50.0g/m2が好ましく、1.0〜20.0g/m2の範囲がさらに好ましい。なお、支持体としては、紙、プラスチックシート及び合成紙等が用いられる。
【0066】
更に、発色感度を高めるために、下塗り層を設けてもよい。下塗り層の材料は、主として顔料若しくは有機中空粒子と接着剤からなる。
【0067】
この顔料としては、すでに述べたごとき焼成カオリン、炭酸マグネシウム、無定型シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、尿素−ホルマリン樹脂フィラー等が挙げられる。また、有機中空粒子としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリルニトリル及びスチレン等の単量体の単独重合体若しくは共重合体の樹脂が挙げられる。
【0068】
更に、接着剤としては、ゼラチン、カゼイン、デンプン及びその誘導体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メトキシセルロース、完全(部分)ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、アクリルアミド−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合等の水溶性高分子及びスチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル系樹脂等の疎水性高分子が挙げられる。なお、下塗り層の形成は、特に制限されるものではなく、例えば、先に述べた感熱記録層と同様にして形成することができる。
【0069】
また、更に保存性を高める目的で、感熱記録層の上に、保護層を設けてもよい。かかる保護層は、成膜性を有する接着剤及び顔料等を主成分とし、必要に応じ紫外線吸収剤等を用いてもよい。
【0070】
成膜性を有する接着剤として、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール及びジアセトン変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。一方、顔料及び紫外線吸収剤は、先に述べた感熱記録層のものを用いてもよい。
【0071】
かかる保護層の形成も特に制限されるものではなく、例えば、先に述べた感熱記録層と同様にして成形することができる。
【0072】
なお、感熱記録体においては、必要に応じて、支持体の裏面側にも保護層を設けたり、天然ゴム、アクリル樹脂系の粘着剤、スチレンイソプレンブロックコポリマー及び二液架橋形アクリル樹脂系の粘着剤を主成分とする粘着層を設けたり、あるいは各層の塗布後にスーパーカレンダー掛け等の平滑化処理を施すこともできる。
【0073】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、例中の「部」および「%」は特に断らない限りそれぞれ「質量部」および「質量%」を表す。
【0074】
また、本発明において、結晶生成物または1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の分析は、ガスクロマトグラフィーにより以下のごとく行った。
【0075】
(a)1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの分析
ガスクロマトグラフ装置:島津GC−14B(FID検出装置)
カラム:内径3mm×1.1mガラスカラム
充填剤:シリコーンOV−17 3%/ユニポートHP(60−80メッシュ)(ジーエルサイエンス社製)
カラム温度:70→280℃(12℃/mim昇温)
【0076】
(b)1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタンの分析
ガスクロマトグラフ装置:島津GC−14B(FID検出装置)
カラム:内径2.6mm×2.1mガラスカラム
充填剤:KG−02/ユニポートHP(60−80メッシュ)
(ジーエルサイエンス社製)
カラム温度:190℃
【0077】
〔比較例1〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
3−メチルフェノール108g(4−メチルフェノール0.5%含む。)と、48%水酸化ナトリウム水溶液100gを、1L反応釜に仕込み、N2ガスを充満させた後、100℃に昇温し、1,2−ジブロモエタン94gを、5時間かけて滴下、装入した。
【0078】
滴下完了後、100℃で6時間熟成反応させた。反応終了後、反応液を静置して、水層と油層に二層分離せしめた。当該分取した油層を50gの水で100℃において水洗した。この水洗操作を2回繰り返した後、油層にメタノール1000gを添加・溶解して濾過し、濾液を15℃まで徐冷した。生成した結晶物を濾別し、濾過ケーキをメタノール100gで洗浄した。得られた結晶生成物を、メタノール500gで再結晶法により再度精製後、乾燥し、結晶生成物91gを得た。
【0079】
当該結晶生成物は、融点98.3℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン99.99%に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン10ppm及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物であった。
【0080】
〔実施例1〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
3−メチルフェノール108g(4−メチルフェノール1.0%含む。)と、48%水酸化ナトリウム水100gを、1L反応釜に仕込み、N2ガスを充満させた後、100℃に昇温し、1,2−ジブロモエタン94gを、5時間かけて滴下、装入しながら反応させた。
【0081】
滴下完了後、100℃で6時間熟成反応させた。反応終了後、反応液を静置して、水層と油層に二層分離せしめた。当該分取した油層を50gの水で100℃において水洗した。この水洗操作を2回繰り返した後、油層にメタノール500gを添加・溶解して濾過し、濾液を15℃まで徐冷した。生成した結晶物を濾別し、濾別ケーキをメタノール100gで洗浄した。得られた結晶生成物を、再結晶することなく、そのまま乾燥し、結晶生成物97gを得た。
【0082】
当該結晶生成物は、融点98.0℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン99.45%、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン5000ppm、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン15ppmからなる組成物であった。
【0083】
〔合成例1〕(1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタンの製造)
4−メチルフェノール108g(和光純薬工業社製、試薬特級)と、ジエチレングリコールジメチルエーテル400g及び水酸化カリウム62gを、1L反応釜に仕込み、N2ガスを充満させた後、100℃に昇温し、溶解後、同温度で1−ブロモ−2−(3−メチルフェノキシ)エタン215gを、5時間かけて滴下、装入しながら反応させた。
【0084】
滴下完了後、100℃で6時間熟成反応させた。反応終了後、反応混合物を水400g中に排出した。20℃まで冷却し、析出した結晶を濾別した。濾別ケーキを水200gで洗浄後、これをメタノール2000gに加えて加熱・溶解後、さらに濾過して得られた濾液を15℃まで徐冷した。生成した結晶物を濾別し、ケーキをメタノール200gで洗浄した。得られた結晶生成物を、メタノール1000gで再結晶法により再度精製後、乾燥し、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン182gを得た。これは融点94℃、純度99.8%のものであった。
【0085】
〔合成例2〕(1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタンの製造)
4−メチルフェノール108g(和光純薬工業社製、試薬特級)と、ジエチレングリコールジメチルエーテル600g及び水酸化カリウム62gを、1L反応釜に仕込み、N2ガスを充満させた後、100℃に昇温し、溶解後、同温度で1,2−ジブロモエタン94gを、5時間かけて滴下、装入しながら反応させた。
【0086】
滴下完了後、100℃で6時間熟成反応させた。反応終了後、反応混合物を水400g中に排出した。20℃まで冷却し、析出した結晶を濾別した。濾別ケーキを水200gで洗浄後、これをメタノール2000gに加えて加熱・溶解後、さらに濾過して得られた濾液を15℃まで徐冷した。生成した結晶物を濾別し、ケーキをメタノール200gで洗浄した。得られた結晶生成物を、メタノール1000gで再結晶法により再度精製後、乾燥し、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン200gを得た。これは融点134℃、純度99.9%のものであった。
【0087】
〔実施例2〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
実施例1で得られた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物50gと合成例1で得られた1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン50mgを200mL反応釜に仕込み、N2ガスを充満させながら加熱溶解させ110℃で溶解し、バットに排出し、70℃で10時間熟成させ、結晶化させた。
【0088】
当該結晶生成物は、融点98.1℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン99.85%に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン1000ppm及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物であった。
【0089】
〔実施例3〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
実施例1で得られた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物50gと合成例1で得られた1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン1.28gを、200mL反応釜に仕込み、N2ガスを充満させながら加熱溶解させ110℃で溶解し、バットに排出し、70℃で10時間熟成させ、結晶化させた。
【0090】
当該結晶生成物は、融点96.3℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン97.45%に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン2.50%及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物であった。
【0091】
〔実施例4〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
実施例1で得られた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物50gと合成例2で得られた1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン0.25gを、200mL反応釜に仕込み、N2ガスを充満させながら加熱溶解させ110℃で溶解し、バットに排出し、70℃で10時間熟成させ、結晶化させた。
【0092】
当該結晶生成物は、融点98.0℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン99.4%に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン10ppm及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5000ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物であった。
【0093】
〔実施例5〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
実施例1で得られた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物50g、合成例1で得られた1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン0.25g、及び合成例2で得られた1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン0.25gを、200mL反応釜に仕込み、N2ガスを充満させながら加熱溶解させ110℃で溶解し、バットに排出し、70℃で10時間熟成させ、結晶化させた。
【0094】
当該結晶生成物は、融点97.8℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン98.95%に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン5000ppm及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5000ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物であった。
【0095】
〔比較例2〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
実施例1で得られた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物50gと合成例1で得られた1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン2.8g、及び、合成例2で得られた1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン2.8gを200mL反応釜に仕込み、N2ガスを充満させながら加熱溶解させ110℃で溶解し、バットに排出し、70℃で10時間熟成させ、結晶化させた。
【0096】
当該結晶生成物は、融点96.1℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン89.95%に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン5.0%及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5.0%を含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物であった。
【0097】
〔比較例3〕(1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物の製造)
実施例1で得られた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物50gと合成例1で得られた1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン8.8gを、200mL反応釜に仕込み、N2ガスを充満させながら加熱溶解させ110℃で溶解し、バットに排出し、70℃で10時間熟成させ、結晶化させた。
【0098】
当該結晶生成物は、融点94.5℃、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン84.95%に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン15.0%及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタンを4ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物(以下、「サンプル組成物」と称する。)であった。
【0099】
〔実施例6〕(粉砕試験/増感剤分散体の製造)
(1)実施例2で得られた1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン1000ppm及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物を、粉砕機(日本精機製作所社製、ZM1型)により金網(金網穴:一辺1.5mm)を用いて予備粉砕した。
【0100】
次に篩(IIDASEISAKUSHO社製、TESTING SIEVE(目開0.85mm))により、篩分処理し、パスした粉状のサンプル組成物を次の粉砕試験に用いた。
【0101】
(2)粉砕試験は、三段羽根型粉砕機(イガラシ機械製造社製、TSG4H型)を用い、以下の条件で行った。
【0102】
300mL容量のジャケット付ポットに、篩い分けした粉状のサンプル組成物33.4g、5%メトローズ(信越化学工業社製、分散剤、60SH−03)27.5g、消泡剤(サンノプコ社製、ノプコ1407−K、5%水溶液)0.2g、ペレックス(KAO社製、分散剤、ペレックスTR)0.4g及び分散用水22.0gを仕込み、スパチュラで上記粉状組成物を分散用水によく浸透させた後、1時間放置した。
【0103】
上記粉砕機に粉砕媒体ビーズ(アズワン社製ビーズ、品番BZ−1、ビーズ径1mm)200gを仕込み、三段羽根の回転数1000rpmにて、ポットジャケットに20〜25℃の水を循環させながら、粉砕を開始した。
【0104】
粉砕工程中に随時サンプル組成物を採取し、粒子径を、粒径測定装置(島津製作所社製、島津SALD−200OJ)により、経時的に測定した。粉砕を平均粒子径が1μmになるまで実行したところ、150分を要した。これが本発明の目的とする増感剤分散体である。結果を表1に示す。
【0105】
〔実施例7〜10〕(粉砕試験/増感剤分散体の製造)
実施例6における、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン1000ppm及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物を、表1に記載する、実施例1、実施例3、実施例4、実施例5で得られた、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物にそれぞれ変更したことを除いては、実施例6と同様の実験を行い、増感剤分散体を得た。結果を表1に示す。
【0106】
〔比較例4〜6〕(粉砕試験/増感剤分散体の製造)
実施例6における、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)−エタン1000ppm及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン5ppmを含有する1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物を、表1に記載する、比較例1、比較例2、比較例3でそれぞれ得られた1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物にそれぞれ変更したことを除いては、実施例6と同様の実験を行い、増感剤分散液を得た。結果を表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
表1より明らかなように、本発明の組成物は、比較例の組成物に比較して、その粉砕性がはるかに優れたものであることがわかる。
【0109】
すなわち、感熱記録体を製造するための増感剤粉粒体の水性分散液を調整するための粉砕時間が、実施例における小規模の装置でも、従来は250分程度要していたものが、本発明の場合、150分程度(約40%)にも短縮される。実際の製造装置では、すでに述べたように、粉砕して増感剤粉粒体の水性分散液を調整する工程が24時間以上を要する例もあるところから、本発明における粉砕時間短縮の効果の製造工程全体に及ぼす影響は、きわめて大きいというべきである。
【0110】
なおこのように、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−チルフエノキシ)エタンを本発明で規定する特定量含有させた場合、粉砕効率が格段に向上するメカニズムは、正確には明らかではないが、少量の異なる構造の化合物を混入させることにより、主成分である1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの結晶構造が、硬度の高い純粋物質の状態から比較的柔らかい混合物の結晶状態へと変化するためではないかと推定される。
【0111】
また、本発明により粉砕性が大幅に改善される結果、所望により、さらに粒子径1μmより微細なものに粉砕することも可能であることが見出された。
【0112】
〔実施例11〕(感熱記録体の製造)
引き続き、実施例6〜10において得られた本発明の組成物を増感剤とする感熱記録体の製造について試験した。
【0113】
<下塗り層用塗布液の調整>
焼成カオリン(EC社製、商品名:アンシレックス、)80g、炭酸カルシウム(白石工業社製、商品名:ユニバー70)20g、ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−117、5%水溶液)140g、スチレン−ブタジエン系ラテツクス(48%エマルション)15g、ポリアクリル酸ナトリウム(20%水溶液)2g、及び水30gを混合撹拌して下塗り層用塗布液を得た。
【0114】
<感熱記録層用塗布液の調整>
(顕色剤分散液の調整)
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルホン30gを濃度5%のメチルセルロース水溶液70g中で、サンドグラインダーを用いて粉砕し、平均粒子径1.0μmの顕色剤の水性分散液を調整した。
【0115】
(染料分散液の調整)
3−N,N−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン30gを、濃度5%のポリビニルアルコール(PVA−117)水溶液70g中で、サンドグラインダーを用いて粉砕し、平均粒子径1μmの染料の水性分散液を調整した。
【0116】
(増感剤分散液の調整)
実施例6で得られた増感剤分散体40gに、水13.3gを添加し、30%の水性分散液に調整した。
【0117】
(顔料分散液の調整)
炭酸カルシウム(ユニバー70)を30g、水69g及び40%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液1.0gを、ホモジナイザー(特殊機化社製、TKホモディスパーL型)で回転数5000rpmにて5分間撹拌し、顔料分散液を調整した。
【0118】
(感熱記録層用塗布液の調整)
以上のように調整した、顕色剤分散液7.2g、染料分散液3.6g、増感剤分散液7.2g、顔料分散液7.2g、滑剤分散液としてのステアリン酸亜鉛30%エマルション(中京油脂社製、商品名:ハイドリンZ−7)1.8g、及び更にポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA−117、5%水溶液)21.6gを混合して感熱記録層用塗布液を得た。
【0119】
<感熱記録体の作製>
64g/m2の上質の中性紙の片面に、下塗り層用塗布液及び感熱記録層用塗布液を、乾燥後の塗布量がそれぞれ10g/m2 、3g/m2となるように、順次塗布・乾燥して感熱記録体を得た。なお、下塗り層及び感熱記録層を形成した後、スーパーカレンダー掛けして平滑化処理した。
【0120】
〔実施例12〜15〕
実施例11において、増感剤を表2に示したものに変更したほかは、実施例11と同様の操作を行い、感熱記録体を作製した。
【0121】
〔比較例7〜9〕
実施例11において、増感剤を表2に示したものに変更したほかは、実施例11と同様の操作を行い、感熱記録体を作製した。
【0122】
【表2】
【0123】
<性能比較試験>
実施例11〜15,比較例7〜9で得られた感熱記録紙を感熱紙発色試験装置(大倉電気社製、TH−PMD)により、感熱ヘッド(KYOCERA社製、TYPE KJT−256−8MGFI−ASH)1653Ωを用い、印字電圧24V、印字周期(加熱時間)0.7msec、1.4msecで印字テストを行い、以下の項目につき、性能試験を行った。結果を表3に示す。
【0124】
(1)地肌及び印字濃度
マクベス濃度計(マクベス社製、RD−948型)を用いて測定した。
【0125】
(2)耐湿性試験
印字した後の当該感熱記録紙を、温度45℃、湿度85%の雰囲気下に24時間放置した後の地肌のかぶり及び印字濃度をマクベス濃度計で測定した。なお、「地肌」とは、記録紙の印字してない部分の白さを云う。
【0126】
(3)耐熱性試験
温度60℃で24時間放置した後の地肌のかぶり及び印字濃度を上記と同様にマクベス濃度計で測定した。
【0127】
【表3】
【0128】
表3より、本発明の感熱記録体は、その初期値より、地肌のかぶりが少なく、かつ、発色性に優れ、また、耐湿性及び耐熱性より、地肌及び記録像(印字)の保存性に優れた、バランスのよいものであることがわかる。
【0129】
具体的には、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタンをほとんど含有しない場合(比較例7)は、地肌かぶりは、本発明の実施例と同程度であるが、印字発色濃度において劣り、これら含有量が、本発明で規定する範囲を超えて大きくはずれるもの(比較例8、比較例6)の場合は、地肌かぶりや印字発色濃度の耐湿性、耐熱性が悪化することがわかる。
【0130】
【発明の効果】
上記したように、本発明に従えば、従来の1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンの有する増感剤としての優れた特性をなんら損なうことなく、これを主体とする特定の組成物とすることにより、当該化合物の有する粉砕性を大幅に改善することが可能である。
【0131】
しかも、当該1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン組成物を増感剤とする感熱記録体は、その初期発色性や耐湿性や耐熱性の点で、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン化合物そのものを使用する場合と比較して何ら遜色ないどころか、むしろより優れた特性を示していることが特筆されるものである。
Claims (5)
- 1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−チルフエノキシ)エタンを50ppm〜5.0質量%含有させたことを特徴とする感熱記録体用組成物。
- 1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン中に、1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン及び/又は1,2−ビス(4−メチルフエノキシ)エタンを500ppm〜2.0質量%含有させたことを特徴とする請求項1に記載の感熱記録体用組成物。
- 支持基体上に、少なくとも塩基性染料前駆体及び顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録体において、増感剤として請求項1又は2に記載の組成物を当該記録層中に含有させたことを特徴とする感熱記録体。
- 前記塩基性染料前駆体として、3−N,N−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N,N−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N,N−ジエチル−6−クロロ−7−アニリノフルオラン及び3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリドからなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項3に記載の感熱記録体。
- 前記顕色剤として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5−メチルペンタン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルスルホン、2,2−ジメチル−1,3−ビス(4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、4,4’−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−ジフェニルメタン及び4,4’−〔オキシビス(エチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル)〕ジフェノールからなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項3又は4に記載の感熱記録体。
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