JP2002002120A - 感熱記録紙用顕色剤組成物及び感熱記録材料 - Google Patents

感熱記録紙用顕色剤組成物及び感熱記録材料

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JP2002002120A
JP2002002120A JP2000188988A JP2000188988A JP2002002120A JP 2002002120 A JP2002002120 A JP 2002002120A JP 2000188988 A JP2000188988 A JP 2000188988A JP 2000188988 A JP2000188988 A JP 2000188988A JP 2002002120 A JP2002002120 A JP 2002002120A
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acid
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aromatic carboxylic
carboxylic acid
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JP2000188988A
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Yoshiaki Ishibashi
良晃 石橋
Ryoichi Fujii
亮一 藤井
Toranosuke Saito
寅之助 斎藤
Takaaki Mori
高章 森
Shigeru Oda
茂 小田
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Harima Chemical Inc
Sanko Co Ltd
Original Assignee
Harima Chemical Inc
Sanko Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地肌の汚染が生じることがなく、且つ記録感
度と記録部の保存安定性に優れた感熱記録材料を得るた
めの、顕色剤組成物を提供する。 【解決手段】 電子供与性の無色染料と電子受容性の顕
色剤との発色反応を利用した感熱記録材料に使用する顕
色剤において、2,4-ビス(フェニルスルホニル)5-メチ
ルフェノール又は2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニ
ル)フェノールと、一般式化1で表される芳香族カルボ
ン酸及び/又は、当該芳香族カルボン酸の多価金属塩と
からなる。 【化1】 (式中Rは、炭素数1乃至4のアルキル基又はアリール
基を表す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子供与性の無色
染料と、電子受容性の顕色剤との発色反応を利用した感
熱記録材料における、前記顕色剤組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子供与性の無色染料と電子
受容性の顕色剤が溶融混合して発色する反応を利用した
感熱記録材料が知られており、例えば特公昭43−41
60号公報、特公昭45−14039号公報、特開平8
−269000号公報、特開平9−227502、特開
平10−44646、特公平2−26784などに記載
されている。
【0003】これらの感熱記録材料は、比較的に簡単な
装置によって鮮明な記録が得られるという優れた特徴を
有しており、計測用記録計、ファクシミリ、コンピュー
ター末端機、ラベル印字機、乗車券などの発券機などの
各種の機器における記録紙として、既に広く使用されて
いる。
【0004】そしてこの種の感熱記録材料においては、
記録像の保存安定性が求められる。すなわち長期間の保
存、高温雰囲気、高温高湿雰囲気、可塑剤を含有したプ
ラスチックとの接触、ハンドクリームやサラダ油との接
触、日光に対する暴露などにより、一旦発色した記録像
が退色しないことが求められるのである。
【0005】而してこの種の感熱記録材料は、一般に電
子供与性の無色染料、例えば3-ジブチルアミノ-6-メチ
ル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミル
アミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオランなどを、水性
媒質中で0.5乃至2ミクロンに粉砕分散させた染料分
散液と、電子受容性の顕色剤、例えばビスフェノール−
A、4-ヒドロキシ-4´-イソプロポキシジフェニルスル
ホンなどを、同様に水性媒質中で0.5乃至2ミクロン
に粉砕分散させた顕色剤分散液と、発色感度を向上させ
る目的の増感剤、例えば1,2-ジフェノキシエタン、2-ベ
ンジロキシナフタリンなどの水分散液及び、体質顔料と
して例えば無水珪酸、炭酸カルシウムなどの顔料水分散
液を混合し、これらにさらに水性の接着剤、消泡剤など
を配合して塗料を調製し、当該塗料を紙などの基質上に
塗布し乾燥して、顕色面が仕上げられる。
【0006】仕上がった感熱記録材料には、地肌の白
さ、低エネルギーの加熱での発色性、環境中での記録像
の保存安定性などの諸特性が要求される。特に記録像の
保存安定性については、さらなる改善が求められている
ものの、解決すべき決定的な手段に乏しく、なお不満の
多いのが現状である。
【0007】特公平2−26874には、塩基性無色染
料と顕色剤としてモノフェノール性4-ヒドロオキシフェ
ニル化合物と、p-アルキル安息香酸金属塩又はo-ベンゾ
イル安息香酸金属塩を使用する感熱記録紙が開示されて
いる。
【0008】しかしながら、当該公報にモノフェノール
性4-ヒドロオキシフェニル化合物として具体的に記載さ
れている化合物すなわち、4-ヒドロオキシ安息香酸エチ
ル、4-ヒドロオキシ安息香酸プロピル、4-ヒドロオキシ
安息香酸イソプロピル、4-ヒドロオキシ安息香酸ブチ
ル、4-ヒドロオキシ安息香酸イソブチル、4-ヒドロオキ
シ安息香酸ベンジル、4-ヒドロオキシ安息香酸メチルベ
ンジルなどの4-ヒドロオキシ安息香酸エステル、4-ヒド
ロオキシフタル酸ジメチル、4-ヒドロオキシフタル酸ジ
イソプロピル、4-ヒドロオキシフタル酸ジベンジル、4-
ヒドロオキシフタル酸ジヘキシルなどの4-ヒドロオキシ
フタル酸ジエステル、4-ヒドロオキシアセトフェノン、
p-フェニルフェノール、ベンジル-4-ヒドロオキシフェ
ニルアセテート、p-ベンジルフェノール等の化合物で
は、印字の保存安定性、特に耐可塑剤性が十分でない。
【0009】また特開平8−269000号公報には、
記録像の保存安定性の改良を目的として、下記化2で示
される、ジアリールスルホニルフェノール化合物又はそ
の塩を、感熱記録材料の顕色剤に使用することが開示さ
れている。
【0010】
【化2】 (一般式化2において、Xは水素原子又は炭素数1〜4
のアルキル基を表し、R 6,R7及びR8はそれぞれ水素
原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基又は炭素数1〜4
のアルキル基若しくはシクロアルキル基を表し、これら
は同一でも異っていてもよく、R9,R10及びR11はそ
れぞれ水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアル
キル基若しくはシクロアルキル基を表し、これらは同一
でも異っていてもよく、R12は水素原子又は一般式化3
【0011】
【化3】 (一般式化3において、R9,R10及びR11は、一般式
化2において定義したのと同一である。)で表される基
である。)
【0012】これら特開平8−269000号公報にお
いて開示されたジアリールスルホニルフェノール化合物
を、前記特公平2−26874に示された芳香族カルボ
ン酸と共に使用することにより、保存安定性は向上する
ものの、地肌の著しい汚染性が見られることがある。
【0013】しかしながら、特開平8−269000号
公報で開示されている個々の化合物について検討したと
ころ、特定の化合物として、前記地肌の汚染が生じにく
い物質が含まれていることを見いだした。
【0014】すなわち当該特定の化合物とは、2,4-ビス
(フェニルスルホニル)5-メチルフェノール(下記化
4)及び、2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)フ
ェノール(下記化5)である。
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みなされたものであって、地肌の汚染が生じることが
なく、且つ記録感度と記録部の保存安定性に優れた感熱
記録材料を得るための、顕色剤組成物を提供することを
目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】而して本発明の感熱記録
紙用顕色剤組成物は、電子供与性の無色染料と電子受容
性の顕色剤との発色反応を利用した感熱記録材料に使用
する顕色剤において、2,4-ビス(フェニルスルホニル)
5-メチルフェノール又は2,4-ビス(4-メチルフェニルス
ルホニル)フェノールと、一般式化6で表される芳香族
カルボン酸及び/又は、当該芳香族カルボン酸の多価金
属塩とからなることを特徴とするものである。
【0019】
【化6】 (式中Rは、炭素数1乃至4のアルキル基又はアリール
基を表す)
【0020】本発明において、前記芳香族カルボン酸化
合物としては、p-t-ブチル安息香酸であることが好まし
い。またこの芳香族カルボン酸化合物に代えて、o-ベン
ゾイル安息香酸を使用することもできる。また前記芳香
族カルボン酸の多価金属塩を使用する場合には、亜鉛塩
であることが好ましい。また芳香族カルボン酸を使用す
る場合には、無機亜鉛化合物を含有せしめることが好ま
しい。
【0021】また本発明の感熱記録材料は、電子供与性
の無色染料と、請求項1、2、3又は4に記載の感熱記
録用顕色剤組成物とを含有する感熱記録材料において、
増感剤として、β−ナフチルベンジルエーテル、ステア
リン酸アミド、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸−ジ−
(p-メチルベンジル)、シュウ酸−ジ−(p-クロロベン
ジル)、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-
ビス(4-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ビス(フェノ
キシ)エタン及びジフェニルスルフォンからなる群より
選ばれる少なくとも一種を含有せしめたものである。
【0022】すなわち本発明の顕色剤組成物は、前記2,
4-ビス(フェニルスルホニル)5-メチルフェノール又は
2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)フェノール
(以下この明細書において、上記二つの化合物を総称し
て「特定フェノール化合物」と言う)と、前記一般式化
6で表される芳香族カルボン酸若しくはo-ベンゾイル安
息香酸(以下この明細書において、これらを総称して
「安息香酸誘導体」と言う)又はその多価金属塩とより
なるものである。
【0023】前記特定フェノール化合物と安息香酸誘導
体又はその多価金属塩との混合比は、重量比で99/1
〜20/80とするのが適当であり、好ましくは90/
10〜65/35とするのがよい。
【0024】安息香酸誘導体又はその多価金属塩の配合
比率が1重量%以下の含有量では、感熱記録材料の記録
像の保存安定性向上の効果が充分ではない。また80重
量%以上含有させると、発色が劣る傾向がみられ、保存
安定性及び地肌の汚染防止効果も向上が望めないのみな
らず、逆に地肌の汚染が増大する傾向が見られるので好
ましくない。
【0025】本発明において使用する芳香族カルボン酸
の具体例としては、p-メチル安息香酸、p-エチル安息香
酸、p-プロピル安息香酸、p-イソプロピル安息香酸、p-
t-ブチル安息香酸、p-フェニル安息香酸、m-トルイル
酸、o-トルイル酸などが挙げられる。特にp-t-ブチル安
息香酸が好ましい。またo-ベンゾイル安息香酸は、上記
芳香族カルボン酸と同等の効果が得られている。
【0026】またこれら安息香酸誘導体の多価金属塩に
おける多価金属としては、亜鉛、マグネシウム、ストロ
ンチウム、アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄が挙
げられ、その中でも亜鉛が一番好ましい。
【0027】安息香酸誘導体を遊離の酸として使用する
ときは、同時に無機亜鉛化合物を添加することが好まし
い。無機亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、水
酸化亜鉛、硫化亜鉛、リン酸亜鉛、ケイ酸亜鉛などを挙
げることができるが、その中でも酸化亜鉛が最も好まし
い。
【0028】顕色剤組成物は、各材料の結晶を混合し、
これを粒径100メッシュ程度に乾式粉砕した後、水を
媒質としてアトライターやサンドグラインダーなどの微
粉砕メディアにより、0.5乃至2ミクロン程度に微粉
砕して、顕色剤組成物の水分散液を得る。
【0029】この時、湿潤剤や増粘剤として、アニオン
性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面
活性剤、ポリビニルアルコール、セルローズエーテル
類、カルボキシメチルセルローズ、カチオン変性セルロ
ーズ又は水溶性合成高分子化合物などを添加することも
できる。
【0030】また、本発明の目的を損なわない範囲内
で、従来顕色剤として使用されている有機化合物の水分
散液を添加することもできる。以下に例を挙げるがこれ
らに限定されるものではない。これらの有機化合物とし
ては、例えば2,2-ビス(4-ヒドロキシ−フェニル)プロ
パン、4-ヒドロキシ-4´-イソプロポキシ−ジフェニル
スルホン、4,4´-ジヒドロキシ−ジフェニルスルホン、
ビス(3-アリル-4-ヒドロキシ−フェニル)スルホン、N
-(p-トルエンスルホニル)カルバモイル酸-p-クミ ル
フェニルエステル、4-ヒドロキシ-2´,5´-ジメチル−
ジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルス
ルフィド、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)ス
ルホン、2-メチル-4-ヒドロキシ−ジフェニルスルホ
ン、4,4'-イソプロピリデンジフェノール、2,4'-ジヒド
ロキシジフェニルスルホン、または4,4'-ビス(p-トル
エンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメ
タンなどを使用することができる。
【0031】本発明に使用される電子供与性の無色染料
としては、トリアリールメタン系化合物、ジアリールメ
タン系化合物、ピリジン系化合物、スピロ系化合物、ロ
ーダミン・ラクタム系化合物、フルオラン系化合物、イ
ンドリルフタリド系化合物、フルオレン系化合物などが
挙げられる。これらのうちでも特に、3-N,N-ジブチルア
ミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-N,N-ジエチル
アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-イソペ
ンチル-N-エチル)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3
-(N-シクロヘキシル-N-メチル)-6-メチル-7-アニリノ
フルオラン、3-N,N-ジエチル-6-クロロ-7-アニリノフル
オランなど、黒色に発色する無色染料として当業界で多
用されているものを使用することができる。また、これ
らの電子供与性の無色染料は、発色像の色調の調節又は
多色性感熱記録材料を得るなどの目的で、二種以上使用
されても良い。
【0032】本発明の顕色剤組成物を使用した感熱記録
材料においては、発色の感度を向上させる目的で、増感
剤として、含窒素化合物、エステル化合物、炭化水素化
合物、エーテル化合物又は、スルホン化合物などの熱可
融性物質を含有させることができる。
【0033】具体的には、β−ナフチルベンジルエーテ
ル、ステアリン酸アミド、4-ベンジルオキシ安息香酸ベ
ンジルエステル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸−ジ−
(P-メチルベンジル)、シュウ酸−ジ−(P-クロロベン
ジル)、ビス(4-メチルフェニル)カーボネート、4-ベ
ンジルビフェニル、m-ターフェニル、1,2-ビス(3-メチ
ルフェノキシ)エタン、1,2-ビス(フェノキシ)エタ
ン、1,2-ビス(4-メチルフェノキシ)エタン、ジフェニ
ルスルホン、3,3´,4,4´-テトラメチル−ジフェニルエ
タン、p-トリルビフェニルエーテル、ビス(p-メトキシ
フェノキシエチル)エーテル、1-(2-ナフチルオキシ)
-2-フェノキシエタン、ステアリン酸エチレ ンビスアミ
ド、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジブチル及び
テレフタル酸ジベンジル等が代表的なものとして例示さ
れる。
【0034】これらのうち好ましいものは、β−ナフチ
ルベンジルエーテル、ステアリン酸アミド、シュウ酸ジ
ベンジル、シュウ酸−ジ−(P-メチルベンジル)、シュ
ウ酸−ジ−(P-クロロベンジル)、1,2-ビス(3-メチル
フェノキシ)エタン、1,2-ビス(フェノキシ)エタン、
1,2-ビス(4-メチルフェノキシ)エタン、及びジフェニ
ルスルホンである。
【0035】さらに、β−ナフチルベンジルエーテル、
ステアリン酸アミド、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)
エタン、1,2-ビス(フェノキシ)エタン、及び1,2-ビス
(4-メチルフェノキシ)エタンが、特に好ましい。
【0036】これらの増感剤は、単独で用いても、ある
いは二種以上混合してもよい。これらの増感剤の使用量
は、無色染料100重量部に対し、20〜800重量部
が好ましく、より好ましくは、50〜400重量部であ
る。
【0037】また必要に応じ、耐水性改良剤として、1,
1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシル
フェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロ
キシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン及び4-ベンジルオ
キシ-4´-2,3-プロポキシ−ジフェニルスルホン等を用
いても良い。
【0038】またさらに、耐光性改良剤として、ベンゾ
トリアゾール系の紫外線吸収剤、例えば、2-(2-ヒドロ
キシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-
ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロ
ロベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス[4-(1,1,3,
3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2
-イル)フェノール]などを使用することができる。ま
たマイクロカプセル化された2-(2-ヒドロキシ-3-ドデ
シル-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどを用
いても良い。
【0039】通常、感熱記録材料の感熱層には、記録材
料表面への筆記性や表面の平滑性を向上させ、熱ヘッド
へのかすの付着を防止し、感熱層の支持体に対する接着
性を維持し、又は感熱層を形成させるに適した塗料を調
製するために、体質顔料、金属せっけん、ワックス類、
界面活性剤、接着剤、消泡剤などを含有させることが行
われており、本発明においてもこれを適用することがで
きる。
【0040】体質顔料としては、炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸
バリウム、無水ケイ酸、酸化亜鉛、クレー又はタルクな
どを使用することができる。
【0041】また金属せっけんとしては、ステアリン酸
亜鉛、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸アルミ
ニウムなどが挙げられる。さらにワックス類としては、
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、
カルナウバワックス、モンタンワックスまたはポリエチ
レンワックスなどが挙げられる。
【0042】界面活性剤は、通常アニオン性界面活性剤
が使用されており、スルホコハク酸エステルのアルカリ
金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩
又はラウリル硫酸エステルのアルカリ金属塩などが適当
であるが、カチオン性界面活性剤や非イオン性界面活性
剤を使用することもできる。
【0043】接着剤としては、ポリアクリルアミド、ア
クリルアミド・アクリル酸エステル共重合体、ポリアク
リル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、スチレン・
無水マレイン酸の共重合体のアルカリ金属塩、ポリビニ
ルアルコール、メチルセルローズ、ヒドロキシエチルセ
ルローズ、カルボキシメチルセルローズ、可溶性澱粉、
アルギン酸ナトリウム、ゼラチン又はカゼインなどの水
溶性高分子化合物及びポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポ
リブタジエンラテックス、スチレン・ブタジエン共重合
ラテックス又はスチレン・ブタジエン・イタコン酸三元
共重合ラテックスなどの水性高分子化合物が挙げられ
る。
【0044】顕色剤組成物、無色染料及び増感剤は、分
散剤としての界面活性剤又は水溶性接着剤などを含有し
た水中で、ボールミル、アトライター又はサンドグライ
ンダーのような粉砕メディアを用いて、おのおの、平均
粒子径が3μ以下、好ましくは1.5μ以下になるよう
に粉砕分散される。これらのうち顕色剤と無色染料は、
混合することなく別個に粉砕される。
【0045】感熱層を形成させるための塗料中には、顕
色剤100重量部に対して、無色染料が20〜200重
量部、好ましくは30〜100重量部及び、増感剤が5
0〜400重量部、好ましくは100〜200重量部含
有される。体質顔料及び接着剤の含有量は、顕色剤10
0重量部に対して、それぞれ200重量部以下及び10
0重量部以下であることが好ましいが、感熱記録材料の
使用目的によりその量は適宜決定される。
【0046】感熱記録材料は、シート状支持体の少なく
とも片面に、前記必要成分を含有せしめた塗料を塗布
し、乾燥して感熱層を形成する。シート状支持体として
は、紙、コーテッド紙、ラミネート紙、合成紙又はプラ
スッチックフィルムなどが適当である。また感熱層は、
乾燥重量が1〜15g/m2であることが好ましく、2〜1
0g/m2であることがさらに好ましい。
【0047】更に、発色感度を高めるために、主として
顔料又は有機中空粒子と接着剤とからなる下塗り層を設
けてもよい。顔料としては、焼成カオリン、炭酸マグネ
シウム、無定型シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マ
グネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、尿素
−ホルマリン樹脂フィラー等が挙げられる。また、有機
中空粒子としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸
ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタク
リル酸メチル、アクリルニトリル及びスチレン等の単量
体もしくは共重合体の樹脂が挙げられる。
【0048】更に接着剤としては、ゼラチン、ガゼイ
ン、デンプン及びその誘導体、メチルセルローズ、エチ
ルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、カルボキ
シメチルセルローズ、メトキシセルローズ、完全又は部
分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビ
ニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコ
ール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、アルリルアミ
ド−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイ
ン酸共重合体などの水溶性高分子、スチレン−ブタジエ
ン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、酢酸ビニル樹
脂、アクリル酸系樹脂などの疎水性高分子などを使用す
ることができる。さらに、下塗り層の形成は、特に制限
されるものではなく、例えば、先に述べた感熱記録層と
同様にして形成することが出来る。
【0049】また、更に保存性を高める目的で、感熱記
録層の上に保護層を設けてもよい。かかる保護層は、成
膜性を有する接着剤及び顔料等を主成分とし、必要に応
じ紫外線吸収剤などを添加することも好ましい。
【0050】成膜性を有する接着剤としては、カルボキ
シ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリ
ビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール及
びジアセトン変性ポリビニルアルコール等が挙げられ
る。保護層の形成も特に制限されるものではなく、例え
ば、先に述べた感熱記録層と同様にして成形することが
できる。
【0051】なお、感熱記録体において、必要に応じ
て、印刷層を設けたり、支持体の裏面側にも保護層を設
けたり、天然ゴム、アクリル樹脂系の粘着剤、スチレン
イソプレンブロックポリマー及び二液架橋形アクリル樹
脂系の粘着剤を主成分とする粘着層を設けたり、あるい
は各層の塗布後にスーパーカレンダー掛け等の平滑化処
理を施すこともできる。
【0052】
【実施例】本発明をさらに明確にするために、本発明の
実施例及び比較例に基づいて、さらに具体的に説明す
る。
【0053】(実施例1) [塩基性染料分散液の調製]3-N,N-ジブチルアミノ-6-
メチル-7-アニリノフルオラン20gを、濃度5%ポリ
ビニルアルコール(クラレ社製;商品名PVA−11
7)の水溶液80g中で、ボールミルを用いて20時間
微粉砕して、平均粒径0.6μmの塩基性染料分散液を
調製した。
【0054】[顕色剤分散液の調製]本発明における特
定フェノール化合物である2,4-ビス(フェニルスルホニ
ル)5-メチルフェノール80gを、メチルセルローズ6
g及びジオクチルスルホこはく酸ナトリウム0.1gを
含有した水溶液120gに湿潤させ、ボールミルで10
時間微粉砕して、平均粒子径が0.6μmの顕色剤の水
分散液を得た。
【0055】[増感剤の調製]1,2-ビス(3-メチルフェ
ノキシ)エタン60gを、濃度5%ポリビニルアルコー
ル(PVA−117)の水溶液140g中で、ボールミ
ルを用いて20時間微粉砕して、平均粒径が0.6μm
の増感剤分散液を調製した。
【0056】[安定剤分散液の調製]本発明における芳
香族カルボン酸塩であるp-t-ブチル安息香酸亜鉛80g
を、メチルセルローズ6g及びジオクチルスルホこはく
酸ナトリウム0.1gを含有した水溶液120gに湿潤
させ、ボールミルを用いて10時間微粉砕して、平均粒
子径が0.6μmの安定剤の水分散液を得た。
【0057】[滑剤分散液の調製]滑剤としてのステア
リン酸亜鉛80gを、メチルセルローズ6g及びジオク
チルスルホこはく酸ナトリウム0.1gを含有した水溶
液320gに湿潤させ、回転数3,000rpmのホモジ
ナイザーで2時間撹拌して、平均粒子径5.5μmのス
テアリン酸亜鉛分散液を調製した。
【0058】[感熱層塗布液の調製]上記の塩基性染料
分散液3g、顕色剤分散液3g、増感剤分散液4g、安
定剤分散液0.75g、濃度60%のTP−123CS
(奥多摩工業社製の商品名)分散液3.5g、ステアリ
ン酸亜鉛1.5g、及び水7.4gを混合して感熱層塗
布液を得た。
【0059】[感熱記録紙の作製]紙支持体上に、乾燥
後の感熱層重量が6g/m2となるように、ワイヤーバーを
用いて感熱層塗布液を塗布し、60℃のオーブン中で乾
燥後、平滑度200秒(ベック法)となるようにカレン
ダー処理した。
【0060】(実施例2)滑剤として、実施例1で用い
たステアリン酸亜鉛に代えて、ステアリン酸アミドを用
いた以外は実施例1と同様に操作して、感熱記録紙を作
成した。
【0061】(実施例3)芳香族カルボン酸塩として、
実施例1で用いたp-t-ブチル安息香酸亜鉛80gに代え
て、p-フェニル安息香酸亜鉛80gを用いた以外は実施
例1と同様に操作して、感熱記録紙を作成した。
【0062】(実施例4)実施例1で用いた芳香族カル
ボン酸塩としてのp-t-ブチル安息香酸亜鉛80gに代え
て、o-ベンゾイル安息香酸亜鉛80gを用いた以外は実
施例1と同様に操作して、感熱記録紙を作成した。
【0063】(実施例5)芳香族カルボン酸塩として、
実施例1で用いたp-t-ブチル安息香酸亜鉛80gに代え
て、o-トルイル酸亜鉛80gを用いた以外は実施例1と
同様に操作して、感熱記録紙を作成した。
【0064】(実施例6)芳香族カルボン酸塩として、
実施例1で用いたp-t-ブチル安息香酸亜鉛80gに代え
て、m-トルイル酸亜鉛80gを用いた以外は実施例1と
同様に操作して、感熱記録紙を作成した。
【0065】(実施例7)実施例1で用いた芳香族カル
ボン酸又はその塩としてのp-t-ブチル安息香酸亜鉛80
gに代えて、p-t-ブチル安息香酸64gと、酸化亜鉛1
6gとを使用して安定剤分散液を調製した以外は、実施
例1と同様に操作して感熱記録紙を作成した。
【0066】(実施例8)実施例1で用いた芳香族カル
ボン酸又はその塩としてのp-t-ブチル安息香酸亜鉛80
gに代えて、p-t-ブチル安息香酸32gと、酸化亜鉛8
gと、p-t-ブチル安息香酸亜鉛40gとを同時に使用し
て安定剤分散液を調製した以外は、実施例1と同様に操
作して感熱記録紙を作成した。
【0067】(実施例9)実施例1で用いた芳香族カル
ボン酸又はその塩としてのp-t-ブチル安息香酸亜鉛80
gに代えて、p-t-ブチル安息香酸80gを用いた以外
は、実施例1と同様に操作して感熱記録紙を作成した。
【0068】(実施例10)特定フェノール化合物とし
て、実施例1で用いた2,4-ビス(フェニルスルホニル)
5-メチルフェノール80gに代えて、2,4-ビス(4-メチ
ルフェニルスルホニル)フェノール80gを用いた以外
は実施例1と同様に操作して、感熱記録紙を作成した。
【0069】(実施例11)増感剤として、実施例1で
用いた1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン60gに
代えて、β―ナフチルベンジルエ−テル60gを用いた
以外は実施例1と同様に操作して、感熱記録紙を作成し
た。
【0070】(実施例12)増感剤として、実施例1で
用いた1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン60gに
代えて、シュウ酸−ジ−(p-メチルベンジル)60gを
用いた以外は実施例1と同様に操作して、感熱記録紙を
作成した。
【0071】(比較例1)実施例1において、感熱層塗
布液に安定剤分散液を混合しないこと以外は、実施例1
と同様に操作して、感熱記録紙を作成した。
【0072】(比較例2)実施例1において特定フェノ
ール化合物として使用した2,4-ビス(フェニルスルホニ
ル)5-メチルフェノール80gに代えて、4-ヒドロキシ
-4´-イソプロポキシジフェニルスルホン80gを用い
た以外は実施例1と同様に操作して、感熱記録紙を作成
した。
【0073】(比較例3)実施例1において特定フェノ
ール化合物として使用した2,4-ビス(フェニルスルホニ
ル)5-メチルフェノール80gに代えて、類似のフェノ
ール化合物である2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェ
ノール80gを用いた以外は実施例1と同様に操作し
て、感熱記録紙を作成した。
【0074】(比較例4)実施例1において増感剤とし
て使用した1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン60
gに代えて、m-ターヘニル60gを用いた以外は実施例
1と同様に操作して、感熱記録紙を作成した。
【0075】(比較例5)実施例1において増感剤とし
て使用した1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン60
gに代えて、テレフタル酸ジブチル60gを用いた以外
は実施例1と同様に操作して、感熱記録紙を作成した。
【0076】(比較例6)実施例1において特定フェノ
ール化合物として使用した2,4-(フェエニルスルホニ
ル)-5-メチルフエノール60gに代えて、p-ヒドロオ
キシ安息香酸ベンジル60gを用いた以外は実施例1と
同様に操作して、感熱記録紙を作成した。
【0077】[性能試験]実施例1〜12及び比較例1
〜6で得られた感熱記録紙を熱傾斜試験機(東洋精機
製)にかけ、熱プレートの温度を140℃、印字時間1
秒で発色を行い、また次の性能比較試験を行った。その
結果を表1に示す。印字濃度:マクベス濃度計を用いて
測定した。
【0078】耐熱性試験地肌:60℃で24時間放置し
た後の地肌のよごれを下記の基準で肉眼で観察した。 ◎:全く変化なし ○:わづか着色 ×:著しく着色
【0079】耐可塑剤試験:ガラスビンの外周に印字紙
を巻きつけ、その上に軟質塩化ビニル樹脂フィルム(三
井東圧化学社製、商品名ハイラップV−450)を3重
に巻きつけ、40℃で24時間放置した後、下記の基準
で印字濃度残存率(%)を測定した。 印字濃度残存率(%)=(保存後の印字濃度/保存前の
印字濃度)×100
【0080】
【表1】
【0081】表1のデータから明らかなように、本発明
の感熱記録材料は発色性に優れ、且つ経時の地肌かぶり
が少なく、記録像の保存安定性とりわけ耐可塑剤性に優
れており、感熱記録材料としてバランスのとれたの優れ
た性能を有するものであることがわかる。
【0082】
【発明の効果】本発明により、高感度で、且つ経時の地
肌かぶりが少なく、記録像の保存安定性とりわけ耐可塑
剤に優れた感熱記録材料が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 亮一 兵庫県加古川市野口町水足671番地の4 ハリマ化成株式会社中央研究所内 (72)発明者 斎藤 寅之助 兵庫県加古川市野口町水足671番地の4 ハリマ化成株式会社中央研究所内 (72)発明者 森 高章 大阪府茨木市五日市1丁目10番24号 株式 会社三光開発科学研究所内 (72)発明者 小田 茂 大阪府茨木市五日市1丁目10番24号 株式 会社三光開発科学研究所内 Fターム(参考) 2H026 AA07 BB25 BB37 BB39 BB46 DD02 DD34 DD43 DD45

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子供与性の無色染料と電子受容性の顕
    色剤との発色反応を利用した感熱記録材料に使用する顕
    色剤において、2,4-ビス(フェニルスルホニル)5-メチ
    ルフェノール又は2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニ
    ル)フェノールと、一般式化1で表される芳香族カルボ
    ン酸及び/又は、当該芳香族カルボン酸の多価金属塩と
    からなることを特徴とする、感熱記録紙用顕色剤組成物 【化1】 (式中Rは、炭素数1乃至4のアルキル基又はアリール
    基を表す)
  2. 【請求項2】 前記芳香族カルボン酸化合物が、p-t-ブ
    チル安息香酸であることを特徴とする、請求項1記載の
    感熱記録用顕色剤組成物
  3. 【請求項3】 請求項1において、芳香族カルボン酸化
    合物又はその多価金属塩に代えて、o-ベンゾイル安息香
    酸又はその多価金属塩を使用したことを特徴とする、感
    熱記録用顕色剤組成物
  4. 【請求項4】 前記芳香族カルボン酸又はo-ベンゾイル
    安息香酸の多価金属塩が、それらの亜鉛塩であることを
    特徴とする、請求項1、2又は3に記載の感熱記録用顕
    色剤組成物
  5. 【請求項5】 前記芳香族カルボン酸又はo-ベンゾイル
    安息香酸と共に無機亜鉛化合物を含有することを特徴と
    する、請求項1、2又は3に記載の感熱記録用顕色剤組
    成物
  6. 【請求項6】 電子供与性の無色染料と、請求項1、
    2、3、4又は5に記載の感熱記録用顕色剤組成物とを
    含有する感熱記録材料において、増感剤として、β−ナ
    フチルベンジルエーテル、ステアリン酸アミド、シュウ
    酸ジベンジル、シュウ酸−ジ−(p-メチルベンジル)、
    シュウ酸−ジ−(p-クロロベンジル)、1,2-ビス(3-メ
    チルフェノキシ)エタン、1,2-ビス(4-メチルフェノキ
    シ)エタン、1,2-ビス(フェノキシ)エタン及びジフェ
    ニルスルフォンからなる群より選ばれる少なくとも一種
    を含有することを特徴とする、感熱記録材料
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