JP3760074B2 - 放電灯点灯回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電灯点灯回路において、放電灯への起動用高圧信号を生成する起動回路への電圧供給のための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
放電灯(メタルハライドランプ等)の点灯回路については、直流電源回路、直流−交流変換回路、起動回路(所謂スタータ回路)を備えた構成が知られている。例えば、直流電源回路にDC−DCコンバータの構成を用い、直流−交流変換回路にはフルブリッジ型回路(4つの半導体スイッチ素子(あるいはスイッチング素子)をそれぞれ2組にしてスイッチング制御を行うように構成された回路)及びそのドライバ回路を使用した構成では、DC−DCコンバータの出力する正極性又は負極性の電圧がフルブリッジ型回路を経て矩形波状電圧に変換されて放電灯に供給される。
【0003】
尚、起動回路については、例えば、トランスとその1次巻線側に設けられるコンデンサ及び自己降伏型スイッチ素子を備えた構成が挙げられ、コンデンサの両端電圧が所定の閾値を越えたときに自己降伏型スイッチ素子が降伏して1次電流が流れ、これが昇圧されてトランスの2次巻線から放電灯に印加される。
【0004】
ところで、放電灯が点灯する前の無負荷時において直流電源回路(DC−DCコンバータ)が一時的に出力する高電圧(所謂オープンサーキット電圧あるいは開放電圧)が高いほど放電灯が点灯し易いことが知られている。
【0005】
しかし、上記オープンサーキット電圧を高くしすぎると直流電源回路や直流−交流変換回路の耐圧を大きくする必要があり、コスト上昇の原因となるため、上限についての制約がある。
【0006】
放電灯への起動電圧を発生させるにあたって、直流電源回路又は直流−交流変換回路から得たオープンサーキット電圧を起動回路の1次側回路に供給して起動パルス(あるいはスタータパルス)を生成させることができれば回路的に最も部品点数が少ない構成となるが、放電灯の起動に充分な波高値のパルスを得るために起動回路のトランスの昇圧比を高くする必要があり、そのために当該トランスの2次巻線のインダクタンスを大きくしなければならず、結果としてトランスの大型化及びコスト上昇を招くことになる。
【0007】
そこで、直流電源回路や直流−交流変換回路の出力電圧に対して、コンデンサやダイオードを含む倍電圧回路を付設して昇圧した後、これを起動回路に供給する構成や、直流電源回路を構成するコンバータトランスの2次側に新たな2次巻線を付設して当該巻線からの高圧出力を起動回路に供給する構成が挙げられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の回路構成では、倍電圧回路や2次巻線からの出力電圧を起動回路に供給するラインの耐圧を大きくする必要が生じるため、耐圧設計が厳しくなるという問題がある。
【0009】
また、起動回路(の1次側回路)への供給電圧が高くなると、配線の安全性にも問題が生じてくる。即ち、起動回路を放電灯の近くに配置する場合(例えば、起動回路を灯具に付設した構成等。)に、点灯回路の出力端子からは、放電灯への給電ライン2本の他に、起動回路への電圧供給ライン1本の配線の引き廻しが必要となるが、電圧供給ラインの電圧は極力低いこと(グランド(GND)に対する電位差が低いこと)が、感電事故等の防止の観点から望ましい。
【0010】
そこで、本発明は、点灯回路の起動回路への電圧供給ラインについてグランドに対する電位差を極力小さくすることで耐圧を下げ、かつ安全性を高めること、そしてコストを削減することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した課題を解決するために、直流電圧を出力する直流電源回路と、該直流電源回路の出力電圧を交流電圧に変換した後にこれを放電灯に供給するための直流−交流変換回路と、放電灯への起動用高圧信号を発生させる起動回路とを備えた放電灯点灯回路において、下記の(イ)乃至(ニ)に示す構成を備えたものである。
【0012】
(イ)起動回路が、磁性体及び1次巻線、2次巻線を含むトランスと、該トランスの1次側に設けられる1次側回路とにより構成されていること。
【0013】
(ロ)(イ)の1次側回路が、上記トランスの1次巻線に対してコンデンサ及びスイッチ素子の直列回路を有し、当該直列回路が1次巻線に対して並列に接続されること。
【0014】
(ハ)(ロ)のコンデンサの電荷蓄積に伴い当該コンデンサの両端電圧が閾値を越えたとき又はその後にスイッチ素子が導通して1次巻線から2次巻線を介して起動用高圧信号が放電灯に印加されること。
【0015】
(ニ)直流電源回路の出力電圧がグランド電位に対して正電圧とされる場合には、該直流電源回路又は直流−交流変換回路からの出力に基づいて(イ)の1次側回路のコンデンサを充電するために、直流−交流変換回路の正極性の出力電圧が該コンデンサの一端に供給されるとともに、該コンデンサの他端には直流電源回路又は直流−交流変換回路からの負極性の電圧されること。
又は、直流電源回路の出力電圧がグランド電位に対して負電圧とされる場合には、該直流電源回路又は直流−交流変換回路からの出力に基づいて(イ)の1次側回路のコンデンサを充電するために、直流−交流変換回路の負極性の出力電圧が該コンデンサの一端に供給されるとともに、該コンデンサの他端には直流電源回路又は直流−交流変換回路からの正極性の電圧が供給されること。
【0016】
従って、本発明によれば、直流電源回路の出力電圧の極性とは逆極性の給電電圧を起動回路の1次側回路に供給することによって、当該回路への電圧供給ラインについて耐圧を下げることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る放電灯点灯回路の基本構成を示すものであり、1つの放電灯に関する回路構成を示している。
【0018】
放電灯点灯回路1は、電源2、直流電源回路3、直流−交流変換回路4、起動回路5を備えており、放電灯6(メタルハライドランプ等)の点灯制御を行う。
【0019】
直流電源回路3は、電源2からの直流入力電圧(これを「Vin」と記す。)を受けて所望の直流電圧を出力するものであり、制御回路7からの制御信号に応じてその出力電圧が可変制御される。この直流電源回路3には、スイッチングレギュレータの構成を有するDC−DCコンバータ(チョッパー式、フライバック式等。)が用いられるが、一般には下記に示す形態が挙げられる。
【0020】
i)正極性出力(グランド電位に対して正電位とされる出力電圧)の形態
ii)負極性出力(グランド電位に対して負電位とされる出力電圧)の形態
iii)両極性出力(グランド電位に対して正極性及び負極性の両出力)の形態。
【0021】
つまり、i)やii)の形態では、直流電源回路3の出力電圧が正電圧又は負電圧のいずれか一方の極性に固定されているのに対して、iii)の形態では正負の両極性電圧を出力する。
【0022】
図2は、iii)の形態について直流電源回路3の構成例を示したものである。
【0023】
トランスTの1次巻線Tpの一端が直流入力端子「ta」に接続されることで電圧Vinが入力されるようになっており、1次巻線Tpの他端は半導体スイッチ素子SW(図には単にスイッチの記号で示すが、電界効果トランジスタ等が用いられる。)及び電流検出用抵抗Rsを介して接地されている(この抵抗Rsについては任意であり、特に設けなくても良い)。尚、半導体スイッチ素子SWの制御端子(FETの場合にはゲート)には制御回路7からの制御信号「Sc」が供給されてそのスイッチング制御が行われる。
【0024】
トランスTの2次巻線Tsは、その一端がダイオードD1のアノードに接続され、該ダイオードD1のカソードがコンデンサC1を介して接地されている。そして、コンデンサC1の端子電圧が端子「to1」を介して正極性の出力電圧(これを「Vdcp」と記す。)となる。また、2次巻線Tsの他端は、ダイオードD2のカソードに接続されており、該ダイオードD2のアノードがコンデンサC2を介して接地されるとともに端子「to2」に接続されており、当該端子を介して負極性の出力電圧(これを「Vdcn」と記す。)が得られる。
【0025】
本回路では、正極性電圧Vdcp(>0)、負極性電圧Vdcn(<0)を2つの出力端子「to1」、「to2」から各別に出力する構成となっている。
【0026】
尚、トランスTの巻線に付した「・」印は巻き始めを示しており、例えば、2次巻線TsについてはダイオードD2との接続端及び接地された中間タップにおける巻き始端にそれぞれ「・」印が付されている。
【0027】
また、上記i)、ii)の形態については、以上の説明において正負いずれかの極性電圧を出力する2次側回路だけを有すると考えれば済むので、それ以上の説明は省略する。
【0028】
直流−交流変換回路4は直流電源回路3の後段に配置されており(図1参照。)、該直流電源回路3の出力電圧を交流電圧(矩形波状電圧等)に変換した後にこれを放電灯6に供給するために設けられている。本回路については、半導体スイッチ素子を用いたハーフブリッジ型やフルブリッジ型の回路構成が挙げられる。
【0029】
起動回路5は、放電灯6の点灯初期に起動用高圧信号(あるいは起動パルス)を発生させて放電灯6に起動をかけるために設けられており、当該信号は直流−交流変換回路4の出力する交流電圧「Vout」に重畳されて放電灯6に印加される。
【0030】
図3は直流−交流変換回路4の後段に配置される起動回路5について基本構成を示したものである。
【0031】
起動回路5は、磁性体(コア)及び1次巻線、2次巻線を含むトランス8と、該トランスの1次側に設けられる1次側回路9から構成されており、該1次側回路は、図示するように、トランス8の1次巻線8aと、コンデンサ10及びスイッチ素子11(例えば、自己降伏型スイッチ素子や、外部信号により制御されるサイリスタ等のスイッチ素子)の直列回路とを有する。つまり、この直列回路がトランス8の1次巻線8aに対して並列に接続されている。尚、トランス8の2次巻線8bについては、その一端が1次巻線8aとコンデンサ10との接続点に接続されるとともに直流−交流変換回路4の出力端子の一方に接続され、2次巻線8bの他端が放電灯6に接続されている。
【0032】
放電灯6の起動に際して、コンデンサ10の電荷蓄積に伴い当該コンデンサの両端電圧が閾値を越えたとき又はその後にトリガー信号を受けたときにスイッチ素子11が導通して1次巻線8aに電流が流れるとともに、2次巻線8bを介して起動用高圧信号が放電灯6に印加される。
【0033】
1次側回路9に対する給電電圧については直流電源回路3からの電圧(あるいは直流−交流変換回路4からの電圧)として供給することができる。
【0034】
図4はそのような回路構成の一例を示しており、直流電源回路(例えば、フライバック型DC−DCコンバータ等。)を構成するコンバータトランスの2次側以降の回路部分を示している。尚、直流電源回路の出力電圧についてはその極性が正極性であるとする。
【0035】
コンバータトランス12の2次巻線12bの一端には整流用ダイオード13のアノードが接続されており、該ダイオードのカソードには平滑用コンデンサ14が接続されて、当該コンデンサの他端が接地されている。つまり、コンバータトランス12の2次電圧が整流・平滑後に直流−交流変換回路4に送出される。
【0036】
起動回路5の1次側回路9への供給電圧に関与する回路部(電圧供給回路)15は、ダイオード13に対して並列に設けられたコンデンサ16と、該コンデンサ16に対して直列接続された抵抗17、そして、ダイオード18、19である。つまり、コンデンサ16は、その一端がダイオード13のアノードに接続されるとともに、その他端が抵抗17及びダイオード18のアノードに接続されており、該ダイオード18のカソードが接地されている。そして、抵抗17のうちコンデンサ16との接続点とは反対側の端子が電圧供給端子20に接続されており、該電圧供給端子がダイオード19を介して1次側回路9に接続されている(つまり、ダイオード19のカソードが電圧供給端子20に接続され、そのアノードが1次側回路9内のコンデンサ10とスイッチ素子11との接続点に接続されている。)。
【0037】
尚、本例では、直流−交流変換回路4が4つの半導体スイッチ素子sw1乃至sw4(図には単にスイッチの記号で示すが、FET等が用いられる。)からなるフルブリッジ型の構成となっており、図示しない駆動回路からの信号によって素子sw1とsw4を対とし、素子sw2とsw3とを対にして互いに相反的にスイッチング制御が行われるようになっている。また、素子sw1とsw2との接続点が起動回路5のトランス8の各巻線に接続されて、素子sw3とsw4との接続点が放電灯6の一端に接続されている。
【0038】
上記したようにコンバータトランス12の2次電圧の極性が正極性とされる場合に、放電灯の点灯前において直流電源回路3が出力するオープンサーキット電圧(以下、これを「OCV」と記す。)が、例えば、350V程度であったとすると、直流−交流変換回路4の出力が概ね0Vから350Vの間で交番する電圧となってトランスの2次巻線を介して放電灯に供給されることになる。
【0039】
そして、起動回路5の1次側回路9を構成するスイッチ素子11として自己降伏型素子を用いており(以降、スイッチ素子を自己降伏型スイッチ素子として説明する。)、かつ、その降伏電圧が仮に600Vであるとした場合には、OCV=350Vの電圧では足りないので、図3の回路において電圧供給端子20に、例えば、−350Vの電圧を供給すれば、最大で700Vの電圧をもって1次側回路9のコンデンサ10の充電を行うことができ、これによってスイッチ素子11の導通が可能になることが分かる。
【0040】
図4において、コンバータトランス12の2次巻線12b側に付設された整流用ダイオード13のアノードでは、半波整流作用によりコンバータのスイッチング周波数をもってOCV=350Vと0V以下の交番電圧が繰り返される。そして、この電圧が350Vとなった時に、コンデンサ16にはダイオード18を介して電流が流れて当該コンデンサの充電が行われる。また、当該電圧(アノード電圧)が0V以下になった時には、コンデンサ16とダイオード18との接続点の電位が、一旦低くなって(図にはコンデンサの極性を記号「+」で示す。)、このときに直流−交流変換回路4の出力端子→起動回路5のコンデンサ10→ダイオード19→抵抗17→コンデンサ16(さらには→トランス12の2次巻線12b→平滑コンデンサ14、直流−交流変換回路4の入力端子)へと至る電流経路が形成される。これによって1次側回路9のコンデンサ10の電荷がコンデンサ16へと移動する。従って、このようなサイクルが何回かに亘って繰り返されれば(充電時間は、各コンデンサの静電容量の比値や抵抗17の抵抗値に依存する。)、最終的には電圧供給端子20に−350Vの電圧が得られることになる。結果として、1次側回路9のコンデンサ10には、その一端側に最大で絶対値350Vの負電圧(−350V)が、他端側に350V(=OCV)が印加され、両端電圧として最大で700Vの電圧(スイッチ素子を非導通とした場合)が得られるので、スイッチ素子を充分に導通させるに足る電圧値を得ることができる。
【0041】
このように、直流電源回路の出力電圧の極性が正極性とされる場合には、直流−交流変換回路の出力電圧も当然に正極性となるので、これを起動回路の1次側回路においてコンデンサの一端に供給するとともに、該コンデンサの他端には電圧供給端子からの負極性の電圧を供給すれば、グランド電位(大地)に対して低い電圧を供給するだけで放電灯への起動用高圧信号を発生させるという所期の目的を達成できる。即ち、従来のように直流電源回路の出力電圧の極性と同極性の電圧を1次側回路に供給する場合において、例えば、降伏電圧600Vの自己降伏型スイッチ素子を導通させるには、それ以上の電圧(例えば、+700V)の電圧供給を行う必要があるため、耐圧設計が厳しくなり、また電磁干渉の防止対策として給電コードをシールドする際の電位(シールド電位)に対する耐圧設計にも配慮を要することになるが、本発明によれば、1次側回路についてグランド電位に対して低い電圧供給で済むため、耐圧設計が楽になり、安全性の向上やコスト削減を図ることができる。
【0042】
尚、図4に示した抵抗17は、ダイオード19に流れる電流に対する制限及び1次側回路9のコンデンサ10が満充電となるのに要する時間の調整を目的として付設されたものであり、同様の目的をもって、例えば、ダイオード18やコンデンサ16に対して直列に接続される抵抗を追加しても良いし、あるいは、これらの抵抗を全く設けなくても何等構わない。
【0043】
また、図にはトランス8の2次巻線8bと1次巻線8aとの接続端子が直流−交流変換回路の出力端子の一方に接続されているが、これに限らず、トランスの1次巻線、コンデンサ、スイッチ素子とで構成される、閉じた回路(1次側回路)内の何れかを直流−交流変換回路の出力端子に接続するとともに、コンデンサの両端電圧がスイッチ素子の導通に足る電圧レベルとなるように1次側回路への電圧供給(この場合には負極性電圧の供給)を行うようにした各種の回路構成が可能である。
【0044】
この他、図5に示すように、コンバータトランス12の2次側において2次巻線12bとは別の2次巻線21を付設するとともに、これにダイオード22及びコンデンサ23を付設した回路によって負電圧を生成して起動回路5の1次側回路9に供給する構成を用いても良い。
【0045】
即ち、この例では新たに付設した2次巻線21の一端を整流用ダイオード22のカソードに接続するとともに、該ダイオードのアノードを、抵抗17を介して電圧供給端子20に接続する。そして、平滑用コンデンサ23については、その一端をダイオード22と抵抗17との接続点に接続するとともに、他端を2次巻線21に接続して接地する。本回路において2次巻線21に発生した後、整流・平滑後に得られる負電圧が電圧供給端子20から上記ダイオード19を介して起動回路5の1次側回路9に供給される。尚、この2次電圧について、その絶対値を上記2次巻線での2次電圧と同じにするには、巻数比を両2次巻線について同じ比値にすれば良い(例えば、2次巻線12bの電圧=350Vに対して、2次巻線21の電圧=−350Vが得られる。)し、あるいは、より絶対値の大きな負電圧を得るには巻数比の設定を適宜に変えれば良い。
【0046】
以上の説明では、1次側回路への供給電圧を直流電源回路から取得するようにした構成例を示したが、これを直流−交流変換回路の出力から取得する構成も可能である。
【0047】
図6は直流−交流変換回路4の出力段に設けられた回路部を示しており、ダイオード24のカソードが直流−交流変換回路4の一方の出力端子「O1」に接続され、該ダイオード24のアノードがコンデンサ25を介して直流−交流変換回路4の他方の出力端子「O2」に接続されている。
【0048】
そして、ダイオード24とコンデンサ25との接続点に抵抗26の一端が接続され、該抵抗26の他端が電圧供給端子20に接続されている。よって、この電圧供給端子20が上記ダイオード19を介して1次側回路9のコンデンサ10に接続される。
【0049】
本回路おいて、OCV=350Vを想定した場合に、直流−交流変換回路4の出力端子「O2」から得られる出力電圧が+350Vである時にダイオード24の導通によりコンデンサ25の充電が行われる。また、出力端子「O2」の出力電圧が0V以下になった時には、1次側回路9のコンデンサ10からダイオード19、抵抗26を介してコンデンサ25へと電流が流れて電荷移動が行われる。コンデンサ25とコンデンサ10との静電容量の比値や抵抗26の抵抗値によって時間に差はあるものの、このようなサイクルが何度か繰り返えされることで、電圧供給端子20には−350Vの電圧が得られる。その結果、コンデンサ10の両端電圧としては最大で700V、つまりスイッチ素子11の自己降伏電圧を越える値を得ることができる。尚、抵抗26のもつ役割は抵抗17と同じである。
【0050】
上記の例では、スイッチ素子11の自己降伏電圧を600V程度として説明してきたが、これが更に高い場合(例えば、800V)の回路構成例を図7に示す。
【0051】
図には、直流電源回路を構成するコンバータトランス12の2次側回路と直流−交流変換回路との間に配置される回路部(電圧供給回路)を示しており、複数のダイオード18、27、28及びコンデンサ16、29、30から構成される。
【0052】
図示するように、コンバータトランス12の2次巻線12bに対する整流用ダイオード13及び平滑用コンデンサ14の接続関係については、図4に示した例と同じとされ、ダイオード13のアノードが2次巻線12bの一端に接続され、そのカソードがコンデンサ14を介して接地されている。
【0053】
また、ダイオード13に対して並列に設けられたコンデンサ16は、その一端がダイオード13のアノードに接続されるとともに、他端がダイオード18のアノードに接続されており、該ダイオード18のカソードが接地されている。
【0054】
ダイオード27については、そのカソードがコンデンサ16とダイオード18との接続点に接続され、そのアノードがコンデンサ29を介して接地されるとともに、ダイオード28のカソードに接続されている。
【0055】
そして、ダイオード28のアノードがコンデンサ30を介してダイオード13のアノードに接続されるとともに、抵抗17を介して電圧供給端子20に接続されており、当該端子20から得られる負電圧が起動回路5の1次側回路9に供給される。
【0056】
尚、図には破線で示す複数の矢印により電荷移動時の電流についてその向きを示している。つまり、放電灯の点灯前において2次巻線に得られる電圧として、例えば、OCV=350Vを想定した場合に、ダイオード13のアノード電圧が350Vになったときに流れる電流路として、コンデンサ16からダイオード18の順方向に沿う矢印及びコンデンサ30からダイオード28の順方向に沿う矢印でそれぞれ示す経路が形成され、また、ダイオード13のアノード電圧が0V以下になったときに流れる電流路として、コンデンサ29からダイオード27の順方向に沿う矢印及び抵抗17からコンデンサ30に向かう矢印でそれぞれ示す経路が形成される。
【0057】
本回路では、このような電荷移動の結果として、最大で「−350×2=−700V」の供給電圧を得ることができ、1次側回路のコンデンサの両端電圧としては、OCVの3倍の電圧供給が可能である。よって、スイッチ素子11については、その自己降伏電圧が、「OCV×3」未満であって、かつ「OCV×2」を超える値を有するものを使用すれば良い(その理由は、起動回路の大きさやコストの面からは1次側電圧が高い方が有利であること及びスイッチ素子について自己降伏電圧のバラツキを考慮する必要があることに依る。)。
【0058】
尚、このようにダイオードとコンデンサを使った回路の段数を増やせば、さらに絶対値の大きい負電圧の供給が可能であるが、これ以上の説明は割愛する。
【0059】
しかして、以上のように正極性出力を利用した放電灯回路において、その結果をまとめると、下記のようになる。
【0060】
(A)直流電源回路の出力電圧がグランド電位に対して正電圧とされる場合には、当該直流電源回路又は直流−交流変換回路の出力に基づいて起動回路の1次側回路におけるコンデンサの充電用に当該回路へ供給される給電電圧の極性を負極性とする。
【0061】
次に、直流電源回路の出力電圧についてその極性が負極性とされる場合の構成について説明する。
【0062】
図8は直流−交流変換回路4の後段に配置される起動回路5について基本構成を示したものであり、図3との相違点は下記の通りである。
【0063】
・直流−交流変換回路が出力する交番電圧の極性が負極性であること
・1次側回路に対するダイオード(19′)の向きが逆方向になっていること。
【0064】
例えば、放電灯6の点灯前において「OCV=−350V」を想定した場合に、このときの直流−交流変換回路4の出力電圧は、0Vと−350Vとを繰り返す交番電圧(矩形波、台形波等)である。
【0065】
そして、ダイオード19′の向きについては、そのアノードが電圧供給端子20に接続され、そのカソードがコンデンサ10とスイッチ素子11との接続点に接続される。
【0066】
従って、スイッチ素子11の自己降伏電圧を仮に600Vとした場合に、電圧供給端子20には、+350Vの電圧を供給すれば、コンデンサ10の両端電圧として最大700Vの電圧(=2×OCV)が得られることになり、スイッチ素子11を導通させるのに充分な電圧値が得られる。
【0067】
図9は、1次側回路9に対する給電電圧を、直流電源回路からの電圧として供給するための電圧供給回路15′の構成例を示したものであるが、図4に示した構成との相違点は、電圧極性が逆になったことに起因して、ダイオードの向き及びコンデンサに係る電荷移動の向きが全く正反対になっていることである。
【0068】
即ち、整流用ダイオード13′については、そのカソードがコンバータトランス12の2次巻線12bに接続され、そのアノードがコンデンサ14に接続されており、また、ダイオード18′については、そのカソードが抵抗17とコンデンサ16との接続点に接続されるとともに、そのアノードが接地されている。
【0069】
従って、整流用ダイオード13′のカソード電圧が、−350Vとなったときにダイオード18′を介してコンデンサ16が充電され、また、当該カソード電圧が0V以上になった時には抵抗17及び1次側回路9のコンデンサ10を介して電流が流れてコンデンサ16への電荷移動が行われる。よって、このサイクルが何回か繰り返えされて、電圧供給端子20に+350Vの電圧が得られる(1次側回路9のコンデンサ10にかかる−350Vと合わせて最大700Vの電圧を得ることができる。)。
【0070】
尚、本形態においても、図6に示したように、直流−交流変換回路の出力から1次側回路への供給電圧を得たり、あるいは、図5に示したように、コンバータトランス12に2次巻線を付設して1次側回路への供給電圧を得る構成、スイッチ素子の自己降伏電圧が高い場合の図7に示した構成等が挙げられる。但し、ダイオードの向きや電荷移動の向きの逆転を要することに注意する。
【0071】
しかして、以上のように負極性出力を利用した放電灯回路において、その結果をまとめると、下記のようになる。
【0072】
(B)直流電源回路の出力電圧がグランド電位に対して負電圧とされる場合には、当該直流電源回路又は直流−交流変換回路の出力に基づいて、起動回路の1次側回路におけるコンデンサの充電用に当該回路へ供給される給電電圧の極性を正極性とする。
【0073】
次に、直流電源回路がグランド電位に対して正極性及び負極性の両極性電圧を出力する形態について説明する。
【0074】
図10及び図11はそのような点灯回路の構成例について要部を示したものである。
【0075】
図10は2つの放電灯6_1、6_2を共通の点灯回路1Aによって点灯させることができるようにした回路構成を示すものである。
【0076】
本例では直流電源回路3が、正極出力用DC−DCコンバータ3Aと負極出力用DC−DCコンバータ3Bとにより構成されており(回路例は図2を参照。)、これらの後段には4つのスイッチ素子sw1、sw2、sw3、sw4(これらには半導体スイッチ素子が用いられるが、図には単にスイッチの記号で示す。)からなるフルブリッジ型の回路構成を有する直流−交流変換回路4Aが配置されている。
【0077】
即ち、4つのスイッチ素子のうち、互いに直列接続とされることにより第1の組をなすスイッチ素子sw1、sw2については、その一方sw1の一端がDC−DCコンバータ3Aの出力端子に接続され、当該スイッチ素子sw1の他端がスイッチ素子sw2を介してDC−DCコンバータ3Bの出力端子に接続されている。そして両スイッチ素子同士の接続点αに対して第1の放電灯6_1が起動回路5_1(の誘導性負荷)を介して接続されている。
【0078】
また、互いに直列接続されることで第2の組をなすスイッチ素子sw3、sw4については、その一方sw3の一端がDC−DCコンバータ3Aの出力端子に接続され、当該スイッチ素子sw3の他端がスイッチ素子sw4を介してDC−DCコンバータ3Bの出力端子に接続されている。そして、両スイッチ素子同士の接続点βに対して第2の放電灯6_2が起動回路5_2(の誘導性負荷)を介して接続されている。
【0079】
尚、各放電灯6_1、6_2のそれぞれの端子のうち、上記接続点αやβに接続されない方の端子については接地されるか、又は電流検出用抵抗R1、R2をそれぞれ介して接地される。
【0080】
駆動回路DRV1、DRV2についてはともにハーフブリッジドライバ用のIC(集積回路)が使用され、その一方の駆動回路DRV1がスイッチ素子sw1、sw2のオン/オフ制御を担当し、他方の駆動回路DRV2がスイッチ素子sw3、sw4のオン/オフ制御を担当している。即ち、ある時刻において、駆動回路DRV1によりスイッチ素子sw1がオン状態、スイッチ素子sw2がオフ状態となるように各素子の状態を規定されたとすると、このとき、駆動回路DRV2によりスイッチ素子sw3がオフ状態、スイッチ素子sw4がオン状態となるように各素子の状態が規定される。また、別の時刻において、駆動回路DRV1によりスイッチ素子sw1がオフ状態、スイッチ素子sw2がオン状態となるように各素子の状態を規定されたとすると、このとき、駆動回路DRV2によりスイッチ素子sw3がオン状態、スイッチ素子sw4がオフ状態となるように各素子の状態が規定される。このようにしてスイッチ素子sw1とsw4とが同じ状態、スイッチ素子sw2とsw3とが同じ状態となって、これらが相反的に交番動作する。
【0081】
従って、2組のスイッチ素子のオン/オフ動作によって、例えば、第1の放電灯6_1に正極性の電圧(正電圧)が供給される間、第2の放電灯6_2には負極性の電圧(負電圧)が供給される(逆に、第1の放電灯に負極性の電圧が供給される間、第2の放電灯には正極性の電圧が供給される。)。
【0082】
図11は1つの放電灯に対する放電灯の点灯回路1Bについてコンバータトランスの2次巻線以降における回路構成の要部を示したものである。
【0083】
図示するように、コンバータトランス12の2次巻線12bの終端側には整流用ダイオード31が設けられており、該ダイオードの作用によって半波整流された電圧が、当該ダイオード31のカソードと2次巻線の中間タップとの間に設けられたコンデンサ32により平滑されることで、正極性の電圧Vdcpが得られる。また、コンバータトランス12の2次巻線12bの始端側には整流用ダイオード33が設けられており、その作用によって半波整流された電圧が、当該ダイオードのアノードと2次巻線12bの中間タップとの間に設けられたコンデンサ34により平滑されることで、負極性の電圧Vdcnが得られる。
【0084】
後段に配置された直流−交流変換回路4Bについては、これらの出力電圧Vdcp、Vdcnを切り換えるために、1対の半導体スイッチ素子SW1、SW2(これらの素子には電界効果トランジスタ等が用いられるが、図には単にスイッチの記号で示す。)が設けられており、各素子が駆動回路DRVによって交番動作されることで生成される交流電圧が、起動回路5(の誘導性負荷)を介して放電灯6に供給される。
【0085】
つまり、スイッチ素子SW1、SW2については、その一方SW1がダイオード31のカソードに接続されるとともに、SW2を介してダイオード33のアノードに接続されている。そして、これらのスイッチ素子をそれぞれ相反的にスイッチング制御する駆動回路DRVについては、ハーフブリッジドライバとして既知のICが使用され、駆動回路DRVから各スイッチ素子の制御端子にそれぞれ供給される信号により、素子SW1がオン状態のとき、素子SW2がオフ状態となり、逆に素子SW1がオフ状態のとき、素子SW2がオン状態となるようにハーフブリッジの交番動作が行われて直流電圧が交流電圧に変換される。尚、図示するように、駆動回路DRVは電圧Vdcnの負極性電圧に基づいて動作させる。従って、このために駆動回路DRV用の電源電圧が必要になる。また、図示しない制御部から駆動回路DRVに入力される制御信号についても同様の配慮が必要である。
【0086】
図10や図11においては、いずれも直流電源回路の出力が正負両極性をもち、これらをスイッチ素子により切り換えて放電灯に供給する構成を採っているため、放電灯に起動用高圧信号を印加して点灯させる時点における直流−交流変換回路の出力電圧の極性について配慮が必要である。
【0087】
即ち、該放電灯の起動前に直流−交流変換回路から放電灯に供給される電圧の極性ついては、これが正極又は負極のいずれか一方に規定されるように直流−交流変換回路のスイッチ素子の状態を固定して(駆動回路への制御信号に係るレベル規定による。)、当該放電灯の点灯後にスイッチ素子の交番動作が行われるように制御することが望ましい。その理由は、放電灯の点灯前において直流電源回路の出力電圧を必要十分なレベル(OCV)まで高めておき、直流−交流変換回路の極性を固定して起動用高圧パルスを放電灯に印加することで、放電灯の点灯性を確実なものにすることができ、その後にスイッチ素子の交番動作を行う方が安定した点灯が保証されるからである。
【0088】
そして、起動回路への供給電圧についての極性は下記のように規定することが好ましい。
【0089】
・放電灯がブレークダウンする起動時点において直流−交流変換回路の出力電圧の極性を正極性に規定した場合には、直流電源回路又は直流−交流変換回路から起動回路の1次側回路に供給される給電電圧の極性を負極性とする。
【0090】
・放電灯がブレークダウンする起動時点において直流−交流変換回路の出力電圧の極性を負極性に規定した場合には、直流電源回路又は直流−交流変換回路から起動回路の1次側回路に供給される給電電圧の極性を正極性とする。
【0091】
例えば、図10や図11に示した構成において、放電灯をブレークダウンさせる時点での電圧極性を正極性に規定したとすると、当該放電灯に対する起動回路の1次側回路への供給電圧の極性を負極性にすれば良く、そのための回路としては図3乃至図7に示した構成をそのまま使用できることが明らかである(同様にして、図10や図11の放電灯をブレークダウンさせる時点での電圧極性を負極性に規定したとすると、当該放電灯に対する起動回路の1次側回路への供給電圧の極性を正極性にすれば良く、そのための回路としては図8、図9に示した構成や、図5乃至図7に示す構成においてダイオードの向きの逆転に注意して変更したものを使用すれば良い。)。
【0092】
尚、生成される起動用高圧信号については、起動回路によってほぼ正弦波状をした共振波形として生成されるが、当該信号の最初の半波期間における電圧極性が、直流電源回路又は直流−交流変換回路の出力電圧の極性に対して逆極性となるように規定することが好ましい。
【0093】
以下に、その理由を説明する。
【0094】
図12は図3に示した起動回路の部分を取り出して示したものであり、直流電源回路3の出力電圧の極性についてはこれを正極性としている。尚、トランス8の1次巻線8aや2次巻線8bに流れる電流の向きについては、同図に右向きの矢印で示す向き(巻き始端を示す「・」印に近づく向き)を正の向きと定義する。また、トランス8の各巻線については、1次巻線8aの始端側端子にスイッチ素子11が接続され、2次巻線8bの始端側端子に放電灯6が接続されるものとする。
【0095】
上記したように、放電灯6をブレークダウンさせる時点での電圧極性を正極性に規定したときには、トランス8の1次側回路9内のコンデンサ10が「+」記号で示す極性をもって充電され、該コンデンサの両端電圧が所定の閾値に達したときにスイッチ素子11がオン状態となり、この時に流れる共振電流(1次電流)について最初の半周期には正の向きとなる。その際、放電灯が接続されておらずに無負荷の状況を仮定すると、共振による高圧パルスにおいて、図に波形wで示すように、最初の半周期Tでの電圧極性が負極性となる(1次巻線8a、2次巻線8bの始端側が負の電圧とされる。)。他方、電流については放電灯があるインピーダンスを有しており、2次巻線8bに電流が流れる状態にあると仮定した場合に当該2次巻線に流れる共振電流については最初の半周期にその向きが負方向となる。
【0096】
放電灯の点灯において、はじめは無負荷状態にあり、その後の高圧パルスにより放電灯が導通して、あるインピーダンスをもつようになるため、トランス8の2次電流については、はじめは流れないが放電灯6の導通とともに流れ始めることになる。つまり、1次側回路9のスイッチ素子11がオンすると、1次巻線8aには正の向きの電流が流れ始め、2次巻線8bのうち放電灯側の端子(始端側端子)には負の電圧が発生して放電灯が導通する(ブレークダウン)。これにより2次巻線8bには1次巻線8aと結合した、負の向きの電流が流れ始める。
【0097】
1次電流は共振後に極く短い時間で減衰していくため、2次電流についても同様に減衰していくことになるが、共振完了後に残る電流(オフセット電流)の向きについては正の向きとなる。この電流の向きが放電灯の点灯性能にとって重要な意味をもっており、上記した電圧極性の規定は、オフセット電流の向き(この場合には正方向)と直流−交流変換回路の出力電圧の極性(正極性)とを合わせるために必要な条件とされる。このために、高圧パルスについて最初の半波期間における電圧極性を、直流電源回路の出力電圧の極性(本例では正極性)に対して逆極性(本例では負極性)となるように規定する。もしも、両者が同極性となるように規定したとすると、オフセット電流の向きが負方向となるため、放電灯の点灯性能が悪化する危険性が生じてくる。
【0098】
尚、以上の説明では、直流電源回路の出力電圧の極性について正極性を想定したが、負極性の場合には、上記した電流の向きを示す矢印の定義を逆にすれば良いので、高圧パルスに係る最初の半周期での共振電圧についてその極性を正極性にすれば良い(図12の波形wについて上下をひっくり返せば良い。)。そのためには、例えば、トランス8の巻き始端と終端との関係が逆相関係となるように変更する(2次巻線8bの終端側端子に放電灯6が接続されるようにする。)か、あるいは、図12においてコンデンサ10とスイッチ素子11の位置関係を入れ替えれば済む。
【0099】
また、上記の極性規定は、図10や図11に示した正負両極性の出力をもつ回路において、放電灯の点灯前に直流−交流変換回路の極性を一時的に固定する場合にも適用することが好ましい(つまり、直流−交流変換回路の出力電圧の極性を正極性(又は負極性)に規定した場合には、高圧パルスについて最初の半波期間における電圧極性を負極性(又は正極性)に規定する。)。
【0100】
【発明の効果】
以上に記載したところから明らかなように、請求項1に係る発明によれば、直流電源回路の出力電圧の極性とは逆極性の給電電圧を起動回路の1次側回路に供給することによって、当該回路への電圧供給ラインについて耐圧を下げることができるので、耐圧設計が容易になり、安全性の向上及びコストの削減(高耐圧部品の不要化等)を図ることができる。
【0101】
請求項2に係る発明によれば、グランド電位に対して正極性及び負極性の両極性電圧を出力する直流電源回路を用いた場合でも、起動回路の1次側回路への供給電圧(グランド電位に対する電位差)を小さくすることができる。
【0102】
請求項3に係る発明によれば、起動回路により生成される起動用高圧信号について、その最初の半波期間における電圧極性を、直流電源回路又は直流−交流変換回路の出力電圧の極性に対して逆極性に規定することにより、放電灯の点灯性を良好にして、立ち消え等の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放電灯点灯回路の基本構成を示す回路ブロック図である。
【図2】直流電源回路の構成例を示す回路図である。
【図3】起動回路の構成例を示す回路図である。
【図4】起動回路への電圧供給回路の構成例を示す図である。
【図5】起動回路への電圧供給回路の構成について別例を示す図である。
【図6】直流−交流変換回路の出力段において起動回路への供給電圧を得るようにした回路構成例を示す図である。
【図7】起動回路内のスイッチ素子として自己降伏電圧の高い素子を使用した場合において、起動回路への電圧供給回路の構成例を示す図である。
【図8】起動回路の構成についての別例を示す回路図である。
【図9】直流電源回路の出力する負極性電圧に基づいて起動回路への電圧供給のための回路構成例を示す図である。
【図10】正負両極性の電圧を出力する直流電源回路を備えるとともに、2つの放電灯を点灯させるための点灯回路の構成例を示す図である。
【図11】正負両極性の電圧を出力する直流電源回路を備えるとともに、1つの放電灯を点灯させるための点灯回路の構成例を示す図である。
【図12】起動用高圧信号に係る極性規定について説明するための図である。
【符号の説明】
1、1A、1B…放電灯点灯回路、3、3A、3B…直流電源回路、4、4A、4B…直流−交流変換回路、5、5_1、5_2…起動回路、6、6_1、6_2…放電灯、8…トランス、8a…1次巻線、8b…2次巻線、9…1次側回路、10…コンデンサ、11…スイッチ素子
Claims (3)
- 直流電圧を出力する直流電源回路と、該直流電源回路の出力電圧を交流電圧に変換した後にこれを放電灯に供給するための直流−交流変換回路と、放電灯への起動用高圧信号を発生させる起動回路とを備えた放電灯点灯回路において、
(イ)上記起動回路が、磁性体及び1次巻線、2次巻線を含むトランスと、該トランスの1次側に設けられる1次側回路とにより構成されていること、
(ロ)上記1次側回路が、上記1次巻線と、コンデンサ及びスイッチ素子の直列回路とを有し、当該直列回路が上記1次巻線に対して並列に接続されること、
(ハ)上記コンデンサの電荷蓄積に伴い当該コンデンサの両端電圧が閾値を越えたとき又はその後に、上記スイッチ素子が導通して1次巻線から2次巻線を介して起動用高圧信号が放電灯に印加されること、
(ニ)上記直流電源回路の出力電圧がグランド電位に対して正電圧とされる場合には、該直流電源回路又は上記直流−交流変換回路からの出力に基づいて上記1次側回路のコンデンサを充電するために、上記直流−交流変換回路の正極性の出力電圧が上記コンデンサの一端に供給されるとともに、該コンデンサの他端には上記直流電源回路又は上記直流−交流変換回路からの負極性の電圧が供給されること、
又は、上記直流電源回路の出力電圧がグランド電位に対して負電圧とされる場合には、該直流電源回路又は上記直流−交流変換回路からの出力に基づいて上記1次側回路のコンデンサを充電するために、上記直流−交流変換回路の負極性の出力電圧が上記コンデンサの一端に供給されるとともに、該コンデンサの他端には上記直流電源回路又は上記直流−交流変換回路からの正極性の電圧が供給されること、
を特徴とする放電灯点灯回路。 - 請求項1に記載の放電灯点灯回路において、
直流電源回路がグランド電位に対して正極性及び負極性の両極性電圧を出力するとともに、
放電灯がブレークダウンする起動時点において直流−交流変換回路の出力電圧の極性が正極性である場合には、直流電源回路又は直流−交流変換回路から起動回路の1次側回路に供給される給電電圧の極性が負極性とされ、
又は、上記起動時点において直流−交流変換回路の出力電圧の極性が負極性である場合には、直流電源回路又は直流−交流変換回路から起動回路の1次側回路に供給される給電電圧の極性が正極性とされる
ことを特徴とする放電灯点灯回路。 - 請求項1又は請求項2に記載の放電灯点灯回路において、
起動回路により起動用高圧信号がほぼ正弦波状をした共振波形として生成され、かつ当該信号の最初の半波期間での電圧極性が、直流電源回路又は直流−交流変換回路の出力電圧の極性に対して逆極性である
ことを特徴とする放電灯点灯回路。
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