JP3751192B2 - 臨床検査装置用遠隔保守システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、装置の障害を未然に防止したり、発生した障害を検出する臨床検査装置用遠隔保守システムに係り、特に、臨床検査分析装置や臨床検査データ処理装置などを含む一般計測機器(以下、「被保守装置」と称する)の遠隔保守結果を表示するに好適な臨床検査装置用遠隔保守システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ネットワーク技術の進展に伴って、ネットワークを介して分析装置を遠隔から保守することがより容易になりつつある。また、臨床検査における分析装置の処理能力が向上しているため、分析装置が故障することによる医療への影響は大きくなりつつあり、早期に故障原因を探り、また故障発生時にはできるだけ早く修復することが求められる、このため、ネットワークを介した遠隔保守により、故障の予防保全を自動化し、更に、故障時にリアルタイムな修復活動につなげていくことは重要になりつつある。
【0003】
従来の遠隔保守システムとしては、例えば、特開平6−62130号公報に記載されているように、医用装置とその装置を保守点検管理するセンタとの間を電話回線で接続し、医用装置で検出された異常をセンタに送ることにより、センタから医用装置に修復司令を与えるものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−62130号公報に記載されたシステムでは、装置が最終的に使用できる状態に保守されているか、または、保守中の場合にはいつ使用可能になるかの明示について配慮がなされず、保守の品質確認上の問題があった。装置を直接管理する立場にある臨床検査従事者(以下、被保守装置を直接に管理する者を総称して、単に、「従事者」と称する)にとっては、修復過程に止まらず、修復結果の良否、修復予定に関する情報を頼りに分析装置の円滑な運用を行う必要がある。つまり、装置の修復結果情報及び修復予定情報は臨床検査を現実に実施するためには貴重な情報であり、上記従来技術はこのような情報提供を欠いていた。
【0005】
また、現実の保守員の作業を伴わない遠隔保守における、本当に確実で正しい保守が行われているのかが見えないことによる従事者の不安について配慮がなされず、保守の品質確認上の問題があった。一般に、保守を自動化する遠隔保守の場合には、装置を直接管理する従事者が保守の品質を目視確認できないため、保守が行われたことの実感を伴わず、保守が行われたかについての不安があるといえる。従来であるならば、保守員の訪問と実際の保守活動を機会に保守のタイミング・内密を従事者が確認でき、その保守が行われたことを実感することができたが、遠隔保守ではこの実感を得ることができないためである。
【0006】
本発明の目的は、保守が確実に正しく実行されたことを従事者に通知して、現実に装置が使用できる状態か否かを従事者が明白に判断できる臨床検査装置用遠隔保守システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するため、本発明は、遠隔保守を行う保守センタ及び被保守装置との間を通信路で接続し、被保守装置内部あるいは上記通信路途中に保守監視機構を有する臨床検査装置用遠隔保守システムにおいて、上記保守監視機構は、上記被保守装置の遠隔保守を制御実行する保守制御部と、保守来歴を記録する保守来歴記憶器と、表示器と、から構成され、一番最近に行われた保守の実行日時を保守来歴記憶器から取得し、この実行日時と現在日時との差が要求保守時間間隔を上回っていない場合には、保守問題無しを表示し、上回った場合には保守問題有りを表示し、さらに、保守センタ内に設けられた保守来歴記憶器を備え、保守センタ及び被保守装置の間で通信回線が接続される時、保守センタ内の上記保守来歴記憶器に前回通信回線接続時に記録した保守来歴と保守監視機構内の上記保守来歴記憶器に記録されている保守来歴とを照合し、等しければ遠隔保守を行い、異なれば回線を遮断するようにしたものである。かかる構成により、保守が確実に正しく実行されたことを従事者に通知して、現実に装置が使用できる状態か否かを従事者が明白に判断し得るものとなる。
【0008】
(2)上記(1)において、好ましくは、一番最近に行われた保守の実行日時の代わりに、装置利用上の問題を発見しなかった保守の中で一番最近に行われた保守の実行日時を使うようにしたものである。
【0009】
(3)上記(1)において、好ましくは、上記保守制御器で制御する保守の種類毎に上記要求保守時間間隔を多重にもち、保守の種類毎に対応する要求保守時間間隔を切り替えて保守問題の有無を表示するようにしたものである。
【0010】
(4)上記(1)において、好ましくは、保守問題有りのときに装置利用上の制限事項を表示するようにしたものである。
【0011】
(5)上記(1)において、好ましくは、保守問題有りの場合、保守活動が行われていればその進捗状況を表示するようにしたものである。
【0012】
(6)上記(5)において、好ましくは、装置の使用上の制限が生じた場合にその制限事項を表示するようにしたものである。
【0013】
(7)上記(1)において、好ましくは、操作者の要求を受けて、上回っているか否かを判定して表示するようにしたものである。
【0014】
(8)上記(1)において、好ましくは、保守監視機構内あるいは被保守装置内の電池切れか否かを判定し、この判定結果を表示するようにしたものである。
【0015】
(9)上記(1)において、好ましくは、保守監視機構内あるいは被保守装置内の計時器の現在日時が正しいか否かを判定し、この判定結果を表示するようにしたものである。
【0016】
(10)上記(1)において、好ましくは、保守活動を行うための移動体内部に設置されたGPSを備え、移動体の現在位置情報を通信路を経由して上記GPSから上記表示器に転送して表示するようにしたものである。
【0017】
(11)上記(1)において、好ましくは、被保守装置が存在する地点に移動体が到着するまでに要する時間を算出して上記表示器に転送して表示するようにしたものである。
【0019】
(12)上記(1)において、好ましくは、上記表示器に保守来歴記憶器内の保守来歴を表示するようにしたものである。
【0020】
(13)上記(1)において、好ましくは、上記要求保守時間間隔,上記計時器の現時刻,上記保守来歴記憶器内の保守履歴を一定時間単位に度数計算した度数分布の数値列あるいはその数値列を時系列にグラフ化した度数分布グラフのいずれかを、上記表示器に表示するようにしたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図5を用いて、本発明の一実施形態による遠隔保守システムの構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による遠隔保守システムの構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による遠隔保守システムの構成を示すブロック図である。
【0022】
遠隔保守の実行監視を行う保守監視機構300と、遠隔にある保守センタ200において個々の被保守装置を管理する保守管理部201とは、通信路100によって接続されている。
【0023】
保守監視機構300は、保守制御部310と、保守来歴記憶器320と、計時器330と、比較器340と、表示器350とを備えている。保守制御部310は、被保守装置400の保守を実行する。保守制御部310は、保守管理部201の保守司令に基づいて、被保守装置400の保守を実行し、または、自発的に被保守装置400の保守を実行する。
【0024】
ここで、被保守装置400としては、例えば、臨床検査に用いられる分析装置及びデータ処理装置を対象としている。分析装置は、例えば、検体と試薬を混合して、その混合液を多波長光度計により各分析項目に応じた波長で吸光度測定するような生化学分析装置である。このような分析装置は、検体を反応容器に分注する機構,反応容器に試薬を注入する機構,反応容器内の混合液を攪拌する機構,反応容器の混合液の吸光度を測定する多波長光度計,使用し終わった反応容器を洗浄する機構,検体毎に検査依頼された分析項目を入力したり分析のスタート・ストップを指示するための操作部などから構成される。また、データ処理装置は、例えば、分析装置に通信接続され、どの検体はどの分析項目を分析するかという依頼情報を分析装置に対して送信し、どの検体はどんな分析結果だったかという成績情報を分析装置から受信し、これら情報の入力・蓄積・更新・報告を可能にしている。
【0025】
保守監視機構300の保守制御部310は、保守が実行されると、その来歴は保守来歴記憶器320に記録する。記録の内容には、保守を実行した日時及び保守により被保守装置400の問題を発見したか否かが含まれる。
【0026】
比較器340は、日時をリアルタイムに刻み計時する計時器330から、現在日時を取得する。日時の中には、年月日時分秒の情報が含まれる。更に、比較器340は、保守来歴記憶器320より、一番最近に実行された保守の日時(以下最新保守日時)を取得する。比較器340は、取得した現在日時と最新保守日時との差を求め、その差が定められた定期保守時間間隔を上回らない場合には、「保守問題無し」を表示器350に表示し、上回る場合には、「保守問題有り」を表示器350に表示する。定期保守においては、保守を実行するべき時間間隔が定められており、この時間間隔が過ぎても保守が行われていない場合には保守の遅延となり、定期保守の品質が損なわれていることを示すため、表示器350には、「保守問題有り」を表示する。
【0027】
ここで、図2〜図4を用いて、本実施形態による遠隔保守システムの保守監視機構300が行う保守監視処理の内容について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による遠隔保守システムの保守監視機構が行う保守監視処理の内容を示すフローチャートであり、図3及び図4は、本発明の一実施形態による遠隔保守システムにおける表示器への表示例の説明図である。
【0028】
最初に、ステップs100において、保守監視機構300の保守制御部310は、1分間待機する。即ち、本実施形態による保守監視処理は、1分周期で動作する。なお、この周期は、1分間に限るものではなく、保守品質表示の新鮮度に対する要求が満たされる限りにおいて1分間より短くも長くもすることができる。また、ステップs100における待ちの対象は、一般に更新のタイミングを与えるものであればよく、例えば定時が来るまで待つことや従事者からの明示的な司令があるまで待つものであってもよいものである。
【0029】
次に、ステップs100の待ち時間が経過すると、ステップs110において、保守制御部310は、計時器330から現在日時を取得して、これをレジスタAに格納する。
【0030】
次に、ステップs120において、保守制御部310は、保守来歴記憶器320が空か否かを判断する。保守監視機構300が施設に据え付けて初めて動作させた場合、一度も保守が行われていないため、保守来歴記憶器320の中身は空である。また、万が一、不正侵入により保守来歴記憶器が空になってしまうことも想定される。このように、保守来歴記憶器320が空の場合には、ステップs170に進み、保守来歴が存在しないことを表示器350に表示する。空でない場合にはステップs130に進む。
【0031】
なお、後述するステップs130が、保守で被保守装置に問題が発見されなかった保守の内で一番最近実行された保守の日時を取得するように変更された場合には、そのような保守来歴が存在しない場合も考えられるので、ステップs120においてチェックし、存在しない場合にはステップs170により不存在を表示する。
【0032】
保守来歴記憶器320が空でない場合には、ステップs130において、保守制御部310は、一番最近実行された保守の日時を保守来歴記憶器320から取得して、これをレジスタBに格納する。なお、このステップs130を変更して、保守で被保守装置に問題が発見されなかった保守の内で一番最近実行された保守の日時を取得するもできる。この変更によって、より実質的な保守品質を表示することができる。
【0033】
次に、ステップs140において、保守制御部310は、レジスタAに格納された現在日時と、レジスタBに格納された一番最近実行された保守の日時の差時間(A−B)と、定期保守時間間隔とを比較する。ここで、(A−B)は、保守が行われていないまま経過した時間を示している。この時間が定期保守時間間隔を上回っている場合には、ステップs160に進み、そうでない場合には、ステップs150に進む。
【0034】
保守が行われていないまま経過した時間(A−B)が、定期保守時間間隔を上回っている場合には、定期保守が時間通りに実行されていないことを示すので、ステップs160において、保守制御部310は、「保守問題有り」を表示器350に表示する。
【0035】
上回らない場合には、定期保守が問題なく行われ被保守装置に問題がないことを示すので、ステップs150において、保守制御部310は、「保守点検済み」を表示器350に表示する。
【0036】
ここで、図3を用いて、「保守問題無し」の表示例について説明する。
保守点検状態表示域352には、保守点検上誤りがなかったことを示すために、「保守点検済み」と表示される。また、より詳細に定期保守の状況が判るように表示領域354には、計時器330の現在日時が表示され、表示領域356には、一番最近に行われた保守点検の日時あるいは被保守装置の問題が発見されなかったような保守の内一番最近に行われた保守の日時が表示される。
【0037】
ここで、表示領域354に現在日時を表示する目的は、最新保守点検日時との差分を目視確認することに止まらず、計時器330が正常に動作していることを目視することや、万が一不正な侵入により日時が変更されるようなことがあった場合に備えて、これを監視することにある。特に、後者の不正侵入によるデータの破損の危険性を考えると、保守来歴記憶器の内容または設定されている定期保守時間間隔も表示するようにしてもよいものである。
【0038】
計時器330の異常動作としては、駆動を支える電池が消耗したことなどに起因して日付が実際の現時刻よりも過去の値を示す場合がある。このときは、ステップs140における差時間(A−B)が負の値を示すことになるので、(A−B)が負であれば警告を表示することによって、間接的に計時器330の誤りを報告することもできる。
【0039】
また、計時器330の異常動作を検出する手段としては、保守センタ200が通信100を介して保守監視機構300にアクセスして計時器330の値を読み取り、その値と保守センタ200が管理する現時刻との差が許容できる範囲内であるかをチェックし、許容できないときにその誤りを表示器350に表示するかあるいは保守センタの保守員に報告するかにより、未然に計時器330の誤りを防止できる。また、通常m計時器330は内臓された電池によって駆動されているので、計時器から取得する現時刻のチェックではなく、計時器を支える電池が切れていないかをチェックすることによっても、計時器330の異常動作の防止が可能になる。
【0040】
なお、計時器330は、図1に示した例では保守監視機構300の内部に位置するが、これに限るものではなく、例えば、被保守装置400に組み込まれた計時器を共用するようにしてもよいものである。保守来歴記憶器320の内容表示方法としては、その内容を文字列で表現する方法の他、保守の累積回数を表示する方法、または、保守が行われた度数をグラフにて時系列で表現する方法を用いてもよいものである。
【0041】
次に、図4を用いて、「保守問題有り」の表示例について説明する。
保守上問題が検出されたことを示すために、表示器350の表示領域352に、「保守点検要対策」と表示する。また、その対策が現在どのような状況にあり、また、修復が予定される日時についても、表示領域358に表示している。この例では、「修復に要する交換部品を現在搬送中で2000年1月1日11:00に修復の見込みである」ことを表示している。
【0042】
これらの情報は、通信路100を介した保守センタ200にある保守活動の近況情報を活用することにより、精度の高い情報を表示することができる。この他、保守員がいつ頃訪問する予定かを表示して修復に対する見込みを通知するようにしてもよいものである。また、予防保全として、そろそろ交換した方がよいと判断された部品について案内を表示するようにしてもよいものである。
【0043】
以上では日時の表示を時刻(年月日時分秒)形式で行った例であったが、これらを目標日時までの残時間にすることもできる。例えば、保守員が来るまでの残時間や次の保守が行われるまでの残時間などを表示するようにしてもよいものである。
【0044】
また、以上では保守点検での問題有無を、領域352に示すように、文字列にて表現したが、他の表示をもってこれに代えることもできる。更に、保守点検の問題を表現する手段としては、色、グラフィックス、アニメーション、警告音、ライトなどの明認手段を用いてもよいものである。これらによって、より効果的に問題を報告することができる。また、より直接的な手段としては、ポケベル、電子メール、音声による通知を行うようにしてもよいものである。
【0045】
定期保守の品質表示をより高度にするために、最新保守日時の取得時に、単に一番最近実行された保守を探すのではなく、定期保守で被保守装置に問題が発見されなかったような保守の内の一番最近実行された保守を探すことにより、未解決の問題が残っている状態をも従事者に報告することができる。
【0046】
以上の保守品質表示において対象となる保守は定期保守であったが、不定期な保守についてもその来歴を保守来歴記憶器に残し、比較器340で用いる定期保守時間間隔を従事者が許容できる時間間隔に置換えることにより、より一般的な保守の品質表示とすることができる。これら表示によって、従事者は、装置に対する遠隔保守の品質を簡易に読み取ることができる。
【0047】
一般的な遠隔保守では、被保守装置の稼動情報を参照して、算出した値が許容範囲を超えたら、具体的保守作業を発生させるといった判断をする。稼動情報とは、被保守装置の電源がオンとなっている間の装置状態の記録である。稼動情報の中には、装置の定期点検を行うために必要な定期情報,装置が自動的に障害を検出して記録に残した障害情報,分析装置が分析実行するときに収集する実行環境トレース情報などがある。定期惰報には、装置の稼動時間,検体を分注するためのシリンジ機構など特定機構の稼動回数,従事者が手動で実行したメンテナンスの来歴などがある。障害情報には、装置が検出した障害に対応するアラームコード,アラームが発生したときのパラメータなどの記録がある。実行環境トレース情報には、機構の動作記録,測定データのアラーム,測定データの計算に必要となったパラメータなどがある。これら稼動情報は、保守制御部310あるいは保守管理部201において一定の判定規範を基に解釈され、必要な場合には装置部品の交換などの保守活動に連動させる。なお、本実施形態における遠隔保守の対象は、このような稼動情報の判定に限定されるものではなく、遠隔から操作可能な被保守装置の保守業務一般を対象とする。
【0048】
保守センタ200に接続される保守監視機構300は、図1に示す例では、1台であるが、これに限るものではない。一般に、保守センタ200には複数の病院または検査センタにおける複数の分析装置またはデータ処理装置が接続される。保守センタを保守の種別毎に複数設置するようにしてもよいものである。また、図1では保守監程機構が被保守装置と独立に存在するが、これに限るものではなく、例えば、保守監視機構の全部または一部が被保守装置に内臓されているものでもよいものである。この場合、例えば、被保守装置が本来持っている表示器を共用する形で表示器350を実現させることもできる。また、保守監視機構を保守センタ内に埋め込み、保守監視機構と1つ以上の被保守装置と接続するようにしてもよいものである。また、保守監視機構が複数の被保守装置に接続され、複数の装置の保守品質表示を行うようにしてもよいものである。この場合には、装置単位に、保守来歴記憶器320,比較器340を持って、装置固有の監視を実行させることができる。また、同様の方法により、不定期保守についての保守来歴記憶器を別に設置することにより、不定期保守情報を保守センタ経由あるいは保守監視機構における設定器により入力すれば、定期保守と同様にその保守点検の実施を監視することができる。
【0049】
また、1つの被保守装置の中でも多重に実行される保守サービスの中で定期保守時間間隔が異なるようなケースも想定される。この場合には、比較器340で使用する定期保守時間間隔を保守サービス毎に別々に保持し、どの定期保守時間間隔を用いればいいかを示す情報を保守来歴記憶器内来歴に付加することにより、多様な保守サービスを多重に実行し監視することができる。また、1つの保守サービスを実行する場合でも、定期保守時間間隔を変更したい場合には、その変更のための設定器を保守監視機構に用意することや保守センタから遠隔で定期保守時間間隔を変更することで対処できる。
【0050】
次に、図5を用いて、本実施形態による遠隔保守システムの保守センタ200が行う保守処理の内容について説明する。
図5は、本発明の一実施形態による遠隔保守システムの保守センタが行う保守処理の内容を示すフローチャートである。
【0051】
最初に、ステップs200において、保守センタ200の保守管理部201は、遠隔保守を行う要因を待つ。遠隔保守を行う要因としては、保守センタ側において保守員が緊急に保守を要する場合と、保守センタ側であらかじめ設定された時間に自動的に保守をする(定期保守を含む)場合と、被保守装置側にある保守監視機構の方から保守要求がある(保守監視機構側に定期保守制御が含まれている場合には定期保守を含む)場合等がある。
これらの要因が発生すると、ステップs210において、保守管理部201は、回線を接続する。
【0052】
次に、ステップs220において、保守管理部201は、回線の接続アドレスあるいは保守監視機構内または被保守装置内に設定してある被保守装置ID(装置を固有に識別するための識別子)などにより、回線接続相手を特定する。特に保守センタ側の要求によって回線接続を行った場合には、期待した相手と特定された相手が等しいかをチェックし、一致した場合には、ステップs230に進むが、一致しない場合には、ステップs260に進む。
なお、保守センタ側の要求以外の要求によって回線接続が行われた場合でも、接続相手が保守すべき装置として保守センタに登録されていることをチェックするために同様の処理を実行する。
【0053】
相手局が特定されると、ステップs230において、保守管理部201は、保守来歴により、相手局を特定する。前回の回線接続で遠隔保守サービスが実施済みである場合には、保守来歴記憶器内の保守来歴が取得済みなので、その時取得した保守来歴と接続先相手の保守来歴を比較する。一致した場合には、ステップs240に進み、一致しない場合には、ステップs260に進む。
【0054】
一致すれば問題なく期待する相手局であることを特定できるので、ステップs240において、保守管理部201は、遠隔保守サービスを実行する。
そして、ステップs240において、保守管理部201は、保守来歴を取得する。
その後、ステップs270において、保守管理部201は、回線を切断する。
【0055】
なお、ステップs220若しくはステップs230の判定で不一致であった場合には、保守来歴記憶器が不正に書き変えられたか、誤った相手と接続したかが考えられるので、ステップs260において、ステップs240において、保守管理部201は、特定不能を保守員に報告し、保守員による調査・対策に連動させる。
なお、このような不一致の検出は、被保守装置側に反映させて、表示器350に「保守点検問題あり」を表示させるようにしてもよいものである。
そして、ステップs270において、保守管理部201は、回線を切断する。
【0056】
なお、保守来歴の比較としては、一番最近の保守来歴の比較、一番最近から特定個数の保守来歴の比較、保守来歴全部の比較、保守来歴一部の比較等のいずれであってもよいものである。また、保守センタが特定の保守のみを扱っている場合には、その特定の保守来歴のみ抜き出した比較を行うようにしてもよいものである。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、一番最近に行われた保守の実行日時を保守来歴記憶器から取得し、これと現在日時との差が定期保守時間間隔を上回っていない場合には「定期保守済み」を表示し、上回った場合には「定期保守要対策」を表示することにより、保守による被保守装置の品質維持が図られていることを従事者に明白に知らせることができる。すなわち、定期的保守の実施を来歴上で確認することにより、その品質表示をすることができるので、品質維持されていることを従事者が容易に確認できる。この方法は定期的保守に限らず、不定期保守についても保守要不要及びその完了を随時保守来歴に反映することにより、同様に品質表示が可能となり、従事者がこれを確認することができる。
【0058】
また、保守によって被保守装置に問題が見つからなかったような保守の実行日時を保守来歴記憶器から取得して、これと現在日時との差を同上のチェックにかけることによっても同上の効果が図られる。
【0059】
また、特定の保守が保守制御部において実行中である場合には、その保守の現況や装置の使用上の制限や保守の終了予定日時を表示器に表示することにより、保守による装置の使用制限の解除時期を従事者は容易に予測できる。また、具体的保守作業(部品の交換など)が発生した場合には、それに起因する装置使用上の制限内容及び制限解除予定期限を表示することにより、従事者の代替計画立案を容易にし、制限による損失を最小限に押さえることができる。
【0060】
また、保守センタから保守司令が発行され、保守の来歴が保守来歴記憶器に記録される毎に、この保守来歴記憶器の内客を保守センタ側に保存しておき、次回の保守で保守監視機構に接続したときにその保守来歴記憶器の内容に変更がないことを確認することにより、保守監視機構が他に不正に使用されていないことを確かめるのと同時に、保守センタから通信路を経由して接続した相手を誤っていないことを確認することができる。
【0061】
また、被保守装置を複数台接続したり、保守センタを保守の用途別に複数設置することで、保守の拡充と効率化を図ることができる。保守の中には定期保守時間間隔が異なるような複数の点検が含まれる場合もあるが、定期保守時間間隔を複数用意して、その確実な実行監視を行うことにより、保守の多様性に対応することができる。保守品質表示は周期的な表示に限らず、例えば、キーやスイッチなど従事者の司令に応じてその時々の品質表示をすることにより、従事者がタイムリーに保守品質を実感することができる。
【0062】
また、遠隔保守をする保守対象装置の特定については、保守来歴を保守来歴記憶器内と保守センタ内とで照合することにより、保守対象装置特定を確実とし、保守の対象を誤ることによる装置品質劣化を防止するのみならず、保守機能がネットワーク経由にて不正に利用されていないことの確認、確認された場合の対策行動への連携を可能にし、不正防止を図ることができる。
【0063】
また保守来歴記憶器の内容、定期保守時間間隔、計時器の現時刻、保守度数分布表の表示により、保守が確実に実施されていることと不正利用がないことを確認することができる。また、計時器を駆動する電池の切れのチェック、計時器の現在時刻のチェックによって、より厳重な保守の監視が実施できる。また、保守来歴記憶器の内容表示により、保守の進捗を従事者が認識することもできる。
【0064】
次に、図6を用いて、本発明の他の実施形態による遠隔保守システムの構成及び動作について説明する。
図6は、本発明の他の実施形態による遠隔保守システムの構成を示すブロック図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0065】
保守監視機構300は、通信路450を介して複数の被保守装置である分析装置401,402やデータ処理装置403に接続されている。保守監視機構300は、この3台の装置を保守監視する。
【0066】
保守センタ200は、通信路101を介して、保守サービス車500内にあるGPS(Global Positioning System)501に接続されている。GPS501により現在保守サービス車がどの地点にいるかを把握し、その地図的な情報あるいはそこから予測される被保守装置側への到着時間を保守センタ200経由で保守監視機構に表示させることができる。これにより、装置が故障して部品交換などの保守サービスが必要になった場合、いつ故障が復旧するかを装置を使用する側で精度よく予測することができ、この予測に基づく計画を立てることによって故障による医療サービスの劣化を最小限に食い留めることができる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によれば、上述の実施形態の効果に加えて、予定期限については、GPSによる、保守員あるいは保守部品の地理的位置から予定到着時刻を計算することによって、より予測精度を向上させることもできる。
【0068】
また、GPSによる2次元地理情報と現在位置情報をそのまま表示器に表示することにより従事者の安心感をより高めることができる。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、保守が確実に正しく実行されたことを従事者に通知して、現実に装置が使用できる状態か否かを従事者が明白に判断できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による遠隔保守システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による遠隔保守システムの保守監視機構が行う保守監視処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態による遠隔保守システムにおける表示器への表示例の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態による遠隔保守システムにおける表示器への表示例の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態による遠隔保守システムの保守センタが行う保守処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態による遠隔保守システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
100,101…通信路
200…保守センタ
201…保守管理部
300…保守監視機構
310…保守制御部
320…保守来歴記憶器
330…計時器
340…比較器
350…表示器
400…被保守装置
401,402…分析装置
403…データ処理装置
450…通信路
500…保守サービス車
501…GPS
Claims (13)
- 遠隔保守を行う保守センタ及び被保守装置との間を通信路で接続し、被保守装置内部あるいは上記通信路途中に保守監視機構を有する臨床検査装置用遠隔保守システムにおいて、
上記保守監視機構は、上記被保守装置の遠隔保守を制御実行する保守制御部と、保守来歴を記録する保守来歴記憶器と、表示器と、から構成され、
一番最近に行われた保守の実行日時を保守来歴記憶器から取得し、この実行日時と現在日時との差が要求保守時間間隔を上回っていない場合には、保守問題無しを表示し、上回った場合には保守問題有りを表示し、
さらに、保守センタ内に設けられた保守来歴記憶器を備え、
保守センタ及び被保守装置の間で通信回線が接続される時、保守センタ内の上記保守来歴記憶器に前回通信回線接続時に記録した保守来歴と保守監視機構内の上記保守来歴記憶器に記録されている保守来歴とを照合し、等しければ遠隔保守を行い、異なれば回線を遮断することを特徴とする臨床検査装置用遠隔保守システム。 - 請求項1記載の臨床検査装置用遠隔保守システムにおいて、
一番最近に行われた保守の実行日時の代わりに、装置利用上の問題を発見しなかった保守の中で一番最近に行われた保守の実行日時を使うことを特徴とする臨床検査装置用遠隔保守システム。 - 請求項1記載の臨床検査装置用遠隔保守システムにおいて、
上記保守制御器で制御する保守の種類毎に上記要求保守時間間隔を多重にもち、保守の種類毎に対応する要求保守時間間隔を切り替えて保守問題の有無を表示することを特徴とする臨床検査装置用遠隔保守システム。 - 請求項1記載の臨床検査装置用遠隔保守システムにおいて、
保守問題有りのときに装置利用上の制限事項を表示することを特徴とする臨床検査装置用遠隔保守システム。 - 請求項1記載の臨床検査装置用遠隔保守システムにおいて、
保守問題有りの場合、保守活動が行われていればその進捗状況を表示することを特徴とする臨床検査装置用遠隔保守システム。 - 請求項5記載の臨床検査装置用遠隔保守システムにおいて、
装置の使用上の制限が生じた場合にその制限事項を表示することを特徴とする臨床検査装置用遠隔保守システム。 - 請求項1記載の臨床検査装置用遠隔保守システムにおいて、
操作者の要求を受けて、上回っているか否かを判定して表示することを特徴とする臨床検査装置用遠隔保守システム。 - 請求項1記載の臨床検査装置用遠隔保守システムにおいて、
保守監視機構内あるいは被保守装置内の電池切れか否かを判定し、この判定結果を表示することを特徴とする臨床検査装置用遠隔保守システム。 - 請求項1記載の臨床検査装置用遠隔保守システムにおいて、
保守監視機構内あるいは被保守装置内の計時器の現在日時が正しいか否かを判定し、この判定結果を表示することを特徴とする臨床検査装置用遠隔保守システム。 - 請求項1記載の臨床検査装置用遠隔保守システムにおいて、
保守活動を行うための移動体内部に設置されたGPSを備え、移動体の現在位置情報を通信路を経由して上記GPSから上記表示器に転送して表示することを特徴とする臨床検査装置用遠隔保守システム。 - 請求項1記載の臨床検査装置用遠隔保守システムにおいて、
被保守装置が存在する地点に移動体が到着するまでに要する時間を算出して上記表示器に転送して表示することを特徴とする臨床検査装置用遠隔保守システム。 - 請求項1記載の臨床検査装置用遠隔保守システムにおいて、
上記表示器に保守来歴記憶器内の保守来歴を表示することを特徴とする臨床検査装置用遠隔保守システム。 - 請求項1記載の臨床検査装置用遠隔保守システムにおいて、
上記要求保守時間間隔,上記計時器の現時刻,上記保守来歴記憶器内の保守履歴を一定時間単位に度数計算した度数分布の数値列あるいはその数値列を時系列にグラフ化した度数分布グラフのいずれかを、上記表示器に表示することを特徴とする臨床検査装置用遠隔保守システム。
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