JP3737957B2 - リムレス眼鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リムを用いずに眼鏡レンズの縁部に切欠部等を設けてこの切欠部等に取付部材を取り付けるようにしたリムレス眼鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、視野の広さや軽量性の利点等から縁なしタイプの眼鏡(リムレス眼鏡)が注目されている。このような縁なしタイプの眼鏡としては、レンズ下部周囲をナイロン糸で吊るタイプと、レンズにビス用穴を貫通形成しこの穴に貫通させるビスで止めるツーポイントまたはスリーピースと呼ばれるタイプ、加えてレンズ縁面に不貫通の穴を設けこれに眼鏡レンズ保持部材のピン状の突起部を差込固定しているピンフィールタイプがある。
【0003】
上述の各タイプのリムレス眼鏡は、それぞれに特色があったが、様々な厚さや様々な材質のレンズに対して、有効視野の広さ、耐久性、美観、軽量化等を十分に確保するための設計が必ずしも容易でないとともに、加工コスト等の観点から必ずしも十分に満足できるものではなかった。
【0004】
そこで、近年、眼鏡レンズの縁部に切欠部等を設けてこの切欠部等に取付部材をはめ込んで取り付けるようにしたタイプのリムレス眼鏡が提案されている。このタイプのリムレス眼鏡としては、特許第2997438号公報(特開平10−228000号公報)に記載のものや、実用新案登録第2602605号公報(実開平7−32620号公報)に記載のものが知られている。
【0005】
特許第2997438号公報(特開平10−228000号公報)に記載のものは、レンズに切欠部(=止着凹部10)を設け、一方、この切欠部に嵌め込む取付部材(=エンドピース2)に溝(=挿嵌溝20)を設け、この溝(=挿嵌溝20)を前記切欠部(=止着凹部10)に嵌め、上記溝の両脇の壁部がレンズ表裏面に当たって固定されるようにして(上記公報の図2参照)取付部材(=エンドピース2)をレンズに取り付ける構造を基本にしている。
【0006】
また、実用新案登録第2602605号公報(実開平7−32620号公報)に記載のものは、レンズに設けた切欠部又は溝状部の形状がいわゆる末広がり状になるように、切欠部又は溝状部を「開口部より大きな幅となる幅広部を有する形状の溝を設けた」構造のものにした点を特徴とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許第2997438号公報(特開平10−228000号公報)に記載のものは、装用者が必要とするレンズのパワーやレイアウトによってレンズの厚さが様々に変るが、そのレンズ厚さに合わせて取付部材(=エンドピース2)の溝(=挿嵌溝20)の幅も変えなければならず、繁雑であるという欠点がある。また、取付部材(=エンドピース2)の幅がレンズの切欠部の幅より必ず大きくなければならず、しかも、必ずレンズ表裏面から突出することになるので、その分視野が狭くなるとともに、美観上も好ましくない。
【0008】
また、実用新案登録第2602605号公報(実開平7−32620号公報)に記載のものは、取付部材を「末広がり状の切欠部」にはめ込み可能な形状としなければならないので、必然的にその根元部が末広がりの先端部に比して細く形成されることになる。しかるに、この根元部はこの取付部に結合されるテンプル等を支えるために十分な強度を有しなければならないので、所定以上の太さが必要である。そうすると、上記末広がり状の部分は、上記太さよりさらに大きいものにしなければならず、レンズを大きく切り欠くことになり、視野を狭めたり、美観を損ねる原因になるという欠点がある。また、末広がり状の切欠部を設ける加工も容易ではない。
【0009】
さらに、上記各公報に記載のものを含め、従来のリムレス眼鏡は、従来の通常の眼鏡と同様に、取付部によろい部が設けられ、このよろい部にヒンジ部を設けてテンプルを折り畳み可能に取り付ける構造のものである。このため、軽量化や美観の向上等に限界があった。
【0010】
本発明は、有効視野の広さ、耐久性、美観、軽量化等を容易に確保でき、かつ製作も容易なリムレス眼鏡を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するための手段として、第1の手段は、リムを用いずに眼鏡レンズの縁部に切欠部を設けてこの切欠部に取付部材をはめ込んで取り付けるようにしたリムレス眼鏡であって、前記切欠部は、前記眼鏡レンズの縁から中央側に向かってほぼ一定の幅又は次第に狭まる幅を有し、その内周壁部に前記眼鏡レンズの表裏面にほぼ平行な突条が形成されたものであり、前記取付部材は、この取付部材を前記眼鏡レンズの縁側から前記切欠部に挿入してはめ込むとき、前記切欠部の内周壁部に当たる部位に前記切欠部の突条に嵌まる溝条が形成されたものであり、前記取付部材を前記眼鏡レンズの縁側から前記切欠部に挿入し、前記取付部の溝条が前記切欠部の突条に嵌まるようにしてはめ込むことにより、前記取付部材を前記切欠部に取り付けるようにしたことを特徴とするリムレス眼鏡である。第2の手段は、リムを用いずに眼鏡レンズの縁部に切欠部を設けてこの切欠部に取付部材をはめ込んで取り付けるようにしたリムレス眼鏡であって、前記切欠部は、前記眼鏡レンズの縁から中央側に向かってほぼ一定の幅又は次第に狭まる幅を有し、その内周壁部に前記眼鏡レンズの表裏面にほぼ平行な溝条が形成されたものであり、前記取付部材は、この取付部材を前記眼鏡レンズの縁側から前記切欠部に挿入してはめ込むとき、前記切欠部の内周壁部に当たる部位に前記切欠部の溝条に嵌まる突条が形成されたものであり、前記取付部材を前記眼鏡レンズの縁側から前記切欠部に挿入し、前記取付部の突条が前記切欠部の溝条に嵌まるようにしてはめ込むことにより、前記取付部材を前記切欠部に取り付けるようにしたことを特徴とするリムレス眼鏡である。第3の手段は、前記取付部材の幅が切欠部の幅にほぼ等しいか又は小さいことを特徴とする第1又は第2の手段にかかるリムレス眼鏡である。第4の手段は、前記切欠部は、前記眼鏡レンズの表裏面の少なくともいずれか一方側が閉じられた形状をなすことを特徴とする第1ないし第3のいずれかの手段にかかるリムレス眼鏡である。第5の手段は、リムを用いずに眼鏡レンズの縁部に取付部材を直接取り付ける取付構造を備え、この取付部材にヒンジ構造を設けてテンプルを折り畳み可能に取り付けるようにしたリムレス眼鏡であって、前記取付部材は、前記眼鏡レンズの表裏面にほぼ直交する方向に延長されるよろい部を有せずに、この取付部材を眼鏡レンズに取付る部位に直接ヒンジ構造を形成して前記テンプルを折り畳み可能に取り付けたものであることを特徴とするリムレス眼鏡である。第6の手段は、リムを用いずに眼鏡レンズの縁部に切欠部を設けてこの切欠部に取付部材をはめ込んで取り付けるようにしたリムレス眼鏡用の眼鏡フレームであって、
前記取付部材は、前記切欠部にはめ込むときに、前記眼鏡レンズの縁部側に位置する部位から中央側に位置する部位に向かって、ほぼ一定の幅又は次第に狭まる幅を有し、この取付部材を前記眼鏡レンズの縁側から前記切欠部に挿入してはめ込むときに前記切欠部の内周壁部に当たる部位に設けられた突条であって、前記眼鏡レンズの表裏面にほぼ平行な前記突条を有することを特徴とするリムレス眼鏡用の眼鏡フレームである。第7の手段は、リムを用いずに眼鏡レンズの縁部に切欠部を設けてこの切欠部に取付部材をはめ込んで取り付けるようにしたリムレス眼鏡用の眼鏡フレームであって、
前記取付部材は、前記切欠部にはめ込むときに、前記眼鏡レンズの縁部側に位置する部位から中央側に位置する部位に向かって、ほぼ一定の幅又は次第に狭まる幅を有し、この取付部材を前記眼鏡レンズの縁側から前記切欠部に挿入してはめ込むときに前記切欠部の内周壁部に当たる部位に設けられた溝条であって、前記眼鏡レンズの表裏面にほぼ平行な前記溝条を有することを特徴とするリムレス眼鏡用の眼鏡フレームである。
【0012】
上述の第1〜第6の手段によれば、取付部材を切欠部にはめ込んで取り付けると、取付部材に設けた溝条又は突条を切欠部に設けた突条又は溝条にはめ込まれて固定されるので、堅固な固定が可能である。また、ネジ等を用いて固定する場合に比較して、取り付け後にゆるむような虞れは極めて少なくできる。固定の接触面(接着面)を大きく確保できるので、堅固な取り付けを維持できる。同時に取付部材の大きさを切欠部の大きさにほぼ同じ程度に小さく形成できる。しかも、取付部材をレンズ面から突出させずにレンズ面とフラットにすることが可能であるので、美観上極めて有利であり、また、レンズ面をふく際の操作性も極めてよい。さらに、取付部材の大きさを小さくできるので、
有効視野を広く確保できる。また、切欠部がレンズ縁部から同じ幅又は次第に小さくなる幅を有するので、加工が簡単で自動化も容易である。取付部材に設けた溝条又は突条を切欠部に設けた突条又は溝条にはめ込むことができる構造を確保できさえすればよいので、レンズ厚さに左右されることは少なく、レンズコバの肉厚を薄くすることも厚くすることも何ら問題がない。したがって、度付き眼鏡への適用が極めて容易である。取り付け構造部分を目立たなくすることが容易であり、デザイン上違和感がない。固定の構造上、様々な材質を用いても堅固な取り付けが可能であるので、材質を選ばない。また、第5の手段によれば、よろい部を設けずに取付部材に直接ヒンジを設けて直接テンプルを折り畳み可能に取り付けることもできる。これによれば、従来にない極めて画期的で斬新なデザインとすることが可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施例に係るリムレス眼鏡の要部説明図、図2は本発明の実施例に係るリムレス眼鏡の平面図、図3は本発明の実施例に係るリムレス眼鏡の正面図、図4は本発明の実施例に係るリムレス眼鏡の側面図、図5は本発明の実施例に係るリムレス眼鏡の斜視図である。以下、これらの図面を参照にしながら実施例にかかるリムレス眼鏡を説明する。
【0014】
図2において、符号11、12は、左右の眼鏡レンズであり、これら眼鏡レンズ11、12は、ブリッジ2によって結合されている。なお、このブリッジ2には、鼻当て21が取り付けられている。また、左右のレンズ11、12のそれぞれの左右端の縁部には、取付部材31、32が取り付けられ、これら取付部材31、32にはそれぞれ左右のテンプル41、42が取り付けられている。
【0015】
図1に示されるように、眼鏡レンズ11の左端部の縁部には、切欠部110が設けられて、この切欠部110に取付部材31の先端がはめ込まれるようになっている。切欠部110は、眼鏡レンズ11の縁から中央側に向かってほぼ一定の幅を有し、その内周壁部に眼鏡レンズ11の表裏面にほぼ平行な突条111が形成されたものである。
【0016】
取付部材31は、この取付部材31を眼鏡レンズ11の縁側から切欠部110に挿入してはめ込むとき、切欠部110の内周壁部に当たる部位に前記切欠部110の突条111に嵌まる溝条311が形成されたものである。すなわち、この取付部材31を眼鏡レンズ11の縁側から切欠部110に挿入し、取付部材31の溝条311が切欠部110の突条111に嵌まるようにしてはめ込むことにより、取付部材31を切欠部110に取り付けるようにしたものである。取付部材31を切欠部110にはめ込んだ後は、接着剤等で固定する。
【0017】
取付部材31は、眼鏡レンズ11への取付部位と反対側の端部に向かうにしたがって眼鏡レンズ11の表裏面とほぼ直角な方向に顔側に折り曲げられており、よろい部312が形成されている。このよろい部312には、テンプル41を折り畳み自在に取り付けるためのヒンジ構造を構成するヒンジ部材313が固定されている。このヒンジ部材313が、テンプル41に固定されたヒンジ部材411と結合されてねじ313aによって止められ、これにより、テンプル41を取付部材31に折り畳み自在に取り付けている。
【0018】
また、図示しないが、右側の眼鏡レンズ12に取り付ける取付部材32も、上記と同様にして取り付けられる。さらに、ブリッジ2の左右の眼鏡レンズ11、12への取り付けも同様であるので、これらの説明は省略する。
【0019】
なお、切欠部110の幅Wkに対応する取付部材31の幅Wtは、溝条311が形成されている部位以外は切欠部110の幅Wkにほぼ等しく形成されている。また、切欠部110の突条111の側面111aは、この実施例では、斜度が約30°程度の傾斜面とされている。また、取付部材31の切欠部110におけるレンズの厚さ方向の幅Ttは、眼鏡レンズ11の厚さとほぼ同じにしてある。
【0020】
図6は眼鏡レンズ11の切欠部110に取付部材31をはめ込んで固定した部分の断面図であり、図6(a)は本実施例の場合である。なお、この断面図の切断面は、眼鏡レンズ11の縁から中心に向かう直線に垂直な面である。上記実施例では、切欠部110の突条111の側面111aを傾斜にしたが、図6(b)に示されるように、垂直な面としても良い。
【0021】
また、上記実施例では、取付部材31のレンズの厚さ方向の幅Ttを眼鏡レンズ11の厚さとほぼ同じにしてあるが、図6(c)に示されるように、眼鏡レンズ11の厚さよりも薄く形成することもできる。換言すると、切欠部110の幅Wkと取付部材31の幅Wtとをほぼ等しくしておけば、レンズの厚さが変わっても、共通の取付部材を用いて取り付けることができ、レンズの厚さ毎に取付部材を製作する必要がなくなり、部品の共通化が可能になって、極めて実用性に富むものとすることが可能である。
【0022】
さらに、切欠部110の突条111の上面は平坦でもよいが、図6(d)に示されるように、1又は2以上の溝111bを設けてもよい。これによれば、接着剤を用いて固定する際に、溝111bが接着剤溜になって強固な接着が可能になる。さらには、上記実施例では、1本の突条111を設ける例を掲げたが、これは複数本設けてもよい。また、切欠部110の突条111及び取付部材31の溝311の断面形状は、単純なV字状やカマボコ状の半円筒型、その他の形状であってもよい。
【0023】
図7は切欠部110のさらに他の例を示す図である。切欠部110は、図7(a)に示したように、眼鏡レンズ11の表裏面の少なくともいずれか一方側を、図では眼球側を、閉じられた形状にしてもよい。このようにすれば、レンズコバが厚いとき(マイナス度数の強いレンズの場合)において、切欠部形成の際の加工して除去する部分を少なくでき、加工上、外観上、あるいは、強度上において良好な結果を得ることが可能となる。また、突条111は、図7(b)に示したように、一方の側面111aが眼鏡レンズ11の表面と一致するものでもよい。さらに、図7(c)に示したように、切欠部11に、突条111の代わりに、溝条112を設け、取付部材31に、溝条311の代わりに、突条312を設けるようにしてもよい。この場合、図7(d)に示したように、眼鏡レンズ11の表裏面の少なくともいずれか一方側を、図では眼球側を、閉じられた形状にしてもよい。
【0024】
眼鏡レンズ11、12は、ガラス、プラスチック等の材料で構成される。合成樹脂製のレンズの場合は、ジエチレングリコールアリルカーボネイトまたはポリカーボネイト、アクリル、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。特に本実施例の眼鏡レンズの保持構造に好ましいのは、ポリウレタン系レンズで、耐衝撃性、引っ張り強度等に優れる。
【0025】
取付部材31、32及びブリッジ2の材質としては、ポリアミド、ポリイミド、アセテート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルサルホン等の樹脂や、チタンまたはチタン合金、鉄系合金、洋白、モネル、ハイニッケル、ステンレス等のニッケル合金またはブロンズやベリリウム銅等の銅合金の金属材料、その他を用いることができる。
【0026】
図8は切欠部110の加工方法例の説明図である。図8中、符号51は眼鏡レンズ11、12を固定する総型で、52はこれをある角度で保持する角度保持台である。加工にあたっては、レンズ11、12を凸面を下にして総型51に挿入し、総型51を角度保持台52の上に固定する。本実施例の場合、レンズ凸面の平均的なカーブにあわせて12度の角度保持台を使用した。この状態でカッター6を回転させながら水平にレンズを切り込むことにより、図1に示されるような切欠部110を形成することができる。
【0027】
図9は総型や角度保持台を使用せずにレンズを加工するブロックをそのままチャッキングして加工する方法の説明図である。この方法は、眼鏡レンズ11、12の加工のためにレンズを保持固定したブロック7をそのまま利用して加工する方法である。すなわち、ブロックをそのままNC加工装置等にチャッキングして12度の方向からカッタをいれる。これによれば、切り欠き加工を自動化することもきわめて容易である。
【0028】
図10は種々の形状の切欠部を形成する際の用いるカッターの例を示す図である。ここで、図10の(a)〜(d)のカッターを上述のように12°傾けて加工すると、レンズコバが厚いとき(マイナス度数の強いレンズの場合)にはレンズ後面側(眼球側)が大きく除去される。その結果、レンズの強度を低下させるとともに、正面から見たとき切り口が反射してみえるため外観上好ましくない。すなわち、図11(a)はレンズコバが厚いときの切欠部の加工例を示す図である。図11(a)に示されるように、レンズ後面側(眼球側)が縁部から中央部に距離Dだけ除去される。そのとき、外部から見ると、その切り口が、観察方向に対する投影像として見える。その大きさdは、この実施例の場合には、約0.8ミリとなる。
【0029】
そのような場合には、図10(e)に示されるカッターを用いる。このカッターは、レンズを傾ける角度分(本実施例では12度)をカットしたカッターである。このカッターで加工すれば、図11(b)に示されるように、レンズ縁面と平行に切り欠き加工を施すことができ、強度や外観を必要以上に低下させることがなくなる。
【0030】
また、図7(a)又は図7(d)に示される例のように、眼鏡レンズ11の表裏面の少なくともいずれか一方側を、閉じられた形状に加工する場合には、図10(f)に示されるカッターを用いる。その場合、図12に示したように、眼鏡レンズ11を、位置決めして固定できる眼鏡レンズ固定装置500に固定する。そして、眼鏡レンズ11の縁部を規準面に押し当てることによって正確な位置決めができる位置決規準プレート700によって位置決めする。次いで、NC加工装置600に取付けたカッター6によって加工する。
【0031】
上述の実施例によれば、取付部材31は、切欠部110に設けられた突条111と取付部材31に設けられた溝条311によって結合固定される。このため、切欠部110に突条111を加工形成することができるコバ厚さえあれば、薄いレンズでも堅固に固定できる。しかも、厚いレンズの場合には、切欠部110を、図7(a),(d)に示されるように、レンズの一方面側を閉じた形状とすることもできる。したがって、レンズが薄い場合でも厚い場合でも堅固な固定ができると同時に、デザイン性も良好に維持できるので眼鏡としての商品価値を格段に向上させることができる。
【0032】
さらに、切欠部110の突条111は、取付部材31に設けられた溝条311に嵌合されるため、その接着部分はメガネフレームを正面から見て見えない。このため経年変化によって接着剤が変色したりしても、また接着部分にわずかな気泡が混入しても、目立ちにくい。
【0033】
加えて、嵌合固定部分が取付部材の先端に一体に加工されているため、固定部分をヨロイやブリッジに違和感なく配置することが可能で、ピンフィールタイプのように眼前にとがったピン状の突出部がこないため自然な外観を提供することができる。
【0034】
なお、切欠部110と取付部材31との固定には接着剤を用いる例を掲げたが、勿論接着剤を用いずにハメアイのみで固定してもよい。しかしながら固定時に接着剤を添加することにより、切欠部と取付部材との固定をより強固なものにする。また接着剤の使用は、切り欠き加工時に生じたマイクロクラック(視覚的にはみえない)等に対して補完的な作用があると推定され、好ましい。
【0035】
ここで使用される接着剤としては、エポキシ系、アクリル系、シアノアクリレート系、嫌気性系、等のものが使用できる。特にエポキシ系のものは、レンズ材料に係わらず接着効果に優れる。また、接着剤を使用するときの粘度は25℃で3000ポワーズ程度の低粘度で、透明性の高いものが使用される。低粘度のものは気泡の発生が少なく、作業性において優れる。なお、眼鏡レンズにアクリル系レンズを使用する場合、このアクリル系レンズは一般的に溶剤に対して強くないので、接着剤にはエポキシ系のものを使用することが好ましい。
【0036】
また、接着強度を高めるために、取付部材に設けられた溝条を単純な溝ではなく、表面をデコボコに荒らしたり、接着剤の溜まりをつくるために部分的に溝を深くすることによって、接着強度を飛躍的に高めることができる。
【0037】
図13は本発明の他の実施例にかかるリムレス眼鏡の要部説明図である。この実施例は、上述の実施例とは逆に、切欠部110に溝条を設け、取付部材31に突条を設けたものである。そのほかの構成は上述の実施例と同じであるので、詳細説明は省略する。
【0038】
図14〜図17はさらに他の実施例を示す図である。これらの図に示される実施例は、取付部材31として、上述の実施例における取付部材31からよろい部312を取り去った形状の取付部材を用い、この取付部材31に直接ヒンジ構造を形成してテンプルを直接折り畳み可能に取付るようにしたものである。これらの実施例によれば、よろい部を有する従来のリムレス眼鏡に対して、シンプルで機能美にあふれた画期的に斬新なデザインとすることが可能である。
【0039】
図14に示される例は、取付部材31を、ほぼ切欠部110と同じ大きさに形成し、取付部材31全体が切欠部110内に収まるようにし、切欠部110内にはめ込んだ取付部材31にヒンジ構造部314を設け、テンプル41の先端部に設けたヒンジ構造部414とヒンジ結合して、テンプルを直接折り畳み自在に取り付けたものである。
【0040】
図15に示される例は、取付部材31を、切欠部110よりその奥行きを少し長く形成し、眼鏡レンズの縁部から取付部材31の後端部が少し突出するようにし、この突出した部位にヒンジ構造部314を形成し、テンプル41の先端部に設けたヒンジ構造部414とヒンジ結合してネジ314aによりテンプルを折り畳み自在に取り付けたものである。これによれば、ヒンジ構造を構成するネジ314aをいつでも調整することができる。
【0041】
図16に示される例は、取付部材31を、ほぼ切欠部110と同じ大きさに形成し、取付部材31全体が切欠部110内に収まるようにし、切欠部110の目側の側面にヒンジ構造部314aを設け、テンプル41の先端部に設けたヒンジ構造部414とヒンジ結合して、テンプルを折り畳み自在に取り付けたものである。これによれば、正面からよろいやヒンジ構造を全く見えなくすることが容易にできる。また、レンズのコバ厚が厚い場合(図6(c)のような場合)でも、ヒンジ構造部314aを顔側に延長することにより、ヒンジ構造部のネジ314aが外に出るようにして、常時調整可能な構造とすることもできる。
【0042】
以上の実施例によれば、取付部材を切欠部にはめ込んで取り付けると、取付部材に設けた溝条又は突条を切欠部に設けた突条又は溝条にはめ込まれて固定されるので、堅固な固定が可能であるとともに、以下の効果も得られる。
(1)ネジ等を用いて固定する場合に比較して、取り付け後にゆるむような虞れが極めて少ない。
(2)固定の接触面(接着面)を大きく確保できるので、堅固な取り付けを維持できる。同時に取付部材の大きさを切欠部の大きさにほぼ同じ程度に小さく形成できる。しかも、取付部材をレンズ面から突出させずにレンズ面とフラットにすることが可能であるので、美観上極めて有利であり、また、レンズ面をふく際の操作性も極めてよい。
(3)取付部材の大きさを小さくできるので、 有効視野を広く確保できる。
(4)切欠部がレンズ縁部から同じ幅又は次第に小さくなる幅を有するので、加工が簡単で自動化も容易である。
(5)取付部材に設けた溝条又は突条を切欠部に設けた突条又は溝条にはめ込むことができる構造を確保できさえすればよいので、レンズ厚さに左右されることは少なく、レンズコバの肉厚を薄くすることも厚くすることも何ら問題がない。
したがって、度付き眼鏡への適用が極めて容易である。
(6)取り付け構造部分を目立たなくすることが容易であり、デザイン上違和感がない。
(7)よろい部を設けずに取付部材に直接ヒンジを設けて直接テンプルを折り畳み可能に取り付けることもできる。これによれば、従来にない極めて画期的で斬新なデザインとすることが可能である。
(8)固定の構造上、様々な材質を用いても堅固な取り付けが可能であるので、材質を選ばない。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、眼鏡レンズの縁部に切欠部を設けてこの切欠部に取付部材はめ込んで取り付けるようにしたリムレス眼鏡であって、前記切欠部は、眼鏡レンズの縁から中央側に向かってほぼ一定の幅又は次第に狭まる幅を有し、その内周壁部に前記眼鏡レンズの表裏面にほぼ平行な突条又は溝条が形成されたものであり、取付部材は、この取付部材を前記眼鏡レンズの縁側から前記切欠部に挿入してはめ込むとき、前記切欠部の内周壁部に当たる部位に前記切欠部の突条又は溝条に嵌まる溝条又は突条が形成されたものであり、前記取付部材を眼鏡レンズの縁側から前記切欠部に挿入してはめ込んで取り付けるようにしたことを特徴とするもので、これにより、シンプルでかつ確実で堅固な取り付けを可能にし、有効視野の広さ、耐久性、美観、軽量化等を容易に確保でき、かつ製作も容易なリムレス眼鏡を得ているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るリムレス眼鏡の要部説明図である。
【図2】本発明の実施例に係るリムレス眼鏡の平面図である。
【図3】本発明の実施例に係るリムレス眼鏡の正面図である。
【図4】本発明の実施例に係るリムレス眼鏡の側面図である。
【図5】本発明の実施例に係るリムレス眼鏡の斜視図である。
【図6】眼鏡レンズ11の切欠部110に取付部材31をはめ込んで固定した部分の断面図である。
【図7】切欠部の他の例を示す図である。
【図8】切欠部の加工方法の説明図である。
【図9】切欠部の加工方法の説明図である。
【図10】切欠部を加工する際に用いるカッターの例を示す図である。
【図11】切欠部の加工例を示す図である。
【図12】切欠部の他の加工方法の説明図である。
【図13】本発明の他の実施例にかかるリムレス眼鏡の要部説明図である。
【図14】本発明の他の実施例にかかるリムレス眼鏡の要部説明図である。
【図15】本発明の他の実施例にかかるリムレス眼鏡の要部説明図である。
【図16】本発明の他の実施例にかかるリムレス眼鏡の要部説明図である。
【図17】本発明の他の実施例にかかるリムレス眼鏡の斜視図である。
【符号の説明】
11,12…眼鏡レンズ、2…ブリッジ、31,32…取付部材、41,42…テンプル、110…切欠部、111…突条、311…溝条、313,314…ヒンジ構造部。
Claims (7)
- リムを用いずに眼鏡レンズの縁部に切欠部を設けてこの切欠部に取付部材をはめ込んで取り付けるようにしたリムレス眼鏡であって、
前記切欠部は、前記眼鏡レンズの縁から中央側に向かって一定の幅又は次第に狭まる幅を有し、その内周壁部に前記眼鏡レンズの縁側から中央側に向かって表裏面にほぼ平行に形成された突条を有するものであり、前記取付部材は、この取付部材を前記眼鏡レンズの縁側から前記切欠部に挿入してはめ込むとき、前記切欠部の内周壁部に当たる部位に前記切欠部の突条に嵌まる溝条が形成されたものであり、前記取付部材を前記眼鏡レンズの縁側から前記切欠部に挿入し、前記取付部の溝条が前記切欠部の突条に嵌まるようにしてはめ込むことにより、前記取付部材を前記切欠部に取り付けるようにしたことを特徴とするリムレス眼鏡。 - リムを用いずに眼鏡レンズの縁部に切欠部を設けてこの切欠部に取付部材をはめ込んで取り付けるようにしたリムレス眼鏡であって、
前記切欠部は、前記眼鏡レンズの縁から中央側に向かって一定の幅又は次第に狭まる幅を有し、その内周壁部に前記眼鏡レンズの縁側から中央側に向かって表裏面にほぼ平行に形成された溝条を有するものであり、前記取付部材は、この取付部材を前記眼鏡レンズの縁側から前記切欠部に挿入してはめ込むとき、前記切欠部の内周壁部に当たる部位に前記切欠部の溝条に嵌まる突条が形成されたものであり、前記取付部材を前記眼鏡レンズの縁側から前記切欠部に挿入し、前記取付部の突条が前記切欠部の溝条に嵌まるようにしてはめ込むことにより、前記取付部材を前記切欠部に取り付けるようにしたことを特徴とするリムレス眼鏡。 - 前記取付部材の幅が切欠部の幅に等しいか又は小さいことを特徴とする請求項1又は2記載のリムレス眼鏡。
- 前記切欠部は、前記眼鏡レンズの表裏面の少なくともいずれか一方側が閉じられた形状をなすことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のリムレス眼鏡。
- 前記取付部材は、この取付部材が前記切欠部にはめ込まれる部位にヒンジ構造が設けられ、このヒンジ構造を介してテンプルが折り畳み可能に取り付けられるようになっているものであることを特徴とする請求項1又は2記載のリムレス眼鏡。
- リムを用いずに眼鏡レンズの縁部に切欠部を設けてこの切欠部に取付部材をはめ込んで取り付けるようにしたリムレス眼鏡用の眼鏡フレームであって、
前記取付部材は、前記切欠部にはめ込むときに、前記眼鏡レンズの縁部側に位置する部位から中央側に位置する部位に向かって一定の幅又は次第に狭まる幅を有し、この取付部材を前記眼鏡レンズの縁側から前記切欠部に挿入してはめ込むときに前記切欠部の内周壁部に当たる部位に設けられた突条であって前記眼鏡レンズの縁側から中央側に向かって表裏面にほぼ平行に形成された突条を有することを特徴とするリムレス眼鏡用の眼鏡フレーム。 - リムを用いずに眼鏡レンズの縁部に切欠部を設けてこの切欠部に取付部材をはめ込んで取り付けるようにしたリムレス眼鏡用の眼鏡フレームであって、
前記取付部材は、前記切欠部にはめ込むときに、前記眼鏡レンズの縁部側に位置する部位から中央側に位置する部位に向かって一定の幅又は次第に狭まる幅を有し、この取付部材を前記眼鏡レンズの縁側から前記切欠部に挿入してはめ込むときに前記切欠部の内周壁部に当たる部位に設けられた溝条であって前記眼鏡レンズの縁側から中央側に向かって表裏面にほぼ平行に形成された溝条を有することを特徴とするリムレス眼鏡用の眼鏡フレーム。
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