JPH0813207B2 - 苗移植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は例えば藺草等を植付ける苗移植機であって、
詳しくは苗のせ面上に上下姿勢の作物苗の根部を載置
し、この載置された物苗を苗取出し口に向けて送り出す
べく構成すると共に、前記苗取出し口に位置された先頭
の作物苗を、圃面に植付ける植付機構を設けてある苗移
植機に関する。

〔従来の技術〕

この種の苗移植機において、従来は、苗のせ面上に載
置された作物苗の横倒れを規制して整列状態を維持する
ように、縦姿勢の仕切壁だけが設けてあり、特に、前記
作物苗が苗のせ面より上方に移動することに対する考慮
は払われていなかった（例えば特願平１−23388号第１
図）。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところで、作物苗は上下方向に対して移動し易く、そ
れ故に、例えば縦送り機構によって繰出されている途中
に前後の作物苗に挟まれている作物苗が苗のせ面より浮
上り、その浮上った状態で苗取出し口まで繰出される
と、植付爪の作物苗に対する取出し保持位置が所定の茎
部より下方の根部部分になり、藺草等の苗であれば根部
より芽生える新芽を傷めることもあった。又、苗のせ面
より浮上る為に植付爪での取出しが旨く行かないことも
あった。

本発明の目的は、簡単な機構を追加することによっ
て、作物苗の苗のせ面よりの浮上りを抑制し、植付爪に
よる取出しをより良好に行えるものを提供する点にあ
る。

〔課題を解決するための手段〕

本発明による特徴構成は前記苗取出し口及びその苗取
出し口手前側に位置する作物苗の上部先端に情報より接
当作用して、前記作物苗束を所定の取出姿勢に誘導し維
持する苗ガイド体を設けてある点にあり、その作用効果
は次の通りである。

〔作 用〕

つまり、前記ガイド体によって前記苗取出し口近くま
で繰出された作物苗は押し付け作用を受け苗のせ面上よ
り起立する所定の取出姿勢に維持される。したがって、
植付爪の取出し作用位置は根部より情報の所定茎部位置
になり、かつ、作物苗は浮上姿勢にはないので横ズレす
ることもなく、植付爪によって確実に取出し保持され
る。

又、縦送り途中に苗のせ面より浮上したものであって
も、この苗ガイド体の設置部位まで繰出されると、この
苗ガイド体による案内作用を受けて、苗のせ面より起立
する所定取出姿勢に押え込まれる。

〔発明の効果〕

その結果、紙送りの途中で多少浮上状態にある作物苗
も苗取出し口では所定の取出し姿勢に維持されるので、
苗の取出しが良好で、藺草等であれば取出す際に植付爪
で新芽を傷めることもなく、かつ、作物苗の茎先端を押
える力によって、植付爪が衝撃的に苗に作用しても、苗
が上下左右に逃げることを、前記苗ガイド体が存在しな
い場合に比べて、抑えることができ、それだけ、植付爪
での取出し性能を良好にできる。

〔実施例〕

走行機体（図体）の後端に昇降リンク機構（１）を介
して取付けてある藺草用苗植付装置（Ａ）について説明
する。第６図に示すように、この苗植付装置（Ａ）は、
一定ストロークで往復横移動する苗のせ台（２）と、走
行機体（図外）側から動力伝達を受けるフィードケース
（３）と、このフィードケース（３）より後方に向けて
延出される複数個の植付ケース（４）と、この植付ケー
ス（４）の両横側面に軸支されている植付機構を構成す
る植付アーム（５）と、この植付アーム（５）の先端に
取付けてある植付爪（６）と、前記植付ケース（４）下
方に配置される整地フロート（７）とからなる。

次に、苗のせ台（２）の構造について説明する。第１
図ないし第３図に示すように、この苗のせ台（２）はそ
の苗のせ台（43）が植付条数分だけ複数箇所に区分さ
れ、この区分毎に横複数列の作物苗列を収納している。
この作物苗群に対しては、縦１列毎に隣接する苗群を区
画する樹脂板製の第１仕切壁（８）を複数個並設し、こ
れら複数個の仕切壁（８）は作物苗繰出し方向上手側端
部においてそれらの上端部と下端部とを横向きに貫通す
る丸棒状フレーム（9A），（9B）によって支持されると
ともに、作物苗繰出し方向下手側端部においてそれらの
上端部だけを横向きに貫通する丸棒状フレーム（9A）に
よって支持され、その丸棒状フレーム（9A），（9B）の
挿通部位を横向きに膨出させて隣接する第１仕切壁
（８）との間隔設定部（8a）としている。これら丸棒状
フレーム（9A），（9B）は一側端の仕切壁（8A）に片持
固定され、その遊端から他の第１仕切壁（８）を挿通組
付できるようになっている。そして、他側端の第１仕切
壁（8B）を丸棒状フレーム（9A），（9B）の遊端に組付
固定することによって、植付１条分の複数個の第１仕切
壁（８）をユニットとして構成でき、これらユニットを
苗のせ台（２）に対して取付け取外し可能である。これ
ら第１仕切壁（８）は収納藺草の茎部における上部側部
分に作用するように苗のせ面より一定高さだけの間隔を
あけた状態で設置され、この第１仕切壁（８）の下端対
応位置に苗スクイ板（21）が両端第１仕切壁（8A），
（8B）に支持された状態で配設されている。これら隣接
する第１仕切壁（８），（８）面の間に母株より株分け
した作物苗（ａ）を縦一列に収納するとともに、各収納
作物苗（ａ）の根部を前記苗スクイ板（21）で支持し、
作業者がこの苗スクイ板（21）と第１仕切壁（８），
（８）とを一体で苗のせ台（２）に載せ付け、前記苗ス
クイ板（21）を苗のせ台（２）上方に引抜き取出すと植
付可能となる。この苗スクイ板（21）を取外したその下
方には苗取り出し口（ｂ）に向けて作物苗（ａ）を繰出
すベルト式縦送り機構（10）が設けてあり、このベルト
式縦送り機構（10）は苗のせ台（２）上端の遊転輪（1
1）と下端の駆動輪（12）とに亘ってベルト（10a）が架
渡されて構成されている。

次に縦送り機構（10）と苗のせ台（２）の横移動構造
について説明する。第３図及び第６図に示すように、前
記フィードケース（３）に対して苗のせ台（２）の横送
り駆動軸（13）を支承するとともに、フィードケース
（３）より左右に突出した前記横送り駆動軸（13）の左
右端部にサポートアーム（14）を固着し、前記横送り駆
動軸（13）と平行な継ぎロッド（15）で左右サポートア
ーム（14），（14）を一体連結してある。前記横送り駆
動軸（13）のフィードケース（３）内に位置する部分に
対しては、同芯状に第１伝動軸（16）が外嵌されるとと
もに、この第１伝動軸（16）内面にコマ部材（図示せ
ず）と横送り駆動軸（13）の外周面に前記コマ部材と係
合する螺旋溝（13a）とが設けられ、前記第１伝動軸（1
6）自身の軸心回りの回転によって、前記横送り駆動軸
（13）が軸心方向に移動して苗のせ台（２）を横送りす
る。前記フィードケース（３）内に第１伝動軸（16）に
平行に第２伝動軸（17）を回転支承するとともに、この
第２伝動軸（17）をパイプ状に形成しこの内部に断面四
角形の縦送り駆動軸（18）を、前記第２伝動軸（17）と
一体回転可能にかつ縦送り駆動軸（18）の軸芯方向に移
動可能に枢支してある。そして、この縦送り駆動軸（1
8）と前記ベルト（10a）の駆動輪（12）とを連動アーム
（20）で連結し、前記駆動輪（12）を回転駆動すべく構
成してある。前記連動アーム（20）と前記駆動輪（12）
との間にワンウェイクラッチ（22）を設けるとともに、
前記連動アーム（20）を駆動基準位置に戻す戻しバネ
（図示せず）を設けてある。

一方、第４図に示すように、前記フィードケース
（３）内には、機体側原動部より動力伝達を受ける入力
軸（23）を設けるとともに、各植付ケースへの動力伝達
を行う中継軸（24）を配設し、この入力軸（23）と中継
軸（24）とをチェーン伝動機構（25）を介して伝動可能
に構成し、前記入力軸（23）と第１伝動軸（16）とをギ
ヤ伝動機構（26）を介して伝動可能に、かつ、入力軸
（23）と第２伝動軸（17）とをカム機構（27）を介して
間欠伝動可能に構成してある。したがって、縦送りベル
ト（10a）は前記入力軸（23）が一回転する毎に所定量
だけ間欠駆動される。

尚、第２図中（28）は植付爪（６）の作動に先行して
作動し、苗取出し口（ｂ）近くに繰出された先頭の作物
苗（ａ）を挾持し乍ら、苗取出し口（ｂ）まで押し下げ
る第１苗分離具である。

第４図に示すように、前記第１仕切壁（８）は苗取出
し口（ｂ）の上方まで延設されるとともに、その先端に
先頭の作物苗（ａ）を受止めかつ植付爪（６）による植
付作動時には前記先頭の作物苗（ａ）の植付移動を許容
する板状受止め具（29）が設けられ、この板状受け止め
具（29）が前記第１仕切壁（８）より片持状に延設して
ある。

前記縦送り機構（10）の作用終端位置を苗取出し口
（ｂ）より手前に設定するとともに、この縦送り機構
（10）の作用終端位置と苗取出し口（ｂ）との間に、縦
送り機構（10）より送り出された作物苗（ａ）の根部に
側方より作用して案内作用を施す第２仕切壁（30）を設
けてある。

前記苗取出し口（ｂ）部位には、第１図及び第５図に
示すように、植付爪（６）で掻取られる先頭の作物苗
（ａ）と共に後続する作物苗（ａ）が同時に取り出され
ることを防止する第２苗分離具（19）が設けられ、この
第２苗分離具（19）は横移動する苗のせ台（２）の下端
で縦送りされる先頭作物苗（ａ）を受け止める固定受け
板（31）に対して取付けられ、この固定受け板（31）に
相対上下動自在で、かつ苗のせ面上に間欠的に突出すべ
く構成してある。つまり、前記第２分離具（19）は、前
記植付アーム（５）を駆動する揺動アーム（32）を駆動
源として、連係リンク機構（33）を介して駆動され、植
付爪（６）が先頭の作物苗（ａ）を挟持する前に苗のせ
面上に突出して後続の作物苗（ａ）の根部を突き刺す状
態に保持し、植付爪（６）が挟持しおわると苗のせ面下
方に退入すべく作動する。第５図に示すように、この第
２苗分離具（19）は植付爪（６）の二叉状先端部の間に
入るように先細り状に形成され、両者が干渉しない構成
になっている。前記固定受け板（31）が苗のせ面に対し
て相対上下動して植付爪（６）による苗取り量を調節可
能であるが、前記第２苗分離具（19）が前記固定受け板
（31）に取付けられているので、苗取り量調節を行って
も第２苗分離具（19）の取付状態を変更することはな
い。

次に、第１図及び第２図に示すように、前記苗取出し
口（ｂ）及びこの苗取出し口（ｂ）の手前側に位置する
作物苗（ａ）の茎先端に設当作用して、前記作物苗
（ａ）を所定の取出し姿勢に誘導し維持する苗ガイド体
（34）について説明する。この苗ガイド体（34）は１条
分の苗のせ面横幅に対応する板状部材を横軸芯（Ｘ）周
りで上下揺動可能に回転軸に取付けられると共に、この
回転軸を支持する左右のブラケット（35），（35）を介
して苗のせ台（２）に取付支持されている。この苗ガイ
ド体（34）を駆動する装置は、前記回転軸と一体で前記
横軸芯（Ｘ）周りに揺動する受動アーム（36）と、縦送
り機構（10）の駆動輪（12）に連係されたリンク機構
（37）と、このリンク機構（37）からの動力を受ける中
継アーム（38）と、前記中継アーム（38）と前記受動ア
ーム（36）とを連係する作動ロッド（39）とからなる。
そして、この作動ロッド（39）と前記受動アーム（36）
との間に圧縮スプリング（40）を介装すると共に、この
圧縮スプリング（40）の押し力を受止め、かつ作動ロッ
ド（39）と受動アーム（36）との一体作動を現出する受
け止め具（41）を設け、この圧縮スプリング（40）力に
抗して受動アーム（36）は上向きに揺動可能である。そ
して、前記圧縮スプリング（40）力に抗して前記受動ア
ーム（36）を大きく揺動させると、前記苗ガイド体（3
4）が大きく揺動して苗のせ面上方空間を開放すると共
に、前記圧縮スプリング（40）によってその状態を維持
され、苗を補給する際に作業が容易に行える構成となっ
ている。この状態より、受動アーム（36）を戻してこの
受動アーム（36）と作動ロッド（39）を連係した状態で
前記中継アーム（38）が図面上で時計回りに回転する
と、前記苗ガイド体（34）を押し上げると共に、縦送り
の停止と共に前記中継アーム（38）が戻しスプリングに
よって反時計回りに回転すると、前記苗ガイド体（34）
が作物苗（ａ）の茎先端に作用する作用姿勢に切換わ
る。すると、苗のせ面より多少浮上状態にある作物苗
（ａ）を押し下げ所定の取出し姿勢に切換える。したが
って、第１苗分離具（28）および植付爪（６）が根部よ
りやや上方の茎部所定位置に挟持作用する、尚、前記受
け止め具（41）は受動アーム（36）側に属するコマ部材
（41A）とこのコマ部材（41A）を受け止めるべく作動ロ
ッド（39）側に取付けられたピン（41B）で形成され、
作動ロッド（39）の上下動に連動した受動アーム（36）
を一体で揺動させると共に、受動アーム（36）の作動ロ
ッド（39）に対する相対移動を許容する受け止め具であ
る。

〔別実施例〕 苗ガイド体（34）としては、縦送り機構（10）に連
動して作用状態と非作用状態とに切換わる構成のものを
示したが、固定式のものであっても良い。

縦送り機構（10）としては、ベルト式のものではな
く、単に、ピストン状のもので間歇的に作物苗（ａ）を
押し込んで行くものでも良い。

上記実施例では、藺草に適用した移植機で説明した
が、他の根洗い作物苗（ａ）の移植機に適用してもよ
い。

苗（ａ）を苗取出し口（ｂ）に向けて送り出して行
く形態としては、苗（ａ）の自然落下を利用するもので
もよい。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする
為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構
造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る苗移植機の実施例を示し、第１図は
苗ガイド体を示す側面図、第２図は苗ガイド体を示す横
断平面図、第３図は横送り駆動構造を示す断面図、第４
図（イ）は苗のせ台に作物苗を収納する状態を示す斜視
図、第４図（ロ）は（イ）のものを苗のせ台に搭載する
状態を示す斜視図、第５図は固定受け板を示す正面図、
第６図は全体側面図である。 （34）……苗ガイド体、（43）……苗のせ面、 （ａ）……作物苗、（ｂ）……苗取出し口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】苗のせ面上（43）に上下姿勢の作物苗
   （ａ）の根部を載置し、この載置された作物苗（ａ）を
   苗取出し口（ｂ）に向けて送り出すべく構成すると共
   に、前記苗取出し口（ｂ）に位置された先頭の作物苗
   （ａ）を、圃面に植付ける植付機構を設けてある苗移植
   機であって、前記苗取出し口（ｂ）及びその苗取出し口
   （ｂ）手前側に位置する作物苗（ａ）の上部先端に上方
   より接当作用して、前記作物苗（ａ）を所定の取出姿勢
   に誘導し維持する苗ガイド体（34）を設けてある苗移植
   機。