JP2567510B2 - 苗植付装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、横方向に往復移動駆動自在に構成した苗の
せ台と、この苗のせ台が横移動経路端部に至ると前記苗
のせ台上の苗を苗取出口がわに向けて送り出す縦送り装
置と、前記苗取出口から苗を取り出して植付ける植付け
機構とを備えた苗植付装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、この種の苗植付装置としては、例えば実開平２
−26419号公報に開示されたもののように、苗のせ台上
の苗の下端部より苗取出しされた後でも、苗のせ台が横
移動経路端部、すなわち、ストロークエンドに至るまで
苗が自重で苗取出口がわへ落ち込まないように、上方か
ら苗を押えるとともに、縦送り時のみ苗押え位置より引
退するように構成した苗押え棒を設けたものが知られて
いる。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記従来のもののように、苗押え棒を
用いたものでは、苗を単に押えているに止まるので、苗
の落ち込み防止をするために強く苗を押える必要がある
とともに、その押え構造と、苗押え棒を縦送りに連動し
て苗押え位置よりタイミング良く引退させる機構とを設
けることから、構造複雑でコスト高になる等の欠点があ
った。

また、従来は、苗を一定量づつ取出して植付け得るよ
うにするため、例えば特公昭55−29645号公報に開示さ
れたもののように、苗のせ台上の苗の下端の一列分で、
横方向に間隔を隔ててその床土部分に穴明けを行うよう
にしたものが知られている。この従来のものにあって
は、苗の床土部分に単に穴を明けるものに止まるので、
苗の根群のからみを取出量づつ断ち切るものでなく、こ
のため、苗取出に際して、苗の根群のからみを引き千切
りながら取出す点が解消されず、苗をくずれた状態で取
出して植付ける虞れが大であった。

本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、
苗のせ台の横送り時に苗のせ台上の苗が不当に落ち込ま
ないよう安価で構造簡単に抑制できるとともに、苗取出
量を一定に維持した状態で良好に苗取出可能な苗植付装
置の提供を目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明にかかる苗植付装置は、上記目的を達成するた
め、横方向に往復移動駆動自在に構成した苗のせ台と、
この苗のせ台が横移動経路端部に至ると前記苗のせ台上
の苗を苗取出口がわに向けて送り出す縦送り装置と、前
記苗取出口から苗を取り出して植付ける植付け機構とを
備えた苗植付装置において、前記苗のせ台上の苗の床土
に上方から突入して前記苗の位置ずれを規制するゲート
部材を昇降駆動自在に設けるとともに、前記ゲート部材
は、前記苗取出口に臨む苗を縦送り方向での前後に分断
するように苗取出しの一列分に相当する区画仕切用の切
目を形成する前後分断切目形成壁と、その前後分断切目
形成壁による分断方向とは交差する方向で前記苗に、苗
取出量に相当するピッチの区画毎で左右に分断する切目
を形成する左右分断切目形成壁を設けてあることを特徴
構成とする。

また、前記ゲート部材は、前記前後分断切目形成壁
と、前記左右分断切目形成壁とを、横断面形状Ｔ字状に
連設した突入爪部を複数個並設したものに構成してある
ものでも良い。

かかる特徴構成による作用効果は次の通りである。

〔作 用〕

すなわち、ゲート部材が苗のせ台上の苗の床土に上方
から突入することによって、苗が取出口がわへ落ち込ま
ないように制限するとともに、その突入によって、ゲー
ト部材は、前後分断切目形成壁により苗取出口に臨む苗
に対して苗取出しの一列分に相当する区画仕切り用の切
目を形成し、かつゲート部材の左右分断切目形成壁によ
って苗取出量に相当するピッチの区画を左右に分断する
切目を苗に形成するので、苗取出し量が一定でかつ苗の
くずれのない状態で苗取出しできることになる。

また、ゲート部材を、前後分断切目形成壁と、左右分
断切目形成壁とを横断面形状Ｔ字状に連設した突入爪部
を複数個並設して構成したものにあっては、苗取出しの
際に、切目形成壁と、仕切壁との連設箇所が植付爪を案
内できる構造となり、苗のくずれを抑制しながら、かつ
確実に苗取出できる。そして、苗のせ台の横送り時に
も、ゲート部材の左右分断切目形成壁によって苗が左右
に区画された状態で保持される。

〔発明の効果〕

従って、本発明によれば、ゲート部材は、苗のせ台上
の苗の落ち込みを防止することと、苗の取出量を一定に
しかつ苗の取出を良好に行うこととに部材を兼用するこ
とになって、従来のように苗押え棒を設けなくても良い
ので、構造の簡素化、並びにコストの低減化を図ること
ができるとともに、苗取出が適切な状態でなされて、良
好に植付できるに至った。

〔実施例〕

以下、本発明にかかる苗植付装置の実施例を、乗用型
田植機に適用したものにより、図面に基づいて説明す
る。

第１図に示すように、乗用型田植機の図外走行機体か
ら動力伝達される植付ミッション（１）から後方に延出
された伝動ケース（２）の横軸芯（P₁）回りに回転駆動
される植付ケース（３）、及びこの植付ケース（３）の
両端に軸支された植付アーム（４），（４）により植付
機構（Ａ）を構成して備えるとともに、伝動ケース
（２）に連設したガイドレール（５）上で左右に往復移
動自在に駆動される苗のせ台（６）を備え、かつ、苗の
せ台（６）上のマット状苗（Ｗ）をガイドレール（５）
に形成した苗取出口（７）がわへ向けて送り出す縦送り
装置（８）を備えて、苗植付装置を構成している。

苗のせ台（６）の横送り駆動構造について説明する。
第４図に示すように、植付ミッション（１）の左右から
一本の横送り軸（９）を突出させているとともに、この
横送り軸（９）の左右に苗のせ台（６）用の支持部材
（10）を連結している。これら支持部材（10）の上端部
にわたって補強部材（11）を架設連結するとともに、支
持部材（10）下端に横軸芯（P₂）周りに揺動自在な連結
アーム（12）を取付け、この連結アーム（12）を苗のせ
台（６）の背面に取付けている。以上の構造により、横
送り軸（９）全体を左右に横送り駆動することで苗のせ
台（６）をガイドレール（５）上でスライドさせる。

次に、縦送り装置（８）及びその駆動構造について説
明する。第１図及び第４図に示すように、苗のせ台
（６）の背面に１本の六角軸（13）を回転自在に支持す
るとともに、苗のせ台（６）の１つの植付条に対して一
対の駆動ローラ（14）を備え、この駆動ローラ（14）
は、六角軸（13）に対して外嵌しており、夫々の駆動ロ
ーラ（14）が六角軸（13）と一体に回動されるよう設け
ている。駆動ローラ（14）より上位がわに従動ローラ
（15）を配設し、駆動ローラ（14）と従動ローラ（15）
とにわたってゴム製で突起付きの送りベルト（16）を巻
回して縦送り装置（８）を構成している。

苗のせ台（６）が横送りのストロークエンドに達する
と駆動ローラ（14）と共に六角軸（13）が設定角度だけ
回転操作される。すなわち、第４図に示すように、前記
両支持部材（10）にわたって第１回動軸（17）を架設
し、第１回動軸（17）の一端に設けた第１回動部材（1
8）と、六角軸（13）における図示しないワンウェイク
ラッチを内装した駆動部（19）に連設した扇形のチェー
ンスプロケット（20）とにわたってチェーン（21）を架
設している。第１回動部材（18）は、第１回動軸（17）
で回動される扇形のスプロケットで構成されている。一
方、植付ミッション（１）の両側には苗のせ台（６）の
横送りに連動して回転駆動されるクランクアーム（22）
を設けてあり、苗のせ台（６）が横送りのストロークエ
ンドに達すると、クランクアーム（22）が第１回動軸
（17）の固定アーム（17a）に下方より接当してこれを
押し上げ、第１回動軸（17）、第１回動部材（18）、チ
ェーン（21）、チェーンスプロケット（20）、駆動部
（19）を介して六角軸（13）ひいては駆動ローラ（14）
を設定角度だけ回転駆動して、送りベルト（16）により
苗のせ台（６）上のマット状苗（Ｗ）を下方に送るので
あり、第１回動軸（17）に外嵌したリターンバネ（23）
によって、第１回動軸（17）、第１回動部材（18）、チ
ェーン（21）、チェーンスプロケット（20）は係止片
（17b）とストッパ（24）とで規制される非作用姿勢に
復帰する。

次に、苗のせ台（６）の横送りに際し、苗のせ台
（６）上のマット状苗（Ｗ）に上方から突入して苗
（Ｗ）の下方への落ち込みを阻止するゲート部材（25）
について説明する。

第１図及び第３図に示すように、苗のせ台（６）の両
横側、及び、各条に対応するマット状苗（Ｗ）を仕切る
苗のせ台（６）の膨出部（6A）に突設した支持ステー
（26）に一端がわを横軸芯（P₃）周りに揺動可能に枢支
した揺動アーム（27）の遊端部間にわたってゲート部材
（25）を架設している。ゲート部材（25）は、苗のせ台
（６）が横送りしているとき、すなわち苗のせ台（６）
がストロークエンドに達していないとき、自動によって
その下端部がマット状苗（Ｗ）の床土に上方から突入す
るようにしてあり、その突入によって苗取出口（７）に
臨む苗（Ｗ）に対して縦送り方向で前後に分断して苗取
出しの一列分に相当する区画仕切用の切目（ａ）を形成
する前後分断切目形成壁（25A）を左右方向に沿って設
けているとともに、植付アーム（４）の植付爪（4a）が
苗取出口（７）から苗取出しする際の苗取出量に相当す
るピッチの区画（Ｓ）を左右に分断形成する左右分断切
目形成壁（25B）を前後分断切目形成壁（25A）に対して
直交する状態で上下に連設している。前後分断切目形成
壁（25A）と左右分断切目形成壁（25B）の下端部は、苗
（Ｗ）の床土への突入時にその床土に切目（ａ）を形成
するようくさび状に構成している。

第１図に示すように、前記揺動アーム（27）のうち、
駆動部（19）を設けたがわの端部の揺動アーム（27）の
途中部に、ロッド（28）の上端部を枢支するとともに、
このロッド（28）の下端部を、横軸芯（P₄）周りに揺動
可能に支持されたベルクランク（29）の一端に枢支し
て、ロッド（28）を苗のせ台（６）の苗のせ面にほぼ直
交する方向で往復移動可能に案内されるよう設定してあ
り、ベルクランク（29）の他端のアーム端部に軸支した
ローラ（30）を、前記チェーン（21）の中間部位、すな
わち第１回動部材（18）とチェーンスプロケット（20）
とにわたって架設されたチェーン（21）の中間部位に、
チェーン（21）が弯曲する状態で接当押圧させている。
従って、苗のせ台（６）が横送りのストロークエンドに
達したときに、縦送り装置（８）を駆動するため、第１
回動部材（18）が回転してチェーン（21）が引張られる
と、その張力によってチェーン（21）の弯曲部分が直線
状に伸びて、ローラ（30）を上方へ押し出し、これに伴
ってロッド（28）が上昇移動して揺動アーム（27）を持
ち上げ、突入姿勢のゲート部材（25）を苗（Ｗ）の縦送
り可能な上方位置へ退避させる。苗（Ｗ）の縦送りが終
了すると、チェーン（21）の張力が緩んで、ゲート部材
（25）が自重落下することになる。

次に、第２実施例について説明する。

第５図及び第６図に示すように、ゲート部材（25）
を、苗取出しの一列分に相当する区画仕切用の切目
（ａ）を形成する前後分断切目形成壁（25A）と、苗取
出量に相当するピッチの区画（Ｓ）を左右に分断形成す
る左右分断切目形成壁（25B）とを、横断面形状Ｔ字状
に連設した突入爪部（31）を複数個並設して構成してい
る。尚、隣接する突入爪部（31）間には、苗（Ｗ）の縦
送り方向に開放した開口（32）を形成している。苗取出
しする際には、突入爪部（31）における前後切目形成壁
（25A）と左右分断切目形成壁（25B）との連設箇所にほ
ぼ沿うよう植付爪（4a）の先端部分が案内されるので、
区画（Ｓ）内の所定量の苗（Ｗ）をくずれないよう良好
に取出すことになる。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする
為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構
造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る苗植付装置の実施例を示し、第１図
は苗植付装置の要部を示す側面図、第２図は第１実施例
のゲート部材を示す斜視図、第３図は苗のせ台上の苗に
対する第１実施例のゲート部材の作用を示す平面図、第
４図は苗のせ台の横送り構造及び苗の縦送り装置を示す
横断平面図、第５図は第２実施例のゲート部材を示す縦
断側面図、第６図は第２実施例のゲート部材を示す斜視
図である。 （６）……苗のせ台、（７）……苗取出口、（８）……
縦送り装置、（25）……ゲート部材、（25A）……前後
分断切目形成壁、（25B）……左右分断切目形成壁、（3
1）……突入爪部、（Ａ）……植付け機構、（Ｓ）……
区画、（Ｗ）……苗。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】横方向に往復移動駆動自在に構成した苗の
   せ台（６）と、この苗のせ台（６）が横移動経路端部に
   至ると前記苗のせ台（６）上の苗（Ｗ）を苗取出口
   （７）がわに向けて送り出す縦送り装置（８）と、前記
   苗取出口（７）から苗（Ｗ）を取り出して植付ける植付
   け機構（Ａ）とを備えた苗植付装置において、前記苗の
   せ台（６）上の苗（Ｗ）の床土に上方から突入して前記
   苗（Ｗ）の位置ずれを規制するゲート部材（25）を昇降
   駆動自在に設けるとともに、前記ゲート部材（25）は、
   前記苗取出口（７）に臨む苗（Ｗ）を縦送り方向での前
   後に分断するように苗取出しの一列分に相当する区画仕
   切用の切目を形成する前後分断切目形成壁（25A）と、
   その前後分断切目形成壁（25A）による分断方向とは交
   差する方向で前記苗（Ｗ）に、苗取出量に相当するピッ
   チの区画（Ｓ）毎で左右に分断する切目を形成する左右
   分断切目形成壁（25B）を設けてあることを特徴とする
   苗植付装置。
2. 【請求項２】前記ゲート部材（25）は、前記前後分断切
   目形成壁（25A）と、前記左右分断切目形成壁（25B）と
   を、横断面形状Ｔ字状に連設した突入爪部（31）を複数
   個並設したものに構成してある請求項１記載の苗植付装
   置。