JP2675229B2 - 苗移植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば藺草苗等の作物
苗を圃場に植付けるための苗移植機に関し、詳しくは、
一定ピッチで上下動して、苗のせ台の下端部を摺動自在
に支持する摺動レールに形成した苗取り出し口から植付
け対象苗を取り出して圃場に植付ける植付爪を備えると
ともに、この植付爪の苗取り出し作動に先立って植付け
対象苗に作用して前記苗取り出し口に向けて押出し保持
する作用姿勢と外方に退避する姿勢とに亘り前記植付爪
の作動に同期して切り換え自在な苗保持具を設けてある
苗移植機に関する。

【０００２】

【従来の技術】上記苗移植機において、従来では、例え
ば特開平３−１８０１０９号公報に開示されるように、
苗取り出し口の上方側は開放状態に形成されていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来構造は、植付
爪や苗保持具の侵入を阻害することが無いようにしなが
ら、苗の取り出しも容易に行えるようにしたものであ
る。ところが、藺草等の作物苗は予め株分けされた状態
で苗のせ台に載置される場合があり、このように株分け
された苗では、連続状に連なった稲苗の如くマット状に
根が絡まりあった苗と異なり、一株毎に分離されている
ので、植付け対象苗が開放状態の苗取り出し口に臨む状
態に到り、かつ、前記苗保持具によって苗取り出し口に
向けて押し出し作用を受けると、植付爪の取り出し作動
に先立って、取り出し口から外方に落下して圃場に投げ
出されて倒れてしまうおそれがあった。本発明は上記不
具合点を解消することを目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の特徴構成は、冒
頭に記載した苗移植機において、前記苗取り出し口にお
ける前記苗保持具の作用箇所と前記植付爪の苗取り出し
作用箇所との間に苗受け止め具を配設してある点にあ
る。

【０００５】

【作用】植付け対象苗が下側が開放された苗取り出し口
の近くに到り、かつ、苗保持具によって苗取り出し口に
向けて押し出し作用を受け、当該苗が苗取り出し口から
落下しかかった場合であっても、苗保持具の作用箇所に
近い位置に配設される苗受け止め具と苗保持具自身の近
接作動によって、当該苗が挟み込み保持され、下方に抜
け落ちるのを防止することができ、苗保持具のすぐ後に
作用する植付爪により確実に保持されて圃場に植付けら
れることになる。

【０００６】

【発明の効果】従って、藺草苗のように予め株分けされ
分離し易い作物苗であって、しかも、植付爪の作動に先
立って苗を苗取り出し口に向けて押し出すようにして植
付爪による苗保持が確実に行えるよう構成したものであ
っても、植付爪の取り出し作動に先立って苗が落下して
しまうのを有効に防止して、苗を倒伏状態で放出したり
するのを阻止して、欠株の発生を抑制して円滑な植付け
作動を維持できるものとなった。

【０００７】

【実施例】以下、実施例を図面に基いて説明する。図５
に藺草苗移植機を示している。図示しない走行機体の後
部にリンク機構１を介して昇降自在に苗植付装置２を連
結して構成してある。苗植付装置２は、フレーム兼用の
植付伝動ケース３に対して一定ピッチで左右往復移動す
る苗のせ台４、一定ピッチで上下動して苗のせ台４の下
端部を摺動自在に支持する摺動レール５に形成した苗取
り出し口６から苗を取り出して圃場に植付ける植付爪
７、植付爪７の苗取り出し作動に先立って苗に作用し
て、植付け対象苗を苗取り出し口６に向けて押し出し保
持する苗保持具８等を備えて構成してある。前記苗のせ
台４の苗載置面には、予め株分けされた状態で載置され
た藺草苗を苗取り出し口６に向けて縦送りする突起付き
無端回動式縦送りベルト９〔縦送り装置の一例〕を配備
するとともに、苗のせ台４に載置された作物苗を後方側
から押し作用する押し板１０を自重でスライド移動自在
に設けてある。この押し板１０は、苗のせ台４の下端部
に立設したフレーム部１１の上部に架設した支軸１２に
片持ち状に支持された支持棒１３によって、その上部を
スライド自在に係合支持してあり、下端部は苗のせ台４
の苗載置面４ａに沿って摺動しながら自重で苗消費に伴
って苗を押しながらスライド移動するよう構成してあ
る。そして、図３、図４に示すように、苗のせ台４の縦
送りベルト９の送り方向上手側の苗載置面４ａには、前
記押し板１０の摺動抵抗が少なくなるよう複数の突条１
４を形成してある。又、このように突条１４を形成する
ことで、苗の供給時に苗を収納した収納箱〔図示せず〕
をスライドさせる場合にも摺動抵抗が少なくなるととも
に、植付け作業中にも、載置苗が横ずれするのを防止す
る機能も有する。前記植付爪７は、揺動クランク機構１
８により支持される植付ケース１９の先端部に取付けら
れ、側面視ほぼ楕円軌跡を描きながら上下動して、苗取
り出し口６に侵入して苗を取り出し圃場に植付けるよう
構成してある。前記苗保持具８は、植付伝動ケース３に
前後の揺動アーム１５，１６を介して平行四連リンク機
構により前後揺動移動自在に支持され、伝動ケース３内
に配備したギア咬合機構２０によって、後方の退避位置
と前方に揺動して先端の保持爪８ａが植付け対象苗の根
部よりも上部側箇所に突入して当該苗を苗取り出し口６
に向けて押し出し保持するとともに、後続苗との間を分
離する作用位置とに切り換え揺動駆動するよう構成して
ある。尚、この姿勢切り換え作動は植付爪７の駆動と同
期して行われ、植付爪７による苗取り出し作動に先立っ
て作用姿勢に切り換わるよう駆動タイミングを設定して
ある。つまり、前記揺動クランク機構１８におけるクラ
ンク回転アーム２１の駆動軸２２からギア咬合機構２０
により揺動アーム１５を前後に揺動駆動するよう連係し
てある。前記摺動レール５の苗取り出し口６の下方側に
は、植付爪７により取り出し保持される苗を植付け箇所
に案内する断面コの字形の苗ガイド１６をボルトで取付
け固定してある。そして、図１、図２に示すように、苗
ガイド１６の取付け用ボルトにより共締め状態で丸棒を
コの字形に屈曲成形した支持部材１７を取付けてある。
この支持部材１７の左右縦延設部１７ａは苗取り出し口
６の左右側縁に沿う状態に構成され、上部横延設部１７
ｂ〔苗受け止め具の一例〕が苗保持具８の作用通過箇所
と植付爪７の作用通過箇所の間に位置するよう構成して
ある。このように構成すると、苗保持具８が退避姿勢か
ら作用姿勢に切り換わる時、株分けされている当該植付
け対象苗が、前記支持部材１７の上部横延設部１７ｂに
受け止め支持され、その上方側から近接した状態で苗に
作用する苗保持具８の保持爪８ａと上部横延設部１７ｂ
とによって苗が挟み込み保持され、苗取り出し口６から
下方に落下するのを防止できることになる。

【０００８】〔別実施例〕前記苗受け止め具としては、
上記したように棒材をコの字形に形成するものに代え
て、摺動レールの苗取り出し口形成部の上部同志を連結
させる構成としてもよく、簡単に着脱自在に取付ける構
成としてもよい。

【０００９】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】苗取り出し部の切欠側面図

【図２】苗取り出し部の後面図

【図３】苗のせ台の平面図

【図４】苗のせ台の断面図

【図５】苗移植機の側面図

【符号の説明】

４ 苗のせ台 ５ 摺動レール ６ 苗取り出し口 ７ 植付爪 ８ 苗保持具 １７ｂ 苗受け止め具

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一定ピッチで上下動して、苗のせ台
   （４）の下端部を摺動自在に支持する摺動レール（５）
   に形成した苗取り出し口（６）から植付け対象苗を取り
   出して圃場に植付ける植付爪（７）を備えるとともに、
   この植付爪（７）の苗取り出し作動に先立って植付け対
   象苗に作用して前記苗取り出し口（６）に向けて押出し
   保持する作用姿勢と外方に退避する姿勢とに亘り前記植
   付爪（７）の作動に同期して切り換え自在な苗保持具
   （８）を設けてある苗移植機であって、前記苗取り出し
   口（６）における前記苗保持具（８）の作用箇所と前記
   植付爪（７）の苗取り出し作用箇所との間に苗受け止め
   具（１７ｂ）を配設してある苗移植機。