JP2503098B2 - 藺草移植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は藺草の苗を圃場に植付けて行く藺草移植機に
関する。

〔従来の技術］ 藺草移植機としては通常の稲用の田植機と同様に、藺
草の苗を載置する苗のせ台と、この苗のせ台の往復横送
り駆動に連動して、苗取出し口から苗のせ台の苗を取り
出して圃場に植付けて行く植付爪、及び苗のせ台が横送
りのストロークエンドに達すると、苗のせ台上の苗を苗
取出し口側に送る縦送り機構を備えたものがある。

このような藺草移植機においては、苗の母株を株分け
せずにそのまま苗のせ台に載置して、稲のマット状苗用
の田植機に近い状態で藺草の苗の移植を行うことが提案
されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

藺草においては苗の茎部がそのまま成長して行くので
はなく、苗の根部から出ている新芽が成長して行く。従
って、前述の藺草移植機では新芽を傷めないように、植
付爪が根部より若干上方の茎部を挾持して苗を植付けて
行くように構成している。

しかし、藺草の苗の茎部は稲に比べて太く重い。又、
藺草の苗の根部においては事前に土が払い落とされてい
るのが一般的である。

従って、前述のように藺草の苗の母株を稲と同じよう
にそのまま苗のせ台に載置すると、根部に土が無いこと
による苗の不安定及び茎部が重いことによる高重心によ
り、苗取出し口付近で苗が横に傾く場合がある。これに
より、植付爪で苗をうまく挾持できなくなり、植付不良
の生ずるおそれがある。

本発明は植付爪が苗取出し口を通過する際に、苗を支
障なく取り出すことができるように構成することを目的
としている。

〔問題を解決するための手段〕

本発明の特徴は以上のような藺草移植機において、次
のように構成することにある。つまり、苗のせ台の縦送
り機構による苗の縦送りに伴って苗の茎部を分けて行く
茎分け部を、前記苗のせ台における植付爪の通過軌跡の
上方近傍に、苗取出し口の横幅と同じピッチで配列して
あることにあり、その作用及び効果は次のとおりであ
る。

〔作用〕

前述のように構成すると、例えば第１図及び第２図に
示すように、苗のせ台（８）の苗（Ａ）が縦送り機構
（11）により苗取出し口（12）側に送られると、苗
（Ａ）の茎部が各茎分け部（10）の間に入り込んで行
く。従って、この茎分け部（10）により、苗取出し口
（12）付近での苗（Ａ）の横倒れが防止されると共に、
植付爪（3a）により取り出される一株の苗（Ａ）同志の
間に若干の隙間ができることになる。

従って、植付爪（3a）が苗取出し口（12）を通過する
際に、その先端が苗（Ａ）同志の前記隙間に入り込んで
一株の苗（Ａ）が植付爪（3a）に正しく挾持されて取り
出されることになる。

〔発明の効果〕

以上のように、苗取出し口付近での苗の横倒れを防止
すること及び一株の苗同志の間に隙間ができるように構
成することによって、植付爪が一株の苗を正しく挾持し
て植付けて行くことができるようになり、植付不良を未
然に防止することができた。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明す
る。

第１図は藺草移植機の全体側面を示しており、植付ミ
ッションケース（１）の後部にて回転駆動されるクラン
クアーム（２）に、植付爪（3a）を備えた植付アーム
（３）が取り付けられ、植付ミッションケース（１）の
上面に固定されたガイドレール（７）に沿って、往復ス
ライド駆動される苗のせ台（８）が備えられると共に、
植付ミッションケース（１）の下部にフロート（13）が
支持されて藺草移植機が構成されている。

次に、苗のせ台（８）への苗（Ａ）の載置構造につい
て説明する。第１図及び第３図に示すように、苗のせ台
（８）の仕切り部（8a）に仕切り板（４）が固定される
と共に、平面視コ字状で軟質樹脂製の支持ガイド（５）
が左右の仕切り板（４）の両上端に亘り、スライド自在
に嵌め付けられている。そして、各支持ガイド（５）内
に苗（Ａ）を入れ込むのであり、各苗（Ａ）のガイドレ
ール（７）側への倒れが、支持ガイド（５）の横棧部
（5a）により防止される。

これに対して苗のせ台（８）には、苗のせ台（８）が
往復スライドのストロークエンドに達した際に、苗
（Ａ）を下方のガイドレール（７）側に送るベルト式の
縦送り機構（11）が設けられている。そして、仕切り板
（４）の最上端には、仕切り板（４）の両上端に亘り苗
押し板（６）がスライド自在に取り付けられると共に、
苗押し板（６）の下端が縦送り機構（11）における苗
（Ａ）送り用の突部（11a）に係合するようにしてい
る。

以上の構成により、縦送り機構（11）の作動に伴って
苗押し板（６）が、ガイドレール（７）側にスライドさ
せられて苗（Ａ）を押す。従って、この苗押し板（６）
及び縦送り機構（11）により苗（Ａ）と支持ガイド
（５）が一体でガイドレール（７）側に送られて行く。

ガイドレール（７）においては、植付爪（3a）が通過
する苗取出し口（12）が設けられている。そして、第１
図及び第２図に示すように苗取出し口（12）を挟むよう
に自由回転可能なプーリー（15）が配置されており、こ
のプーリー（15）に突起付きのゴムベルト（16）が巻回
されている。これにより、苗のせ台（８）がガイドレー
ル（７）に沿って左右に送られる際に、苗（Ａ）の最下
部がゴムベルト（16）に載って崩れることなく苗のせ台
（８）と一緒に送られるようにしているのである。

第1,2,3図に示すように、仕切り板（４）の最下部に
は支持棒（９）が全条に亘って架設固定されており、苗
（Ａ）の茎部の下方への倒れが支持棒（９）により支え
られる。そして、平面視三角形状の頭部（10a）を備え
た茎分け部（10）が、苗取出し口（12）の横幅と同じ配
列ピッチで支持棒（９）に固定されている。これによ
り、苗（Ａ）がガイドレール（７）側に送られるに伴っ
て、苗（Ａ）の茎部が各茎分け部（10）の間に入り込ん
で行き、頭部（10a）により苗（Ａ）の茎部が抱き込ま
れるように支持される。

以上の構造により、第１図に示すように植付爪（3a）
の先端が通過軌跡（Ｔ）を通りながら、苗（Ａ）の根部
と支持棒（９）との間に入り込み、茎分け部（10）の間
の苗（Ａ）の茎部が挾持する。そして、植付爪（3a）は
苗取出し口（12）を通過し苗（Ａ）を圃場（Ｇ）に植付
けて行く。

植付爪（3a）の苗取出し口（12）の通過後に、苗のせ
台（８）がガイドレール（７）に沿って苗取出し口（1
2）の横幅に相当するストロークだけ送られる。そし
て、苗のせ台（８）が横送りのストロークエンドに達す
ると、苗（Ａ）が縦送り機構（11）によりガイドレール
（７）側に設定ストロークだけ送られるのでる。又、仕
切り板（４）の両上端に沿って送られる支持ガイド
（５）は、植付ミッションケース（１）に固定された受
け台（14）に送り込まれて回収される。

又、第1,2,4図に示すように苗取出し口（12）の下方
には、３箇所に空気を噴出するノズル（17）及び風車
（18）が配置されており、苗取出し口（12）に位置する
苗（Ａ）と隣の苗（Ａ）とを極力分けるように構成して
いる。

〔別実施例〕

第５図に示すように前後の長さの異なる２種類の茎分
け部（10）を、苗取出し口（12）の横幅と同じ配列のピ
ッチで交互に配列してもよい。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする
為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構
造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る藺草移植機の実施例を示し、第１図
は藺草移植機の全体側面図、第２図は苗取出し口付近の
平面図、第３図は苗の載置状態を示す苗のせ台の部分斜
視図、第４図は苗取出し口付近の正面図、第５図は別実
施例における苗取出し口付近の平面図である。 （3a）……植付爪、（８）……苗のせ台、（10）……茎
分け部、（11）……縦送り機構、（12）……苗苗取出し
口、（Ａ）……苗、（Ｔ）……植付爪の通過軌跡。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】藺草の苗（Ａ）を載置する苗のせ台（８）
   と、この苗のせ台（８）の往復横送り駆動に連動して、
   苗取出し口（12）から苗のせ台（８）の苗（Ａ）を取り
   出して圃場（Ｇ）に植付けて行く植付爪（3a）と、前記
   苗のせ台（８）が横送りのストロークエンドに達する
   と、苗のせ台（８）上の苗（Ａ）を苗取出し口（12）側
   に送る縦送り機構（11）とを備えた藺草移植機であっ
   て、前記縦送り機構（11）による苗（Ａ）の縦送りに伴
   って苗（Ａ）の茎部を分けて行く茎分け部（10）を、前
   記苗のせ台（８）における植付爪（3a）の通過軌跡
   （Ｔ）の上方近傍に、前記苗取出し口（12）の横幅と同
   じピッチで配列してある藺草移植機。