JPH08289637A - い草移植機における横送り機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 植付ミッションケースＦより側方へ横送り軸
２２を突出し、該横送り軸上に横送り溝２２ｂを穿設し
て、該横送り軸の回転により苗載台２４を左右に摺動
し、植付爪１１により苗載台下端の苗を一定量ずつ掻き
取って植付けるい草移植機において、苗載台上に載置し
てい草苗を植えつける時に、各条における両端と中央部
のい草苗の植付け本数にバラツキがないようにする。 【構成】 植付爪１１により苗載台２４から苗を掻き取
る時の、苗載台の横送りピッチを、両端が中央部より短
くし、横送り軸２２の横送り溝２２ｂの左右終端の位置
ｄ・ｄ’を、軸心回りに１８０°ずらせ、また、前記苗
載台の各条の下部毎に苗の下部を受けるスライダベルト
１６を配置し、該スライダベルトを両側で巻回するロー
ラー２０・２０のピッチＷを、苗載台の横送り距離Ｖと
略一致させた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、い草移植機において、
い草苗を植付爪で切り取り植け付ける一株の本数を一定
にして、植付を行える横送り構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、い草の苗を圃場より収穫した
後に、い草用カセットに収納してい草移植機の苗載台に
セットし、植付作業を行うことは公知となっている。こ
のい草を移植機によって植付ける時には、い草苗は苗載
台の下端より順に植付爪によって一定幅ずつ切り取られ
るが、苗載台上のい草の詰まり状態は必ずしも均等な密
度ではない。つまり、い草苗は圃場より数株ずつ掘取
り、ほぐしてからい草用カセットに収納するので、い草
カセット内においては中央部より両側の苗の密度が疎に
なっていた。よって、い草苗は、苗載台の左右方向への
横送り駆動によりい草苗が順に横送りされて切り取って
ゆくものであるから、等間隔でい草苗を切り取って植付
けていくと、両側の一株の本数は少なくなり植付本数が
バラツいてしまう。

【０００３】そこで、図８及び図９に示す如く、横送り
軸２２に穿設した横送り溝２２ｂを等ピッチＭ”で穿設
し、該横送り軸２２が一回転する毎に該植付爪により切
り取る構成とし、横送り軸２２の左右終端位置ｄ・ｄ’
（横送りの終端位置）においては、い草苗の下端部を一
段取り終えると、すぐに反転して、その一ピッチ分横か
ら切り取り、両側を一回分圧縮する。言い換えれば、そ
の両側で二回取らずに一回として、例えば、一段を１０
等分した場合には、その内の９回分を切り取り植付ける
構成とするようにしていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術に
おいて、両側で２回分を圧縮すると中央側の一株よりも
多くなってしまいバラツキは解消できない。また、横送
り軸上の植付爪により切り取りを行う位置は、図９に示
す如く、スベリ子２３ａの位置は横送り軸の横送り溝の
交差部２２ｅに位置する構成になっていた。この瞬間に
おいては、植付爪は下死点に位置し、大きな負荷が発生
しており、横送り溝２２ｂにも大きな負荷がかかってお
り、該横送り溝２２ｂを回動する時に、遅れやズレ等が
生じると、交差部２２ｅにおいてスベリ子２３ａが山部
に当たり、欠ける等の不具合が発生していた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明が解決しようとす
る課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するため
の手段を説明する。即ち、い草移植機の後部に植付部を
配置し、該植付部の植付ミッションケースより側方へ横
送り軸を突出し、該横送り軸上に横送り溝を穿設して、
該横送り溝に苗載台に固定したスベリ子を嵌入して、該
横送り軸の回転により苗載台を左右に摺動し、植付爪に
より苗載台下端の苗を一定量ずつ掻き取って植付けるい
草移植機において、植付爪により苗載台から苗を掻き取
る時の、苗載台の横送りピッチを、両端が中央部の横送
りピッチより短くしたものである。また、前記横送り軸
において、横送り溝の左右終端の位置を、軸心回りに１
８０°ずらせ、また、前記苗載台の各条の下部毎に苗の
下部を受けるスライダベルトを配置し、該スライダベル
トを両側で巻回するローラーのピッチを、苗載台の横送
り距離と略一致させた。

【０００６】

【作用】上記のような手段を用いることによって、い草
苗を切り取る時点でのスベリ子の横送り溝におけるピッ
チが溝の交差部よりずれて、い草苗を切り取る時に欠け
が生じることがない。また、横送り溝の両端のピッチを
短くする構成にしたことで、端部を圧縮して切り取る構
成になっているが、その株の苗本数を過剰に多くするこ
となく、各一株本数を略均等にすることができる。更
に、スライドベルトのローラーピッチを横送り量と略等
しく構成したことで苗載台の左右摺動が円滑になりスベ
リ子と横送り溝との間における負荷を軽減する構成にな
る。

【０００７】

【実施例】本発明の構成の実施例を添付の図面を用いて
説明する。図１は本発明を採用したい草移植機の側面
図、図２は植付ミッションケースＦより横送り軸を突出
した正面図一部断面図、図３は本発明の横送り軸の横送
り溝の形状を示す正面図、図４は同じく本発明の横送り
軸の横送り溝の展開図、図５は苗載台下部のスライダベ
ルト部の平面図、図６は苗載台における植付爪によりい
草苗を切り取りる工程を示す後面図、図７は同じく縦送
り後の苗載台におけるい草苗の切り取り工程を示す後面
図、図８は従来の横送り軸の横送り溝の形状を示す正面
図、図９は同じく従来の横送り軸の横送り溝の展開図で
ある。

【０００８】図１よりい草移植機の全体構造について説
明する。走行車体Ｇの後部には平行リンク４３・４４を
介して植付部Ｈを昇降自在に連結している。植付部Ｈ
は、下方前部の中央に植付ミッションケースＦが配設さ
れていて、該植付ミッションケースＦにおいて、走行車
体Ｇ後部のＰＴＯ軸よりユニバーサルジョイント等を介
して動力が伝動される。植付ミッションケースＦ上には
苗載台２４が横往復摺動可能にガイドレール上に載置さ
れ、また、前記植付ミッションケースＦより後方に突設
した複数の植付伝動ケース３３を介して、その後端部に
配設した植付アーム３６の先端に配設した植付爪１１を
駆動して、苗載台２４下端よりい草苗を切り取り圃場に
植付けるようにしている。植付部Ｈの下部にはフロート
３９を吊設している。

【０００９】図２において、植付ミッションケースＦの
入力軸３０に前記ＰＴＯ軸より動力が伝達されて、一方
は植付ミッションケースＦに前端部を固設した植付伝動
ケース３３内の植付爪伝動軸３５に動力を伝達し、各植
付爪伝動ケース３３内でチェーン伝動にて植付アーム３
６を駆動し、植付爪１１をクランク運動させて、苗載台
２４より苗を掻き取り植付ける。

【００１０】他方、植付ミッションケースＦ内で変速し
た動力が横送り軸２２に動力を伝え、該横送り軸２２に
はスベリ子摺動用の横送り溝２２ｂを穿設しており、該
横送り軸２２にスベリ子受け２３を遊嵌し、該横送り溝
２２ｂに該スベリ子受け２３内に付設したスベリ子２３
ａを嵌入して、該横送り軸２２の回動に伴って、該スベ
リ子２３ａが該横送り溝２２ｂ内を摺動し、該スベリ子
受け２３が該横送り軸２２上を左右に往復摺動するよう
にしている。該スベリ子受け２３は後方に突設し、苗載
台２４より前方に突出する連結アームと連結し、横送り
軸２２の回動によって該苗載台２４を左右往復動するよ
うにしている。

【００１１】苗載台２４下端はガイドレール２５に支持
され、該ガイドレール２５には条毎に苗取り口２５ａを
開口している。また、苗載台２４下部の底部には図５示
すようにスライダベルト１６が左右方向に回動するよう
に配設され、該スライダベルト１６上には突起１６ａを
突出して、苗載台２４の各条を仕切るリブ５１の底部と
係合させている。そして、スライダベルト１６とスライ
ダベルト１６の間に苗取り口２５ａを配置している。こ
のスライダベルト１６の両端は苗載台側に枢支したロー
ラー２０・２０に回転自在に巻回され、ガイドローラー
２１・２１・・・によってガイドされている。

【００１２】前記ローラー２０・２０間の距離Ｗは横送
り軸２２の駆動によって横送りされる苗載台２４の横送
り量Ｖと等しくしている。この横送りによって、突起１
６ａを介してスライダベルト１６が苗載台２４の摺動に
同調して回動し、横送り量Ｖとローラー２０・２０間の
距離Ｗが等しいので、該苗載台２４の横送り時にスライ
ダベルト１６が円滑に回動して、異常に緊張することが
ない。

【００１３】次に、本発明の横送り軸２２について図
３、図４を用いて説明する。該横送り軸２２上には螺旋
状の左回りと右回りの横送り溝２２ｂが穿設され、該横
送り溝２２ｂの中央部は等間隔にピッチＭとなるように
穿設し、左右の両端部のピッチＭ’は前記ピッチＭに対
して若干短くなるように構成にしている。そして、横送
り溝２２ｂの両端ｄ・ｄ’は軸心回りで１８０°位置が
ずれるように構成している。

【００１４】そして、植付アーム３６が下死点に位置し
た時のスベリ子２３ａの位置が図４に示す白丸で往路位
置Ａ１〜Ａ９を示し、黒丸で復路位置Ｂ１〜Ｂ９をしめ
しており、この下死点位置は横送り溝２２ｂ上におい
て、交差部に位置しないように構成している。つまり、
図４は往復１８回取りの場合の横送り軸２２の展開図で
あり、図中の白丸印Ａ１〜Ａ９は植付爪１１が前記苗取
り口２５ａよりい草苗１を切り取って植付アーム３６の
下死点位置の時点の横送り溝２２ｂ上のスベリ子２３ａ
の位置であり、黒丸印は右から左への復路における該ス
ベリ子２３ａの位置である。具体的にはＡ１よりＡ９ま
で２０°づつ位相が遅れてゆき終端位置に達した時点で
の位相差が１８０°になり、片道行程において苗を九回
分切り取る。右終端であるＡ９に達したスベリ子２３ａ
は該横送り溝２２ｂに沿って左方向に摺動し始めて、Ｂ
１よりＢ９位置で植付アーム３６が下死点位置となる。

【００１５】そして、図６は、前記横送り溝２２ｂ内の
スベリ子２３ａの位置Ａ１・Ａ９・Ｂ１・Ｂ９に対応す
る苗載台２４下端の植付爪１１によりい草苗１を切り取
る箇所ａ１・ａ９・ｂ１・ｂ９を示したものである。該
スベリ子２３ａを左から右に移動させると、該苗載台２
４も右側に摺動する（苗載台は後方よりみているので逆
となる）ので、該い草苗１の取り位置は矢印の如く右か
ら左に、ａ１からａ９へと切り取ることができる。ａ９
位置に達した際には送り爪によって強制的にい草苗１を
下方に移動させる。更に、スベリ子２３ａを左方向へ摺
動させると、苗載台２４を図６の矢印の如く左方向に摺
動し、次に該植付爪１１により切り取る位置は左端部ｂ
０箇所を取り残したｂ１箇所となる。

【００１６】更に、植付作業を進行して行き、該植付爪
１１により右端を切り取る時には、図７に示す如く、ｂ
９箇所は、前述の前段の取り残しであるａ０箇所のい草
苗１とｂ９箇所のい草苗１とが圧縮されて、ａ０＋ｂ９
分の本数を切り取る構成となる。即ち、い草苗１におい
て、各段の最初の列を取り残し、最後の列においては前
段の最初の列を合わせて切り取る構成にし、ａ０＋ｂ９
の株の量は中央部のａ１〜ａ８・ｂ１〜ｂ８それぞれの
株量と変わらなくなり、植付け量のバラツキがなくな
る。

【００１７】該植付爪１１が苗載台２４より該い草苗１
を切り取る瞬間の横送り溝２２ｂ上におけるスベリ子２
３ａの横方向移動距離は、図４に示す如く、両端の該移
動距離Ｌ’は中央の該移動距離Ｌより短くなっている。
これは、横送り溝２２ｂの両端におけるピッチＭ’が中
央におけるピッチＭより短い為である。従って、図６に
示す如く、い草苗１の下端では、植付爪１１が切り取る
列幅は両端部は幅Ｐ’、中央部を幅Ｐであり、幅Ｐ’は
幅Ｐより短いものとなる。この苗載台の最終列は一株本
数の増加量Ｘは、〔Ｘ＝（Ｐ’−ｔ）×Ｄ×ｎ／Ｐ〕で
表すことができる。但し、ｔはい草カセットの厚さ、Ｄ
はい草苗中央部に対する端部の苗の詰まり密度量、Ｐは
植付爪１１による苗を切り取って行くピッチであり、そ
の間のスベリ子２３ａの左右移動距離Ｌに等しい、ｎは
最後の列は取り残し列を圧縮したものであるためｎ＝２
とする。

【００１８】

【発明の効果】本発明は、上記のように構成したことに
より、次のような効果を得る。即ち、苗載台の横送りピ
ッチを、両端が中央部より短くして、両端のみ二回分の
掻き込み量を植えつけるので、中央と両側で植付密度が
均等になり、バラツキのない植付けが可能となり、生育
ムラもなくなりい草の質の向上を図れる。また、横送り
溝の左右終端の位置を、軸心回りに１８０°ずらせたこ
とにより、横送り溝の交差部位置でのい草苗の切り取り
を避けることができ、横送り溝の山部の磨耗や欠けを防
ぐことができ、円滑なスベリ子摺動を保つことができ
る。また、苗載台の下部に配置したスライダベルトのロ
ーラーピッチを、苗載台の横送り量と略一致させたの
で、ベルトの異常緊張を無くすことができ、苗載台及び
い草苗の摺動を円滑にすることができ、耐久性の向上が
図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を採用したい草移植機の側面図である。

【図２】植付ミッションケースＭより横送り軸を突出し
た正面図一部断面図である。

【図３】本発明の横送り軸の横送り溝の形状を示す正面
図である。

【図４】同じく本発明の横送り軸の横送り溝の展開図で
ある。

【図５】苗載台下部のスライダベルト部の平面図であ
る。

【図６】苗載台における植付爪によりい草苗を切り取り
る工程を示す後面図である。

【図７】同じく縦送り後の苗載台におけるい草苗の切り
取り工程を示す後面図である。

【図８】従来の横送り軸の横送り溝の形状を示す正面図
である。

【図９】同じく従来の横送り軸の横送り溝の展開図であ
る。

【符号の説明】

Ｆ 植付ミッションケース Ｍ・Ｍ’ 溝ピッチ ｄ・ｄ’ 左右終端位置 １ い草苗 １１ 植付爪 ２２ 横送り軸 ２２ｂ 横送り溝 ２３ａ スベリ子 ２４ 苗載台 ２５ ガイドレール

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 い草移植機の後部に植付部を配置し、該
   植付部の植付ミッションケースより側方へ横送り軸を突
   出し、該横送り軸上に横送り溝を穿設して、該横送り溝
   に苗載台に固定したスベリ子を嵌入して、該横送り軸の
   回転により苗載台を左右に摺動し、植付爪により苗載台
   下端の苗を一定量ずつ掻き取って植付ける構成におい
   て、植付爪により苗載台から苗を掻き取る時の、苗載台
   の横送りピッチを、両端が中央部の横送りピッチより短
   くしたことを特徴とするい草移植機における横送り機
   構。
2. 【請求項２】 請求項１記載の横送り軸において、横送
   り溝の左右終端の位置を、軸心回りに１８０°ずらせた
   ことを特徴とするい草移植機における横送り機構。
3. 【請求項３】 請求項１記載の苗載台において、苗載台
   の各条の下部毎に苗の下部を受けるスライダベルトを配
   置し、該スライダベルトを両側で巻回するローラーのピ
   ッチを、苗載台の横送り量と略一致させたことを特徴と
   するい草移植機における横送り機構。