JP2831756B2 - 藺草移植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は藺草の苗を圃場に植付けて行く藺草移植機に
関する。

〔従来の技術〕

藺草移植機としては、通常の稲用の田植機と同様に、
藺草苗を載置する苗のせ台と、この苗のせ台の往復横送
り駆動に連動して、苗取出し口から苗のせ台を藺草苗を
一株分づつ取り出して圃場に植付けて行く植付爪と、苗
のせ台に載置した藺草苗の最前列の取り出しが終了して
苗のせ台が横送りのストロークエンドに達すると、苗の
せ台上の藺草苗全体を苗取出し口側に送る縦送り機構を
備えたものがある。

〔発明が解決しようとする課題〕

田植機用の苗としては一般的にマット状に連続された
苗が利用されており、このマット状苗における根同志の
つながりは比較的弱い為に、植付爪が苗取出し口を通り
ながらマット状苗から一株の苗を取り出す際に、取り出
される苗の根部と苗のせ台に残される苗の根部とは比較
的容易に分離されて、一株の苗が特に支障なく取り出さ
れて行く。しかし、藺草苗の根同志のつながりは稲に比
べて強い為に、植付爪が苗取出し口を通過しながら一株
分の苗の取り出す際に、取り出される苗の苗のせ台に残
される苗の根とが充分に分離されず、苗のせ台に残され
るべき苗が植付爪によって苗取出し口から引きずり出さ
れてしまうような状態が生ずることがある。

本発明はこのような点に着目してなされたものであっ
て、植付爪が苗取出し口を通過する際に、一株分の苗を
支障なく取り出すことができるとともに、その取り出し
量を安定させることができるようにすることを目的とし
ている。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の特徴は、藺草苗を載置する苗のせ台と、この
苗のせ台の往復横送り駆動に連動して、苗取出し口から
苗のせ台の藺草苗を取り出して圃場に植付けて行く植付
爪と、前記苗のせ台が横送りのストロークエンドに達す
ると、苗のせ台上の藺草苗を苗取出し口側に送る縦送り
機構とを備えた藺草移植機おいて、前記苗のせ台と一体
に横移動する複数の根分け板を、前記苗取出し口の横幅
とほぼ同じピッチで前記苗のせ台の下端部に横幅方向に
沿って配列するとともに、前記根分け板の端部が側面視
で前記植付爪の先端軌跡と交差するよう構成してある点
にあり、その作用及び効果は次の通りである。

〔作 用〕

上記構成によると、苗のせ台上に載置された藺草苗の
最前列の取り出しが完了して苗のせ台が横送りのストロ
ークエンドに達すると、縦送り機構が作動して苗のせ台
上の藺草苗全体が苗取出し口側に送られ、苗のせ台の下
端部に並列配備された複数の根分け板の上に供給され
る。

そして、植付爪の苗取出し作動に伴って、植付爪は一
株分の苗を挾持しながら苗取出し口に位置する一対の根
分け板の間を通った後に苗取出し口を通過する。ここ
で、植付爪が一対の根分け板を通る際に、植付爪により
取り出される藺草苗の根部と苗のせ台に残される藺草苗
の根部とが、根分け板によって分離されることになり、
植付爪により一株分の苗が支障なく取り出されて行く。

一株分の苗取り出しに伴い苗のせ台が１ピッチ横送り
移動されることになるが、この場合、残された最前列の
藺草苗の根部が根分け板に載置された状態で横移動する
ので、この横移動の間に最前列の藺草苗が苗のせ台に対
して横ずれするようなことが根分け板によって阻止され
る。

〔発明の効果〕

従って、本発明によれば次のような効果が期待でき
る。

苗のせ台の下端部に配備した根分け板が、植付爪に
よる苗取り出し作動に伴って藺草苗の根部を切断分離す
るので、植付爪が苗のせ台から一株分の苗を、引きずり
現象なしに支障なく取り出すことができるようになっ
て、藺草移植機の植付性能の向上を図ることができる。

苗のせ台の下端部に並列配備した複数の根分け板
が、苗のせ台上における最前列の藺草苗を載置した状態
で横移動するので、藺草苗を横ずれなく苗のせ台と共に
横送り移動させることができ、安定した取り量を確保す
ることができる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例について図面を基づいて説明す
る。

第１図は藺草移植機の全体側面を示しており、植付ミ
ッションケース（１）の後部にて回転駆動されるクラン
クアーム（２）に、植付爪（3a）を備えた植付アーム
（３）が取り付けられ、植付ミッションケース（１）の
上部に備えられた前後一対のリンク（４），（５）に、
保持アーム（６）が取り付けられている。そして、植付
ミッションケース（１）の上面に固定されたガイドレー
ル（７）に沿って、往復スライド駆動される苗のせ台
（８）が備えられ、植付ミッションケース（１）の下部
にフロート（13）が支持されて藺草移植機が構成されて
いる。

以上の構造により、苗のせ台（８）がガイドレール
（７）に沿って設定ストロークずつ間欠的に送られて行
くと共に、苗のせ台（８）が停止している間に植付爪
（3a）がガイドレール（７）の苗取出し口（12）を通過
して苗（Ａ）を取り出し、圃場（Ｇ）に植付けて行くの
である。

苗のせ台（８）に載置される藺草の苗（Ａ）は第３図
に示すように、左右の大型の仕切り板（９）の間に２組
の小型の仕切り板（10）を配置したユニット内に入れら
れており、左右の仕切り板（９）を苗のせ台（８）の仕
切り部（8a）に載せ付けるのである。

これに対して苗のせ台（８）には、苗のせ台（８）が
往復スライドのストロークエンドに達した際に、苗
（Ａ）を下方のガイドレール（７）側に送るベルト式の
縦送り機構（11）が設けられている。そして、第１、
２、３図に示すように苗のせ台（８）の下部には、前記
縦送り機構（11）により送られる苗（Ａ）の根部を持ち
上げ案内しながら、植付爪（3a）が取り出す株数に分け
て行く複数の根分け板（14）が固定されている。この根
分け板（14）は側面視三角形状の薄板製であり、後方部
分が上方に反り上っている。

そして、植付アーム（３）の先端の植付爪（3a）の先
端軌跡（Ｔ）と、根分け板（14）の後方部分の上縁部
（14a）とが斜めに交差するように構成されると共に、
第１図及び第３図に示すようにその上縁部（14a）が切
断刃状に形成されている。さらに、この根分け板（14）
は第２図に示すように苗取出し口（12）の横幅と同じピ
ッチで配列されており、苗のせ台（８）の間欠的な送り
の設定ストロークも根分け板（14）のピッチ及び苗取出
し口（12）の横幅に一致させているのである。

さらに説明すると、ガイドレール（７）には第１図及
び第２図に示すように、苗取出し口（12）を挾むように
自由回転可能なプーリー（15）が配置されており、この
プーリー（15）に突起付きのゴムベルト（16）が巻回さ
れている。これにより、苗のせ台（８）がガイドレール
（７）に沿って送られる際に、苗（Ａ）の最前部がゴム
ベルト（16）に載って崩れることなく苗のせ台（８）と
一緒に送られるようにしているのである。

以上の構成により、第１図に示すように、先ず保持ア
ーム（６）が苗（Ａ）側に移動して苗（Ａ）の中間部を
下方に押し下げて保持する。その後、植付アーム（３）
の先端の植付爪（3a）が苗取出し口（12）及び根分け板
（14）の間を通過しながら、苗（Ａ）の根部より若干上
の部分を挾持し苗（Ａ）を下方に取り出す。そして、植
付爪（3a）が根分け板（14）の間を通過する際に、苗の
せ台（８）側に残る苗（Ａ）の根と、植付爪（3a）によ
り取り出される苗（Ａ）の根との間が根分け板（14）の
上縁部（14a）で切断されるのである。

そして、この後に保持アーム（６）が後方に戻ると共
に、苗（Ａ）を挾持した植付爪（3a）は苗ガイド（17）
内を通り圃場（Ｇ）に突入し、苗（Ａ）を圃場に植付け
て再び上方に移動する。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする
為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構
造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る藺草移植機の実施例を示し、第１図
は藺草移植機の全体側面図、第２図は苗のせ台における
苗取出し口付近の平面図、第３図は苗のせ台への苗の載
置状態を示す斜視図である。 （3a）……植付爪、（８）……苗のせ台、（11）……縦
送り機構、（12）……苗取出し口、（14）……根分け
板、（Ａ）……苗、（Ｇ）……圃場、（Ｔ）……先端軌
跡。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】藺草の苗（Ａ）を載置する苗のせ台（８）
   と、この苗のせ台（８）の往復横送り駆動に連動して、
   苗取出し口（12）から苗のせ台（８）の苗（Ａ）を取り
   出して圃場（Ｇ）に植付けて行く植付爪（3a）と、前記
   苗のせ台（８）が横送りのストロークエンドに達する
   と、苗のせ台（８）上の苗（Ａ）を苗取出し口（12）側
   に送る縦送り機構（11）とを備えた藺草移植機であっ
   て、 前記苗のせ台（８）と一体に横移動する複数の根分け板
   （14）を、前記苗取出し口（12）の横貼とほぼ同じピッ
   チで前記苗のせ台（８）の下端部に横幅方向に沿って配
   列するとともに、前記根分け板（14）の端部が側面視で
   前記植付爪（3a）の先端軌跡（Ｔ）と交差するよう構成
   してあることを特徴とする藺草移植機。