JPH0713445Y2 - テープ状植付け苗のカツト装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、テープ状苗を用いて藺草苗等の移植苗を圃場
に植付けるテープ状植付け苗のカット装置に関するもの
である。

［従来技術及び考案が解決しようとする問題点］ 従来、この種テープ状苗を植付けるものには、例えば実
公昭63−19号公報に示す如く植付け苗を両側からテープ
で挟むものであつても、このテープは植付け時には巻取
って植付け苗のみを植付け部に落下供給し圃場に移植す
るようにしたものが知られている。

しかるにこのものは、テープによる植付け苗の挟持が確
実でないため、テープ状苗の移送時や移植作業時の振動
等によつて植付け苗が動いて苗ピツチがずれたり植付け
苗の挟持姿勢が乱れたりするという欠点が有る。そこで
植付け苗をテープに貼着して植付け苗が動かないよう挟
持することが考えられるが、この場合には、テープをカ
ットして植付け苗を供給する必要が有り、このテープカ
ツトが乱れると精度の高い苗供給ができなくなるという
新たなる問題が生じる。

［問題を解決する手段］ 本考案は、上記の如き実情に鑑み、これらの欠点を一掃
することができるテープ状植付け苗のカット装置を提供
することを目的として創案されたものであつて、連続繰
出しされるテープに植付け苗を貼着して形成したテープ
状苗と、該テープ状苗を苗掻取り側に順次送る苗送り手
段と、該送られたテープ状苗のテープをカットするテー
プカツト手段と、テープカットされた植付け苗を掻取つ
て植付ける掻取り植付け手段とを備えて成り、かつ前記
テープカツト手段は、掻取り植付け手段の掻取り軌跡方
向に対し、少なくともテープの軌跡下手縁側は未カツト
部を残さないよう軌跡方向下手側に寄せて設けたことを
特徴とするものである。

そして本考案は、この構成によつて、植付け苗がテープ
に貼着された苗動きの無いものを用いて移植するもので
ありながら、テープカツトを確実に行うことができるよ
うにしたものである。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図
面において、１は水田走行用の乗用型移動機体であつ
て、該移動機体１の後方に本考案が実施された移植部２
が上下昇降動自在に取付けられている。この移植部２
は、六条植えのものであるが、その移植部フレームから
後方に延びる三組のギアケース３には左右両側に植付け
爪４が設けられている。一方、移植部フレームには苗載
台５が設けられているが、該苗載台５の上端部には、後
述するテープ状苗10が巻装された巻取りドラム７が回動
自在に軸承されている。つまり、苗載台５の上方には、
それぞれドラムブラケツト６が設けられており、このド
ラムブラケツト６の凹溝6aに巻取りドラム７の支軸7aが
回動自在となるよう左右方向横置き状に係合保持されて
いる。尚、巻取りドラム７の一側方（第２図では右側）
は小径になつていて、テープ状苗10の根部によつて苗ロ
ールの根部側が膨大状になるのを防止する配慮が成され
ている。

一方、８は苗ガイドであつて、該苗ガイド８は、巻取り
ドラム７の根部側端のガイドをする根部側ガイド8aと、
葉部（茎部）側端のガイドをする葉部側ガイド8bと、両
ガイド8a、8b間に設けられる起立ガイド8cとによつて構
成されるが、左右にある根部側ガイド8aと葉部側ガイド
8bとは下方にいくほど対向間隔が狭くなるよう形成され
ており、また起立ガイド8cは、前記巻取りドラム７から
から繰出される横向きのテープ状苗10を苗載台５の下端
側に縦送りするほど起立せしめるべく傾斜状になつてい
る。さらにドラムブラケツト６の少し下方には、テープ
状苗10が不用意に繰出されるのを規制する苗押えガイド
９が設けられていて、テープ状苗10が無駄に繰出されて
弛んでしまうのを防止するよう配慮されている。

ここで前記テープ状苗10は次のように形成されたもので
ある。つまり苗床から所定の大きさに切り出し、根洗い
をすると共に根部と茎部とを必要な長さに裁断処理した
塊状の苗株から適宜摘み取つた新芽の有る単位植付け株
宛の苗Ｐが所定の苗ピツチを存して連続するよう植付け
苗Ｐの略中央部を両側から粘着テープ等のテープ10aで
テープ方向に対して傾斜状となるよう挟持保持させて一
連状に形成されるものである。そしてこのものは手作業
でも良いが、機械的にも製造できるものである。

11は植付け爪４に対応するよう苗載台５の下部位に設け
たテープガイドであつて、該テープガイド11は、前記取
付けられた巻取りドラム７からガイドローラ11aを経由
して引出されたテープ状苗のテープ10aを左右から挟む
状態で苗載台５の傾斜下方の苗掻取り側に向けてガイド
するものであるが、このテープガイド11の一側（実施例
図面では何れも左側）に苗送り装置が設けられている。
つまりテープガイド11の一側には一対のカムローラ12が
上下に配されているが、該カムローラ12の回転軸12bか
ら偏心した位置にクランクアーム13の基端ボス部13aが
自由回動自在に設けられている。この上下クランクアー
ム13の先端部にブラケツト14aが一体的に固着されてい
るが、ブラケツト14aには、テープ10aを上下から挟む位
置に、テープ状苗10の苗ピツチに略合わせて櫛歯状とな
るよう複数（実施例では都合６本）の送り爪14がそれぞ
れ突出している。しかもその爪位置は、テープ状苗10に
対して傾斜した植付け苗Ｐに対応するよう左右が齟齬し
た配列になつていると共に、送り爪14は、先端側ほど上
下対向間隔が広くなるよう外側に向けて折曲されていて
テープ10aの入り込みが確実になるよう配慮されてい
る。そして後述するようにカムローラ12が回動すること
により送り爪14は弧状のクランク揺動をして植付け苗Ｐ
を順次苗ピツチ分ずつ縦送りするようになつている。

一方、15は上記傾斜した植付け苗Ｐに対応するよう傾斜
配設されるカツターであつて、該カツター15は送り爪14
によつて送られたテープ状苗10のうち最先の植付け苗Ｐ
と次の植付け苗Ｐとの間のテープ10aを切断するもので
ある。つまりカツター15の基部に設けたピン15aは苗載
台５に支軸16cに揺動自在に枢支した作動腕16の先端部
に形成の係合溝16aに係合している。また前記カムロー
ラ12のうち下側のものの外周面にカム12aが突設されて
いる。そしてこのカム12aが作動腕16に設けたピン16bに
接当するカム作動によつてカツター15は右方向に移動
し、テープ10aを切断するようになつている。しかもこ
のものでは、カツター15のテープ切断位置は、第８図に
示す如くテープ10aの上縁側は残しても下縁側は切断す
るよう下側、つまり植付け爪４の植付け軌跡方向下手側
に変位する配置が考慮されており、これによつてテープ
10aの未切断による苗姿勢の乱れを可及的に回避してい
る。

次に植付け爪４、送り爪14、カツター15の作動タイミン
グについて説明する。つまり第９図に示す如く植付け爪
４が上死点に近い位置を上昇する行程では後述するよう
既に最先（下）端とそのすぐ上の植付け苗Ｐ間のテープ
10aは切断されているが、この状態で植付け爪４が上死
点に移動してから少し下降する段階で、植付け爪４は前
記カット分離された植付け苗Ｐを掻取り保持する（第10
図）。一方このとき送り爪14はテープ状苗10の移植軌跡
から退避しながら上昇する。そして植付け爪４が下死点
近くまで下降して前記掻取つた植付け苗Ｐを圃場に植付
ける一方、送り爪14は各植付け苗Ｐの間に侵入する（第
11図）。ついで植付け爪４が下死点を越え、上方に移動
することにタイミングを合わせるようにして送り爪14が
下降することになるが、このとき送り爪14が植付け苗Ｐ
のテープ10aを挾んだ上下両側に接当して植付け苗Ｐを
苗ピツチ分に応じて下降させて最先の植付け苗Ｐが前記
掻取り位置に位置するよう強制移送せしめる（第12
図）。しかる後、植付け爪４が上昇することになるが、
その上昇行程にタイミングを合わせてカム作動を受けた
カツター15が横方向に移動して最先端とその上の植付け
苗Ｐ間のテープ10aを切断する（第13図）ことになり、
この様なタイミングにより苗送り、テープカツト、苗掻
取りが成されてタイミングの採れた連続的な植付けを行
うようになつている。

尚、図中、17は植付け爪４による植付け苗の掻取り部に
設けた弾性板材によつて形成される苗ガイドであつて、
前記テープカツトされた植付け苗Ｐが植付け爪４に掻取
られるまでの間に不用意に落下するのを規制し、そして
このものが植付け爪４に掻取られて下方に押圧されるこ
とに応じて弾性変形して観音開き状に開口し、植付け苗
Ｐの姿勢を整えながら下方に送り出すものである。また
18は安全用のカツターカバー、19、20は株元ガイド、21
は苗押さえガイドであり、これらによつてテープ状苗の
倒れ防止と苗保護を成すものであり、また22はカツター
15の復帰弾機である。

叙述の如く構成された本考案の実施例において、適当量
のテープ状苗が巻装された巻取りドラム７を苗載台５に
組付け、そしてテープ状苗10をテープ部10aがテープガ
イド11に挾持されるよう通して苗セツトする。この様に
してセツトされた状態で機体走行をすると共に植付けク
ラツチ（図示せず）を続状態にすると、前述したように
送り爪14による苗ピツチ毎の送り作動、カツター15によ
るテープカツト作動、さらにテープカツトされた植付け
苗Ｐを掻取つて植付ける植付け爪４の植付け作動がタイ
ミング良く行われ、而して藺草苗の連続的な植付け作業
が自動的に行われる。

この様に本考案においては、植付け苗Ｐがテープ10aに
貼着されたテープ状苗を用い、これを植付け爪４の苗掻
取り植付け作動にタイミングを合わせてテープカツトし
て単位植付け苗の供給をするが、テープカツトは、植付
け爪４の掻取り軌跡方向下手側に変位するカツター15に
よつてテープ10aの下縁側は少なくとも未カット部は残
さないようにしてカットされた状態で植付け爪４による
掻取りが成されることになる。このときテープ10aの上
縁側が未カット状態のままであつても、該未カット部
は、植付け苗Ｐが掻取られて掻取り植付け軌跡方向、つ
まり下方に移送される際に未カット部はカツター15によ
つてカットされる側に押し下げられて積極的にカットせ
しめられることになる。このため未カット部があつたと
しても、これが掻取り軌跡方向上手側のものであれば何
ら問題無く後続テープ10aからカット分離されて圃場に
植付けられることになる。このため後続の植付け苗が未
カット部があるため引きずられたり植付け苗の掻取りが
乱れたりする不具合を確実に回避できて植付け爪４の苗
掻取り取性能が改善される。

しかもテープカツト時に掻取り軌跡方向上手側に未カッ
ト部を残すようにした場合、掻取られる最先の植付け苗
Ｐは、植付け爪４に掻き取られる時点でも後続テープ10
aによる支持を受けることとなつて、植付け苗Ｐの姿勢
が不用意に乱れてしまうことを防止できるという利点も
あつて都合が良い。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は叙述の如く構成されたものであ
るから、テープ状苗を、連続繰出しされるテープに植付
け苗を貼着して形成し、植付け苗が不用意に動いて姿勢
乱れが無いようにしたものであるが、苗掻取り時、テー
プ状苗のテープカツトに際し、テープは、少なくとも植
付け爪の苗掻取り軌跡方向下手側は未カット部がないよ
うにカットされることになる。そしてこの場合に、苗掻
取り軌跡方向上手側にテープ未カット部が生じたとして
も、該未カット部は、植付け苗が掻取り軌跡方向に送ら
れる際にカツターによるカット作用を受けて切断される
ことになる。この結果、苗掻取りが確実になつて苗姿勢
が乱れたりする不具合を防止できて精度良い苗植付けを
行うことができることになる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係るテープ状植付け苗のカット装置の
実施例を示したものであつて、第１図は植付け機の全体
側面図、第２図は植付け部の正面図、第３図は植付け作
動部の正面図、第４図は同上底面図、第５図は同上側面
図、第６図は苗載台の要部側面図、第７図Ａ〜Ｄはそれ
ぞれ第２図のＡ−A,B−B,C−C,D−Ｄ断面図、第８図A,B
はカツターによるテープカツト状態を示す作用説明図、
第９図A,Bから第13図A,Bは植付けタイミングを経時的に
示した作用説明図である。 図中、２は植付け部、４は植付け爪、５は苗載台、10は
テープ状苗、10aはテープ、14は送り爪、15はカツタ
ー、Ｐは植付け苗である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】連続繰出しされるテープに植付け苗を貼着
   して形成したテープ状苗と、該テープ状苗を苗掻取り側
   に順次送る苗送り手段と、該送られたテープ状苗のテー
   プをカツトするテープカツト手段と、テープカツトされ
   た植付け苗を掻取つて植付ける掻取り植付け手段とを備
   えて成り、かつ前記テープカツト手段は、掻取り植付け
   手段の掻取り軌跡方向に対し、少なくともテープの軌跡
   下手縁側は未カット部を残さないよう軌跡方向下手側に
   寄せて設けたことを特徴とするテープ状植付け苗のカッ
   ト装置。