JP2002199806A - 苗植付方法および苗植付装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベルト苗から分離した植付片を圃場に植付け
る場合に、植付片が受ける泥の抵抗を小さくすると共
に、圃場に植付けた植付片と植付爪の上昇軌跡とが干渉
する不都合を回避することにより、植付片を直立状に植
付けることを可能にする。 【解決手段】 長手方向に所定間隔を存して植付苗３を
保持するベルト苗１を、少なくとも一本の植付苗３を含
む複数の植付片４に分離自在に形成すると共に、該植付
片４を、所定の軌跡を描いて上下方向に往復運動する植
付爪１６で連続的に圃場に植付けるにあたり、前記植付
爪１６によってベルト苗１から植付片４を分離し、該分
離した植付片４を、植付爪１６の側面に沿う姿勢で下降
させた後、運動軌跡下端側で圃場に植付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、長手方向に所定間
隔を存して植付苗を保持するベルト苗の苗植付方法およ
び苗植付装置の技術分野に属するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、水稲苗等の苗植付作業において
は、マット状に成形されたマット苗を、左右に往復運動
する苗載台に載置すると共に、該苗載台の下端部から適
数本の植付苗を掻取って圃場に植付けるマット苗方式が
広く採用されているが、この方式では、マット苗の育苗
に際して多量の種子を必要とする許りでなく、掻取時に
苗を傷付ける不都合がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そこで、長手方向に所
定間隔を存して植付苗を保持するベルト苗を、少なくと
も一本の植付苗を含む複数の植付片に分離自在に形成す
ると共に、該植付片を、所定の軌跡を描いて上下方向に
往復運動する植付爪で連続的に圃場に植付けるベルト苗
方式が提案されている。しかるに、従来のベルト苗植付
装置においては、前記植付片を、植付爪の前面に沿う姿
勢で圃場に植付けるため、植付片の向きが走行方向に直
交して泥の抵抗を受け易い許りでなく、圃場に植付けた
植付片と植付爪の上昇軌跡とが干渉する可能性があり、
その結果、植付姿勢が乱れて苗の成育に悪影響を及ぼす
可能性があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実
情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作
されたものであって、長手方向に所定間隔を存して植付
苗を保持するベルト苗を、少なくとも一本の植付苗を含
む複数の植付片に分離自在に形成すると共に、該植付片
を、所定の軌跡を描いて上下方向に往復運動する植付爪
で連続的に圃場に植付けるにあたり、前記植付爪は、ベ
ルト苗から植付片を分離し、該分離した植付片を、植付
爪の側面に沿う姿勢で下降させた後、運動軌跡下端側で
圃場に植付けることを特徴とするものである。つまり、
植付片を、植付爪の側面に沿う姿勢で圃場に植付けるこ
とにより、植付片の向きを走行方向に沿わせて泥の抵抗
を小さくすると共に、圃場に植付けた植付片と植付爪の
上昇軌跡とが干渉することを回避し、その結果、植付片
を直立状に植付けることを可能にして植付作業精度を向
上させることができる。また、長手方向に所定間隔を存
して植付苗を保持するベルト苗を、少なくとも一本の植
付苗を含む複数の植付片に分離自在に形成すると共に、
該植付片を、所定の軌跡を描いて上下方向に往復運動す
る植付爪で連続的に圃場に植付ける苗植付装置におい
て、前記植付爪でベルト苗から植付片を分離し、該分離
した植付片を、植付爪の側面に沿う姿勢で下降させた
後、運動軌跡下端側で圃場に植付けるにあたり、植付爪
の下降軌跡側方位置に、植付片を強制的に植付爪の側面
に沿わせる苗ガイドを設けたことを特徴とするものであ
る。つまり、植付片を、植付爪の側面に沿う姿勢で圃場
に植付けることにより、植付片の向きを走行方向に沿わ
せて泥の抵抗を小さくすると共に、圃場に植付けた植付
片と植付爪の上昇軌跡とが干渉することを回避し、しか
も、植付片を苗ガイドで強制的に植付爪の側面に沿わせ
るため、下降中に植付片の姿勢が乱れることもなく、そ
の結果、植付片を直立状に植付けることを可能にして植
付作業精度を向上させることができる。また、植付片
を、少なくとも一本の植付苗を保持する育苗シート片
と、該育苗シート片を支持する支持シートとを重合させ
て形成するにあたり、植付片の支持シート側を苗ガイド
でガイドし、育苗シート片側を植付爪の側面に沿わせる
ことを特徴とするものである。つまり、植付苗の根等が
抵抗になって植付片の姿勢を乱す不都合を回避すること
ができる。

【０００５】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の一つ
を図面に基づいて説明する。図面において、１はベルト
苗であって、該ベルト苗１は、長尺な帯状に形成される
育苗シート体２に種籾を播種した後、所定期間水耕栽培
等で育苗して得られるものである。そして、育苗して得
られたベルト苗１は、長手方向に所定間隔を存して植付
苗３を並列状に保持すると共に、少なくとも一本の植付
苗３を含む多数の植付片４に分離自在に形成されてい
る。つまり、各植付片４は、少なくとも一本の植付苗３
を保持する育苗シート片５と、該育苗シート片５を補強
し、且つ育苗シート片５同志を一連状に連結支持する支
持シート６とを重合状に接着して形成されており、さら
に支持シート６には、植付片４単位での分離を容易にす
るためのミシン目７が長手方向に所定間隔を存して形成
されている。尚、各育苗シート片５は、完全に分離され
ている必要はなく、分離が容易であれば育苗シート片５
同志の一部が連結状態であってもよい。

【０００６】前記育苗シート片５は、軟質多孔性材料を
用い、所定の厚さ寸法を有する長方形に形成される一
方、支持シート６は、可撓性フィルム材料を用い、長尺
な帯状に形成されている。そして、支持シート６上に、
長辺同志が隣接する姿勢で多数の育苗シート片５を並列
状に接着支持しているが、育苗シート片５の一端側に
は、下側が支持シート６で塞がれる種籾収納孔５ａが形
成される一方、他端側には、支持シート６側の係合孔６
ａに連通する係合孔５ｂが形成されている。

【０００７】次に、ベルト苗１の生産手順を説明する。
まず、各育苗シート片５の種籾収納孔５ａにそれぞれ種
籾を収納した後、育苗シート体２を、育苗シート片５が
巻取中心側を向くようにしてロール状に巻取る。次に、
ロール状の育苗シート体２を、種籾収納孔５ａ側が上に
なる姿勢で栽培用容器（図示せず）内に載置して所定期
間水耕栽培等で育苗する。そして、所定期間育苗管理さ
れた育苗シート体２にあっては、植付苗３の根部３ａが
育苗シート片５に沿って下方に延び、且つ葉部３ｂが育
苗シート片５の上端部（開口部５ｃ）から上方に延出し
た状態のベルト苗１を形成することになる。

【０００８】一方、８は乗用田植機の走行機体であっ
て、該走行機体８の後部には、昇降リンク機構９を介し
て植付部１０が連結されている。そして、植付部１０
は、昇降リンク機構９の先端部に連結されるリンクホル
ダ１１、該リンクホルダ１１にローリング自在に連結さ
れる植付部フレーム１２、該植付部フレーム１２から後
方に突出する複数のプランタケース１３、該プランタケ
ース１３の上方に左右方向を向いて設けられるエプロン
１４、該エプロン１４に沿って左右移動自在な苗載台１
５、該苗載台１５を強制的に左右往復運動させる苗載台
横送り機構（図示せず）、前記エプロン１４の掻取口１
４ａから苗を掻取って圃場に植付けるべく、所定の軌跡
を描いて上下方向に往復運動する植付爪１６、田面を滑
走するフロート１７等で構成されている。即ち、上記植
付部１０は、左右に往復運動する苗載台１５に載置した
マット苗（図示せず）を、植付爪１６で掻取って圃場に
植付けるマット苗方式に対応すべく構成されるが、本実
施形態の植付部１０は、後述する部材や機構を付加する
ことによってベルト苗方式にも対応でき、以下、ベルト
苗１を植付ける際に付加する部材等を順次説明する。
尚、前記植付爪１６は、所定間隔を存して並列する左右
一対の爪部１６ａを有し、且つ爪部１６ａが掻取った苗
を土中で押出すフォーク１６ｂを備えている。

【０００９】前記苗載台横送り機構は、走行機体８から
植付部１０に伝動された動力を横送り変速機構（図示せ
ず）を介して入力し、該動力によって苗載台１５を往復
運動させるべく構成されているが、上記苗載台横送り機
構に至る動力伝動経路には、ベルト苗植付作業時に苗載
台１５の往復運動を停止させるための横送り停止クラッ
チ機構（図示せず）が介設されている。

【００１０】１８は前記苗載台１５に設けられるベルト
苗保持部であって、該ベルト苗保持部１８は、苗載台１
５に立設される複数の保持部フレーム１９、該保持部フ
レーム１９間に架設されるアーム支軸２０、該アーム支
軸２０に上下回動自在に支持される苗支持アーム２１、
該苗支持アーム２１を作業位置および非作業位置で選択
的に係止する係止レバー２２、上記苗支持アーム２１の
先端部から水平方向に突出する苗支軸２３、該苗支軸２
３に回転自在に支持される筒状の苗ホルダ２４等で構成
されている。そして、ベルト苗保持部１８は、苗ホルダ
２４の外周部でロール状のベルト苗１を保持すると共
に、苗ホルダ２４の従動回転によってベルト苗１の繰出
しを許容するが、このときベルト苗１は、植付苗３が横
臥姿勢（左右を向く姿勢）となる状態で保持されるよう
になっている。つまり、ロール状のベルト苗１を、苗載
台１５上に前後方向に沿って直立する姿勢で保持するよ
うにしたため、条間寸法に拘わらずベルト苗１の巻径を
任意に設定することができ、その結果、苗補給回数を減
らして作業効率の向上を図ることができるようになって
いる。

【００１１】前記苗ホルダ２４は、苗支軸２３の基端側
に溶着されるワッシャ２５によって内側方への移動が規
制される一方、苗支軸２３の先端側に軸受２６を介して
回転自在に設けられる弾性抜止め板２７によって外側方
への移動が規制されるが、弾性抜止め板２７は、苗支軸
２３の先端部に螺合する着脱ハンドル２８の螺込み量に
応じた力で苗ホルダ２４をワッシャ２５に押付けるた
め、苗ホルダ２４とワッシャ２５との間に任意の回転抵
抗を発生させることが可能になる。つまり、苗ホルダ２
４に適正な繰出抵抗を付与することができるため、繰出
されるベルト苗１の弛みを防止しつつ適度な緊張状態を
保持することができ、その結果、ベルト苗１の弛みに伴
うトラブルの発生を防止することができるようになって
いる。

【００１２】２９は苗載台１５の下端部またはプランタ
ケース１３の後端部に着脱自在に設けられる搬送部フレ
ームであって、該搬送部フレーム２９は、各条間位置に
立設されており、その上端側には、搬送伝動軸３０が回
転自在に架設される一方、下端側には、搬送伝動軸３０
からチェン伝動機構３１を介して動力を入力する搬送駆
動軸３２が回転自在に架設されている。

【００１３】３３は植付部１０の一側部に着脱自在に設
けられる搬送動力取出部であって、該搬送動力取出部３
３は、外側方に延長された植付伝動軸３４から動力を取
出すと共に、該取出動力を、第一中間軸３５および第二
中間軸３６を介して前記搬送伝動軸３０に伝動するよう
に構成されている。つまり、植付伝動軸３４と第一中間
軸３５との間にギヤ伝動機構３７を介設すると共に、第
一中間軸３５と第二中間軸３６との間にチェン伝動機構
３８を介設し、さらに第二中間軸３６と搬送伝動軸３０
との間にチェン伝動機構３９を介設している。

【００１４】４０は苗載台１５の下端部に構成されるベ
ルト苗搬送部であって、該ベルト苗搬送部４０は、ベル
ト苗保持部１８からベルト苗１を繰出し、且つ繰出した
ベルト苗１を植付爪係合位置まで搬送すべく、後述する
送りローラ４１および押圧ローラ４２を備えるが、該ロ
ーラ４１、４２は、ベルト苗保持部１８から育苗シート
片５が上方を向く横臥姿勢でベルト苗１を強制的に繰り
出すと共に、繰出したベルト苗１を横臥姿勢のまま直線
的に植付爪係合位置まで搬送すべく構成されている。即
ち、ベルト苗保持部１８から繰出したベルト苗１を、方
向転換させることなく植付爪係合位置まで直線的に搬送
するため、ベルト苗１を方向変換させるものの如く、ベ
ルト苗１に無理な力を作用させて切断、詰り等のトラブ
ルを発生させる不都合がない許りでなく、ベルト苗搬送
部４０の構造を簡略化することができるようになってい
る。

【００１５】前記送りローラ４１は、搬送駆動軸３２に
一体的に設けられると共に、その外周部には、周方向に
所定間隔（係合孔５ｂ、６ａの形成間隔に対応）を存し
て複数の係合突起４１ａが形成されている。一方、送り
ローラ４１の上方に設けられる押圧ローラ４２は、上下
回動自在な支持アーム４３にローラ支軸４４を介して回
転自在に設けられると共に、支持アーム４３の基端側に
係合する弾機４５によって下方に付勢されている。そし
て、ベルト苗搬送経路の下側に位置する送りローラ４１
は、搬送駆動軸３２の回転に伴い、係合突起４１ａがベ
ルト苗１の係合孔５ｂ、６ａに係合しつつ、植付爪係合
位置に向けてベルト苗１を強制的に搬送する一方、ベル
ト苗搬送経路の上側に位置する押圧ローラ４２は、弾機
４５の付勢力を受けてベルト苗１を送りローラ４１側に
押圧しつつ従動的に回転するようになっている。即ち、
係合孔５ｂ、６ａに係合しながらベルト苗１を強制的に
搬送することにより、苗搬送タイミングを、植付爪１６
と植付片４との係合周期に正確に同期させることがで
き、しかも、押圧ローラ４２の押圧により両ローラ４
１、４２間でベルト苗１を挟持できるため、ベルト苗１
の浮上りによる送りローラ４１の係合外れを防止するこ
とができると共に、植付爪１６によるベルト苗１の連れ
出しも防止することができるようになっている。

【００１６】４２ａは押圧ローラ４２の外周部に形成さ
れる凹溝であって、該凹溝４２ａは、送りローラ４１の
係合突起４１ａに対向し、該係合突起４１ａの入り込み
を許容している。そのため、押圧ローラ４２は、係合突
起４１ａに干渉することなくベルト苗１の厚み変化に追
従すると共に、ベルト苗１を確実に押圧して係合突起４
１ａの係合外れを防止することができるようになってい
る。

【００１７】ところで、前記送りローラ４１と押圧ロー
ラ４２との間でベルト苗１を搬送するにあたり、支持シ
ート６側が送りローラ４１に対向する一方、育苗シート
片５側が押圧ローラ４２に対向している。そのため、送
りローラ４１の係合突起４１ａに植付苗３の根部３ａが
巻き付くことを回避でき、しかも、支持シート６は、育
苗シート片５に比して剛性が高いため、係合突起４１ａ
の送り力を確実にベルト苗１に伝えることができるよう
になっている。

【００１８】また、前記送りローラ４１は、植付爪１６
と植付片４との係合周期に同期し、該周期毎に後続の植
付片４を植付爪係合位置まで搬送すべく駆動回転する
が、本実施形態の送りローラ４１は、間欠作動すること
なく所定速度の連続作動によりベルト苗１を搬送するた
め、間欠作動させるものに比して振動の発生を抑えるこ
とができると共に、急激な苗搬送によりベルト苗１が切
断する等のトラブルを回避することができるようになっ
ている。

【００１９】４６はエプロン１４の掻取口１４ａ近傍
（植付爪係合位置）に着脱自在に設けられる植付片分離
台であって、該植付片分離台４６は、植付爪係合位置に
達した植付片４の下面に沿うように設けられているが、
掻取口１４ａに対応して切欠き部４６ａが形成されると
共に、切欠き部４６ａの一側部には、植付爪１６に係合
保持された植付片４を掻取口１４ａに導く傾斜ガイド４
６ｂが形成されている。そして、横臥姿勢で搬送される
植付片４が植付分離台４６上の植付爪係合位置（ミシン
目７が切欠き部４６ａの端縁に沿い、且つ係合孔５ｂ、
６ａが植付爪１６の一方の爪部軌跡に一致する位置）に
達すると、これにタイミングを合わせて植付爪１６の一
方の爪部１６ａが上方から係合孔５ｂ、６ａに係合する
と共に、植付片４を後続片から分離させつつ下降させ
る。このとき、掻取口１４ａに対して一側方に偏倚して
いる横臥姿勢の植付片４は、傾斜ガイド４６ｂにガイド
されながら植付爪１６の側面に沿うように折曲して掻取
口１４ａから下方に抜け出す。さらに、植付爪１６が下
降すると、植付片４の下側が土中に突入すると共に、フ
ォーク１６ｂが作動して植付片４を圃場に植付けること
になる。つまり、植付爪１６は、ベルト苗１から植付片
４を分離し、該分離した植付片４を、植付爪１６の側面
に沿う姿勢で下降させた後、運動軌跡下端側で圃場に植
付けため、植付片４の向きを走行方向に沿わせて泥の抵
抗を小さくできる許りでなく、圃場に植付けた植付片４
と植付爪１６の上昇軌跡とが干渉することを回避でき、
その結果、植付片４を直立状に植付けることを可能にし
て植付作業精度を向上させることができるようになって
いる。また、下降中の植付片４は、弾性復元力によって
植付爪１６の側面から離間しようとするが、土中に突入
する際の抵抗が弾性復元力に勝るため、略直立状に植え
付けられるようになっている。

【００２０】また、４７は植付爪１６の下降軌跡側方位
置に設けられる苗ガイドであって、該苗ガイド４７は、
傾斜ガイド４６ｂの下端から下方に垂下するように設け
られており、下降する植付片４を強制的に植付爪１６の
側面に沿わせるようにガイドするようになっている。つ
まり、植付片４を苗ガイド４７で強制的に植付爪１６の
側面に沿わせることにより、植付片４を確実に直立状に
植付けることができるようになっている。また、植付片
４を苗ガイド４７でガイドするにあたり、植付片４の支
持シート６側をガイドするようにしたため、植付苗３の
根部３ａ等が抵抗になって植付片４の下降姿勢を乱す不
都合を回避することができ、しかも、土中に突入する
際、支持シート６側が先行することになるため、突入時
に根部３ａが抵抗になって植付姿勢を乱す不都合も回避
することができるようになっている。

【００２１】叙述の如く構成されたものにおいて、長手
方向に所定間隔を存して植付苗３を保持するベルト苗１
を、少なくとも一本の植付苗３を含む複数の植付片４に
分離自在に形成すると共に、該植付片４を、所定の軌跡
を描いて上下方向に往復運動する植付爪１６で連続的に
圃場に植付けるにあたり、前記植付爪１６は、ベルト苗
１から植付片４を分離し、該分離した植付片４を、植付
爪１６の側面に沿う姿勢で下降させた後、運動軌跡下端
側で圃場に植付けることにより、植付片４の向きを走行
方向に沿わせて泥の抵抗を小さくすると共に、圃場に植
付けた植付片４と植付爪１６の上昇軌跡とが干渉するこ
とを回避し、その結果、植付片４を直立状に植付けるこ
とを可能にして植付作業精度を向上させることができ
る。

【００２２】また、植付爪１６の下降軌跡側方位置に、
植付片４を強制的に植付爪１６の側面に沿わせる苗ガイ
ド４７を設けたため、下降中に植付片４の姿勢が乱れる
ことを防止することができる。

【００２３】また、植付片４を、少なくとも一本の植付
苗３を保持する育苗シート片５と、該育苗シート片５同
志を連結支持する支持シート６とを重合させて形成する
にあたり、植付片４の支持シート６側を苗ガイド４７で
ガイドし、育苗シート片５側を植付爪１６の側面に沿わ
せるようにしたため、植付苗３の根部３ａ等が抵抗にな
って植付片４の姿勢を乱す不都合を回避することができ
る。

【００２４】また、植付部１０に、ベルト苗１を繰出自
在に保持するベルト苗保持部１８を設けるにあたり、該
ベルト苗保持部１８は、ロール状に巻かれたベルト苗１
を、植付苗３が横臥姿勢となる状態で保持すべく構成さ
れているため、条間寸法に拘わらずベルト苗１の巻径を
任意に設定することができ、その結果、苗補給回数を減
らして作業効率の向上を図ることができる。

【００２５】また、植付部１０に、ベルト苗保持部１８
からベルト苗１を繰出し、且つ繰出したベルト苗１を植
付爪係合位置まで搬送するベルト苗搬送部４０を設ける
にあたり、該ベルト苗搬送部４０は、ベルト苗保持部１
８から繰出したベルト苗１を、横臥姿勢のまま直線的に
植付爪係合位置まで搬送すべく構成されているため、繰
出したベルト苗１を方向転換させる必要がなく、その結
果、ベルト苗１に無理な力を作用させて切断、詰り等の
トラブルを発生させる不都合がない許りでなく、ベルト
苗搬送部４０の構造を簡略化することができる。

【００２６】また、ベルト苗搬送部４０は、植付爪１６
と植付片４との係合周期に同期し、該周期毎に後続の植
付片４を植付爪係合位置まで搬送すべく、所定速度で連
続作動するため、間欠作動させるものに比して振動の発
生を抑えることができる許りでなく、急激な苗搬送によ
りベルト苗１が切断する等のトラブルを回避することが
できる。

【００２７】また、ベルト苗搬送部４０に、各植付片４
に形成される係合孔５ｂ、６ａに係合しつつベルト苗１
を強制的に搬送する送りローラ４１と、ベルト苗１を送
りローラ４１側に押圧する押圧ローラ４２とを設けたた
め、苗搬送タイミングを、植付爪１６と植付片４との係
合周期に正確に同期させることができ、しかも、送りロ
ーラ４１と押圧ローラ４２との間でベルト苗１を挟持す
ることにより、ベルト苗１の浮上りによる送りローラ４
１の係合外れや、植付爪１６によるベルト苗１の連れ出
しを防止することができる。

【００２８】また、植付片４の支持シート６側を送りロ
ーラ４１に対向させる一方、育苗シート片５側を押圧ロ
ーラ４２に対向させたため、送りローラ４１の係合突起
４１ａに植付苗３の根部３ａが巻き付くことを回避し、
巻き付きに伴う搬送詰り等のトラブルを防止することが
できる。

【００２９】また、植付部１０は、ベルト苗保持部１８
に繰出自在に保持されるベルト苗１を、植付爪１６で分
離して圃場に植付けるベルト苗植付作業状態と、左右に
往復運動する苗載台１５に載置されたマット苗を、植付
爪１６で掻取って圃場に植付けるマット苗植付作業状態
とに状態変更自在に構成されているため、一台でベルト
苗方式およびマット苗方式に対応でき、その結果、条件
に適合する方式を任意に選択することができる許りでな
く、各方式専用の苗植付装置をそれぞれ用意する場合に
比してコストを削減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）はベルト苗の部分平面図、（Ｂ）は断面
図である。

【図２】乗用田植機の側面図である。

【図３】植付部の要部平面図である。

【図４】ベルト苗保持部の要部断面図である。

【図５】ベルト苗搬送部の側断面図である。

【図６】同上正面図である。

【図７】植付片分離位置を示す平面図である。

【図８】植付行程を示す要部正面図である。

【符号の説明】

１ ベルト苗 ２ 育苗シート体 ３ 植付苗 ４ 植付片 ５ 育苗シート片 ５ａ 種籾収納孔 ５ｂ 係合孔 ６ 支持シート ６ａ 係合孔 ７ ミシン目 １０ 植付部 １５ 苗載台 １６ 植付爪 １８ ベルト苗保持部 ４０ ベルト苗搬送部 ４１ 送りローラ ４１ａ 係合突起 ４２ 押圧ローラ ４６ 植付分離台 ４７ 苗ガイド

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 屋代 幹雄 茨城県つくば市吾妻２−11−803−304 (72)発明者 北川 壽 茨城県つくば市松代５−16−528−106 (72)発明者 布野 隆 島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地 １ 三菱農機株式会社内 Ｆターム(参考） 2B065 AA05 AA07 AB10 AC06 AC07

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長手方向に所定間隔を存して植付苗を保
   持するベルト苗を、少なくとも一本の植付苗を含む複数
   の植付片に分離自在に形成すると共に、該植付片を、所
   定の軌跡を描いて上下方向に往復運動する植付爪で連続
   的に圃場に植付けるにあたり、前記植付爪は、ベルト苗
   から植付片を分離し、該分離した植付片を、植付爪の側
   面に沿う姿勢で下降させた後、運動軌跡下端側で圃場に
   植付けることを特徴とする苗植付方法。
2. 【請求項２】 長手方向に所定間隔を存して植付苗を保
   持するベルト苗を、少なくとも一本の植付苗を含む複数
   の植付片に分離自在に形成すると共に、該植付片を、所
   定の軌跡を描いて上下方向に往復運動する植付爪で連続
   的に圃場に植付ける苗植付装置において、前記植付爪で
   ベルト苗から植付片を分離し、該分離した植付片を、植
   付爪の側面に沿う姿勢で下降させた後、運動軌跡下端側
   で圃場に植付けるにあたり、植付爪の下降軌跡側方位置
   に、植付片を強制的に植付爪の側面に沿わせる苗ガイド
   を設けたことを特徴とする苗植付装置。
3. 【請求項３】 請求項２において、植付片を、少なくと
   も一本の植付苗を保持する育苗シート片と、該育苗シー
   ト片を支持する支持シートとを重合させて形成するにあ
   たり、植付片の支持シート側を苗ガイドでガイドし、育
   苗シート片側を植付爪の側面に沿わせることを特徴とす
   る苗植付装置。