JPS6332568Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、母株を株分けしながら植付けるい草
移植機における苗載せ台に関し、特に、株分け時
における母株の姿勢を正すようにした苗載せ台に
関するものである。

【従来の技術】

周知のい草移植機に、従来の田植機と同様に、
い草の母株を載置して機体の左右方向に所定のス
トロークで往復動する苗載せ台の終端部に沿つ
て、機体側に固着され、苗取出し口を有する苗受
け部を備えたものがある。

【考案が解決しようとする問題点】

い草の母株は、田植機のマツト苗と異なり、地
下茎で強く結合された直径８〜10センチ程度の円
形状をなしており、その根際に多く新芽をもつた
ものであり、このような母株を多数個苗載せ台に
載置するようにしているので、苗載せ台の左右往
復動によつて苗載せ台の終端部に位置する母株
は、苗受け部と接触して摩擦を生じ母株が傾斜し
たり、母株間の間隔を拡げたりして欠株の原因に
なつたり、苗の茎や新芽の折損等を起したりする
欠点があつた。

【問題点を解決するための手段】

そこで本考案は、従来の苗受け部に、苗載せ台
の左右往復動と同期して左右方向に移動し、母株
を苗取出し口側に移動する苗送りベルトを設ける
ことによつて、母株を乱すことなく横送りして苗
取出し口に送り、欠株を生じたり、茎や新芽を傷
めたりすることがない、い草移植機における苗載
せ台を提供するものである。

【実施例】

以下、図面を参照して本考案の実施例を説明す
る。 図において、符号１はい草移植機の植付部に設
けたフレームを兼ねる伝動ケースで、このケース
１の後部に一端を固着し、他端を機体後方斜め上
方に向け延出させたハンドル杆２が設けられ、こ
のハンドル杆２の前側に、苗載せ台３が、ハンド
ル杆２の傾斜に沿い、かつ左右方向に所定の間隔
で往復動するよう、伝動ケース１およびハンドル
杆２に支持されている。この苗載せ台３の傾斜下
端部には、伝動ケース１側に固着された苗受け部
４が設けられ、該苗受け部４に苗取出し口５が開
口している。また、苗取出し口５に対向し、伝動
ケース１には、苗取出し口５を通り、上下方向に
所定の軌跡７を描いて往復動し、苗を１株状に取
出して田面に植付ける苗植付体６が配設されてい
る。これらの各機構は、いずれも周知の稲用田植
機と同様のもので、本実施例では歩行型のい草移
植機に適用したものである。 前記苗載せ台３は、上端および下端を開放し、
上部に無端帯からなる苗送り機構８と、苗送り機
構８の終端と連続して設けた苗載せ板９と、苗載
せ板９に穿設した孔９ａから突没して母株を下降
させる苗送り爪１０と、苗送り機構８および苗載
せ板９の両側に前後方向に立設した側板１１とを
有している。また、伝動ケース１側には、前記苗
載せ板９の下端部にある母株を、その上方から、
下方に向け掻寄せる苗送り針１２が設けられてい
る。 また、苗植付体６は、第２図に詳細に示すよう
に、固定爪１３と移動爪１４とを備え、前記軌跡
７に沿う移動過程で移動爪１４を変位させるもの
で、苗取出し時には仮想線で示すように固定爪１
３より後退して固定爪１３と１体の鋭利な爪とな
り、苗を田面に植付けるときには実線で示すよう
に固定爪１３より前進し、苗を田面に植付けるよ
うにしたものである。この固定爪１３と移動爪１
４は、それぞれ左右に所定間隔を有する一対のも
のから構成されている。 前記苗受け部４には、第３図に示すように苗取
出し口５を挾んで左右に一対の無端帯１５，１５
を設けている。この無端帯１５は、ベルト１６を
一対のプーリ１７に巻回し、第１図で明らかなよ
うにその表面を苗載せ板９と交差させ、苗載せ板
９上に載置されたい草の母株の根部側面と対接さ
せ、プーリ１７は回動自在とすると共に、ベルト
１６の表面を前記苗載せ台３の側枠１１に固定
し、苗載せ台３の移動と共にベルト１６と同方向
に移動するようにしたものである。 また、苗取出し口５の底部には、前記苗植付体
６と同期して作動する受爪１８が設けられてい
る。この受爪１８は、第３図に示すように、苗取
出し口５と偏心した位置に設けた移動杆１９の上
端に連結片２０を介して取付けられ、苗植付体６
が苗取出し口５に位置したとき、移動杆１９が上
動して受爪１８を苗取出し口５内に突出させ、受
爪１８によつてい草苗の底部を突刺し、この突刺
し動作と同期して苗植付体６が下降して苗も分割
し、苗植付体６の下降と共に受爪１８も下降する
ようにしたものである。また、前記苗送り機構
８、苗送り爪１０および苗送り針１２も、苗植付
体６および受爪１８の作動と関連させて一定の周
期で作動するようにしてある。 このような構成を有するい草移植機において
は、移植作業を行うとき、苗載せ台３にい草の母
株を多数個、順次詰め込むようにして載置し、機
体の走行と共に植付部を駆動させると、軌跡７を
描いて上下動する苗植付体６は、その移動爪１４
を第２図の仮想線で示すように固定爪１３と先端
を１体状にして母株の上方から突刺し、これと同
期して当該母株の底面から受爪１８が上方に向け
突刺されるので、母株は剪断力を受けて、結合の
強固な根部でも容易に１株状に分割され、苗植付
体６に保持されて下降し、この下降と連動して受
爪１８も下降する。苗植付体６の先端が田面に挿
入されると、移動爪１４が第２図の実線で示すよ
うに固定爪１３の下方まで突出して苗を田面に植
付け、苗植付体６は上昇し、再び前記と同時の動
作を繰返し苗を植付けていく。 一方、苗載せ台３は、一定のストロークで往復
動しながら、母株を順次苗取出し口５に送り出
し、また、苗送り機構８は母株を順次下降させて
苗載せ板９上に送り込み、苗送り爪１０は苗載せ
板９上の母株を下降させ、さらに苗送り針１２で
母株を苗受け部４に引き寄せる。そして、苗受け
部４に位置する母株は、その下端部を無端帯１５
のベルト１６に接し、ベルト１６が苗載せ台３の
移動と同期して移動することにより、苗載せ板９
から送られた正しい姿勢のまま苗取出し口５へ送
られることになり、苗植付体６で取出される苗
は、茎や新芽を傷めることなく正しい姿勢で田面
にに植付けられ、以後の活着、発育に好結果をも
たらす。また、本実施例では、母株の分割を、苗
植付体６と、これと同期して作動する受爪１８と
で行うので、苗植付体６の強度を、受爪１８を設
けないものに比べて弱く（細く）しても差支えな
い。

【考案の効果】

以上説明したように、本考案のい草移植機にお
ける苗載せ台によれば、苗載せ台により左右に往
復動するい草の母株を、苗受け部において苗載せ
台の往復動と同期して移動させる苗送りベルトに
より苗取出し口に送るようにしたので、い草苗の
ように、多数の母株を苗載せ台に載置して苗取出
し口から株分けして移植する場合、母株の移動に
よる苗受け部との摩擦がなくなり、従つて、母株
を乱すことなく横送りでき、母株の分割が正しい
姿勢で行われ、茎や新芽などを傷めることがな
く、欠株のない精度の高い植付け作業が実施でき
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は植付
部の一部縦断側面図、第２図は苗植付体の一部縦
断側面図、第３図は要部の縦断側面図である。 １……伝動ケース、２……ハンドル杆、３……
苗載せ台、４……苗受け部、５……苗取出し口、
６……苗植付体、７……軌跡、８……苗送り機
構、９……苗載せ板、１０……苗送り爪、１１…
…側枠、１２……苗送り針、１３……固定爪、１
４……移動爪、１５……無端帯、１６……ベル
ト、１７……プーリ、１８……受爪、１９……移
動杆、２０……連結片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. い草の母株を載置して機体の左右方向に所定の
   ストロークで往復動する苗載せ台の終端部に沿つ
   て、機体側に固着され、苗取出し口を有する苗受
   け部を備えるい草移植機の苗載せ台において、前
   記苗受け部に、苗載せ台の往復動と同期して左右
   方向に移動し、母株を苗取出し口側に移動する苗
   送りベルトを設けたことを特徴とするい草移植機
   における苗載せ台。