JP2518857Y2 - 移植機の苗送り装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、移植機の苗送り装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】野菜等のポット苗を移植する畑地用の移
植機として、縦横に多数のポット部を備えた苗箱を弯曲
形成した苗箱案内手段に装填し、苗箱縦送り手段により
苗箱を苗箱案内手段に沿って上方から下方へと１ピッチ
づつ間欠的に送り、この苗箱における横一列のポット部
の苗を苗押出し手段により横送り手段上に押出し、横送
り手段の間欠動作により各苗を植付手段に１個づつ供給
して植付けて行くようにしたものが例えば特公昭57-222
82号公報、特公昭57-22288号公報等で公知である。

【０００３】この種の移植機では、縦横に多数備えたポ
ット部で土付苗を育苗したものであり、葉令が成長して
いることから、植付後の活着性、成育にも優れている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、葉令が
成長していて縦横に多数配列されていることから、隣り
合う葉部が伏倒していて互いに絡み合っていることがあ
り、この絡みをそのままにして横送りすると植付手段に
１個づつ確実に落し込むことが困難であったり、葉切れ
を生じたりする等々の課題があった。

【０００５】本考案は、前述した実状に鑑み、苗箱縦送
り手段で縦送りするとき、苗の葉部を起立させながら横
方向に分けることによって横送り手段上に確実に１個づ
つ分離状態に載せることで前述の課題を解決するのが目
的である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は、ポット部22を
縦横に多数備えた苗箱15を弯曲形成した苗箱案内手段5
に沿って上方から下方に１ピッチづつ送る苗箱縦送り手
段6 を備え、前記苗箱15における横一列のポット部22の
苗A を押出す苗押出し手段7 を備え、押出した横一列の
苗A を受けて横方向に送る横送り手段8 を備えている移
植機の苗送り装置において、前述の目的を達成するため
に、次の技術的手段を講じている。

【０００７】すなわち、本考案は、前記苗箱１５の縦送
りの進行にともなって横一列のポット部２２の苗Ａを株
元側から葉部先端に向かって横方向に分けるデバィダ作
用部６９を有する分離手段７１を備え、該分離手段７１
のデバィダ作用部６９は、前記横一列のポット部２２間
に位置すべく櫛状に列設され、該作用部６９の先端は苗
箱１５の表面近くまで延伸されていて前記押出し手段７
に至る手前に位置しているものである。

【０００８】

【作用】移植作業時には、弯曲形成した苗箱案内手段5
に土付苗A を縦横に育苗した苗箱15を装填する。この苗
箱15は苗箱縦送り手段6 により上方から下方に１ピッチ
づつ間欠送りされ、横一列のポット部22の土付苗A を苗
押出し手段7 により横送り手段8 上に押出して行く。そ
して、横送り手段8 により土付苗A を１ピッチづつ横送
りする。

【０００９】この場合、縦送りの段階においてポット部
２２にて伏倒したりして葉部が絡み合っている土付苗Ａ
は、その株元側から葉部先端に向かってデバィダ作用部
６９により苗箱１５の縦送りの進行にともなって起立さ
れて隣り合う葉部は横方向に分けられる。また、デバィ
ダ作用部６９は横一列のポット部２２間に位置すべく櫛
状に列設されていることから、横一列の土付苗Ａはその
全部が絡みをときほぐされるし、該デバィダ作用部６９
の先端が、苗箱１５の表面近くまで延伸されていること
から、苗箱１５の浮き上がりを防止できる。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の実施例を図を参照して説明す
ると、移植機の全体を示した図７および図８において、
1 は圃場の畝で、マルチフイルム2 で被覆されており、
この畝1 を跨いで移植機3 が走行するようになってい
る。移植機3 は歩行型であって、機体4 の後部一側に苗
箱案内手段5 、苗箱縦送り手段6 、苗押出し手段7 、横
送り手段8 及び植付け手段9 等を備えて成る。

【００１１】機体4 は前端部の一側に前輪10を、後部の
両側に後輪11を備えているとともに、中央部に搭載した
エンジン12の動力により後輪11を駆動して走行可能であ
り、エンジン12は更に、苗箱縦送り手段6 、苗押出し手
段7 および横送り手段8 等の原動部13に動力を伝えてお
り、機体4 の後輪中央部側にはハンドル14を備えてい
る。

【００１２】苗箱案内手段5 は苗箱15を上方から下方に
案内するもので、図１から図３で示すように、円弧状に
弯曲形成された案内底板16と、この案内底板16の左右両
側に備えられた断面逆Ｌ字状の案内側板17とを備え、案
内底板16は押出し手段7 の手間で終っており、押出し手
段7 より下方は開放部18とされ、案内側板17は開放部18
の左右両側にも延伸されている。

【００１３】更に、案内底板16の上方で案内側板17間に
は、左右一対の内レール19が弯曲形成され、該内レール
19は苗箱15のポット部間のスキマ15A に挿入され、該内
レール19は開放部18にも延伸されているとともに該内レ
ール19と相対して開放部18の前面には左右一対の外レー
ル20が横棒21を介して取付けてある。苗箱15は薄いプラ
スチック製であって、図３A,C に示す如く縦横に多数の
ピット部22を有するとともに左右両側部のフランジ部に
は縦方向にポット部22と等ポッチに送り孔23が形成され
ている。

【００１４】送り孔23はポット部22の中心に一致するよ
うに設けられ、また、各ポット部22の底部には押出用孔
24が形成されている。また、各ポット部22は図３B で示
す如く開口縁は矩形状であり、ポット深さ方向の中途部
から底部に至ってはほぼ円形とされており、これによっ
て土付苗A の根張り状態を良好にするとともに、矩形部
を併せもつことで転がりを防止している。

【００１５】従って、可撓性を有する苗箱15は左右一対
の内レール19にスキマ15A を挿通し、左右両端部は案内
側板17に入るようにして装填され、ポット部22の底面が
案内底板16上を摺動するように案内され、押出し手段7
よりも下方においては開放部18を介して土、根切れ等の
夾雑物の詰まりをなくしかつ該夾雑物を下方に弯曲され
て送られる苗箱15の裏面側に乗せた状態で圃場へと内外
レール19,20 等を介して落下案内するようになってい
る。

【００１６】苗箱縦送り手段6 は、苗箱案内手段5 に装
填された苗箱15を１ピッチづつ上方から下方へと間欠的
に縦送りするものであり、苗押出し手段7 は苗箱15にお
ける横一列の土付苗A を同時に横送り手段18上に押出す
もので、これら手段6,7 は、苗箱案内手段5 の弯曲部の
内側において、苗押出し手段7 が中央でその左右両側に
苗箱縦送り手段6 が夫々位置するように配置されてい
る。

【００１７】苗箱縦送り手段6 は、図１，図２，図４で
示す如く機体4 に取付けた架台25に立設した左右一対の
支持板26に挿支した水平横方向の回動軸27の両端に送り
アーム28を備え、この送りアーム28の先端にピン29で枢
支した規制爪32とを備え、送り爪30と規制爪32は苗箱15
の送り孔23および案内側板17に形成した長孔17A に係合
している。

【００１８】すなわち、回動軸27の回転で送りアーム28
が上下方向に揺動することで送り爪30で苗箱15を縦方向
に１ピッチづつ間欠送りさせ、間欠送り後に規制爪32で
送り止めして位置決めしている。回動軸27への動力伝達
は原動部13のカム33に、支軸34上に可動支持したカムレ
バー35のカムローラ36当接させ、カムレバー35と回動軸
27の端部アーム37とロッド38 等を介して送りアーム28
を上下揺動するようになっている。なお、ロッド38、送
り爪30等には図外の戻しバネを備えてもよい。

【００１９】苗押出し手段7 は図１，図２，図４で示す
如く苗箱15の横一列のポット部22の数と同数の押出し棒
39を備え、この押出し棒39は押出し枠40に前方突出状と
して取付けてあり、押出し枠40は左右一対のガイド棒41
上を摺動する。左右一対の支持板26に回動軸42が挿支さ
れており、この回動軸42に取付けた左右一対のアーム43
と押出し枠40とを左右一対のリンクロッド44で連結して
おり、アーム43が図１の矢印Ｂ方向に揺動するとリンク
ロッド44を介して押出し枠40をガイド棒41上で摺動して
押出し棒39をポット部22の孔24から突出して横一列の土
付苗A を横送り手段8 上に押出するようにされている。

【００２０】回動軸42は端部アーム45を有し、この端部
アーム45と原動部13とを図４で示す如くロッド46で連動
連結している。図４A,B において、支軸34 上には送り
用カムローラ47を有するカムレバー48が枢支され、この
カムレバー48に隣り合って戻し用カムローラ49を有する
フリーカムレバー50が２又状に備えられ、該フリーカム
レバー50は送り用カムレバー48に取付けたボルト51に当
接可能とされている。

【００２１】駆動ギヤ52等を有する原動軸53に、送りカ
ム54と戻しカム55とが並設してキーとめされており、送
りカム54にカムローラ47が、戻しカム55にカムローラ49
が転動自在に当接している。カムレバー48と端部アーム
45とを連動連結したロッド46はその途中にバネ56で押付
けられたボール57を有する筒体58を備え、この筒体58に
ボール57に係合する周溝59を有するロッドを備えてな
り、ボール57等は安全手段とされている。

【００２２】すなわち、原動軸53の回転でカム54,55 が
矢印C 方向に回転すると送りカム54の突カム部54A でカ
ムローラ47をけり、これによってカムレバー48を矢印D
方向に揺動させてロッド46を引込み、これによって押出
し棒39をB 方向に前進させ、一方、フリーカムレバー50
のカムローラ49はカム55の凹カム部55A に落し込み、押
出し棒39を前進させた後に、凹カム部55A の終端でカム
ローラ49をけり、ボルト51を介してカムレバー48を矢印
D1方向に揺動してロッド46を介して押出し棒39をB1方向
に送すようになっている。

【００２３】従って、押出し棒39は前進後退ともにカム
等による強制送りとされ、これによって、押出し棒39が
ポット部22の孔24等に引掛っても強制的に押引でき、し
かも、ロッド46への軸力がボール57と周溝59との係合力
以上作用すると、ボール57が周溝59より外れてロッド46
をフリーとすることで安全性を確保している。横送り手
段8 は苗押出し手段7 の各押出し棒39により横一列のポ
ット部22から押出された苗A を受けて植付け手段9 に１
個づつ間欠的に供給するものであり、図１，図２，図５
および図６に示してある。

【００２４】すなわち、横送り手段8 は、左右一対のス
プロケット60,61 間にチェーン62を巻掛け、チェーン62
のブラケット63に等間隔おきに苗受具64をピン65によっ
て揺動すべく枢支しかつバネ66で傾斜するように付勢し
てある。一方、チェーン62の後方近傍にチェーン長手方
向に送って長円案内板67を設け、この長円案内板67上で
苗受具64がバネ66で付勢された状態で摺接しており、長
円案内板67の送出端には切欠部68を有している。

【００２５】従って、横一列の苗A を受け止めると、厚
動部13からの動力でチェーン62を間欠送りすることで苗
受具64上の苗A は１個づつ間欠送りされて切欠部68によ
る苗受具64の傾斜を介して植付け手段9 に供給し、図９
に示す如く畝1 に土付苗A を移植する。なお、畝1 には
往行程で1 条を移植し、後工程で２条を移植する。そし
て、横一列の苗を横送りしている時間帯は苗箱縦送り手
段および押出し手段は休止していて、横一列の苗をすべ
て横送りした後に苗箱縦送り手段を前述の如く作用さ
せ、押出し手段で横一列を押出すのを繰返す。

【００２６】苗箱15におけるポット部22には土付苗A が
育苗されており、この土付苗A は葉部A1が伏倒している
場合には互いに絡み合い、横送り手段8 に押出すときに
葉部A1が切断されたり、また、植付け手段9 に供給する
ときに切断されたりするおそれがある。そこで、本考案
の実施例では、デバィダ作用部69を横送り手段8 のフレ
ーム70等に着脱自在に取付け、縦送りのときに、株元側
から葉部の先端に向かって葉部A1を引起すようにした分
離手段71を設けている。

【００２７】この分離手段７１のデバィダ作用部６９は
横送り手段８上の苗Ａと干渉しないように空間７２をも
って横一列のポット部２２間に位置すべく櫛状に列設さ
れ、苗箱１５の縦送り進行にともなって葉部Ａ１を横方
向にわけるべく押出し手段７に至る手前に備えられてい
て、その先端は苗箱１５の表面近くまで延伸されている
のである。

【００２８】

【考案の効果】本考案は以上の通りであり、前記苗箱１
５の縦送りの進行にともなって横一列のポット部２２の
苗Ａを株元側から葉部先端に向かって横方向に分けるデ
バィダ作用部６９を有する分離手段７１を備え、該分離
手段７１のデバィダ作用部６９は、前記横一列のポット
部２２間に位置すべく櫛状に列設されているので、葉部
Ａ１が絡みあっていてもこれを確実に分離し、この分離
は横一列の全部に作用するので、葉切れを招くことなく
１個ずつ正確に移植することができる。また、デバィダ
作用部６９の先端は苗箱１５の表面近くまで延伸されて
いて前記押出し手段７に至る手前に位置しているので、
苗箱案内手段５に対する苗箱１５の装填の際、作用部６
９が邪魔となることもなく、苗箱１５の浮き上がりを該
作用部６９によって防止できるし、これによって苗箱１
５の縦送りを確実とする。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案実施例の側断面図である。

【図２】同じく平断面図である。

【図３】苗箱ユニットの全体斜視図Ａと、ポット部の斜
視図Ｂと、苗箱縦送り手段の平面図Ｃである。

【図４】押出し手段の駆動部の側面図Ａと正面図Ｂであ
る。

【図５】横送り手段の全体正面図である。

【図６】横送り手段の要部拡大図である。

【図７】移植機の全体平面図である。

【図８】同じく全体側面図である。

【図９】植付け状態の証明図である。

【符号の説明】

５ 苗箱案内手段 ６ 苗箱縦送り手段 ７ 苗押出し手段 ８ 苗横送り手段 15 苗箱 22 ポット部 69 デバィダ作用部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 野坂 健吉 大阪府堺市楠町１丁２番３号 (72)考案者 福高 恭史 大阪府和泉市池田下町1779−３ ファミ リープラザ光明池 １−304号 (72)考案者 西尾 基 大阪府河内長野市楠町西1044 (56)参考文献 実開 昭59−161915（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポット部（２２）を縦横に多数備えた苗
   箱（１５）を弯曲形成した苗箱案内手段（５）に沿って
   上方から下方に１ピッチずつ送る苗箱縦送り手段（６）
   を備え、前記苗箱（１５）における横一列のポット部
   （２２）の苗（Ａ）を押し出す苗押出し手段（７）を備
   え、押し出した横一列の苗（Ａ）を受けて横方向に送る
   横送り手段（８）を備えている移植機の苗送り装置にお
   いて、前記苗箱（１５）の縦送りの進行にともなって横
   一列のポット部（２２）の苗（Ａ）を株元側から葉部先
   端に向かって横方向に分けるデバィダ作用部（６９）を
   有する分離手段（７１）を備え、該分離手段（７１）の
   デバィダ作用部（６９）は、前記横一列のポット部（２
   ２）間に位置すべく櫛状に列設され、該作用部（６９）
   の先端は苗箱（１５）の表面近くまで延伸されていて前
   記押出し手段（７）に至る手前に位置していることを特
   徴とする移植機の苗送り装置。