JP3730068B2 - 画像処理装置及び記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多階調画像の多値量子化に誤差拡散法を用いる画像形成方法、画像処理方法及び画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、レーザプリンタ、デジタル複写機、ディスプレイ装置、その他各種画像処理装置において、多階調画像の階調を擬似的に再現するため、誤差拡散法が広く利用されている。
【0003】
この誤差拡散法に関しては、以下に例示するような様々な改良技術が提案されている。
(1)誤差拡散法により画像データを2値量子化する装置において、文字・図形の連続性を向上させるために、注目画素周辺に出力されたONドットの配置(連続性)を調べ、例えば、ある方向にONドットが連続している場合に注目画素の出力ドットをONしやすくするように量子化閾値を制御する技術(特公平8−24338号)。
(2)誤差拡散法により画像データを2値量子化する装置において、低濃度部で正方向の誤差の拡散によりONドットが近接して出力されることによる独特なテキスチャの発生を防止するために、低濃度部で、注目画素周辺にONドットが出力されていた場合に、注目画素の出力ドットをOFFにするように量子化閾値を制御する技術(特許第2662402号)。
(3)注目画素周辺の出力ドットの連続性を調べ、ONドット又はOFFドットの連続を阻止するように量子化閾値を制御することにより、鎖状のテキスチャ及び擬似輪郭の発生を除去する技術(特許第2756308号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来から誤差拡散法の弱点を補うための様々な従来技術が提案されているが、本発明は、そのような従来技術とは異なったアプローチによって、誤差拡散法の問題点を解決する新規な方法及び装置を提供しようとするものである。
【0005】
より具体的に述べれば、後記実施例に関連して詳述するように、通常の誤差拡散処理によって多階調画像データを多値量子化し、量子化データを例えば電子写真式プリンタに与えて画像を形成させるような場合に、中・高濃度領域で画像が不安定になりやすい、階調飛びが起こりやすい、濃度の飽和が早く起きやすい等の問題があった。また、文字、網点、写真の領域が混在したような画像を扱う場合に、領域によって画質が悪化するという問題がある。よって、本発明の目的は、そのような問題を解決するための新規な画像形成方法、画像処理方法及び画像処理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、多階調の画像を誤差拡散法により多値量子化し、量子化画像の量子化レベル1以上の各画素をその量子化レベルが高いほど大きなドットを用いて表現する画像形成方法において、
(a)特定の大きさのドットの発生を、同ドットに関連した特定の濃度領域で抑制することを特徴とするものであり、これ以外に以下の特徴を有する。
(b)最小のドットの発生を抑制する。
(c)最大のドット以外のドットの発生を抑制する。
(d)注目画素周辺の特定領域内におけるドットの個数に基づいて、発生を抑制すべき特定の大きさのドットの発生割合を制御する。
(e)注目画素周辺の特定領域内におけるドットの個数及び前記注目画素の濃度レベルに基づいて、発生を抑制すべき特定の大きさのドットの発生割合を制御する。
(f)注目画素周辺の特定領域内における特定の大きさのドットの個数に基づいて、発生を抑制すべき特定の大きさのドットの発生割合を制御する。
(g)注目画素周辺の特定領域内における特定の大きさのドットの個数及び前記注目画素の濃度レベルに基づいて、発生を抑制すべき特定の大きさのドットの発生割合を制御する。
(h)特定の大きさのドットの発生の抑制度合を、画像の特徴に応じて変化させる。
(i)画像の絵柄領域でのみ、特定の大きさのドットの発生を抑制する。
(j)特定の大きさのドットの発生の抑制度合を、画像の文字領域では絵柄領域よりも弱める。
(k)画像の非エッジ領域でのみ、特定の大きさのドットの発生を抑制する。
(l)特定の大きさのドットの発生の抑制を中濃度領域において行う。
(m)特定の大きさのドットの発生の抑制を高濃度領域において行う。
(n)特定の大きさのドットの発生の抑制を中濃度領域及び高濃度領域において行う。
【0007】
また、本発明は、多階調の画像データを誤差拡散法により多値量子化する画像処理方法において、
(A)1つ以上の特定の量子化レベルの発生を、同量子化レベルに関連した画像データの特定のレベル領域で抑制することを特徴とするものであり、さらに以下の特徴を有する。
(B)発生を抑制すべき特定の量子化レベルに関して再量子化を行う。
(C)画像データの中レベル領域で特定の量子化レベルの発生を抑制する。
(D)画像データの高レベル領域で特定の量子化レベルの発生を抑制する。
(E)画像データの中レベル領域及び高レベル領域で特定の量子化レベルの発生を抑制する。
(F)注目画素周辺の特定領域内で量子化レベル1以上に量子化された画素の個数に基づいて、発生を抑制すべき量子化レベルの発生割合を制御する。
(G)注目画素周辺の特定領域内で量子化レベル1以上に量子化された画素の個数及び前記注目画素の前記画像データのレベルに基づいて、発生を抑制すべき量子化レベルの発生割合を制御する。
(H)注目画素周辺の特定領域内で特定の量子化レベルに量子化された画素の個数に基づいて、発生を抑制すべき量子化レベルの発生割合を制御する。
(I)注目画素周辺の特定領域内で特定の量子化レベルに量子化された画素の個数及び前記注目画素の前記画像データのレベルに基づいて、発生を抑制すべき量子化レベルの発生割合を制御する。
(J)特定の量子化レベルの発生の抑制度合を画像の特徴に応じて変化させる。
(K)画像の絵柄領域でのみ、特定の量子化レベルの発生を抑制する。
(L)特定の量子化レベルの発生の抑制度合を、画像の文字領域では絵柄領域よりも弱める。
(M)画像の非エッジ領域でのみ、特定の量子化レベルの発生を抑制する。
【0008】
また、本発明は、
(N)前記(A)〜(M)に係る画像処理方法によって多階調の画像データを多値量子化し、多値量子化された画像データを、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する画像形成手段に供給して画像を形成させることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明は、多値の入力画像データを誤差拡散法により多値量子化する画像処理装置において、
(ア)1つ以上の特定の量子化レベルの発生を、それより高い量子化レベルが発生する前記入力画像データのレベル領域で抑制するための手段を有することを特徴とするものであり、これ以外に以下の特徴を有する。
(イ)前記手段が、発生を抑制すべき特定の量子化レベルに関して再量子化を行う。
(ウ)前記手段が、前記画像データの中レベル領域で特定の量子化レベルの発生を抑制する。
(エ)前記手段が、前記画像データの高レベル領域で特定の量子化レベルの発生を抑制する。
(オ)前記手段が、前記画像データの中レベル領域及び高レベル領域で特定の量子化レベルの発生を抑制する。
(カ)前記手段が、注目画素周辺の特定領域内で量子化レベル1以上に量子化された画素の個数に基づいて、発生を抑制すべき量子化レベルの発生割合を制御する。
(キ)前記手段が、注目画素周辺の特定領域内で量子化レベル1以上に量子化された画素の個数及び前記注目画素の前記画像データのレベルに基づいて、発生を抑制すべき量子化レベルの発生割合を制御する。
(ク)前記手段が、注目画素周辺の特定領域内で特定の量子化レベルに量子化された画素の個数に基づいて、発生を抑制すべき量子化レベルの発生割合を制御する。
(ケ)前記手段が、注目画素周辺の特定領域内で特定の量子化レベルに量子化された画素の個数及び前記注目画素の前記画像データのレベルに基づいて、発生を抑制すべき量子化レベルの発生割合を制御する。
(コ)前記手段が、特定の量子化レベルの発生の抑制度合を画像の特徴に応じて変化させる。
(サ)前記手段が、絵柄領域でのみ特定の量子化レベルの発生を抑制する。
(シ)前記手段が、文字領域では絵柄領域よりも特定の量子化レベルの発生の抑制度合を弱める。
(ス)前記手段が、画像の非エッジ領域でのみ特定の量子化レベルの発生を抑制する。
(セ)前記手段が、指定された出力モードに応じて特定の量子化レベルの発生の抑制度合を変更する。かかる本発明の画像処理装置は、請求項1乃至15にって、より明確に定義される。
【0010】
請求項1記載の発明は、多値の入力画像データが入力され、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する画像形成手段に供給するための、前記入力画像データを多値量子化した出力画像データを生成する画像処理装置であって、
前記入力画像データに誤差を加算する誤差加算手段と、
前記誤差加算手段により誤差を加算後の画像データをN−1個(ただしN≧3)の量子化閾値を用いて量子化レベル0から量子化レベルN−1までのNレベルに多値量子化する量子化手段と、
前記量子化手段による多値量子化データの量子化レベルが最高の量子化レベルN−1と最低の量子化レベル0を除く特定量子化レベルであって、その再量子化が必要と判定するときには前記多値量子化データを他の量子化レベルに再量子化してから、再量子化が必要と判定しないときには前記多値量子化データをそのまま、それぞれ前記出力画像データとして出力し、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルでないときには前記多値量子化データをそのまま前記出力画像データとして出力する出力ドット制御手段と、
前記出力画像データと前記誤差を加算後の画像データとから前記入力画像データに加算される誤差を求め、該誤差を前記誤差加算手段に与える拡散誤差取得手段と、
前記出力画像データから注目画素周辺の特定領域内で量子化レベル1以上に量子化された画素の個数を求め、該画素の個数を前記出力ドット制御手段に与える周辺ドット数取得手段とを具備し、
前記出力ドット制御手段は、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルであって、前記周辺ドット数取得手段より与えられた画素の個数に基づいて決定される前記特定量子化レベルに関連した判定閾値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが越えないときに、再量子化を必要と判定し、
前記出力ドット制御手段は、再量子化を必要と判定したときに、前記特定量子化レベルに関連した所定の値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが超えなければ、前記多 値量子化データを前記特定量子化レベルより下の量子化レベルへ再量子化し、そうでなければ前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより上の量子化レベルへ再量子化することを特徴とする画像処理装置である。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に係る画像処理装置において、前記出力ドット制御手段は、前記入力画像データのレベルが所定のレベル領域から外れる場合には前記特定量子化レベルに関する再量子化を不要と判定することを特徴とする画像処理装置である。
【0012】
請求項3記載の発明は、多値の入力画像データが入力され、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する画像形成手段に供給するための、前記入力画像データを多値量子化した出力画像データを生成する画像処理装置であって、
前記入力画像データに誤差を加算する誤差加算手段と、
前記誤差加算手段により誤差を加算された画像データをN−1個(ただしN≧3)の量子化閾値を用いて量子化レベル0から量子化レベルN−1までのNレベルに多値量子化する量子化手段と、
前記量子化手段による多値量子化データの量子化レベルが最高の量子化レベルN−1と最低の量子化レベル0を除く特定量子化レベルであって、その再量子化が必要と判定するときには前記多値量子化データを他の量子化レベルに再量子化してから、再量子化が必要と判定しないときには前記多値量子化データをそのまま、それぞれ前記出力画像データとして出力し、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルでないときには前記多値量子化データをそのまま前記出力画像データとして出力する出力ドット制御手段と、
前記出力画像データと前記誤差を加算後の画像データとから前記入力画像データに加算される誤差を求め、該誤差を前記誤差加算手段に与える拡散誤差取得手段と、
前記出力画像データから注目画素周辺の特定領域内で量子化レベル1以上に量子化された画素の個数を求め、該画素の個数を前記出力ドット制御手段に与える周辺ドット数取得手段とを具備し、
前記出力ドット制御手段は、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルであって、前記周辺ドット数取得手段より与えられた画素の個数及び前記入力画像データのレベルに基づいて決定される前記特定量子化レベルに関連した判定閾値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが越えないときに、再量子化を必要と判定し、
前記出力ドット制御手段は、再量子化を必要と判定したときには、前記特定量子化レベルに関連した所定の値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが超えなければ、前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより下の量子化レベルへ再量子化し、そうでなければ前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより上の量子化レベルへ再量子化することを特徴とする画像処理装置である。
【0013】
請求項4記載の発明は、多値の入力画像データが入力され、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する画像形成手段に供給するための、前記入力画像データを多値量子化した出力画像データを生成する画像処理装置であって、
前記入力画像データに誤差を加算する誤差加算手段と、
前記誤差加算手段により誤差を加算された画像データをN−1個(ただしN≧3)の量子化閾値を用いて量子化レベル0から量子化レベルN−1までのNレベルに多値量子化する量子化手段と、
前記量子化手段による多値量子化データの量子化レベルが最高の量子化レベルN−1と最低の量子化レベル0を除く特定量子化レベルであって、その再量子化が必要と判定するときには前記多値量子化データを他の量子化レベルに再量子化してから、再量子化が必要と判定しないときには前記多値量子化データをそのまま、それぞれ前記出力画像データとして出力し、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルでないときに は前記多値量子化データをそのまま前記出力画像データとして出力する出力ドット制御手段と、
前記出力画像データと前記誤差加算手段により誤差を加算後の画像データとから前記入力画像データに加算される誤差を求め、該誤差を前記誤差加算手段に与える拡散誤差取得手段と、
前記出力画像データから注目画素周辺の特定領域内における量子化レベル0以外の各量子化レベル毎の画素の個数を求め、該画素の個数を前記出力ドット制御手段に与える周辺ドット数取得手段とを具備し、
前記出力ドット制御手段は、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルであって、前記周辺ドット数取得手段より与えられた前記特定量子化レベルの画素の個数と前記特定量子化レベルの1レベル上の量子化レベルの画素の個数との合計数、及び、前記入力画像データのレベルに基づいて決定される前記特定量子化レベルに関連する判定閾値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが越えないときに再量子化を必要と判定し、
前記出力ドット制御手段は、再量子化を必要と判定したときに、前記特定量子化レベルに関連した所定の値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが超えなければ、前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより下の量子化レベルへ再量子化し、そうでなければ前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより上の量子化レベルへ再量子化することを特徴とする画像処理装置である。
【0014】
請求項5記載の発明は、多値の入力画像データが入力され、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する画像形成手段に供給するための、前記入力画像データを多値量子化した出力画像データを生成する画像処理装置であって、
前記入力画像データに誤差を加算する誤差加算手段と、
前記誤差加算手段により誤差を加算された画像データをN−1個(ただしN≧3)の量子化閾値を用いて量子化レベル0から量子化レベルN−1までのNレベルに多値量子化する量子化手段と、
前記量子化手段による多値量子化データの量子化レベルが最高の量子化レベルN−1と最低の量子化レベル0を除く特定量子化レベルであって、その再量子化が必要と判定するときには前記多値量子化データを他の量子化レベルに再量子化してから、再量子化が必要と判定しないときには前記多値量子化データをそのまま、それぞれ前記出力画像データとして出力し、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルでないときには前記多値量子化データをそのまま前記出力画像データとして出力する出力ドット制御手段と、
前記出力画像データと前記誤差誤差を加算後の画像データとから前記入力画像データに加算される誤差を求め、該誤差を前記誤差加算手段に与える拡散誤差取得手段と、
前記出力画像データから注目画素周辺の特定領域内における量子化レベル1以上に量子化された画素の個数を求め、該画素の個数を前記出力ドット制御手段に与える周辺ドット数取得手段とを具備し、
前記出力ドット制御手段は、注目画素が属する画像領域の特徴を指示する特徴指示信号を外部より入力され、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルであって、前記特徴指示信号で指示された特徴に応じて決まる前記特定量子化レベルに関連するパラメータ、前記周辺ドット数取得手段より与えられた画素の個数、及び、前記入力画像データのレベルに基づいて決定される前記特定量子化レベルに関連した判定閾値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが越えないときに再量子化が必要と判定し、
前記出力ドット制御手段は、再量子化を必要と判定したときに、前記特定量子化レベルに関連した所定の値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが超えなければ前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより下の量子化レベルへ再量子化し、そうでなければ前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより上の量子化レベルへ再量子化することを特徴とする画像処理装置である。
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明に係る画像処理装置であって、前記特徴指示信号によって注目画素が属する画像領域が文字領域であるか絵柄領域であるかが指示され、前記出力ドット制御手段は、前記特徴指示信号によって指示された画像領域が文字領域であるか絵柄領域であるかに応じて前記特定量子化レベルに関連した前記パラメータを異なった値に設定することにより、文字領域では前記特定量子化レベルに関する再量子化が常に不要と判定されるように、前記特定量子化レベルに関連した前記判定閾値を制御することを特徴とする画像処理装置である。
また、請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明に係る画像処理装置であって、前記特徴指示信号によって注目画素が属する画像領域が文字領域であるか絵柄領域であるかが指示され、前記出力ドット制御手段は、前記特徴指示信号によって指示された画像領域が文字領域であるか絵柄領域であるかに応じて前記特定量子化レベルに関連した前記パラメータを異なった値に設定することにより、文字領域では絵柄領域に比べ前記特定量子化レベルに関する再量子化が必要と判定されにくくなるように、前記特定量子化レベルに関連した前記判定閾値を制御することを特徴とする画像処理装置である。
また、請求項8記載の発明は、前記特徴指示信号によって注目画素が属する画像領域がエッジ領域であるか非エッジ領域であるかが指示され、前記出力ドット制御手段は、前記特徴指示信号によって指示された画像領域がエッジ領域であるか非エッジ領域であるかに応じて前記特定量子化レベルに関連した前記パラメータを異なった値に制御することにより、エッジ領域では前記特定量子化レベルに関する再量子化が常に不要と判定されるように、前記特定量子化レベルに関連した前記判定閾値を制御することを特徴とする画像処理装置である。
【0015】
請求項9記載の発明は、多値の入力画像データが入力され、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する画像形成手段に供給するための、前記入力画像データを多値量子化した出力画像データを生成する画像処理装置であって、
前記入力画像データに誤差を加算する誤差加算手段と、
前記誤差加算手段により誤差を加算された画像データをN−1個(ただしN≧3)の量子化閾値を用いて量子化レベル0から量子化レベルN−1までのNレベルに多値量子化する量子化手段と、
前記量子化手段による多値量子化データの量子化レベルが最高の量子化レベルN−1と最低の量子化レベル0を除く特定量子化レベルであって、その再量子化が必要と判定するときには前記多値量子化データを他の量子化レベルに再量子化してから、再量子化が必要と判定しないときには前記多値量子化データをそのまま、それぞれ前記出力画像データとして出力し、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルでないときには前記多値量子化データをそのまま前記出力画像データとして出力する出力ドット制御手段と、
前記出力画像データと前記誤差加算手段により誤差を加算後の画像データとから前記入力画像データに加算される誤差を求め、該誤差を前記誤差加算手段に与える拡散誤差取得手段と、
前記出力画像データから注目画素周辺の特定領域内における量子化レベル1以上に量子化された画素の個数を求め、該画素の個数を前記出力ドット制御手段に与える周辺ドット数取得手段とを具備し、
前記出力ドット制御手段は、出力モードを指示する出力モード信号を外部より入力され、前記多値量子化データが前記特定量子化レベルであって、前記出力モード信号で指示された出力モードに応じて決まる前記特定量子化レベルに関連するパラメータ、前記周辺ドット数取得手段より与えられた画素の個数、及び、前記入力画像データのレベルに基づいて決定される前記特定量子化レベルに関連した判定閾値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが越えないときに再量子化が必要と判定し、
前記出力ドット制御手段は、再量子化を必要と判定したときに、前記特定量子化レベルに関連した所定の値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが超えなければ前記多値 量子化データを前記特定量子化レベルより下の量子化レベルへ再量子化し、そうでなければ前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより上の量子化レベルへ再量子化することを特徴とする画像処理装置である。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項1,2,5,6,7又は8記載の発明に係る画像処理装置であって、前記量子化手段によって量子化レベル0,1,2,3の4レベルの量子化が行われ、前記出力ドット制御手段による再量子化の対象となる前記特定量子化レベルは量子化レベル1であることを特徴とする画像処理装置である。
【0017】
請求項11記載の発明は、請求項1,2,5,6,7又は8記載の発明に係る画像処理装置であって、前記量子化手段によって量子化レベル0,1,2,3の4レベルの量子化が行われ、前記出力ドット制御手段による再量子化の対象となる前記特定量子化レベルは量子化レベル1であることを特徴とする画像処理装置である。
【0018】
また、請求項12記載の発明は、請求項5、6、7又は8記載の発明に係る画像処理装置であって、前記出力ドット制御手段に入力される前記信号を発生する手段をさらに具備することを特徴とする画像処理装置である。
【0019】
また、請求項13記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項記載の発明に係る画像処理装置であって、前記出力画像データの画像出力のための、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する前記画像形成手段をさらに具備することを特徴とする画像処理装置である。
【0020】
また、請求項14記載の発明は、請求項1乃至12のいずれか1項記載の発明に係る画像処理装置であって、原稿を光学的に走査することによって前記入力画像データを生成する手段をさらに具備することを特徴とする画像処理装置である。
【0021】
また、請求項15記載の発明は、請求項1乃至12のいずれか1項記載の発明に係る画像処理装置であって、原稿を光学的に走査することによって前記入力画像データを生成する手段と、前記出力画像データの画像出力のための、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する前記画像形成手段とをさらに具備することを特徴とする画像処理装置である。
【0022】
また、請求項16記載の発明は、請求項1乃至12のいずれか1項記載の発明に係る画像処理装置の各手段の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能記憶媒体である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施の一形態としての画像処理装置について説明する。以下に述べる本発明の画像処理装置によれば、本発明の画像処理方法を実施することができ、また、その出力画像データを、量子化レベルの高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する画像形成手段に供給して画像を形成させれば、本発明の画像形成方法による画像形成を実施できる。なお、説明の重複を避けるため、添付図面中の複数の図面において同一部分又は対応部分に同一の参照番号を用いる。
【0024】
《実施例1》
本発明の実施例1による画像処理装置は、図1のブロック図に示すようなブロック構成であり、基本的には、8ビット/画素の入力画像データ100を誤差拡散法によって量子化レベル0,1,2,3に4値量子化し、量子化データを出力画像データ101として出力する。量子化レベル0,1,2,3に対応した出力値は0,85,170,255(10進)とする。
【0025】
このような誤差拡散法による4値量子化のための基本的な構成要素は、入力画像データ100に拡散誤差を加算するための誤差加算部110、この誤差加算部110によって拡散誤差が加算された画像データ102のレベルを3つの量子化閾値T1,T2,T3(T1<T2<T3)と比較することにより量子化レベル0,1,2又は3を出力する量子化部111、出力画像データ101と誤差加算後の画像データ102との誤差を計算する誤差計算部112、その計算された誤差を一時的に記憶する誤差記憶部113、誤差記憶部113に記憶されている誤差データを用いて次に処理する画素(注目画素)に対する拡散誤差を計算して誤差加算部102に与える拡散誤差計算部114である。なお、量子化閾値T1,T2,T3は、隣接する2つの量子化レベルに対応する出力値の略中間値に選ばれ、例えばT1=43、T2=128、T3=213である。
【0026】
本実施例では、拡散誤差計算部114のブロック内部に示すように、*印を注目画素の位置として、前ライン上のa,b,cの各位置の画素及び注目画素と同ライン上の直前位置dの画素について計算された誤差を、注目画素に対する拡散誤差の計算に用いる。そして、拡散誤差計算部114は、a,b,c,dの各位置の画素で計算された誤差に、係数1,5,3,7をそれぞれ乗じた値の総和を16で除した値を、注目画素(*)に対する拡散誤差として出力する。したがって、誤差記憶部113としては、例えば2ラインのラインメモリなどが用いられる。ただし、拡散誤差の計算のために参照される注目画素周辺の画素の配置や個数は変更可能であり、また、それぞれの画素の誤差に対する係数も変更可能である。
【0027】
なお、誤差計算部112と誤差記憶部113の間に拡散誤差計算部114に相当する計算手段を設け、誤差計算部112で計算した誤差と誤差記憶部113に記憶されている誤差データを用いて、周辺の未処理画素に対する拡散誤差を上記計算手段によって逐次再計算し、その結果によって誤差記憶部113内の誤差データを更新し、次に処理する画素に対する拡散誤差を誤差記憶部113から直接読み出して誤差加算部110に与えるような構成も採用し得る。
【0028】
本実施例の画像処理装置は、以上のような基本的な4値誤差拡散処理のための構成要素に加えて、周辺ドット情報記憶部117、周辺ドット計数部118、及び、出力ドット制御部119を有し、量子化部111の量子化出力を、特定の量子化レベルに関し出力ドット制御部119で必要に応じて再量子化したものが出力画像データ101として出力される。なお、出力ドット制御部119を量子化部111と一体化することも可能である。
【0029】
周辺ドット情報記憶部117は、注目画素周辺の一定領域における量子化済みの画素が量子化レベル0であるか1以上であるかを、例えば1ビット/画素で表したドット情報を一時的に記憶するものである。出力画像データ101を、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する電子写真式プリンタのような画像形成装置に供給することによって、本発明の画像形成方法を実施することができる。この場合、量子化レベル0の画素ではドットが形成されず、量子化レベル1以上の画素では量子化レベルに対応した大きさのドットが形成される。そこで、本明細書では、出力画像データ101の量子化レベル0の画素をOFFドット、量子化レベル1以上の画素をONドットと呼ぶことがある。この表現を用いれば、周辺ドット情報記憶部117において、例えば、OFFドットの画素は"0"、ONドットの画素は"1"で表される。
【0030】
周辺ドット計数部118は、周辺ドット情報記憶部117内のドット情報を参照し、注目画素周辺の特定領域内のONドットの数を計数する。本実施例においては、周辺ドット情報記憶部117のブロック内に示した*印を、これから処理しようとする注目画素の位置とすると、図示した周囲10画素についてONドットの数(周辺ドット数)を計数する。したがって、周辺ドット情報記憶部117として、例えば2ラインのラインメモリが用いられる。すなわち、本実施例においては、周辺ドット計数部118及び周辺ドット情報記憶部117は、注目画素周辺の特定領域における量子化レベル1以上に量子化された画素の個数を検出するための手段を構成している。なお、周辺ドット計数部118によってドット情報が参照される注目画素周辺の画素の個数及び配置は、必要に応じて変更してよい。
【0031】
出力ドット制御部119は、量子化部111の入力データ(誤差加算後の画像データ102)と量子化部111の量子化出力、及び、周辺ドット計数部118によって計数された周辺ドット数が入力され、図2のフローチャートに示すような処理を行う。以下、図2を参照して説明する。
【0032】
まず、注目画素に関する量子化部111の量子化出力が量子化レベル1(出力値85)であるか判定し(ステップS1)、量子化レベル1以外ならば、量子化部111の量子化出力をそのまま出力する(ステップS2)。
【0033】
量子化部111の出力が量子化レベル1ならば、閾値THRを決定する(ステップS3)。本実施例においては、周辺ドット計数部118で計数された周辺ドット数countと定数を用いて
THR=count×定数
により閾値THRが計算される。上記定数は例えば10に選ばれる。
【0034】
次に、拡散誤差加算後の注目画素のレベルlevel(画像データ102のレベル)が閾値THRより小さいか判定し(ステップS4)、閾値THR以上ならば、量子化部111の量子化出力をそのまま出力する(ステップS5)。すなわち、現在の注目画素については、量子化レベル1の再量子化が不要と判断されたわけである。注目画素周辺のONドットの画素が増えるにつれて、閾値THRは大きくなり再量子化が不要と判断される割合が減るため、量子化レベル1が出力されにくくなる。
【0035】
注目画素レベルlevelが閾値THR未満ならば、再量子化を必要と判断し、注目画素レベルlevelを量子化レベル1に関連した閾値と比較することにより再量子化する。本実施例では、注目画素レベルlevelが量子化閾値T1と量子化レベル1の出力値85の略中間値である64より小さいか判定し(ステップS6)、注目画素レベルlevelが64未満ならば量子化レベル0(出力値0)を出力し(ステップS7)、注目画素レベルlevelが64以上ならば量子化レベル2(出力値170)を出力する(ステップS8)。
【0036】
以上のような再量子化もしくは出力ドット制御を行わず量子化部111による量子化データをそのまま出力する場合、すなわち、出力ドット制御部119を取り除いた通常の4値誤差拡散処理の構成の場合、入力画像データ100のレベル(0〜255)に対し、量子化レベル1,2,3が発生する割合(確率)は図3に示すように変化する。図3に見られるように、入力画像データレベルが0から増加するに従って量子化レベル1の発生割合が増加していき、入力画像データレベルが85になると量子化レベル1の発生割合が100%になる。入力画像データレベルが85を越えると、量子化レベル1の発生割合が減少し量子化レベル2の発生割合が増加していく。入力画像データレベルが170になると、量子化レベル1の発生割合は0%となり、量子化レベル2の発生割合が100%になる。入力画像データレベルが170を越えると、量子化レベル2の発生割合が減少し、量子化レベル3の発生割合が増加していく。入力画像データレベルが255になると、量子化レベル2の発生割合は0%になり、量子化レベル3の発生割合が100%になる。
【0037】
このような特性の量子化データを電子写真式プリンタのような画像形成装置に供給した場合、図3に見られるように、入力画像データ100の中レベル領域(中濃度領域)において量子化レベル1の不安定な最小ドットの割合が高くなる領域があり、その領域で画像の安定性、階調性が悪化する。また、入力画像データ100の高レベル領域(高濃度領域)でも、量子化レベル2の小ドットの割合が高くなる領域があり、その領域で画像で安定性、階調性が悪化する等の問題があった。
【0038】
一方、出力ドット制御部119によって前述のような再量子化もしくは出力ドット制御を行った場合、入力画像データレベルに対し量子化レベル1,2,3は図4に示すような割合で発生するようになる。図4に見られるように、入力画像データレベルが低い領域(低濃度領域)では、同レベルが上がるに従って量子化レベル1の発生割合が増加するが、入力画像データレベルの中レベル領域(中濃度領域)においては、量子化レベル1の発生割合が50%(前記定数で決まる)に達したレベルからは、量子化レベル1の発生割合が急激に減少し量子化レベル2の発生割合が増加して行く。したがって、出力画像データ101を電子写真式プリンタのような画像形成装置に供給し、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する場合、低濃度領域では量子化レベル1に対応する最小ドットで画像が形成されるため孤立ドットが目立ちにくく粒状性が良好である。量子化レベル2の小ドットが発生する中濃度領域では、不安定な最小ドットの発生が抑制され、ほぼ量子化レベル2の小ドットのみで画像が形成されるため、画像の安定性及び粒状性が向上する。注目画素周辺の特定領域内のドット数に応じて最小ドットの抑制が制御され、また、最小ドットが抑制された画素に対する出力ドットは再量子化によって決定されるため、中濃度領域の全域で適切なドット占有率で階調を表現し階調数を増加させることができ、また、階調変化に対してドットの混合割合を滑らかに切り替え、切り替わり部分がなめらかに結合した画像を形成できる。
【0039】
図示しないが、本発明の他の実施例によれば、本実施例と同様の再量子化もしくは出力ドット制御が量子化レベル1でなく量子化レベル2に関して行われることにより、量子化レベル3の大ドットが発生する高濃度領域において量子化レベル2の小ドットの発生が抑制される。これにより、後記実施例3に関連して詳述するように、高濃度領域における画像の安定性及び階調性が向上する。
【0040】
《実施例2》
本発明の実施例2による画像処理装置は、前記実施例1と同様なブロック構成であるが、図5のブロック図に示すように出力ドット制御部119に入力画像データ100も入力される。また、出力ドット制御部119は、図6のフローチャートに示すような処理を行う。
【0041】
図6を参照して説明する。出力ドット制御部119は、まず、誤差加算前の注目画像のレベルLEVEL(入力画像データ100のレベル)が、中濃度の30から170の範囲内であるか判定する(ステップS10)。注目画素レベルLEVELが30以下又は170以上であれば、量子化部1110の量子化出力がそのまま出力される(ステップS12)。
【0042】
注目画素レベルLEVELが30から170の範囲内であれば、量子化部111の量子化出力が量子化レベル1であるか判定し(ステップS11)、量子化レベル1でなければ量子化部111の量子化出力をそのまま出力する(ステップS12)。量子化レベル1ならば、前記実施例1と同様の量子化レベル1の再量子化のための処理を行う(ステップS13〜S18)。ステップS13,S14,S15,S16,S17,S18は、図2の対応ステップS3,S4,S5,S6,S7,S8と同内容の処理ステップである。
【0043】
すなわち、本実施例では、前記実施例1と同様な量子化レベル1の再量子化処理を行うため、入力画像データレベルに対し各量子化レベルの出現割合は図4に示すように制御される。ただし、入力画像データレベルが30から170の範囲から外れると量子化レベル1の再量子化は行わないため、量子化レベル1の発生が抑制されるのは入力画像データレベルが30を越えた領域である。
【0044】
したがって、本実施例の画像処理装置の出力画像データ101を電子写真式プリンタなどに供給すれば、本発明の画像形成方法を実施することができ、前記実施例1の場合と同様に、低濃度領域で粒状性が良好で、中濃度領域で画像の安定性、粒状性、階調性が良好な画像を形成できる。
【0045】
また、本実施例では、入力画像データレベル(濃度レベル)が30から170の範囲内でなければ、量子化レベル1の最小ドットの出力は抑制されないため、低コントラスト文字部で文字の線切れや線消えが発生しにくくなる。このような中濃度レベルは、一般のビジネス文書のようなコントラストの高い画像(白地上に黒文字がある画像など)では発生頻度が少ないため、出力ドット制御部119で、処理の最初の段階で、そのような中濃度レベルを再量子化の対象から排除すると処理時間を短縮できる利点がある。この点は、ソフトウェアで処理する場合に特に有利である。
【0046】
《実施例3》
本発明の実施例3による画像処理装置は、図5に示した前記実施例2と同じブロック構成であるが、前記実施例2と異なり、出力ドット制御部119において、図7のフローチャートに示すように量子化レベル1と量子化レベル2に関する再量子化処理を行う。
【0047】
図7のフローチャートを参照して説明する。出力ドット制御部119は、まず、注目画素に対する量子化部111の量子化出力が量子化レベル1(出力値85)であるか判定し(ステップS20)、量子化レベル1以外ならば量子化レベル2であるか判定する(ステップS26)。量子化レベル1でも量子化レベル2でもなければ、量子化部111の量子化出力をそのまま出力する(ステップS34)。すなわち、量子化レベル0と量子化レベル3は、再量子化もしくは出力ドット制御の対象外である。
【0048】
量子化部111の量子化出力が量子化レベル1ならば(ステップS20,YES)、量子化レベル1に関連した閾値THR1を決定する(ステップS21)。本実施例においては、
THR1=43+(LEVEL−A)×count×CNT1
により閾値THR1を計算する。ここで、前述のように、LEVELは入力画像データ100の注目画素レベル、countは周辺ドット計数部118で計数された周辺ドット数、AとCNT1は量子化レベル1の発生割合が減少し始める入力画像データレベルと減少の勾配を決定するパラメータであり(図8参照)、CNT1は例えば2に選ばれる。また、43は量子化閾値T1に相当する。
【0049】
次に、拡散誤差加算後の注目画素レベルlevel(画像データ102のレベル)が閾値THR1より大きいか判定し(ステップS22)、閾値THR1より大きければ注目画素について量子化レベル1に関する再量子化を不要と判断し、量子化レベル1(出力値85)をそのまま出力する(ステップS23)。注目画素レベルがAを越えると、同レベルが上がるほど、また、注目画素周辺のONドットの画素が増えるほど閾値THR1は大きくなり、量子化レベル1の再量子化が必要と判断されやすくなるため、量子化レベル1が出力されにくくなる。
【0050】
誤差加算後の注目画素レベルlevelが閾値THR1以下ならば、再量子化を必要と判断し、同レベルlevelを量子化レベル1に関連した閾値と比較することにより再量子化する。本実施例では、注目画素レベルlevelが量子化閾値T1と量子化レベル1の出力値85の略中間値である64より小さいか判定し(ステップS24)、64未満ならば量子化レベル0(出力値0)を出力するが(ステップS25)、64以上ならばステップS27に進み、量子化レベル2の場合と同様の再量子化を行う(これは、再量子化によるテクスチャの発生を防止するためである)。
【0051】
量子化部111の量子化出力が量子化レベル2であるか(ステップS26,YES)、ステップS24の判定結果がNOである場合、量子化レベル2に関連した閾値THR2を決定する(ステップS27)。本実施例においては、
THR2=128+(LEVEL−B)×count×CNT2
により閾値THR2を計算する。前述のように、LEVELとcountは入力画像データ100の注目画素レベルと周辺ドット数であり、BとCNT2は量子化レベル2の発生割合が減少し始める入力画像データレベルと減少の勾配を決定するパラメータであり(図8参照)、CNT2は例えば2に選ばれる。また、128は量子化閾値T2に相当する。
【0052】
そして、注目画素レベルlevelが閾値THR2より小さいか判定し(ステップS28)、閾値THR2以上であれば再量子化を不要と判断し、量子化レベル2(出力値170)をそのまま出力する(ステップS29)。ただし、ステップS24からステップS27へ進んだ場合は、量子化部111による量子化レベル1が量子化レベル2に再量子化されたことになる。注目画素レベルLEVELがBを越えると、同レベルが上がるほど、また、注目画素周辺のONドットの画素が増えるほど、閾値THR2は大きくなり量子化レベル2の再量子化が必要と判断されやすくなるため、量子化レベル2は出力されにくくなる。
【0053】
注目画素レベルlevelが閾値THR2未満ならば、同レベルと量子化レベル2に関連した閾値とを比較することにより再量子化する。本実施例では、注目画素レベルlevelが、量子化閾値T2と量子化レベル2の出力値170の略中間値である150より小さいか判定し(ステップS30)、150未満ならば量子化レベル0(出力値0)を出力し(ステップS31)、150以上ならば量子化レベル3(出力値255)を出力する(ステップS32)。
【0054】
本実施例によれば、出力ドット制御部119によって前述のような再量子化もしくは出力ドット制御が行われるため、入力画像データレベルに対し量子化レベル1,2,3は図8に示すような割合で発生するようになる。図8に見られるように、入力画像データレベルが増加するに従って量子化レベル1の発生割合が増加するが、レベルAを越えると量子化レベル1の発生割合が急激に減少し、量子化レベル2の発生割合が増加して行く。また、レベルBからは量子化レベル2の発生割合が急激に減少し、量子化レベル3の発生割合が増加する。そして、量子化レベル1,2の発生割合は100%になることがない(その最大の発生割合は閾値THR1,THR2の計算に用いられるA,Bの値によって決まる)。
【0055】
このように量子化レベル1,2の発生割合が制御された出力画像データ101を電子写真式プリンタなどに供給すれば、高画質の画像を形成できる。すなわち、低濃度領域では量子化レベル1の最小ドットで画像が形成されるため粒状性が良好である。量子化レベル2の小ドットが発生する中濃度領域では、不安定な最小ドットの発生が抑制され、ほぼ量子化レベル2の小ドットのみで画像が形成されるため、画像の安定性及び粒状性が向上する。量子化レベル3の大ドットが発生する高濃度領域では、小ドットの発生が抑制され、ほぼ大ドットのみで画像が形成されるため、画像の安定性が向上し、また、ドット数が減り階調の飽和が起きにくい。また、注目画素周辺の特定領域内のドット数のみならず注目画素の濃度レベルを参照して最小ドット及び小ドットの抑制が制御され、また、その抑制された画素に対する出力ドットは再量子化によって決定されるため、中・高濃度領域の全域で適切なドット占有率で階調を表現し階調数を増加させることができ、また、階調変化に対してドットの混合割合を滑らかに切り替え、切り替わり部分がなめらかに結合した画像を形成できる。これを図15を参照してさらに説明する。
【0056】
図15の左側の4つの画像は、本実施例の画像処理装置の出力画像データ101を電子写真式プリンタなどに供給した場合の、低濃度領域から高濃度領域のドット発生の様子を模式的に示すものである。図15の右側の4つの画像は、最小ドットと小ドットの抑制を行わない通常の4値誤差拡散処理データを電子写真式プリンタなどに供給した場合のドット発生の様子を模式的に示すものである。
【0057】
図15の最上段の画像に見られるように、低濃度領域では量子化レベル1の最小ドットで画像が形成されるため、孤立ドットが目立ちにくく粒状性が良好である。図15の2段目と3段目の画像に見られるように、本実施例によれば、中濃度領域では量子化レベル1の不安定な最小ドットの発生が抑制され、ほぼ量子化レベル2の小ドットのみで画像が形成されるため、通常の4値誤差拡散処理の場合に比べ、画像の安定性・粒状性が良好である。図15の最下段の画像に見られるように、高濃度領域においても、本実施例によれば、量子化レベル2の小ドットの発生が抑制され、最も安定な量子化レベル3の大ドットのみで画像が形成されるため、量子化レベル2の小ドットが高い割合で混在する通常の4値誤差拡散処理の場合に比べ、画像の安定性が良好である。また、通常の4値誤差拡散処理の場合、高濃度領域において出力されるドットの数が多くなるため、ドットゲイン(ドットの広がり)の影響により濃度が飽和しやすく、階調つぶれが生じやすい。これに対し、本実施例によれば、高濃度領域において量子化レベル3の大ドットのみが出力され、出力されるドット数が少なく、ドットの打たれない白画素が存在するため、通常の4値誤差拡散処理に比べ階調つぶれが少なくなる。さらに、階調変化に対して異なる大きさのドットの混合割合が滑らかに切り替わり、階調飛びや違和感がなく、通常の多値誤差拡散処理で問題となっている擬似輪郭が発生しにくい。また、入力画像データレベルがA以下の低濃度領域では最小ドットの出力は抑制されないため、低コントラスト文字部での文字の線切れや線消えが生じにくい。
【0058】
なお、本実施例によれば、パラメータA,Bによって、量子化レベル1,2の発生の抑制が始まる入力画像データレベル(A,B)を別々に制御できる。また、本実施例において、パラメータBを255に設定すれば、量子化レベル1のみを抑制し、各量子化レベルの発生割合を前記実施例1と同様に制御することができる。これら2点は、後記の実施例4,6,7でも同様である。
【0059】
《実施例4》
本発明の実施例4による画像処理装置は、図5のブロック図に示すようなブロック構成であるが、周辺ドット情報記憶部117に記憶される情報、周辺ドット計数部118の動作、及び、出力ドット制御部119の処理内容が前記各実施例と異なる。
【0060】
周辺ドット情報記憶部117は、前記各実施例と同様に、注目画素を含むライン及びその直前ラインの合計2ライン上における量子化済み画素のドット情報を記憶するが、本実施例においては、ドットのON、OFFではなく、各画素の量子化レベルを示す情報が記憶される。周辺ドット計数部118は、周辺ドット情報記憶部117の記憶情報を参照し、注目画素周辺の量子化済み10画素の中で、量子化レベル1の画素数、量子化レベル2の画素数、量子化レベル3の画素数をそれぞれ計数する。つまり、前記各実施例では周辺のONドットの画素を、その量子化レベルを区別しないで計数したが、本実施例では量子化レベル毎に分けてONドットの画素数を計数する。
【0061】
本実施例においては、出力ドット制御部119は、量子化部111により量子化レベル1又は2に量子化された注目画素に対し、図9に示すような再量子化処理もしくは出力ドット制御を行う。
【0062】
出力ドット制御部119は、まず、注目画素に対する量子化部111の量子化出力が量子化レベル1(出力値85)であるか判定し(ステップS40)、量子化レベル1以外ならば量子化レベル2であるか判定する(ステップS47)。量子化レベル1でも量子化レベル2でもなければ、量子化部111の出力をそのまま出力する(ステップS48)。
【0063】
量子化部111の出力が量子化レベル1ならば(ステップS40,YES)、周辺ドット計数部118より与えられた量子化レベル1,2の画素数を合計したドット数aを計算し(ステップS41)、このドット数aを用いて量子化レベル1に関する閾値THR1を決定する(ステップS42)。本実施例では、
THR1=43+(LEVEL−A)×a×CNT1
により閾値THR1を計算する。すなわち、前記実施例3では量子化レベル1,2,3の画素の合計であるドット数count(図7、ステップS21参照)を用いたが、このcountから量子化レベル3の画素数を除いたドット数aを閾値THR1の計算に用いる。
【0064】
次に、拡散誤差加算後の注目画素レベルlevelが閾値THR1より大きいか判定し(ステップS43)、THR1より大きければ再量子化を不要と判断し、量子化レベル1(出力値85)をそのまま出力する(ステップS44)。注目画素レベルLEVELがAを越えると、同レベルが上がるほど、また、注目画素周辺の量子化レベル1,2の画素が増えるほど、THR1は大きくなるので再量子化が必要と判断されやすくなり、したがって量子化レベル1は出力されにくくなる。
【0065】
注目画素レベルlevelがTHR1以下ならば、再量子化を必要と判断し、注目画素レベルlevelを量子化レベル1に関連した閾値と比較することにより再量子化する。本実施例では、注目画素レベルlevelが量子化閾値T1と量子化レベル1の出力値85の略中間値である64より小さいか判定し(ステップS45)、64未満ならば量子化レベル0(出力値0)を出力するが(ステップS46)、64以上ならばステップS49に進み、量子化レベル2の場合と同様の再量子化を行う(これは再量子化によるテクスチャの発生を防止するためである)。
【0066】
量子化部111の出力が量子化レベル2であるか(ステップS47,YES)、ステップS45の判定結果がNOである場合、周辺ドット計数部118より与えられた量子化レベル2,3の画素数を合計したドット数bを計算し(ステップS49)、このドット数bを用いて量子化レベル2に関する閾値THR2を決定する(ステップS50)。本実施例においては、
THR2=128+(LEVEL−B)×b×CNT2
により閾値THR2を計算する。すなわち、前記実施例3では量子化レベル1,2,3の合計画素数であるドット数count(図7、ステップS27参照)を用いたが、このcountから量子化レベル1の画素数を除いたドット数bを閾値THR2の計算に用いる。
【0067】
そして、注目画素レベルlevel(画像データ102のレベル)が閾値THR2より小さいか判定し(ステップS51)、THR2以上であれば再量子化は不要と判断し、量子化レベル2(出力値170)をそのまま出力する(ステップS52)。ただし、ステップS45からステップS49に進んだ場合は、量子化部111の量子化出力である量子化レベル1が量子化レベル2に再量子化されることになる。注目画素レベルLEVELがBを越えると、同レベルが上がるほど、また、注目画素周辺の量子化レベル2,3の画素が増えるほど、閾値THR2が大きくなり再量子化が必要と判断されやすくなるため、量子化レベル2が出力されにくくなる。
【0068】
注目画素レベルlevelが閾値THR2未満ならば、そのレベルを量子化レベル2に関連した閾値と比較することにより再量子化を行う。本実施例では、注目画素レベルlevelが量子化閾値T2と量子化レベル2の出力値170の略中間値である150より小さいか判定し(ステップS53)、150未満ならば量子化レベル0(出力値0)を出力し(ステップS54)、150以上ならば量子化レベル3(出力値255)を出力する(ステップS55)。
【0069】
以上のような量子化レベル1,2に関する再量子化処理によって、量子化レベル1,2,3は、前記実施例3と同様に図8に示すように割合で発生するようになる。したがって、前記実施例3に関して述べたように、本実施例の画像処理装置の出力画像データ101を電子写真式プリンタなどに供給し、高い量子化レベルの画素ほど大きなドットを用いて画像を形成すれば、低濃度領域で粒状性が良好であり、中濃度領域で画像の安定性、粒状性が良好であり、高濃度領域において画像の安定性が良好であり、また、階調つぶれが少なくなる。また、異なった量子化レベルのドットの切り替わり部分における階調飛びや違和感がなくなり、擬似輪郭が発生しにくい。また、入力画像データレベルがA以下であれば、最小ドットの出力は抑制されないため、低コントラスト文字部での文字の線切れや線消えも生じにくい。特に、本実施例においては、最小ドットの発生の抑制制御に、注目画素周辺のドット数から大ドット数を除いたドット数aを利用するので、注目画素周辺に大ドットが多数存在していても最小ドットは抑制ず、したがって画像の文字領域やエッジ領域におけるジャギーを減らし、鮮鋭性の良い画像を得られる。
【0070】
このように、本実施例によれば、多値誤差拡散の利点である鮮鋭性を維持しつつ、その問題点である中・高濃度領域における安定性と階調性の悪さなどを改善することができる。
【0071】
《実施例5》
本発明の実施例5による画像処理装置のブロック構成は、図10に示すように、注目画素が含まれる画像領域の特徴を指示する特徴指示信号104が出力ドット制御部119に入力される点が前記実施例2と異なる。本実施例においては、特徴指示信号104によって、注目画素が含まれる画像領域が文字領域、絵柄領域のいずれであるかが指示される。このような特徴指示信号104を発生するための特徴判定手段については後述する。この特徴判定手段は、本実施例では装置の外部に設けられるが、他の実施例によれば装置の内部に設けられる。
【0072】
周辺ドット情報記憶部117の記憶情報、及び、周辺ドット計数部118の動作は前記実施例2の場合と同じである。出力ドット制御部119は、図11のフローチャートに示すような量子化レベル1に対する再量子化処理を行う。以下、図11を参照して説明する。
【0073】
出力ドット制御部119は、まず、注目画素に対する量子化部111の量子化出力が量子化レベル1(出力値85)であるか判定し(ステップS60)、量子化レベル1以外ならば、量子化部111の出力をそのまま出力する(ステップS61)。
【0074】
量子化部111の出力が量子化レベル1ならば(ステップS60,YES)、閾値THRを決定するためのパラメータAを、特徴指示信号104の状態に応じた値に設定する(ステップS62)。本実施例では、画像特徴信号104が文字領域を指示しているときにはA=255に設定し、画像特徴信号104が絵柄領域を指示しているときにはA=30に設定する。そして、閾値THRを、
THR=43+(LEVEL−A)×count×CNT
により計算する(ステップS63)。ここで、前述のように、LEVELは入力画像データ100の注目画素レベル、countは周辺ドット計数部118で計数された周辺ドット数、CNTは例えば2である。43は量子化閾値T1に相当する。
【0075】
次に、拡散誤差加算後の注目画素レベルlevelが閾値THRより小さいか判定し(ステップS64)、THR以上ならば再量子化を不要と判断し量子化レベル1(出力値85)をそのまま出力する(ステップS65)。注目画素レベルlevelが閾値THR1未満ならば、そのレベルlevelを量子化レベル1に関連した閾値と比較することにより再量子化する。本実施例では、注目画素レベルlevelが、量子化閾値T1と量子化レベル1の出力値85の略中間値である64より小さいか判定し(ステップS664)、64未満ならば量子化レベル0(出力値0)を出力するが(ステップS67)、64以上ならば量子化レベル2(出力値170)を出力する。注目画素レベルLEVELがAを越えると、同レベルが上がるほど、また、注目画素周辺のドット数が増加するほど、閾値THRは大きくなり量子化レベル1が再量子化される確率が高くなるため、量子化レベル1が出力されにくくなる。
【0076】
このような処理において、注目画素が文字領域の画素であるときには、前述のようにA=255に設定されるため、ステップS64の判定結果は常にNOとなり(再量子化は不要と判断される)量子化部111の出力がそのまま出力されるので、量子化レベル1の出力は抑制されないことになる。すなわち、出力ドット制御部119を設けない通常の4値誤差拡散処理と同等の処理となり、各量子化レベルは図3に示すような割合で発生する。したがって、画像の文字領域において、鮮鋭性の良い画像を形成することができる。
【0077】
一方、注目画素が絵柄領域の画素であるときには、前述のようにA=30に設定されるため、入力画像データレベルがレベルAを越えると、同レベルが上がるほど、また、注目画素周辺のドット数が多いほど、量子化レベル1の出力が抑制される結果、各量子化レベルの発生割合は図4のようになる。したがって、画像の絵柄領域においては、前記実施例1などと同様に、低濃度領域での粒状性が良好であり、中濃度領域では、通常の4値誤差拡散処理にくらべ画像の安定性、粒状性、階調性が向上する。
【0078】
なお、文字領域でパラメータAを255より小さな値に設定し、文字領域でも絵柄領域より弱い抑制度合で量子化レベル1の発生を抑制するようにしてもよい。一般論としては、文字領域では、絵柄領域に比べ量子化レベル1の発生の抑制度合を弱くするように制御するのがよい。
【0079】
本実施例の変形例によれば、量子化レベル2に対してのみ同様の再量子化処理が施され、量子化レベル2の発生が抑制される。この場合、高濃度領域の画像の安定性、階調性などが向上する。
【0080】
本実施例の別の変形例によれば、特徴指示信号104によって、注目画素が含まれる画像領域がエッジ領域、非エッジ領域のいずれであるかが指示される。このような特徴指示信号104を発生するための特徴判定手段については後述するが、この特徴判定手段が装置内部に設けられる場合と装置外部に設けられる場合とがある。出力ドット制御部119は、注目画素がエッジ領域、非エッジ領域のいずれに属するかによって、小ドットの抑制度合を変化させる。例えば、注目画素がエッジ領域に属するときに、パラメータAを255に設定して量子化レベル1の出力を抑制させないようにして、エッジ領域で鮮鋭性の良い画像を形成できるようにし、注目画素が非エッジ領域に属するときに、パラメータAを30に設定して量子化レベル1の出力を強く抑制させ、非エッジ領域で安定性、粒状性、階調性の良い画像を形成できるようにする。
【0081】
なお、後記実施例6においても同様であるが、画像の絵柄領域を写真領域と網点領域などに再分類し、それぞれの領域毎にパラメータA(後記実施例6ではパラメータA,B)を変えることも可能であり、また、他の画像の特徴に着目して同様のパラメータの変更を行ってもよい。
【0082】
ここで、文字領域/絵柄領域の別を指示する特徴指示信号104を発生するための特徴判定手段について説明する。画像の文字領域では、文字のエッジ部に沿って黒画素と白画素が連続して出現する。網点領域では、濃度のピークが飛び飛びに周期的に出現する。写真領域では濃度変化が少ない。このような文字領域、網点領域、写真領域の画像特徴を検出することによって、文字領域と絵柄領域(写真領域、網点領域)を判別することができる。このような特徴判定に関しては多くの公知技術が知られている。例えば、特開平3−276966号公報に述べられているように、画像中の濃度のピークを検出し、ピークの周期性が認められる領域を網点領域として抽出し、また、濃度変化の少ない領域を写真領域として抽出し、網点領域でも濃度領域でもない領域を線画領域として抽出し、線画領域に属する注目画素に対して「文字領域」を指示し、網点領域又は写真領域に属する注目画素に対して「絵柄領域」を指示するような構成の特徴判別手段を用いることが可能である。ただし、これとは異なった構成の特徴判定手段を用いることも可能である。
【0083】
次に、エッジ領域/非エッジ領域の別を指示する特徴指示信号104を発生するための特徴判定手段について述べる。このような特徴判定についても多くの公知技術があり、その任意の技術を利用してよい。一例を挙げれば、図19に示すような4種類の微分フィルタを用いて主走査方向、副走査方向、主走査方向から±45゜傾いた方向の計4方向についてエッジ量を検出し、いずれかの方向でエッジ量の絶対値が所定の閾値を超えた領域をエッジ領域とし、そうでない領域を非エッジ領域とする構成の特徴判定手段を用いることができる。
【0084】
《実施例6》
本発明の実施例6による画像処理装置は、前記実施例5と同様な図10に示すブロック構成であるが、図12に示すように出力ドット制御部119の処理内容が前記実施例5とは異なる。特徴指示信号401は、前記実施例5と同様に注目画素が属する画像領域が文字領域、絵柄領域のいずれであるかを指示する。以下、図12を参照して出力ドット制御部119の処理内容を説明する。
【0085】
出力ドット制御部119は、まず、注目画素に対する量子化部111の出力が量子化レベル1(出力値85)であるか判定し(ステップS70)、量子化レベル1以外ならば量子化レベル2であるか判定する(ステップS77)。量子化レベル1でも量子化レベル2でもなければ、量子化部111の出力をそのまま出力する(ステップS85)。
【0086】
量子化部111の出力が量子化レベル1ならば(ステップS70,YES)、量子化レベル1に関する閾値THR1を決定するためのパラメータAを、特徴指示信号104の状態に応じた値に設定する(ステップS71)。本実施例では、特徴指示信号104が"文字領域"を指示しているときにはA=255に設定し、特徴指示信号104が"絵柄領域"を指示しているときにはA=30に設定する。そして、閾値THR1を、
THR1=43+(LEVEL−A)×count×CNT1
により計算する(ステップS72)。前述のように、LEVELは入力画像データ100の注目画素レベル、countは周辺ドット計数部118で計数された周辺ドット数、AとCNT1は量子化レベル1の発生割合が減少し始める入力画像データレベルと減少の勾配を決定するパラメータであり(図8参照)、CNT1は例えば2に選ばれる。また、43は量子化閾値T1に相当する。
【0087】
次に、拡散誤差加算後の注目画素レベルlevelが閾値THR1より大きいか判定し(ステップS73)、THR1より大きければ再量子化が不要と判断し、量子化部111の量子化出力すなわち量子化レベル1(出力値85)をそのまま出力する(ステップS74)。
【0088】
注目画素レベルlevelが閾値THR1以下ならば、そのレベルを量子化レベル1に関連した閾値と比較することにより再量子化する。本実施例では、注目画素レベルlevelが量子化閾値T1と量子化レベル1の出力値85の略中間値である64より小さいか判定し(ステップS75)、64未満ならば量子化レベル0(出力値0)を出力するが(ステップS76)、64以上ならばステップS78に進み、量子化レベル2の場合と同様の再量子化を行う(これは、再量子化によるテクスチャの発生を防止するためである)。入力画像データレベルがAを越えると、同レベルが上がるほど、また、注目画素周辺のドット数が多いほど閾値THR1が大きくなるため、量子化レベル1が発生しにくくなる。
【0089】
量子化部111の出力が量子化レベル2であるか(ステップS77,YES)、ステップS75の判定結果がNOである場合、量子化レベル2に関する閾値THR2を決定するためのパラメータBを、特徴指示信号104の状態に応じた値に設定する(ステップS78)。本実施例では、特徴指示信号104が"文字領域"を指示しているときにはB=255に設定し、"絵柄領域"を指示しているときにはB=100に設定する。そして、閾値THR2を
THR2=128+(LEVEL−B)×count×CNT2
により計算する(ステップS79)。BとCNT2は、量子化レベル2の発生割合が減少し始める入力画像データレベルと減少の勾配を決定するパラメータであり(図8参照)、CNT2は例えば2に選ばれる。また、128は量子化閾値T2に相当する。
【0090】
そして、拡散誤差加算後の注目画素レベルlevelが閾値THR2より小さいか判定し(ステップS80)、THR2以上であれば再量子化を不要と判断し、量子化部111の出力すなわち量子化レベル2(出力値170)をそのまま出力する(ステップS81)。ただし、ステップS75からステップS78に進んだ場合は、量子化レベル1から量子化レベル2へ再量子化されることになる。
【0091】
注目画素レベルlevelが閾値THR2未満ならば、そのレベルを量子化レベル2に関連した閾値と比較することにより再量子化する。本実施例では、注目画素レベルが量子化閾値T2と量子化レベル2の出力値170の略中間値である150より小さいか判定し(ステップS82)、150未満ならば量子化レベル0(出力値0)を出力し(ステップS83)、150以上ならば量子化レベル3(出力値255)を出力する(ステップS84)。入力画像データレベルがBを越えると、同レベルが上がるほど、また、注目画素周辺のドット数が多くなるほど閾値THR2が大きくなるため、量子化レベル2が発生しにくくなる。
【0092】
このような処理において、注目画素が文字領域の画素であるときには、前述のようにA=B=255に設定されるため、ステップS73,S80の判定結果は常にYESとなり量子化レベル1,2の出力は抑制されないので、量子化部111の出力がそのまま出力されることになる。すなわち、出力ドット制御部119を設けない通常の4値誤差拡散処理と同等の処理となり、各量子化レベルは図3に示すような割合で発生する。したがって、文字領域において鮮鋭性の良い画像を形成することができる。
【0093】
一方、注目画素が絵柄領域の画素であるときには、前述のようにA=30、B=100に設定されるため、入力画像データレベルがレベルAを越えると量子化レベル1の出力が抑制され、また、入力画像データレベルがレベルBを越えると量子化レベル2の出力が抑制される結果、各量子化レベルの発生割合は図8のようになる。したがって、絵柄領域においては、前記実施例3などと同様に、低濃度領域で粒状性が良好であり、また、中・高濃度領域では安定性、粒状性、階調性が良好である。
【0094】
なお、前記実施例5に関連して説明したように、文字領域においてパラメータA,Bを255より小さな値に設定することにより、文字領域においても、絵柄領域より弱く量子化レベル1,2の発生を抑制することも可能である。
【0095】
《実施例7》
本発明の実施例7による画像処理装置のブロック構成は、図13に示すように、出力モードを指示する出力モード信号106が出力ドット制御部119に入力する点が前記実施例6と異なる。この出力モード信号106は、例えばユーザによって操作される不図示の操作パネルなどから与えられる。周辺ドット情報記憶部117の記憶情報、及び、周辺ドット計数部118の動作は、前記実施例1の場合と同じである。出力ドット制御部119の処理内容は、閾値THR1,THR2を決定するパラメータA,Bの値を指定された出力モードに応じて変更する点を除けば前記実施例6と同様であるので、図12を援用して説明する。
【0096】
出力ドット制御部119は、ステップS71でパラメータAを指定された出力モードに応じた値に設定し、ステップS78でパラメータBを指定された出力モードに応じた値に設定する。本実施例においては、出力モードとして、図14に示すように、文字などの濃度変化点を高い解像度で再現したい画像の出力に適した「文字モード」、写真などの濃度変化の少ない画像の出力に適した「写真モード」、文字と写真の両方に対応した「文字・写真モード」、印刷物などの網点画像の出力に適した「印刷写真モード」を選択することができる。そして、指定された出力モードに応じて、パラメータA,Bは図14に示すような値に設定される。
【0097】
文字モードが選択された場合、パラメータA,Bは255に設定されるため、量子化レベル1,2の発生は抑制されず、通常の4値誤差拡散と同等の処理となり、鮮鋭性の優れた画像を形成可能である。写真モードが選択された場合、パラメータA,Bは30,100という小さい値に設定され、図8に示すように量子化レベル1,2の発生が強く抑制されるため、粒状性、安定性、階調性が優れた画像を形成可能である。文字・写真モードが選択された場合、パラメータAは30に設定されるので量子化レベル1の発生は強く抑制されるが、パラメータBは150というやや大きい値に設定されるので量子化レベル2の発生の抑制は弱くなるため、文字と写真のいずれについても良好な画像を形成可能である。印刷写真モードが選択された場合、パラメータAは60というおお大きな値に設定されるので量子化レベル1の発生の抑制は弱くなり、パラメータBは255に設定されるので量子化レベル2は抑制されなくなるため、印刷物などの網点画像を良好に形成可能になる。
【0098】
なお、以上の各実施例は4値量子化を行うものであったが、3値又は5値以上の多値量子化を行う画像処理装置にも本発明を容易に適用できる。例えば、量子化レベル0,1,2に3値量子化する場合には、量子化レベル1の発生を同様に抑制すればよい。また、量子化レベル0,1,2,3,4に5値量子化する場合には、量子化レベル1,2,3の発生を同様に抑制すればよい。これ以上の多値量子化の場合も同様に考えればよい。
【0099】
前記各実施例及びその変形例の画像処理装置は、汎用又は専用のコンピュータを利用してソフトウェアにより実現することも可能である。この場合、画像処理装置の各部の機能をコンピュータ上で実現させるためのプログラムを、例えば、それが記録されたフロッピーディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体記憶素子などの各種記憶媒体から読み込み、又は、ネットワークを経由して外部のコンピュータなどから受信し、コンピュータのメインメモリにロードしCPUに実行させることにより、本発明の画像処理装置をコンピュータ上に実現させることができる。各種データの保存のために必要なラインメモリなどの記憶域としては、例えばメインメモリが利用される。このようなプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な各種記憶媒体も、本発明に包含される。
【0100】
また、前記各実施例及びその変形例による画像処理装置は、プリンタ、ディスプレイ等の画像形成に関連した機器、スキャナやファックスのような画像読み取りに関連した機器、また、画像読み取りと画像形成の両方に関連したデジタル複写機のような機器に組み込むことができる。そのような実施形態の一例として、本発明を適用したデジタル複写機の実施例について次に説明する。
【0101】
《実施例8》
図16は本発明によるデジタル複写機の一例の構造を説明するための概略断面図である。このデジタル複写機は、原稿を光学的に走査して読み取る画像読み取り部400と、画像形成部としてのレーザプリンタ411と、不図示の回路部(図17、図18参照)と、ユーザが様々な指示(例えば前記実施例7の出力モードの指示)を入力するための不図示の操作パネルなどから構成される。
【0102】
画像読み取り部400は、平坦な原稿台403上に載置された原稿を照明ランプ502により照明し、その反射光像をミラー503〜505およびレンズ506を介してCCDなどのイメージセンサ507に結像するとともに、照明ランプ502及びミラー503〜505の移動により原稿を副走査することにより、原稿の画像情報を読み取り、電気的な画像信号に変換する。イメージセンサ507より出力されるアナログ画像信号は不図示の回路部に入力されて処理される。この回路部550から出力される画像データは、レーザプリンタ411に入力され、画像が形成される。
【0103】
レーザプリンタ411においては、書き込み光学ユニット508が、不図示の回路部から入力した画像データを光信号に変換して、感光体からなる像担持体、例えば感光体ドラム509を露光することにより、原稿画像に対応した静電潜像を形成する。書き込み光学ユニット508は、例えば、半導体レーザを発光駆動制御部で上記画像データにより駆動して強度変調されたレーザ光を出射させ、このレーザ光を回転多面鏡510により偏向走査してf/θレンズ及び反射ミラー511を介し感光体ドラム509へ照射する。感光体ドラム509は、駆動部により回転駆動されて矢印で示すように時計方向に回転し、帯電器512により一様に帯電された後に、書き込み光学ユニット508により露光され、静電潜像を形成される。この感光体ドラム509上の静電潜像は、現像装置513により現像されてトナー像となる。また、用紙が複数の給紙部514〜518、手差し給紙部519のいずれかからレジストローラ520へ給紙される。レジストローラ520は、感光体ドラム509上のトナー像にタイミングに合わせて用紙を送出する。転写ベルト521は転写電源から転写バイアスを印加され、感光体ドラム509上のトナー像を用紙へ転写させるとともに用紙を搬送する。トナー像を転写された用紙は、転写ベルト521により定着部522へ搬送されてトナー像が定着された後、排紙トレイ523へ排出される。また、感光体ドラム509は、トナー像転写後にクリーニング装置524によりクリーニングされ、さらに除電器525により除電されて次の画像形成動作に備える。
【0104】
図17は、このデジタル複写機内部の回路部の一例を簡略化して示すブロック図である。この回路部の入力は、画像読み取り部400のイメージセンサ507によって例えば600dpiで読み取られたアナログ画像信号である。このアナログ画像信号は、AGC回路551によってレベルを調整された後、A/D変換回路552により1画素当たり8bitのデジタル画像データに変換され、さらに、シェーディング補正回路553によってイメージセンサ507の画素毎の感度や照度のばらつきが補正される。次に、画像データはフィルタ処理回路554に送られ、例えばMTF補正を施され、次に、中間調画像をなめらかに表現するための平滑フィルタ処理を施される。このような処理を施された画像データは、ガンマ補正回路555へ送られ、書き込み濃度に変換するためのγ補正が施される。γ補正後の画像データは、中間調処理部556へ入力される。この中間調処理部556として、前記各実施例又はその変形例による画像処理装置が用いられる。この画像処理装置の出力画像データが、書き込み光学ユニット508内の半導体レーザの発光駆動制御部へ送られる。中間調処理部556において前述のような多値量子化処理が行われるため、原稿から読み取った画像を高い画質で再現できる。
【0105】
中間調処理部556として前記実施例5,6又はその変形例による画像処理装置を用いる場合、文字領域/絵柄領域の別又はエッジ領域/非エッジ領域の別を指示する特徴指示信号104を供給するための特徴判定手段は、中間調処理部556に設けることもできるが、中間調処理部556より前段に設けることもできる。例えば、図18に示すような位置に特徴判定手段560を設けてもよい。
【0106】
なお、デジタル複写機においては、実際的には画像データに対する変倍処理、地肌除去処理、フレア除去処理、その他画像編集などの処理も可能とされることが多いが、その説明は割愛する。また、原稿台を移動させる画像読み取り部を有するデジタル複写機や、レーザプリンタ以外の画像形成手段を有するデジタル複写機にも本発明を同様に適用し得る。
【0107】
本発明の他の実施例による画像処理装置は、図示しないが、スキャナやファクスのように、前記実施例1乃至7又はその変形例による画像処理装置に、前記デジタル複写機の画像読み取り部400のような読み取り手段を付加した構成とされる。本発明のもう一つの実施例による画像形成装置は、図示しないが、前記実施例1乃至7又はその変形例による画像処理装置に、前記デジタル複写機のレーザプリンタ411のような画像形成手段を付加した構成とされる。
【0108】
【発明の効果】
本発明の画像形成方法(a〜n)によれば、画像の安定性、粒状性、階調性を悪化させる原因となるドットの発生を抑制することにより、より高品質な画像の形成が可能になる。本発明の画像形成方法(b)によれば、低・中濃度領域での粒状性と安定性を両立させることが可能である。本発明の画像形成方法(c)によれば、低濃度領域で粒状性が良く、中濃度領域で安定性、粒状性、階調性が良く、高濃度領域で安定性、階調性の良い画像形成が可能である。本発明の画像形成方法(d)によれば、注目画素周辺のドット数に基づいて、階調変化に対してドットの混合割合が滑らかに切り替わるように特定のドットの発生割合を制御できるため、最適なドット占有率での階調表現が可能となり、また、ドットの大きさの切り替わり部分における階調飛びや違和感の少ない滑らかな画像を形成可能である。本発明の画像形成方法(e)によれば、注目画素の濃度レベルも考慮してドットの発生割合をより適切に制御し、より最適なドット占有率での階調表現が可能となる。本発明の画像形成方法(f,g)によれば、例えば4値量子化の場合に、大ドットが周辺画素周辺に多数存在しても他のドットが少なければ最小ドットを発生割合を減らさないような制御を行うことができるため、画像の文字部やエッジ部でジャギーを少なくし鮮鋭性の良い画像を形成可能である。本発明の画像形成方法(h)によれば、特徴の異なる様々な画像に対しドットの発生を適切な度合で抑制し、適切なドット占有率で階調表現をすることが可能になる。本発明の画像形成方法(i)によれば、画像の絵柄領域での安定性、階調性などを向上させることができる。本発明の画像形成方法(j)によれば、文字領域の鮮鋭性が良好で、絵柄領域の安定性、階調性が良好な、文字・絵柄領域が混在した高品質画像を形成可能である。本発明の画像形成方法(k)によれば、画像のエッジ領域で鮮鋭性を高め、非エッジ領域で安定性、階調性を高めることができる。本発明の画像形成方法(l)によれば、低濃度領域での粒状性と中濃度領域での安定性、階調性が共に良好な画像を形成可能である。本発明の画像形成方法(m)によれば、低濃度領域で粒状性が良好で、高濃度領域で安定性、階調性が良い画像を形成可能である。本発明の画像形成方法(n)によれば、低濃度領域で粒状性が良く、中・高濃度領域で安定性、階調性が良好な画像を形成可能である、等々の効果を得られる。
【0109】
本発明の画像処理方法(A〜M)によれば、同方法によって多階調画像データを多値量子化し、その量子化データの各画素を量子化レベルが高いほど大きなドットを用いて表現することにより、本発明の画像形成方法(a〜n)に従った高品質の画像形成が可能である。本発明の画像処理方法(N)によれば、本発明の画像形成方法(a〜n)に従った画像形成が可能である、等々の効果を得られる。
【0110】
本発明の画像処理装置(請求項1〜8,10,11,12)によれば、本発明の画像処理方法(A〜M)による多階調画像データの多値量子化を実行することができ、したがって、その出力画像データを画素の量子化レベルが大きいほど大きなドットを用いて画像を形成する画像形成手段に供給することにより、本発明の画像形成方法(a〜n)に従った高品質の画像形成が可能になる。また、請求項2に係る画像処理装置によれば、例えば、一般のビジネス文書のようなコントラストの高い画像で発生頻度が少ない中間的レベルの注目画素を再処理の対象から除外し、処理時間を短縮するとともに、低コントラス文字の線切れを防止することができる。また、請求項9に係る画像処理装置によれば、出力モードの選択によって特定の量子化レベルの発生の抑制度合を変更することができるため、様々な種類の画像を高品質に形成可能になる。請求項13〜15に係る画像処理装置によれば、多階調画像を扱う画像品質の良好なプリンタ、ディスプレイ、スキャナ、ファクス、デジタル複写機などを実現できる、等々の効果を得られる。また、請求項16に係る記憶媒体を用いることにより、汎用又は専用のコンピュータを利用して容易に請求項1〜12に係る画像処理装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による画像処理装置のブロック構成の一例を示すブロック図である。
【図2】 通常の4値誤算拡散処理による場合における入力画像データレベルと量子化レベル1,2,3の発生割合の関係を示す図である。
【図3】 本発明の4値誤差拡散処理による場合における入力画像データレベルと量子化レベル1,2,3の発生割合の関係の一例を示す図である。
【図4】 本発明による画像処理装置のブロック構成の他の一例を示すブロック図である。
【図5】 本発明による画像処理装置における出力ドット制御部の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【図6】 本発明による画像処理装置における出力ドット制御部の処理内容の他の一例を示すフローチャートである。
【図7】 本発明による画像処理装置における出力ドット制御部の処理内容の他の一例を示すフローチャートである。
【図8】 本発明の4値誤差拡散処理による場合の入力画像データレベルと量子化レベル1,2,3の発生割合の関係の他の一例を示す図である。
【図9】 本発明による画像処理装置における出力ドット制御部の処理内容の他の一例を示すフローチャートである。
【図10】 本発明による画像処理装置のブロック構成の別の一例を示すブロック図である。
【図11】 本発明による画像処理装置における出力ドット制御部の処理内容の他の一例を示すフローチャートである。
【図12】 本発明による画像処理装置における出力ドット制御部の処理内容の他の一例を示すフローチャートである。
【図13】 本発明による画像処理装置のブロック構成の別の一例を示すブロック図である。
【図14】 本発明による画像処理装置において選択可能な出力モードとパラメータA,Bの値を例示する図である。
【図15】 通常の4値誤差拡散処理によるドット発生状況と本発明の4値誤差拡散処理によるドット発生情報を示す図である。
【図16】 本発明によるデジタル複写機の一例を示す概略断面図である。
【図17】 図16のデジタル複写機内の回路部の構成の一例を示すブロック図である。
【図18】 図16のデジタル複写機内の回路部の構成の他の一例を示すブロック図である。
【図19】 エッジ検出のための微分フィルタの例を示す図である。
【符号の説明】
100 入力画像データ
101 出力画像データ
104 特徴指示信号
106出力モード信号
110 誤差加算部
111 量子化部
112 誤差計算部
113 誤差記憶部
114 拡散誤差計算部
117 周辺ドット情報記憶部
118 周辺ドット計数部
400 画像読み取り部
411 レーザプリンタ
Claims (16)
- 多値の入力画像データが入力され、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する画像形成手段に供給するための、前記入力画像データを多値量子化した出力画像データを生成する画像処理装置であって、
前記入力画像データに誤差を加算する誤差加算手段と、
前記誤差加算手段により誤差を加算後の画像データをN−1個(ただしN≧3)の量子化閾値を用いて量子化レベル0から量子化レベルN−1までのNレベルに多値量子化する量子化手段と、
前記量子化手段による多値量子化データの量子化レベルが最高の量子化レベルN−1と最低の量子化レベル0を除く特定量子化レベルであって、その再量子化が必要と判定するときには前記多値量子化データを他の量子化レベルに再量子化してから、再量子化が必要と判定しないときには前記多値量子化データをそのまま、それぞれ前記出力画像データとして出力し、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルでないときには前記多値量子化データをそのまま前記出力画像データとして出力する出力ドット制御手段と、
前記出力画像データと前記誤差を加算後の画像データとから前記入力画像データに加算される誤差を求め、該誤差を前記誤差加算手段に与える拡散誤差取得手段と、
前記出力画像データから注目画素周辺の特定領域内で量子化レベル1以上に量子化された画素の個数を求め、該画素の個数を前記出力ドット制御手段に与える周辺ドット数取得手段とを具備し、
前記出力ドット制御手段は、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルであって、前記周辺ドット数取得手段より与えられた画素の個数に基づいて決定される前記特定量子化レベルに関連した判定閾値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが越えないときに、再量子化を必要と判定し、
前記出力ドット制御手段は、再量子化を必要と判定したときに、前記特定量子化レベルに関連した所定の値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが超えなければ、前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより下の量子化レベルへ再量子化し、そうでなければ前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより上の量子化レベルへ再量子化することを特徴とする画像処理装置。 - 前記出力ドット制御手段は、前記入力画像データのレベルが所定のレベル領域から外れる場合には前記特定量子化レベルに関する再量子化を不要と判定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 多値の入力画像データが入力され、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する画像形成手段に供給するための、前記入力画像データを多値量子化した出力画像データを生成する画像処理装置であって、
前記入力画像データに誤差を加算する誤差加算手段と、
前記誤差加算手段により誤差を加算された画像データをN−1個(ただしN≧3)の量子化閾値を用いて量子化レベル0から量子化レベルN−1までのNレベルに多値量子化する量子化手段と、
前記量子化手段による多値量子化データの量子化レベルが最高の量子化レベルN−1と最低の量子化レベル0を除く特定量子化レベルであって、その再量子化が必要と判定するときには前記多値量子化データを他の量子化レベルに再量子化してから、再量子化が必要と判定しないときには前記多値量子化データをそのまま、それぞれ前記出力画像データとして出力し、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルでないときには前記多値量子化データをそのまま前記出力画像データとして出力する出力ドット制御手段と、
前記出力画像データと前記誤差を加算後の画像データとから前記入力画像データに加算される誤差を求め、該誤差を前記誤差加算手段に与える拡散誤差取得手段と、
前記出力画像データから注目画素周辺の特定領域内で量子化レベル1以上に量子化された画素の個数を求め、該画素の個数を前記出力ドット制御手段に与える周辺ドット数取得手段とを具備し、
前記出力ドット制御手段は、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルであって、前記周辺ドット数取得手段より与えられた画素の個数及び前記入力画像データのレベルに基づいて決定される前記特定量子化レベルに関連した判定閾値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが越えないときに、再量子化を必要と判定し、
前記出力ドット制御手段は、再量子化を必要と判定したときには、前記特定量子化レベルに関連した所定の値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが超えなければ、前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより下の量子化レベルへ再量子化し、そうでなければ前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより上の量子化レベルへ再量子化することを特徴とする画像処理装置。 - 多値の入力画像データが入力され、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する画像形成手段に供給するための、前記入力画像データを多値量子化した出力画像データを生成する画像処理装置であって、
前記入力画像データに誤差を加算する誤差加算手段と、
前記誤差加算手段により誤差を加算された画像データをN−1個(ただしN≧3)の量子化閾値を用いて量子化レベル0から量子化レベルN−1までのNレベルに多値量子化する量子化手段と、
前記量子化手段による多値量子化データの量子化レベルが最高の量子化レベルN−1と最低の量子化レベル0を除く特定量子化レベルであって、その再量子化が必要と判定するときには前記多値量子化データを他の量子化レベルに再量子化してから、再量子化が必要と判定しないときには前記多値量子化データをそのまま、それぞれ前記出力画像データとして出力し、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルでないときには前記多値量子化データをそのまま前記出力画像データとして出力する出力ドット制御手段と、
前記出力画像データと前記誤差加算手段により誤差を加算後の画像データとから前記入力画像データに加算される誤差を求め、該誤差を前記誤差加算手段に与える拡散誤差取得手段と、
前記出力画像データから注目画素周辺の特定領域内における量子化レベル0以外の各量子化レベル毎の画素の個数を求め、該画素の個数を前記出力ドット制御手段に与える周辺ドット数取得手段とを具備し、
前記出力ドット制御手段は、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルであって、前記周辺ドット数取得手段より与えられた前記特定量子化レベルの画素の個数と前記特定量子化レベルの1レベル上の量子化レベルの画素の個数との合計数、及び、前記入力画像データのレベルに基づいて決定される前記特定量子化レベルに関連する判定閾値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが越えないときに再量子化を必要と判定し、
前記出力ドット制御手段は、再量子化を必要と判定したときに、前記特定量子化レベルに関連した所定の値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが超えなければ、前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより下の量子化レベルへ再量子化し、そうでなければ前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより上の量子化レベルへ再量子化することを特徴とする画像処理装置。 - 多値の入力画像データが入力され、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する画像形成手段に供給するための、前記入力画像データを多値量子化した出力画像データを生成する画像処理装置であって、
前記入力画像データに誤差を加算する誤差加算手段と、
前記誤差加算手段により誤差を加算された画像データをN−1個(ただしN≧3)の量子化閾値を用いて量子化レベル0から量子化レベルN−1までのNレベルに多値量子化する量子化手段と、
前記量子化手段による多値量子化データの量子化レベルが最高の量子化レベルN−1と最低の量子化レベル0を除く特定量子化レベルであって、その再量子化が必要と判定するときには前記多値量子化データを他の量子化レベルに再量子化してから、再量子化が必要と判定しないときには前記多値量子化データをそのまま、それぞれ前記出力画像データとして出力し、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルでないときには前記多値量子化データをそのまま前記出力画像データとして出力する出力ドット制御手段と、
前記出力画像データと前記誤差誤差を加算後の画像データとから前記入力画像データに加算される誤差を求め、該誤差を前記誤差加算手段に与える拡散誤差取得手段と、
前記出力画像データから注目画素周辺の特定領域内における量子化レベル1以上に量子化された画素の個数を求め、該画素の個数を前記出力ドット制御手段に与える周辺ドット数取得手段とを具備し、
前記出力ドット制御手段は、注目画素が属する画像領域の特徴を指示する特徴指示信号を外部より入力され、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルであって、前記特徴指示信号で指示された特徴に応じて決まる前記特定量子化レベルに関連するパラメータ、前記周辺ドット数取得手段より与えられた画素の個数、及び、前記入力画像データのレベルに基づいて決定される前記特定量子化レベルに関連した判定閾値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが越えないときに再量子化が必要と判定し、
前記出力ドット制御手段は、再量子化を必要と判定したときに、前記特定量子化レベルに関連した所定の値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが超えなければ前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより下の量子化レベルへ再量子化し、そうでなければ前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより上の量子化レベルへ再量子化することを特徴とする画像処理装置。 - 前記特徴指示信号によって注目画素が属する画像領域が文字領域であるか絵柄領域であるかが指示され、
前記出力ドット制御手段は、前記特徴指示信号によって指示された画像領域が文字領域であるか絵柄領域であるかに応じて前記特定量子化レベルに関連した前記パラメータを異なった値に設定することにより、文字領域では前記特定量子化レベルに関する再量子化が常に不要と判定されるように、前記特定量子化レベルに関連した前記判定閾値を制御することを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。 - 前記特徴指示信号によって注目画素が属する画像領域が文字領域であるか絵柄領域であるかが指示され、
前記出力ドット制御手段は、前記特徴指示信号によって指示された画像領域が文字領域であるか絵柄領域であるかに応じて前記特定量子化レベルに関連した前記パラメータを異なった値に設定することにより、文字領域では絵柄領域に比べ前記特定量子化レベルに関する再量子化が必要と判定されにくくなるように、前記特定量子化レベルに関連した前記判定閾値を制御することを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。 - 前記特徴指示信号によって注目画素が属する画像領域がエッジ領域であるか非エッジ領域であるかが指示され、
前記出力ドット制御手段は、前記特徴指示信号によって指示された画像領域がエッジ領域であるか非エッジ領域であるかに応じて前記特定量子化レベルに関連した前記パラメータを異なった値に制御することにより、エッジ領域では前記特定量子化レベルに関する再量子化が常に不要と判定されるように、前記特定量子化レベルに関連した前記判定閾値を制御することを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。 - 多値の入力画像データが入力され、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する画像形成手段に供給するための、前記入力画像データを多値量子化した出力画像データを生成する画像処理装置であって、
前記入力画像データに誤差を加算する誤差加算手段と、
前記誤差加算手段により誤差を加算された画像データをN−1個(ただしN≧3)の量子化閾値を用いて量子化レベル0から量子化レベルN−1までのNレベルに多値量子化す る量子化手段と、
前記量子化手段による多値量子化データの量子化レベルが最高の量子化レベルN−1と最低の量子化レベル0を除く特定量子化レベルであって、その再量子化が必要と判定するときには前記多値量子化データを他の量子化レベルに再量子化してから、再量子化が必要と判定しないときには前記多値量子化データをそのまま、それぞれ前記出力画像データとして出力し、前記多値量子化データの量子化レベルが前記特定量子化レベルでないときには前記多値量子化データをそのまま前記出力画像データとして出力する出力ドット制御手段と、
前記出力画像データと前記誤差加算手段により誤差を加算後の画像データとから前記入力画像データに加算される誤差を求め、該誤差を前記誤差加算手段に与える拡散誤差取得手段と、
前記出力画像データから注目画素周辺の特定領域内における量子化レベル1以上に量子化された画素の個数を求め、該画素の個数を前記出力ドット制御手段に与える周辺ドット数取得手段とを具備し、
前記出力ドット制御手段は、出力モードを指示する出力モード信号を外部より入力され、前記多値量子化データが前記特定量子化レベルであって、前記出力モード信号で指示された出力モードに応じて決まる前記特定量子化レベルに関連するパラメータ、前記周辺ドット数取得手段より与えられた画素の個数、及び、前記入力画像データのレベルに基づいて決定される前記特定量子化レベルに関連した判定閾値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが越えないときに再量子化が必要と判定し、
前記出力ドット制御手段は、再量子化を必要と判定したときに、前記特定量子化レベルに関連した所定の値を、前記誤差を加算後の画像データのレベルが超えなければ前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより下の量子化レベルへ再量子化し、そうでなければ前記多値量子化データを前記特定量子化レベルより上の量子化レベルへ再量子化することを特徴とする画像処理装置。 - 前記量子化手段によって量子化レベル0,1,2,3の4レベルの量子化が行われ、
前記出力ドット制御手段による再量子化の対象となる前記特定量子化レベルは量子化レベル1であることを特徴とする請求項1,2,5,6,7又は8記載の画像処理装置。 - 前記量子化手段によって量子化レベル0,1,2,3の4レベルの量子化が行われ、
前記出力ドット制御手段による再量子化の対象となる前記特定量子化レベルは量子化レベル1及び量子化レベル2であることを特徴とする請求項3,4又は9記載の画像処理装置。 - 前記出力ドット制御手段に入力される前記信号を発生する手段をさらに具備することを特徴とする請求項5、6、7又は8記載の画像処理装置。
- 前記出力画像データの画像出力のための、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する前記画像形成手段をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の画像処理装置。
- 原稿を光学的に走査することによって前記入力画像データを生成する手段をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載の画像処理装置。
- 原稿を光学的に走査することによって前記入力画像データを生成する手段と、前記出力画像データの画像出力のための、量子化レベルが高い画素ほど大きなドットを用いて画像を形成する前記画像形成手段とをさらに具備することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載の画像処理装置。
- 請求項1乃至12のいずれか1項記載の画像処理装置の各手段の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能記憶媒体。
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