JP3729006B2 - 動力伝達系のギヤ機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関のバランサ装置として好適な動力伝達系のギヤ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、内燃機関のバランサ装置では、アンバランスウエイトが設けられたバランスシャフトをギヤ機構を介してクランクシャフトに駆動連結させることにより、同クランクシャフトの回転力をバランスシャフトに伝達させるようにしている。そして、同バランサ装置によれば、バランスシャフトがクランクシャフトと同期して回転することにより、機関ピストンの往復動に伴なって発生する慣性力が打ち消され、内燃機関の低振動化が図られるようになる。
【0003】
ところで、内燃機関における爆発燃焼は間欠的に行われているため、クランクシャフトからバランスシャフトに伝達される回転力の大きさは一定にはならず、常に変動している。
【0004】
特にこうした回転力変動に含まれる周波数成分のうち、クランクシャフトの回転速度に応じて決まる基本振動数成分(1次成分)よりも、機関燃焼がクランクシャフトが2回転する間に一度行われることに起因して発生する基本振動数についての2次成分や、同クランクシャフトの捩じれ共振によって増幅される6次成分が比較的大きくなることが本発明者らによって確認されている。
【0005】
バランサ装置では、こうした周波数の異なる振動成分を含んだ回転力が入力されることにより、上記ギヤ機構、特にギヤ噛合部において振動が発生し、その振動により騒音の発生やギヤの耐久性の低下を招くおそれがある。
【0006】
このため、クランクシャフトからバランスシャフトに至るまでの回転力の伝達経路中にバネ等からなる減衰機構を介在させ、同機構によってこうした回転力の振動成分を減衰させるようにしたバランサ装置なども従来より提案されている。
【0007】
ここで、こうした減衰機構を用いることで上記基本振動数の6次成分のような回転力変動の高周波成分を効果的に減衰させるためには、そのバネのバネ定数を十分に低く設定し、バランサ装置によって構成される振動系の固有振動数を低下させる必要がある。しかしながら、バネのバネ定数を単に低く設定するようにすると、機関加速時のようにクランクシャフトからの回転力が急激に増大した際に、バネに過大な変形が生じるようになり、その損傷を招いたり、いわゆる底づき等によってバネ特性が実質的に失われることで上記減衰機構が機能しなくなるおそれがある。
【0008】
そこで従来では、例えば特開昭60−192145号公報に見られるように、こうした減衰機構のバネとして非線形なバネ特性を有したものを採用するようにしたバランサ装置が提案されている。
【0009】
図22は、こうしたバランサ装置の一例についてその要部の断面構造を示している。
同図に示すように、このバランサ装置は、バランスシャフト(図示略)に駆動連結された回転軸100と、この回転軸100の外周を覆うようにして設けられ、クランクシャフト(図示略)に駆動連結された略円筒状をなすギヤ110とを備えて構成されている。回転軸100の外周にはその径方向に延びる複数の駆動突片102が設けられ、またギヤ110の内周にも同様に、その径方向に延びる複数の駆動突片112が上記回転軸100の各駆動突片102の間に位置するようにして設けられている。
【0010】
これら回転軸100の駆動突片102とギヤ110の駆動突片112との間にはダンパ室120がそれぞれ形成されており、それら各ダンパ室120内には弾性部材130が配設されている。また、これら各弾性部材130と上記駆動突片102,112との間には、隙間132がそれぞれ形成されている。このバランサ装置では、これら各駆動突片102,112と弾性部材130とによって上記減衰機構が構成されている。
【0011】
こうして構成される減衰機構において、回転軸100がギヤ110に対して相対回動すると、まず、その相対回動に伴なって上記隙間132が減少し、その後に各駆動突片102,112が弾性部材130に当接するようになる。そして、回転軸100とギヤ110との間における相対回動量が更に大きくなると、弾性部材130が弾性変形し、相対回動量の大きさに応じた弾性力が発生するようになる。従って、この弾性力(正確にはこの弾性力に基づくトルク)によって回転軸100とギヤ110との相対回動が反付勢されるようになる。
【0012】
図23の実線は、こうした回転軸100とギヤ110との間における相対回動位相θrと、上記弾性力(トルク)Tとの関係を示している。また、同図の二点鎖線は、上記隙間132を設定することなく、単に弾性部材130のバネ定数を低く設定することで上記振動系の固有振動数を低下させるようにした比較例についての上記相対回動位相θrと弾性力Tとの関係を示している。
【0013】
同図の実線に示すように、相対回動位相θrが所定の回動位相範囲にある場合(θr<θ1)には、弾性部材130が弾性変形しないために、弾性力Tは「0」になる。このように各駆動突片102,112と弾性部材130との間に隙間132を設け、弾性力Tの発生しない相対回動位相範囲を設定することにより、弾性部材130のバネ定数自体をそれほど大きく低下させることなく、上記バランサ装置により構成される振動系の固有振動数を低下させることができる。
【0014】
一方、回転軸100とギヤ110とが上記所定の回動位相範囲を超えて相対回動する場合(θr>θ1)には、弾性力Tはその相対回動位相θrの大きさに応じて増大するようになる。ここで、上記比較例と比較して、弾性力Tが極めて大きくなった場合(T=Tmax)、換言すればクランクシャフトからバランサ装置に入力される回転力が極めて大きくなった場合においても、相対回動位相θrは小さく制限されるようになり、弾性部材130に過大な変形が生じるようなこともない(θmax1<θmax2)。
【0015】
従って、上記バランサ装置によれば、機関加速時のようにクランクシャフトからの回転力が急激に増大した際における減衰機構の損傷や機能低下を招くことなく、回転力変動の高周波成分を減衰させることができるようになる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
このように減衰機構に非線形なバネ特性を持たせることで、確かに、上記のような減衰機構の損傷や機能低下を回避しつつ、バランサ装置により構成される振動系の固有振動数を低下させて回転力変動の高周波成分を減衰させることはできる。
【0017】
しかしながら、このように上記振動系の固有振動数を低下させると、以下のような不都合も無視できないものとなる。即ち、この固有振動数の低下により、同振動数は、上記内燃機関における基本振動数の2次成分のような、回転力変動における低周波成分の振動数近傍に設定されるようになる。その結果、上記バランサ装置では、こうした回転力変動の低周波成分に起因した共振現象が発生するようになり、その共振現象に起因する振動がもはや避けきれないものとなる。
【0018】
また、こうした不都合は、上述したような内燃機関のバランサ装置に限らず、ギヤを用いて回転力を伝達させるようにした動力伝達系のギヤ機構においても概ね共通したものとなっている。
【0019】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、振動成分として低周波成分と高周波成分とが混在する回転力が入力される場合であれ、それら低周波成分及び高周波成分に起因する共振現象の発生を、減衰機構の損傷や機能低下を招くことなく好適に抑制することのできる動力伝達系のギヤ機構を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明では、第1の回転軸に駆動連結された第1のギヤと、第2の回転軸に相対回動を許容する減衰機構を介して同軸上に設けられた第2のギヤとを噛合させ、これら各ギヤ並びに前記減衰機構を介して前記各回転軸間で回転力を伝達させるようにした動力伝達系のギヤ機構において、前記減衰機構は、前記第2のギヤと前記第2の回転軸とが所定の回動位相範囲で相対回動するときにその相対回動を抑制する減衰力を発生する減衰部材と、前記第2のギヤと前記第2の回転軸とが前記所定の回動位相範囲を超えて相対回動するときにのみ弾性変形しその弾性力により前記相対回動を反付勢する弾性部材とを備えて構成されるものであるとしている。
【0021】
上記構成によれば、第2のギヤと第2の回転軸とが上記所定の回動位相範囲を超えて相対回動するときにのみ、弾性部材の弾性力が発生するようになるため、弾性部材のバネ定数自体をそれほど大きく低下させることなく、ギヤ機構を含む振動系の固有振動数を低下させることができ、減衰機構の損傷や機能低下を回避しつつ、回転力変動の高周波成分を減衰させることができる。またその一方で、第2のギヤと第2の回転軸とが上記所定の回動位相範囲で相対回動する際には、減衰部材によってその相対回動を抑制する減衰力を発生させるようにしたため、減衰機構における減衰能力を高めることができ、回転力変動の低周波成分についてもこれを減衰させることができる。
【0022】
従って、請求項1に記載した発明の上記構成によれば、振動成分として低周波成分と高周波成分とが混在する回転力が入力される場合であれ、それら低周波成分及び高周波成分に起因する共振現象の発生を、減衰機構の損傷や機能低下を招くことなく好適に抑制することができるようになる。
【0023】
請求項2に記載した発明では、請求項1に記載した動力伝達系のギヤ機構において、前記減衰部材は前記第2のギヤと前記第2の回転軸との間にあってこれらの相対回動により生じる摩擦力を前記減衰力として発生する摩擦減衰部材であるとしている。
【0024】
上記構成によれば、減衰力の大きさは、第2のギヤと第2の回転軸とが相対回動する際の回動速度の変化に対してそれほど大きく変化するようなことがなく、略一定に保たれるようになる。従って、減衰部材としていわゆるオイルダンパ等を採用するようにした構成と比較して、回転力変動の特に低周波成分に対する減衰能力をより高めることができ、同低周波成分に起因する共振現象の発生を更に好適に抑制することができるようになる。
【0025】
請求項3に記載した発明では、請求項1又は2に記載した動力伝達系のギヤ機構において、前記弾性部材は、前記各回転軸間で伝達される回転力が増大するのに伴なって前記第2のギヤと前記第2の回転軸とが前記所定の回動位相範囲を超えて相対回動するときに弾性変形する加速側弾性部と、前記回転力が減少するのに伴なって前記第2のギヤと前記第2の回転軸とが前記所定の回動位相範囲を超えて相対回動するときに弾性変形する減速側弾性部とを含み、前記加速側弾性部の弾性変形限度が前記減速側弾性部の弾性変形限度よりも大きく設定されてなるものであるとしている。
【0026】
上記構成において、上記加速側弾性部は、回転力が増大するときのみならず、一定の回転力が伝達されることで第2のギヤと第2の回転軸とが上記所定の回動位相範囲を超えて相対回動するときにおいても弾性変形し、第2のギヤと第2の回転軸との間において回転力を伝達させるものとして機能する。このため、加速側弾性部は上記減速側弾性部と比較して弾性変形する頻度が多くなる傾向がある。
【0027】
この点、上記構成によれば、加速側弾性部の弾性変形限度を減速側弾性部よりも大きく設定するようにしているため、同加速側弾性部が弾性変形する際の余裕度を高めることができ、その耐久性を向上させることができるようになる。
【0028】
また、上記請求項3に記載した発明にかかる構成の具体的な態様としては、請求項4に記載されるように、前記加速側弾性部及び減速側弾性部は、いずれもゴム材料により形成され、前記加速側弾性部においてその弾性変形する部分の体積が前記減速側弾性部においてその弾性変形する部分の体積よりも大きく設定されてなるといった構成を採用することができる。
【0029】
即ち、上記構成によれば、加速側弾性部においてその弾性変形する部分の体積を減速側弾性部においてその弾性変形する部分の体積よりも大きく設定することで、同加速側弾性部の弾性変形限度を減速側弾性部よりも大きく設定することができる。
【0030】
請求項5に記載した発明では、請求項1乃至4のいずれかに記載した動力伝達系のギヤ機構において、前記第1のギヤ及び前記第2のギヤの少なくとも一方はその歯が樹脂材料によって形成される樹脂製ギヤであるとしている。
【0031】
上記構成によれば、第1のギヤ及び第2のギヤの噛合部における衝撃が吸収され、ギヤ噛合音を低減することができるとともに、各ギヤ間で伝達される回転力の変動、特にその高周波成分を減衰させることができるようになる。
【0032】
また、この樹脂製ギヤに噛合される第1のギヤ及び第2のギヤのうちの他方を金属製ギヤとした場合には、その歯面の加工精度がある程度低い場合であってもそれらギヤ噛合音の発生を低減することが可能となる。このため、金属製ギヤの歯面に対するシェービング仕上げ、研磨仕上げ等の工程や、金属製ギヤで一般的なシムの選択調整によるバックラッシュ量の管理を省略することが可能になる。更に、これら樹脂製ギヤと金属製ギヤとが互いに噛合されることで、それらギヤ間の熱による凝着等を回避することができる。
【0033】
請求項6に記載した発明では、請求項5に記載した動力伝達系のギヤ機構において、前記第1のギヤ及び前記第2のギヤの一方はその歯が樹脂材料によって形成される樹脂製ギヤであるとともに他方は金属製ギヤであり、前記樹脂製ギヤはその歯幅が前記金属製ギヤの歯幅よりも大きく設定されてなるものであるとしている。
【0034】
樹脂製ギヤと金属製ギヤとを噛合させた場合において、例えば組付誤差や回転する際の振動等に起因して、これら各ギヤの歯の位置がそれらの歯幅方向においてずれると、樹脂製ギヤの歯面の一部のみが金属製ギヤの歯面に接触する状態、いわゆる偏当り状態となる。一般に、樹脂製ギヤは金属製ギヤと比較して耐磨耗性や耐久性が低いため、こうした偏当り状態が発生すると、その磨耗や損傷の発生が助長されてしまう懸念がある。
【0035】
この点、請求項6に記載した発明による上記構成によれば、樹脂製ギヤの歯幅が金属製ギヤの歯幅よりも大きく設定されているため、各ギヤ歯の位置がずれた場合でも、そのずれが吸収されるようになり、偏当り状態が発生することもない。従って、こうしたずれに起因する樹脂製ギヤの磨耗を抑制することができるとともに、その損傷を回避することができるようになる。
【0036】
請求項7に記載した発明では、請求項5又は6に記載した動力伝達系のギヤ機構において、前記第2のギヤ及び前記第2の回転軸のうち一方には前記弾性部材が配設され、他方には前記所定の回動位相範囲を超えて相対回動するときに前記弾性部材に当接して弾性変形を生じせしめる当接部材が設けられ、前記当接部材は前記弾性部材の弾性力が作用することにより破損する際の強度が前記第1のギヤ及び前記第2のギヤのうち前記樹脂製ギヤとして構成されるギヤの歯部強度よりも小さく設定されるものであるとしている。
【0037】
各ギヤのうち少なくとも一方を樹脂製ギヤとして構成するようにした場合、同樹脂製ギヤは金属製ギヤと比較してその強度が相対的に低いため、過大な回転力が入力されたときに同樹脂製ギヤの歯部が破損し、各ギヤの噛み込み等の不具合を招く懸念がある。
【0038】
この点、上記構成によれば、こうした樹脂製ギヤの歯部における破損が発生する前に、上記当接部材が破損し、第2のギヤと第2の回転軸との間の機械的な連結力が急激に低下するようになるため、上記のような過大な回転力が入力されたときの樹脂製ギヤの歯部における破損を回避し、各ギヤの噛み込み等の不具合を未然に防止することができるようになる。
【0039】
請求項8に記載した発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載した動力伝達系のギヤ機構において、前記減衰機構は前記弾性部材を複数備えて構成され、前記第2のギヤ及び前記第2の回転軸のうち一方には前記各弾性部材が配設され、他方には前記各弾性部材に対応する前記所定の回動位相範囲を超えて相対回動するときに前記弾性部材に当接して弾性変形を生じせしめる当接部材が複数設けられ、前記各弾性部材は前記当接部材が当接する際の前記第2のギヤと前記第2の回転軸との相対回動量を異ならせるようにして前記第2のギヤ及び前記第2の回転軸のうちの一方に配設されるものであるとしている。
【0040】
上記構成によれば、第2のギヤと第2の回転軸との相対回動に対する弾性部材全体の弾性特性がより非線形な傾向を示すようになるため、ギヤ機構を含む振動系の固有振動数が複数の振動数に分散されるとともに、その分散によって減衰機構の減衰能力が更に高められるようになる。その結果、共振現象の発生をより好適に抑制することができるようになる。
【0041】
請求項9に記載の発明では、請求項1乃至8のいずれかに記載した動力伝達系のギヤ機構において、前記動力伝達系は、内燃機関のバランサ装置にあって同機関のクランクシャフトの回転力を第1及び第2のバランスシャフトに伝達させるものであり、前記第1の回転軸としての前記クランクシャフトに前記第1のギヤとしてのクランクギヤが設けられるとともに、前記第2の回転軸としての前記第1のバランスシャフトに前記減衰機構を介して前記第2のギヤとしての被動ギヤが相対回動可能に設けられ、更に前記クランクギヤに前記被動ギヤが噛合され、前記第1のバランスシャフトには前記第2のバランスシャフトが駆動連結されてなるものであるとしている。
【0042】
また、請求項10に記載の発明では、請求項1乃至8のいずれかに記載した動力伝達系のギヤ機構において、前記動力伝達系は、内燃機関のバランサ装置にあって同機関のクランクシャフトの回転力を第1及び第2のバランスシャフトに伝達させるものであり、前記第2の回転軸としての前記クランクシャフトに前記減衰機構を介して前記第2のギヤとしてのクランクギヤが相対回動可能に設けられるとともに、前記第1の回転軸としての前記第1のバランスシャフトに前記第1のギヤとしての被動ギヤが設けられ、更に前記クランクギヤに前記被動ギヤが噛合され、前記第1のバランスシャフトには前記第2のバランスシャフトが駆動連結されてなるものであるとしている。
【0043】
更に、請求項11に記載の発明では、請求項1乃至8のいずれかに記載した動力伝達系のギヤ機構において、前記動力伝達系は、内燃機関のバランサ装置にあって同機関のクランクシャフトの回転力を第1のバランスシャフトに伝達させるとともに、同クランクシャフトの回転力を中間ギヤを介して第2のバランスシャフトに伝達させるものであり、前記第1の回転軸としての前記クランクシャフトに前記第1のギヤとしてのクランクギヤが設けられ、そのクランクギヤには同じく前記第1のギヤとして前記中間ギヤが噛合されるとともに、前記第2の回転軸としての前記第1及び第2のバランスシャフトには各別の前記減衰機構を介して前記第2のギヤとしての被動ギヤがそれぞれ相対回動可能に設けられ、更に前記クランクギヤには前記第1のバランスシャフトに設けられた前記被動ギヤが噛合されるとともに、前記中間ギヤには前記第2のバランスシャフトに設けられた前記被動ギヤが噛合されてなるものであるとしている。
【0044】
上記請求項9乃至11のいずれかに記載した発明によれば、回転力変動が極めて大きい内燃機関のバランサ装置において、その回転力変動の振動成分における上記2次成分や6次成分に起因する共振現象の発生を減衰機構の損傷や機能低下を招くことなく好適に抑制することができるようになる。
【0045】
請求項12に記載した発明では、請求項9乃至11のいずれかに記載した動力伝達系のギヤ機構において、前記減衰機構は前記弾性部材を複数備えて構成され、前記第2のギヤ及び前記第2の回転軸のうち一方には前記各弾性部材が前記第2の回転軸の回転方向において等角度間隔を隔てて配設され、他方には隣り合う各弾性部材の間に位置し、前記所定の回動位相範囲を超えて相対回動するときに前記弾性部材に当接して弾性変形を生じせしめる当接部材が設けられ、前記第2のギヤはその歯数が前記弾性部材の数の整数倍に設定されてなるものであるとしている。
【0046】
上記構成によれば、第1のギヤと第2のギヤとを噛合させるとともに、同第2のギヤと第2の回転軸とを減衰機構を介して組み付けるに際しての組付自由度が増大するようになるため、その組み付け性を向上させることができるようになる。
【0047】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、本発明にかかるギヤ機構を直列4気筒内燃機関のバランサ装置に適用した第1の実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
【0048】
はじめに、図1及び図2を参照して、本実施形態において適用対象となるバランサ装置の概要について説明する。尚、図1は、このバランサ装置の側面構造を示した概略図であり、図2は、同バランサ装置の各ギヤの配置を示した概略図である。
【0049】
これら各図に示すように、このバランサ装置は、内燃機関のシリンダブロック11及びクランクケース12(図1参照)に軸支された機関出力軸としてのクランクシャフト20と、このクランクシャフト20の下方に同シャフト20と平行に設けられた第1のバランスシャフト30及び第2のバランスシャフト40とを有している。
【0050】
これら各バランスシャフト30,40は、クランクケース12及びハウジング13とにより形成される第1のラジアル軸受15及び第2のラジアル軸受16によって軸支されている(尚、図1では、第1のバランスシャフト30を軸支する各ラジアル軸受15,16のみを示し、図2ではこれら各ラジアル軸受15,16の図示を省略している)。また、各バランスシャフト30,40には、上記第2のラジアル軸受16を両側から挟む位置に、それぞれ一対のアンバランスウェイト33,43が設けられている。
【0051】
クランクシャフト20には、各気筒毎に一対ずつ、8個のバランスウェイト22が設けられている。そして、クランクシャフト20には、これら8個のバランスウェイト22のうち、中ほどの1つのバランスウェイト22aに隣接する位置にクランクギヤ21が一体回転可能に設けられている。
【0052】
第1のバランスシャフト30には、クランクギヤ21に噛合されるとともに、同第1のバランスシャフト30に対して相対回動可能な第1の被動ギヤ31が設けられている。この第1の被動ギヤ31は、その直径がクランクギヤ21の半径と等しく設定されている。また、第1のバランスシャフト30には、同バランスシャフト30に圧入されて一体回転可能に連結されたカウンタギヤ32が上記第1のラジアル軸受15に隣接して設けられている。第1の被動ギヤ31は、相対回動を許容する減衰機構50を介してカウンタギヤ32に駆動連結されている。
【0053】
一方、第2のバランスシャフト40には、図2に示すように、カウンタギヤ32に噛合されるとともに、同第2のバランスシャフト40と一体回転可能に連結された第2の被動ギヤ41が第1のラジアル軸受15(同図では図示略)に隣接して設けられている。
【0054】
各バランスシャフト30,40の端部には、これら各シャフト30,40の軸方向における移動を規制するスラスト軸受35,45が上記第1のラジアル軸受15に隣接してそれぞれ形成されている。これら各スラスト軸受35,45において、上記アンバランスウェイト33,43の重心が位置する側の部分と各バランスシャフト30,40の軸心を挟んで反対側に位置する部分には、凹部35a,45aがそれぞれ形成されている。上記カウンタギヤ32及び第2の被動ギヤ41においても同様に、上記アンバランスウェイト33,43の重心が位置する側(図2において下側)の部分と各バランスシャフト30,40の軸心を挟んで反対側に位置する部分に、凹部32a,41aがそれぞれ形成されている。
【0055】
こうした凹部32a,35a,41a,45aが形成されることにより、カウンタギヤ32、第2の被動ギヤ41、並びに各スラスト軸受35,45の重心は上記アンバランスウェイト33,43の重心と同じ側に偏心移動するようになる。
【0056】
従って、これらカウンタギヤ32、第2の被動ギヤ41、並びに各スラスト軸受35,45が各バランスシャフト30,40とともに回転することにより、アンバランスウェイト33,43と実質的に同様の機能が奏せられるようになる。その結果、上記各凹部32a,35a,41a,45aの体積分だけアンバランスウェイト33,43の小型化及び軽量化が図られるようになる。
【0057】
更に、上記のようにカウンタギヤ32、第2の被動ギヤ41、及び各スラスト軸受35,45の各重心が各バランスシャフト30,40の軸心からずれて設定されることにより、各バランスシャフト30,40において第1のラジアル軸受15によって軸支される部分30a,40aには、上記各部32,35,41,45の回転に伴って各シャフト30,40の軸心周りにおける振れ回り力が作用するようになる。
【0058】
従って、各バランスシャフト30,40の上記各軸支部分30a,40aは、その振れ回り力によって第1のラジアル軸受15の内周面に押し付けられた状態のままで回転するようになる。その結果、各バランスシャフト30,40が回転する際に、上記各軸支部分30a,40aにおいて不規則な振動が発生するのを抑制することができ、同部分30a,40aと第1のラジアル軸受15の内周面との間に発生する接触音を低減することができるようになる。
【0059】
図5は、上記各ギヤ及び各シャフトの関係を模式的に示したものである。内燃機関のバランサ装置をこのような構成とすることで、同図5に示すように、クランクシャフト20から伝達される回転力は、クランクギヤ21、第1の被動ギヤ31、減衰機構50、そしてカウンタギヤ32を介して第1のバランスシャフト30に伝達されるとともに、同カウンタギヤ32から第2の被動ギヤ41を介して第2のバランスシャフト40にも伝達されるようになる。尚、同図5に示す「m1」、「m2」、及び「m3」は、それぞれクランクシャフト20、第1のバランスシャフト30、及び第2のバランスシャフト40の軸心である。
【0060】
次に、図3及び図4を参照して、上記減衰機構50の構成について説明する。尚、これら図3及び図4は、第1のバランスシャフト30に設けられた減衰機構50の断面構造を示す図であり、図3は図4の3―3線に沿った断面構造を、図4は図3の4―4線に沿った断面構造をそれぞれ示している。
【0061】
図4に示すように、第1の被動ギヤ31は、第1のバランスシャフト30と同軸上に同シャフト30と相対回動可能に設けられた環状の内周部31aと、この内周部31aの外周に一体回転可能に設けられ、その外周に歯31cが形成された外周部31bとを備えて構成されている。この外周部31bの歯31cは、クランクギヤ21の外周に形成された歯(図示略)と噛合されている。尚、本実施形態では、上記外周部31bにおける歯31cの歯幅と、クランクギヤ21の歯の歯幅とが等しく設定されており、また、カウンタギヤ32及び同ギヤ32に噛合される第2の被動ギヤ41についても、それらの歯幅が等しく設定されている。
【0062】
また、第1の被動ギヤ31の内周部31aは鉄等の金属材料によって形成される一方、その外周部31bはアラミド繊維織物によって強化されたポリアミノアミドまたはフェノール等の熱硬化性樹脂からなる樹脂材料によって形成されている。第2の被動ギヤ41も第1の被動ギヤ31と同様に、少なくともその歯が上記樹脂材料によって形成されている。これに対して、クランクギヤ21及びカウンタギヤ32はいずれも鉄等の金属材料によって形成されている。また、これら各ギヤ21,31,32,41はいずれも、図5に示すように、それらの各歯がヘリカル状に形成されたヘリカルギヤとなっている。
【0063】
第1の被動ギヤ31の内周部31aにおいて、カウンタギヤ32と対向する側面と反対側の側面には、第1のバランスシャフト30の軸心を中心にして同第1のバランスシャフト30の外径よりも大きな内径を有する凹部53が形成されている。このため、第1の被動ギヤ31を第1のバランスシャフト30に係合させた状態では、第1のバランスシャフト30の外周面と凹部53の内周面との間には環状の空間が形成されることとなる。そして、この環状の空間内には、一対の環状をなすフリクションダンパ54がそれぞれ減衰部材として配設されている。
【0064】
これら各フリクションダンパ54は、金属材料からなり、上記凹部53の内壁面に当接される摺動部54aと、例えばゴム材料等の弾性材料からなる弾性部54bとを備えて構成されている。第1の被動ギヤ31は、これらフリクションダンパ54の弾性部54bにおける弾性力により、第1のバランスシャフト30の全周にわたってその径方向に常時付勢されている。
【0065】
従って、第1の被動ギヤ31がカウンタギヤ32に対して相対回動する際、換言すれば、同第1の被動ギヤ31が第1のバランスシャフト30に対して相対回動する際には、摺動部54aと凹部53の内壁面との間に上記付勢力の大きさに応じた摩擦力が発生し、その摩擦力が上記相対回動を抑制する減衰力として作用するようになる。
【0066】
また、クランクギヤ21及び第1の被動ギヤ31はヘリカルギヤとして構成されているため、これらを噛合させた場合においても、第1の被動ギヤ31は第1のバランスシャフト30の軸方向において僅かに移動することが可能である。このため、第1の被動ギヤ31が回転力変動等に起因して上記軸方向において振動し、第1のバランスシャフト30と接触を繰り返すことで騒音が発生する懸念がある。上記フリクションダンパ54の摩擦力は、こうした第1の被動ギヤ31の振動を減衰させる減衰力としても作用するようになる。
【0067】
一方、カウンタギヤ32において第1の被動ギヤ31と対向する側面には、第1のバランスシャフト30の軸心を中心に同シャフト30の外周を囲む環状の凹部51が設けられている。この凹部51の内底面51aには、第1の被動ギヤ31に向かって突出する断面略矩形状の係止凸部52が第1のバランスシャフト30の軸心周りにおいて等角度間隔を隔てて複数個(この例においては図3に示すように4個)設けられている。更に、この凹部51の内底面51aには上記係止凸部52を挟む位置に一対の係止孔57が形成されている。
【0068】
また、凹部51内には、それぞれ係止凸部52及び係止孔57により係止される断面略台形のストッパゴム55が第1のバランスシャフト30の軸心周りにおいて等角度間隔を隔てて複数個(この例では同じく4個)設けられている。
【0069】
このストッパゴム55は係止凸部52に係合される係止凹部55cと、係止孔57に係合される係止片55dとを有している。これら係止凸部52と係止凹部55c、係止片55dと係止孔57とがそれぞれ係合されることにより、同ストッパゴム55の凹部51内での周方向への移動が規制されている。尚、本実施形態において、ストッパゴム55は、係止凸部52により係止された状態において、同係止凸部52の両側に位置する各部分の周方向における長さがいずれも等しく設定されている。また、ストッパゴム55は、クランクシャフト20からバランサ装置に入力される回転力が最も大きくなった場合であっても、損傷を招く過大な変形が生じないように、そのバネ定数が設定されている。
【0070】
また、第1の被動ギヤ31の内周部31aにおいてカウンタギヤ32と対向する側面には、カウンタギヤ32に向かって突出する複数(この例では4個)の凸部56が設けられている。この凸部56は、隣り合うストッパゴム55の対向する各両端部に対してそれぞれ所定角度θ1,θ2だけ離間して位置するように、第1のバランスシャフト30の軸心周りにおいて等角度間隔を隔てて設けられている。ここで、上記各所定角度θ1,θ2は、第1の被動ギヤ31とカウンタギヤ32とが相対回動することにより変化するが、それらの和(θ1+θ2)は一定の値θmaxをとる(θmax=θ1+θ2)。
【0071】
従って、各凸部56が隣り合うストッパゴム55の端部に当接しない状態を維持したまま最大で上記各所定角度θ1,θ2の和(=θ1+θ2)と等しい所定の回動位相範囲(=θmax)で、第1の被動ギヤ31とカウンタギヤ32とは相対回動が可能である。換言すれば、第1の被動ギヤ31とカウンタギヤ32とが上記所定の回動位相範囲θmaxを超えて相対回動すると凸部56とストッパゴム55の片側の端部とが当接するようになる。尚、本実施形態では、この所定の回動位相範囲θmaxを「16°」に設定するようにしている。
【0072】
また、本実施形態においては、第1の被動ギヤ31の歯31cの数が、上記ストッパゴム55の数の整数倍に設定されている。即ち、上記歯31cの数pとストッパゴム55の数sとの間には、以下の式(1)により定義される関係が成立している。
【0073】
p=n・s ・・・(1)
但し、「s」、「n」はいずれも「2」以上の整数
バランサ装置では、クランクシャフト20の回転位相と各バランスシャフト30,40の回転位相とが所定の関係を有するようにして、これら各バランスシャフト30,40の組み付けを行う必要がある。このため、各バランスシャフト30,40の組み付け時においては、クランクシャフト20の回転方向における位置が決定されれば、各バランスシャフト30,40の回転方向における位置も一義的に決定されることとなる。
【0074】
そして、このように各バランスシャフト30,40の位置が決定された状態で第1の被動ギヤ31をクランクギヤ21に噛合させると、同ギヤ31の回転方向における位置も決定されるようになる。従って、その後に、カウンタギヤ32を第1のバランスシャフト30に組み付ける際には、カウンタギヤ32を第2のバランスシャフト40に固定された第2の被動ギヤ41の歯に噛合させつつ、第1の被動ギヤ31の各凸部56をカウンタギヤ32側の隣り合うストッパゴム55の間に位置させる必要がある。
【0075】
ここで、本実施形態とは異なり、p≠n・sといった関係となるように、第1の被動ギヤ31の歯数pとストッパゴム55の数sとが設定されている構成では、隣り合うストッパゴム55の間にある各隙間に各凸部56を位置させる際の組み合わせが一通りしか存在しなくなり、クランクギヤ21に対する第1の被動ギヤ31の噛合位置が適切でないと、上記のようにカウンタギヤ32を第1のバランスシャフト30に組み付ける際に、凸部56を隣り合うストッパゴム55の間に位置させることができなくなる。従って、この構成にあっては、第1の被動ギヤ31をクランクギヤ21に噛合させる際には、その後にカウンタギヤ32が組み付け可能なように唯一の所定位置に位置決めする必要がある。
【0076】
この点、本実施形態では、第1の被動ギヤ31の周方向において、その歯31cは、「(360/n・s)°」毎に形成されており、各凸部56は第1の被動ギヤ31の周方向において、「(360/s)°」毎に形成されている。従って、凸部56の形成される角度間隔は、上記歯31cの形成される角度間隔の整数倍になる。このため、隣り合うストッパゴム55の間に各凸部56のいずれを位置させたとしても、第1の被動ギヤ31の歯31cの位置は同一になる。その結果、後にカウンタギヤ32が組み付け可能なように、第1の被動ギヤ31をクランクギヤ21に噛合させる際の位置が複数(本実施形態では4通り)存在することとなり、その組み付けの際の組付自由度が増大するようになる。
【0077】
また、上記のような減衰機構50を有するバランサ装置は、図6に示すようなモデル図で表される。
まず、クランクシャフト20からクランクギヤ21に回転力Fが伝達されると、第1の被動ギヤ31は、カウンタギヤ32との間の相対回動が上記所定の回動位相範囲θmaxを超えるまでの間、即ち凸部56がストッパゴム55に当接するまでの間、フリクションダンパ54での摩擦力のみが減衰力(減衰係数C2)として作用する状態でカウンタギヤ32に対し相対回動する。
【0078】
そして、第1の被動ギヤ31が所定の回動位相範囲θmaxを超えてカウンタギヤ32に対し相対回動すると、凸部56がストッパゴム55の端部に当接し、ストッパゴム55がその周方向において弾性変形するようになる。その結果、フリクションダンパ54の減衰力に加え、このストッパゴム55の全体についての弾性力(バネ定数K1)及び減衰力(減衰係数C1)によって第1の被動ギヤ31とカウンタギヤ32との相対回動が反付勢されるようになる。従って、第1の被動ギヤ31に伝達された回転力Fは、フリクションダンパ54の減衰力及びストッパゴム55の弾性力及び減衰力の合力としてカウンタギヤ32を介し第1のバランスシャフト30に伝達されるとともに、同カウンタギヤ32から第2の被動ギヤ41を介して第2のバランスシャフト40にも伝達されるようになる。
【0079】
次に、本実施形態にかかるギヤ機構の振動抑制作用について図7〜図9を参照して説明する。
図7は、内燃機関の回転速度に対する第1のバランスシャフト30及び第2のバランスシャフト40の角加速度変動の変化についての実験結果を示したグラフである。
【0080】
尚、同図7において実線は、本実施形態についての特性を示し、一点鎖線は、上記減衰機構50を省略し、第1の被動ギヤ31とカウンタギヤ32とが一体回転するように、これら各ギヤ31,32を直接駆動連結させるようにした比較例についての特性を示している。
【0081】
同図7に示すように、比較例においては内燃機関の回転速度が4000rpmを超えると、上記角加速度の変動の大きさが急激に増大するようになる。これはクランクシャフト20の捩じれ共振によって同クランクシャフト20から各バランスシャフト30,40に伝達される回転力のうち基本振動数についての6次成分が増幅されて入力され、同成分によってバランサ装置に共振現象が発生しているためである。
【0082】
一方、本実施形態においては、このように上記6次成分が増幅された回転力が入力される場合であっても、同成分による共振現象は殆ど発生しておらず、同成分の伝達が確実に遮断されていることがわかる。
【0083】
また、図8は、内燃機関の回転速度に対する第1のバランスシャフト30及び第2のバランスシャフト40の角速度変動の変化についての実験結果を示したグラフである(縦軸に示す角速度変動は対数表示してある)。
【0084】
尚、同図8において実線は、上記所定の回動位相範囲θmaxを「16°」に設定した本実施形態についての特性を示し、一点鎖線は、上記回動位相範囲θmaxを「8°」に設定した第1の比較例についての特性を示している。また、同図において二点鎖線は、上記回動位相範囲θmaxを「0°」に設定した場合、即ち無負荷状態において凸部56の周方向の両側面と、これら両側面と隣り合うストッパゴム55の対向する両端部とをそれぞれ当接させるように構成した第2の比較例についての特性を示している。
【0085】
同図8に示すように、第2の比較例においては、内燃機関の回転速度が1000〜2000rpmの間にあるときに、角加速度変動が急激に増大する速度領域が存在することがわかる。これはクランクシャフト20から各バランスシャフト30,40に伝達される回転力のうち上記基本振動数の2次成分によってバランサ装置に共振現象が発生しているためである。
【0086】
これに対して、第1の比較例においては、内燃機関の回転速度が1000〜2000rpmの間にあるときに角加速度変動が僅かに増大する領域が存在するものの、その増大量自体は上記第2の比較例と比較して大きく減少していることがわかる。
【0087】
これは、上記回動位相範囲θmaxを「0°」より大きく設定することで、バランサ装置により構成される振動系の固有振動数が低下し、内燃機関の常用回転速度域(>1000rpm)における上記2次成分の共振現象の発生が抑制されることに起因している。更に別の理由としては、上記回動位相範囲θmaxにおいて第1の被動ギヤ31とカウンタギヤ32とが相対回動し、フリクションダンパ54に摩擦力が発生することで、上記振動系に大きな減衰力が付与されているためであるといえる。
【0088】
更に本実施形態においては、こうした上記回動位相範囲θmaxを「16°」としているため、同回動位相範囲θmaxを「0°」より大きく設定することによる振動抑制効果とフリクションダンパ54による振動抑制効果が更に顕著に現れるようになる。即ち、内燃機関の回転速度が1000〜2000rpmの間にあるときの角加速度変動の増大は見られず、上記共振現象は発生していないことがわかる。本発明者らによる更に詳細な実験によれば、上記回動位相範囲θmaxを「1°」以上に設定することで、上記2次成分の共振現象を抑制する効果が得られることが確認されている。
【0089】
図9は、上記フリクションダンパ54の摩擦力による振動抑制効果を確認するために行った実験結果を示すものであって、図8と同様、内燃機関の回転速度に対する第1のバランスシャフト30及び第2のバランスシャフト40の角速度変動の変化を示すグラフである(縦軸に示す角速度変動は対数表示してある)。
【0090】
尚、同図9において実線は、本実施形態についての特性を示し、一点鎖線は、上記フリクションダンパ54を省略し、第1の被動ギヤ31の内周部31aが第1のバランスシャフト30において相対回動可能に支持されるように構成した比較例についての特性を示している。
【0091】
同図9に示すように、フリクションダンパ54を省略する構成とした上記比較例においては、内燃機関の回転速度が1000rpm近傍にあるときに角速度変動の急峻なピークが存在するようになる。即ち、仮に上記回動位相範囲θmaxが「0°」より大きく設定されていても、その回動位相範囲θmaxにおいてフリクションダンパ54の摩擦力等、適切な大きさの減衰力が付与されなければ、もはや上記2次成分についての共振現象を抑制する効果は得られないことがわかる。
【0092】
以上の実験結果から明らかなように、本実施形態では、回動位相範囲θmaxを「1°」以上に設定するとともに、その回動位相範囲θmaxで第1の被動ギヤ31とカウンタギヤ32とが相対回動する際にフリクションダンパ54の摩擦力を減衰力として発生させることで、上記2次成分と6次成分の共振現象の発生を確実に抑えることができるようになる。またその結果として、ストッパゴム55のバネ定数を比較的大きく設定することができ、バランサ装置に入力される回転力が増大した際においても、損傷を招くような過大な変形を各ストッパゴム55において発生させてしまうおそれもない。
【0093】
以上詳述したように、この実施形態にかかるギヤ機構によれば、以下に示す作用効果を奏することができるようになる。
(1)クランクシャフト20から各バランスシャフト30,40に伝達される回転力に振動成分として上記低周波成分(上記2次成分)と高周波成分(上記6次成分)が混在するような場合であれ、それら各成分に起因する共振現象の発生を、減衰機構50の損傷や機能低下を招くことなく好適に抑制することができるようになる。
【0094】
(2)フリクションダンパ54に発生する摩擦力を減衰機構50における減衰力とするようにしたため、その減衰力が第1の被動ギヤ31と第1のバランスシャフト30との相対回動速度に依存して大きく変化するようなことがなく、これを略一定に維持することができるようになる。従って、減衰部材としていわゆるオイルダンパ等を採用するようにした構成と比較して、上記2次成分等、回転力変動の低周波成分に対する減衰能力をより高めることができ、同成分に起因する共振現象の発生を更に好適に抑制することができるようになる。
【0095】
(3)第1の被動ギヤ31及び第2の被動ギヤ41を、その歯が樹脂からなる樹脂製ギヤとして構成するようにしたため、クランクギヤ21と第1の被動ギヤ31、及びカウンタギヤ32と第2の被動ギヤ41との間のギヤ噛合部における衝撃を吸収して噛合音の低減を図ることができるようになる。更に、これら各ギヤ間で伝達される回転力の変動、特にその高周波成分を減衰させることができるようにもなる。
【0096】
(4)また、樹脂製ギヤである各被動ギヤ31,41と噛合する金属製ギヤ、即ちクランクギヤ21及びカウンタギヤ32においては、その歯面の加工精度がある程度低い場合であってもギヤ噛合音の発生を低減することが可能となる。このため、金属製ギヤの歯面に対するシェービング仕上げ、研磨仕上げ等の工程や、金属製ギヤで一般的なシムの選択調整によるバックラッシュ量の管理を省略することが可能になる。更に、これら樹脂製ギヤと金属製ギヤとを互いに噛合させるようにしているため、それらギヤ間の熱による凝着等を回避することができるようになる。
【0097】
(5)また、それぞれに凹部32a,35a,41a,45aを形成することにより、カウンタギヤ32、第2の被動ギヤ41、並びに各スラスト軸受35,45の重心をアンバランスウェイト33,43の重心と同じ側に偏心移動させるようにしている。従って、これらカウンタギヤ32、第2の被動ギヤ41、並びに各スラスト軸受35,45によってアンバランスウェイト33,43と実質的に同様の機能が奏せられるようになり、アンバランスウェイト33,43の小型化及び軽量化を図ることができるようになる。
【0098】
(6)更に、カウンタギヤ32、第2の被動ギヤ41、及び各スラスト軸受35,45の各重心が各バランスシャフト30,40の軸心からずれて設定されることで、各バランスシャフト30,40において第1のラジアル軸受15によって軸支される部分には振れ回り力が作用し、この振れ回り力によって第1のラジアル軸受15の内周面に押し付けられた状態で回転するようになる。その結果、上記各軸支部分において不規則な振動が発生するのを抑制することができ、同部分と第1のラジアル軸受15の内周面との接触音を低減することができるようになる。
【0099】
(7)第1の被動ギヤ31の歯31cの数をストッパゴム55の数の整数倍に設定するようにしたため、クランクギヤ21と第1の被動ギヤ31とを噛合させるとともに、同第1の被動ギヤ31を減衰機構50を介してカウンタギヤ32、換言すれば第1のバランスシャフト30に組み付けるに際しての組付自由度が増大するようになり、その組み付け性を向上させることができるようになる。
【0100】
(8)樹脂製ギヤである第1の被動ギヤ31及び第2の被動ギヤ41の形成材料として、アラミド繊維織物により強化されたポリアミノアミドまたはフェノール等の熱硬化性樹脂を用いたことで、これら樹脂製ギヤを耐久性に優れるものとすることができる。
【0101】
(9)フリクションダンパ54の摩擦力によって第1のバランスシャフト30の軸方向における第1の被動ギヤ31の振動が減衰され、その振動に起因する騒音の発生を抑制することができるようになる。
【0102】
次に、本発明にかかるその他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態も、先の第1の実施形態と同様、4気筒内燃機関のバランサ装置に適用されており、その基本的な構成も、先の図1,図2及び図5に例示した構成と同様である。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態において説明した構成と同等の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0103】
[第2の実施形態]
まず、本発明にかかるギヤ機構の第2の実施形態について説明する。
図10は、この第2の実施形態におけるギヤ機構の具体構成を示している。
【0104】
同図10に示すように、本実施形態では、ストッパゴム55において係止凸部52の一方の側面52aよりもカウンタギヤ32の回転方向と逆方向側に位置する部分(以下、「加速側部分」という)55aと、係止凸部52の他方の側面52bよりも上記回転方向側に位置する部分(以下、「減速側部分」という)55bとの長さを異なるように設定している点が先の第1の実施形態と相違している。
【0105】
ここで、上記減速側部分55bは、主に機関減速時においてクランクシャフト20から伝達される回転力が減少する際において各凸部56が当接される部分である。これに対し、上記加速側部分55aは、主に機関加速時においてクランクシャフト20から伝達される回転力が増大する際において各凸部56が当接される部分である。更に、この加速側部分55aは、こうした機関加速時のみならず、機関定常運転時において略一定の回転力が伝達されるときにおいて、各凸部56が当接される部分でもある。従って、この加速側部分55aは減速側部分55bと比較して弾性変形する頻度が多くなり、また変形する際の変形量も大きくなる傾向がある。このため、加速側部分55aについては減速側部分55bと比較してより高い耐久性が要求されることとなる。
【0106】
そこで、本実施形態では、減速側部分55bの長さLbを短くし、その短くした分だけ加速側部分55aの長さLaを長く設定することにより、これら各部分55a,55bの長さLa,Lbに関して(La>Lb)なる関係を成立させるようにしている。その結果、加速側部分55aは、その体積が減速側部分55bよりも大きくなり、その弾性変形限度、即ち弾性変形する際の最大許容量が同減速側部分55bよりも大きく設定されることとなる。
【0107】
従って、加速側部分55aに作用する衝撃を緩和して効果的に吸収することができるとともに、クランクシャフト20からの回転力の急増に伴って大きく弾性変形する場合においても、損傷を招くことなくその弾性変形を許容することができるようになる。
【0108】
また、その一方で、加速側部分55aよりも弾性変形する頻度が少なく、変形する際の変形量も小さい減速側部分55bについては、その長さLbを短く設定するようにしているため、上記のように加速側部分55aの長さLaをより長く確保する上でストッパゴム55の体積を必要以上に増大させてしまうことはない。
【0109】
このように、本実施形態によれば、先の第1の実施形態において記載した(1)〜(9)の作用効果に加えて、
(10)ストッパゴム55の加速側部分55aが弾性変形する際の余裕度を高めることができ、同ストッパゴム55の耐久性を向上させることができるようになる。
【0110】
(11)更に、ストッパゴム55の体積を必要以上に増大させてしまうことがないため、上記回動位相範囲θmaxについても、これを減衰機構50における所定の減衰能力を維持する上で十分な大きさに確保しておくことができるようになる。
【0111】
[第3の実施形態]
次に、本発明にかかるギヤ機構の第3の実施形態について説明する。
先の第1の実施形態では、第1の被動ギヤ31及びクランクギヤ21の歯幅を等しく設定し、また、カウンタギヤ32及び第2の被動ギヤ41の歯幅についてもこれらを等しく設定するようにしていたが、本実施形態では、第1の被動ギヤ31、第2の被動ギヤ41といった樹脂製ギヤの歯幅と、クランクギヤ21、第2の被動ギヤ41といった、これら樹脂製ギヤに噛合される金属製ギヤの歯幅を異なるように設定している。
【0112】
一般に、噛合される一対のギヤの歯幅を設定する際には、それらギヤ間で伝達される回転力の最大値が求められ、その最大回転力が入力された場合でも歯が破損しないように、これら各ギヤの歯幅が設定される。このため、金属製ギヤと樹脂製ギヤとを噛合させる場合にあっては、歯強度の低い樹脂製ギヤの歯幅に合わせるかたちで金属製ギヤの歯幅が決定されることとなる。
【0113】
ここで、図11(a)に示すように、樹脂製ギヤGr及び金属製Gmギヤがそれらの歯幅方向における位置が完全に一致した状態で噛合されていれば特に問題は生じないが、実際の噛合状態においては、同図(b)或いは同図(c)に示すように、樹脂製ギヤGrと金属製ギヤGmとがそれらの回転軸方向において歯がずれた状態となることがある。
【0114】
その要因としては、例えば、組み付けに際しての組み付け誤差や、回転時における振動に起因したずれを挙げることができる。更に、これら樹脂製ギヤ及び金属製ギヤがヘリカルギヤとして構成されている場合には、その回転に伴って各ギヤには向きの異なるスラスト力がそれぞれ作用するため、こうしたスラスト力が作用することによるずれも無視できないものとなる。
【0115】
そして、こうした歯幅方向のずれが発生し、金属製ギヤと樹脂製ギヤとが偏当りした状態になると、樹脂製ギヤの歯において金属製ギヤの歯に接触する部分の面積がそのずれ分だけ減少して接触面圧が増大するようになる。このため、金属製ギヤと比較して耐磨耗性や耐久性が低い樹脂製ギヤにあっては、その磨耗や損傷の発生が助長されてしまう懸念がある。
【0116】
そこで、本実施形態では、クランクギヤ21(金属製ギヤ)に噛合される第1の被動ギヤ31(樹脂製ギヤ)の歯幅を同クランクギヤ21の歯幅よりも大きく設定するようにしている。同様に、第2の被動ギヤ41(樹脂製ギヤ)についても、その歯幅をカウンタギヤ32(金属製ギヤ)の歯幅よりも大きく設定するようにしている。
【0117】
このように各被動ギヤ31,41の歯幅が設定されることにより、これら各ギヤ間において歯幅方向のずれが生じたとしても、偏当たり状態を回避して、これら各被動ギヤ31,41の歯における接触面圧の増大を抑制することができるようになる。
【0118】
図12は、金属製ギヤの歯幅Bmを一定に保持したまま、樹脂製ギヤの歯幅Brを変化させた場合における樹脂製ギヤの歯部強度の変化を測定した実験結果を示している。
【0119】
尚、同図において、横軸は金属製ギヤの歯幅Bmに対する樹脂製ギヤの歯幅Brの比Br/Bm(歯幅比)を示し、縦軸は樹脂製ギヤの歯部強度を示している。また、この歯部強度は、上記歯幅比Br/Bmを「1.0」に設定したときの強度を基準値「1.0」とした場合における相対的な強度である。
【0120】
同図に示すように、上記歯幅比Br/Bmを「1.0」よりも大きく設定することにより、歯部強度の増大が可能であることがわかる。ここで、樹脂製ギヤの歯部強度を確実に増大させる上では、上記歯幅比Br/Bmを「1.1」以上に設定することが望ましい。また、歯幅比Br/Bmを「1.5」を超えて増大させても、歯部強度は殆ど増大しないため、樹脂製ギヤの大型化を抑える上では、同歯幅比Br/Bmを「1.5」以下に設定することが望ましい。
【0121】
本実施形態では、こうした歯幅比Br/Bmと樹脂製ギヤの歯部強度との関係に基づき、第1の被動ギヤ31の歯幅をクランクギヤ21の歯幅の1.1倍に設定するとともに、第2の被動ギヤ41の歯幅についても同様に、カウンタギヤ32の歯幅の1.1倍に設定するようにしている。
【0122】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態において記載した(1)〜(9)の作用効果に加えて、
(12)第1の被動ギヤ31とクランクギヤ21、或いは第2の被動ギヤ41とカウンタギヤ32との歯の位置がその歯幅方向にずれた場合でも、そのずれが吸収されるようになり、偏当り状態が発生することもない。従って、こうした偏当り状態の発生に起因する上記各被動ギヤ31,41の磨耗を抑制することができるとともに、その損傷や破損を回避することができるようになる。
【0123】
[第4の実施形態]
次に、本発明にかかるギヤ機構の第4の実施形態について説明する。
先の第1の実施形態は、第1の被動ギヤ31及び第2の被動ギヤ41として、金属製ギヤよりも歯部強度の低い樹脂製ギヤを採用しているものの、上述した減衰機構50により共振現象の発生が好適に抑制されるため、それら各ギヤ31,41の耐久性を確実に確保することができるものとなっている。
【0124】
しかしながら例えば、内燃機関の変速機側において不適切なシフト位置変更がなされ、本来ならば入力されるはずのない過大な回転力がクランクシャフト20から各バランスシャフト30,40に入力されることがあると、上記各被動ギヤ31,41の歯が破損することもあり得る。そして、このように各被動ギヤ31,41の歯が破損すると、クランクギヤ21と第1の被動ギヤ31との間や、カウンタギヤ32と第2の被動ギヤ41との間において噛み込みが発生することがある。更に、こうした噛み込みが発生すると、クランクシャフト20、或いは同シャフト20とともに回転する他の部材に過大な衝撃力が作用することにより、それらクランクシャフト20や他部材等の損傷を招くおそれがある。
【0125】
そこで、本実施形態では、こうした過大な回転力がクランクシャフト20からバランサ装置に入力される際に、同クランクシャフト20からの回転力の入力を強制的に遮断する構成を備えるようにしている。
【0126】
即ち、本実施形態にかかるギヤ機構では、上記各凸部56がストッパゴム55の弾性力が作用することで破損(折損)する際の破損強度を第1の被動ギヤ31の歯部強度よりも小さく設定するようにしている。
【0127】
図13(a)は、こうした第1の被動ギヤ31の歯部強度を測定する際の概要を、また、同図13(b)は、各凸部56の破損強度を測定する際の概要をそれぞれ模式的に示している。
【0128】
第1の被動ギヤ31の歯部強度を測定する際には、図13(a)に示すように、まず第1の被動ギヤ31(外周部31b)を回転軸200に固定するとともに、同回転軸200にレバー201を固定する。更に、この第1の被動ギヤ31に対し、クランクギヤ21の歯と同形状の歯202が形成された固定歯片203を噛合さる。そして、上記レバー201の端部にその回転方向の荷重を付与し、第1の被動ギヤ31の歯31cを破損させるとともに、破損時の荷重fmax1を測定する。第1の被動ギヤ31の歯部強度は、この荷重fmax1に上記レバー201の長さ(回転軸200の軸心から荷重作用点までの距離)L1を乗じて得られるトルクT1(=fmax1・L1)として求められる。
【0129】
一方、凸部56の破損強度を測定する際には、図13(b)に示すように、まず、第1の被動ギヤ31(内周部31a)を回転軸204に固定するとともに、同回転軸204にレバー205を固定する。更に、固定治具206により1つの凸部56の回転方向における移動を規制する。そして、上記レバー205の端部にその回転方向の荷重を付与して、上記凸部56を破損させるとともに、その破損時の荷重fmax2を測定する。凸部56の破損強度は、この荷重fmax2に上記レバー205の長さL2と凸部56の数n(本実施形態ではn=4)を乗じて得られるトルクT2(=fmax2・L2・n)として求められる。
【0130】
そして、このようにして求められる第1の被動ギヤ31の歯部強度T1と、凸部56の破損強度T2とにおいて、T2<T1なる関係が成立するように、第1の被動ギヤ31の歯31cや凸部56の形状等、その強度を規定する設計値が適宜設定されている。また、第2の被動ギヤ41についても第1の被動ギヤ31と同等の強度を有するように、その歯部強度が設定されている。
【0131】
従って、本実施形態にかかるギヤ機構においては、各被動ギヤ31,41の歯の破損を招く過大な回転力がクランクシャフト20から各バランスシャフト30,40に入力されるような場合にあっても、こうした歯の破損が発生するよりも前に上記凸部56が折損し、第1の被動ギヤ31とカウンタギヤ32との機械的な連結が強制的に遮断されるようになる。その結果、第1の被動ギヤ31には各バランスシャフト30,40の慣性力が上記フリクションダンパ54の摩擦力以上の大きさをもって作用することはなくなり、同ギヤ31の破損が確実に回避されるようになる。
【0132】
また第2の被動ギヤ41についても同様に、上記フリクションダンパ54の摩擦力以上のクランクシャフト20の回転力が伝達されることがないため、その破損が確実に回避されるようになる。
【0133】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態において記載した(1)〜(9)の作用効果に加えて、
(13)過大な回転力が入力されたときの第1の被動ギヤ31及び第2の被動ギヤ41の歯部における破損を回避し、これらギヤ31,41を含むギヤ噛合部での噛み込みの発生、ひいてはその噛み込みに起因する不具合を未然に防止することができるようになる。
【0134】
[第5の実施形態]
次に、本発明にかかるギヤ機構の第5の実施形態について説明する。
図14は、この第5の実施形態におけるギヤ機構の具体構成を示している。
【0135】
尚、以下では、上記各ストッパゴム55を、カウンタギヤ32の周方向において順に、第1のストッパゴム551、第2のストッパゴム552、第3のストッパゴム553、及び第4のストッパゴム554として区別することとする。
【0136】
また、各凸部56については、上記第1のストッパゴム551の加速側部分551aと第2のストッパゴム552の減速側部分552bとの間に位置するものを第1の凸部561と、残りの各凸部56をカウンタギヤ32の周方向において順に、第2の凸部562、第3の凸部563、及び第4の凸部564として区別することとする。
【0137】
同図14に示すように、本実施形態では、各ストッパゴム551〜554の加速側部分551a〜554aの周方向における長さLa1,La2,La3,La4を互いに異なる長さに設定するとともに、減速側部分551b〜554bについても同様に、これらの周方向における長さLb1,Lb2,Lb3,Lb4を互いに異なる長さに設定するようにしている。その結果、本実施形態では、各凸部561〜564が各ストッパゴム551〜554に当接する際の第1の被動ギヤ31とカウンタギヤ32との間の相対回動量が相互に異なるものとなっている。
【0138】
より具体的に説明すると、各ストッパゴム551〜554の加速側部分551a〜554aの長さLa1〜La4、並びに減速側部分551b〜554bの長さLb1〜Lb4は以下の関係が満たされるように設定されている。
【0139】
La1>La2>La3>La4 ・・・(2)
Lb1>Lb2>Lb3>Lb4 ・・・(3)
従って、図14に示すように、各凸部561〜564がいずれのストッパゴム551〜554にも当接していない状態から第1の被動ギヤ31がカウンタギヤ32の回転方向と同方向に相対回動する場合、まず、第1の凸部561が第1のストッパゴム551の加速側部分551aに当接する。第1の被動ギヤ31の相対回動量が増大すると、第2の凸部562が第2のストッパゴム552の加速側部分552aに当接する。そして、更に第1の被動ギヤ31の相対回動量が増大すると、第3の凸部563が第3のストッパゴム553の加速側部分553aに当接し、最後に第4の凸部564が第4のストッパゴム554の加速側部分554aに当接するようになる。
【0140】
一方、同じく各凸部561〜564がいずれのストッパゴム551〜554にも当接していない状態から第1の被動ギヤ31がカウンタギヤ32の回転方向と逆方向に相対回動する場合、まず、第4の凸部564が第1のストッパゴム551の減速側部分551bに当接する。第1の被動ギヤ31の相対回動量が増大すると、第1の凸部561が第2のストッパゴム552の減速側部分552bに当接する。そして、更に第1の被動ギヤ31の相対回動量が増大すると、第2の凸部562が第3のストッパゴム553の減速側部分553bに当接し、最後に第3の凸部563が第4のストッパゴム554の減速側部分554bに当接するようになる。
【0141】
従って、本実施形態にかかるギヤ機構では、各ストッパゴム551〜554のの全体のバネ定数が第1の被動ギヤ31とカウンタギヤ32との間の相対回動量の大きさに応じて4段階に変化することとなり、より非線形なバネ特性を有するようになる。その結果、バランサ装置により構成される振動系の固有振動数は少なくとも4つの振動数に分散されるとともに、この分散によって減衰機構50の減衰能力が更に高められるようになる。また、各凸部561〜564が各ストッパゴム551〜554に当接するタイミングがずれるため、その接触時の騒音や振動が緩和されるようにもなる。
【0142】
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態において記載した(1)〜(9)の作用効果に加えて、
(14)バランサ装置により構成される振動系の固有振動数での共振現象が発生し難いものとなり、共振現象の発生をより好適に抑制することができるようになる。
【0143】
(15)凸部561〜564が各ストッパゴム551〜554に当接する際の騒音や振動を緩和してそれらの低減を図ることができるようになる。
[第6の実施形態]
次に、本発明にかかるギヤ機構の第6の実施形態について説明する。
【0144】
図15及び図16に、この第6の実施形態にかかるギヤ機構の具体構成を示す。この第6の実施形態は、減衰機構50の構成のみが先の第1の実施形態と相違している。
【0145】
即ち、図15及び図16に示すように、この第6の実施形態にあって、前記第1の被動ギヤ31と前記カウンタギヤ32との間には、以下のように構成された減衰機構60が設けられている。ここで、図15は図16の15―15線に沿った断面構造を示し、図16は図15の16―16線に沿った断面構造を示す。
【0146】
図16に示すように、第1の被動ギヤ31の内周部31aにおいてカウンタギヤ32と対向する側面には、第1のバランスシャフト30を中心に位置する凹部63aを有した凸部63が形成されている。この凸部63の頂部には、その一部が更にカウンタギヤ32側に突出する凸部63bが複数個(この例においては3個)形成されている。また、第1のバランスシャフト30には、第1の被動ギヤ31に対しカウンタギヤ32と反対側に位置してリング34が係止されている。このリング34により第1の被動ギヤ31の軸方向の移動が規制されている。
【0147】
一方、カウンタギヤ32において第1の被動ギヤ31と対向する側面には、第1のバランスシャフト30の外周を囲む環状の凹部61が形成されている。第1の被動ギヤ31を第1のバランスシャフト30に係合させた状態では、上記凸部63の外周面とこの凹部61の内周面61a,61cとにより環状の空間が形成される。この空間内には、減衰部材としての環状をなすフリクションダンパ64が収容されている。このフリクションダンパ64も、第1の実施形態におけるフリクションダンパ54と同様、金属材料からなる摺動部とゴム材料等の弾性材料からなる弾性部(いずれも図示略)とを備えて構成されており、摺動部は凹部61の内周面61cに、弾性部は上記凸部63の外周側面にそれぞれ当接されている。
【0148】
また、図15に示すように、上記凹部61の内周面61a上には、第1のバランスシャフト30の径方向に向かって窪む断面半円形の係止溝62が所定間隔をおいて複数個(この例においては4個)設けられている。そしてこの凹部61と上記凹部63aとによって形成される空間内には、金属製のコイルバネ65が複数個(この例においては3個)設けられている。また、この空間内には、コイルバネ65の第1のバランスシャフト30に対する相対回動及びその軸方向の移動をそれぞれ規制する規制部材66が複数個(この例においては3個)設けられている。
【0149】
この規制部材66は、係止溝62と係合する係止部66aを有し、この係止部66aが係止溝62に係合されることで、カウンタギヤ32に対して相対回動不能に固定されている。そして上記凹部61内において、このような規制部材66をコイルバネ65と交互に配置するとともに、コイルバネ65の両端部をこれと隣り合う両規制部材66の端部の一部に当接するように設けることで、コイルバネ65の相対回動が不能となる。
【0150】
また、上記凸部63bは、隣り合うコイルバネ65の間に位置するように配置されるとともに、同凸部63bの隣り合うコイルバネ65の対向する両端部に対してそれぞれ所定角度θ1,θ2だけ離間して位置するように、第1のバランスシャフト30の軸心周りに設けられている。ここで、上記所定角度θ1,θ2は、第1の被動ギヤ31とカウンタギヤ32とが相対回動することにより変化するが、それらの和(θ1+θ2)は一定の値θmaxをとる(θmax=θ1+θ2)。
【0151】
従って、本実施形態においても、上記各凸部63bが隣り合うコイルバネ65の端部に当接しない状態を維持したまま最大で上記各所定角度θ1,θ2の和(=θ1+θ2)と等しい所定の回動位相範囲(=θmax)で、第1の被動ギヤ31とカウンタギヤ32とは相対回動可能である。換言すれば、第1の被動ギヤ31とカウンタギヤ32とが上記所定の回動位相範囲θmaxを超えて相対回動すると上記各凸部63bとコイルバネ65の端部とが当接するようになる。尚、本実施形態では、この所定の回動位相範囲θmaxを「10°」に設定するようにしている。
【0152】
以上説明した本実施形態の構成によっても、先の第1の実施形態と略同様の作用効果を奏することができるようになる。
尚、上記各実施形態は、例えば以下のようにその構成を適宜変更することもできる。
【0153】
・フリクションダンパ54,64の配設態様は上記各実施形態において示す態様に限定されず、第1のバランスシャフト30と第1の被動ギヤ31とが相対回動する際に適切な大きさの摩擦力を発生させることができるものであれば、適宜変更することができる。
【0154】
例えば、第6の実施形態では、第1の被動ギヤ31の内周部31aに形成された凸部63の外周面とカウンタギヤ32に形成された凹部61の内周面との間にフリクションダンパ64を介在させるようにしたが、例えば図17に示すように、第1の被動ギヤ31の内周部31aにおいてカウンタギヤ32と対向する側面に、コイルバネ65を収容するとともに、上記凸部63bと同等の機能を奏する凸部67bを有した環状の支持部材67を固定するとともに、この支持部材67とカウンタギヤ32との間にフリクションダンパ64を配設するようにしてもよい。尚、同図17に示す構成において、第6の実施形態にて説明した構成と同等の機能を有するものについては同一の符号を付している。
【0155】
また、例えば上記第1〜5の実施形態においては、図18に示すように、第1の被動ギヤ31の内周部31aにおいてカウンタギヤ32と反対側に位置する側面に環状をなす支持部材58を固定するとともに、第1のバランスシャフト30には、その支持部材58に対向する位置に同じく環状をなす別の支持部材59を固定する。そして、これら各支持部材58,59の間に第1の実施形態において説明したフリクションダンパ54と同様の構成を有するフリクションダンパ74を配設するようにしてもよい。
【0156】
・更に、各実施形態や上記図18に示す変更例におけるフリクションダンパ54,64,74は、先に示したような摺動部と弾性部とを備える構成のものの他、例えば金属製のウェーブワッシャ、皿バネ、或いはウェーブスプリング等により構成されるものであってもよい。
【0157】
・上記第6の実施形態では、弾性部材としてコイルバネ65を用いるようにしたが、これを例えば、円弧状に形成されたアークスプリング、渦巻きバネ等を用いるようにしてもよい。また、これら各バネの形成材料は、金属材料に限られず、例えば、樹脂材料やセラミックス材料を用いることができる。
【0158】
・上記各実施形態では、弾性部材としてストッパゴム55或いはコイルバネ65をそれぞれ4個乃至3個設ける構成としたが、この数は任意に設定することができる。
【0159】
・上記各実施形態では、第1の被動ギヤ31及び第2の被動ギヤ41を樹脂製ギヤとし、クランクギヤ21及びカウンタギヤ32を金属製ギヤとする構成としたが、噛合される各ギヤの少なくとも一方を樹脂製ギヤとする構成であればよい。例えば、クランクギヤ21とカウンタギヤ32とを樹脂製ギヤとしてもよいし、クランクギヤ21と第2の被動ギヤ41とを樹脂製ギヤとしてもよい。
【0160】
・ヘリカルギヤとして構成される樹脂製ギヤと金属製ギヤとを噛合させるようにしたギヤ機構にあっては、図19(a)に模式的に示すように、樹脂製ギヤGrの歯すじ方向Drが金属製ギヤGmの歯すじ方向Dmと平行となるように形成されていても、温度上昇に伴って、その歯すじ方向Drが僅かに変化することがある(同図(a)の一点鎖線参照)。
【0161】
このように樹脂製ギヤGrの歯すじ方向Drが変化すると、樹脂製ギヤGrと金属製ギヤGmとの噛合面において接触面圧の不均衡が生じる結果、樹脂製ギヤGr側の噛合面において接触面圧の高い部分には磨耗が発生するおそれがある。
【0162】
また、こうした樹脂製ギヤGrの温度上昇は、主に内燃機関の熱が伝達されることで発生する。このため、こうした樹脂製ギヤGrにおける歯すじ方向Drの変化は、機関始動後、機関温度が所定温度にまで上昇して平衡するのに伴って収束し、その後はほぼその収束値のまま維持されるようになる。
【0163】
そこで、同図(b)に示すように、金属製ギヤGmの歯すじ方向Dmを、こうした温度上昇後における樹脂製ギヤGrの歯すじ方向Drに合わせて予め設定しておくことが望ましい。即ち、上記各実施形態においては、クランクギヤ21の歯すじ方向を第1の被動ギヤ31の温度上昇後における歯すじ方向と平行に、またカウンタギヤ32の歯すじ方向を第2の被動ギヤ41の温度上昇後における歯すじ方向と平行にそれぞれ形成するようにする。このように構成することで、樹脂製ギヤにおける偏磨耗の発生や、ギヤの偏当たりに起因する噛合音の増大を抑制することができるようになる。
【0164】
・上記各実施形態では、図5に示すように、ギヤ機構として、クランクシャフト20の回転力がクランクギヤ21から第1の被動ギヤ31に伝達され、更に同第1の被動ギヤ31から減衰機構50(60)を介してカウンタギヤ32に伝達されるとともに、同ギヤ32から各バランスシャフト30,40に伝達されるものを示したが、同ギヤ機構は、以下に記載するような構成とすることもできる。
【0165】
即ち、図20に模式的に示すように、クランクギヤ21をクランクシャフト20に対して相対回動可能に設けるとともに、同クランクシャフト20に一体回転可能なプレート25を設ける。そして、クランクギヤ21を減衰機構50(60)を介して上記プレート25に駆動連結させる。また、第1のバランスシャフト30には、第1の被動ギヤ31及びカウンタギヤ32を一体回転可能に設け、同第1の被動ギヤ31をクランクギヤ21に噛合させる。
【0166】
こうした構成によれば、クランクシャフト20の回転力が、減衰機構50(60)、プレート25、クランクギヤ21、第1の被動ギヤ31を介して第1のバランスシャフト30に伝達されるとともに、カウンタギヤ32及び第2の被動ギヤ41を介して第2のバランスシャフト40にも伝達される。
【0167】
また、クランクシャフト20の回転力をクランクギヤ21から各バランスシャフト30,40に対して各別の伝達経路を介して伝達させることもできる。
即ち、図21に模式的に示すように、第1の被動ギヤ31を第1のバランスシャフト30に相対回動可能に設けるとともに、同第1のバランスシャフト30にプレート36を一体回転可能に設ける。そして、第1の被動ギヤ31を減衰機構50(60)を介して上記プレート36に駆動連結させる。また、第2の被動ギヤ41を第2のバランスシャフト40に相対回動可能に設けるとともに、同第2のバランスシャフト40にプレート44を一体回転可能に設ける。そして、第2の被動ギヤ41を別の減衰機構50(60)を介して上記プレート44に駆動連結させる。更に、第1のバランスシャフト30とは別の回転軸37に設けられたカウンタギヤ32をクランクギヤ21と第2の被動ギヤ41とに噛合させる。
【0168】
こうした構成によれば、クランクシャフト20の回転力がクランクギヤ21から第1の被動ギヤ31、第1のバランスシャフト30に設けられた減衰機構50(60)、及びプレート36を介して同シャフト30に伝達されるとともに、クランクギヤ21からカウンタギヤ32、第2の被動ギヤ41、第2のバランスシャフト40に設けられた減衰機構50(60)、及びプレート44を介して同シャフト40にも伝達される。
【0169】
これら各図に示すように、各実施形態におけるギヤ機構の構成を変更するようにしても、それら各実施形態において記載した作用効果を奏することはできる。
・上記各実施形態では、クランクギヤ21、カウンタギヤ32、及び被動ギヤ31,32をいずれもヘリカルギヤとしたがこれらを平歯車として構成するようにしてもよい。
【0170】
・上記第3の実施形態では、樹脂製ギヤ(第1の被動ギヤ31,第2の被動ギヤ41)の歯幅を同ギヤに噛合される金属製ギヤ(クランクギヤ21,カウンタギヤ32)の歯幅の1.1倍に設定するようにしたが、この樹脂製ギヤの歯幅は金属製ギヤの歯幅よりも大きい範囲で任意に設定することができる。但し、樹脂製ギヤの大型化を回避する上では、同樹脂製ギヤの歯幅BrをBm<Br<1.5×Bmの範囲(Bm:金属製ギヤの歯幅)で設定することが望ましい。また、複数組の樹脂製ギヤ及び金属製ギヤを噛合させる場合には、これら樹脂製ギヤと金属製ギヤとにおける歯幅の比率は全て一致させておく必要はない。例えば、上記第1の被動ギヤ31とクランクギヤ21とにおける歯幅の比率と、第2の被動ギヤ41とカウンタギヤ32とにおける歯幅の比率とが異なるように設定されていてもよい。
【0171】
・上記第4の実施形態では、第2の被動ギヤ41の歯部強度を第1の被動ギヤ31の歯部強度と等しく設定するようにしたが、同ギヤ41の歯部強度T3は、各凸部56の破損強度T2との間においてT2<T3なる関係が成立する範囲であれば、任意に設定することができる。
【0172】
・上記各実施形態では、アンバランスウェイト33,43を各バランスシャフト30,40に第2のラジアル軸受16を挟む位置に2個設けるようにしたが、このアンバランスウェイト33,43を設ける位置やその個数は上記の例に限らず、任意に変更することができる。
【0173】
・上記各実施形態において示したギヤ機構にかかる各構成を適宜組み合わせることもできる。例えば、第2の実施形態にかかるギヤ機構において更に、第3の実施形態において示した樹脂製ギヤの歯幅に関する構成、第4の実施形態において示した過大な回転力の入力時に樹脂製ギヤの破損を回避するための構成、並びに第5の実施形態において示した固有振動数を分散させるための構成をそれぞれ備えるようにしてもよい。また、第6の実施形態にかかるギヤ機構において、第2〜第5の実施形態において示す各構成を備えるようにしてもよい。
【0174】
・上記各実施形態では、その各ギヤ機構を内燃機関のバランサ装置に適用するようにしたが、バランサ装置に限らず、内燃機関のその他の動力伝達系に適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるギヤ機構を内燃機関のバランサ装置に適用した第1の実施形態についてその概略構成を示す側面図。
【図2】同実施形態のギヤ機構におけるギヤの噛合関係を示す斜視図。
【図3】同実施形態のギヤ機構の減衰機構の構造を示す断面図。
【図4】図3の4―4線に沿った断面図。
【図5】同実施形態のギヤ機構の各ギヤの噛合状態を模式的に示した模式図。
【図6】同実施形態のギヤ機構をモデル化したモデル図。
【図7】内燃機関の回転速度に対するバランスシャフトの角加速度変動特性を示すグラフ。
【図8】内燃機関の回転速度に対するバランスシャフトの角速度変動特性を示すグラフ。
【図9】内燃機関の回転速度に対するバランスシャフトの角速度変動特性を示すグラフ。
【図10】本発明にかかるギヤ機構の第2の実施形態についてその減衰機構の構造を示す断面図。
【図11】樹脂製ギヤと金属製ギヤとの噛合状態を説明するための模式図。
【図12】樹脂製ギヤの歯幅と金属製ギヤの歯幅の比と樹脂製ギヤの歯部強度の関係を示すグラフ。
【図13】樹脂製ギヤの歯部強度及び同ギヤに設けられる各凸部の破損強度を測定する際の手順を示す説明図。
【図14】本発明にかかるギヤ機構の第5の実施形態についてその減衰機構の構造を示す断面図。
【図15】本発明にかかるギヤ機構の第6の実施形態についてその減衰機構の構造を示す断面図。
【図16】図15の16―16線に沿った断面図。
【図17】第6の実施形態にかかるギヤ機構の変更例についてその減衰機構の構造を示す断面図。
【図18】第1〜5の実施形態にかかるギヤ機構の変更例についてその減衰機構の構造を示す断面図。
【図19】樹脂製ギヤの歯と金属製ギヤの歯の係合状態を説明するための模式図。
【図20】本発明にかかるギヤ機構のその他の実施形態について各ギヤの噛合状態を模式的に示した模式図。
【図21】本発明にかかるギヤ機構のその他の実施形態について各ギヤの噛合状態を模式的に示した模式図。
【図22】従来のギヤ機構についてその減衰機構の構造を示す断面図。
【図23】ギヤの相対回動量とそれに伴って減衰機構に発生する弾性力との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
11…シリンダブロック、12…クランクケース、13…ハウジング、15…第1のラジアル軸受、16…第2のラジアル軸受、20…クランクシャフト、21…クランクギヤ、22…バランスウェイト、25…プレート、30…第1のバランスシャフト、31…第1の被動ギヤ、31c…歯、32…カウンタギヤ、33…アンバランスウェイト、40…第2のバランスシャフト、41…第2の被動ギヤ、50…減衰機構、54…フリクションダンパ、55…ストッパゴム、55a…加速側部分、55b…減速側部分、60…減衰機構、64…フリクションダンパ、65…コイルバネ、551〜554…ストッパゴム、551a〜554a…加速側部分、551b〜554b…減速側部分、561〜564…凸部。
Claims (12)
- 第1の回転軸に駆動連結された第1のギヤと、第2の回転軸に相対回動を許容する減衰機構を介して同軸上に設けられた第2のギヤとを噛合させ、これら各ギヤ並びに前記減衰機構を介して前記各回転軸間で回転力を伝達させるようにした動力伝達系のギヤ機構において、
前記減衰機構は、前記第2のギヤと前記第2の回転軸とが所定の回動位相範囲で相対回動するときにその相対回動を抑制する減衰力を発生する減衰部材と、前記第2のギヤと前記第2の回転軸とが前記所定の回動位相範囲を超えて相対回動するときにのみ弾性変形しその弾性力により前記相対回動を反付勢する弾性部材とを備えて構成される
ことを特徴とする動力伝達系のギヤ機構。 - 請求項1に記載した動力伝達系のギヤ機構において、
前記減衰部材は前記第2のギヤと前記第2の回転軸との間にあってこれらの相対回動により生じる摩擦力を前記減衰力として発生する摩擦減衰部材である
ことを特徴とする動力伝達系のギヤ機構。 - 請求項1又は2に記載した動力伝達系のギヤ機構において、
前記弾性部材は、前記各回転軸間で伝達される回転力が増大するのに伴なって前記第2のギヤと前記第2の回転軸とが前記所定の回動位相範囲を超えて相対回動するときに弾性変形する加速側弾性部と、前記回転力が減少するのに伴なって前記第2のギヤと前記第2の回転軸とが前記所定の回動位相範囲を超えて相対回動するときに弾性変形する減速側弾性部とを含み、前記加速側弾性部の弾性変形限度が前記減速側弾性部の弾性変形限度よりも大きく設定されてなる
ことを特徴とする動力伝達系のギヤ機構。 - 請求項3に記載した動力伝達系のギヤ機構において、
前記加速側弾性部及び減速側弾性部は、いずれもゴム材料により形成され、前記加速側弾性部においてその弾性変形する部分の体積が前記減速側弾性部においてその弾性変形する部分の体積よりも大きく設定されてなる
ことを特徴とする動力伝達系のギヤ機構。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載した動力伝達系のギヤ機構において、
前記第1のギヤ及び前記第2のギヤの少なくとも一方はその歯が樹脂材料によって形成される樹脂製ギヤである
ことを特徴とする動力伝達系のギヤ機構。 - 請求項5に記載した動力伝達系のギヤ機構において、
前記第1のギヤ及び前記第2のギヤの一方はその歯が樹脂材料によって形成される樹脂製ギヤであるとともに他方は金属製ギヤであり、前記樹脂製ギヤはその歯幅が前記金属製ギヤの歯幅よりも大きく設定されてなる
ことを特徴とする動力伝達系のギヤ機構。 - 請求項5又は6に記載した動力伝達系のギヤ機構において、
前記第2のギヤ及び前記第2の回転軸のうち一方には前記弾性部材が配設され、他方には前記所定の回動位相範囲を超えて相対回動するときに前記弾性部材に当接して弾性変形を生じせしめる当接部材が設けられ、
前記当接部材は前記弾性部材の弾性力が作用することにより破損する際の強度が前記第1のギヤ及び前記第2のギヤのうち前記樹脂製ギヤとして構成されるギヤの歯部強度よりも小さく設定されるものである
ことを特徴とする動力伝達系のギヤ機構。 - 請求項1乃至6のいずれかに記載した動力伝達系のギヤ機構において、
前記減衰機構は前記弾性部材を複数備えて構成され、
前記第2のギヤ及び前記第2の回転軸のうち一方には前記各弾性部材が配設され、他方には前記各弾性部材に対応する前記所定の回動位相範囲を超えて相対回動するときに前記弾性部材に当接して弾性変形を生じせしめる当接部材が複数設けられ、
前記各弾性部材は前記当接部材が当接する際の前記第2のギヤと前記第2の回転軸との相対回動量を異ならせるようにして前記第2のギヤ及び前記第2の回転軸のうちの一方に配設されるものである
ことを特徴とする動力伝達系のギヤ機構。 - 請求項1乃至8のいずれかに記載した動力伝達系のギヤ機構において、
前記動力伝達系は、内燃機関のバランサ装置にあって同機関のクランクシャフトの回転力を第1及び第2のバランスシャフトに伝達させるものであり、前記第1の回転軸としての前記クランクシャフトに前記第1のギヤとしてのクランクギヤが設けられるとともに、前記第2の回転軸としての前記第1のバランスシャフトに前記減衰機構を介して前記第2のギヤとしての被動ギヤが相対回動可能に設けられ、更に前記クランクギヤに前記被動ギヤが噛合され、前記第1のバランスシャフトには前記第2のバランスシャフトが駆動連結されてなる
ことを特徴とする動力伝達系のギヤ機構。 - 請求項1乃至8のいずれかに記載した動力伝達系のギヤ機構において、
前記動力伝達系は、内燃機関のバランサ装置にあって同機関のクランクシャフトの回転力を第1及び第2のバランスシャフトに伝達させるものであり、前記第2の回転軸としての前記クランクシャフトに前記減衰機構を介して前記第2のギヤとしてのクランクギヤが相対回動可能に設けられるとともに、前記第1の回転軸としての前記第1のバランスシャフトに前記第1のギヤとしての被動ギヤが設けられ、更に前記クランクギヤに前記被動ギヤが噛合され、前記第1のバランスシャフトには前記第2のバランスシャフトが駆動連結されてなる
ことを特徴とする動力伝達系のギヤ機構。 - 請求項1乃至8のいずれかに記載した動力伝達系のギヤ機構において、
前記動力伝達系は、内燃機関のバランサ装置にあって同機関のクランクシャフトの回転力を第1のバランスシャフトに伝達させるとともに、同クランクシャフトの回転力を中間ギヤを介して第2のバランスシャフトに伝達させるものであり、前記第1の回転軸としての前記クランクシャフトに前記第1のギヤとしてのクランクギヤが設けられ、そのクランクギヤには同じく前記第1のギヤとして前記中間ギヤが噛合されるとともに、前記第2の回転軸としての前記第1及び第2のバランスシャフトには各別の前記減衰機構を介して前記第2のギヤとしての被動ギヤがそれぞれ相対回動可能に設けられ、更に前記クランクギヤには前記第1のバランスシャフトに設けられた前記被動ギヤが噛合されるとともに、前記中間ギヤには前記第2のバランスシャフトに設けられた前記被動ギヤが噛合されてなる
ことを特徴とする動力伝達系のギヤ機構。 - 請求項9乃至11のいずれかに記載した動力伝達系のギヤ機構において、
前記減衰機構は前記弾性部材を複数備えて構成され、
前記第2のギヤ及び前記第2の回転軸のうち一方には前記各弾性部材が前記第2の回転軸の回転方向において等角度間隔を隔てて配設され、他方には隣り合う各弾性部材の間に位置し、前記所定の回動位相範囲を超えて相対回動するときに前記弾性部材に当接して弾性変形を生じせしめる当接部材が設けられ、
前記第2のギヤはその歯数が前記弾性部材の数の整数倍に設定されてなる
ことを特徴とする動力伝達系のギヤ機構。
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