JP2005201365A - 動力伝達系のギヤ機構及びそれを用いた内燃機関用バランサ装置 - Google Patents

動力伝達系のギヤ機構及びそれを用いた内燃機関用バランサ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低回転高負荷時に減衰機構で共振が発生しても異音の発生やギヤの破損を抑制することのできる動力伝達系のギヤ機構を提供する。
【解決手段】内燃機関用バランサ装置16は、内燃機関のクランクシャフト(駆動軸)11の回転力を、クランクギヤ15及び第1被動ギヤ25を介して第1バランスシャフト17に伝達し、クランクギヤ15、第1被動ギヤ25及び第2被動ギヤ28を介して第2バランスシャフト18に伝達する。バランサ装置16において第2被動ギヤ28を第2バランスシャフト18に一体回転可能に連結する一方で、第1被動ギヤ25を減衰機構27を介して第1バランスシャフト17に連結する。減衰機構27には、第1被動ギヤ25及び第1バランスシャフト17が所定の回動位相範囲内で相対回動するのを許容し、かつ回動位相範囲を越えて相対回動するときには弾性変形するストッパゴム(弾性部材)を設ける。
【選択図】 図5

Description

本発明は、複数のギヤにより駆動軸の回転力を2つの被動軸に伝達するようにした動力伝達系のギヤ機構、及びそのギヤ機構を用いることにより、機関ピストンの往復動に伴って発生する慣性力を打消して内燃機関の振動を低減するようにした内燃機関用バランサ装置に関するものである。
内燃機関用バランサ装置としては、例えば図9に示すように、アンバランスウェイト51が設けられた第1バランスシャフト52と、アンバランスウェイト53が設けられた第2バランスシャフト54とをそれぞれ内燃機関のクランクシャフト55に平行に配置したものがある。クランクシャフト55にはクランクギヤ56が固定され、第1バランスシャフト52には第1被動ギヤ57及びカウンタギヤ58がそれぞれ設けられており、この第1被動ギヤ57がクランクギヤ56に噛合されている。また、第2バランスシャフト54には第2被動ギヤ59が設けられており、この第2被動ギヤ59がカウンタギヤ58に噛合されている。
このバランサ装置61では、クランクシャフト55の回転力がクランクギヤ56、第1被動ギヤ57及びカウンタギヤ58を通じて第1バランスシャフト52に伝達されるとともに、カウンタギヤ58の回転が第2被動ギヤ59を通じて第2バランスシャフト54に伝達される。両バランスシャフト52,54の回転により、機関ピストンの往復動に伴って発生する慣性力が打消され、内燃機関の低振動化が図られる。
ところで、内燃機関における爆発燃焼は間欠的に行われるため、クランクシャフト55から両バランスシャフト52,54に伝達される回転力の大きさは一定にはならず常に変動している。この回転力変動には複数の周波数成分が含まれている。
バランサ装置61では、こうした周波数の異なる振動成分を含んだ回転力が入力されることにより、上記ギヤ56,57の噛合部分で振動が発生し、その振動により騒音の発生やギヤ56,57の耐久性の低下を招くおそれがある。
このため、クランクシャフト55からバランスシャフト52,54に至るまでの回転力の伝達経路中に減衰機構62を介在させ、同減衰機構62によって回転力の振動成分を減衰させることが従来より提案されている(例えば特許文献1参照)。
図10は、減衰機構62が組込まれたバランサ装置61についてその要部の断面構造を示している。
バランサ装置61は、カウンタギヤ58(図9参照)に連結された回転軸63と、この回転軸63の外周を覆うようにして設けられた第1被動ギヤ57とを備えて構成されている。回転軸63の外周には複数の駆動突片65が設けられ、また第1被動ギヤ57の内周にも同様に、複数の駆動突片66が上記回転軸63の各駆動突片65間に位置するようにして設けられている。
これらの駆動突片65,66間にはダンパ室67がそれぞれ形成されており、各ダンパ室67内に弾性部材68が配設されている。また、各弾性部材68と駆動突片65,66との間には隙間69がそれぞれ形成されている。そして、各駆動突片65,66と弾性部材68とによって減衰機構62が構成されている。
こうした減衰機構62において、回転軸63が第1被動ギヤ57に対して相対回動すると、上記隙間69が減少する。回転軸63と第1被動ギヤ57との間における相対回動位相θrが所定の回動位相範囲θmaxにあると、弾性部材68が弾性変形しないことから弾性力が「0」になる。このため、弾性部材68のばね定数自体をそれほど大きく低下させることなく、上記バランサ装置61により構成される振動系の固有振動数を低下させることができる。
一方、回転軸63と第1被動ギヤ57とが上記回動位相範囲θmaxを越えて相対回動すると、各駆動突片65,66が弾性部材68に当接する。そして、回転軸63と第1被動ギヤ57との相対回動量がさらに大きくなると弾性部材68が弾性変形し、相対回動量の大きさに応じた弾性力が発生する。この弾性力により回転軸63と第1被動ギヤ57との相対回動が反付勢され、回転力変動の高周波成分が減衰される。
特開2001−193794号公報
ところで、クランクシャフト55の回転力に対する回転成分のうち、低周波成分、例えばクランクシャフト55が1回転する間に2回振動する成分である回転2次成分については、その角変位が機関回転速度が低くなるに従い大きくなる傾向にある。すなわち、振動の振幅が大きくなる。このため、機関低回転時、特に低回転高負荷時には、回転軸63と第1被動ギヤ57とが上記回動位相範囲θmaxを越えて相対回動し、駆動突片65,66が回動方向についての片側の弾性部材68に当り、弾性力によって跳ね返されて反対側の弾性部材68に当る。このようにして、駆動突片65,66が回動方向についての両側の弾性部材68,68に当ることを繰り返す現象が起こる。すなわち、バランスシャフト52,54をマスとし、減衰機構62をばねとする共振が発生する。そして、この共振に伴いギヤ56,57の噛合部分に大きな力が加わる。この際、図9に示すように、動力伝達経路における減衰機構62の下流側に第1及び第2の2本のバランスシャフト52,54が配置されていることから、両バランスシャフト52,54のマスに対応した非常に大きな力がギヤ56,57の噛合部分に作用する。その結果、異音が発生したりギヤ56,57が破損したりするおそれがある。こうした現象は、ガソリン機関よりも燃焼圧力が高く、低回転高負荷時での回転力変動の大きなディーゼル機関で特に起こりやすい。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、回転力変動の高周波成分を減衰させる減衰機構を用いた動力伝達系のギヤ機構において、低回転高負荷時に減衰機構で共振が発生しても異音の発生やギヤの破損を抑制することにある。また、本発明の別の目的は、上記ギヤ機構を用いた内燃機関用バランサ装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、駆動軸上に一体回転可能に連結された駆動ギヤと、前記駆動ギヤに噛合された状態で第1被動軸上に設けられた第1被動ギヤと、前記第1被動ギヤに噛合された状態で第2被動軸上に設けられた第2被動ギヤとを備え、前記駆動軸の回転力を、前記駆動ギヤ及び前記第1被動ギヤを介して前記第1被動軸に伝達するとともに、前記駆動ギヤ、前記第1被動ギヤ及び前記第2被動ギヤを介して前記第2被動軸に伝達するようにした動力伝達系のギヤ機構であって、前記第1被動軸と前記第1被動ギヤとの組合わせ、及び前記第2被動軸と前記第2被動ギヤとの組合わせの一方については、その組合わせにおける被動ギヤを被動軸に一体回転可能に連結し、他方については、その組合わせにおける被動ギヤを減衰機構を介して被動軸に連結し、さらに同減衰機構には、前記被動ギヤ及び被動軸が所定の回動位相範囲内で相対回動するのを許容し、かつ同回動位相範囲を越えて相対回動するときには弾性変形する弾性部材を回動方向毎に設けるものとする。
上記の構成によれば、駆動軸が回転すると、その回転力は駆動ギヤ及び第1被動ギヤを介して第1被動軸に伝達される。また、上記駆動軸の回転力は、駆動ギヤ、第1被動ギヤ及び第2被動ギヤを介して第2被動軸に伝達される。被動ギヤと、減衰機構を介して同被動ギヤに連結された被動軸との組合わせにあっては、前記回転伝達により被動ギヤが被動軸に対し相対回動する。
被動軸が被動ギヤに対し回動位相範囲を越えて相対回動すると、その回動方向に対応する弾性部材が弾性変形し、相対回動量の大きさに応じた弾性力を発生する。この弾性力により、被動ギヤと被動軸との相対回動が反付勢され、振動成分が減衰される。
ここで、駆動ギヤの回転力変動の振動成分のうち高周波成分については角変位量が少ない。このため、回動方向毎に設けられた弾性部材のうち、弾性変形した片側の弾性部材の弾性力によって跳ね返されることはあっても、反対側の弾性部材には当らない。両弾性部材に交互に当って、いわゆる共振を起こすことはない。このようにして振動成分のうちの高周波成分が減衰される。
これに対し、例えば高い負荷が加えられた状態で駆動軸が低速回転しているときの、駆動ギヤの回転力変動の振動成分のうち低周波成分についは角変位量が多い。このため、被動ギヤの回動方向毎の弾性部材に交互に当って振動し、被動軸をマスとし減衰機構をばねとする共振が発生する。そして、この共振に伴い発生する力が駆動ギヤ及び第1被動ギヤの噛合部分に作用する。減衰機構の設けられていない被動軸及び被動ギヤ側ではこうした共振は起こらない。
ここで、請求項1に記載の発明では、動力伝達経路における減衰機構の下流側には、2本ある被動軸のうち一方しか存在しない。このため、上記共振時において駆動ギヤ及び第1被動ギヤの噛合部分に作用する力は、動力伝達経路における減衰機構の下流側に被動軸が2本とも存在する場合の略半分となる。すなわち、上記噛合部分には比較的小さな力しか作用しない。
なお、被動ギヤと、同被動ギヤに固定された被動軸との組合わせにあっては、上記のように被動ギヤに伝達された回転力は同被動ギヤを介して同被動軸にそのまま伝達され、両者が一体となって回転する。
このように請求項1に記載の発明によると、減衰機構により回転力変動の高周波成分を減衰させることができるだけでなく、低回転高負荷時に減衰機構で共振が発生しても異音の発生やギヤの破損を抑制することができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記減衰機構は、前記組合わせにおける被動ギヤ及び被動軸の一方に設けられた弾性部材と、他方に設けられ、かつ前記回動位相範囲を越えて相対回動するときに一方の弾性部材に当接して弾性変形させる当接部材とを備えるものとする。
上記の構成によれば、被動ギヤ及び被動軸の相対回動に伴い当接部材が弾性部材に接近・離間する。駆動軸の回転力変動の振動成分のうち角変位量の少ない高周波成分については、被動ギヤ及び被動軸が回動位相範囲を越えて相対回動し、弾性部材が当接部材と当接して弾性変形することにより減衰される。
これに対し、角変位量の多い振動成分、例えば高い負荷が加えられた状態で駆動軸が低速回転しているときの回転2次成分等の低周波成分については、共振が発生するおそれがある。すなわち、被動ギヤ及び被動軸が所定の回動位相範囲を越えて相対回動すると、当接部材が、その回動方向毎の弾性部材に交互に当接して振幅する。被動軸をマスとし減衰機構をばねとする共振が発生して、同共振に伴い発生する力がギヤの噛合部分に作用する。
しかし、前述したように、減衰機構の下流側に一方の被動軸(マス)しか設けられていないことから、前記噛合部分に作用する力が略半分となる。従って、上記請求項1に記載の発明の効果が確実なものとなる。
請求項3に記載の発明では、第1バランスシャフト及び第2バランスシャフトを内燃機関のクランクシャフトと同期して回転させることにより機関ピストンの往復動に伴って発生する慣性力を打消すようにした内燃機関用バランサ装置であり、前記クランクシャフトを前記駆動軸とし、前記クランクシャフトに固定されたクランクギヤを前記駆動ギヤとし、前記第1バランスシャフトを前記第1被動軸とし、前記第2バランスシャフトを前記第2被動軸とし、請求項1又は2に記載の動力伝達系のギヤ機構を用いて前記クランクシャフトの回転力を前記第1バランスシャフト及び前記第2バランスシャフトにそれぞれ伝達するものとする。
上記の構成によれば、バランサ装置では、内燃機関のクランクシャフトが請求項1又は2に記載の発明における駆動軸として機能し、クランクギヤが駆動ギヤとして機能する。また、バランサ装置における第1バランスシャフトが第1被動軸として機能し、第2バランスシャフトが第2被動軸として機能する。そのため、クランクシャフトが回転すると、その回転力はクランクギヤ及び第1被動ギヤを介して第1バランスシャフトに伝達される。また、上記クランクシャフトの回転は、クランクギヤ、第1被動ギヤ及び第2被動ギヤを介して第2被動軸に伝達される。減衰機構を介して被動ギヤに連結されたバランスシャフトにあっては、前記回転力により同被動ギヤが同バランスシャフトに対し相対回動する。そして、両バランスシャフトがクランクシャフトと同期して回転することにより、機関ピストンの往復動に伴って発生する慣性力が打消される。
ここで、請求項3に記載の発明では、動力伝達経路における減衰機構の下流側に、2本あるバランスシャフトのうち一方しか存在しない。このため、上記共振時においてクランクギヤ及び被動ギヤの噛合部分に作用する力は、動力伝達経路における減衰機構の下流側にバランスシャフトが2本とも存在する場合の略半分となる。すなわち、上記噛合部分には比較的小さな力しか作用しない。従って、内燃機関の低回転高負荷時に減衰機構で共振が発生しても異音の発生やギヤの破損を抑制することができる。
以下、本発明に係るギヤ機構を内燃機関用バランサ装置に適用した一実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、内燃機関の出力軸であるクランクシャフト11は、シリンダブロック12及びクランクケース13(図1参照)に回転自在に支持されている。クランクシャフト11には、気筒毎にバランスウェイト14が一対ずつ設けられている。クランクシャフト11において中ほどのバランスウェイト14Aに隣接する位置には、ヘリカルギヤからなるクランクギヤ15が一体回転可能に設けられている。
内燃機関には、クランクシャフト11を駆動軸とし、クランクギヤ15を駆動ギヤとし、このクランクギヤ15を通じて伝達されるクランクシャフト11の回転力により作動するバランサ装置16が設けられている。バランサ装置16は、第1被動軸としての第1バランスシャフト17と、第2被動軸としての第2バランスシャフト18とを備えている。両各バランスシャフト17,18は、クランクシャフト11の下方において、それぞれ同クランクシャフト11と平行に配置されている。
各バランスシャフト17,18は、クランクケース13及びハウジング19により形成される第1ラジアル軸受21及び第2ラジアル軸受22によって支持されている。なお、図1では、第1バランスシャフト17を支持する各ラジアル軸受21,22のみを示し、図2ではこれら各ラジアル軸受21,22の図示を省略している。また、各バランスシャフト17,18において、第2ラジアル軸受22を両側から挟む箇所には、それぞれ一対のアンバランスウェイト23,24が設けられている。アンバランスウェイト23は第1バランスシャフト17に対応し、アンバランスウェイト24は第2バランスシャフト18に対応するものである。
第1バランスシャフト17には、ヘリカルギヤからなる第1被動ギヤ25が相対回動可能に設けられており、この第1被動ギヤ25がクランクギヤ15に噛合されている。第1バランスシャフト17上であって第1被動ギヤ25の側方近傍には環状の補助部材26が相対回動可能に設けられている。第1被動ギヤ25は減衰機構27を介して補助部材26に駆動連結されている。
一方、第2バランスシャフト18の第1ラジアル軸受21(図1では図示略)に隣接する箇所には、図2に示すように、ヘリカルギヤからなる第2被動ギヤ28が一体回転可能に連結されている。この第2被動ギヤ28は第1被動ギヤ25に噛合されているが、クランクギヤ15には噛合されていない。
第1及び第2の各バランスシャフト17,18の一方(図1の左方)の端部には、スラスト軸受31,32が上記第1ラジアル軸受21に隣接してそれぞれ形成されており、これらスラスト軸受31,32により各バランスシャフト17,18の軸方向における移動が規制されている。
図5は、上記各ギヤ15,25,28及び各シャフト11,17,18の関係を模式的に示したものである。バランサ装置16をこのような構成とすることで、クランクシャフト11から伝達される回転力は、クランクギヤ15、第1被動ギヤ25、減衰機構27及び補助部材26を介して第1バランスシャフト17に伝達され、同第1バランスシャフト17がクランクシャフト11とは逆方向へ回転する。また、クランクシャフト11の回転力は、クランクギヤ15、第1被動ギヤ25及び第2被動ギヤ28を介して第2バランスシャフト18にも伝達され、同第2バランスシャフト18がクランクシャフト11と同一方向へ回転する。なお、図5に示す「m1」、「m2」及び「m3」は、クランクシャフト11、第1バランスシャフト17及び第2バランスシャフト18の各軸心である。
次に、図3及び図4を参照して、上記減衰機構27の構成について説明する。なお、これら図3及び図4は、第1バランスシャフト17に設けられた減衰機構27の断面構造を示す図であり、図3は図4の3−3線に沿った断面構造を、図4は図3の4−4線に沿った断面構造をそれぞれ示している。
図3に示すように、補助部材26において第1バランスシャフト17の回りには、第1被動ギヤ25とは反対側の側面(図3の右側面)において開口する凹部33が形成されている。第1バランスシャフト17の外周面と凹部33の内周面との間には、一対のフリクションダンパ34がそれぞれ減衰部材として配設されている。
各フリクションダンパ34は、金属等の弾性変形しにくい材料からなる摺動部34Aと、ゴム等の弾性変形しやすい材料からなる弾性部34Bとを備えて構成されており、摺動部34Aが上記凹部33の内壁面に当接し、弾性部34Bが第1バランスシャフト17の外周面に当接している。補助部材26は、各弾性部34Bの弾性力により、第1バランスシャフト17の全周にわたってその径方向に常時付勢されている。従って、補助部材26が第1被動ギヤ25や第1バランスシャフト17に対して相対回動する際には、摺動部34Aと凹部33の内壁面との間に上記付勢力の大きさに応じた摩擦力が発生し、その摩擦力が上記相対回動を抑制する減衰力として作用する。
一方、第1被動ギヤ25において第1バランスシャフト17の回りには凹部35が設けられている。凹部35は第1被動ギヤ25の補助部材26と対向する側面(図3の右側面)において開口している。凹部35の内底面35Aには、略矩形の断面形状を有する係止突部36が複数(この例においては図4に示すように4つ)設けられている。これらの係止突部36は、第1バランスシャフト17の軸心m2周りにおいて等角度間隔を隔てた箇所に位置している。さらに、内底面35Aの各係止突部36を挟む箇所には、係止孔37が一対ずつ形成されている。
また、凹部35内には、弾性部材としてのストッパゴム38が複数(この例では同じく4個)設けられている。これらのストッパゴム38は第1バランスシャフト17の軸心m2周りにおいて等角度間隔を隔てた箇所に位置している。各ストッパゴム38には、その内周面において開口する係止凹部38Aが形成されており、この係止凹部38Aにおいて各ストッパゴム38が係止突部36に係合されている。また、各ストッパゴム38には補助部材26から遠ざかる方向(図3の左方)へ突出する係止片38Bが形成されており、この係止片38Bが前記第1被動ギヤ25の係止孔37内に係合されている。そして、係止凹部38Aの係止突部36との係合、係止片38Bの係止孔37との係合により、各ストッパゴム38の周方向への移動が規制されている。
なお、本実施形態では、ストッパゴム38は、係止突部36により係止された状態において、同係止突部36の両側に位置する各部分の周方向における長さがいずれも等しく設定されている。また、ストッパゴム38のばね定数は、クランクシャフト11からバランサ装置16に入力される回転力が最も大きくなった場合であっても、ストッパゴム38に損傷を招く過大な変形が生じないように設定されている。
補助部材26において第1被動ギヤ25と対向する側面には、複数(この例では4個)の突部39が当接部材として設けられている。各突部39は、隣り合うストッパゴム38の対向する各両端部に対してそれぞれ角度θ1,θ2だけ離間して位置するように、第1バランスシャフト17の軸心m2周りにおいて等角度間隔を隔てて設けられている。ここで、上記各角度θ1,θ2は、第1被動ギヤ25と補助部材26とが相対回動することにより変化するが、それらの和(θ1+θ2)は一定の値θmaxを採る(θmax=θ1+θ2)。
従って、第1被動ギヤ25及び補助部材26は、各突部39が隣り合うストッパゴム38の端部に当接しない状態を維持したまま最大で上記各所定角度θ1,θ2の和(=θ1+θ2)と等しい回動位相範囲θmaxで相対回動可能である。第1被動ギヤ25と補助部材26とが回動位相範囲θmaxを越えて相対回動すると突部39がストッパゴム38に当接する。なお、この回動位相範囲θmaxとしては、例えば「16°」に設定することができる。
次に、前記のように構成された本実施形態のバランサ装置16の作用について図6及び図7を参照して説明する。
図6は、機関全負荷時における機関回転速度に対するクランクギヤ15の角加速度の変化についての実験結果を示したグラフである。また、図7は機関全負荷時における機関回転速度に対するクランクギヤ15の角変位(上記図6の角加速度を2回積分した値)の変化についての実験結果を示したグラフである。図6及び図7中の「2次」は、クランクシャフト11の回転力に対する回転成分のうち、同クランクシャフト11が1回転する間に2回振動する成分である回転2次成分を示している。「4次」、「6次」、「8次」は同様に回転4次成分、回転6次成分、回転8次成分をそれぞれ示している。
内燃機関の作動に伴いクランクシャフト11がクランクギヤ15と一体で回転すると、その回転力はクランクギヤ15に噛合された第1被動ギヤ25に伝達される。ここで、第1被動ギヤ25が減衰機構27を介して補助部材26に連結されている。また、補助部材26はフリクションダンパ34を介して第1バランスシャフト17に連結されている。これらのことから、前記回転力により第1被動ギヤ25が補助部材26に対し相対回動し、それに伴って突部39がストッパゴム38に接近・離間する。そして、上記相対回動が回動位相範囲θmaxを越えるまでの間、すなわち突部39がストッパゴム38に当接するまでの間、フリクションダンパ34での摩擦力のみが減衰力として作用する。
補助部材26が第1被動ギヤ25に対し回動位相範囲θmaxを越えて相対回動すると、突部39がストッパゴム38に当接し、ストッパゴム38がその周方向に弾性変形する。その結果、フリクションダンパ34の減衰力に加え、このストッパゴム38の全体についての弾性力及び減衰力によって補助部材26と第1被動ギヤ25との相対回動が反付勢される。従って、第1被動ギヤ25に伝達された回転力は、フリクションダンパ34の減衰力と、ストッパゴム38の弾性力及び減衰力との合力として第1被動ギヤ25を介し第1バランスシャフト17に伝達される。
ここで、第1被動ギヤ25が補助部材26(第1バランスシャフト17)に対し相対回動した場合、クランクシャフト11の回転力変動の振動成分のうち角変位量の少ない高周波成分(6次成分、8次成分等)については、図7に示すように角変位量が非常に少ない。このため、突部39が、回動方向毎に設けられたストッパゴム38のうちの片側のストッパゴム38に当り、その弾性力によって跳ね返されることはあっても、角変位量が少ないことから反対側のストッパゴム38に当って共振を起こすことはない。このようにして、振動成分のうち高周波成分が減衰される。
これに対し、例えば高い負荷が加えられた状態でクランクシャフト11が低速回転しているときの回転2次成分等の低周波成分についは、図7に示すように角変位量が多い。このため、突部39が第1被動ギヤ25の回動方向毎のストッパゴム38に交互に当接して振幅し、第1バランスシャフト17をマスとし減衰機構27をばねとする共振が発生する。そして、この共振に伴い発生する力がクランクギヤ15及び第1被動ギヤ25の噛合部分に作用する。減衰機構27の設けられていない第2バランスシャフト18及び第2被動ギヤ28側ではこうした共振は起こらない。
この点、本実施形態では、動力伝達経路における減衰機構27の下流側には、2本あるバランスシャフト17,18のうち一方(第1バランスシャフト17)しか存在しない。このため、上記共振時においてクランクギヤ15及び第1被動ギヤ25の噛合部分に作用する力は、動力伝達経路における減衰機構27の下流側に両方のバランスシャフト17,18が存在する場合の略半分となり、上記噛合部分には比較的小さな力しか作用しない。
なお、第2バランスシャフト18では第2被動ギヤ28が固定されていることから、上記のように第1被動ギヤ25に伝達された回転力は第2被動ギヤ28を介して第2バランスシャフト18にそのまま伝達され、同第2バランスシャフト18が第2被動ギヤ28と一体となって回転する。
以上詳述したように、本実施形態のバランサ装置16によれば、次に示す効果が得られる。
(1)第2被動ギヤ28を第2バランスシャフト18に一体回転可能に連結するとともに、第1被動ギヤ25を減衰機構27及び補助部材26を介して第1バランスシャフト17に連結している。減衰機構27には、第1被動ギヤ25及び補助部材26が回動位相範囲θmax内で相対回動するのを許容し、かつ同回動位相範囲θmaxを越えて相対回動するときには弾性変形するストッパゴム38を回動方向毎に設けている。共振におけるマスを第1バランスシャフト17の1本にとどめている。このため、減衰機構27により回転力変動の高周波成分を減衰させることができるだけでなく、さらに低回転高負荷時に減衰機構27に共振が発生しても異音の発生やギヤ15,25の破損を抑制することができる。
(2)こうした共振に起因する異音発生やギヤ破損を抑制するために、各ストッパゴム38と突部39との間の隙間を大きくしたり、ストッパゴム38を多く用いる等の対策が考えられる。しかし、スペースの制約があるためこの対策の実現は難しい。一方、本実施形態では、こうした対策を採っておらず減衰機構27の位置を工夫することで、動力伝達経路の減衰機構27の下流側に一方のバランスシャフト(第1バランスシャフト17)のみ配置しているに過ぎない。このため、上記のようなスペースの制約があっても、上記異音発生やギヤ破損の抑制を実現することができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・図8に示すように、第1被動ギヤ25を第1バランスシャフト17に一体回転可能に連結するとともに、第2被動ギヤ28を減衰機構27及び補助部材26を介して第2バランスシャフト18に連結してもよい。このようにしても共振におけるマスを小さくすることができ、前記実施形態と同様に、機関低回転高負荷時に減衰機構27で共振が発生しても異音の発生やギヤの破損を抑制することができる。
要は、第1バランスシャフト17と第1被動ギヤ25との組合わせ、及び第2バランスシャフト18と第2被動ギヤ28との組合わせの一方については、その組合わせにおける被動ギヤが被動軸に一体回転可能に連結され、他方については、その組合わせにおける被動ギヤが減衰機構27を介して被動軸に連結されればよい。
・前記実施形態におけるフリクションダンパ34を省略してもよい。また、「第1バランスシャフト17と第1被動ギヤ25とが相対回動する際に適切な大きさの摩擦力を発生させること」を条件にフリクションダンパ34の配設態様を適宜変更してもよい。
・フリクションダンパ34としては、先に示したような摺動部34Aと弾性部34Bとを備える構成のもののほか、例えば金属製のウェーブワッシャ、皿ばね、あるいはウェーブばね等により構成されるものであってもよい。
・弾性部材(ストッパゴム38)として、前述したゴム部材以外の部材、例えばコイルばね等のばねを用いてもよい。この場合の各ばねの形成材料としては、金属材料に限られず、樹脂材料やセラミックス材料等を用いることができる。
・クランクギヤ15及び第1及び第2の両被動ギヤ25,28を、ヘリカルギヤに代えて平歯車により構成してもよい。
・前記実施形態におけるアンバランスウェイト23,24の位置や個数を適宜変更してもよい。
・本発明のギヤ機構は、前述したバランサ装置16に限らず、内燃機関のその他の動力伝達系に適用することが可能である。
本発明を内燃機関用バランサ装置に適用した一実施形態についてその概略構成を示す側面図。 同実施形態のギヤ機構におけるギヤの噛合関係を示す斜視図。 同実施形態のギヤ機構における減衰機構の構造を示す断面図。 図3の4−4線に沿った断面図。 同実施形態のギヤ機構における各ギヤの噛合状態を模式的に示す模式図。 機関回転速度とクランクギヤの角加速度との関係を示すグラフ。 機関回転速度とクランクギヤの角変位との関係を示すグラフ。 本発明のギヤ機構の別の実施形態について各ギヤの噛合状態を模式的に示す模式図。 従来のギヤ機構におけるギヤの噛合関係を模式的に示す模式図。 従来のギヤ機構についてその減衰機構の構造を示す断面図。
符号の説明
11…クランクシャフト(駆動軸)、15…クランクギヤ(駆動ギヤ)、16…バランサ装置、17…第1バランスシャフト(第1被動軸)、18…第2バランスシャフト(第2被動軸)、25…第1被動ギヤ、27…減衰機構、28…第2被動ギヤ、38…ストッパゴム(弾性部材)、39…突部(当接部材)、θmax…回動位相範囲。

Claims (3)

  1. 駆動軸上に一体回転可能に連結された駆動ギヤと、
    前記駆動ギヤに噛合された状態で第1被動軸上に設けられた第1被動ギヤと、
    前記第1被動ギヤに噛合された状態で第2被動軸上に設けられた第2被動ギヤと
    を備え、前記駆動軸の回転力を、前記駆動ギヤ及び前記第1被動ギヤを介して前記第1被動軸に伝達するとともに、前記駆動ギヤ、前記第1被動ギヤ及び前記第2被動ギヤを介して前記第2被動軸に伝達するようにした動力伝達系のギヤ機構であって、
    前記第1被動軸と前記第1被動ギヤとの組合わせ、及び前記第2被動軸と前記第2被動ギヤとの組合わせの一方については、その組合わせにおける被動ギヤを被動軸に一体回転可能に連結し、他方については、その組合わせにおける被動ギヤを減衰機構を介して被動軸に連結し、さらに同減衰機構には、前記被動ギヤ及び被動軸が所定の回動位相範囲内で相対回動するのを許容し、かつ同回動位相範囲を越えて相対回動するときには弾性変形する弾性部材を回動方向毎に設けることを特徴とする動力伝達系のギヤ機構。
  2. 前記減衰機構は、前記組合わせにおける被動ギヤ及び被動軸の一方に設けられた弾性部材と、他方に設けられ、かつ前記回動位相範囲を越えて相対回動するときに一方の弾性部材に当接して弾性変形させる当接部材とを備える請求項1に記載の動力伝達系のギヤ機構。
  3. 第1バランスシャフト及び第2バランスシャフトを内燃機関のクランクシャフトと同期して回転させることにより機関ピストンの往復動に伴って発生する慣性力を打消すようにした内燃機関用バランサ装置であり、
    前記クランクシャフトを前記駆動軸とし、前記クランクシャフトに固定されたクランクギヤを前記駆動ギヤとし、前記第1バランスシャフトを前記第1被動軸とし、前記第2バランスシャフトを前記第2被動軸とし、請求項1又は2に記載の動力伝達系のギヤ機構を用いて前記クランクシャフトの回転力を前記第1バランスシャフト及び前記第2バランスシャフトにそれぞれ伝達することを特徴とする内燃機関用バランサ装置。
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