JP4088409B2 - 動力伝達系のギア機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のバランサ装置等動力伝達系のギア機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、上記動力伝達系には多くのギア機構が採用されている。そして、これらギア機構に用いられるギアは、上述した内燃機関の出力伝達系や車両変速機の変速系等、大きな動力が伝達される系に採用される都合上、高い耐久性、耐衝撃性、そして耐摩耗性が要求されている。このため、通常、上記動力伝達系のギア機構には金属製のギアが用いられることが多かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上記ギア機構に金属製のギアを用いることとすれば、その耐久性や耐衝撃性、耐摩耗性も確かに確保されるようになる。
【0004】
ところが、このような金属ギアによるギア機構が前記内燃機関、特に車載内燃機関の出力伝達系に用いられる場合には、機関出力軸の回転変動や各ギア噛合部のバックラッシュに起因する歯打ち音、あるいは噛合するギアの各歯の歯面同士がこすれ合う噛合音等が発生する原因ともなっている。
【0005】
そこで近年は、このような歯打ち音あるいは噛合音を低減するために、樹脂製のギアを用いたギア機構も提案されている(例えば特開平8―174689号公報等参照)。
【0006】
ただし、上記内燃機関の出力伝達系にこのような樹脂ギアを用いたギア機構を採用した場合、歯打ち音や噛合音を低減することは可能となるものの、前記金属ギアほどの耐久性を確保することが困難となる。特に、内燃機関のバランサ装置等のように、ギアに高負荷のかかる動力伝達系では、こうした樹脂ギアの耐久性を確保することが極めて困難となる。またこうした傾向は、機関出力軸の出力が機関回転速度に応じた振動数をもって変動し、それに伴ってバランサ装置にいわゆる共振現象が発生するとき及び機関出力軸の捩り共振時の変動が入力するときなどにおいては一層顕著なものとなる。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、たとえ樹脂製のギアが用いられる場合であれ、その耐久性等を容易に確保することのできる動力伝達系のギア機構を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、第1の回転軸に一体回転可能に設けられた第1のギアと、第2の回転軸に相対回動可能に設けられた第2のギアと、前記第2の回転軸に一体回転可能に設けられた回転部材と、前記第2のギアと前記回転部材との間に介在する減衰機構とを有し、前記第1のギアと前記第2のギアとが噛合され、これら各ギアと前記減衰機構並びに前記回転部材を介して前記各回転軸間で回転力が伝達される動力伝達系のギア機構において、前記減衰機構は、ばね定数の異なる複数の種類の弾性体と、前記第2のギアと前記回転部材とが相対回動するときにその相対回動を抑制する減衰力を摩擦力によって発生するフリクションダンパとを備え、前記複数の弾性体は、前記第2のギアと前記回転部材との間に直列に配列され、それら第2のギア及び回転部材の相対回動に応じて弾性変形し、前記第2のギア及び前記回転部材を前記相対回動の方向と逆方向に反付勢し、前記複数の弾性体の一方のばね定数は他方のばね定数の1/100以下に設定され、前記第1のギア及び前記第2のギアの少なくとも一方はその歯が樹脂材料によって形成される樹脂製ギアであることを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、第2のギア及び回転部材との間で回転力が伝達される際に、回転部材が第2のギアに対して相対回動すると、複数の弾性体のうちばね定数が相対的に小さいものほど大きな変形量をもって弾性変形するようになる。そして、相対回動量が増大すると、複数の弾性体のうちばね定数が相対的に小さいものはやがて弾性限界に達するようになる。このように一部の弾性体が弾性限界に達した後、上記相対回動量が更に増大すると、その弾性限界に達した弾性体はもはやそれ以上弾性変形せず、最も弾性変形した状態を保ったまま、ばね定数が相対的に大きいその他の弾性体のみが弾性変形するようになる。従って、相対回動量と複数の弾性体の全体としてのばね定数との関係は、同相対回動量に応じて変化するようになり、非線形性を有したものとなる。そして、このように非線形性を有することにより、ギア機構の固有振動数が複数存在するようになるため、同機構における共振現象の発生が抑制されるようになる。その結果、ギア機構を構成する各ギアにかかる負荷を好適に軽減することができるようになり、それら各ギアの耐久性を向上させることができるようになる。
さらに、第1,第2の回転軸間で伝達される回転力の変動があったとしても、第1,第2のギアにかかる負荷を軽減して、その耐久性を向上させることができるようなる。
また、第2のギアと回転部材との間に相対回動が生じる際に、フリクションダンパによって減衰力が発生するため、その減衰力によってこれら第2のギアと回転部材との間の振動が減衰されるようになる。その結果、ギア機構を構成する各ギアにかかる負荷を的確に軽減することができるとともに、それら各ギアの耐久性を好適に向上させることができるようになる。
加えて、第1のギア及び第2のギアの噛合部における衝撃が吸収され、ギア噛合音を低減することができるようになる。また、この樹脂製ギアに噛合される第1のギア及び第2のギアのうちの他方を金属製ギアとした場合には、その歯面の加工精度がある程度低い場合であってもそれらギア噛合音の発生を低減することが可能となる。このため、金属製ギアの歯面に対するシェービング仕上げ、研磨仕上げ等の工程や、金属製ギアで一般的なシムの選択調整によるバックラッシュ量の管理を省略或いは簡略化することが可能になる。更に、これら樹脂製ギアと金属製ギアとが互いに噛合されることで、それらギア間の熱による凝着等を回避することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の動力伝達系のギア機構において、前記複数の弾性体は、前記第2のギアと前記回転部材との間に隙間のない状態で配設されることを要旨とする。
上記構成によれば、第2のギアと回転部材との間に隙間なく配設された複数の弾性体によって第2のギアに対する回転部材の位置が固定されるようになるため、同第2のギアに対して回転部材を組み付ける際の作業性を向上させることができるようになる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の動力伝達系のギア機構において、前記動力伝達系は、内燃機関のバランサ装置にあって同機関のクランクシャフトの回転力を第1及び第2のバランスシャフトに伝達させるものであり、前記第1の回転軸としての前記クランクシャフトに前記第1のギアとしてのクランクギアが設けられるとともに、前記第2の回転軸としての前記第1のバランスシャフトに前記第2のギアとしての被動ギアが前記減衰機構を介して前記第1のバランスシャフトと相対回動可能に設けられ、更に前記クランクギアに前記被動ギアが噛合され、前記第1のバランスシャフトには前記第2のバランスシャフトが駆動連結されてなることを要旨とする。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載した動力伝達系のギア機構において、前記動力伝達系は、内燃機関のバランサ装置にあって同機関のクランクシャフトの回転力を第1及び第2のバランスシャフトに伝達させるものであり、前記第2の回転軸としての前記クランクシャフトに前記第2のギアとしてのクランクギアが前記減衰機構を介して前記クランクシャフトと相対回動可能に設けられるとともに、前記第1の回転軸としての前記第1のバランスシャフトに前記第1のギアとしての被動ギアが設けられ、更に前記クランクギアに前記被動ギアが噛合され、前記第1のバランスシャフトには前記第2のバランスシャフトが駆動連結されてなることを要旨とする。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載した動力伝達系のギア機構において、前記動力伝達系は、内燃機関のバランサ装置にあって同機関のクランクシャフトの回転力を第1のバランスシャフトに伝達させるとともに、同クランクシャフトの回転力を中間ギアを介して第2のバランスシャフトに伝達させるものであり、前記第1の回転軸としての前記クランクシャフトに前記第1のギアとしてのクランクギアが設けられ、そのクランクギアには同じく前記第1のギアとして前記中間ギアが噛合されるとともに、前記第2の回転軸としての前記第1及び第2のバランスシャフトには各別の前記減衰機構を介して前記第2のギアとしての被動ギアがそれぞれのバランスシャフトと相対回動可能に設けられ、更に前記クランクギアには前記第1のバランスシャフトに設けられた前記被動ギアが噛合されるとともに、前記中間ギアには前記第2のバランスシャフトに設けられた前記被動ギアが噛合されてなることを要旨とする。
【0019】
これら各構成によれば、回転力変動が極めて大きい内燃機関のバランサ装置にあっても、各ギアにかかる負荷を軽減して、その耐久性を向上させることができるようなる。そして、このようなバランサ装置についても上記樹脂製ギアを用いることを可能としてその耐久性を確保することができるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるギア機構を直列4気筒内燃機関のバランサ装置に適用した一実施の形態について、図1〜図9を参照して説明する。
【0023】
はじめに、図1及び図2を参照して、本実施形態において適用対象となるバランサ装置の概要について説明する。尚、図1は、このバランサ装置の側面構造を示した概略図であり、図2は、同バランサ装置の各ギアの配置を示した概略図である。
【0024】
これら各図に示すように、このバランサ装置は、内燃機関のシリンダブロック11及びクランクケース12(図1参照)に軸支された機関出力軸としてのクランクシャフト20と、このクランクシャフト20の下方に同シャフト20と平行に設けられた第1のバランスシャフト30及び第2のバランスシャフト40とを有している。
【0025】
これら各バランスシャフト30,40は、クランクケース12及びバランサ装置の下部を覆うハウジング13によって軸支されている。また、各バランスシャフト30,40には、それぞれ一対のアンバランスウェイト33,43が設けられている。
【0026】
クランクシャフト20には、各気筒毎に一対ずつ、8個のバランスウェイト22が設けられている。そして、クランクシャフト20には、これら8個のバランスウェイト22のうち、中ほどの1つのバランスウェイト22aに隣接する位置にクランクギア21が一体回転可能に設けられている。
【0027】
第1のバランスシャフト30には、クランクギア21に噛合されるとともに、同第1のバランスシャフト30に対して相対回動可能な第1の被動ギア31が設けられている。この第1の被動ギア31は、その直径がクランクギア21の半径と等しく設定されている。また、第1のバランスシャフト30には、一体回転可能にカウンタギア32が設けられている。第1の被動ギア31は、その相対回動を許容する減衰機構50を介してカウンタギア32に駆動連結されている。
【0028】
一方、第2のバランスシャフト40には、図2に示すように、カウンタギア32に噛合されるとともに、同第2のバランスシャフト40と一体回転可能な第2の被動ギア41が設けられている。
【0029】
次に、図3及び図4を参照して、上記減衰機構50の構成について説明する。尚、これら図3及び図4は、第1のバランスシャフト30に設けられた減衰機構50の断面構造を示す図であり、図3は図4の3―3線に沿った断面構造を、図4は図3の4―4線に沿った断面構造をそれぞれ示している。
【0030】
図3に示すように、第1の被動ギア31は、第1のバランスシャフト30と同軸上に同シャフト30と相対回動可能に設けられた環状の内周部31aと、この内周部31aの外周に一体回転可能に設けられ、その外周に歯31cが形成された外周部31bとを備えて構成されている。この外周部31bの歯31cは、クランクギア21の外周に形成された歯(図示略)と噛合されている。
【0031】
第1の被動ギア31の内周部31aは鉄等の金属材料によって形成される一方、その外周部31bは例えば、アラミド繊維織物によって強化されたポリアミノアミドまたはフェノール等の熱硬化性樹脂からなる樹脂材料によって形成されている。第2の被動ギア41も第1の被動ギア31と同様に、少なくともその歯が上記樹脂材料によって形成されている。これに対して、クランクギア21及びカウンタギア32はいずれも鉄等の金属材料によって形成されている。また、これら各ギア21,31,32,41はいずれも、図2に示すように、それらの各歯がヘリカル状に形成されたヘリカルギアとなっている。
【0032】
第1の被動ギア31の内周部31aにおいて、カウンタギア32と対向する側面と反対側の側面には、第1のバランスシャフト30の軸心を中心にして同第1のバランスシャフト30の外径よりも大きな内径を有する凹部53が形成されている。このため、第1の被動ギア31を第1のバランスシャフト30に係合させた状態では、第1のバランスシャフト30の外周面と凹部53の内周面との間には環状の空間が形成されることとなる。そして、この環状の空間内には、環状をなす一対のフリクションダンパ54がそれぞれ減衰部材として配設されている。
【0033】
これら各フリクションダンパ54は、上記凹部53の内周面に当接される金属製の摺動部54aと、例えばゴム材料等の弾性材料からなる弾性部54bとを備えて構成されている。第1の被動ギア31は、これらフリクションダンパ54の弾性部54bに発生する弾性力により、第1のバランスシャフト30の全周にわたってその径方向に常時付勢されている。
【0034】
従って、第1の被動ギア31がカウンタギア32に対して相対回動する際、換言すれば、同第1の被動ギア31が第1のバランスシャフト30に対して相対回動する際には、摺動部54aと凹部53の内周面との間に上記付勢力の大きさに応じた摩擦力が発生し、その摩擦力が上記相対回動を抑制する減衰力として作用するようになる。
【0035】
また、クランクギア21及び第1の被動ギア31はヘリカルギアとして構成されており、これらを噛合させた場合においても、第1の被動ギア31は第1のバランスシャフト30の軸方向において僅かに移動することが可能である。このため、第1の被動ギア31が回転力変動等に起因して上記軸方向において振動し、第1のバランスシャフト30との接触を繰り返すことで騒音が発生する懸念がある。上記フリクションダンパ54の摩擦力は、こうした第1の被動ギア31の振動を減衰させる減衰力としても作用するようになる。
【0036】
一方、カウンタギア32において第1の被動ギア31と対向する側面には、第1のバランスシャフト30の軸心を中心に同シャフト30の外周を囲む環状の凹部51が設けられている。この凹部51の内底面51aには、第1の被動ギア31に向かって突出する断面略矩形状の係止凸部52が設けられている。この係止凸部52は第1のバランスシャフト30の軸心周りにおいて等角度間隔を隔てて複数個(この例においては図4に示すように4個)設けられている。更に、この凹部51の内底面51aには上記係止凸部52を挟む位置に一対の係止孔57が形成されている。
【0037】
また、凹部51内には、それぞれ係止凸部52及び係止孔57により係止される断面略コ字状の第1のストッパゴム55が設けられている。この第1のストッパゴム55は第1のバランスシャフト30の軸心周りにおいて等角度間隔を隔てて複数個(この例では同じく4個)設けられている。また、第1のストッパゴム55はそれぞれ、所定の弾性力(ばね定数K1)及び減衰力(減衰係数C1)を有している。
【0038】
この第1のストッパゴム55は係止凸部52に係合される係止凹部55aと、この係止凹部55aの両側に位置し係止孔57に係合される一対の係止片55bとを有している。これら係止凸部52と係止凹部55a、係止片55bと係止孔57とがそれぞれ係合されることにより、同第1のストッパゴム55の凹部51内での移動が規制されている。尚、第1のストッパゴム55は、係止凸部52により係止された状態において、同係止凸部52の両側に位置する各部分の周方向における長さがいずれも等しく設定されている。また、第1のストッパゴム55は、クランクシャフト20からバランサ装置に入力される回転力が最も大きくなった場合であっても、損傷を招く過大な変形が生じないように、そのばね定数が設定されている。
【0039】
また、第1の被動ギア31の内周部31aにおいてカウンタギア32と対向する側面には、カウンタギア32に向かって突出する複数(この例では4個)の凸部56が設けられている。この凸部56は、隣り合う第1のストッパゴム55の対向する各両端部に対してそれぞれ所定角度θ1,θ2だけ離間して位置するように、第1のバランスシャフト30の軸心周りにおいて等角度(θ0)の間隔を隔てて設けられている。ここで、上記各所定角度θ1,θ2は、第1の被動ギア31とカウンタギア32とが相対回動することにより変化するが、それらの和(θ1+θ2)は一定の値θmaxをとる(θmax=θ1+θ2)。尚、本実施形態では、この所定の回動位相範囲θmaxを「θ0/4」に設定するようにしている。
【0040】
また、凸部56の周方向の側面と第1のストッパゴム55の端部との各対向面間には、各面に当接するように複数(この例では8個)の第2のストッパゴム58が第1のストッパゴム55と直列に設けられている。この第2のストッパゴム58はそれぞれ、所定のばね定数K2及び減衰係数C2を有しており、これらばね定数K2及び減衰係数C2はそれぞれ、上記第1のストッパゴム55のばね定数K1及び減衰係数C1よりも十分に小さい値(例えば1/100以下)に設定されている。
【0041】
図5及び図6は、上記各ギア21,31,32,41、各シャフト20,30,40並びに減衰機構50を構成するフリクションダンパ54、第1のストッパゴム55、第2のストッパゴム58の関係を模式的に示したものである。内燃機関のバランサ装置をこのような構成とすることで、同図5及び図6に示すように、クランクシャフト20(第1の回転軸)から伝達される回転力は、クランクギア21(第1のギア)、第1の被動ギア31(第2のギア)、減衰機構50のフリクションダンパ54、第1のストッパゴム55、第2のストッパゴム58、そしてカウンタギア32(回転部材)を介して第1のバランスシャフト30(第2の回転軸)に伝達されるとともに、同カウンタギア32から第2の被動ギア41を介して第2のバランスシャフト40にも伝達されるようになる。尚、同図5に示す「m1」、「m2」、及び「m3」は、それぞれクランクシャフト20、第1のバランスシャフト30、及び第2のバランスシャフト40の軸心であり、「K1」、「K2」は、それぞれ第1のストッパゴム55及び第2のストッパゴム58のばね定数であり、そして、「C1」、「C2」、及び「C3」は、それぞれ第1のストッパゴム55、第2のストッパゴム58、及びフリクションダンパ54の減衰係数である。
【0042】
バランサ装置にクランクシャフト20から回転力が入力され、第1の被動ギア31が第1のバランスシャフト30に対して相対回動すると、第1の被動ギア31の凸部56よりもその回転方向側に位置する第1のストッパゴム55及び第2のストッパゴム58が弾性変形するようになる。ここで、第2のストッパゴム58は、第1のストッパゴム55よりもそのばね定数が十分に小さいため、第1の被動ギア31と第1のバランスシャフト30との相対回動量が小さい段階では、第1のストッパゴム55よりも大きな変形量をもって弾性変形するようになる。そして、第1の被動ギア31と第1のバランスシャフト30との上記相対回動量が増大して所定値に達すると、第2のストッパゴム58は弾性限界に達し、もはやそれ以上弾性変形しなくなる。その後、上記相対回動量が更に増大すると、第2のストッパゴム58は最も弾性変形した状態となったまま、第1のストッパゴム55のみが弾性変形するようになる。このため、第1の被動ギア31と第1のバランスシャフト30との相対回動に対する各ストッパゴム55,58の全体の弾性特性が非線形な傾向を示すようになる。すなわち、図7に示されるように、第1のストッパゴム55のばね定数を「K1」、第2のストッパゴム58のばね定数を「K2」とした場合、各ストッパゴム55,58全体の合成ばね定数Kは、上記相対回動量が小さい段階では「K1・K2/(K1+K2)」となる一方、相対回動量が増大して第2のストッパゴム58が弾性限界に達した後は第1のストッパゴム55のばね定数である「K1(>K1・K2/(K1+K2))」と略等しくなる。
【0043】
そして、このような非線形性を有することにより、バランサ装置により構成される振動系の固有振動数が複数の振動数に分散されて複数存在するようになる。その結果、バランサ装置を構成する各ギア21,31,32,41にかかる負荷が好適に低減されるようになる。
【0044】
また、バランサ装置では、クランクシャフト20の回転位相と各バランスシャフト30,40の回転位相とが所定の関係を有するようにして、これら各バランスシャフト30,40の組み付けを行う必要がある。このため、各バランスシャフト30,40の組み付け時においては、クランクシャフト20の回転方向における位置が決定されれば、各バランスシャフト30,40の回転方向における位置も一義的に決定されることとなる。
【0045】
そして、このように各バランスシャフト30,40の位置が決定された状態で第1の被動ギア31をクランクギア21に噛合させると、同ギア31の回転方向における位置も決定されるようになる。従って、その後に、カウンタギア32を第1のバランスシャフト30に組み付ける際には、カウンタギア32を第2のバランスシャフト40に固定された第2の被動ギア41の歯に噛合させつつ、同カウンタギア32を第1のバランスシャフト30の回転方向における所定の位置で固定する必要がある。このため、例えば第2のストッパゴム58を省略した構成など、凸部56の周方向の両端面と第1のストッパゴム55の端面との対向面間に隙間がある場合には、凸部56をこれと隣り合う第1のストッパゴム55の一方に当接させつつその位置決めをするという作業が必要となる。
【0046】
この点、本実施の形態にあっては、各ストッパゴム55,58をカウンタギア32の凹部51内に装着した状態において、隣り合う各第2のストッパゴム58の対向面の幅が第1の被動ギア31の凸部56の周方向の幅と略同寸に設けられている。このため、第1の被動ギア31の凸部56を第2のストッパゴム58の対向面間に挿入すれば、第1のストッパゴム55及び第2のストッパゴム58の弾性力によって自ずとカウンタギア32の第1のバランスシャフト30及び第1の被動ギア31に対する回転方向の取付け位置が決定されるようになる。この結果、カウンタギア32を第1のバランスシャフト30及び第1の被動ギア31に組み付ける際の位置決めにかかる作業工数を低減でき、ひいては生産性の向上を図ることができるようになる。
【0047】
また、第1の被動ギア31と第1のバランスシャフト30との間に相対回動が生じる際に、フリクションダンパ54に減衰力が発生するため、その減衰力によってこれら第1の被動ギア31と第1のバランスシャフト30との間の振動が減衰されるようになる。その結果、バランサ装置を構成する各ギア21,31,32,41にかかる負荷を的確に軽減することができるとともに、それら各ギア21,31,32,41の耐久性を好適に向上させることができるようになる。
【0048】
次に、本実施の形態にかかるギア機構の振動抑制作用について図8及び図9を参照して更に詳細に説明する。
図8は、内燃機関の回転速度に対する第1の被動ギア31の角速度変動の変化についての実験結果を示したグラフである(縦軸に示す角速度変動は対数表示してある)。
【0049】
尚、同図8において実線は、上記所定の回動位相範囲θmaxを「θ0/4」に設定した本実施形態についての特性を示し、一点鎖線は、上記回動位相範囲θmaxを「θ0/8」に設定した第1の比較例についての特性を示している。また、同図において二点鎖線は、上記回動位相範囲θmaxを「0°」に設定した場合、即ち、第2のストッパゴム58を設けずに、無負荷状態において凸部56の周方向の両側面と、これら両側面と隣り合う第1のストッパゴム55の対向する両端部とをそれぞれ当接させるように構成した第2の比較例についての特性を示している。
【0050】
同図8に示すように、第2の比較例においては、内燃機関の回転速度が1000〜2000rpmの間にあるときに、角速度変動が急激に増大することがわかる。これはクランクシャフト20から各バランスシャフト30,40に伝達される回転力によってバランサ装置に共振現象(二次共振)が発生しているためである。
【0051】
これに対して、第1の比較例においては、内燃機関の回転速度が1000〜2000rpmの間にあるときに角速度変動が僅かに増大する領域が存在するものの、その増大量自体は上記第2の比較例と比較して大きく減少していることがわかる。
【0052】
これは、上記回動位相範囲θmaxを「0°」より大きく設定することにより、バランサ装置により構成される振動系の固有振動数が低下するとともに、第2のストッパゴム58の存在により同固有振動数が複数に分散されるため、内燃機関の常用回転速度域(>1000rpm)における共振現象の発生が抑制されることに起因している。
【0053】
更に本実施形態においては、上記回動位相範囲θmaxを「θ0/4」としているため、こうした振動抑制効果が一層顕著に現れるようになる。即ち、内燃機関の回転速度が1000〜2000rpmの間にあるときの角速度変動の増大は見られず、上記共振現象は発生していないことがわかる。従って、バランサ装置の共振現象を抑える上では、上記回動位相範囲θmaxを「θ0/8以上」に設定するのが望ましく、「θ0/4以上」にするのが最も好ましい。
【0054】
図9は、上記フリクションダンパ54の摩擦力による振動抑制効果を確認するために行った実験結果を示すものであって、図8と同様、内燃機関の回転速度に対する第1の被動ギア31の角速度変動の変化を示すグラフである(縦軸に示す角速度変動は対数表示してある)。
【0055】
尚、同図9において実線は、本実施形態、すなわちフリクションダンパ54として、雰囲気温度「80℃」中で「0.3Nm以上」の摩擦トルクを得られることが予め確認されたものを用いた場合の特性を示している。また、一点鎖線は、同じくフリクションダンパ54として、雰囲気温度「80℃」中で「0.3Nm未満」のトルクしか得られないことが予め確認されたものを用いた場合の比較例についての特性を示している。尚、上記雰囲気温度は、バランサ装置の通常の使用状況に合わせて「80℃」に設定されている。
【0056】
同図9に示すように、上記比較例においては、内燃機関の回転速度が1000rpm近傍にあるときに角速度変動の急峻なピークが存在するようになる。即ち、仮に上記回動位相範囲θmaxが「0°」より大きく設定されていても、その回動位相範囲θmaxにおいてフリクションダンパ54の摩擦トルクにより適切な大きさの減衰力が付与されなければ、上記共振現象の抑制効果が減少することがわかる。
【0057】
以上の実験結果から明らかなように、雰囲気温度を「80℃」とした状況下でフリクションダンパ54において「0.3Nm以上」の摩擦トルクを発生させることで、上記共振現象の発生を確実に抑えることができるようになる。
【0058】
以上詳述したように、この実施の形態にかかるギア機構によれば、以下に示すような優れた効果が得られるようになる。
(1)バランサ装置の減衰機構50において、ばね定数及び減衰係数のそれぞれ異なる第1のストッパゴム55と第2のストッパゴム58とを備える構成とした。このため、バランサ装置における共振現象の発生を抑制して同装置を構成する各ギア21,31,32,41にかかる負荷を好適に軽減することができるようになり、それら各ギア21,31,32,41、特に樹脂製ギアである第1の被動ギア31及び第2の被動ギア41においてもその耐久性を十分に向上させることができるようになる。
【0059】
(2)第1の被動ギア31の凸部56とカウンタギア32の係止凸部52との間において各ストッパゴム55,58を隙間なく配設するようにしたため、これら各ストッパゴム55,58によってカウンタギア32を第1のバランスシャフト30及び第1の被動ギア31に対して組み付ける際の位置が固定されるようになり、その位置決め作業の工数を低減でき、ひいては生産性の向上を図ることができるようになる。
【0060】
(3)フリクションダンパ54の摩擦トルクによる減衰力が付与されることで各ギア21,31,32,41にかかる負荷を更に軽減することができるようになるとともに、それら各ギア21,31,32,41の耐久性を好適に向上させることができるようにもなる。
【0061】
(4)回動位相範囲θmaxを「θ0/4」に設定するとともに、フリクションダンパ54の摩擦トルクを減衰力として雰囲気温度「80℃」中で「0.3Nm以上」の摩擦トルクを発生させることで、共振現象の発生を確実に抑えることができるようになる。このため、クランクギア21と第1の被動ギア31との間、及びカウンタギア32と第2の被動ギア41との間の各ギア間のギア歯打ち音の発生を回避することができるようになる。
【0062】
(5)回転力変動が極めて大きい内燃機関のバランサ装置にあっても、各ギア21,31,32,41にかかる負荷を軽減して、その耐久性を向上させることができるようなる。
【0063】
(6)第1の被動ギア31及び第2の被動ギア41の各ギア歯を樹脂により形成したため、クランクギア21及び第1の被動ギア31とカウンタギア32及び第2の被動ギア41との各噛合部における衝撃が吸収され、これによってギア歯打ち音を低減することができるようになる。また、金属製のクランクギア21及びカウンタギア32の各歯面の加工精度がある程度低くても上記歯打ち音の発生を低減することが可能となる。このため、クランクギア21及びカウンタギア32の各歯面に対するシェービング仕上げ、研磨仕上げ等の工程や、金属製ギアで一般的なシムの選択調整によるバックラッシュ量の管理を省略或いは簡略化することが可能になる。更に、金属製のクランクギア21と樹脂製の第1の被動ギア31とを、そして金属製のカウンタギア32と樹脂製の第2の被動ギア41とをそれぞれ互いに噛合させることで、それら各ギア21,31,32,41間の熱による凝着等を回避することができる。
【0064】
尚、上記実施の形態は、例えば、以下のようにその構成を適宜変更することもできる。
・上記実施の形態では、アンバランスウェイト33,43を各バランスシャフト30,40に2個設けるようにしたが、このアンバランスウェイト33,43を設ける位置やその個数は上記の例に限らず、任意に変更することができる。
【0065】
・フリクションダンパ54の配設態様は上記実施の形態において示す態様に限定されず、第1のバランスシャフト30と第1の被動ギア31とが相対回動する際に適切な大きさの摩擦トルクを発生させることができるものであれば、適宜変更することができる。
【0066】
・また、上記実施の形態におけるフリクションダンパ54は、摺動部54aと弾性部54bとを備える構成のものの他、例えば金属製のウェーブワッシャ、皿ばね、或いはウェーブスプリング等により構成されるものであってもよい。
【0067】
・上記実施の形態では、クランクギア21、カウンタギア32、及び第1及び第2の被動ギア31,41をいずれもヘリカルギアとしたがこれらを平歯車として構成するようにしてもよい。
【0068】
・上記実施の形態では、第1の被動ギア31及び第2の被動ギア41を樹脂製ギアとし、クランクギア21及びカウンタギア32を金属製ギアとする構成としたが、例えば、クランクギア21とカウンタギア32とを樹脂製ギアとしてもよいし、クランクギア21と第2の被動ギア41とを樹脂製ギアとしてもよい。また一方で、全てのギアを金属製ギアとしてもよい。
【0069】
・上記実施の形態では、弾性部材として第2のストッパゴム58を凸部56の両側に設ける構成としたが、例えば、図10に減衰機構の断面構造を示すように、凸部56の両側に配設されていた第2のストッパゴム58の一方を省略し、同凸部56における周方向の一方の側面をこれと隣り合う第1のストッパゴム55の端面に当接させるようにしてもよい。
【0070】
・上記実施の形態では、ばね定数と減衰係数とがともに異なる2種類の弾性体、すなわち、第1のストッパゴム55及び第2のストッパゴム58を用いる構成としたが、この弾性体の種類は任意であり、3種類以上の弾性体を用いる構成としてもよい。
【0071】
・上記実施の形態では、弾性体の1つとしてゴム材料からなる第2のストッパゴム58を用いる構成としたが、この弾性体の材質はゴム材料には限定されず、例えばばね材を用いる構成としてもよい。
【0072】
・上記実施の形態では、図5に示すように、ギア機構として、クランクシャフト20の回転力がクランクギア21から第1の被動ギア31に伝達され、更に同第1の被動ギア31から減衰機構50を介してカウンタギア32に伝達されるとともに、同ギア32から各バランスシャフト30,40に伝達されるバランサ装置の例を示したが、本発明のギア機構は、以下に記載するような構成のバランサ装置にも適用することもできる。
【0073】
即ち、図11に模式的に示すように、クランクギア21をクランクシャフト20に対して相対回動可能に設けるとともに、同クランクシャフト20にプレート25を一体回転可能に設ける。そして、クランクギア21を減衰機構50を介して上記プレート25に駆動連結させる。また、第1のバランスシャフト30には、第1の被動ギア31及びカウンタギア32を一体回転可能に設け、同第1の被動ギア31をクランクギア21に噛合させる。
【0074】
こうした構成によれば、クランクシャフト20(第2の回転軸)の回転力が、プレート25(回転部材)、減衰機構50、クランクギア21(第2のギア)、第1の被動ギア31(第1のギア)を順に介して第1のバランスシャフト30(第1の回転軸)に伝達されるとともに、カウンタギア32及び第2の被動ギア41を介して第2のバランスシャフト40にも伝達される。
【0075】
また、クランクシャフト20の回転力をクランクギア21から各バランスシャフト30,40に対して各別の伝達経路を介して伝達させることもできる。
即ち、図12に模式的に示すように、第1の被動ギア31を第1のバランスシャフト30に相対回動可能に設けるとともに、同第1のバランスシャフト30にプレート36を一体回転可能に設ける。そして、第1の被動ギア31を減衰機構50を介して上記プレート36に駆動連結させる。また、第2の被動ギア41を第2のバランスシャフト40に相対回動可能に設けるとともに、同第2のバランスシャフト40にプレート44を一体回転可能に設ける。そして、第2の被動ギア41を別の減衰機構50を介して上記プレート44に駆動連結させる。更に、第1のバランスシャフト30とは別の回転軸37に設けられたカウンタギア32をクランクギア21及び第2の被動ギア41の双方に噛合させる。
【0076】
こうした構成によれば、クランクシャフト20(第1の回転軸)の回転力がクランクギア21(第1のギア)から第1の被動ギア31(第2のギア)、第1のバランスシャフト30(第2の回転軸)に設けられた減衰機構50、及びプレート36(回転部材)を介して同シャフト30に伝達されるとともに、クランクギア21からカウンタギア32(第1のギア)、第2の被動ギア41(第2のギア)、第2のバランスシャフト40(第2の回転軸)に設けられた減衰機構50、及びプレート44(回転部材)を介して同シャフト40にも伝達される。
【0077】
これら各図に示すように、ギア機構の構成を変更するようにしても、上記実施の形態に準じた作用効果を奏することはできる。
・上記実施の形態では、ギア機構を直列4気筒内燃機関のバランサ装置に適用した例を示したが、本発明のギア機構は、気筒の配列及び気筒数に関係なく、任意の配列及び気筒数の内燃機関のバランサ装置に適用することができる。
【0078】
・上記実施の形態では、ギア機構を内燃機関のバランサ装置に適用するようにしたが、バランサ装置に限らず、内燃機関のその他の動力伝達系に適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるギア機構を内燃機関のバランサ装置に適用した一実施の形態についてその概略構成を示す側面図。
【図2】同実施の形態のギア機構におけるギアの噛合関係を示す斜視図。
【図3】同実施の形態のギア機構の減衰機構の構造を示す断面図。
【図4】図3の4―4線に沿った断面図。
【図5】同実施の形態のギア機構の各ギアの噛合状態を模式的に示した模式図。
【図6】同実施の形態のギア機構をモデル化したモデル図。
【図7】相対回動量に対する各ストッパゴムの合成弾性力を示すグラフ。
【図8】内燃機関の回転速度に対するバランスシャフトの角速度変動特性を示すグラフ。
【図9】内燃機関の回転速度に対するバランスシャフトの角速度変動特性を示すグラフ。
【図10】他の例のギア機構の減衰機構の構造を示す断面図。
【図11】他のギア機構の構成例を示す模式図。
【図12】他のギア機構の構成例を示す模式図。
【符号の説明】
11…シリンダブロック、12…クランクケース、13…ハウジング、20…クランクシャフト、21…クランクギア、22…バランスウェイト、25…プレート、30…第1のバランスシャフト、31…第1の被動ギア、31c…歯、32…カウンタギア、33…アンバランスウェイト、36…プレート、40…第2のバランスシャフト、41…第2の被動ギア、44…プレート、50…減衰機構、54…フリクションダンパ、55…第1のストッパゴム、57…係止孔、58…第2のストッパゴム。
Claims (5)
- 第1の回転軸に一体回転可能に設けられた第1のギアと、第2の回転軸に相対回動可能に設けられた第2のギアと、前記第2の回転軸に一体回転可能に設けられた回転部材と、前記第2のギアと前記回転部材との間に介在する減衰機構とを有し、前記第1のギアと前記第2のギアとが噛合され、これら各ギアと前記減衰機構並びに前記回転部材を介して前記各回転軸間で回転力が伝達される動力伝達系のギア機構において、
前記減衰機構は、ばね定数の異なる複数の種類の弾性体と、前記第2のギアと前記回転部材とが相対回動するときにその相対回動を抑制する減衰力を摩擦力によって発生するフリクションダンパとを備え、前記複数の弾性体は、前記第2のギアと前記回転部材との間に直列に配列され、それら第2のギア及び回転部材の相対回動に応じて弾性変形し、前記第2のギア及び前記回転部材を前記相対回動の方向と逆方向に反付勢し、前記複数の弾性体の一方のばね定数は他方のばね定数の1/100以下に設定され、
前記第1のギア及び前記第2のギアの少なくとも一方はその歯が樹脂材料によって形成される樹脂製ギアである
ことを特徴とする動力伝達系のギア機構。 - 請求項1に記載の動力伝達系のギア機構において、
前記複数の弾性体は、前記第2のギアと前記回転部材との間に隙間のない状態で配設される
ことを特徴とする動力伝達系のギア機構。 - 請求項1または2に記載の動力伝達系のギア機構において、
前記動力伝達系は、内燃機関のバランサ装置にあって同機関のクランクシャフトの回転力を第1及び第2のバランスシャフトに伝達させるものであり、前記第1の回転軸としての前記クランクシャフトに前記第1のギアとしてのクランクギアが設けられるとともに、前記第2の回転軸としての前記第1のバランスシャフトに前記第2のギアとしての被動ギアが前記減衰機構を介して前記第1のバランスシャフトと相対回動可能に設けられ、更に前記クランクギアに前記被動ギアが噛合され、前記第1のバランスシャフトには前記第2のバランスシャフトが駆動連結されてなる
ことを特徴とする動力伝達系のギア機構。 - 請求項1または2に記載した動力伝達系のギア機構において、
前記動力伝達系は、内燃機関のバランサ装置にあって同機関のクランクシャフトの回転力を第1及び第2のバランスシャフトに伝達させるものであり、前記第2の回転軸としての前記クランクシャフトに前記第2のギアとしてのクランクギアが前記減衰機構を介して前記クランクシャフトと相対回動可能に設けられるとともに、前記第1の回転軸としての前記第1のバランスシャフトに前記第1のギアとしての被動ギアが設けられ、更に前記クランクギアに前記被動ギアが噛合され、前記第1のバランスシャフトには前記第2のバランスシャフトが駆動連結されてなる
ことを特徴とする動力伝達系のギア機構。 - 請求項1または2に記載した動力伝達系のギア機構において、
前記動力伝達系は、内燃機関のバランサ装置にあって同機関のクランクシャフトの回転力を第1のバランスシャフトに伝達させるとともに、同クランクシャフトの回転力を中間ギアを介して第2のバランスシャフトに伝達させるものであり、前記第1の回転軸としての前記クランクシャフトに前記第1のギアとしてのクランクギアが設けられ、そのクランクギアには同じく前記第1のギアとして前記中間ギアが噛合されるとともに、前記第2の回転軸としての前記第1及び第2のバランスシャフトには各別の前記減衰機構を介して前記第2のギアとしての被動ギアがそれぞれのバランスシャフトと相対回動可能に設けられ、更に前記クランクギアには前記第1のバランスシャフトに設けられた前記被動ギアが噛合されるとともに、前記中間ギアには前記第2のバランスシャフトに設けられた前記被動ギアが噛合されてなる
ことを特徴とする動力伝達系のギア機構。
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