JPH06307499A - フライホイール - Google Patents

フライホイール

Info

Publication number
JPH06307499A
JPH06307499A JP9320993A JP9320993A JPH06307499A JP H06307499 A JPH06307499 A JP H06307499A JP 9320993 A JP9320993 A JP 9320993A JP 9320993 A JP9320993 A JP 9320993A JP H06307499 A JPH06307499 A JP H06307499A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sub
rotating body
damping
bending
damper mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9320993A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3314448B2 (ja
Inventor
Ichiro Yamazaki
一郎 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP09320993A priority Critical patent/JP3314448B2/ja
Publication of JPH06307499A publication Critical patent/JPH06307499A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3314448B2 publication Critical patent/JP3314448B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】駆動力伝達用の主回転体と、回転変動低減用の
副回転体とを別個に設けたフライホイールにおいて、副
回転体を回転軸の曲げ振動を抑制するダイナミックダン
パとして有効に活用できるようにする。 【構成】回転変動低減用の副回転体20には、副回転体
20回転時の遠心力及びこれが取り付けられる回転軸か
ら伝達される回転変動によって遠心振り子運動をするよ
うに、転動室23内にダンパマス25を収容する。そし
て、副回転体20の中央部21には、副回転体20の曲
げ方向の振動に対して減衰力を発生するように粘性減衰
部材26を貼付する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車両のエンジン等の
内燃機関等で発生する定次数回転変動の低減を図る回転
変動低減用フライホイールに関し、特に、駆動力伝達用
の主回転体とは別個に回転変動低減用の副回転体を設け
たものにおいて、回転軸系の曲げ振動の低減をも図れる
ようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】車両のエンジン等の内燃機関の駆動力
は、燃焼力をクランク機構により回転力に変換すること
により得られるため、クランク軸等には必然的にトルク
変動に起因した回転変動が発生し、この回転変動が振
動,騒音等の原因となる。例えば、4サイクル4気筒エ
ンジンの場合は2次のトルク変動による回転変動が問題
となり、6気筒エンジンの場合は3次のトルク変動によ
る回転変動が問題となる。
【0003】このようなトルク変動に起因する回転変動
の低減を図る従来のフライホイールとしては、本出願人
が先に提案した特願平4−230121号明細書に記載
されたものがある。かかる従来のフライホイールは、回
転力伝達用の主回転体と、遠心振り子運動をするダンパ
マスを収容した回転変動低減用の副回転体とを別個に設
けたことをその特徴としており、これにより、高温下に
おける耐久性を向上させることができた。
【0004】そして、高温下における耐久性を向上させ
ることができ、しかも副回転体は回転力の伝達には無関
係であることから、上記明細書の請求項2記載の発明の
ようにその副回転体の剛性を低下させることが可能とな
り、これにより副回転体及び回転軸でなる系の曲げ共振
周波数を容易に調整することができるようにもなってい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】確かに、上記従来のフ
ライホイールであれば、高温下における耐久性を向上さ
せることができ、その結果、副回転体及び回転軸でなる
系の曲げ共振周波数を容易に調整することも可能となっ
ているが、主回転体及び回転軸でなる系(以下、第1の
曲げ振動系と称する。)と副回転体及び回転軸でなる系
(以下、第2の曲げ振動系と称する。)との関係を考え
た場合、両者の共振周波数が一致又は極近傍にあると回
転軸の曲げ振動が過大となってしまうという問題点が生
じる。
【0006】これに対し、上記従来技術の明細書では、
第2の曲げ振動系の共振周波数を常用回転数以下とする
ことにより解決し得るとの示唆がなされているが、回転
軸の剛性をも下げた所謂フレキシブルフライホイールで
あればそのような解決も容易であるのに対し、上記従来
のフライホイールのように副回転体の剛性のみを下げる
構造では第2の曲げ振動系の共振周波数を常用回転数か
ら外すことは一般には不可能であると考えられる。
【0007】そこで本発明者は、上記明細書の請求項2
記載の発明の構造を採用する場合にはむしろ第2の曲げ
振動系を第1の曲げ振動系に対してダイナミックダンパ
として機能させることにより回転力伝達系の曲げ振動を
抑えるべきだとの結論を得たのである。しかし、ダイナ
ミックダンパとして機能するように単に副回転体の質量
及び軸方向の剛性を選定するだけでは、第1の曲げ振動
系の共振周波数における振動レベルを低減することはで
きても、別の二つの周波数で回転軸系の曲げ共振が発生
してしまうため、周波数帯域全体での振動レベルが大き
く低減されることにはならないのである。
【0008】本発明は、このような観点からなされたも
のであって、回転変動の低減を図る副回転体を含む第2
の曲げ振動系を、曲げ振動を低減させるダイナミックダ
ンパとして有効に利用することができるフライホイール
を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明であるフライホイールは、振り
子運動をするダンパマスを収容する転動室を備えた回転
変動低減用の副回転体を、駆動力伝達用の主回転体とは
別個に設けるとともに、前記副回転体の曲げ方向の振動
に対して減衰力を発生する減衰手段を設けた。
【0010】この請求項1記載の発明における減衰手段
としては、種々の形式のものが考えられる。例えば、請
求項2記載の発明のように、減衰手段は、副回転体の表
面に貼付された減衰部材とすることもできるし、請求項
3記載の発明のように、減衰手段は、副回転体を複数の
板を摺動可能に重ね合わせて構成した構造とすることも
できる。さらに、請求項4記載の発明のように、請求項
3記載の発明の構造に加えて複数の板の間に減衰材料を
挟み込んだ構造とすることもできる。
【0011】また、請求項5記載の発明は、上記請求項
3又は請求項4記載の発明において、副回転体にビード
を形成した。そして、請求項6記載の発明は、上記請求
項1乃至請求項5記載の発明において、ダンパマスを収
容した状態での転動室の重心位置を、副回転体の厚さ方
向の中心に位置させた。
【0012】
【作用】請求項1記載の発明であれば、回転変動低減用
の副回転体を駆動力伝達用の主回転体とは別個に設けて
いるため、副回転体は回転力の伝達には無関係であり、
しかもクラッチの摩擦熱等により高温下に直接さらされ
るのは主回転体である。従って、副回転体の剛性を特に
高くする必要はなく、その曲げ共振周波数は比較的自由
に選定することができるから、第2の曲げ振動系を第1
の曲げ振動系に対するダイナミックダンパとすることは
容易であり、第2の曲げ振動系がダイナミックダンパと
して機能すれば、回転軸の曲げ方向の振動が低減され
る。
【0013】そして、第2の曲げ振動系を第1の曲げ振
動系の共振周波数においてダイナミックダンパとして機
能するようにすると、別の二つの周波数において曲げ共
振が発生し副回転体の曲げ振動が過大になろうとする
が、そのような振動に対しては減衰手段による減衰力が
発生するから、副回転体の振動レベルが過大になること
が防止される。
【0014】請求項2記載の発明であれば、副回転体の
表面に貼付された減衰部材は、副回転体が曲がれば一体
となって曲がるため、副回転体の曲げ方向の振動に対し
て的確に減衰力を発生する。また、請求項3記載の発明
であれば、副回転体を構成する複数の板は、副回転体が
曲がれば互いに摺動し合うため、その摺動部分に摩擦力
が発生し、減衰作用が得られる。
【0015】そして、請求項4記載の発明であれば、複
数の板の間に挟み込まれた減衰材料は、副回転体が曲が
れば一体となって曲がるためここに減衰力が発生する。
そして、その減衰材料を適宜選定することにより、所望
の減衰力を発生する構成が容易に得られる。なお、請求
項3又は請求項4記載の発明のように副回転体を複数の
板を重ね合わせて構成した場合、トータルの板厚が同一
であれば、一枚の板で副回転体を構成した場合に比べて
曲げ剛性は小さくなる。従って、同じ曲げ剛性を得るた
めには板厚を厚くする必要があるが、これでは、副回転
体の慣性能率が大きくなって応答性の悪化等を招くおそ
れがある。
【0016】これに対し、請求項5記載の発明であれ
ば、副回転体にビードが形成されているため、その分副
回転体の曲げ方向の剛性が増大しているから、副回転体
を構成する板の板厚を増す必要がない。さらに、請求項
6記載の発明であれば、副回転体の回転中にダンパマス
及びこれを収容する転動室を形成する部位に生じる遠心
力は、副回転体の面内方向に作用するため、かかる遠心
力によって副回転体に曲げモーメントは発生しない。従
って、曲げモーメントに抗するために副回転体の剛性を
上げる必要もない。
【0017】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1乃至図3は本発明の第1実施例を示す図で
あり、図1は本発明に係るフライホイールの正面図、図
2は図1のA−A線断面図である。先ず、構成を説明す
ると、このフライホイールは、回転駆動力の伝達を担う
円盤状の主回転体10と、回転変動の低減を担う円盤状
の副回転体20とから構成されていて、それら主回転体
10及び副回転体20のそれぞれの中央部には、図示し
ないクランク軸等の回転駆動系への取付けの際に利用さ
れる取付けフランジ部10a,20aが形成されてい
る。
【0018】主回転体10は、例えば車両のマニュアル
トランスミッションにおけるクラッチ機構の一部を構成
することにより回転駆動力の伝達を担うものであり、こ
の例では主回転体10の外周面に図示しないスタータギ
アと噛み合うリングギア11が回転方向に一体に固定さ
れている。そして、主回転体10の中央部12は、その
径方向外側が副回転体20から離れる方向に傾斜したテ
ーパ状に形成されていて、これにより、この主回転体1
0と後述する副回転体20との間に隙間ができるように
している。
【0019】一方、副回転体20は、肉薄に成形される
ことにより軸方向剛性が低くなっている中央部21と、
その中央部21の外周面に連続する比較的肉厚のハウジ
ング部22とを備えていて、そのハウジング部22に
は、周方向の等間隔に離隔して複数(この実施例では、
10個)の同形状の転動室23,…,23が形成されて
いる。
【0020】転動室23のそれぞれは、副回転体20の
表面に対して平行に凹んだ凹陥部の開口側を薄いリング
状のカバー24で覆うことにより形成された閉空間であ
り、その内側には角部に丸みを帯びた円筒コロ状のダン
パマス25が転動可能に収容されている。即ち、転動室
23の内周面が、ダンパマス25が転動する転動面23
aとなっていて、その転動面23aの形状は、副回転体
20回転時の遠心力と回転駆動系の回転変動とによって
ダンパマス25が転動する際の軌跡が、回転軸の回転変
動を低減し得る遠心振り子の理論を満足するように円周
方向に沿って屈曲した楕円形となっている。
【0021】具体的には、ダンパマス25の質量を
d 、ダンパマス25の慣性能率をId、ダンパマス2
5の半径をrd 、低減しようとする回転変動の次数をn
とした場合に、副回転体10の回転中心からダンパマス
25の振り子運動の支点までの距離Rと、ダンパマス2
5の振り子運動の支点からダンパマス25の重心までの
距離Lとの比率R/Lを、 R/L=n2 {1+Id /(md ・rd 2 )} ……(1) という関係に設定する。なお、本実施例では、複数のダ
ンパマス25を有しているため、質量md 及び慣性能率
d はいずれもそれら複数のダンパマス25のトータル
の値である。
【0022】そして、副回転体20の中央部21の主回
転体10とは逆側の表面には、粘性減衰材料を薄いリン
グ状に形成してなる減衰手段としての粘性減衰部材26
が貼付されている。ここで、本実施例のフライホイール
をクランク軸等の回転軸に取り付けた場合を考えると、
回転軸及び主回転体10でなる曲げ振動系(第1の曲げ
振動系)と、回転軸及び副回転体20でなる曲げ振動系
(第2の曲げ振動系)との二つの曲げ振動系が存在する
こととなるが、副回転体20は、回転駆動力の伝達には
無関係であり、しかもクラッチ機構等で発生した高熱に
直接さらされるのは主回転体10のみであるから、副回
転体20の中央部21の剛性は低くてもよく、従って、
第2の曲げ振動系の共振周波数等は比較的自由に選定す
ることができる。
【0023】そこで、本実施例では、第2の曲げ振動系
が、第1の曲げ振動系に対してダイナミックダンパとし
て機能するように、バネとして働く中央部21の剛性及
びマスとして働くハウジング部23,ダンパマス25の
質量を選定する。ただし、ダンパマス25の質量m
d は、上記(1)式を満足させるために不用意に変える
ことはできないから、ハウジング部23の質量を適宜調
整することにより全体の質量を所定の値とすることにな
る。
【0024】次に本実施例の作用を説明する。このフラ
イホイールを例えば車両の駆動力伝達部に適用した場
合、車両エンジンで発生した駆動力は、クランク軸から
主回転体10を介してマニュアルトランスミッションに
入力される。そして、クランク軸には、上述したように
4気筒エンジンであれば2次の回転変動が生じ、6気筒
エンジンであれば3次の回転変動が生じるが、そのよう
な回転変動は、副回転体20内のダンパマス25の振り
子運動により吸収し低減することができる。
【0025】即ち、副回転体20に回転変動が伝達され
ると、比率R/Lを上記(1)式を満足するように選定
している結果、転動室23内に収容されたダンパマス2
5が回転変動に同期した逆相の振り子運動をし、これが
定次数比型ダイナミックダンパとして作用するようにな
るから、副回転体20に伝達された回転変動がダンパマ
ス25の重心位置の変動によって確実に低減されるよう
になり、これが取付けられたクランク軸の振動レベルが
低減するのである。
【0026】一方、エンジンの燃焼起振力は、上記回転
変動とともにクランク軸と主回転体10,副回転体20
とを含む系の曲げモードを励振するため、主回転体10
及び副回転体20には曲げ方向の振動も入力される。従
って、副回転体20が存在しない場合には、主回転体1
0には図3の特性C1 で示すような曲げ振動が生じるこ
とになる。
【0027】しかし、第1の曲げ振動系の共振周波数
(図3の例では、355Hz近傍)において第2の曲げ
振動系がダイナミックダンパとして機能するため、共振
点における第1の曲げ振動系の振動レベルは低減され
る。そして、第2の曲げ振動系をダイナミックダンパと
して機能させた結果、図3の特性C2 で示すように第2
の曲げ振動系には別の二つの周波数(図3の例では、3
20Hz近傍と400Hz近傍)で共振が発生してしま
うことになるが、副回転体20の曲げ方向のバネとして
機能する中央部21の表面に貼付された粘性減衰部材2
6が中央部21とともに屈曲するので副回転体20の曲
げ方向の振動に対して減衰力を発生する。従って、その
ような二つの周波数において副回転体20の振動レベル
が極端に大きくなることは防止される。
【0028】結局、図3の特性C3 に示すように、これ
ら主回転体10及び副回転体20の曲げ振動は広い周波
数帯域において低レベルに抑えられることになる。以上
から、本実施例の構成であれば、回転変動及び曲げ振動
の両方のレベルを低減することができ、例えば車両に適
用するならば車室内騒音を大幅に低減することができ、
特に加速時騒音を低減することができる。
【0029】なお、本実施例の構成において、ダンパマ
ス25を収容した状態におけるハウジング部22の重心
位置を、中央部21の厚さ方向の中心に位置させるよう
にすると、副回転体20回転中にハウジング部22に生
じる遠心力が中央部21の面内方向に作用するため、中
央部21に遠心力に起因する曲げモーメントが作用せ
ず、その剛性をさらに下げることが可能となる。従っ
て、副回転体20を軽量な構造としてその慣性能率を低
減することができ、また剛性が下がれば粘性減衰部材2
6によって発生する減衰力が相対的に大きくなって減衰
効果が顕著になるという利点がある。
【0030】図4乃至図7は本発明の第2実施例を示す
図であり、図4は上記第1実施例で説明した図2と同じ
部分の断面図、図5は副回転体20の周縁部分の一部破
断拡大斜視図である。なお、上記第1実施例と同じ構成
には同じ符号を付し、その重複する説明は省略する。こ
の実施例は、副回転体20の構成を上記第1実施例と異
ならせた点に特徴があるのであり、副回転体20を、中
央部分に取付けフランジ部20aが形成された肉薄の円
盤部材30と、その円盤部材30の周縁部の両面に固定
されるリング部材31,32とから構成している。
【0031】そして、円盤部材30には、転動室23が
形成される位置に対応してその周面を貫通する複数の貫
通孔33が形成されていて、リング部材31,32に
は、それら貫通孔33を両側から挟み込むように略円柱
状に外側に突出するハウジング部材35,36が一体に
形成されている。ハウジング部材35,36のそれぞれ
の円盤部材30側の面には、上記第1実施例で説明した
転動室23の平面形状に凹んだ凹陥部35a,36aが
形成されている。よって、貫通孔33を両側からハウジ
ング部材35,36で挟み込むと、貫通孔33及び凹陥
部35a,36aで囲まれた閉空間が形成され、ここに
転動室23が形成される。
【0032】そして、本実施例では、貫通孔33の中心
を凹陥部35a,36aの中心よりも若干径方向内側に
ずらすことにより、貫通孔33内周面のうち径方向外側
の部分を凹陥部35a,36aよりも径方向内側に突出
させて段差を形成し、ここに断面凸形状で転動面23a
に沿って延びる凸部37を形成している。一方、ダンパ
マス25は、その斜視図である図6にも示すように、上
記第1実施例と同様に円筒コロ状の転動体であるが、そ
の幅方向の中央部には、転動面23aに形成されている
凸部37と転動を妨げないように若干の隙間を持って噛
み合うように、周方向に連続した溝25aを形成してい
る。
【0033】このような構成であると、凸部37と溝2
5aとが噛み合う結果、ダンパマス25の横方向の動き
が規制されるされるため、ダンパマス25の蛇行が防止
されるようになり、ダンパマス25が転動室23の内側
面に接することが防止されその振り子運動を阻止する方
向に発生する摩擦力が小さくなり(即ち、凸部37と溝
25aとの噛み合い部分で発生する小さな摩擦力のみと
なり)、ダンパマス25は目的通りの遠心振り子運動に
近い挙動をするようになり、回転変動を確実に防止する
ことができる。また、蛇行が防止されれば、ダンパマス
25が転動室23内面に衝突することも防止されるか
ら、衝撃音の発生も防がれる。
【0034】そして、ダンパマス25の横方向への動き
が凸部37と溝25aとの噛み合いによって規制されれ
ば、ダンパマス25の重心位置は常に円盤部材30の厚
さ方向の中心に位置することになるから、ハウジング部
材35,36を含むリング部材31,32を同規格の部
材とするだけで、ダンパマス25を収容した状態におけ
るハウジング部材35,36の重心位置が円盤部材30
の厚さ方向の中心に位置させることができる。
【0035】この結果、上記第1実施例の最後に説明し
た利点を容易に引き出すことができるのであり、具体的
には、図7に示すように、副回転体20回転中にハウジ
ング部材35,36に生じる遠心力が円盤部材30の面
内方向に作用するため、円盤部材30に遠心力に起因す
る曲げモーメントが作用せず、その剛性をさらに下げる
ことが可能となり、副回転体20を軽量な構造としてそ
の慣性能率を低減することができ、車両に適用した場合
には加速時騒音を低減し且つ十分な加速性能を得ること
ができる。また、剛性が下がれば粘性減衰部材26によ
って発生する減衰力が相対的に大きくなるから減衰効果
が顕著になる。
【0036】なお、凸部37及び溝25aを形成しない
構成であっても、ダンパマス25の厚みを転動室23の
幅ほりも若干小さくなるようにすれば、ダンパマス25
の重心位置が円盤部材30の厚さ方向の中心から大きく
ずれることはないため、図7に示したような作用効果を
得ることができる。その他の作用効果は上記第1実施例
と同様である。
【0037】図8及び図9は本発明の第3実施例を示す
図であり、図8は上記第2実施例の図5と同様の副回転
体20の周縁部分の一部破断拡大斜視図である。なお、
上記第2実施例と同じ構成には同じ符号を付し、その重
複する説明は省略する。即ち、この実施例は、貫通孔3
3の中心と凹陥部35a,36aの中心からずらすので
はなく、貫通孔33を凹陥部35a,36aよりも大き
くしている。従って、貫通孔33をハウジング部材3
5,36で挟み込んで転動室23を形成すると、貫通孔
33と凹陥部35a,36aとの間には貫通孔33側が
凹むような段差が形成されるから、転動面23aに沿っ
て周方向に延びる溝40が形成されている。
【0038】一方、ダンパマス25は、その斜視図であ
る図9に示すように、上記第1実施例と同様に円筒コロ
状の転動体であるが、その幅方向の中央部には、転動面
23aに形成されている溝40に転動を妨げないように
若干の隙間を持って嵌まり込むように、周方向に連続し
た凸部25bを形成している。このような構成である
と、溝40と凸部25bとが噛み合う結果、ダンパマス
25の横方向の動きが規制されるされるから、上記第2
実施例と同様の作用効果が得られるものである。
【0039】図10及び図11は本発明の第4実施例を
示す図であり、図10は上記第1実施例で説明した図2
と同じ部分の断面図、図11は副回転体20の周縁部分
の一部破断拡大斜視図である。なお、上記各実施例と同
じ構成には同じ符号を付し、その重複する説明は省略す
る。即ち、本実施例の構成は上記第3実施例と略同じで
あり、異なるのは、二枚の薄い円盤30A,30Bを非
接着の状態で重合わせることにより、円盤部材30を形
成するとともに、円盤部材30の表面に粘性減衰部材を
貼付していない点である。
【0040】このような構成であっても、副回転体20
の回転方向に対しては、二枚の薄い円盤30A,30B
でなる円盤部材30は、一枚の板から形成した場合と実
質的に変わらないから、上記第1実施例と同様の作用に
より回転変動の低減が図られ、騒音レベルが低減され
る。また、第1の曲げ振動系の共振周波数において第2
の曲げ振動系がダイナミックダンパとして機能するた
め、共振点における第1の曲げ振動系の振動レベルは低
減される。
【0041】そして、第2の曲げ振動系をダイナミック
ダンパとして機能させた結果、上記第1実施例で説明し
たように、図3の特性C2 で示すように第2の曲げ振動
系には別の二つの周波数で共振が発生してしまうことに
なるが、副回転体20に曲げ方向の振動が生じると、円
盤30A,30Bの接触面が擦れ合うためここに摩擦力
が発生し、その摩擦力によって副回転体20の曲げ方向
の振動に対する減衰力を得ることができ、上記第1実施
例と同様の作用効果が得られる。
【0042】つまり、本実施例の構成であれば、薄い円
盤30A,30Bを摺動可能に重ね合わせた構造によっ
て減衰手段が構成されるものである。なお、本実施例で
も、貫通孔33を凹陥部35a,36aよりも若干大き
くすることにより転動面23aに溝40を形成するとと
もに、ダンパマス25に凸部25bを形成しているた
め、ダンパマス25の横方向の動きが規制されるから、
上記第2実施例と同様の作用効果が得られる。また、本
実施例の場合であっても、溝40及び凸部25bを形成
しない構成としてもよい。
【0043】図12は、本発明の第5実施例を示す図で
あり、上記第1実施例で説明した図2と同じ部分の断面
図である。本実施例の構成は、上記第4実施例の構成と
略同じであり、異なるのは、二枚の薄い円盤30A,3
0Bの間に、薄い円盤状に形成した減衰材料45を挟み
込んだ点である。
【0044】即ち、上記第4実施例の構成では、円盤3
0A,30B間の摩擦力を利用して減衰効果を得るよう
にしているが、摩擦減衰の大きさを高精度に調整するこ
とは難しく、従って、所望の減衰力を得られないおそれ
がある。これに対し、本実施例の構成であれば、副回転
体20に曲げ方向の振動が生じた場合、円盤30A,3
0B間に挟み込まれた減衰材料45の屈曲により減衰力
を得ることができるため、その減衰材料45の材質や寸
法等を適宜選定することにより、所望の減衰力を発生す
る構成とすることができる。
【0045】つまり、本実施例の構成であれば、減衰材
料45によって減衰手段が構成される。その他、回転変
動の低減が図られることは上記第1実施例と同様であ
り、また、本実施例でも、貫通孔33を凹陥部35a,
36aよりも若干大きくすることにより転動面23aに
溝40を形成するとともに、ダンパマス25に凸部25
bを形成しているため、ダンパマス25の横方向の動き
が規制されるから、上記第2実施例と同様の作用効果が
得られる。また、本実施例の場合であっても、溝40及
び凸部25bを形成しない構成としてもよい。
【0046】図13及び図14は本発明の第6実施例を
示す図であり、図13は本発明に係るフライホイールの
正面図、図14は図13のB−B線断面図である。本実
施例の構成は、上記第4実施例の構成と略同じであり、
異なるのは、副回転体20の円盤部材30に複数(この
実施例では、10個)のビード50,…,50を形成し
た点である。
【0047】これらビード50,…,50は、円盤部材
30の径方向に沿って延びる長細い膨らみであって、円
盤部材30表面の周方向に等間隔に離隔した位置に形成
されている。各ビード50は、具体的には、円盤30
A,30Bの接触側の面のビード形成位置に予め細長い
凹みを形成しておき、その細長い凹みを向き合わせた状
態で円盤30A,30Bを重ね合わせることにより形成
される。
【0048】ここで、上記第4実施例のように二枚の円
盤30A,30Bを重ね合わせて円盤部材30を構成し
た場合、トータルの板厚が同じであれば一枚の板で構成
した場合と同じ面内方向の引っ張り剛性を得ることがで
きるから、回転変動の低減効果については特に問題は生
じない。しかし、曲げ方向の剛性は、二枚の円盤30
A,30Bを重ね合わせて円盤部材30を構成した場
合、一枚の板で円盤部材30を構成した場合に比べて低
下してしまう。例えば、二枚の円盤30A,30B間に
相互の拘束がないとすれば、曲げ方向の剛性は1/4に
低下してしまう。実際の構造では上述したように円盤3
0A,30B間に摩擦力が発生するため、1/4まで低
下することはないが、曲げ剛性が低下することは明らか
である。
【0049】従って、円盤部材30の剛性を上記第2実
施例のそれと同等にするには、円盤30A,30Bのそ
れぞれの板厚を増す必要があるが、これでは、円盤部材
30のトータルの板厚が増してしまい、その質量増加に
より副回転体20の慣性能率が増大し、応答性の低下等
を招いてしまう不具合がある。これに対し、本実施例の
ように副回転体20の円盤部材30に径方向に長い複数
のビード50,…,50を形成すれば、板厚を増すこと
なく従って慣性能率の増大を招くことなく、円盤部材3
0の曲げ方向の剛性を上げることができるのである。
【0050】そして、本実施例の構成であっても、貫通
孔33を凹陥部35a,36aよりも若干大きくするこ
とにより転動面23aに溝40を形成するとともに、ダ
ンパマス25に凸部25bを形成しているため、ダンパ
マス25の横方向の動きが規制されるから、上記第2実
施例と同様に、曲げモーメントに抗するために円盤部材
30の剛性を上げる必要もない。
【0051】つまり、本実施例の構成であれば、円盤部
材30の剛性は、慣性能率を増大させることなく、広い
範囲で自由に設定することができるのであり、このた
め、第1の曲げ振動系に対して第2の曲げ振動系をダイ
ナミックダンパとして確実に機能させるための最適な剛
性を容易に実現することができる。そして、副回転体2
0の曲げ方向の振動に対する減衰力は、上記第4実施例
と同様に円盤30A,30B間の摩擦力によって得るこ
とができるため、上記第4実施例と同様の作用効果が得
られるが、上記第5実施例のように、円盤30A,30
B間に減衰材料を挟み込む構成としてもよい。また、溝
40及び凸部25bを形成しない構成としてもよい。
【0052】なお、上記第4〜6実施例では、二枚の円
盤30A,30Bを重ね合わせることにより円盤部材3
0を構成しているが、円盤部材30は三枚以上の円盤を
重ね合わせて構成してもよい。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明であれば、
副回転体に曲げ方向の振動に抗するような減衰力を発生
する構成としたため、副回転体及び回転軸でなる曲げ振
動系を、主回転体及び回転軸でなる曲げ振動系の曲げ振
動を吸収するダイナミックダンパとして機能させた場
合、他の共振周波数における副回転体の曲げ振動を抑制
することができ、その結果、広い周波数帯域において回
転軸の曲げ振動を低減することができるという効果が得
られる。
【0054】また、請求項5記載の発明であれば、副回
転体の板厚を増すことなくその剛性を上げることができ
るから、慣性能率が増大して応答性が悪化するような不
具合がない。そして、請求項6記載の発明であれば、ダ
ンパマス及び転動室に生じる遠心力は副回転体の面内方
向に作用する結果、副回転体には遠心力に起因した曲げ
モーメントは作用しないから、副回転体の剛性はそれだ
け低くて済み、重量の軽減及び慣性能率の低減が図られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例におけるフライホイールの
正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】曲げ方向の振動レベルの周波数特性を示す図で
ある。
【図4】第2実施例におけるフライホイールの断面図で
ある。
【図5】第2実施例の要部を示す一部破断拡大斜視図で
ある。
【図6】第2実施例に適用されるダンパマスの斜視図で
ある。
【図7】第2実施例の作用効果を説明する概念図であ
る。
【図8】第3実施例の要部を示す一部破断拡大斜視図で
ある。
【図9】第3実施例に適用されるダンパマスの斜視図で
ある。
【図10】第4実施例におけるフライホイールの断面図
である。
【図11】第4実施例の要部を示す一部破断拡大斜視図
である。
【図12】第5実施例におけるフライホイールの断面図
である。
【図13】第6実施例におけるフライホイールの正面図
である。
【図14】図13のB−B線断面図である。
【符号の説明】
10 主回転体 11 リングギア 20 副回転体 21 中央部 22 ハウジング部 23 転動室 23a 転動面 24 カバー 25 ダンパマス 26 粘性減衰部材(減衰手段) 30 円盤部材 30A,30B 円盤(減衰手段) 31,32 リング部材 33 貫通孔 35,36 ハウジング部材 45 粘性材料(減衰手段) 50 ビード

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振り子運動をするダンパマスを収容する
    転動室を備えた回転変動低減用の副回転体を、駆動力伝
    達用の主回転体とは別個に設けるとともに、前記副回転
    体の曲げ方向の振動に対して減衰力を発生する減衰手段
    を設けたことを特徴とするフライホイール。
  2. 【請求項2】 減衰手段は、副回転体の表面に貼付され
    た減衰部材である請求項1記載のフライホイール。
  3. 【請求項3】 減衰手段は、副回転体を複数の板を摺動
    可能に重ね合わせて構成した構造である請求項1記載の
    フライホイール。
  4. 【請求項4】 複数の板の間に減衰材料を挟み込んだ請
    求項3記載のフライホイール。
  5. 【請求項5】 副回転体にビードを形成した請求項3又
    は請求項4記載のフライホイール。
  6. 【請求項6】 ダンパマスを収容した状態での転動室の
    重心位置を、副回転体の厚さ方向の中心に位置させた請
    求項1乃至請求項5のいずれかに記載のフライホイー
    ル。
JP09320993A 1993-04-20 1993-04-20 フライホイール Expired - Fee Related JP3314448B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09320993A JP3314448B2 (ja) 1993-04-20 1993-04-20 フライホイール

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09320993A JP3314448B2 (ja) 1993-04-20 1993-04-20 フライホイール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06307499A true JPH06307499A (ja) 1994-11-01
JP3314448B2 JP3314448B2 (ja) 2002-08-12

Family

ID=14076185

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09320993A Expired - Fee Related JP3314448B2 (ja) 1993-04-20 1993-04-20 フライホイール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3314448B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009228766A (ja) * 2008-03-21 2009-10-08 Isuzu Motors Ltd フライホイール構造
WO2012032964A1 (ja) * 2010-09-08 2012-03-15 アイシン・エィ・ダブリュ工業 株式会社 動吸振器
DE102014118869B4 (de) * 2014-01-14 2016-03-31 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Torsionsschwingungsdämpfungsvorrichtung
JP2021524823A (ja) * 2018-05-24 2021-09-16 ロックウェル コリンズ ドイチェラント ゲーエムベーハー 同調質量ダンパを有するフライホイール

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009228766A (ja) * 2008-03-21 2009-10-08 Isuzu Motors Ltd フライホイール構造
WO2012032964A1 (ja) * 2010-09-08 2012-03-15 アイシン・エィ・ダブリュ工業 株式会社 動吸振器
US8850927B2 (en) 2010-09-08 2014-10-07 Aisin Aw Industries Co., Ltd. Dynamic vibration absorber
DE102014118869B4 (de) * 2014-01-14 2016-03-31 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Torsionsschwingungsdämpfungsvorrichtung
JP2021524823A (ja) * 2018-05-24 2021-09-16 ロックウェル コリンズ ドイチェラント ゲーエムベーハー 同調質量ダンパを有するフライホイール

Also Published As

Publication number Publication date
JP3314448B2 (ja) 2002-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3729006B2 (ja) 動力伝達系のギヤ機構
JP6274796B2 (ja) 自動車用のトルク伝達装置
US7426984B2 (en) Torsional vibration damper
US7241224B2 (en) Torsional vibration damper
US7467699B2 (en) Double mass flywheel
JP3558462B2 (ja) フライホイール組立体
CA2997447A1 (en) Torsional vibration damping device
JP4625791B2 (ja) スプリングシート及びスプリング組立体
JP3116639B2 (ja) フライホイール
US5803441A (en) Damper mechanism with undulated ribbon-like spring having means for restricting radial movement of the spring
JP3314448B2 (ja) フライホイール
WO2006132101A1 (ja) ダンパーディスク組立体及びフライホイール組立体
JP3434040B2 (ja) 遠心振り子式吸振器
JPH0949531A (ja) 粘性抵抗発生機構
JPH10238589A (ja) 摩擦抵抗発生機構
JPH06193684A (ja) フライホイール
JP2006090528A (ja) 回転軸用制振装置
JP4088409B2 (ja) 動力伝達系のギア機構
JPH0732998Y2 (ja) トーショナルダンパ
US20070099710A1 (en) Flexible flywheel
JP3675644B2 (ja) ダンパー機構
JP3532612B2 (ja) トーショナルダンパ
JPH0754922A (ja) フライホイール組立体
JP2005249004A (ja) 摩擦抵抗発生機構
JP7218205B2 (ja) ダイナミックダンパ装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees