JP3727609B2 - 脱穀装置のシーブケース構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャフリップ板群を各上端に設定された横向き支点周りで揺動自在に連動連結して、チャフシーブ上の処理物量に応じてチャフシーブを開度調節可能に構成してある脱穀装置のシーブケース構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のような脱穀装置のシーブケース構造としては、例えば特開平7‐227137号公報や特開平7‐274684号公報などで開示されているように、チャフシーブ上の処理物の層厚を処理物量として検出するセンサ、チャフシーブを開度調節駆動する電動モータ、および、センサからの検出情報に基づいて電動モータの作動を制御する制御装置を設けて、チャフシーブ上の処理物量に応じたチャフシーブの開度調節を行えるように構成したものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術によると、センサ、電動モータ、および、制御装置を設ける必要があることから、製造コストが嵩む不都合が生じるようになっていた。また、現行の電子制御では、予め設定されたモードの中でセンサの検出値に対応してステップ的にチャフシーブの開度を調節するようにしていることから、現出されるチャフシーブの開度はチャフシーブ上の処理物量に応じた最適開度に対して誤差を有するようになっており、選別精度の向上を図る上において改善の余地があった。
【0004】
本発明の目的は、製造コストの低減化を図りながら選別精度の向上を図ることのできる脱穀装置のシーブケース構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
上記目的を達成するため、
請求項1記載の発明では、シーブケースに装備されるチャフシーブのチャフリップ板群を、各上端に設定された横向き支点周りで揺動自在に連動連結して開度調節可能に構成するとともに、前記チャフリップ板を閉じ側に弾性付勢する付勢手段を設けて、前記チャフリップ板に作用する処理物重量により前記チャフリップ板の開度が変化するよう構成し、前記チャフリップ板が作動し得る最大開度から最小開度までの範囲を設定するとともに最大開度から最小開度までの範囲を小さくすることが可能な最大最小開度範囲設定機構を設けてあり、
請求項2記載の発明では、シーブケースに装備されるチャフシーブのチャフリップ板群を、各上端に設定された横向き支点周りで揺動自在に連動連結して開度調節可能に構成するとともに、前記チャフリップ板を閉じ側に弾性付勢する付勢手段を設けて、前記チャフリップ板に作用する処理物重量により前記チャフリップ板の開度が変化するよう構成し、前記チャフリップ板の揺動可能範囲を設定するとともに前記揺動可能範囲を変更可能な開度設定機構を設け、
前記チャフリップ板に対して前記付勢手段が及ぼす付勢力の作用方向が、前記チャフリップ板の前記処理物重量に基づく開度変化に対応して変化するように、かつ、前記作用方向が前記開度設定機構の調節変更に伴って変化するように構成してある点にあり、
その作用効果は次の通りである。
【0006】
〔作用〕
上記請求項1記載の発明によると、チャフシーブ上に堆積する処理物量が多くなって重量が大きくなるほど、その重量により、チャフシーブ上の処理物量に略比例する状態でチャフシーブの開度を大きくすることができ、また逆に、チャフシーブ上に堆積する処理物量が少なくなって重量が小さくなるほど、付勢手段の弾性付勢により、チャフシーブ上の処理物量に略比例する状態でチャフリップ板の開度を小さくすることができるようになる。つまり、チャフシーブ上の処理物の層厚を処理物量として検出するセンサ、チャフシーブを開度調節駆動する電動モータ、および、センサからの検出情報に基づいて電動モータの作動を制御する制御装置を設けなくても、それらの代わりにチャフリップ板を閉じ側に弾性付勢する付勢手段を設けるだけの構成で、チャフシーブ上の処理物量に応じたチャフリップ板の開度調節を自動的に行えるようになる。また、この構成によって、センサ、電動モータ、および、制御装置を設ける構成に比較して、チャフシーブのメンテナンスを容易に行えるようになる。しかも、チャフシーブの開度調節をチャフシーブ上の処理物の重量で直接的に行うことによって、チャフシーブの開度調節をチャフシーブ上の処理物量に略比例する状態で俊敏に行うことができるので、現行の電子制御のように予め設定されたモードの中でセンサの検出値に対応してステップ的にチャフシーブの開度を調節する場合に比較して、現出されるチャフリップ板の開度とチャフシーブ上の処理物量に応じたチャフシーブの最適開度との誤差を極僅かなものにすることができるようになる。
【0007】
〔効果〕
従って、構成の簡素化、製造コストの低減化、ならびに、メンテナンス性の向上を図りながら選別精度の向上を図ることのできる脱穀装置のシーブケース構造を提供し得るに至った。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、コンバインに搭載される脱穀装置の縦断左側面が示されており、この脱穀装置は、その左側部に配備されたフィードチェーン1により横向き姿勢で挾持搬送される刈取穀稈の穂先側に対して脱穀処理を施す脱穀部A、脱穀部Aからの処理物に対して選別処理を施す選別部B、および、選別部Bにて選別された処理物のうちの一番物と二番物とを回収する回収部Cなどによって構成されている。
【0009】
脱穀部Aは、前後軸芯P1周りに回転駆動される扱胴2、扱胴2の下部側に配備された受網3、および、受網3の後方に形成された送塵口4などによって構成されており、フィードチェーン1により挾持搬送される刈取穀稈から穀粒を分離し、単粒化した穀粒や切れワラなどを受網3から漏下させるとともに、受網3から漏下しなかった穀粒や切れワラなどを送塵口4から排出するようになっている。
【0010】
選別部Bは、前部両側が前後揺動自在な支持アーム5に吊り下げ支持された状態(図2参照)で受網3の下方に配備されたシーブケース6、および、シーブケース6の前下方に配備された唐箕7などによって構成されており、シーブケース6が、その後部に装着されたクランク機構8の作動により揺動駆動されることによって、脱穀部Aからの処理物に対して篩い選別を施すとともに、唐箕7が、シーブケース6に向けて選別風を供給することによって、シーブケース6により篩い選別される処理物に対して風力選別を付加するようになっている。そして、これらの選別作動によって、脱穀部Aからの処理物を、一番物としての穀粒と、二番物としての穀粒と切れワラなどとの混在物と、三番物としての切れワラなどとに選別するようになっている。
【0011】
回収部Cは、シーブケース6の下方で唐箕7の後方に配備された一番物回収部9、および、シーブケース6の下方で一番物回収部9の後方に配備された二番物回収部10などによって構成されている。一番物回収部9は、選別部Bにて選別処理された処理物のうちの一番物を回収するとともに、その回収した一番物を、その底部に左右向きに配備された一番スクリュー11によって、その右端に連通接続された揚送スクリュー12に向けて搬送するよう構成されている。二番物回収部10は、選別部Bにて選別処理された処理物のうちの二番物を回収するとともに、その回収した二番物を、その底部に左右向きに配備された二番スクリュー13によって、その右端に連通接続された二番還元スクリュー14に向けて搬送するよう構成されている。尚、揚送スクリュー12は、一番スクリュー11にて搬送された一番物を揚送して脱穀装置の右側方に並設された貯留部(図示せず)に対して上方から供給するよう構成されている。また、二番還元スクリュー14は、二番スクリュー13にて搬送された二番物を揚送してシーブケース6に還元するよう構成されている。
【0012】
図2および図3に示すように、シーブケース6は、シーブケース6の上部前端に配備された第一グレンパン15、第一グレンパン15の後端に連なる状態に配備された第一チャフシーブ(請求項に記載のチャフシーブ)16、第一チャフシーブ16の後端に連なる状態に配備された第二グレンパン17、第二グレンパン17の上面から後方に向けて延設された第一ストローラック18、第二グレンパン17の後端に連なる状態に配備された第二チャフシーブ19、第二チャフシーブ19の後端に連なる状態に配備された第二ストローラック20、第一チャフシーブ16の下方に配備された第三グレンパン21、および、第三グレンパン21の後端に連なる状態に配備されたグレンシーブ22などによって構成されている。第一グレンパン15は、受網3の前部側から漏下した処理物を受け止めて比重差選別しながら後方に向けて移送するようになっている。第一チャフシーブ16は、受網3の後部側から漏下した処理物と第一グレンパン15により移送された処理物の中から穀粒などを粗選別して漏下させながら、残りの処理物を後方に向けて移送するようになっている。第一ストローラック18は、送塵口4から供給された処理物の中から穀粒などを篩い選別して漏下させるとともに、残りの処理物を後方に向けて移送するようになっている。第二グレンパン17は、第一ストローラック18を漏下した処理物を比重差選別しながら後方に向けて移送するようになっている。第二チャフシーブ19は、第二グレンパン17により移送された処理物と第一ストローラック18を経由した処理物の中から穀粒などを粗選別して二番物回収部10に漏下させるとともに、残りの処理物を後方に向けて移送するようになっている。第二ストローラック20は、第二チャフシーブ19により移送された処理物の中から穀粒などを篩い選別して二番物回収部10に漏下させるとともに、残りの処理物を後方に向けて移送して機外に排出するようになっている。第三グレンパン21は、第一チャフシーブ16から漏下した処理物を比重差選別しながら後方に向けて移送するようになっている。グレンシーブ22は、第三グレンパン21により移送された処理物と第一チャフシーブ16から供給された処理物の中から穀粒を精選別して一番物回収部9に漏下させるとともに、残りの処理物を後方に向けて移送するようになっている。
【0013】
グレンシーブ22の後方には、グレンシーブ22により後方に向けて移送された処理物を、グレンシーブ22の下方に配備された一番物回収部9に案内する起立姿勢と、グレンシーブ22の後下方に配備された二番物回収部10に案内する後方倒伏姿勢とに、グレンシーブ22の後下方に設定された横向き支点P2周りで姿勢切り換え可能な選別調節板23が装備されている。選別調節板23の構成について詳述すると、図4〜6に示すように、選別調節板23は、シーブケース6の横側壁である左右両側壁24に横向き支点P2周りで前後揺動自在に支持されるとともに、その左端側に操作アーム25が一体揺動可能に固着されている。操作アーム25の遊端には、左外側方に向けて突出する連係ピン25aが装備されている。シーブケース6の左側壁24には、連係ピン25aが挿通する横向き支点P2を中心とした円弧状の長孔24aが形成されるとともに、左側壁24における前部側の横外側面から左外側方に向けて突出する係合ピン24bが装備されている。長孔24aを挿通した連係ピン25aの挿通端には、その前方に位置する係合ピン24bに向けて左側壁24の横外側面に沿う状態で延出される平板状の操作杆26が装着されている。操作杆26の延出端には、係合ピン24bとの係合により選別調節板23を起立姿勢に保持する第一係合孔26aと、後方倒伏姿勢に保持する第二係合孔26bとが穿設されている。つまり、図5の(イ)に示すように、操作杆26の第一係合孔26aをシーブケース6の係合ピン24bに係合させることによって、選別調節板23を起立姿勢に切り換え保持することができて、グレンシーブ22により後方に向けて移送された処理物をグレンシーブ22の下方に配備された一番物回収部9に案内できるようになっている。また、図5の(ロ)に示すように、操作杆26の第二係合孔26bをシーブケース6の係合ピン24bに係合させることによって、選別調節板23を後方倒伏姿勢に切り換え保持することができて、グレンシーブ22により後方に向けて移送された処理物をグレンシーブ22の後下方に配備された二番物回収部10に案内できるようになっている。
【0014】
以上の構成から、例えば、収穫作物が麦のように脱穀処理時に切れワラが発生し易いものである場合には、グレンシーブ22の後方に配備された選別調節板23の姿勢を後方倒伏姿勢に切り換えておくことによって、グレンシーブ22から漏下せずにグレンシーブ22の後端まで移送された多くの切れワラが含まれている二番物を二番物回収部10に案内することができ、これによって、多くの切れワラが含まれている二番物が一番物回収部9に回収されることを防止できるとともに、その二番物を、二番物回収部10から二番スクリュー13および二番還元スクリュー14を介してシーブケース6に還元できて、穀粒と切れワラなどとに再選別処理できるようになっている。つまり、収穫作物が麦などである場合には、選別調節板23を後方倒伏姿勢に切り換えておくことによって選別精度の向上を図れるようになっている。
【0015】
また逆に、例えば、収穫作物が稲のように脱穀処理時に切れワラが発生し難いものである場合には、グレンシーブ22の後方に配備された選別調節板23の姿勢を起立姿勢に切り換えておくことによって、グレンシーブ22から漏下せずにグレンシーブ22の後端まで移送された殆どが穀粒である二番物を一番物回収部9に案内することができ、これによって、殆どが穀粒である二番物を、シーブケース6において再選別処理する手間なく、一番物回収部9から一番スクリュー11および揚送スクリュー12を介して貯留部に供給できるようになっている。つまり、収穫作物が稲などである場合には、選別調節板23を起立姿勢に切り換えておくことによって選別効率の向上を図れるようになっている。
【0016】
図1および図4において二点鎖線で示すように、脱穀装置の左側壁における前部側には、一番物回収部9に回収された一番物の選別精度を点検するための矩形状の点検口27が、シーブケース6の前部横側から一番物回収部9の上方に亘って形成されており、この点検口27から、シーブケース6の係合ピン24bに対する操作杆26の第一係合孔26aまたは第二係合孔26bの係合操作あるいは係合解除操作を容易に行えるようになっている。つまり、選別調節板23操作用の操作杆26を前方に向けて延出することによって、選別調節板23の姿勢を切り換え操作する際に既存の点検口27を有効利用することができ、これによって、脱穀装置の左側壁に新たに選別調節板23操作用の開口を設ける手間を省くことができるとともに、選別調節板23の姿勢切り換え保持操作をシーブケース6の横一側方から容易に行えるようになっている。
【0017】
図3、図4および図7に示すように、第一チャフシーブ16は、前後方向に並設されるチャフリップ板16A群を、それらの各上端に設定された横向き支点P3周りで揺動自在となるように連結部材28を介してシーブケース6の左右両側壁24に枢支連結するとともに、それらの下端同士を連結板29にて連動連結することによって開度調節可能に構成されている。また、第一チャフシーブ16は、コイルバネ30からなる付勢手段Zによって閉じ側に弾性付勢されている。以上の構成から、第一チャフシーブ16上に堆積する処理物量が多くなって重量が大きくなるほど、その重量により、第一チャフシーブ16上の処理物量に略比例する状態で第一チャフシーブ16の開度を大きくすることができ、また逆に、第一チャフシーブ16上に堆積する処理物量が少なくなって重量が小さくなるほど、付勢手段Zの弾性付勢により、第一チャフシーブ16上の処理物量に略比例する状態で第一チャフシーブ16の開度を小さくすることができるようになっている。つまり、第一チャフシーブ16を開閉可能に構成するとともに、第一チャフシーブ16を閉じ側に弾性付勢する付勢手段Zを設けるだけで、第一チャフシーブ16上の処理物量に応じた第一チャフシーブ16の開度調節を自動的に行えるようになっている。しかも、第一チャフシーブ16の開度調節を第一チャフシーブ16上の処理物の重量で直接的に行うことによって、第一チャフシーブ16の開度調節を第一チャフシーブ16上の処理物量に略比例する状態で俊敏に行うことができるので、現出される第一チャフシーブ16の開度と第一チャフシーブ16上の処理物量に応じた第一チャフシーブ16の最適開度との誤差を極僅かなものにすることができるようになっている。要するに、構成の簡素化ならびに製造コストの低減化を図りながら選別精度の向上を図れるようになっている。
【0018】
図8〜10に示すように、各チャフリップ板16Aの各上端部における左右両端部位には、各チャフリップ板16Aを連結部材28を介してシーブケース6の左右両側壁24に枢支連結するための枢支連結部16aが形成されるとともに、各チャフリップ板16Aにおける枢支連結部16a以外の上端部分16bが横向き支点P3より上方に突出しないように凹入形成されている。以上の構成から、第一チャフシーブ16上の処理物の重量で第一チャフシーブ16の開度を大きくする際に第一チャフシーブ16上の処理物が抵抗になることを抑制できるので、第一チャフシーブ16上の処理物の重量による第一チャフシーブ16の開度調節を、第一チャフシーブ16上の処理物量に適した状態に、より精度良く行えるようになっている。
【0019】
図4、図7および図8に示すように、第一チャフシーブ16における後方から二番目のチャフリップ板16Aの遊端には、左外側方に向けて突出するピン31が装着されている。一方、シーブケース6の左側壁24には、第一チャフシーブ16の開閉動作に伴うピン31の移動を許容する長孔24cが形成されている。長孔24cは、ピン31が装着されたチャフリップ板16Aの揺動支点である横向き支点P3を中心とした円弧状に形成され、その前端にピン31が接当する状態では第一チャフシーブ16が全閉状態(最小開度状態)となり、また、その後端にピン31が接当する状態では第一チャフシーブ16が全開状態(最大開度状態)となる長さに設定されている。シーブケース6における左側壁24の横外側には、第一チャフシーブ16を開閉操作するための操作レバー32が配備されている。操作レバー32は、第一チャフシーブ16における後方から二番目のチャフリップ板16Aを支持する揺動支点軸33に、その軸芯P3周りに揺動自在に枢支連結されるとともに、その揺動支点側箇所には、第一チャフシーブ16の開閉動作に伴うピン31の移動を許容する揺動支点軸33(横向き支点P3)を中心とした円弧状の長孔32aが形成されており、その長孔32aの前端をピン31に接当させた状態で後方側に揺動操作することによって、付勢手段Zの弾性付勢に抗して第一チャフシーブ16の開度を大きくすることができ、また、前方側に揺動操作することによって、付勢手段Zの弾性付勢により第一チャフシーブ16の開度を小さくすることができるようになっている。
【0020】
シーブケース6の左側壁24における長孔24cの前下方箇所には、揺動支点軸33を中心にして描かれる湾曲線上に所定間隔を隔てて並ぶ状態で外側方に向けて突設された第一係合ピン34a〜第六係合ピン34fによって構成される係合具34が装備されている。一方、操作レバー32の遊端側には、第一係合ピン34a〜第六係合ピン34fに択一的に係合可能な係合孔32bが形成されており、この係合孔32bを第一係合ピン34a〜第六係合ピン34fのいずれかに係合させることによって、その操作位置に操作レバー32を保持できるようになっている。操作レバー32をいずれかの操作位置に保持すると、その操作位置に応じたシーブケース6の左側壁24の長孔24cと操作レバー32の長孔32aとの重なり具合が現出され、チャフリップ板16Aのピン31の移動範囲が規制されるようになっている。つまり、操作レバー32を第一係合ピン34a〜第六係合ピン34fのいずれかに係合させることによって、その操作位置に応じた第一チャフシーブ16の最小開度と最大開度とを設定できるようになっている。
ここに、操作レバー32と係合具34、及び、操作レバー32に形成した長孔32a及び左側壁24の長孔24cを、チャフリップ板16Aの最小開度設定機構、最大開度設定機構、最大最小開度設定機構、開度範囲設定機構を構成する。
【0021】
尚、図4および図7に示すように、操作レバー32の長孔32bは、操作レバー32を第四係合ピン34dに係合させた状態において、その前端と左側壁24の長孔24cの前端とが一致し、操作レバー32の揺動支点である揺動支点軸33と第一係合ピン34aとを結ぶ第一線L1の線上から、揺動支点軸33と第五係合ピン34eとを結ぶ第五線L5の線上に亘る範囲で、チャフリップ板16Aのピン31が移動することを許容する長さ、つまり、シーブケース6の左側壁24の長孔24cよりも短い長さに設定されている。
【0022】
以下、操作レバー32を第一係合ピン34a〜第六係合ピン34fのそれぞれに係合させた場合に設定される第一チャフシーブ16の最小開度と最大開度について詳述する。
【0023】
操作レバー32を第一係合ピン32aに係合させた場合には、前記第一線L1の線上から揺動支点軸33と第二係合ピン34bとを結ぶ第二線L2の略線上に亘る範囲で、チャフリップ板16Aのピン31が移動することを許容する状態に、左側壁24の長孔24cに対して操作レバー32の長孔32bが重なるようになることから、この操作位置における第一チャフシーブ16の最小開度を、チャフリップ板16Aのピン31が左側壁24の長孔24cの前端に接当する全閉状態に設定できるとともに、第一チャフシーブ16の最大開度を、チャフリップ板16Aのピン31が操作レバー32の長孔32bの後端に接当して第二線L2の略線上に位置する開度状態に設定できるようになっている。
【0024】
操作レバー32を第二係合ピン32bに係合させた場合には、前記第一線L1の線上から揺動支点軸33と第三係合ピン34cとを結ぶ第三線L3の略線上に亘る範囲で、チャフリップ板16Aのピン31が移動することを許容する状態に、左側壁24の長孔24cに対して操作レバー32の長孔32bが重なるようになることから、この操作位置における第一チャフシーブ16の最小開度を、チャフリップ板16Aのピン31が左側壁24の長孔24cの前端に接当する全閉状態に設定できるとともに、第一チャフシーブ16の最大開度を、チャフリップ板16Aのピン31が操作レバー32の長孔32bの後端に接当して第三線L3の略線上に位置する開度状態に設定できるようになっている。
【0025】
操作レバー32を第三係合ピン32cに係合させた場合には、前記第一線L1の線上から揺動支点軸33と第四係合ピン34dとを結ぶ第四線L4の略線上に亘る範囲で、チャフリップ板16Aのピン31が移動することを許容する状態に、左側壁24の長孔24cに対して操作レバー32の長孔32bが重なるようになることから、この操作位置における第一チャフシーブ16の最小開度を、チャフリップ板16Aのピン31が左側壁24の長孔24cの前端に接当する全閉状態に設定できるとともに、第一チャフシーブ16の最大開度を、チャフリップ板16Aのピン31が操作レバー32の長孔32bの後端に接当して第四線L4の略線上に位置する開度状態に設定できるようになっている。
【0026】
操作レバー32を第四係合ピン32dに係合させた場合には、前述したように前記第一線L1の線上から前記第五線L5の線上に亘る範囲で、チャフリップ板16Aのピン31が移動することを許容する状態に、左側壁24の長孔24cに対して操作レバー32の長孔32bが重なるようになることから、この操作位置における第一チャフシーブ16の最小開度を、チャフリップ板16Aのピン31が左側壁24の長孔24cの前端に接当する全閉状態に設定できるとともに、第一チャフシーブ16の最大開度を、チャフリップ板16Aのピン31が操作レバー32の長孔32bの後端に接当して第五線L5の線上に位置する開度状態に設定できるようになっている。
【0027】
操作レバー32を第五係合ピン32eに係合させた場合には、前記第二線L2の略線上から揺動支点軸33と第六係合ピン34fとを結ぶ第六線L6の略線上に亘る範囲で、チャフリップ板16Aのピン31が移動することを許容する状態に、左側壁24の長孔24cに対して操作レバー32の長孔32bが重なるようになることから、この操作位置における第一チャフシーブ16の最小開度を、チャフリップ板16Aのピン31が操作レバー32の長孔32bの前端に接当して第二線L2の略線上に位置する開度状態に設定できるとともに、第一チャフシーブ16の最大開度を、チャフリップ板16Aのピン31が操作レバー32の長孔32bの後端に接当して第六線L6の略線上に位置する開度状態に設定できるようになっている。
【0028】
操作レバー32を第六係合ピン32fに係合させた場合には、操作レバー32の長孔32aの後端と左側壁24の長孔24cの後端とが一致し、前記第三線L3の略線上から前記第六線L6を越えて左側壁24の長孔24cの後端に接当する範囲で、チャフリップ板16Aのピン31が移動することを許容する状態に、左側壁24の長孔24cに対して操作レバー32の長孔32bが重なるようになることから、この操作位置における第一チャフシーブ16の最小開度を、チャフリップ板16Aのピン31が操作レバー32の長孔32bの前端に接当して第三線L3の略線上に位置する開度状態に設定できるとともに、第一チャフシーブ16の最大開度を、チャフリップ板16Aのピン31が左側壁24の長孔24cの後端に接当する全開状態に設定できるようになっている。
【0029】
以上の構成から、例えば、収穫する作物の種類が麦のように脱穀処理時に切れワラが発生し易いものである場合や、収穫する作物が乾き気味で第一チャフシーブ16から漏下し易いものである場合には、それらの状態に応じて操作レバー32を第一係合ピン34a〜第三係合ピン34cのいずれかに係合することによって、第一チャフシーブ16の最小開度を全閉状態に設定できるとともに第一チャフシーブ16の最大開度を比較的に小さい開度状態に設定でき、これによって、第一チャフシーブ16上の処理物に多く含まれる切れワラの第一チャフシーブ16からの漏下を抑制することができ、もって、選別精度の向上を図れるようになっている。また逆に、収穫する作物の種類が稲のように脱穀処理時に切れワラが発生し難いものである場合や、収穫する作物が濡れ気味で第一チャフシーブ16から漏下し難いものである場合には、それらの状態に応じて操作レバー32を第四係合ピン34d〜第六係合ピン34fのいずれかに係合することによって、第一チャフシーブ16の最小開度を全閉状態、チャフリップ板16Aのピン31が第二線L2の略線上に位置する比較的に小さい開度状態、もしくは、チャフリップ板16Aのピン31が第三線L3の略線上に位置する比較的に大きい開度状態のいずれかに設定できるとともに、第一チャフシーブ16の最大開度を比較的に大きい開度状態に設定でき、これによって、第一チャフシーブ16上の処理物に多く含まれる穀粒の第一チャフシーブ16からの漏下を促進させることができ、もって、選別効率の向上を図れるようになっている。
【0030】
つまり、収穫する作物の種類や濡れ具合などに応じて操作レバー32の係合位置を変更することにより、収穫する作物の種類や濡れ具合などを考慮した第一チャフシーブ16の最小開度と最大開度の設定を行うことができ、これによって、選別効率ならびに選別精度の向上を図れるようになっている。
【0031】
ちなみに、操作レバー32は、シーブケース6の左側壁24側に沿う状態に弾性復帰するバネ材で構成されており、その復帰力に抗して遊端側を弾性変形させることによって係合具34との係合を解除できるとともに、その復帰力によって係合具34との係合を維持できるようになっている。また、弾性変形により係合具34との係合を解除することから、係合孔32bは、操作レバー32の延出方向に沿う方向が長くなる長孔に形成されている。尚、図4および図8に示す符号35は、操作レバー32を弾性変形させて係合具34との係合を解除する際に、チャフリップ板16Aのピン31から操作レバー32の長孔32bが外れることを防止する外れ防止部材である。
【0032】
図4および図7に示すように、付勢手段Zを構成するコイルバネ30は、操作レバー32からチャフリップ板16Aのピン31に亘って架設されている。これにより、第一チャフシーブ16の最小開度と最大開度を設定する際に、操作レバー32を第四係合ピン34d〜第六係合ピン34fのいずれかに係合させた場合には、操作レバー32とともにその操作方向にコイルバネ30が移動するようになることから、第一チャフシーブ16の最小開度における閉じ側へのバネ付勢力を一定の値にできて、処理物量の変化に伴う第一チャフシーブ16の開度の変化の割合を略同じにでき、もって、第一チャフシーブ16の開度調節を第一チャフシーブ16上の処理物量に略比例する状態で行えるようになっている。また、第一チャフシーブ16の最小開度と最大開度を設定する際に、操作レバー32を第一係合ピン34a〜第三係合ピン34cのいずれかに係合させた場合には、操作レバー32を第一係合ピン34a側に操作するほど、コイルバネ30が伸長して第一チャフシーブ16の最小開度における閉じ側へのバネ付勢力が増大するようになることから、第一チャフシーブ16の開き操作が開始される処理物量の値を大きくすることができて、第一チャフシーブ16の開き操作が行われ難くすることができるとともに、第一チャフシーブ16の開き操作が行われた後の開度調節は第一チャフシーブ16上の処理物量に略比例する状態で行えるようになっている。
【0033】
要するに、収穫する作物の種類や濡れ具合などを考慮して設定した第一チャフシーブ16の最小開度を基準にして、処理物量の増減に応じた第一チャフシーブ16の開度調節を第一チャフシーブ16上の処理物量に略比例する状態で行えるのであり、もって、収穫する作物の種類や濡れ具合などに適した良好な選別を行えるようになっている。
【0034】
図7に示すように、コイルバネ30は、操作レバー32に対して出退自在に螺合された調節ネジ36を介して操作レバー32に連結されており、この調節ネジ36の出退操作によって、第一チャフシーブ16を閉じ側に弾性付勢するコイルバネ30の付勢力を調節できるようになっている。
【0035】
また、第一チャフシーブ16には、揺動支点軸33から後方に向けて延出する延出部37Aを有する状態で、後方から二番目のチャフリップ板16Aにピン31と揺動支点軸33を介して一体揺動可能に連結されるバランスウエイト37が装備されており、このバランスウエイト37の作用によって、第一チャフシーブ16上の処理物重量の変化による軽い操作力で開度調節される第一チャフシーブ16が、シーブケース6の揺動駆動時に、その自重によって開閉作動することを防止できるようになっている。
【0036】
図4に示すように、操作レバー32の操作端および係合具34は、脱穀装置の左側壁における前部側に形成された点検口27に臨むようになっており、この点検口27から、収穫する作物の種類や濡れ具合などに応じた第一チャフシーブ16の最小開度と最大開度とを設定するための操作レバー32の係合位置の変更を容易に行えるようになっている。つまり、第一チャフシーブ16の開度設定用の操作レバー32を操作する際においても既存の点検口27を有効利用することができるようになっており、これによって、脱穀装置の左側壁に新たに第一チャフシーブ16の開度設定用の開口を設ける手間を省くことができるとともに、第一チャフシーブ16の開度設定操作をシーブケース6の横一側方から容易に行えるようになっている。
【0037】
図3に示すように、シーブケース6は、第一グレンパン15と第二グレンパン17と第一ストローラック18とが一体形成された枠状の前部粗選別体6Aと、第二チャフシーブ19と第二ストローラック20とが一体形成された後部粗選別体6Bと、第三グレンパン21とグレンシーブ22とが一体形成されるとともに前部粗選別体6Aと後部粗選別体6Bとを外囲する枠状に形成されたシーブケース本体6Cとに三分割可能な樹脂成形品の連結によって構成されており、図2〜4、図8および図9に示すように、第一チャフシーブ16は、シーブケース6の横側壁24の一部である前部粗選別体6Aの横側壁6aに装着されるようになっている。また、図4に示すように、第一チャフシーブ16の開閉動作に伴うピン31の移動を許容する長孔24c、および、操作レバー32との係合により第一チャフシーブ16の最小開度と最大開度とを設定する係合具34は、シーブケース6の横側壁24の一部であるシーブケース本体6Cの左側壁6cに備えられるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱穀装置の縦断左側面図
【図2】シーブケースの構成を示す縦断左側面図
【図3】シーブケースの構成を示す分解斜視図
【図4】選別調節板とチャフシーブの操作構造を示すシーブケースの要部左側面図
【図5】(イ)選別調節板を起立姿勢に切り換えた状態を示すシーブケースの要部詳細図
(ロ)選別調節板を後方倒伏姿勢に切り換えた状態を示すシーブケースの要部詳細図
【図6】選別調節板の構成を示すシーブケースの要部縦断側面図
【図7】操作レバーを第四係合ピンに係合させたチャフシーブの開度設定状態を示すシーブケースの要部詳細図
【図8】チャフシーブの操作構造を示すシーブケースの要部横断平面図
【図9】チャフシーブの構成を示すシーブケースの要部縦断正面図
【図10】チャフリップ板の要部の形状を示す斜視図
【図11】別実施形態における操作レバーの構成を示すシーブケースの要部左側面図
【符号の説明】
6 シーブケース
16 チャフシーブ
16A チャフリップ板
P3 横向き支点(揺動支点)
Z 付勢手段
Claims (2)
- シーブケースに装備されるチャフシーブのチャフリップ板群を、各上端に設定された横向き支点周りで揺動自在に連動連結して開度調節可能に構成するとともに、前記チャフリップ板を閉じ側に弾性付勢する付勢手段を設けて、前記チャフリップ板に作用する処理物重量により前記チャフリップ板の開度が変化するよう構成し、前記チャフリップ板が作動し得る最大開度から最小開度までの範囲を設定するとともに最大開度から最小開度までの範囲を小さくすることが可能な最大最小開度範囲設定機構を設けてある脱穀装置のシーブケース構造。
- シーブケースに装備されるチャフシーブのチャフリップ板群を、各上端に設定された横向き支点周りで揺動自在に連動連結して開度調節可能に構成するとともに、前記チャフリップ板を閉じ側に弾性付勢する付勢手段を設けて、前記チャフリップ板に作用する処理物重量により前記チャフリップ板の開度が変化するよう構成し、前記チャフリップ板の揺動可能範囲を設定するとともに前記揺動可能範囲を変更可能な開度設定機構を設け、
前記チャフリップ板に対して前記付勢手段が及ぼす付勢力の作用方向が、前記チャフリップ板の前記処理物重量に基づく開度変化に対応して変化するように、かつ、前記作用方向が前記開度設定機構の調節変更に伴って変化するように構成してある脱穀装置のシーブケース構造。
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