JP3725631B2 - 熱現像カラー感光材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像カラー感光材料に関するものであり、特に画像のディスクリミネーション及び階調再現性に優れた熱現像カラー感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀を用いた写真法は、他の写真法、例えば、電子写真やジアゾ写真に比べて感度や階調調節等の写真特性に優れているため、従来から最も広範に用いられてきた。特にカラーハードコピーとしては最高の画質が得られるため、昨今より精力的に研究されている。
【0003】
近年になって、ハロゲン化銀を用いた感光材料の画像形成処理法を従来の湿式処理から、現像液を内蔵するインスタント写真システム、さらには加熱等による乾式熱現像処理等により、簡易迅速に画像を得ることの出来るシステムが開発されてきた。熱現像感光材料については、「写真工学の基礎(非銀塩写真編)コロナ社刊」p.242 〜にその内容の記載があるが、その内容としてはドライシルバーを代表とした、白黒画像形成法にとどまっている。最近、熱現像カラー感光材料としては、富士写真フイルム(株)社からピクトログラフィー、ピクトロスタットといった商品が発売されている。上記の簡易迅速処理法では、プレフォームドダイを連結したレドックス性色材を用いたカラー画像形成を行っている。写真感光材料のカラー画像形成法としては、カプラーと現像主薬酸化体のカップリング反応を利用する方法が最も一般的であり、この方法を採用した熱現像カラー感光材料についても、米国特許第3,761,270号、同第4,021,240号、特開昭59−231539号等、多くのアイデアが出願されている。また、最近では、熱現像感光材料をインスタント写真感光材料のように、撮影材料として用いる技術が、特願平7−234600号、同8−89977号、同8−88657号等に提案されている。撮影材料としてハロゲン化銀カラー感光材料を設計する場合、カプラーを用いたカップリング方式を採用すると、可視領域に吸収を有さないため感度の点で有利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
発明者らも撮影材料として、上記のカップリング型熱現像カラー感光材料について検討を行ったが、撮影材料を設計する場合、感光材料に与えられる光の情報量が広域にわたるため、これを忠実に階調再現するためには感光材料のダイナミックレンジを広く設計する必要がある。これは即ち、階調を軟調化することである。
【0005】
階調の軟調化を行う技術としては、感度の異なる乳剤を混合したり、塗布層を分けて塗設する方法等が当該分野では公知技術として広く使用されている。発明者らは、感光材料中にカプラーのみならず現像主薬をも含有する熱現像カラー感光材料において、階調の軟調化を行う技術について検討してきた。
【0006】
本発明の目的は、ディスクリミネーション及び階調再現性に優れた熱現像カラー感光材料を与えることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記3項記載の熱現像カラー感光材料によって達成された。
【0008】
1)支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、バインダー、カプラー、及び現像主薬を有し、同一の波長領域に分光感度を有する感光性乳剤層が2層以上塗設された感光性乳剤層群を有する熱現像カラー感光材料において、該感光性乳剤層群のうちの1層に含まれる現像主薬が他の少なくとも1層に含まれる現像主薬と異なるか、該感光性乳剤層群のうちの少なくとも2層が同じ個数の同じ種類の現像主薬を含み且つ該現像主薬のうちの1種の使用量と他の少なくとも1種の各々の使用量との比が該少なくとも2層間で異なる熱現像カラー感光材料。
2)前記感光性乳剤層群のうちの前記1層及び前記他の少なくとも1層、又は前記感光性乳剤層群のうちの前記少なくとも2層が、同一の波長領域に異なる感度を有することを特徴とする請求項1に記載の熱現像カラー感光材料
3)該現像主薬が下記一般式(1)〜(5)で表される化合物から選ばれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱現像カラー感光材料。
【0009】
【化6】
Figure 0003725631
【0010】
【化7】
Figure 0003725631
【0011】
【化8】
Figure 0003725631
【0012】
【化9】
Figure 0003725631
【0013】
【化10】
Figure 0003725631
【0014】
式中、R1 〜R4 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、又はアシルオキシ基を表し、R5 は置換若しくは無置換のアルキル基、アリール基、又は複素環基を表す。Zは芳香環(複素芳香環も含む)を形成する原子群を表し、Zがベンゼン環である場合、その置換基のハメット定数(σp )の合計値は1以上である。R6 は置換又は無置換のアルキル基を表す。Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又は3級窒素原子(アルキル置換)を表す。R7 、R8 は水素原子、又は置換基を表し、R7 、R8 が互いに結合して2重結合又は環を形成してもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に述べる。
本発明の技術が目指す最終目的は、内蔵された現像主薬の酸化体とカプラーのカップリング反応により、色素画像を形成する熱現像カラー感光材料の階調の軟調化である。この目的に使用する内蔵可能な現像主薬として、発明者らは一般式(1)〜(5)に記載の化合物を選択した。まずこれらの化合物について述べる。
【0016】
一般式(1)で表される化合物はスルホンアミドフェノールと総称される化合物である。
【0017】
式中、R1 〜R4 は水素原子、ハロゲン原子(例えば、クロル基、ブロム基)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基)、アルキルカルボンアミド基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチロイルアミノ基)、アリールカルボンアミド基(例えば、ベンゾイルアミノ基)、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基)、アリールスルホンアミド基(例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基)、アルキルカルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ピペリジルカルバモイル基、モルホリルカルバモイル基)、アリールカルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル基、メチルフェニルカルバモイル基、エチルフェニルカルバモイル基、ベンジルフェニルカルバモイル基)、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、ジブチルスルファモイル基、ピペリジルスルファモイル基、モルホリルスルファモイル基)、アリールスルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル基、メチルフェニルスルファモイル基、エチルフェニルスルファモイル基、ベンジルフェニルスルファモイル基)、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基)、又はアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ基)を表す。R1 〜R4 の中で、R2 及びR4 は好ましくは水素原子である。また、R1 〜R4 のハメット定数σP 値の合計は、0以上となることが好ましい。R5 はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、4−メトキシフェニル基、ドデシルフェニル基、クロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ニトロクロロフェニル基、トリイソプロピルフェニル基、4−ドデシルオキシフェニル基、3,5−ジ−(メトキシカルボニル)基)、又は複素環基(例えば、ピリジル基)を表す。
【0018】
一般式(2)で表される化合物はスルホニルヒドラジンと総称される化合物である。また、一般式(4)で表される化合物はカルバモイルヒドラジンと総称される化合物である。
【0019】
一般式(2)又は(4)中、Zは芳香環を形成する原子群を表す。Zによって形成される芳香環は、本化合物に銀現像活性を付与するため、十分に電子吸引的であることが必要である。このため、含窒素芳香環を形成するか、又はベンゼン環に電子吸引性基を導入したような芳香環が好ましく使用される。このような芳香環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、キノキサリン環等が好ましい。ベンゼン環の場合、その置換基としては、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基)、ハロゲン原子(例えば、クロル基、ブロム基)、アルキルカルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ピペリジルカルバモイル基、モルホリルカルバモイル基)、アリールカルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル基、メチルフェニルカルバモイル基、エチルフェニルカルバモイル基、ベンジルフェニルカルバモイル基)、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、ジブチルスルファモイル基、ピペリジルスルファモイル基、モルホリルスルファモイル基)、アリールスルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル基、メチルフェニルスルファモイル基、エチルフェニルスルファモイル基、ベンジルフェニルスルファモイル基)、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基)、又はアリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基)等が挙げられるが、上記置換基のハメット定数σp 値の合計は、1以上となることが好ましい。
【0020】
一般式(3)で表される化合物はスルホニルヒドラゾンと総称される化合物である。また、一般式(5)で表される化合物はカルバモイルヒドラゾンと総称される化合物である。
【0021】
一般式(3)又は(5)中、R6 は置換又は無置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)を表す。Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又は3級窒素原子(アルキル置換)を表すが、アルキル置換の3級窒素原子が好ましい。R7 、R8 は水素原子、又は置換基を表し、R7 、R8 が互いに結合して2重結合又は環を形成してもよい。
【0022】
以下に、一般式(1)〜(5)で表される化合物の具体例を示すが、本発明の化合物はもちろんこれによって限定されるものではない。
【0023】
【化11】
Figure 0003725631
【0024】
【化12】
Figure 0003725631
【0025】
【化13】
Figure 0003725631
【0026】
【化14】
Figure 0003725631
【0027】
【化15】
Figure 0003725631
【0028】
【化16】
Figure 0003725631
【0029】
【化17】
Figure 0003725631
【0030】
【化18】
Figure 0003725631
【0031】
【化19】
Figure 0003725631
【0032】
【化20】
Figure 0003725631
【0033】
【化21】
Figure 0003725631
【0034】
【化22】
Figure 0003725631
【0035】
上記の化合物は、一般的に公知の方法で合成することが可能である。以下に簡単な合成ルートを列挙する。
【0036】
【化23】
Figure 0003725631
【0037】
【化24】
Figure 0003725631
【0038】
【化25】
Figure 0003725631
【0039】
本発明において、色素供与性化合物には、酸化カップリング反応によって色素を形成する化合物(カプラー)を使用する。このカプラーとして、本発明では4当量カプラーと2当量カプラーを主薬の種類によって使い分ける。
【0040】
まず、一般式(1)〜(3)の現像主薬に対しては、4当量カプラーを使用する。一般式(1)〜(3)の現像主薬は、カップリング部位がスルホニル基によって置換されており、カップリング時に、このスルホニル基がスルフィン酸して離脱するため、カプラー側の離脱基はカチオンとして離脱しなければならないからである。このため、一般式(1)〜(3)の現像主薬はカップリング時にプロトンを離脱基として放出可能な4当量カプラーとは反応して発色するが、離脱基がアニオンである2当量カプラーの場合、反応はするが発色しない。逆に、一般式(4)、(5)の現像主薬に対しては2等量カプラーを使用する。一般式(4)、(5)の現像主薬は、カップリング部位がカルバモイル基によって置換されており、カップリング時に窒素原子上の水素原子がプロトンとして離脱するため、カプラー側の離脱基はアニオンとして離脱しなければならないからである。このため、一般式(4)、(5)の現像主薬はカップリング時にアニオンを離脱基として放出可能な2当量カプラーとは反応して発色するが、離脱基がプロトンである4当量カプラーの場合、反応はするが発色しない。カプラーの具体例は、4当量、2当量の両者ともセオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス(4th.Ed.T.H.James編集 Macmillan,1977)291頁〜334頁、及び354頁〜361頁、特開昭58─12353号、同58─149046号、同58─149047号、同59─11114号、同59─124399号、同59─174835号、同59─231539号、同59─231540号、同60─2951号、同60─14242号、同60─23474号、同60─66249号等に詳しく記載されている。
【0041】
本発明に好ましく使用されるカプラーの例を以下に列挙する。
【0042】
本発明に好ましく使用されるカプラーとしては、以下の一般式(6)〜(17)に記載するような構造の化合物がある。これらはそれぞれ一般に活性メチレン、ピラゾロン、ピラゾロアゾール、フェノール、ナフトールと総称される化合物であり、当該分野で公知の化合物である。
【0043】
【化26】
Figure 0003725631
【0044】
【化27】
Figure 0003725631
【0045】
【化28】
Figure 0003725631
【0046】
一般式(6)〜(9)は活性メチレン系カプラーと称されるカプラーを表し、式中、R24は置換基を有してもよいアシル基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基である。
【0047】
一般式(6)〜(9)において、R25は置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基である。一般式(9)において、R26は置換基を有してもよいアリール基又はヘテロ環基である。R24、R25、R26が有してもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、水酸基、スルホ基等、種々の置換基を挙げることができる。R24の好ましい例としては、アシル基、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。
【0048】
一般式(6)〜(9)において、Yは水素原子又は現像主薬酸化体とのカップリング反応により脱離可能な基である。Yの例として、2当量カプラーのアニオン性離脱基として作用する基としては、ハロゲン原子(例えば、クロル基、ブロム基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、4−アルコキシカルボニルフェニル基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基)、アルキルカルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ピペリジルカルバモイル基、モルホリルカルバモイル基)、アリールカルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル基、メチルフェニルカルバモイル基、エチルフェニルカルバモイル基、ベンジルフェニルカルバモイル基)、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、ジブチルスルファモイル基、ピペリジルスルファモイル基、モルホリルスルファモイル基)、アリールスルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル基、メチルフェニルスルファモイル基、エチルフェニルスルファモイル基、ベンジルフェニルスルファモイル基)、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基)、アルキルカルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ基)、アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ基、トルイルオキシ基、アニシルオキシ基)、含窒素複素環基(例えば、イミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基)等が挙げられる。
【0049】
また、4当量カプラーのカチオン性離脱基として作用する基としては、水素原子、ホルミル基、カルバモイル基、置換基を有するメチレン基(置換基としては、アリール基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基等)、アシル基、スルホニル基等が挙げられる。
【0050】
一般式(6)〜(9)において、R24とR25、R24とR26は互いに結合して環を形成してもよい。
【0051】
一般式(10)は5−ピラゾロン系マゼンタカプラーと称されるカプラーを表し、式中、R27は、アルキル基、アリール基、アシル基、又はカルバモイル基を表す。R28は、フェニル基、又は1個以上のハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、若しくはアシルアミノ基が置換したフェニル基を表す。Yについては一般式(6)〜(9)と同様である。
【0052】
一般式(10)で表される5−ピラゾロン系マゼンタカプラーの中でも、R27がアリール基又はアシル基、R28が1個以上のハロゲン原子が置換したフェニル基のものが好ましい。
【0053】
これら好ましい基について詳しく述べると、R27は、フェニル、2−クロロフェニル、2−メトキシフェニル、2−クロロ−5−テトラデカンアミドフェニル、2−クロロ−5−(3−オクタデセニル−1−スクシンイミド)フェニル、2−クロロ−5−オクタデシルスルホンアミドフェニル若しくは2−クロロ−5−〔2−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェノキシ)テトラデカンアミド〕フェニル等のアリール基、又はアセチル、ピバロイル、テトラデカノイル、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)アセチル、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブタノイル、ベンゾイル、3−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシアセトアジド)ベンゾイル等のアシル基であり、これらの基はさらに置換基を有してもよく、それらは炭素原子、酸素原子、窒素原子、若しくはイオウ原子で連結する有機置換基又はハロゲン原子である。
【0054】
28は、2,4,6−トリクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、2−クロロフェニル基等の置換フェニル基が好ましい。
【0055】
一般式(11)はピラゾロアゾール系カプラーと称されるカプラーを表し、式中、R29は水素原子又は置換基を表す。Zは窒素原子を2〜4個含む5員のアゾール環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、該アゾール環は置換基(縮合環を含む)を有してもよい。Yについては、一般式(6)〜(9)と同様である。
【0056】
一般式(11)で表されるピラゾロアゾール系カプラーの中でも、発色色素の吸収特性の点で、米国特許第4,500,630号に記載のイミダゾ〔1,2−〕ピラゾール類、米国特許第4,540,654号、同第5,541,501号に記載のピラゾロ〔1,5−〕〔1,2,4〕トリアゾール類、米国特許第3,725,067号に記載のピラゾロ〔5,1−〕〔1,2,4〕トリアゾール類が好ましく、光堅牢性の点で、これらのうち、ピラゾロ〔1,5−〕〔1,2,4〕トリアゾール類が好ましい。
【0057】
置換基R29、Y及びZで表されるアゾール環の置換基の詳細については、例えば、米国特許第4,540,654号明細書の第2カラム第41行〜第8カラム第27行に記載されている。好ましくは特開昭61−65245号に記載されているような分岐アルキル基がピラゾロトリアゾール基の2,3又は6位に直結したピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−65245号に記載されている分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号に記載されたアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基をもつピラゾロアゾールカプラー、特開昭62−209457号若しくは同63−307453号に記載されている6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロトリアゾールカプラー、及び特願平1−22279号に記載された分子内にカルボンアミド基をもつピラゾロトリアゾールカプラーである。
【0058】
一般式(12)、(13)はそれぞれフェノール系カプラー、ナフトール系カプラーと称されるカプラーであり、式中、R30は水素原子又は−NHCOR32、−SO2 NR3233、−NHSO2 32、−NHCOR32、−NHCONR3233、−NHSO2 NR3233から選ばれる基を表す。R32、R33は水素原子又は置換基を表す。一般式(12)、(13)において、R31は置換基を表し、pは0〜2から選ばれる整数、mは0〜4から選ばれる整数を表す。Yについては一般式(6)〜(9)と同様である。R31〜R33としては、前記R24〜R26の置換基として述べたものが挙げられる。
【0059】
一般式(12)で表されるフェノール系カプラーの好ましい例としては、米国特許第2,369,929号、同第2,801,171号、同第2,772,162号、同第2,895,826号、同第3,772,002号等に記載の2−アルキルアミノ−5−アルキルフェノール系、米国特許第2,772,162号、同第3,758,308号、同第4,126,396号、同第4,334,011号、同第4,327,173号、西独特許公開第3,329,729号、特開昭59−166956号等に記載の2,5−ジアシルアミノフェノール系、米国特許第3,446,622号、同第4,333,999号、同第4,451,559号、同第4,427,767号等に記載の2−フェニルウレイド−5−アシルアミノフェノール系等を挙げることができる。
【0060】
一般式(13)で表されるナフトールカプラーの好ましい例としては、米国特許第2,474,293号、同第4,052,212号、同第4,146,396号、同第4,228,233号、同第4,296,200号等に記載の2−カルバモイル−1−ナフトール系及び米国特許第4,690,889号等に記載の2−カルバモイル−5−アミド−1−ナフトール系等を挙げることができる。
【0061】
一般式(14)〜(17)はピロロトリアゾールと称されるカプラーであり、R42、R43、R44は水素原子又は置換基を表す。Yについては一般式(6)〜(9)と同様である。R42、R43、R44の置換基としては、前記R24〜R26の置換基として述べたものが挙げられる。一般式(14)〜(17)で表されるピロロトリアゾール系カプラーの好ましい例としては、欧州特許第488,248A1号、同第491,197A1号、同第545,300号、同第628,867号に記載の、R42、R43の少なくとも一方が電子吸引基であるカプラーが挙げられる。
【0062】
その他、縮環フェノール、イミダゾール、ピロール、3−ヒドロキシピリジン、活性メチン、5,5−縮環複素環、5,6−縮環複素環といった構造を有するカプラーが使用できる。
【0063】
縮環フェノール系カプラーとしては、米国特許第4,327,173号、同第4,564,586号、同第4,904,575号等に記載のカプラーが使用できる。
【0064】
イミダゾール系カプラーとしては、米国特許第4,818,672号、同第5,051,347号等に記載のカプラーが使用できる。
【0065】
ピロール系カプラーとしては、特開平4−188137号、同4−190347号等に記載のカプラーが使用できる。
【0066】
3−ヒドロキシピリジン系カプラーとしては、特開平1−315736号等に記載のカプラーが使用できる。
【0067】
活性メチン系カプラーとしては、米国特許第5,104,783号、同第5,162,196号等に記載のカプラーが使用できる。
【0068】
5,5−縮環複素環系カプラーとしては、米国特許第5,164,289号に記載のピロロピラゾール系カプラー、特開平4−174429号に記載のピロロイミダゾール系カプラー等が使用できる。
【0069】
5,6−縮環複素環系カプラーとしては、米国特許第4,950,585号に記載のピラゾロピリミジン系カプラー、特開平4−204730号に記載のピロロトリアジン系カプラー、欧州特許第556,700号に記載のカプラー等が使用できる。
【0070】
本発明には前述のカプラー以外に、西独特許第3,819,051A号、同第3,823,049号、米国特許第4,840,883号、同第5,024,930号、同第5,051,347号、同第4,481,268号、欧州特許第304,856A2号、同第329,036号、同第354,549A2号、同第374,781A2号、同第379,110A2号、同第386,930A1号、特開昭63−141055号、同64−32260号、同64−32261号、特開平2−297547号、同2−44340号、同2−110555号、同3−7938号、同3−160440号、同3−172839号、同4−172447号、同4−179949号、同4−182645号、同4−184437号、同4−188138号、同4−188139号、同4−194847号、同4−204532号、同4−204731号、同4−204732号等に記載されているカプラーも使用できる。
【0071】
本発明に使用できるカプラーの具体例を以下に示す。前述のとおり、4当量カプラーは、現像主薬として一般式(1)〜(3)の化合物との組み合わせで画像形成用に使用する。また、2当量カプラーは、現像主薬として一般式(4)、(5)の化合物との組み合わせで画像形成用に使用する。本発明はもちろん、以下の化合物例によって限定されるわけではない。
【0072】
【化29】
Figure 0003725631
【0073】
【化30】
Figure 0003725631
【0074】
【化31】
Figure 0003725631
【0075】
【化32】
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【0076】
【化33】
Figure 0003725631
【0077】
【化34】
Figure 0003725631
【0078】
【化35】
Figure 0003725631
【0079】
【化36】
Figure 0003725631
【0080】
【化37】
Figure 0003725631
【0081】
【化38】
Figure 0003725631
【0082】
【化39】
Figure 0003725631
【0083】
【化40】
Figure 0003725631
【0084】
【化41】
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【0085】
【化42】
Figure 0003725631
【0086】
【化43】
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【0087】
【化44】
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【0088】
【化45】
Figure 0003725631
【0089】
【化46】
Figure 0003725631
【0090】
【化47】
Figure 0003725631
【0091】
【化48】
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【0092】
【化49】
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【0093】
【化50】
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【0094】
【化51】
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【0095】
【化52】
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【0096】
【化53】
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【0097】
【化54】
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【0098】
【化55】
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【0099】
【化56】
Figure 0003725631
【0100】
【化57】
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【0101】
【化58】
Figure 0003725631
【0102】
【化59】
Figure 0003725631
【0103】
【化60】
Figure 0003725631
【0104】
【化61】
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【0105】
【化62】
Figure 0003725631
【0106】
【化63】
Figure 0003725631
【0107】
【化64】
Figure 0003725631
【0108】
【化65】
Figure 0003725631
【0109】
【化66】
Figure 0003725631
【0110】
【化67】
Figure 0003725631
【0111】
【化68】
Figure 0003725631
【0112】
【化69】
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【0113】
【化70】
Figure 0003725631
【0114】
現像主薬及びカプラーの添加方法としては、まず、カプラー、現像主薬及び高沸点有機溶媒(例えば、リン酸アルキルエステル、フタル酸アルキルエステル等)を混合して低沸点有機溶媒(例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン等)に溶解し、これを、当該分野で公知の乳化分散法を用いて水に分散させた後、感光材料塗布液に添加することができる。また、特開昭63−271339号に記載の固体分散法による添加も可能である。
【0115】
カプラーの添加量は、そのモル吸光係数(ε)にもよるが、反射濃度で1.0以上の画像濃度を得るためには、カップリングにより生成する色素のεが5000〜500000程度のカプラーの場合、塗布量として0.001〜100ミリモル/m2 程度、好ましくは0.01〜10ミリモル/m2 、さらに好ましくは0.05〜5ミリモル/m2 程度が適当である。
【0116】
現像主薬の添加量は広い範囲を持つが、好ましくはカプラーに対して0.01〜100モル倍、さらに好ましくは0.1〜10モル倍が適当である。
【0117】
本発明では、階調の軟調化のために、同一の分光感度を有する複数の感光性乳剤層群において、現像主薬を2種以上併用する。特に、感度の異なる2つ以上の乳剤層が存在し、その中の少なくとも2層、好ましくは隣接する2層の、それぞれに含まれる現像主薬が実質的に異なっている場合、特に軟調化に対して効果のあることがわかった。ここで、実質的に異なるとは、本発明では以下のように定義する。
【0118】
ある乳剤層にk個(kは自然数)の現像主薬(D1,D2,・・・,Dk )が含まれているとする。この乳剤層と同一の分光感度で、感度の異なる乳剤層が1層以上ある場合を考える。その中のある1つの乳剤層が、
1)D1,D2,・・・,Dk 以外の現像主薬を含む場合
2)同じ個数、同じ種類の現像主薬を用いている場合で、D1,D2,・・・,Dk について、[ Dn の使用量]/[ D1 の使用量](n= 2〜k,D1≠0 )を2層間で比較したとき、そのいずれかが異なっている( Dn /D1=0 の場合も含む)場合
の2つの関係のいずれかを有する場合について、実質的に異なると定義する。
同一の分光感度を有する複数の感光性乳剤層群は、好ましくは、それぞれの感度の異なる乳剤層であり、例えば、高感度赤感性乳剤層、中感度赤感性乳剤層、低感度赤感性乳剤層が挙げられる。2層又は3層であることが好ましい。低感度乳剤層ほど発色効率の高い現像主薬を用いることが写真性の観点で好ましい。
【0119】
本発明のカラー感光材料は、基本的には支持体上に感光性ハロゲン化銀、色素供与性化合物としてカプラー、還元剤、バインダーを有するものであり、さらに必要に応じて有機金属塩酸化剤等を含有することができる。これらの成分を同一の層に添加することが多いが、反応可能な状態であれば別層に分割して添加することができる。
【0120】
イエロー、マゼンタ、シアンの3原色を用いて色度図上の広範囲の色を得るためには、少なくとも3層のそれぞれ異なるスペクトル領域に感光性を持つハロゲン化銀乳剤層を組み合わせて用いる。例えば、青感層、緑感層、赤感層の3層、緑感層、赤感層、赤外感層の組み合わせ等がある。各感光層は通常のカラー感光材料で知られている種々の配列順序を採ることができる。
【0121】
感光材料には、感光層及び中間層以外に保護層、下塗り層、アンチハレーション層、バック層等の種々の補助層を設けることができる。さらに色分離性を改良するために種々のフィルター染料を添加することもできる。
【0122】
一般に写真感光材料の処理においては塩基を必要とするが、本発明の感光材料においては、さまざまな塩基供給方法が採用できる。例えば、感光材料側に塩基発生機能を与える場合、塩基プレカーサーを感光材料中に導入することが可能である。このような塩基プレカーサーとしては、例えば、熱により脱炭酸する有機酸と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロッセン転位又はベックマン転位によりアミン類を放出する化合物等がある。この例については、米国特許第4,514,493号、同第4,657,848号等に記載されている。
【0123】
また、感光材料と処理シートを重ね合わせて処理する形態を用いる場合、処理シート中に塩基又は塩基プレカーサーを導入する方法も使用することができる。この場合の塩基としては、無機塩基の他にアミン誘導体のような有機塩基を使用することもできる。
【0124】
さらに感光材料側と処理シート側それぞれに塩基プレカーサーを含有させ、2者反応によって塩基を発生させる反応も利用可能である。このような2剤反応型の塩基発生方法の例としては、例えば、難溶性塩基性金属塩とキレート剤の反応によるものや、求核剤とエポキシ化合物の反応によるもの等が利用可能である。この例については、特開昭63−198050号等に記載がある。
この場合、感光材料と処理シートの間に少量の溶媒(水等)を含ませた状態で加熱してもよい。この溶媒の付与方法は後述する。また、この溶媒としては極性の液体、特に水が好ましい。
【0125】
本発明の感光材料の支持体としては、当該分野、特に熱現像感光材料の支持体として公知のものを使用することができる。このような支持体としては、例えば、ポリエチレンでラミネートした紙支持体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステル支持体等を挙げることができる。このような支持体の例としては、特開昭63−189860号にその詳細な記載がある。
【0126】
本発明の感光材料の支持体には、上記に挙げたものの他に、シンジオタクチック構造を有するスチレン系ポリマーを延伸した支持体も好ましく使用できる。このポリマー支持体は、記述のものと同様、単独重合体でも、共重合体でもよい。このようなポリマー支持体については、特願平7−45079号にその詳細な説明がある。
【0127】
本発明で使用するハロゲン化銀乳剤は、表面潜像型乳剤であっても、内部潜像型乳剤であってもよい。内部潜像型乳剤は造核剤や光カブラセとを組み合わせて直接反転乳剤として使用される。また、粒子内部と粒子表層が異なる相を持ったいわゆるコアシェル乳剤であってもよく、またエピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよい。ハロゲン化銀乳剤は単分散でも多分散でもよく、特開平1−167743号、同4−223463号記載のように単分散乳剤を混合し、階調を調節する方法が好ましく用いられる。粒子サイズは0.1〜2μm、特に0.2〜1.5μmが好ましい。ハロゲン化銀粒子の晶癖は立方体、8面体、14面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、高アスペクト比の平板状のような変則的な結晶系を有するもの、双晶面のような結晶欠陥を有するもの、又はそれらの複合系その他のいずれでもよい。
具体的には、米国特許第4,500,626号第50欄、同第4,628,021号、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下、RDと略記する)No. 17,029(1978年)、同No. 17,643(1978年12月)22〜23頁、同No. 18,716(1979年11月)648頁、同No. 307,105(1989年11月)863〜865頁、特開昭62−253159号、同64−13546号、特開平2−236546号、同3−110555号、グラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(F. Glafkides, Chemie et Phisique Photographique, Paul Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G. F. Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V. L. Zelikman et al., Making and Coating Photograpic Emulsion, Focal Press,1964)等に記載されている方法を用いて調製したハロゲン化銀乳剤のいずれもが使用できる。
【0128】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤を調製する過程で、過剰の塩を除去するいわゆる脱塩を行うことが好ましい。このための手段として、ゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いてもよく、また多価アニオンより成る無機塩類(例えば、硫酸ナトリウム)、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)、又はゼラチン誘導体(例えば、脂肪族アシル化ゼラチン、芳香族アシル化ゼラチン、芳香族カルバモイル化ゼラチン等)を利用した沈降法を用いてもよい。沈降法が好ましく用いられる。
【0129】
本発明で使用する感光性ハロゲン化銀乳剤には、種々の目的でイリジウム、ロジウム、白金、カドミウム、亜鉛、タリウム、鉛、鉄、オスミウム等の重金属を含有させてもよい。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、また、2種以上組み合わせて用いてもよい。添加量は、使用する目的によるが一般的には、ハロゲン化銀1モル当たり10-9〜10-3モル程度である。また、含有させる時には、粒子に均一に入れてもよいし、また、粒子の内部や表面に局在させてもよい。具体的には、特開平2−236542号、同1−116637号、同5−181246号等に記載の乳剤が好ましく用いられる。
【0130】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成段階において、ハロゲン化銀溶剤としてロダン塩、アンモニア、4置換チオエーテル化合物や特公昭47−11386号記載の有機チオエーテル誘導体又は特開昭53−144319号に記載されている含硫黄化合物等を用いることができる。
【0131】
その他の条件については、前記のグラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(F. Glafkides, Chemie et Phisique Photographique, Paul Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G. F. Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V. L. Zelikman et al., Making and Coating Photograpic Emulsion, Focal Press,1964)等の記載を参照すればよい。すなわち、酸性法、中性法、アンモニア法のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせのいずれを用いてもよい。単分散乳剤を得るためには、同時混合法が好ましく用いられる。
粒子を銀イオン過剰の下において形成させる逆混合法も用いることができる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ、いわゆるコントロールドダブルジェット法も用いることができる。
【0132】
また、粒子成長を早めるために、添加する銀塩及びハロゲン塩の添加濃度、添加量、添加速度を上昇させてもよい(特開昭55−142329号、同55−158124号、米国特許第3,650,757号等)。
さらに、反応液の攪拌方法は、公知のいずれの攪拌方法でもよい。また、ハロゲン化銀粒子形成中の反応液の温度、pHは、目的に応じてどのように設定してもよい。好ましいpH範囲は2.2〜8.5、より好ましくは2.5〜7.5である。
【0133】
感光性ハロゲン化銀乳剤は通常は化学増感されたハロゲン化銀乳剤である。本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤の化学増感には、通常型感光材料用乳剤で公知の硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法等のカルコゲン増感法、金、白金、パラジウム等を用いる貴金属増感法及び還元増感法等を単独又は組み合わせて用いることができる(例えば、特開平3−110555号、同5−241267号等)。これらの化学増感を含窒素複素環化合物の存在下で行うこともできる(特開昭62−253159号)。また、後掲するかぶり防止剤を化学増感終了後に添加することができる。具体的には、特開平5−45833号、特開昭62−40446号記載の方法も用いることができる。
化学増感時のpHは好ましくは5.3〜10.5、より好ましくは5.5〜8.5であり、pAgは好ましくは6.0〜10.5、より好ましくは6.8〜9.0である。
本発明において使用される感光性ハロゲン化銀乳剤の塗設量は、好ましくは銀換算1mg/m2 乃至10g/m2 の範囲、より好ましくは100mg/m2 乃至5g/m2 の範囲である。
【0134】
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀に緑感性、赤感性、赤外感性の感色性を持たせるためには、感光性ハロゲン化銀乳剤をメチン色素類その他によって分光増感する。また、必要に応じて青感性乳剤に青色領域の分光増感を施してもよい。
用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素及びヘミオキソノール色素が包含される。
具体的には、米国特許第4,617,257号、特開昭59−180550号、同64−13546号、特開平5−45828号、同5−45834号等に記載の増感色素が挙げられる。
これらの増感色素は単独で用いてもよいが、それらの組み合わせを用いてもよく、増感色素の組み合わせは特に、強色増感や分光感度の波長調節の目的でしばしば用いられる。
増感色素とともに、それ自身分光増感作用を持たない色素又は可視光を実質的に吸収しない化合物であって、強色増感を示す化合物を乳剤中に含んでもよい(例えば、米国特許第3,615,641号、特開昭63−23145号等に記載のもの)。
これらの増感色素を乳剤中に添加する時期は化学熟成時若しくはその前後でもよいし、米国特許第4,183,756号、同4,225,666号に従ってハロゲン化銀粒子の核形成前後でもよい。また、これらの増感色素や強色増感剤は、メタノール等の有機溶媒に溶解した溶液、ゼラチン等に分散させた分散物又は界面活性剤を用いて溶解した溶液として添加すればよい。添加量は一般にハロゲン化銀1モル当たり10-8乃至10-2モル程度である。
【0135】
このような工程で使用される添加剤及び本発明の感光材料や処理シートに使用できる公知の写真用添加剤は、前記のRDNo. 17,643、同No. 18,716及び同No. 307,105に記載されており、その該当箇所を下記の表にまとめる。
【0136】
Figure 0003725631
【0137】
感光材料の構成層のバインダーには親水性のものが好ましく用いられる。その例としては前記のリサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたものが挙げられる。具体的には、透明か半透明の親水性バインダーが好ましく、例えば、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質又はセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン等の多糖類のような天然化合物とポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体等の合成高分子化合物が挙げられる。また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOM又は−SO3 M(Mは水素原子又はアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士、若しくは他のビニルモノマーとの共重合体(例えば、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、住友化学(株)製のスミカゲルL−5H)も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。特にゼラチンと上記バインダーの組み合わせが好ましい。また、ゼラチンは種々の目的に応じて石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、カルシウム等の含有量を減らしたいわゆる脱灰ゼラチンから選択すればよく、これらを組み合わせて用いることも好ましい。バインダーの添加量は0.01〜100g/m2 であり、0.1〜50g/m2 であることが好ましく、1〜20g/m2 であることがさらに好ましい。
【0138】
本発明においては、感光性ハロゲン化銀乳剤と共に、有機金属塩を酸化剤として併用することもできる。このような有機金属塩の中で、有機銀塩は、特に好ましく用いられる。
上記の有機銀塩酸化剤を形成するのに使用し得る有機化合物としては、米国特許第4,500,626号第52〜53欄等に記載のベンゾトリアゾール類、脂肪酸その他の化合物がある。また、米国特許第4,775,613号記載のアセチレン銀も有用である。有機銀塩は、2種以上を併用してもよい。
以上の有機銀塩は、感光性ハロゲン化銀1モル当たり、0.01〜10モル、好ましくは0.01〜1モルを併用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤と有機銀塩の塗布量合計は銀換算で0.05〜10g/m2 、好ましくは0.1〜4g/m2 が適当である。
本発明の感光材料には、現像の活性化と同時に画像の安定化を図る化合物を用いることができる。好ましく用いられる具体的化合物については米国特許第4,500,626号の第51〜52欄に記載されている。また、特開平8−69097号に基されているような、ハロゲン化銀を定着し得る化合物を使用することもできる。
【0139】
感光材料の構成層に用いる硬膜剤としては、前記リサーチ・ディスクロージャー、米国特許第4,678,739号第41欄、同4,791,042号、特開昭59−116655、同62−245261号、同61−18942号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジエチロール尿素等)、又は高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。これらの硬膜剤は、塗布されたゼラチン1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、添加する層は、感光材料や色素固定材料の構成層のいずれの層でもよいし、2層以上に分割して添加してもよい。
【0140】
感光材料の構成層には、種々のカブリ防止剤又は写真安定剤及びそれらのプレカーサーを使用することができる。その具体例としては、前記リサーチ・ディスクロージャー、米国特許第5,089,378号、同第4,500,627号、同第4,614,702号、特開昭64−13,546号(7)〜(9)頁、(57)〜(71)頁及び(81)〜(97)頁、米国特許第4,775,610号、同第4,626,500号、同第4,983,494号、特記相性62−174747号、同62−239148号、同63−264747号、特開平1−150135号、同2−110557号、同2−178650号、RDNo. 17,643(1978年)(24)〜(25)頁等に記載の化合物が挙げられる。これらの化合物は、銀1モル当たり5×10-6〜1×10-1モルが好ましく、1×10-5〜1×10-2モルがさらに好ましく用いられる。
【0141】
感光材料の構成層には、塗布助剤、剥離性改良、スベリ性改良、帯電防止、現像促進等の目的で種々の界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の具体例は前記リサーチ・ディスクロージャー、特開昭62−173463号、同62−183457号等に記載されている。
熱現像感光材料の構成層には、スベリ性改良、帯電防止、剥離性改良等の目的で有機フルオロ化合物を含ませてもよい。有機フルオロ化合物の代表例としては、特公昭57−9053号第8〜17欄、特開昭61−20944号、同62−135826号等に記載されているフッ素系界面活性剤、フッ素油等のオイル状フッ素系化合物又は四フッ化エチレン樹脂等の固体状フッ素化合物樹脂等の疎水性フッ素化合物が挙げられる。
【0142】
感光材料には、接着防止、スベリ性改良、非光沢面化等の目的でマット剤を用いることができる。マット剤としては、二酸化ケイ素、ポリオレフィン又はポリメタクリレート等の特開昭61−88256号(29)頁に記載の化合物の他に、ベンゾグアナミン樹脂ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ、AS樹脂ビーズ等の特開昭63−274944号、同63−274952号記載の化合物がある。その他前記リサーチ・ディスクロージャー記載の化合物が使用できる。これらのマット剤は、最上層(保護層)のみならず必要に応じて下層に添加することもできる。
その他、感光材料の構成層には、熱溶剤、消泡剤、防菌防バイ剤、コロイダルシリカ等を含ませてもよい。これらの添加剤の具体例は、特開昭61−88256号第(26)〜(32)頁、特開平3−11338号、特公平2−51496号等に記載されている。
【0143】
本発明において感光材料には画像形成促進剤を用いることができる。画像形成促進剤には銀塩酸化剤と還元剤との酸化還元反応の促進、色素生成反応の促進等の機能があり、物理化学的な機能からは塩基又は塩基プレカーサー、求核性化合物、高沸点有機溶媒(オイル)、熱溶剤、界面活性剤、銀又は銀イオンと相互作用を持つ化合物等に分類される。ただし、これらの物質群は一般に複合機能を有しており、上記の促進効果のいくつかを合わせ持つのが常である。これらの詳細については米国特許第4,678,739号第38〜40欄に記載されている。
【0144】
本発明において熱現像感光材料には、現像時の処理温度及び処理時間の変動に対し、常に一定の画像を得る目的で種々の現像停止剤を用いることができる。
ここでいう現像停止剤とは、適正現像後、速やかに塩基を中和又は塩基と反応して膜中の塩基濃度を下げ現像を停止させる化合物又は銀及び銀塩と相互作用して現像を抑制する化合物である。具体的には、加熱により酸を砲手する酸プレカーサー、加熱により共存する塩基と置換反応を起こす親電子化合物、又は含窒素ヘテロ環化合物、メルカプト化合物及びその前駆体等が挙げられる。さらに詳しくは、特開昭62−253159号(31)〜(32)頁に記載されている。
【0145】
感光材料に画像を露光し記録する方法としては、例えば、カメラ等を用いて風景や人物等を直接撮影する方法、プリンターや引伸機等を用いてリバーサルフィルムやネガフィルムを通して露光する方法、複写機の露光装置等を用いて、原画をスリット等を通して走査露光する方法、画像情報を電気信号を経由して発光ダイオード、各種レーザー(レーザーダイオード、ガスレーザー等)等を発光させ走査露光する方法(特開平2−129625号、同5−176144号、同5−199372号、同6−127021号等に記載の方法)、画像情報をCRT、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ等の画像表示装置に出力し、直接又は光学系を介して露光する方法等がある。
【0146】
感光材料へ画像を記録する光源としては、上記のように、自然光、タングステンランプ、発光ダイオード、レーザー光源、CRT光源等の米国特許第4,500,626号第56欄、特開平2−53378号、同2−54672号記載の光源や露光方法を用いることができる。
また、非線形光学材料とレーザー光等のコヒーレントな光源を見合わせた波長変換素子を用いて画像露光することもできる。ここで非線形光学材料とは、レーザー光のような強い光電界を与えたときに現れる分極と電界との間の非線形性を発現可能な材料であり、ニオブ酸リチウム、リン酸二水素カリウム(KDP)、沃素酸リチウム、BaB2 4 等に代表される無機化合物や、尿素誘導体、ニトロアニリン誘導体、例えば、3−メチル−4−ニトロピリジン−N−オキシド(POM)のようなニトロピリジン−N−オキシド誘導体、特開昭61−53462号、同62−210432号に記載の化合物が好ましく用いられる。波長変換素子の形態としては、単結晶光導波路型、ファイバー型等が知られており、そのいずれもが有用である。
また、前記の画像情報は、ビデオカメラ、電子スチルカメラ等から得られる画像信号、日本テレビジョン信号規格(NTSC)に代表されるテレビ信号、原画をスキャナ等多数の画素に分割して得た画像信号、CG、CADで代表されるコンピューターを用いて作成された画像信号を利用できる。
【0147】
本発明の感光材料を加熱現像で処理する場合、加熱現像のための加熱手段として導電性の発熱体層を有する形態であってもよい。この場合の発熱要素には、特開昭61−1454544号等に記載のものを利用できる。
熱現像工程での加熱温度は約60℃〜180℃であり、好ましくは65℃〜100℃である。また、加熱時間は0.1秒〜60秒であり、好ましくは5秒〜45秒である。
【0148】
現像工程における加熱方法としては、加熱されたブロックやプレートに接触させたり、熱板、ホットプレッサー、熱ローラー、熱ドラム、ハロゲンランプヒーター、赤外及び遠赤外ランプヒーター等に接触させたり、高温の雰囲気中を通過させる方法等がある。
感光材料と処理シートを重ね合わせる方法は特開昭62−253159号、特開昭61−147244号(27)頁記載の方法が適用できる。
【0149】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を詳しく説明する。
【0150】
(実施例1)
〈中感度感光性ハロゲン化銀乳剤の調製方法〉
良く攪拌しているゼラチン水溶液(水1000ml中に不活性ゼラチン30g、臭化カリウム2g)に、アンモニア・硝酸アンモニウムを溶剤として加えて75℃に保温し、ここに硝酸銀1モルを含む水溶液1000mlと、臭化カリウム1モルと沃化カリウム0.03モルを含む水溶液1000mlを78分かけて同時に添加した。水洗、脱塩の後、不活性ゼラチンを加えて再分散し、球相当径0.76μmでヨード含有率3モル%の中感度沃臭化銀乳剤を調製した。球相当径は、コールターカウンター社のモデルTA−IIで測定した。
上記乳剤に、56℃でチオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウムを添加し、最適に化学増感した。この乳剤に各分光感度に相当する増感色素を、塗布液調液時に添加して感色性を与えた。
【0151】
〈高感度感光性ハロゲン化銀乳剤の調製方法〉
上記中感度感光性ハロゲン化銀乳剤と同一の組成の溶液を用い、調製温度、滴下時間及び電位を調節して、球相当径1.10μmでヨード含有率3モル%の高感度沃臭化銀乳剤を調製した。上記乳剤に、56℃でチオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウムを添加し、最適に化学増感した。この乳剤に各分光感度に相当する増感色素を、塗布液調液時に添加して感色性を与えた。
【0152】
〈低感度感光性ハロゲン化銀乳剤の調製方法〉
上記中感度感光性ハロゲン化銀乳剤と同一の組成の溶液を用い、調製温度、滴下時間及び電位を調節して、球相当径0.32μmでヨード含有率3モル%の低感度沃臭化銀乳剤を調製した。上記乳剤に、56℃でチオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウムを添加し、最適に化学増感した。この乳剤に各分光感度に相当する増感色素を、塗布液調液時に添加して感色性を与えた。
【0153】
〈水酸化亜鉛分散物の調製方法〉
一次粒子の粒子サイズが0.2μmの水酸化亜鉛の粉末31g、分散剤としてカルボキシメチルセルロース1.6g及びポリアクリル酸ソーダ0.4g、石灰処理オセインゼラチン8.5g、水158.5mlを混合し、この混合物をガラスビーズを用いたミルで1時間分散した。分散後、ガラスビーズを濾別し、水酸化亜鉛の分散物188gを得た。
【0154】
〈カプラーの乳化分散物の調製方法〉
表1に示す組成の油相成分、水相成分をそれぞれ溶解し、60℃の均一な溶液とする。油相成分と水相成分を合わせ、1lのステンレス容器中で、直径5cmのディスパーサーのついたディゾルバーにより、10000 rpmで20分間分散した。これに、後加水として、表1に示す量の温水を加え、2000 rpmで10分間混合した。このようにして、シアン、マゼンタ、イエロー3色のカプラーの乳化分散物を調製した。
【0155】
【表1】
Figure 0003725631
【0156】
【化71】
Figure 0003725631
【0157】
【化72】
Figure 0003725631
【0158】
このようにして得られた素材を用いて、表2〜5に示す多層構成の熱現像カラー感光材料101を作製した。
【0159】
【表2】
Figure 0003725631
【0160】
【表3】
Figure 0003725631
【0161】
【表4】
Figure 0003725631
【0162】
【表5】
Figure 0003725631
【0163】
【化73】
Figure 0003725631
【0164】
【化74】
Figure 0003725631
【0165】
【化75】
Figure 0003725631
【0166】
【化76】
Figure 0003725631
【0167】
さらに、表6〜8に示す内容の処理シートR−1を作製した。
【0168】
【表6】
Figure 0003725631
【0169】
【表7】
Figure 0003725631
【0170】
【表8】
Figure 0003725631
【0171】
【化77】
Figure 0003725631
【0172】
【化78】
Figure 0003725631
【0173】
次に、表9に示すとおりに、各層のカプラー及び現像主薬を101に対して変更した以外は、101と全く同じ組成の感光材料102〜120をそれぞれ作製した。このようにしてできた感光材料101〜120を連続的に濃度の変化したB、G、R、グレーのフィルターを通して2500 luxで0.01秒露光した。この露光済の感材面に40℃の温水を15ml/m2 付与し、処理シートR−1の処理層面と感光材料101〜120の感材面とが対向するように処理シートR−1と感光材料101〜120とを重ね合わせた後、これらをヒートドラムを用いて83℃で30秒間熱現像した。処理後処理シートR−1を剥離すると、感光材料側に露光したフィルターに対応する、シアン、マゼンタ、イエロー、グレーのカラー画像が鮮明に得られた。処理直後にこの感光材料101〜120のカラー画像を自動記録式連続濃度計(フィルターはステータスAを用いた)でセンシトメトリーした結果を表10に示す。なお、階調のγ(ガンマ)は濃度2.5と1.5の点を結んだ直線の傾きによって評価した。
【0174】
【表9】
Figure 0003725631
【0175】
【表10】
Figure 0003725631
【0176】
表10の結果をまとめると、まず、一群のすべての感光性乳剤層に同一の現像主薬とカプラーの組み合わせを用いた比較例の感光材料101〜108では、画像の階調のγは1.0程度である。これに対して本発明の感光材料109〜120では階調のγが軟調化しているのがわかる。以上より本発明の効果は明らかである。
【0177】
(実施例2)
感光材料101と全く同じ組成の感光材料201を作製した。次に、感光材料201に対して、表11に示すように緑色性感光性層(マゼンタ発色層)の現像主薬の含有量及び含有比率を変更した以外は感光材料201と全く同じ組成の感光材料202〜210をそれぞれ作製した。このようにして作製した感光材料201〜210を、連続的に濃度の変化したB、G、R、グレーのフィルターを通して2500 luxで0.01秒露光した。この露光済の感材面に40℃の温水を15ml/m2 付与し、処理シートR−1の処理層面と感光材料201〜210の感材面とが対向するように処理シートR−1と感光材料201〜210とを重ね合わせた後、これらをヒートドラムを用いて83℃で30秒間熱現像した。処理後処理シートR−1を剥離すると、感光材料側に露光したフィルターに対応する、シアン、マゼンタ、イエロー、グレーのカラー画像が鮮明に得られた。処理直後にこの感光材料201〜210のカラー画像を自動記録式連続濃度計(フィルターはステータスAを用いた)でセンシトメトリーした結果を表12に示す。
【0178】
【表11】
Figure 0003725631
【0179】
【表12】
Figure 0003725631
【0180】
表12の結果をまとめると、まず、一群のすべての感光性乳剤層に同一の現像主薬とカプラーの組み合わせを用いた比較例の感光材料201〜205では、画像のいずれの濃度部においても階調のγは1.0程度である。これに対して各乳剤層の現像主薬の含有量及び含有比率を変化させた本発明の感光材料206〜210ではいずれの濃度部においても階調のγが変化しているのがわかる。このように、本発明の感光材料では、現像主薬の含有量及び含有比率を変化させることによって、好ましい階調を設計することが可能である。以上より本発明の効果は明らかである。
【0181】
【発明の効果】
本発明は、上記構成とすることにより、ディスクリミネーション及び階調再現性に優れた熱現像カラー感光材料を提供することができる。

Claims (3)

  1. 支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、バインダー、カプラー、及び現像主薬を有し、同一の波長領域に分光感度を有する感光性乳剤層が2層以上塗設された感光性乳剤層群を有する熱現像カラー感光材料において、該感光性乳剤層群のうちの1層に含まれる現像主薬が他の少なくとも1層に含まれる現像主薬と異なるか、該感光性乳剤層群のうちの少なくとも2層が同じ個数の同じ種類の現像主薬を含み且つ該現像主薬のうちの1種の使用量と他の少なくとも1種の各々の使用量との比が該少なくとも2層間で異なる熱現像カラー感光材料。
  2. 前記感光性乳剤層群のうちの前記1層及び前記他の少なくとも1層、又は前記感光性乳剤層群のうちの前記少なくとも2層が、同一の波長領域に異なる感度を有することを特徴とする請求項1に記載の熱現像カラー感光材料
  3. 該現像主薬が下記一般式(1)〜(5)で表される化合物から選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱現像カラー感光材料。
    Figure 0003725631
    Figure 0003725631
    Figure 0003725631
    Figure 0003725631
    Figure 0003725631
    [式中、R1 〜R4 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、又はアシルオキシ基を表し、R5 は置換若しくは無置換のアルキル基、アリール基、又は複素環基を表し、Zは芳香環(複素芳香環も含む)を形成する原子群を表し、Zがベンゼン環である場合、その置換基のハメット定数(σp )の合計値は1以上であり、R6 は置換又は無置換のアルキル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又は3級窒素原子(アルキル置換)を表し、R7 、R8 は水素原子、又は置換基を表し、R7 、R8 が互いに結合して2重結合又は環を形成してもよい]
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