JP3699768B2 - 熱現像カラー感光材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像カラー感光材料に関するものであり、特にディスクリミネーションに優れたシアン色素画像を与える、熱現像カラー感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀を用いた写真法は、他の写真法、たとえば電子写真やジアゾ写真に比べて感度や階調調節などの写真特性に優れているため、従来から最も広範に用いられてきた。特にカラーハードコピーとしては最高の画質が得られるため、昨今より精力的に研究されている。
【0003】
近年になって、ハロゲン化銀を用いた感光材料の画像形成処理法を従来の湿式処理から、現像液を内蔵するインスタント写真システム、さらには加熱等による乾式熱現像処理などにより、簡易迅速に画像を得ることの出来るシステムが開発されてきた。熱現像感光材料については、「写真工学の基礎(非銀塩写真編)コロナ社刊」p.242 〜にその内容の記載があるが、その内容としてはドライシルバーを代表とした、白黒画像形成法にとどまっている。最近、熱現像カラー感光材料としては、3M社からカラードライシルバー、富士写真フイルム(株)社からピクトログラフィー、ピクトロスタットといった商品が発売されている。上記の簡易迅速処理法では、前者はロイコ染料、後者はプレフォームドダイを連結したレドックス性色材を用いたカラー画像形成を行っている。写真感光材料のカラー画像形成法としては、カプラーと現像主薬酸化体のカップリング反応を利用する方法が最も一般的であり、この方法を採用した熱現像カラー感光材料についても、米国特許第3,761,270号、同第4,021,240号、特開昭59−231539号、同60−128438号等、多くのアイデアが出願されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
発明者らも上記のカップリング型熱現像カラー感光材料について検討を行ったが、米国特許第4,021,240号、特開昭60−128438号等に記載されているようなスルホンアミドフェノールは、感光材料に内蔵する場合、ディスクリミネーションならびに生保存性に優れた化合物であることがわかった。また、カップリング方式では、プレフォームドダイを連結した色材を使用したシステムに比べ、カプラーが処理前は可視域に吸収を持たないため、感度の点で有利であり、プリント材料のみならず撮影材料としても使用できるという利点があるため、検討を進めてきた。このような観点で発明者らはスルホンアミドフェノールの現像主薬としての可能性をさまざまな化合物を合成して調べてきた。その結果、スルホンアミドフェノールは生保存性に優れ、ディスクリミネーションに優れたカラー画像を与える化合物ではあるが、シアン色素画像を得るために、通常のシアンカプラーを用いた場合、十分な濃度のシアン色素画像が得られないという問題があることがわかった。
【0005】
そこで、スルホンアミドフェノールを現像主薬として使用する場合のシアンカプラーの分子設計について鋭意検討した結果、本発明の一般式〔1〕〜〔4〕の化合物が有効であることがわかった。また、主薬の分子設計も同時に検討した結果、スルホンアミドフェノールの離脱基をアリール基とし、そのオルト位に置換基を有する化合物が、非常に高活性であることを見出した。発明者らは、さらに好ましい化合物を探索し、オルト位に置換基を有することに加え、離脱基が電子供与性のバラスト基を有していることも重要な要素であることを見出した。
【0006】
(発明の目的)
本発明の目的は、ディスクリミネーションに優れたシアン画像を得ることができる、熱現像カラー感光材料を与えることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記項に記す熱現像カラー感光材料によって達成された。
1)支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、バインダー、カプラー、現像主薬を有する熱現像カラー感光材料において、該カプラーとして、下記一般式〔1〕〜〔4〕で表される化合物のうち、少なくとも1種を含み、該現像主薬として、下記一般式〔5〕で表される化合物を含むことを特徴とする熱現像カラー感光材料。
一般式〔1〕
【0008】
【化7】
Figure 0003699768
【0009】
一般式〔2〕
【化8】
Figure 0003699768
【0010】
一般式〔3〕
【化9】
Figure 0003699768
【0011】
一般式〔4〕
【化10】
Figure 0003699768
【0012】
一般式〔1〕〜〔4〕中、1 ,R2 水素原子または置換基を表し、そのハメット置換基定数(σ値)の合計が0以上である。R3 はアルキル基、またはその置換基のσ値の合計が0以下であるアリール基を表す。Yは水素原子または現像主薬酸化体とのカップリング反応により脱離可能な基を表す。
般式〔5〕
【0013】
【化11】
Figure 0003699768
【0014】
一般式〔5〕中、R4 〜R7 は置換基を表し、そのハメット置換基定数(σ値)の合計が0以上である基を表す。R8 はアリール基を表す。
)R8 が下記一般式〔6〕で表される基であることを特徴とする)記載の熱現像カラー感光材料。
一般式〔6〕
【0015】
【化12】
Figure 0003699768
【0016】
式中、R9 〜R13は置換基を表し、そのハメット置換基定数(σ値)の合計が0以上である基を表す。R9 および/またはR13には水素原子以外の置換基を有する。R9 とR10またはR12とR13は互いに結合して、環を形成してもよい。
)R4 〜R7 の中に、炭素数8以上のバラスト基を有するか、またはR9 〜R13の炭素数の合計が8以上であることを特徴とする、)記載の熱現像カラー感光材料。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に述べる。
【0018】
一般式〔1〕〜〔4〕で表される化合物は、ピロロトリアゾールシアンカプラーと称せられる化合物であり、当該分野においては公知の化合物である。このカプラーの具体的な例としては、欧州特許第488248A1号、同第491197A1号、同第545300号に記載の化合物が挙げられる。以下、この化合物について詳述する。一般式〔1〕〜〔4〕の式中、R1 ,R2 は水素原子または置換基を表す。この置換基の例としては、例えば置換あるいは無置換の、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えばビニル基、アルキルビニル基)、アルキニル基(例えばフェニルアセチレン基)、アリール基(例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アシルフェニル基)、ヘテロ環基(例えばピリジル基、フリル基、モルホリル基、ピペリジル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、ドデシルオキシ基)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、ナフチルオキシ基)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基、トリルチオ基)、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基、オクタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基、トルエンスルホニル基、3,5−ジ−メトキシカルボニルフェニルスルホニル基)、アルキルカルボニル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル基、ナフチルカルボニル基)、アルキルカルボンアミド基(例えばアセチルアミノ基、2−エチルヘキサノイルアミノ基、ピバロイルアミノ基、スクシンイミド基)、アリールカルボンアミド基(例えばベンゾイルアミノ基、フタルイミド基)、アルキルスルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基)、アリールスルホンアミド基(例えばベンゼンスルホンアミド基、トルエンスルホンアミド基、ナフタレンスルホンアミド基)、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、エチルフェニルカルバモイル基、ピペリジルカルバモイル基、モルホリルカルバモイル基)、アリールカルバモイル基(例えばフェニルカルバモイル基)、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、ジブチルスルファモイル基、ピロリジルスルファモイル基、モルホリルスルファモイル基)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−1−シクロヘキシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基、アルキルフェノキシカルボニル基)、アルキルアミノ基(例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリル基、2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基)、アリールアミノ基(例えばN−メチルアニリノ基、N−エチルトルイジル基)、水酸基、スルホ基等、種々の置換基を挙げることができる。中でも本発明においては、R1 ,R2 のハメット置換基定数(σ値)の合計が0以上である、電子吸引性置換基が置換されていることが好ましい。R3 は本発明においては電子供与的な基であることが好ましく、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基、t−オクチル基)、またはその置換基のσ値の合計が0以下であるアリール基(例えば4−アルコキシフェニル基、アルキルフェニル基、スルホンアミドフェニル基、カルボンアミドフェニル基)を表す。
【0019】
また、Yは水素原子または現像主薬酸化体とのカップリング反応により脱離可能な基である。Yの例として、カルボキシル基、ホルミル基、ハロゲン原子、(たとえば臭素、ヨウ素)、カルバモイル基、置換基を有するメチレン基(置換基としては、アリール基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基等)、アシル基、スルホ基等が挙げられる。この中で、Yは水素原子が好ましい。何故ならば、本発明ではカップリング現像主薬として、後述するように一般式〔5〕で表されるスルホンアミドフェノールを使用するからである。この化合物を使用した場合、色素形成の際のカップリング反応において、カップリング後の離脱反応で、現像主薬側からスルフィン酸がアニオンとして離脱するため、カプラー側からの離脱基はカチオンでなければならない。そのため、通常の2当量カプラーでは置換されている離脱基がアニオン離脱型であるため不適当である。かかる理由から本発明では、Yが水素原子である4当量カプラーが最も好ましい。
【0020】
一般式〔1〕〜〔4〕で表されるカプラーは、公知の方法の組合せによって合成することが可能である。以下に、典型的な合成例を反応スキームとして記載する。
【0021】
【化13】
Figure 0003699768
【0022】
〔シアンカプラー C−1の合成〕
【0023】
1)化合物Aの合成
温度計とジムロート冷却管を取り付けた3リットルの3ツ口フラスコに、マロン酸ジエチル256g(2モル)、エタノール700mlを仕込み、室温条件下攪拌する。ここに水酸化カリウム112gをエタノール950mlに溶解した溶液を1時間かけて加える。滴下後、フラスコ内の温度が50℃になるように加温しながら、1時間反応させた後冷却し、フラスコ内の温度を10℃以下に保つ。このまま2時間攪拌を続けると、生成物が結晶として析出するので、これを吸引濾過する。この結晶を10℃以下のエタノールで洗浄後乾燥して、化合物Aの結晶218gを得た(収率 80%)。
【0024】
2)化合物A,B→Cの合成
温度計を取り付けた5リットルの3ツ口フラスコに、化合物B232g(1モル)、酢酸エチル900mlを仕込み、攪拌しながら5℃以下に保つ。ここに無水トリフルオロ酢酸185ml(1.3モル)を30分かけて滴下する。この後、ここに化合物A187g(1.1モル)を1時間かけて加える。この時、内温は10℃以下に保つ。添加終了後、さらに室温で2時間反応させる。この反応混合物に、冷水1200mlを注意しながら加え、更に炭酸水素ナトリウム150gを加えて中和する。中和後、水相を捨て、酢酸エチル相を水、続いて飽和食塩水で分液洗浄する。酢酸エチル相を集め、これを無水硫酸ナトリウムで乾燥の後、溶媒を減圧下留去し、オイル状の化合物C313gを得た(収率 92%)。
【0025】
3)化合物C→Dの合成
2リットルのナス型フラスコに、化合物C340g(1モル)、イソプロパノール700ml、抱水ヒドラジン150g(3モル)を仕込み、ジムロート冷却管を取付け、マグネティックスターラーで攪拌しながら、3時間加熱還流させて反応を行った。この反応混合物から、減圧条件下、イソプロパノールを600mlあまり留去した後、これを酢酸エチル1リットル、水1リットルの中に加え、分液、抽出した。酢酸エチル相を水1リットルでさらにもう1回洗浄し、この後、食塩水でさらに3回洗浄して、ヒドラジンを酢酸エチル相から除く。このようにして洗浄した酢酸エチル相を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥の後、溶媒を減圧下留去する。ここにn−ヘキサン2.5リットルを加え、攪拌すると結晶が析出するので、これを減圧濾過する。結晶をn−ヘキサンで洗浄の後乾燥して、化合物Dの結晶147gを得た(収率 45%)。
【0026】
4)化合物Eの合成
温度計を取り付けた3リットルの3ツ口フラスコに、濃硝酸(61重量%)165ml(2.2モル)を仕込み、攪拌しながら5℃以下に保つ。ここに濃硫酸(98重量%)400mlを30分かけて滴下する。この時、内温が30℃を越えないように注意する。添加終了後、ここにp−トルニトリル239g(2モル)を1時間かけて加える。この時、内温は30℃以下に保つ。添加終了後、さらに室温で2時間反応させる。この反応混合物を、氷1200gに注意しながら加える。添加終了後、攪拌を続けると、結晶が析出するのでこれを吸引濾過する。この結晶を10℃以下の水で洗浄後乾燥して、化合物Eの結晶308gを得た(収率
95%)。
【0027】
5)化合物E→F(+D)→G→Hの合成
温度計とジムロート冷却管を取り付けた5リットルの3ツ口フラスコに、化合物E324g(2モル)、メタノール2リットルを仕込み、攪拌しながら5℃以下に保つ。ここにナトリウムメチラート(28重量%メタノール溶液)386g(2モル)を30分かけて滴下する。この時、内温が25℃を越えないように注意する。さらに室温で攪拌すると溶液が均一になるのでこれを10℃以下で72時間保つ。この後、ここに氷酢酸120g(2モル)を1時間かけて加える。この時、内温は10℃以下に保つ。この反応により、系内には化合物Fが生成している。続いて、ここに化合物D653g(2モル)を加える。室温で1時間反応後、加熱還流させさらに1時間反応させる。この反応により、系内には化合物Gが生成している。さらにここにトルエン1.5リットルを加え、外温を70℃にして、まずメタノールを留去させる。この後、加熱還流させさらに2時間反応させる。これを減圧にし、トルエンを6割程度留去させる。ここにアセトニトリル2リットルを加え、攪拌しながら冷却すると結晶が析出するのでこれを吸引濾過する。この結晶を10℃以下のアセトニトリルで洗浄後乾燥して、化合物Hの結晶706gを得た(収率 75%)。
【0028】
6)化合物H→Iの合成
温度計とジムロート冷却管を取り付けた3リットルの3ツ口フラスコに、化合物H471g(1モル)、酢酸エチル2リットル、2,6−ルチジン134g(1.25モル)を仕込み、攪拌しながら20℃以下に保つ。ここに臭素100g(1.25モル)を滴下する。添加終了後、加熱還流させ、3時間反応させる。
冷却後この反応混合物を、酢酸エチル2リットル、水5リットルに加えて分液、抽出する。酢酸エチル相を亜硫酸ナトリウム水溶液、さらに食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥の後、溶媒を8割ほど減圧留去する。ここにn−ヘキサン1.5リットルを加え、攪拌すると結晶が析出するので、これを減圧濾過する。結晶をn−ヘキサンで洗浄の後乾燥して、化合物Iの結晶357gを得た(収率 65%)。
【0029】
7)化合物I→Jの合成
温度計を取り付けた5リットルの3ツ口フラスコに、無水塩化リチウム85g(2モル)、N,N−ジメチルホルムアミド2.2リットルを仕込み、攪拌しながら完全に溶解させ、20℃以下に保つ。ここに室温条件下、化合物I220g(0.4モル)を添加し完全に溶解させる。この溶液を、冷媒を用いて内温0℃以下に保ち、ここに1,2−ジブロモプロピオニトリル111g(0.52モル)を加える。添加終了後、ここにトリエチルアミン290ml(2.08モル)を2時間かけて加える。この時、内温は5℃以下に保つ。添加終了後、室温でさらに1時間反応させる。この反応混合物を、酢酸エチル2.5リットル、希塩酸3リットルに加えて分液、抽出する。酢酸エチル相を水、続いて食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥の後、溶媒を減圧留去する。ここにアセトニトリル600mlを加え、攪拌すると結晶が析出するので、これを減圧濾過する。結晶をアセトニトリルで洗浄の後乾燥して、化合物Jの結晶104gを得た(収率 50%)。
【0030】
8)化合物J,K→シアンカプラー C−1の合成
温度計とジムロート冷却管を取り付けた5リットルの3ツ口フラスコに、還元鉄の粉末250g、塩化アンモニウム25g、水150ml、イソプロパノール1500mlを仕込み、攪拌しながら1時間加熱還流させる。ここに化合物J232g(0.45モル)を1時間かけて添加する。この時添加するたびに、激しく還流が起こるので注意しながら加える。添加終了後、還流させながらさらに1時間反応させる。この反応混合物を60℃まで冷却し、ここにテトラヒドロフラン250mlを加え、反応混合物を完全に溶解させる。これをセライトを敷いたヌッチェで熱時吸引濾過し、濾液を減圧留去してここにアセトニトリル500mlを加え、攪拌する。ここに化合物K206g、ピリジン45mlを続けて滴下する。このまま攪拌しながら、50℃の条件下2時間反応させる。冷却後、この反応混合物を、酢酸エチル2.5リットル、希塩酸3リットルに加えて分液、抽出する。酢酸エチル相を水、続いて食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥の後、溶媒を減圧留去する。ここにアセトニトリル350mlを加え、攪拌すると結晶が析出するので、これを減圧濾過する。結晶をアセトニトリルで洗浄の後乾燥して、シアンカプラー C−1の結晶257gを得た(収率 68%)。
【0031】
以下に、一般式〔1〕〜〔4〕で表される化合物の具体例を示すが、本発明の化合物はもちろんこれによって限定されるものではない。
【0032】
【化14】
Figure 0003699768
【0033】
【化15】
Figure 0003699768
【0034】
【化16】
Figure 0003699768
【0035】
【化17】
Figure 0003699768
【0036】
【化18】
Figure 0003699768
【0037】
【化19】
Figure 0003699768
【0038】
本発明のカプラーの添加量は、そのモル吸光係数(ε)にもよるが、透過濃度で1.0以上の画像濃度を得るためには、カップリングにより生成する色素のεが5000〜500000程度のカプラーの場合、塗布量として0.001〜100ミリモル/m2程度、好ましくは0.01〜10ミリモル/m2、さらに好ましくは0.05〜5ミリモル/m2程度が適当である。
【0039】
次に 一般式〔5〕で表される化合物について詳しく述べる。
【0040】
一般式〔5〕で表される化合物は、スルホンアミドフェノールと総称される現像主薬を表す。式中、R4 〜R7 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、またはアシルオキシ基を表し、R5 は置換あるいは無置換のアルキル基、アリール基、または複素環基を表す。特にR1 〜R4 は水素原子、ハロゲン原子(例えばクロル基、ブロム基)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基)、アリール基(たとえばフェニル基、トリル基、キシリル基)、アルキルカルボンアミド基(例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチロイルアミノ基)、アリールカルボンアミド基(例えばベンゾイルアミノ基)、アルキルスルホンアミド基(例えばメタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基)、アリールスルホンアミド基(例えばベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基、トリルチオ基)、アルキルカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ピペリジルカルバモイル基、モルホリルカルバモイル基)、アリールカルバモイル基(例えばフェニルカルバモイル基、メチルフェニルカルバモイル基、エチルフェニルカルバモイル基、ベンジルフェニルカルバモイル基)、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、ジブチルスルファモイル基、ピペリジルスルファモイル基、モルホリルスルファモイル基)、アリールスルファモイル基(例えばフェニルスルファモイル基、メチルフェニルスルファモイル基、エチルフェニルスルファモイル基、ベンジルフェニルスルファモイル基)、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基)、アルキルカルボニル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル基、アルキルベンゾイル基)、またはアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ基)を表す。R4 〜R7 の中で、R5 およびR7 は好ましくは水素原子である。また、R4 〜R7 のハメット定数σ値の合計は、0以上となることが好ましい。
【0041】
8 はアリール基を表し、特に一般式〔6〕で表されるように、R9 〜R13の置換基で置換されたアリール基が好ましい。R9 〜R13はハメット置換基定数(σ値)の合計が0以上である基を表す。R9 および/またはR13には水素原子以外の置換基を有する。R9 とR10またはR12とR13は互いに結合して、環を形成してもよい。
【0042】
9 〜R13の置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アシルオキシ基、または複素環基が挙げられる。特にR9 および/またはR13には水素原子以外の置換基を有する。R9 とR10またはR12とR13は互いに結合して、環を形成してもよい。
【0043】
特にその置換基の例としては、例えば水素原子、ハロゲン原子(例えばクロル基、ブロム基)、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基)、アリール基(たとえばフェニル基、トリル基、キシリル基)、アルキルカルボンアミド基(例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチロイルアミノ基)、アリールカルボンアミド基(例えばベンゾイルアミノ基)、アルキルスルホンアミド基(例えばメタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基)、アリールスルホンアミド基(例えばベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基、トリルチオ基)、アルキルカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ピペリジルカルバモイル基、モルホリルカルバモイル基)、アリールカルバモイル基(例えばフェニルカルバモイル基、メチルフェニルカルバモイル基、エチルフェニルカルバモイル基、ベンジルフェニルカルバモイル基)、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、ジブチルスルファモイル基、ピペリジルスルファモイル基、モルホリルスルファモイル基)、アリールスルファモイル基(例えばフェニルスルファモイル基、メチルフェニルスルファモイル基、エチルフェニルスルファモイル基、ベンジルフェニルスルファモイル基)、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基)、アルキルカルボニル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル基、アルキルベンゾイル基)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ基)、または複素環基(例えばピリジル基、ピリミジル基)を表す。特にR9 および/またはR13には水素原子以外の置換基を有する。R9 とR10またはR12とR13は互いに結合して、環(例えばナフタレン環、テトラリン環、クマリン環)を形成してもよい。また、R9 〜R13のハメット定数σ値の合計は、0以下となることが好ましい。このため、以上挙げた置換基の中でも、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基等が好ましい置換基として挙げられる。
【0044】
一般式〔5〕で表される化合物は、本発明の目的に使用するためには油溶性の化合物であることが好ましい。このため、バラスト性を有する基が少なくとも1つ含まれていることが必要となる。ここでいうバラスト基とは油溶化基を表し、炭素数8以上80以下、好ましくは10以上40以下の油溶性部分構造を含む基である。このため、R4 〜R7 の中に、炭素数8以上のバラスト基を有するか、またはR9 〜R13の炭素数の合計が8以上であることが好ましい。この炭素数としては、好ましくは8〜80、さらに好ましくは8〜20である。
【0045】
一般式〔1〕〜〔4〕で表されるカプラーおよび一般式〔5〕で表される現像主薬の添加方法としては、まず、カプラー、現像主薬および高沸点有機溶媒(例えばリン酸アルキルエステル、フタル酸アルキルエステル等)を混合して低沸点有機溶媒(例えば酢酸エチル、メチルエチルケトン等)に溶解し、当該分野で公知の乳化分散法を用いて水に分散の後、添加することができる。また、特開昭63−271339号に記載の固体分散法による添加も可能である。
【0046】
一般式〔5〕で表される現像主薬の添加量は広い範囲を持つが、好ましくはカプラーに対して0.01〜100モル倍、さらに好ましくは0.1〜10モル倍が適当である。
【0047】
一般式〔5〕で表される現像主薬は、公知の方法の組合せによって合成することが可能である。以下に、典型的な合成例を反応スキームとして記載する。
【0048】
【化20】
Figure 0003699768
【0049】
【化21】
Figure 0003699768
【0050】
〈現像主薬D−1の合成〉
1)現像主薬D−1の合成
【0051】
コンデンサーと温度計を取り付けた2リットルの3ッ口フラスコに、アセトニトリル800ml、2,6−ジクロル−4−アミノフェノール214g(1.2モル)を仕込み、メタノール−氷浴上で攪拌しながら0℃以下に保つ。ここに、窒素気流を通じながら、ピリジン81ml(1モル)を加えると溶液が均一になり発熱する。温度を5℃以下に保った状態で、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロライド303g(1モル)をフラスコ内の温度が10℃を越えないように注意しながら1時間かけて加える。添加終了後、10℃以下でさらに1時間攪拌、反応させたのち、冷却浴をはずし、室温条件下1時間攪拌する。この反応混合物を〜0.1Nの氷塩酸水10リットルに投入し、析出した結晶を濾別する。この粗結晶をメタノール2リットルから再結晶して、現像主薬D−1の結晶404gを得た(収率91%)。
【0052】
〈現像主薬D−7の合成〉
1)化合物A→B
【0053】
1リットルのナスフラスコに、マグネティックスターラー用回転子、化合物A228g(1モル)、ジ−n−ブチルアミン155g(1.2モル)を仕込み、ガス導入管を取付け、耐圧ゴム管を通じてアスピレーターに接続する。水流により減圧に保ちながらマグネティックスターラーを用いて攪拌し、120℃まで昇温すると、アスピレーターのガラス部分にフェノールの結晶が析出してくる。このまま4時間反応させ、フェノールの結晶が析出しなくなったら室温に戻す。この反応混合物を塩酸水3リットルに投入し、析出した結晶を濾別する。この粗結晶をメタノール1リットルから再結晶して、化合物Bの結晶242gを得た(収率92%)。
【0054】
2)化合物B→C
5リットルのビーカーに、化合物B66g(0.25モル)を仕込み、メタノール100ml、炭酸カリウム250g(1.8モル)、水500mlを加えて完全に溶解させる。この溶液を0℃以下に保ち攪拌しておく。一方、スルファニル酸65g(0.375モル)と水酸化ナトリウム16.5gを水30mlに溶解した液に完全に溶かす。ここに濃塩酸90mlを加えてスラリー状の溶液を作る。この液を0℃以下に保ちながら強く攪拌し、ここに亜硝酸ナトリウム27.5g(0.4モル)を水50mlに溶かした液を徐々に加え、ジアゾニウム塩を生成させる。この時、温度を0℃以下に保つように、適宜氷を加えながら反応させる。このようにしてできたジアゾニウム塩を、先程より攪拌している化合物Bの溶液に徐々に加える。この際も、温度を0℃以下に保つように、適宜氷を加えながら反応させる。添加するにつれ、溶液はアゾ色素の赤色を呈するようになる。添加終了後、さらに0℃以下で30分間反応させ、原料の消失を確認したら、ここにハイドロサルファイトナトリウム500g(3モル)を粉のまま加える。この溶液を50℃まで加温すると激しく発泡しながらアゾ基の還元が起こる。発泡が止まり、液が脱色し、黄色みを帯びた透明の液になったら、この溶液を10℃まで冷却すると結晶が析出する。この析出した結晶を濾別し、この粗結晶をメタノール300mlから再結晶して、化合物Cの結晶56gを得た(収率80%)。
【0055】
3)化合物D→E
【0056】
コンデンサーを取り付けた5リットルの3ッ口フラスコに、アセトニトリル1500ml、ポリエチレングリコール(重合度400)300ml、1−ナフトール360g(2.5モル)、ラウリルブロマイド(Q)498g(2モル)、炭酸カリウム345g(2.5モル)を仕込み、水蒸気バス浴で4時間還流する。冷却後、n−ヘキサン700mlで2回抽出し、ヘキサン相を集める。これを0.1N水酸化ナトリウム水溶液、水、さらに飽和食塩水で洗浄の後、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。この溶液から減圧下、n−ヘキサンを留去し、オイル状の化合物R613gを得た(収率98%)。
【0057】
4)化合物E→F
【0058】
コンデンサーを取り付けた3リットルの3ッ口フラスコに、ジクロロメタン1.2リットル、化合物E312.5g(1モル)を仕込み、攪拌しながらメタノール−氷浴を用いて、内温を0℃以下にする。ここにクロロスルホン酸116.5g(1モル)を1時間かけて滴下する。この時内温を10℃以下に保つ。滴下後、メタノール−氷浴を除き、室温でさらに2時間反応させる。この反応混合物をナスフラスコに移し、減圧下ジクロロメタンを留去すると結晶を含むスラリーが得られるので、これをコンデンサーを取り付けた3リットルの3ッ口フラスコに移す。これにアセトニトリル1リットル、N,N−ジメチルアセトアミド400mlを加えると内温が40℃前後まで上昇する。良く攪拌しながら、ここにオキシ塩化リン184g(1.2モル)を5分かけて加える。この時内温は55℃間で上昇するので、このまま1時間反応させる。反応混合物の温度が25℃まで下がったら、これを氷水10リットルに投入すると結晶が析出する。この結晶を濾別し、この粗結晶をアセトニトリル1リットルから再結晶して、化合物Fの結晶350gを得た(収率85%)。
【0059】
5)化合物C,F→現像主薬D−7
【0060】
コンデンサーと温度計を取り付けた2リットルの3ッ口フラスコに、アセトニトリル700ml、化合物C139g(0.5モル)、化合物F206g(0.5モル)を仕込み、窒素気流を通じながら室温条件下攪拌する。ここにピリジン40g(0.5モル)を1時間かけて滴下する。この時温度が30℃を越えないように調節する。滴下後、2時間攪拌した後、反応混合物を5リットルの冷塩酸水に加える。結晶が析出したらこれを濾別し、メタノール800mlを用いて再結晶して、現像主薬D−7の結晶352gを得た(収率92%)。
【0061】
以下に、一般式〔5〕で表される化合物の具体例を示すが、本発明の化合物はもちろんこれによって限定されるものではない。
【0062】
【化22】
Figure 0003699768
【0063】
【化23】
Figure 0003699768
【0064】
【化24】
Figure 0003699768
【0065】
【化25】
Figure 0003699768
【0066】
【化26】
Figure 0003699768
【0067】
【化27】
Figure 0003699768
【0068】
本発明において、シアン以外の色素供与性化合物も、酸化カップリング反応によって色素を形成する化合物(カプラー)を使用する。このカプラーは4等量カプラーであっても2等量カプラーであってもよいが、本発明では4等量カプラーが好ましい。その理由については先述したとおりである。カプラーの具体例は、4等量、2等量の両者ともセオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス(4th.Ed.T.H.James編集 Macmillan,1977)291頁〜334頁、および354頁〜361頁、特開昭58─12353号、同58─149046号、同58─149047号、同59─11114号、同59─124399号、同59─174835号、同59─231539号、同59─231540号、同60─2951号、同60─14242号、同60─23474号、同60─66249号などに詳しく記載されている。
【0069】
本発明のカラー感光材料は、基本的には支持体上に感光性ハロゲン化銀、色素供与性化合物としてカプラー、還元剤、バインダーを有するものであり、さらに必要に応じて有機金属塩酸化剤などを含有させることができる。これらの成分は同一の層に添加することが多いが、反応可能な状態であれば別層に分割して添加することができる。
【0070】
イエロー、マゼンタ、シアンの3原色を用いて色度図上の広範囲の色を得るためには、少なくとも3層のそれぞれ異なるスペクトル領域に感光性を持つハロゲン化銀乳剤層を組み合わせて用いる。たとえば青感層、緑感層、赤感層の3層、緑感層、赤感層、赤外感層の組み合わせなどがある。各感光層は通常のカラー感光材料で知られている種々の配列順序を採ることができる。また、これらの各感光層は必要に応じて2層以上に分割してもよい。
【0071】
感光材料には、保護層、下塗り層、中間層、アンチハレーション層、バック層等の種々の補助層を設けることができる。さらに色分離性を改良するために種々のフィルター染料を添加することもできる。
【0072】
一般に写真感材の処理においては塩基を必要とするが、本発明の感材においては、さまざまな塩基供給方法が採用できる。例えば、感材側に塩基発生機能を与える場合、塩基プレカーサーとして感光材料中に導入することが可能である。このような塩基プレカーサーとしては、例えば熱により脱炭酸する有機酸と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロッセン転位またはベックマン転位によりアミン類を放出する化合物などがある。この例については、米国特許第4514493号、同4657848号等に記載されている。
【0073】
また、感材と処理シートを重ね合わせて処理する形態を用いる場合、処理シート中に塩基または塩基プレカーサーを導入する方法も使用することができる。この場合の塩基としては、無機塩基のほかにアミン誘導体のような有機塩基を使用することもできる。
【0074】
さらに感材側と処理シート側それぞれに塩基プレカーサーを含有させ、2者の反応によって塩基を発生させる反応も利用可能である。このような2剤反応型の塩基発生方法の例としては、例えば難溶性塩基性金属塩とキレート剤の反応によるものや、求核剤とエポキシ化合物の反応によるもの等が利用可能である。この例については、特開昭63−198050号等に記載がある。
この場合、感材と処理シートの間に少量の溶媒(水など)を含ませた状態で加熱しても良い。この溶媒の付与方法は後述する。また、この溶媒としては極性の液体、特に水が好ましい。
【0075】
本発明の感光材料の支持体としては、当該分野、特に熱現像感光材料の支持体として公知のものを使用することができる。このような支持体としては、例えばポリエチレンでラミネートした紙支持体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステル支持体等を挙げることができる。
このような支持体の例としては、特開昭63−189860号にその詳細な記載がある。
【0076】
本発明の感光材料の支持体には、上記に挙げたもののほかに、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体ポリマーを延伸した支持体も好ましく使用できる。このポリマー支持体は、既述のものと同様、単独重合体でも、共重合体でもよい。このようなポリマー支持体については、特願平7−45079号にその詳細な記載がある。
【0077】
本発明で使用するハロゲン化銀乳剤は、表面潜像型乳剤であっても、内部潜像型乳剤であってもよい。内部潜像型乳剤は造核剤や光カブラセとを組合わせて直接反転乳剤として使用される。また、粒子内部と粒子表層が異なる相を持ったいわゆるコアシェル乳剤であってもよく、またエピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が接合されていても良い。ハロゲン化銀乳剤は単分散でも多分散でもよく、特開平1−167,743号、同4−223,463号記載のように単分散乳剤を混合し、階調を調節する方法が好ましく用いられる。粒子サイズは0.1〜2μm、特に0.2〜1.5μmが好ましい。ハロゲン化銀粒子の晶癖は立方体、8面体、14面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、高アスペクト比の平板状のような変則的な結晶系を有するもの、双晶面のような結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合系その他のいずれでもよい。
具体的には、米国特許第4,500,626号第50欄、同4,628,021号、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下RDと略記する)No. 17,029(1978年)、同No. 17,643(1978年12月)22〜23頁、同No. 18,716(1979年11月)648頁、同No. 307,105(1989年11月)863〜865頁、特開昭62−253,159号、同64−13,546号、特開平2−236,546号、同3−110,555号、およびグラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(F. Glafkides, Chemie et Phisique Photographique, Paul Montel, 1967) 、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G. F. Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V. L. Zelikman et al., Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press, 1964)等に記載されている方法を用いて調製したハロゲン化銀乳剤のいずれもが使用できる。
【0078】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤を調製する過程で、過剰の塩を除去するいわゆる脱塩を行うことが好ましい。このための手段として、ゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いても良く、また多価アニオンより成る無機塩類(例えば硫酸ナトリウム)、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えばポリスチレンスルホン酸ナトリウム)、あるいはゼラチン誘導体(例えば脂肪族アシル化ゼラチン、芳香族アシル化ゼラチン、芳香族カルバモイル化ゼラチンなど)を利用した沈降法を用いても良い。沈降法が好ましく用いられる。
【0079】
本発明で使用する感光性ハロゲン化銀乳剤は、種々の目的でイリジウム、ロジウム、白金、カドミウム、亜鉛、タリウム、鉛、鉄、オスミウムなどの重金属を含有させても良い。これらの化合物は、単独で用いても良いしまた2種以上組み合わせて用いても良い。添加量は、使用する目的によるが一般的には、ハロゲン化銀1モルあたり10-9〜10-3モル程度である。また含有させる時には、粒子に均一に入れてもよいし、また粒子の内部や表面に局在させてもよい。具体的には、特開平2−236,542号、同1−116,637号、同5−181246号等に記載の乳剤が好ましく用いられる。
【0080】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成段階において、ハロゲン化銀溶剤としてロダン塩、アンモニア、4置換チオエーテル化合物や特公昭47−11,386号記載の有機チオエーテル誘導体または特開昭53−144,319号に記載されている含硫黄化合物等を用いることができる。
【0081】
その他の条件については、前記のグラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(F. Glafkides, Chemie et Phisique photographique, Paul Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G. F. Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V. L. Zelikman et al., Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press, 1964)等の記載を参照すれば良い。すなわち酸性法、中性法、アンモニア法のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせのいずれを用いてもよい。単分散乳剤を得るためには、同時混合法が好ましく用いられる。
粒子を銀イオン過剰の下において形成させる逆混合法も用いることができる。
同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ、いわゆるコントロールドダブルジェット法も用いることができる。
【0082】
また、粒子成長を早めるために、添加する銀塩およびハロゲン塩の添加濃度、添加量、添加速度を上昇させてもよい(特開昭55−142,329号、同55−158,124号、米国特許第3650757号等)。
さらに反応液の攪拌方法は、公知のいずれの攪拌方法でもよい。またハロゲン化銀粒子形成中の反応液の温度、pHは、目的に応じてどのように設定してもよい。好ましいpH範囲は2.2〜8.5、より好ましくは2.5〜7.5である。
【0083】
感光性ハロゲン化銀乳剤は通常は化学増感されたハロゲン化銀乳剤である。本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤の化学増感には、通常型感光材料用乳剤で公知の硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法などのカルコゲン増感法、金、白金、パラジウムなどを用いる貴金属増感法および還元増感法などを単独または組合わせて用いることができる(例えば特開平3−110,555号、同5−241267号など)。これらの化学増感を含窒素複素環化合物の存在下で行うこともできる(特開昭62−253,159号)。また後掲するかぶり防止剤を化学増感終了後に添加することができる。具体的には、特開平5−45,833号、特開昭62−40,446号記載の方法も用いることができる。
化学増感時のpHは好ましくは5.3〜10.5、より好ましくは5.5〜8.5であり、pAgは好ましくは6.0〜10.5、より好ましくは6.8〜9.0である。
本発明において使用される感光性ハロゲン化銀乳剤の塗設量は、銀換算1mgないし10g/m2の範囲である。
【0084】
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀に緑感性、赤感性、赤外感性の感色性を持たせるためには、感光性ハロゲン化銀乳剤をメチン色素類その他によって分光増感する。また、必要に応じて青感性乳剤に青色領域の分光増感を施してもよい。
用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含される。
具体的には、米国特許第4,617,257号、特開昭59−180,550号、同64−13,546号、特開平5−45,828号、同5−45,834号などに記載の増感色素が挙げられる。
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合わせを用いてもよく、増感色素の組合わせは特に、強色増感や分光感度の波長調節の目的でしばしば用いられる。
増感色素とともに、それ自身分光増感作用を持たない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない化合物であって、強色増感を示す化合物を乳剤中に含んでもよい(例えば米国特許第3,615,641号、特開昭63−23,145号等に記載のもの)。
これらの増感色素を乳剤中に添加する時期は化学熟成時もしくはその前後でもよいし、米国特許第4,183,756号、同4,225,666号に従ってハロゲン化銀粒子の核形成前後でもよい。またこれらの増感色素や強色増感剤は、メタノールなどの有機溶媒の溶液、ゼラチンなどの分散物あるいは界面活性剤の溶液で添加すればよい。添加量は一般にハロゲン化銀1モル当り10-8ないし10-2モル程度である。
【0085】
このような工程で使用される添加剤および本発明の感光材料や処理シートに使用できる公知の写真用添加剤は、前記のRDNo. 17,643、同No. 18,715および同No. 307,105に記載されており、その該当箇所を下記の表にまとめる。
【0086】
Figure 0003699768
【0087】
感光材料の構成層のバインダーには親水性のものが好ましく用いられる。その例としては前記のリサーチ・ディスクロージャーおよび特開昭64−13,546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたものが挙げられる。具体的には、透明か半透明の親水性バインダーが好ましく、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン等の多糖類のような天然化合物とポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体等の合成高分子化合物が挙げられる。また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245,260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3 M(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマーどうし、もしくは他のビニルモノマーとの共重合体(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、住友化学(株)製のスミカゲルL−5H)も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。特にゼラチンと上記バインダーの組み合わせが好ましい。またゼラチンは、種々の目的に応じて石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、カルシウムなどの含有量を減らしたいわゆる脱灰ゼラチンから選択すれば良く、組み合わせて用いることも好ましい。
【0088】
本発明においては、感光性ハロゲン化銀乳剤と共に、有機金属塩を酸化剤として併用することもできる。このような有機金属塩の中で、有機銀塩は、特に好ましく用いられる。
上記の有機銀塩酸化剤を形成するのに使用し得る有機化合物としては、米国特許第4,500,626号第52〜53欄等に記載のベンゾトリアゾール類、脂肪酸その他の化合物がある。また米国特許第4,775,613号記載のアセチレン銀も有用である。有機銀塩は、2種以上を併用してもよい。
以上の有機銀塩は、感光性ハロゲン化銀1モルあたり、0.01〜10モル、好ましくは0.01〜1モルを併用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤と有機銀塩の塗布量合計は銀換算で0.05〜10g/m2、好ましくは0.1〜4g/m2が適当である。
本発明の感光材料には、現像の活性化と同時に画像の安定化を図る化合物を用いることができる。好ましく用いられる具体的化合物については米国特許第4,500,626号の第51〜52欄に記載されている。また、特願平6−206331号に記載されているような、ハロゲン化銀を定着し得る化合物を使用することもできる。
【0089】
感光材料の構成層に用いる硬膜剤としては、前記リサーチ・ディスクロージャー、米国特許第4,678,739号第41欄、同4,791,042号、特開昭59−116,655号、同62−245,261号、同61−18,942号、特開平4−218,044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234,157号などに記載の化合物)が挙げられる。
これらの硬膜剤は、塗布されたゼラチン1gあたり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また添加する層は、感光材料や色素固定材料の構成層のいずれの層でも良いし、2層以上に分割して添加しても良い。
【0090】
感光材料の構成層には、種々のカブリ防止剤または写真安定剤およびそれらのプレカーサーを使用することができる。その具体例としては、前記リサーチ・ディスクロージャー、米国特許第5,089,378号、同4,500,627号、同4,614,702号、特開昭64−13,546号(7)〜(9)頁、(57)〜(71)頁および(81)〜(97)頁、米国特許第4,775,610号、同4,626,500号、同4,983,494号、特開昭62−174,747号、同62−239,148号、同63−264,747号、特開平1−150,135号、同2−110,557号、同2−178,650号、RD17,643(1978年)(24)〜(25)頁等記載の化合物が挙げられる。
これらの化合物は、銀1モルあたり5×10-6〜1×10-1モルが好ましく、さらに1×10-5〜1×10-2モルが好ましく用いられる。
【0091】
感光材料の構成層には、塗布助剤、剥離性改良、スベリ性改良、帯電防止、現像促進等の目的で種々の界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の具体例は前記リサーチ・ディスクロージャー、特開昭62−173,463号、同62−183,457号等に記載されている。
熱現像感光材料の構成層には、スベリ性改良、帯電防止、剥離性改良等の目的で有機フルオロ化合物を含ませてもよい。有機フルオロ化合物の代表例としては、特公昭57−9053号第8〜17欄、特開昭61−20944号、同62−135826号等に記載されているフッ素系界面活性剤、またはフッ素油などのオイル状フッ素系化合物もしくは四フッ化エチレン樹脂などの固体状フッ素化合物樹脂などの疎水性フッ素化合物が挙げられる。
【0092】
感光材料には、接着防止、スベリ性改良、非光沢面化などの目的でマット剤を用いることができる。マット剤としては二酸化ケイ素、ポリオレフィンまたはポリメタクリレートなどの特開昭61−88256号(29)頁記載の化合物の他に、ベンゾグアナミン樹脂ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ、AS樹脂ビーズなどの特開昭63−274944号、同63−274952号記載の化合物がある。その他前記リサーチ・ディスクロージャー記載の化合物が使用できる。これらのマット剤は、最上層(保護層)のみならず必要に応じて下層に添加することもできる。
その他、感光材料の構成層には、熱溶剤、消泡剤、防菌防バイ剤、コロイダルシリカ等を含ませてもよい。これらの添加剤の具体例は特開昭61−88256号第(26)〜(32)頁、特開平3−11,338号、特公平2−51,496号等に記載されている。
【0093】
本発明において感光材料には画像形成促進剤を用いることができる。画像形成促進剤には銀塩酸化剤と還元剤との酸化還元反応の促進、色素生成反応の促進等の機能があり、物理化学的な機能からは塩基または塩基プレカーサー、求核性化合物、高沸点有機溶媒(オイル)、熱溶剤、界面活性剤、銀または銀イオンと相互作用を持つ化合物等に分類される。ただし、これらの物質群は一般に複合機能を有しており、上記の促進効果のいくつかを合せ持つのが常である。これらの詳細については米国特許4,678,739号第38〜40欄に記載されている。
【0094】
本発明において熱現像感光材料には、現像時の処理温度および処理時間の変動に対し、常に一定の画像を得る目的で種々の現像停止剤を用いることができる。
ここでいう現像停止剤とは、適正現像後、速やかに塩基を中和または塩基と反応して膜中の塩基濃度を下げ現像を停止する化合物または銀および銀塩と相互作用して現像を抑制する化合物である。具体的には、加熱により酸を放出する酸プレカーサー、加熱により共存する塩基と置換反応を起す親電子化合物、または含窒素ヘテロ環化合物、メルカプト化合物及びその前駆体等が挙げられる。更に詳しくは特開昭62−253,159号(31)〜(32)頁に記載されている。
【0095】
感光材料に画像を露光し記録する方法としては、例えばカメラなどを用いて風景や人物などを直接撮影する方法、プリンターや引伸機などを用いてリバーサルフィルムやネガフィルムを通して露光する方法、複写機の露光装置などを用いて、原画をスリットなどを通して走査露光する方法、画像情報を電気信号を経由して発光ダイオード、各種レーザー(レーザーダイオード、ガスレーザーなど)などを発光させ走査露光する方法(特開平2−129,625号、同5−176144号、同5−199372号、同6−127021号、等に記載の方法)、画像情報をCRT、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイなどの画像表示装置に出力し、直接または光学系を介して露光する方法などがある。
【0096】
感光材料へ画像を記録する光源としては、上記のように、自然光、タングステンランプ、発光ダイオード、レーザー光源、CRT光源などの米国特許第4,500,626号第56欄、特開平2−53,378号、同2−54,672号記載の光源や露光方法を用いることができる。
また、非線形光学材料とレーザー光等のコヒーレントな光源を組み合わせた波長変換素子を用いて画像露光することもできる。ここで非線形光学材料とは、レーザー光のような強い光電界をあたえたときに現れる分極と電界との間の非線形性を発現可能な材料であり、ニオブ酸リチウム、リン酸二水素カリウム(KDP)、沃素酸リチウム、BaB2 4 などに代表される無機化合物や、尿素誘導体、ニトロアニリン誘導体、例えば3−メチル−4−ニトロピリジン−N−オキシド(POM)のようなニトロピリジン−N−オキシド誘導体、特開昭61−53462号、同62−210432号に記載の化合物が好ましく用いられる。波長変換素子の形態としては、単結晶光導波路型、ファイバー型等が知られておりそのいずれもが有用である。
また、前記の画像情報は、ビデオカメラ、電子スチルカメラ等から得られる画像信号、日本テレビジョン信号規格(NTSC)に代表されるテレビ信号、原画をスキャナーなど多数の画素に分割して得た画像信号、CG、CADで代表されるコンピューターを用いて作成された画像信号を利用できる。
【0097】
本発明の感光材料を加熱現像で処理する場合、加熱現像のための加熱手段として導電性の発熱体層を有する形態であっても良い。この場合の発熱要素には、特開昭61−145,544号等に記載のものを利用できる。
熱現像工程での加熱温度は、約80℃〜180℃であり、加熱時間は0.1秒〜60秒である。
【0098】
現像工程における加熱方法としては、加熱されたブロックやプレートに接触させたり、熱板、ホットプレッサー、熱ローラー、熱ドラム、ハロゲンランプヒーター、赤外および遠赤外ランプヒーターなどに接触させたり、高温の雰囲気中を通過させる方法などがある。
感光材料と処理シートを重ね合わせる方法は特開昭62−253,159号、特開昭61−147,244号(27)頁記載の方法が適用できる。
【0099】
以下、実施例によって本発明の効果を詳しく説明する。
【0100】
【実施例】
〈感光性ハロゲン化銀乳剤の調製方法〉
【0101】
良く攪拌しているゼラチン水溶液(水1000ml中に不活性ゼラチン30g、臭化カリウム2g)に、溶剤としてアンモニア・硝酸アンモニウムを溶剤として加えて75℃に保温し、ここに硝酸銀1モルを含む水溶液1000mlと、臭化カリウム1モルと沃化カリウム0.03モルを含む水溶液1000mlを78分かけて同時に添加した。水洗、脱塩の後、不活性ゼラチンを加えて再分散し、球相当径0.76μのヨード含有率3モル%の沃臭化銀乳剤を調製した。球相当径は、コールターカウンター社のモデルTA−IIで測定した。
上記乳剤に、56℃でチオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウムを添加し、最適に化学増感した。この乳剤に各分光感度に相当する増感色素を、塗布液調液時に添加して感色性を与えた。
【0102】
〈水酸化亜鉛分散物の調製方法〉
【0103】
一次粒子の粒子サイズが0.2μmの水酸化亜鉛の粉末31g、分散剤としてカルボキシメチルセルロース1.6gおよびポリアクリル酸ソーダ0.4g、石灰処理オセインゼラチン8.5g、水158.5mlを混合し、この混合物をガラスビーズを用いたミルで1時間分散した。分散後、ガラスビーズを濾別し、水酸化亜鉛の分散物188gを得た。
【0104】
〈カプラーの乳化分散物の調製方法〉
【0105】
表1に示す組成の油相成分、水相成分をそれぞれ溶解し、60℃の均一な溶液とする。油相成分と水相成分を合わせ、1リットルのステンレス容器中で、直径5cmのディスパーサーのついたディゾルバーにより、10000rpmで20分間分散した。これに、後加水として、表1に示す量の温水を加え、2000rpmで10分間混合した。このようにして、シアン、マゼンタ、イエロー3色のカプラーの乳化分散物を調製した。
【0106】
【表1】
Figure 0003699768
【0107】
【化28】
Figure 0003699768
【0108】
【化29】
Figure 0003699768
【0109】
このようにして得られた素材を用いて、表2、表3に示す多層構成の熱現像カラー感光材料101を作製した。
【0110】
【表2】
Figure 0003699768
【0111】
【表3】
Figure 0003699768
【0112】
【化30】
Figure 0003699768
【0113】
【化31】
Figure 0003699768
【0114】
【化32】
Figure 0003699768
【0115】
さらに、表4、表5に示す内容の処理材料R−1を作製した。
【0116】
【表4】
Figure 0003699768
【0117】
【表5】
Figure 0003699768
【0118】
【化33】
Figure 0003699768
【0119】
【化34】
Figure 0003699768
【0120】
次に、表6に示すとおりに、第1層のシアンカプラー、ならびに現像主薬を変更した以外は101と全く同じ組成の感光材料102〜120をそれぞれ作製した。このようにしてできた感光材料101〜120に連続的に濃度の変化したB、G、Rのフィルターを通して2500luxで0.01秒露光した。この露光済の感材面に40℃の温水を15ml/m2付与し、処理シートと互いの膜面同志を重ね合わせた後、ヒートドラムを用いて83℃で30秒間熱現像した。処理後処理シートを剥離すると、感材側に露光したフィルターに対応して、シアン、マゼンタ、イエローのカラー画像が鮮明に得られた。処理直後にこのサンプルのR露光部のシアン色素画像の最高濃度部(Dmax )と最低濃度部(Dmin )をX−rite濃測機で測定した結果を表7に示す。
【0121】
【表6】
Figure 0003699768
【0122】
【化35】
Figure 0003699768
【0123】
【化36】
Figure 0003699768
【0124】
【表7】
Figure 0003699768
【0125】
表7の結果をまとめると、まず、比較例のシアンカプラー、現像主薬を用いたサンプル(101〜108)では、ほとんど色素画像が得られない。これに対して一般式〔1〕〜〔4〕で表されるシアンカプラーを用いたサンプル(109〜114)ではシアン色素濃度が上昇する。さらに一般式〔1〕〜〔4〕で表されるシアンカプラーに一般式〔5〕で表される現像主薬を組み合わせて用いたサンプル(115〜120)では、更にディスクリミネーションに優れた画像が得られていることがわかる。以上より本発明の効果は明らかである。

Claims (3)

  1. 支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、バインダー、カプラー、現像主薬を有する熱現像カラー感光材料において、該カプラーとして、下記一般式〔1〕〜〔4〕で表される化合物のうち、少なくとも1種を含み、該現像主薬として、下記一般式〔5〕で表される化合物を含むことを特徴とする熱現像カラー感光材料。
    一般式〔1〕
    Figure 0003699768
    一般式〔2〕
    Figure 0003699768
    一般式〔3〕
    Figure 0003699768
    一般式〔4〕
    Figure 0003699768
    一般式〔1〕〜〔4〕中、R 1 ,R 2 は水素原子または置換基を表し、そのハメット置換基定数(σ値)の合計が0以上である。R 3 はアルキル基、またはその置換基のσ値の合計が0以下であるアリール基を表す。Yは水素原子または現像主薬酸化体とのカップリング反応により脱離可能な基を表す。
    一般式〔5〕
    Figure 0003699768
    一般式〔5〕中、R4 〜R7 は置換基を表し、そのハメット置換基定数(σ値)の合計が0以上である基を表す。R8 はアリール基を表す。
  2. 8 が下記一般式〔6〕で表される基であることを特徴とする、請求項項載の熱現像カラー感光材料。
    一般式〔6〕
    Figure 0003699768
    式中、R9 〜R13は置換基を表し、そのハメット置換基定数(σ値)の合計が0以上である基を表す。R9 および/またはR13には水素原子以外の置換基を有する。R9 とR10またはR12とR13は互いに結合して、環を形成してもよい。
  3. 4 〜R7 の中に、炭素数8以上のバラスト基を有するか、またはR9 〜R13の炭素数の合計が8以上であることを特徴とする、請求項記載の熱現像カラー感光材料。
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