JP3719908B2 - 水密ジッパーとスライダー - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジッパー部材を備え、その長さ縁部に沿って延びる縁部密着領域が互いに係合する一対の水密ジッパー支持テープを有する水密ジッパー及びスライダーに関する。
【０００２】
【従来の技術】
水密ジッパーの一対の支持テープは、少なくとも一表面を覆う合成ゴム等の柔軟な被覆層をもつ基部テープと、各基部テープの対向する長手縁部に沿って延びる噛合部材列と備えている。前記噛合部材列は、柔軟な前記被覆層の対向する各側縁部がジッパーの中央線と交差し且つジッパーの主平面に対し直交する長手方向の平面に沿って互いが当接するように、ジッパー支持テープの長手側縁に対して横方向に空間的にずれた位置に縫着される。ジッパー支持テープの対向する縁部は噛合部材列の係合が外されているとき、ジッパーの主平面上に突出する。
【０００３】
このタイプの公知の水密ジッパー（米国特許第 4,724,586号明細書）では、噛合部材列は柔軟な被覆層が設けられた特定の支持テープの片面上に縫着され、噛合部材列を越えて突出する２本の支持テープの側縁部が、前記噛合部材列から離れる側へ向けてそれぞれ１８０°折り返され、その側縁部が噛合部材列の縫糸を保護するため覆うようにされる。このように側縁部が折り返されていても、裏面側に反った外面の近傍のジッパー支持テープの対向する側縁部は、その側縁部の係合が外れているときにも噛合部材列を越えて突出するため、係合位置への移行に伴いジッパーの主平面において圧縮され、それによりシール作用が生じる。特にシール領域に圧力がかかった場合、特に気密性が望まれる場合、シールが十分でなくなるばかりでなく、そのようなジッパーを製造しようとすると複雑で時間がかかり、その結果、様々な連続する製造工程により高価となることが分かっている。
【０００４】
異なる構造を有するもう一つの公知の水密ファスナー（米国特許第 3,668,745号明細書）についても言及する。同ファスナーでは、支持テープの基部テープの外側縁上においてそれぞれ対応する支持テープに縫着される連続する螺旋状の噛合部材列に代えて、後方へ１８０°基部テープの縁を曲げても強固な保持が得られるようにまたがって固定される巻回された金属製噛合部材を用いている。更に、噛合部材列から離れた特定の基部テープの面に柔軟な被覆層が適用され、後方に折り返されたその噛合部材支持耳縁部上に突出させることができ、そのため噛合部材が係合位置にあるとき、その面がジッパーの主平面にある状態で互いに圧接状態になり、よってシール作用が確実になる。これは高価な金属製の不連続噛合部材であるという事実とは全く関係なく、一定の使用期間後、シール作用が適当ではなくなることが、それに関連した問題点となることが明らかとなった。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡単な構造にもかかわらず、長期間の使用においても、圧力がかかった際に液体及び気体の両方に対する完全に満足のいくシール作用をもつ上述のタイプのジッパーを開発することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
この課題は本発明による水密ジッパーにより解決され、同ジッパーは、ジッパー支持テープの対向する側縁が、噛合部材列が外れると基部テープの主平面上に略延在し、噛合部材列が係合しているとき前記側縁が噛合部材列を支持する側から離れて曲げられジッパーの主平面にほぼ直角に延出するように突出することを基本的な特徴としている。それぞれにおいて基部テープ上に突出する２本のジッパー支持テープの対向する側縁の柔軟な被覆層は、押圧動作をもって互いに係合し、よって水密状態が確保される。水密性を確実にする合成ゴムなどのコンセプトには、圧力が異なる場合に作用する熱可塑性材料を含む全てのエラストマーを含んでいることは明らかである。
【０００７】
対向する側縁の近傍における柔軟な被覆層がジッパー支持テープの他の部分より厚く保たれていれば、閉鎖ジッパー状態でのより大きなシール作用が特に簡単な態様で達成できるため、噛合部材列の噛合状態における互いに対して作用する圧縮力が大きくなる。その上に突出する柔軟な被覆材層により包まれ、その結果ほつれから守られている基部テープ端のすぐ上流側において、柔軟な材料の堆積が増え、丸められた側端領域で過度な押圧がなされようになり、そのため、さもなければあり得る支持テープの縁の縁部領域のＶ字状の膨出を打ち消す。
【０００８】
ジッパーの、特に閉鎖過程における取り扱いは、噛合部材列が外れているときに、問題の長手方向の平面上に突出するジッパー支持テープの対向する縁が、ジッパーの主平面に対して傾斜した面で終わり、この傾斜面との間に鋭角を形成するように予め形成されているという、本発明の更に効果的な実施例において助長される。約２０乃至４０°の角度が極めて適切である。適する角度の選択は、当然被覆層の材料の硬度による。
【０００９】
満足のいくシール機能のための重要な要因には、個々のジッパー層の寸法どりもある。２本のジッパー支持テープの柔軟な被覆層が２本の基部テープの厚さと同じか薄い厚さを有していると極めて有利であることがわかった。適切な態様としては、基部テープの厚さは約０．６ｍｍであり、ジッパー支持テープの全体の厚さは約１ｍｍである。
【００１０】
ジッパーの主平面に対し横断方向に延び且つ関連する基部テープの側端部上に突出する柔軟な被覆層の外面は、平滑にすることができる。しかしながら、一方の支持テープの、他方の支持テープの被覆層に対応する外面と当接する前記縁部密着領域に、それぞれ粗くしたり輪郭づけしたりすることが適切であることがわかった。前記輪郭づけが噛合部材列に平行に延在する外面の連続する凸部及び凹部により形成されると効果的であることが立証されている。
【００１１】
本発明は、また従来の態様でも下翼板及び上翼板並びに２つの翼板を連結するスライダー楔部を有しているジッパー用スライダーの特別な構造にも関している。本発明によれば、スライダー楔部の中央領域には、上下翼板間に平行に延びるガイド鍔部が形成され、同ガイド鍔部によりスライダー楔部のいずれかの側において噛合部材列を収容する２つの第１室とジッパー支持テープの対向する縁を収容する２つの第２室とに画成する。
【００１２】
ガイド鍔部の外周縁は、前記スライダー楔部の周面から実質的に一定の距離をもつように設定される。
本発明の更なる詳細、効果及び構成は、添付図面に関連して以下の記載から明らかにされる。
【００１３】
【発明の実施形態】
従来の態様で図面に示されているジッパー１は、２つのジッパー支持テープ２、３とそこに縫着されている噛合部材列４，５とを備えている。支持テープ２、３のそれぞれは、例えばポリエステル又は何らかの他の合成繊維材料からなる織物から作られる基部テープ６を備えている。しかしながら、基部テープ６を木綿糸から形成することもできる。
【００１４】
各基部テープ６の噛合部材列４，５が配された側とは反対側の表面に、合成ゴムの柔軟な被覆層７が配されている。この用語は一般的な用法としてエラストマーを含むが、熱可塑性材料も基部テープ６をコートするために用いることができる。
【００１５】
図面から明らかなように、被覆層７は基部テープ６の側端面８上に突出しこれを完全に覆っている。長期にわたる使用によっても、これにより基部テープ６がほつれないようにされている。
【００１６】
柔軟な被覆層７の対向する縁部密着領域９が長手方向の平面に沿って互いに当接するようにされ、連続する噛合部材列４，５がテープの長手縁部に対し横断方向に距離をあけたずれた位置で、ジッパー支持テープ２，３に縫着されていることもわかる。縁部密着領域９はジッパーとその中央線において交差し、またジッパーの主平面に対して直角に走っている。ジッパー支持テープ２，３の対向する縁部密着領域９は、噛合部材列４，５の噛合が外れている場合、問題の長手平面上に突出し、また噛合部材列４，５が係合したときに前記縁部密着領域９が前記噛合部材列４，５を支持している側の反対側の離れる方向に曲げられ、ジッパーの主平面に対しおおよそ直角に延出するように、前記長手平面上に突出する。それぞれ基部テープ６上に突出する２つのジッパー支持テープ２，３の対向する縁部密着領域９の柔軟な被覆層７は、互いに対する圧力作用下において係合し、その結果水密状態が確保される。
【００１７】
特に図１から理解できるように、柔軟な被覆層７の一部は、ジッパー支持テープの他の領域よりも対向する縁の近傍で厚くされている。そのため、噛合部材列４，５が噛合した状態にあるとき、互いに対して作用する圧縮力が増加する。厚くされた領域における柔軟な被覆層７の材料増加分の大部分が、基部テープ６の端部のすぐ内側の湾曲領域において、支持テープ２，３が互いに係合する縁部密着領域９に予想以上に大きな押圧力を付与するようになり、その結果、この領域にはＶ字状の膨出部はできない。
【００１８】
噛合部材列４，５が外れているとき問題の長手平面上に突出するジッパー支持テープ２，３の対向する縁部密着領域９は、ジッパー主平面に対して傾斜した平面において、主平面との間に鋭角を形成するように適宜予め形成されている。同鋭角は、柔軟な被覆層７を形成する材料の硬度に応じて、約２０〜４０°の範囲にある。
【００１９】
２つのジッパー支持テープ２，３の柔軟な被覆層７は、２つの基部テープ６の厚さと同じか幾分薄い厚さを有している。本実施形態では、基部テープ６の厚さは約０．６ｍｍであり、ジッパー支持テープ２，３の全体の厚さは約１ｍｍである。
【００２０】
対応する基部テープ６の端面から突出し且つジッパー主平面に対して横断方向に延出する柔軟な被覆層７の縁部密着領域９の密着面には、粗くしたり輪郭付けが適宜なされる。後者の輪郭付けは、例えば噛合部材列４，５に平行に延びる外面の連続する凸部及び凹部により形成することもできる。
【００２１】
ジッパー支持テープ２，３を係合させ、且つこれを長手方向の摺動の場合に、図２乃至図４に示すように、開放又は閉鎖位置まで移動するジッパー用スライダー１０は、下翼板１１及び上翼板１２、並びに２つの翼板１１，１２を連結するスライダー楔部１３を備えている。スライダー楔部１３の上下中央領域において、上翼板１２及び下翼板１１の間をおおむね平行に延びる突出ガイド鍔部１４が配されている。前記ガイド鍔部１４は、スライダー楔部１３の上下いずれかの側において、左右の噛合部材列４，５を収容する２つの第一室１５及び１６を、ジッパー支持テープ２，３の対向する縁部密着領域９を収容する２つの第二室１７，１８とに分離する。特に図４から理解できるように、ガイド鍔部１４の外縁１９は、スライダー楔部１３からほぼ一定の距離をおいている。
【図面の簡単な説明】
【図１】閉鎖状態にある本発明の水密ジッパーの概略正面図である。
【図２】スライダーによる開放及び閉鎖操作時のジッパーの概略断面図である。
【図３】本発明に使用されるスライダーの概略側面図である。
【図４】同スライダーの内部の部分断面図である。
【符号の説明】
１ ジッパー
２，３ ジッパー支持テープ
４，５ 噛合部材列
６ 基部テープ
７ 被覆層
８ 側端面
９ 縁部密着領域
１０ （ジッパー用）スライダー
１１ 下翼板
１２ 上翼板
１３ スライダー楔部
１４ ガイド鍔部
１５，１６ 第１室
１７，１８ 第２室
１９ 外縁

Claims (3)

1. スライダー（１０）を備え、側縁部同士が互いに密着する一対の水密ジッパー支持テープ（２，３）を有し、各支持テープ（２，３）はその少なくとも一面を覆う合成ゴム等の柔軟な被覆層（７）をもつ基部テープ（６）と、ジッパー支持テープ（２，３）の長手縁部に縫着される一対の連続する噛合部材列（４，５）とを備えた水密ジッパーであって、
   前記噛合部材列（４，５）は、柔軟な被覆層（７）の対向する縁部密着領域（９）がジッパーの中央軸線において交差し且つジッパーの主平面に対し直交する長手方向の平面に沿って互いに密着するように、ジッパー支持テープ（２，３）の長手縁部に対し横方向にずれた位置に縫着されてなり、
   ２つのジッパー支持テープ（２，３）の対向する前記縁部密着領域（９）の前記被覆層（７）は、噛合部材列（４，５）が係合状態にあるとき、前記密着領域（９）の対向端部が噛合部材列（４，５）を支持する側から離れる方向に曲げられ、ジッパーの主平面に対し略直角に延出するように突出し、押圧動作により互いに係合して水密状態が確保され、噛合部材列（４，５）の係合が外されたとき、ジッパー支持テープ（２，３）の長手方向の主平面上に略延在するように構成されてなる、
   ことを特徴とする水密ジッパー。
2. 下翼板（１１）及び上翼板（１２）並びに該２つの翼板（１１，１２）を連結するスライダー楔部（１３）を有し、ジッパー支持テープ（２，３）の長手方向の開放又は閉鎖位置に摺動するジッパー用スライダー（１０）を備えたジッパーであって、 スライダー楔部（１３）の中央領域にあって、上翼板（１２）及び下翼板（１１）の間を略平行に延びて突出するガイド鍔縁（１４）が形成されてなり、 同ガイド鍔部（１４）は、スライダー楔部（１３）のいずれかの側において噛合部材列（４，５）を収容する一対の第１室（１５、１６）とジッパー支持テープ（２，３）の対向する縁部密着領域（９）を収容する一対の第２室（１７，１８）とに区画してなることを特徴とする水密ジッパー。
3. ガイド鍔部（１４）の外縁（１９）がスライダー楔部（１３）から略一定の間隔をあけていることを特徴とする請求項２記載のスライダー。

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