JP3714890B2 - 液密ジッパー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の液密ジッパー支持テープを有する液密ジッパーに関する。
【0002】
【従来の技術】
一対の液密ジッパー支持テープは、それぞれ少なくともその一面を覆うエラストマーや熱可塑性材料等の柔軟な被覆層をもつ基部テープを備えている。また、それぞれに支持テープの側縁に間隔を開けた状態で変位した位置に横断するようにして連続的な噛合部材列が縫着されている。柔軟な被覆層の対向する密着縁部がジッパーの中心軸線において且つジッパーの主平面に対して直角に交差する長手方向の平面に沿って互いに密着する。噛合部材列が外れたとき及び噛合部材列が係合したとき、噛合部材列を支持している側とは反対側に屈曲してジッパーの主平面に略直角に延びる程度に前記長手方向の平面上に突出し、基部テープ上に突出する二本のジッパー支持テープの対向する密着縁部の柔軟な被覆層は、押圧動作により互いに液密状態に係合する。長手方向に移動しジッパー支持テープを開放及び閉鎖位置に移行させるジッパースライダーは、下板、上板及びこれら二つの板を連結するスライダー楔部の他に、スライダー楔部の中央領域に形成され上板及び下板間を略平行に延びる案内密着縁部を有し、スライダー楔部はジッパー支持テープの相対する密着縁部を収容する二つの第二チャンバーと、そのいずれかの側において各噛合部材列を収容する二つの第一チャンバーとに分かれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述のジッパーは同一出願人の先の独国出願199 24 539.8−26の主題を形成し、同出願において従来のジッパーの問題点は解消され、またより簡単な構造にもかかわらず、押圧動作においても、長期間にわたって液体及び気体の両方に対する完全な密封動作がなされる。しかしながら、前記先のジッパーの場合、ジッパースライダーが閉鎖されたジッパー状態に移行されたときも、噛合部材列の最後の噛合部材が密封されて液体シールが確保される位置に保持される、完全に満足のいく態様を確実に実現するとは限らない。スライダー楔部のいずれかの側において、そこに配された噛合部材から離間した状態を保つため、この端部領域において完全に確実なシールを実現するためには格別なシーリング対策を講じなければならない。
【0004】
これに基づいて、本発明の課題は、比較的簡単な構造でジッパースライダーの領域においても完全な液密性が確保されるような上述のタイプの液密ジッパーを更に開発することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、かかる課題は、ジッパーのスライダー端部位置におけるシール機能を大きくするために、各ジッパー支持テープが相互に連結された二つの端部には、寸法がより制限され且つその結果スライダー楔部上に形成された案内密着縁部上にスライダーを案内する十分以上の押圧力が確保されるエラストマーを配している。閉鎖状態にある噛合部材列に沿ってだけではなく、ジッパーの端部領域においても、得られる上板及び下板間を過剰なまでに押圧するエラストマーが存在する結果、求められているシール性能が確保された液密シールが得られる。
【0006】
これに関連して、噛合部材列と離間するジッパー支持テープの二つの相互連結端部の側において、略U字状の弾性的で柔軟な、スライダー上板の下側に当接するカムを射出成形又は加硫することにより成形することが極めて有用である。スライダーをその端部位置に移動させる間においても、前記カムのエラストマー変形が必要なことから、ある程度の抵抗がもたらされる。この柔軟なカムを好適な寸法とすれば、同抵抗は規制される。その結果、スライダーの始動をシールの性能を向上させた上で、確実にコントロールすることができる。
【0007】
U字状カムに二つの隣接する突部により画成された少なくとも一つの溝が形成されることは、これによりシール動作を損なうことなく抵抗動作を減らすことができるため、特に有利である。
【0008】
もう一つの好ましい態様によれば、溝は、U字状カムの二つのU字状脚部と、のU字状脚部間を連結するクロスバーとに沿って延び、クロスバーから離れた脚部端でいずれも終わっている。実際上は、前記脚部端は閉鎖端部位置におけるスライダーの後部領域であり、即ちそこまで噛合部材列は閉鎖位置にあり、上記被覆層が相互にシールする関係にある状態となる領域である。
【0009】
閉鎖端部位置にあるスライダーの正面領域に面して、即ちジッパー支持テープの相互に連結された二つの端部の領域において、幅方向の力を吸収し引き離したり拡開したりする力による損傷に対してジッパーを保護する幅方向の接合バーシステムが設けられていることが好ましい。適切には、幅方向の接合バーシステムは、上記U字状カムのU字状脚部を繋ぐカムクロスバーの下方の上記エラストマーや熱可塑性材料等に挿入される少なくとも一つの張力に耐性があり柔軟な糸条を備えている。好適には、張力に耐性がある柔軟な糸としてアラミド糸が使用できる。
【0010】
高い負荷に耐えられる可能性をもつことと、それによるジッパーの長い使用期間に鑑みると、幅方向の前記接合バーシステムにはジッパー支持テープの端部領域において噛合部材列に沿ってそれぞれ平坦で強い補強挿入部材を配することが有利であり、また張力に耐性のある柔軟な上記糸条はそれぞれ補強挿入部材上で配すること、又はそこに織り込まれることが特に有利であると証明されている。補強補強挿入部材として、ポリエステル織物を用いることが好ましい。
【0011】
【発明の実施形態】
本発明の効果と特徴は添付図面に関連して、以下の説明により理解される。図1はジッパースライダーが二本のジッパー支持テープが閉鎖されて液密状態に移行された状態におけるジッパー端部の上流側におけるジッパーの模式断面図であり、図2は図1のII-II 線に沿ってスライダー部分を部分的に断面で示すジッパーの平面図、図3は図2のIII-III 線に沿ったジッパーの模式断面図、図4は図2のIV-IV 線に沿ったジッパー支持テープをもつジッパースライダーの上半部の模式断面図、図5は図2のV-V 線に沿ったジッパー支持テープ及びスライダーの模式的な長手方向断面図、図6は図5の矢印VIの方向に対応する端部領域におけるジッパー支持テープを下方から見た模式的な部分平面図である。
【0012】
従来の態様では、図面に示されたジッパー1は二本のジッパー支持テープ2、3と、そこに縫着された噛合部材列4,5とを有している。それぞれの支持テープ2,3は、例えばポリエステルやその他の熱可塑性材料からなる織物製の基部テープ6を備えている。しかしながら、基部テープ6を綿糸から作ることもできる。
【0013】
各基部テープ6には、その噛合部材列4,5から離間する側に柔軟な合成ゴム製の被覆層が設けられている。しかして、この用語はエラストマーを含むものであるが、基部テープ6をコーティングするのに熱可塑性材料を使用することもできる。
【0014】
被覆層は図面上では見ることができない。柔軟な被覆層と、同被覆層により完全に覆われる基部テープ6の端面との位置関係に関する更なる詳細は、同一出願人による先の独国出願199 24 539.8−26から理解することができる。この先の出願の目的は、連続する噛合部材列4,5が、柔軟な被覆層の相対する密着縁部がジッパーをその中心軸線に沿って且つジッパーの主平面に直角に交差する長手方向の平面に沿って互いに当接するように、ジッパー支持テープ2,3に縫着されているという事実である。噛合部材列4,5が係合しているときには、ジッパー支持テープ2,3の相対する側縁は各噛合部材列を支持する側から離間するように屈曲してジッパーの主平面に対して略直角に延びるが、噛合部材列4,5が外されると、各側縁は前記長手方向の平面上に突出する。それぞれが基部テープ6上に略直角に突出する二本の対向する密着縁部の柔軟な被覆層は、押圧動作により互いに係合しその結果液密状態が満足される。
【0015】
対向する密着縁部の領域における柔軟な被覆層の断面は、ジッパー支持テープの他の領域よりも厚い。このため、噛合部材列4,5が噛合状態にあるとき互いに対して作用する圧縮力が増加することになる。基部テープ6の端部の直近上流側の広がって、湾曲した領域の柔軟な被覆層材料の増加量により、支持テープの係合する密着縁部での十分以上の押圧を確実にする。
【0016】
噛合部材列4,5が係合していないとき、問題の長手方向平面上に突出するジッパー支持テープ2、3の対向する密着縁部は、ジッパーの主平面に対して傾斜した平面に終わり主平面と鋭角を形成するように予め適宜成形されている。柔軟な被覆層を形成する材料の固さとの関係で、前記鋭角は約20〜40°にすることが好ましい。この予備成形は、基部テープ6に図1、図3及び図4に示すような効果をもたらしている。
【0017】
図面は以下に説明するような態様で被覆する追加的なエラストマーが配されたジッパー支持テープ2,3の二つの相互連結された端部の領域における状態を示しているにすぎないため、柔軟な被覆層は追加的な被覆又はコーティングと一体化され、即ち独立した要素としてはみることができない。
【0018】
長手方向の移動して、噛合部材列4,5を係脱させて、ジッパー支持テープ2,3を開放又は閉鎖させるジッパースライダー10は、下板11及び上板12、並びに二つの板11,12を互いに連結するスライダー楔部13とを備えている。上板12及び下板11間に略平行に延びて突出する案内縁部14が、スライダー楔部13の中央領域に設けられている。スライダー楔部13のいずれかの側において、この案内縁部14は、噛合部材列4,5を収容する二つの第一チャンバー15及び16とジッパー支持テープ2,3の対向する密着縁部を収容する二つの第二チャンバー17,18とを分ける。特に図2から理解できるように、案内縁部14の外縁19は案内縁部を支持するスライダー楔部13からほぼ一定の幅をもたせている。
【0019】
図3〜図5は二本のジッパー支持テープ2,3の端部領域、即ち噛合部材列4、5が終わり、もはや閉鎖機能を果たさない部位において、ジッパースライダー10及び被覆する追加的な支持テープエラストマーにより密閉された液体シールが達成されることを示している。このために噛合部材列4,5は、噛合部材列4,5の厚さ(高さ)にほぼ相当するエラストマー層に完全に埋設されている。前記埋設された噛合部材列4,5には、噛合部材列側に且つ噛合部材列と略同じ厚さをもって、エラストマーや熱可塑性材料等らなる平坦な層20が連続して連結されている。同層20は約50バールの高圧で射出成形され、基部テープ6の端縁から前方に延び、スライダー楔部13のいずれかの側において噛合部材列4,5に続く両側縁部分を案内縁部14とスライダーの下板11の間の領域を連結している。
【0020】
ジッパー支持テープ2,3の相互を連結した端部の噛合部材列4,5から離れた側の表面にも、エラストマー層、即ち弾性がある平面視で略U字状のエラストマーや熱可塑性材料等からなる射出成形又は加硫により得られた柔軟なカム21が適用される。スライダーが端部位置にあるとき、過剰な押圧を伴ってスライダーの上板12の下側に係合する。この係合時の過剰な押圧力は、下板11の頂部及び上板12の底部の間の案内密着縁部14を含むスペースと比べてカム21の大きさを大きくするがために生じる。カム21の二つの隣接する突部の間に形成される溝22は、前記U字状カム21内に形成されることになる。この溝22は、U字状カム21の二つの脚部23,24上に、また同じく脚部23,24間を繋ぐクロスバー25上に延び、いずれもクロスバー5から遠い脚部端、即ち噛合部材列4,5がその支持テープ2,3と共にその噛合及び閉鎖機能を終了する部位、つまり端部位置にあるスライダー10の直近隣接位置で終わっている。図面では破線の形で下板11と上板12との間に過剰な押圧が生じることが示されており、それは閉鎖時の操作力が減少するにもかかわらず、完全に十分な密封状態の液体シールを可能にする。勿論、過剰な押圧の程度は、図示例のごとく、一つの溝22ではなく、カム21内の二つの隣接する溝を形成することによっても制御することができる。スライダー10の端部位置では、図3及び5から、案内縁部14はエラストマー層の対応する側面のU字状溝内に収容されて、それにより迷路型のシールが形成されることが明らかにされる。シーリング機能は、前記溝として案内部14の幅より幾分狭い幅の溝とすることにより、密着性が増しシール性が改善される。
【0021】
図1及び図3は、ジッパー支持テープ2,3が、その端部領域における噛合部材列4,5が配されている側のテープ面に、好ましくはポリエステル織物のような平坦な平坦な補強部材26が一体化されていることを示している。
【0022】
図5から理解できるように、ジッパー支持テープ2,3の二つの互いに連結した端部の近傍に幅方向の接合バーシステムが設けられており、それが幅方向の力を吸収し且つ分離や拡開方向の力がかかった場合の損傷に対してジッパーを保護する。この接合バーシステムはU字状カム21のU字状脚部23、24を繋ぐカムクロスバー25の下方の、エラストマーや熱可塑性材料等の被覆層に挿入されられた張力に耐性のある柔軟な少なくとも一本の糸条28を備えている。同糸条の好適な材質としてはアラミド繊維がある。
【0023】
図6は、端部位置にあってスライダーにより被覆される支持テープ2,3の領域のいずれかの側には、幅方向の接合バーシステム27の一部を構成する強く平坦な補強挿入部材29が設けられていることを模式的に示している。張力に耐性があり柔軟な単糸又は複数糸からなる糸条28は、それぞれ上記補強挿入部材29上で終わるかこれに織り込まれることを示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】スライダー内を案内される本発明のジッパーの概略部分断面図である。
【図2】図1のII-II 線に沿った矢視断面図である。
【図3】図2のIII-III 線に沿った矢視断面図である。
【図4】図2のIV-IV 線に沿った矢視断面図である。
【図5】図2のV-V 線に沿った矢視断面図である。
【図6】図5におけるVIの矢印方向から見たスライダーを除去して示すジッパー支持テープの概略平面図である。
【符号の説明】
1 ジッパー
2,3 ジッパー支持テープ
4,5 噛合部材列
6 基部テープ
9 密着縁部
10 ジッパースライダー
11 下板
12 上板
13 スライダー楔部
14 案内縁部
15,16 第一チャンバー
17,18 第二チャンバー
19 外縁
20 層
21 カム
22 溝
23,24 脚部
25 クロスバー
26 補強部材
27 接合バーシステム
28 糸条
29 補強挿入部材

Claims (7)

  1. 基部テープ(6)の少なくとも一面にエラストマー、熱可塑性材料等の柔軟な被覆層をもつ一対のジッパー支持テープ(2,3)と、それぞれの基部テープ(6)の側縁に縫着される噛合部材列(4,5)と、一対のジッパー支持テープ(2,3)の長手方向に移動させることにより、ジッパー支持テープ(2,3)を開放及び閉鎖位置とするジッパースライダー(10)とを備えた液密ジッパーであって、
    噛合部材列(4,5)は、各基部テープ(6)の側縁に直交して間隔を開けた状態で横断方向に変位した位置に縫着され、噛合部材列(4,5)の係合時に柔軟な前記被覆層の対向する密着縁部(9)がジッパーの中心軸線において且つジッパーの主平面に対して直角に交差する長手方向の平面に沿って互いに当接するとともに、噛合部材列を支持している側とは反対側に屈曲してジッパーの主平面に略直角に延びるように前記長手方向の平面上に突出し、
    前記突出する一対のジッパー支持テープ(2,3)の対向する密着縁部(9)を構成する前記被覆層は、押圧動作により互いに液密状態に係合し、
    前記ジッパースライダー(10)は下板(11)、上板(12)及びこれら二つの板を連結するスライダー楔部(13)と、スライダー楔部(13)の中央領域に形成され上板(12)及び下板(11)間を略平行に延びる案内縁部(14)とを有してなり、
    前記案内縁部(14)は、スライダー楔部(13)のいずれかの側において左右の噛合部材列(4,5)を収容する二つの第一チャンバー(15,16)と、ジッパー支持テープの対向する密着縁部(9)を収容する二つの第二チャンバー(17,18)とに分けてなり、
    前記ジッパー支持テープ(2,3)の互いに連結された二つの端部には、前記案内縁部(14)上にあってスライダー(10)が円滑に案内できる寸法に設定され、且つ密封に必要な押圧力を確保するエラストマーが更に設けられ、スライダー端部位置におけるジッパーのシーリング機能を増加させてなる、
    ことを特徴とする液密ジッパー。
  2. ジッパー支持テープ(2,3)の連結端部の噛合部材列(4、5)からの離間側に、適宜大きさのU字状で弾性がありスライダー(10)の上板の下面に係合する柔軟なカム(21)が射出成形又は加硫により成形されてなることを特徴とする請求項1記載のジッパー。
  3. 前記U字状カム(21)の上面に沿って、内外方向に離間する二つの隣接する突部を有するとともに、その突部に挟まれる少なくとも一つの溝(22)を有してなることを特徴とする請求項2記載のジッパー。
  4. 前記溝(22)は、U字状カム(21)の二つの脚部(23,24)と、各脚部(23,24)を繋ぐクロスバー(25)との上に延び、同クロスバーと離れた側の脚部端部で終わってなることを特徴とする請求項3記載のジッパー。
  5. ジッパー支持テープ(2,3)の二つの端部の領域には、テープ幅方向の延びる接合バーシステム(27)を有し、テープ幅方向の力を吸収して幅方向の拡開時の損傷に対してジッパーを保護してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のジッパー。
  6. 前記接合バーシステム(27)は、上記U字状カム(21)の脚部(23、24)を繋ぐカムクロスバーの下方のエラストマー、熱可塑性材料等の上記被覆層に挿入された張力に耐性のある柔軟な少なくとも一本の糸条(28)を備えてなることを特徴とする請求項5記載のジッパー。
  7. 前記案内縁部(14)は、スライダーの移動端部位置において、エラストマー等の上記被覆層の対応する側面に形成された溝内に収容されてなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のジッパー。
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