JP3704252B2 - アクリル系共重合体、アクリル系粘着剤組成物、アクリル系粘着テープまたはシート及びアクリル系接着剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル系共重合体及びアクリル系粘着剤組成物に関し、より詳細には、極性が異なる重合体部分を有し、従って様々な用途に用いる際の設計の自由度に優れたアクリル系共重合体並びに該アクリル系共重合体を用いたアクリル系粘着剤組成物、アクリル系粘着テープもしくはシート、及びホットメルト型アクリル系接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高分子化合物に求められる性能及び機能の要求がますます高まっており、それに伴って、重合体の高分子量化だけでなく、異なる重合体部分を有するグラフト共重合体やブロック共重合体の重要性が認識されてきている。例えば、ブロック共重合体では、特開昭62−235310号公報には、1分子中に分解温度が異なる2種類のパーオキシ結合を有する二官能性過酸化物触媒を用い、2種類の単量体混合物を順次重合することにより、ゴム成分である重合体部分と、樹脂成分である重合体部分とがブロック共重合されているブロック共重合体の製造方法が開示されている。
【0003】
しかしながら、この方法では、使用し得るモノマーが、高い極性を有する不飽和カルボン酸アルキルエステルや芳香族ビニル化合物に限定されるため、得られるブロック共重合体全体の極性が高くならざるを得なかった。
【0004】
また、グラフト共重合体としては、特開昭59−75975号公報に記載のように、高いガラス転移点を有するマクロモノマーを用いたアクリル系グラフト共重合体が開示されている。しかしながら、この方法においても、上記ブロック共重合体の場合と同様に、極性の高いモノマー種を用いているため、得られるブロック共重合体の全体としての極性が高くならざるを得なかった。
【0005】
特開昭59−75975号公報には、上記ブロック共重合体を用いたアクリル系粘着剤も開示されているが、上記ブロック共重合体が高い極性を有するため、使用し得る粘着付与樹脂の種類が限られ、かつ低極性の被着体に対して所望の接着強度を得ることができなかった。
【0006】
他方、近年、ゴム系粘着剤に比べて、凝集力が高く、耐候性及び耐溶剤性に優れているため、アクリル系粘着剤が広く用いられている。
また、ポリエチレンやポリプロピレンなどの低極性表面を有する被着体に対するアクリル系粘着剤の粘着力を高める方法として、例えば特開平3−281587号公報には、アクリル系重合体に樹脂酸エステルを含有させた組成物が開示されている。
【0007】
しかしながら、上記先行技術に記載のアクリル系粘着剤組成物では、やはりアクリル系重合体自身の極性が高いため、使用し得る粘着付与樹脂の種類が限られ、かつ低極性被着体との極性差を十分に埋めれないため、十分な接着強度を得ることができないのが現状であった。
【0008】
他方、部材を保護するために、合成樹脂よりなるフィルムやシートが保護用フィルムもしくはシートとして幅広く用いられている。すなわち、この種の保護用フィルムもしくはシートは、ステンレス板もしくはアルミニウム板などの金属板、プレコート鋼板、化粧板、プラスチック板、あるいはアルミサッシなどの加工時、養生時または輸送中の保護に幅広く用いられている。
【0009】
このような保護用フィルムもしくはシートとして、例えば、特開昭61−103975号公報には、A−B−A(Aはスチレン重合体ブロック、Bはエチレン−ブチレン共重合体ブロックを示す。)100重量部と、粘着付与樹脂0〜80重量部とを含む組成物からなる粘着剤層を、ポリオレフィンからなる基材上に形成してなる表面保護用接着フィルムが開示されている。しかしながら、この先行技術記載の表面保護用接着フィルムでは、粘着剤層の基材に対する投錨力は優れているものの、耐候性の面では満足の行くものではなかった。
【0010】
そこで、屋外用途などの特に耐候性や耐光性が求められる用途では、塩化ビニル樹脂やポリオレフィンからなる基材に、アクリル系粘着剤を溶液塗布してなる保護フィルムが用いられている。ところが、この種の保護フィルムは、保護されている部材を使用する際には剥離されなければならないので、保護されている部材から剥離し易いように構成されている。例えば、アクリル系粘着剤にシリコーンオイルなどの剥離剤を配合することにより、剥離性を高めている。しかしながら、この剥離剤によって、保護されている部材表面が汚染するといった問題がある。
【0011】
また、近年、溶剤を用いる接着剤の環境汚染問題が厳しく取り上げられるようになり、また省エネルギー及び省資源という観点から、溶剤を使用しないホットメルト型の接着剤が注目されている。現在、ホットメルト型の接着剤としては、熱溶融性、流動性、及び他の樹脂との相溶性に優れているので、エチレン−酢酸ビニル共重合体を主材とするものが主流をなしている。しかしながら、このような優れた特徴を有する上記ホットメルト型接着剤も、初期粘着力(タック)が低いこと、低温時における接着性能が劣ること、そしてポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系共重合体への接着力が低いこと等の欠点があった。
【0012】
そこで、オレフィン系共重合体等の低極性被着体への接着性を高めるために、共役ジオレフィン重合体/モノビニル置換芳香物化合物からなるブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系樹脂、フェノール系樹脂及び粘着付与樹脂からなるもの(特開昭54−91540号公報)が、またエチレン−酢酸ビニル共重合体に限定された分子量を有する液状ゴム及び粘着付与樹脂を添加してなるもの(特開昭54−127441号公報)が提案されている。
【0013】
しかしながら、特開昭54−91540号公報及び特開昭54−127441号公報に開示されているホットメルト型接着剤組成物は共に、分子中に共役二重結合を有する成分を含んでおり、光や熱に対する耐劣化性という面においては満足のゆくものではない。
【0014】
また、ゴム系の接着剤に比較して耐候性や耐溶剤性に優れている材料として、アクリル系ホットメルト接着剤が開発されており、各種用途に利用されている。このアクリル系ホットメルト型接着剤組成物の一例が特開昭59−75975号公報に開示されている。
【0015】
しかしながら、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと重合性ポリマー(マクロマー)とからなる該アクリル系ホットメルト型接着剤組成物では、熱溶融性(ホットメルト性)と凝集力とをバランスよく付与するのが困難であった。すなわち、該組成物をホットメルト型接着剤として使用した場合、60℃以上の高温になると接着剤が流動して塗布部からはみ出すという欠点があり、流動性を抑制するめたに凝集力を高めると、溶融粘度が高くなりすぎて塗布が困難になるという欠点があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、極性やガラス転移点が異なる重合体部分を有し、かつ該極性やガラス転移点が異なる重合体部分の組み合わせ方を容易に調整でき、設計の自由度が高くかつ広範な用途に用い得る、アクリル系共重合体を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、本発明に係るアクリル系共重合体を主成分とし、被着体の極性の如何に係わらず良好な接着性を発現し得るアクリル系粘着剤組成物を提供することにある。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、上述した先行技術の欠点を解消する、すなわち、良好な接着性を示し、かつ適度な再剥離性及び被着体非汚染性を両立することができ、さらに耐候性や耐光性が要求される用途にも好適に用い得る、アクリル系粘着テープもしくはシートを提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、優れた接着性を示すホットメルト型アクリル系接着剤組成物を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明は、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン重合体または共重合体(b)と、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾され、数平均分子量が2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(c)とを共重合してなることを特徴とするアクリル系共重合体である。
【0021】
第2の発明は、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、あるいはイソシアネート基から選ばれる1種類の官能基を有する重合性単量体(d)と、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン重合体または共重合体(b)とを共重合してなるアクリル系共重合体に、重合性単量体(d)の官能基と反応可能な1種類の官能基を片末端に有し、数平均分子量が2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(e)をグラフトさせたことを特徴とするアクリル系共重合体である。
【0022】
本願の第3の発明は、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、カルボキシル基、水酸基、あるいはイソシアネート基から選ばれる1種類の官能基を有する重合性単量体(d)とを共重合してなるアクリル系共重合体に、片末端に重合性単量体(d)の官能基と反応可能な1種類の官能基を有するオレフィン重合体または共重合体(f)をグラフトさせたことを特徴とするアクリル系共重合体である。
【0023】
本願の第4の発明は、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、あるいはイソシアネート基から選ばれる1種類の官能基を有する重合性単量体(d)と、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾され、数平均分子量が2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(c)とを共重合してなるアクリル系共重合体に、片末端に重合性単量体(d)の官能基と反応可能な1種類の官能基を有するオレフィン重合体または共重合体(f)をグラフトさせたことを特徴とするアクリル系共重合体である。
【0024】
第5の発明は、1分子中にラジカル重合性の不飽和二重結合とパーオキサイド結合を有する化合物(I)が分解しない温度領域で、光開始剤により、前記化合物(I)と、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン重合体または共重合体(b)とのラジカル重合を行う第1工程と、前記化合物(I)の分解温度領域で、先に行われたラジカル重合による生成物の存在下で、先に行われたラジカル重合に用いた重合性単量体成分とは異なる組成を有する重合性単量体成分(II)のラジカル重合を行う第2工程とによって製造されたことを特徴とするアクリル系共重合体である。
【0025】
第1,第2または第5の発明に係るアクリル系共重合体では、好ましくは、オレフィン重合体または共重合体(b)として、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたエチレン−ブチレンランダム共重合体またはプロピレン重合体が用いられる。
【0026】
第2の発明においては、好ましくは、重合性単量体(d)の官能基がエポキシ基であり、かつ重合体(e)の官能基がカルボキシル基である。また、第3,第4の発明に係るアクリル系共重合体では、好ましくは、上記重合性単量体(d)の官能基はカルボキシル基であり、第4の発明においては、好ましくは、オレフィン重合体(f)の官能基がエポキシ基である。
【0027】
第5の発明に係るアクリル系共重合体においては、好ましくは、上記第2の工程で用いられる重合性単量体成分(II)のガラス転移温度は、20℃以上である。
【0028】
本発明に係るアクリル系粘着剤組成物は、第1〜第5の発明に係るアクリル系共重合体のいずれかを主成分とすることを特徴とする。この場合、好ましくは、水添石油樹脂がさらに含有される。
【0029】
本発明の別の局面によれば、ポリオレフィン基材と、本発明に係るアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層とが共押出されて一体化されているアクリル系粘着テープもしくはシートが提供される。
【0030】
また、本発明のさらに別の局面によれば、第1〜第5の発明に係るアクリル系共重合体を主成分とするホットメルト型アクリル系接着剤組成物を提供される。
以下、本発明の詳細を説明する。
【0031】
(第1の発明)
第1の発明において、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)としては、(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどを挙げることができる。
【0032】
なお、本明細書において、(メタ)アクリルなる表現は、アクリル及びメタクリルを総称するものとする。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0033】
第1の発明において用いられる上記ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン重合体または共重合体(b)としては、他の重合性単量体と共重合可能な二重結合と、オレフィン骨格との繰り返しからなるポリマー構造を有する限り、特に限定されるものではない。ここで、他の重合性単量体と共重合可能な二重結合とは、ラジカル重合性の不飽和二重結合を意味するものであり、このような不飽和二重結合を有する官能基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基などを挙げることができる。
【0034】
また、上記オレフィン骨格の繰り返しからなるポリマー構造としては、エチレン−ブチレン骨格の繰り返し構造、またはプロピレン骨格からなるポリマー構造すなわちプロピレン重合体を挙げることができる。上記オレフィン重合体または共重合体(b)の具体的な例としては、シェル化学社製、商品名:KRATONLIQUID Polymer L−1253などを挙げることができる。
【0035】
第1の発明において用いられる、上記ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されており、数平均分子量が2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(c)としては、他の重合性単量体と共重合可能な二重結合と、数平均分子量が2000〜30000であり、ガラス転移点が30℃以上である限り特に限定されるものではない。なお、オレフィン重合体または共重合体(b)についての説明の場合と同様に、他の重合性単量体と共重合可能な二重結合とは、ラジカル重合性の不飽和二重結合を意味するものであり、このような不飽和二重結合を有する官能基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基などを挙げることができる。
【0036】
上記オレフィン重合体または共重合体(b)として、好ましくは、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたエチレン−ブチレンランダム共重合体またはプロピレン重合体が用いられる。
【0037】
上記重合体(c)の具体的な例としては、東亜合成化学社製、商品名:AA−6を挙げることができる。
第1の発明においては、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)、オレフィン重合体または共重合体(b)及び重合体(c)だけでなく、得られるアクリル系共重合体のガラス転移温度や極性を調整するために、あるいは官能基を導入するために、さらに他のビニルモノマーを共重合させてもよい。このような共重合可能なビニルモノマーとしては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、スチレンなどに代表されるスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルに代表されるビニルエーテル系単量体;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル、フマル酸のジアルキルエステル、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル、マレイン酸のジアルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のモノアルキルエステルなどの不飽和カルボン酸もしくは不飽和カルボン酸アルキルエステル類;(メタ)アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルケトン、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、(メタ)アクリルアミド、ビニルカルバゾールなどを挙げることができる。
【0038】
第1の発明に係るアクリル系共重合体の重量平均分子量が小さすぎると重合体としての特性を発揮できないおそれがあり、大きすぎると製造時の粘度が高くなり、生産性が低下することがある。従って、好ましくは、アクリル系共重合体の重量平均分子量は、10000〜4000000、より好ましくは200000〜2000000の範囲とされる。
【0039】
第1の発明に係るアクリル系共重合体は、溶液重合、塊状重合などの任意の方法により得ることができるが、通常、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、オレフィン重合体または共重合体(b)と、重合体(c)とを、例えば、酢酸エチルなどの適当な溶剤に溶解させ、重合開始剤を用いた溶液重合法により容易に得ることができる。
【0040】
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)、上記オレフィン重合体または共重合体(b)及び重合体(c)と、光重合開始剤とを含む無溶媒液状混合物に対し、窒素などの不活性雰囲気中において紫外線を照射することにより重合する方法を用いてもよい。
【0041】
第1の発明において、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)、オレフィン重合体または共重合体(b)及び重合体(c)の配合割合を説明する。
上記オレフィン重合体または共重合体(b)の含有量が少なくなると、所望の特性が得られず、多すぎると相溶性が悪化し実用性が低下する。従って、オレフィン重合体または共重合体(b)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)100重量部に対し、5〜100重量部の割合で含有させることが好ましく、より好ましくは10〜50重量部の範囲とされる。
【0042】
また、上記重合体(c)の含有割合が少なすぎると重合体としての凝集力が得られず、多すぎるとゲル化を招き実用性が低下する。従って、重合体(c)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)100重量部に対し、5〜100重量部の割合で含有させることが好ましく、より好ましくは10〜30重量部の範囲とされる。
【0043】
(第2の発明)
第2の発明において用いられる炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)については、第1の発明の場合と同様であるため、第1の発明における説明を援用することとする。
【0044】
第2の発明において用いられる、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基またはイソシアネート基から選ばれる1種類の官能基を有する重合性単量体(d)としては、これらの官能基のうち1種類を含む重合性単量体である限り特に限定されるものではない。
【0045】
例えば、重合性単量体(d)のうち、カルボキシル基を有するものとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸もしくは(無水)マレイン酸、(無水)フマル酸などのカルボン酸やカルボキシエチルアクリレートのようなカルボキシル基含有(メタ)アクリレートエステルなどが挙げられ、水酸基を有するものとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンオキシド変性(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0046】
また、エポキシ基を有するものとしては、メタクリル酸グリシジルエステルなどを挙げることができ、イソシアネート基を有するものとしては、メタクリロイルイソシアネートなどを挙げることができる。
【0047】
第2の発明において用いられる、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン重合体または共重合体(b)としては、第1の発明で用いた上記オレフィン重合体または共重合体(b)と同様であるため、第1の発明における説明を援用することとする。
【0048】
第2の発明においては、好ましくは、上記オレフィン重合体または共重合体(b)が、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたエチレン−ブチレンランダム共重合体またはプロピレン重合体で構成され、さらに好ましくは、オレフィン重合体または共重合体(b)が上記エチレン−ブチレンランダム共重合体またはプロピレン重合体で構成され、重合性単量体(d)が官能基としてエポキシ基を含むもので構成され、重合体(e)は官能基がカルボキシル基を有するもので構成される。
【0049】
第2の発明では、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)、重合性単量体(d)及びオレフィン重合体または共重合体(b)を共重合してなるアクリル系共重合体(X1)が用いられるが、このアクリル系共重合体においては、第1の発明の場合と同様に、ガラス転移温度や極性の調整のため、あるいは官能基を導入するために他のビニルモノマーをさらに共重合させてもよい。このような共重合可能なビニルモノマーについては、第1の発明の場合と同様であるため、第1の発明における説明を援用することとする。
【0050】
第2の発明では、上記アクリル系共重合体(X1)に、さらに、片末端に重合性単量体(d)の官能基と反応可能な1種類の官能基を有する数平均分子量が2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(e)がグラフトされている。
【0051】
上記重合性単量体(d)の官能基と反応可能な1種類の官能基を片末端に有する数平均分子量が2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(e)としては、スチレン、メタクリル酸メチルエステル、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニルなどの単独重合体または共重合体を用いることができ、これらの1種のみが用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。また、上記スチレン、メタクリル酸メチルエステル、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニルなどの官能基を有する重合性モノマーと、例えば片末端に水酸基を導入するのであればメルカプトエタノール、カルボキシル基を導入するのであればメルカプト酢酸あるいはプロピオン酸などを連鎖移動剤として用い、上記重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとを共重合することにより、重合体(e)を得てもよい。
【0052】
上記片末端に官能基を有する重合体(e)の添加量が少なすぎると、例えば第2の発明に係るアクリル系共重合体を粘接着剤として用いた場合、凝集力が低下し耐熱性が得られないことがあり、多すぎると、粘接着剤自体が硬くなりすぎるために接着性が低下する。従って、好ましくは、上記重合体(e)は、グラフト前のアクリル系共重合体(X1)100重量部に対し、5〜100重量部の範囲でグラフトされる。
【0053】
第2の発明に係るアクリル系共重合体においても、重量平均分子量が小さすぎると重合体としての特性を発揮できないおそれがあり、大きすぎると、製造時の粘度が高くなり、生産性の点で好ましくないため、重量平均分子量は、10000〜4000000の範囲が好ましく、より好ましくは200000〜2000000の範囲とされる。
【0054】
第2の発明におけるアクリル系共重合体(X1)の重合方法についても、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、エマルジョン重合などの任意の方法により行い得るが、通常、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)及び他の必須成分と、必要に応じて添加される任意成分と、酢酸エチルなどの適当な溶剤に溶解し、重合開始剤を用いた溶液重合法により容易に得ることができる。
【0055】
また、第2の発明において、上記アクリル系共重合体(X1)に対し、重合体(e)をグラフトさせる方法についても、一般的なグラフト重合法に基づいて行い得る。
【0056】
第2の発明におけるアクリル系共重合体において、重合性単量体(d)の配合割合が少なすぎると所望のグラフト効果が得られず、多すぎるとアクリル系共重合体の極性が高くなり過ぎる。従って、重合性単量体(d)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)100重量部に対し0.1〜10重量部の範囲で含有させることが好ましく、より好ましくは1〜5重量部の範囲とされる。
【0057】
また、オレフィン重合体または共重合体(b)の配合割合が少なすぎると、所望の特性が得られず、多すぎると相溶性が悪化し実用性が低下する。従って、オレフィン重合体または共重合体(d)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)100重量部に対し、5〜100重量部の割合で含有させることが好ましく、より好ましくは10〜50重量部の割合とされる。
【0058】
(第3の発明)
第3の発明に係るアクリル系共重合体において用いられる、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)、並びにカルボキシル基、水酸基、あるいはイソシアネート基から選ばれる1種類の官能基を有する重合性単量体(d)については、それぞれ、第1の発明及び第2の発明で用いられている(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)及び重合性単量体(d)と同様であるため、これらの説明を援用することとする。
【0059】
第3の発明では、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、重合性単量体(d)とが共重合されるが、アクリル系共重合体のガラス転移温度や極性を調整するため、あるいは官能基を導入するために、第1,第2の発明の場合と同様に他のビニルモノマーをさらに共重合してもよい。このような他のビニルモノマーについては、第1の発明における説明を援用することとする。
【0060】
なお、第3の発明においては、好ましくは、上記重合性単量体(d)として、官能基がカルボキシル基であるものが用いられる。さらに、好ましくは、上記重合性単量体(d)として官能基がカルボキシル基であるものが用いられ、かつオレフィン重合体(f)として、官能基がエポキシ基であるものが用いられる。
【0061】
第3の発明では、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、重合性単量体(d)とを少なくとも共重合してなるアクリル系共重合体(X2)に、片末端に重合性単量体(d)の官能基と反応可能な1種類の官能基を有するオレフィン重合体または共重合体(f)がグラフトされている。
【0062】
オレフィン重合体または共重合体(f)としては、重合性単量体(d)の官能基と反応可能な1種類の官能基を片末端に有し、数平均分子量及びガラス転移温度が上記特定の範囲にある限り特に限定されるものではない。このようなオレフィン重合体または共重合体(f)の例としては、例えば、エチレン−ブチレン骨格の繰り返しからなるポリマー構造を有するものが挙げられ、より具体的には、シェル化学社製、商品名:KRATON LIQUID Polymer EKP−207などを挙げることができる。
【0063】
第3の発明に係るアクリル系共重合体においても、その重量平均分子量については、第1,第2の発明に係るアクリル系共重合体と同様の範囲とすることが同様の理由により望ましい。
【0064】
第3の発明に係るアクリル系共重合体において、グラフト前のアクリル系共重合体(X2)を重合する方法及びアクリル系共重合体(X2)にオレフィン重合体(f)をグラフトさせる方法については、第2の発明と同様に、種々の重合方法を用いて行い得る。
【0065】
第3の発明において、上記重合性単量体(d)の含有割合が少なすぎると、所望のグラフト効果が得られず、多すぎるとアクリル系共重合体の極性が高くなり過ぎる。従って、重合性単量体(d)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)100重量部に対し、0.1〜10重量部の割合で配合することが好ましく、より好ましくは1〜5重量部の割合とされる。
【0066】
また、オレフィン重合体(f)の含有割合が少なすぎると所望の特性が得られず、多すぎると相溶性が悪化し実用性が低下する。従って、オレフィン重合体(f)は、グラフト前のアクリル系共重合体(X2)100重量部に対し、5〜100重量部の割合で添加することが好ましく、より好ましくは、10〜50重量部の範囲とされる。
【0067】
(第4の発明)
第4の発明に係るアクリル系共重合体では、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、あるいはイソシアネート基から選ばれる1種類の官能基を有する重合性単量体(d)と、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾され、数平均分子量は2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(c)とを共重合してなるアクリル系共重合体(X3)が用いられる。ここで、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)、重合性単量体(d)及び重合体(c)については、それぞれ、第1,第2の発明におけるものと同様であるため、第1,第2の発明における説明を援用することにより省略することとする。
【0068】
また、第4の発明においても、さらに第1の発明で説明した他のビニルモノマーを共重合してなるアクリル系共重合体(X3)を用いてもよい。
第4の発明では、上記アクリル系共重合体(X3)に、片末端に重合性単量体(d)の官能基と反応可能な1種類の官能基を有するオレフィン重合体または共重合体(f)がグラフトされている。オレフィン重合体または共重合体(f)については、第3の発明におけるオレフィン重合体または共重合体(f)と同様であるため、第3の発明についての説明を援用することにより省略する。
【0069】
第4の発明に係るアクリル系共重合体の重量平均分子量についても、第1,第2の発明のアクリル系共重合体の場合と同様の理由により、同様の範囲とすることが望ましい。
【0070】
また、第4の発明において、アクリル系共重合体(X3)の重合、並びにアクリル系共重合体(X3)に対してオレフィン重合体または共重合体(f)をグラフトさせる方法についても、第2の発明と同様に、種々の重合方法を用いて行い得る。
【0071】
第4の発明において、上記重合性単量体(d)の配合割合が少なすぎると、所望のグラフト効果が得られず、多すぎるとアクリル系共重合体の極性が高くなり過ぎる。従って、重合性単量体(d)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)100重量部に対し、0.1〜10重量部の割合で、より好ましくは1〜5重量部の割合で含有される。
【0072】
また、重合体(c)の配合割合が少なすぎると、グラフト効果としての凝集力が得られず、多すぎると硬くなり過ぎる。従って、重合体(c)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)100重量部に対し、5〜100重量部の割合で配合することが好ましく、より好ましくは10〜30重量部の割合で配合される。
【0073】
また、第4の発明において、オレフィン重合体(f)の配合割合が少なすぎると、所望の特性が得られず、多すぎると相溶性が悪化し実用性が低下する。従って、オレフィン重合体(f)は、グラフト前のアクリル系共重合体(X3)100重量部に対し、5〜100重量部の割合で添加することが好ましく、より好ましくは10〜50重量部の割合で添加される。
【0074】
(第5の発明)
第5の発明に係るアクリル系共重合体は、上述した第1,第2の工程により製造される。第1の工程では、1分子中にラジカル重合性の不飽和二重結合とパーオキサイド結合とを有する化合物(I)が分解しない温度領域で、光開始剤により化合物(I)と、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン重合体または共重合体(b)とのラジカル重合が行われる。
【0075】
ここで、上記化合物(I)については、1分子中にラジカル重合性の不飽和二重結合と、加熱により分解しラジカルを発生し得るパーオキサイド結合を有する限り特に限定されない。上記ラジカル重合性の不飽和二重結合の意味は、前述したとおりであり、このようなラジカル重合性の不飽和二重結合を有する官能基としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基などを挙げることができる。
【0076】
また、パーオキサイド結合を有する過酸化物は、重合開始剤として用いた場合のラジカル発生の容易性により、適正使用温度範囲100℃以上の高温重合開始剤、40℃から100℃の(中温)重合開始剤、−10℃から40℃の低温重合開始剤及び−10℃以下の極低温重合開始剤とに分類できるが(改訂 高分子合成の化学 大津隆行)、本発明に用いられる化合物としては、効率良くグラフト重合体を製造し得るには、適正使用温度範囲が40℃以上である中・高温開始剤に分類されるものが好ましい。このような化合物(I)の例としては、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート(日本油脂社製、商品名:ペロマーAC)が市販されている。
【0077】
第1工程におけるラジカル重合の具体的な方法については特に限定されず、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの各種方法を用いることができる。
第1工程における化合物(I)が分解しない温度領域とは、有機過酸化物の分解速度を表す指標として一般的に用いられている10時間半減期温度を考慮して設定することができる。用い得る化合物(I)の10時間半減期温度よりも20℃低い、より好ましくは30℃低い温度領域に設定することが望ましい。設定温度が高すぎると、第1工程において化合物(I)の分解が起こり、ゲル化し、アクリル系共重合体を効率良く得ることができなくなる。
【0078】
上記第1工程において用いられる光開始剤としては、熱分解によるラジカル発生が起きないものを用いる必要がある。このような光開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(メルク社製、商品名:ダロキュア2959)、α−ヒドロキシ−α,α' −ジメチルアセトフェノン(メルク社製、商品名:ダロキュア1173)、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン系開始剤;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系開始剤;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系開始剤;その他、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド(チバガイギー社製、商品名:BDTPO)、ハロゲン化ケトン、アシルホスフェノキシド、アシルホスフェナートなどを挙げることができる。
【0079】
第1工程において用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)及びオレフィン重合体または共重合体(b)については、第1,第3の発明に記載したものと同様であるため、これらの説明を援用することにより省略する。
【0080】
また、第1工程においても、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)、オレフィン重合体または共重合体(b)及び化合物(I)以外に、他のビニルモノマーを共重合させてもよい。このような他のビニルモノマーについては、第1の発明において記載した他のビニルモノマーを用いることができる。
【0081】
第2工程においては、第1工程において得られた生成物の存在下において、化合物(I)の分解温度領域で、先に行われたラジカル重合に用いた重合性単量体成分とは異なる組成を有する重合性単量体成分(II)のラジカル重合が行われる。
【0082】
ここで、化合物(I)が分解する温度領域については、第1工程における化合物(I)の分解しない温度領域と同様に、10時間半減期温度を考慮して設定することができ、化合物(I)の(10時間半減期温度−30)℃以上、より好ましくは(10時間半減期温度−20)℃以上の温度領域に設定することが望ましい。設定温度が低すぎると、第2工程において熱開始によるラジカル重合を効率良く行うことができず、最終的に得られるアクリル系共重合体におけるグラフト化率が低下することになる。
【0083】
20℃以上のガラス転移点を有する共重合体を形成させる重合性単量体成分(II)としては、スチレン、メタクリル酸メチルエステル、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニルなどを挙げることができるが、好ましくはメタクリル酸メチルエステル、スチレンが用いられる。
【0084】
第5の発明に係るアクリル系共重合体の重量平均分子量についても、第1,第2の発明に係るアクリル系共重合体の場合と同様の理由により、同様の範囲とすることが望ましい。
【0085】
また、第5の発明に係るアクリル系共重合体において、上記化合物(I)の配合割合が少なすぎると、グラフト効果が低下する。多すぎると重合に関与しない化合物(I)が増加する。従って、化合物(I)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)100重量部に対し、0.01〜10重量部の割合で配合されることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部の割合で配合される。
【0086】
また、オレフィン重合体または共重合体(b)の配合割合が少なすぎると、所望の特性が得られず、多すぎると相溶性が悪化し実用性が低下する。従って、オレフィン重合体または共重合体(b)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)100重量部に対し、5〜100重量部の割合で配合することが好ましく、より好ましくは10〜50重量部の割合で配合される。
【0087】
第5の発明において、上記重合性単量体成分(II)の添加割合が少なすぎると、グラフト効果としての凝集力が得られず、多すぎると硬くなり過ぎる。従って、重合性単量体成分(II)の添加割合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)100重量部に対し、5〜100重量部の割合とすることが好ましく、より好ましくは10〜30重量部の割合とされる。
【0088】
(アクリル系粘着剤組成物)
本発明に係るアクリル系粘着剤組成物は、上述した第1〜第5の発明に係るアクリル系共重合体のいずれかを主成分とすることを特徴とする。すなわち、第1〜第5の発明に係るアクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする幹共重合体に、極性が該幹共重合体よりも低い重合体が枝状に伸びているグラフト構造を有するため、該アクリル系共重合体を主成分とする粘着剤組成物は、極性の高い金属被着体から極性の低いプラスチック被着体まで、広範囲の極性の被着体表面に対して高い接着性能を発現する。
【0089】
好ましくは、上記アクリル系粘着剤組成物には、アクリル系共重合体に加えて、さらに水添石油樹脂が添加される。
水添石油樹脂とは、ナフサのクラッキングにより得られたC9留分をカチオン重合することにより得られるC9系石油樹脂を水素化したもの、または、シクロペンタジエンを主体とするC5留分もしくはC5留分に由来するジシクロペンタジエンを熱重合して得られる石油樹脂を水素化したものであり、脂環族系の石油樹脂を意味する。
【0090】
C9留分中には、重合性成分としてα−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、プロペニルベンゼン、インデン、メチルインデンなどが含有されており、通常C9留分は該重合性成分の混合物として入手し得る。
【0091】
また、これらの石油樹脂の水素化条件は、ニッケル、パラジウム、コバルト、ルテニウム、白金、ロジウムなどの金属またはその酸化物等を水添触媒として使用し、通常、温度200〜300℃、圧力10〜300kg/cm2 の条件で水素化される。
【0092】
本発明において用いられる水添石油樹脂としては、数平均分子量500〜1000、樹脂軟化点60〜150℃のものが好ましく、また水素化率については、100%水素化されたもの、いわゆる完全水添品と称されている樹脂が好ましい。このような樹脂としては、荒川化学工業社製、商品名:アルコンP140などが市販されている。
【0093】
上記水添石油樹脂の配合割合については、特に限定されるわけではないが、第1〜第5の発明に係るアクリル系共重合体100重量部に対し、5〜50重量部が好ましい。5重量部未満の場合には、所望のオレフィン接着力や油面接着力が得られないことがあり、50重量部を超えると、アクリル系共重合体との相溶性が悪化し、粘着剤の安定性が低下することがある。
【0094】
本発明に係る粘着剤組成物を粘着テープもしくはシートに用いる場合には、基材の片面に粘着剤層を形成したものであってもよく、基材の両面に粘着剤層を形成してなる、いわゆる両面粘着テープの形態のものであってもよい。両面粘着テープの場合には、少なくとも片面に本発明に係る粘着剤組成物による粘着剤層が設けられていればよい。
【0095】
上記基材を構成する材料については、紙、不織布、ポリエステルもしくはポリオレフィンなどからなるプラスチックフィルム、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリクロロプレン、軟質ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂などからなるプラスチックフォームなど、適宜の材料を用いることができる。また、基材を有しない、ノンサポートタイプの粘着シートを構成してもよい。
【0096】
(他の添加物)
本発明に係るアクリル系共重合体及びアクリル系粘着剤組成物では、本発明の目的を阻害しない範囲で、凝集力を高めるために、架橋剤を含ませてもよい。架橋剤としては、従来より既知の、例えばイソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤などが挙げられる。また、電子線等の放射線架橋を施してもよい。
【0097】
さらに、本発明に係るアクリル系共重合体及び粘着剤組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、従来より公知の各種添加剤、例えば、粘着付与樹脂、可塑剤、軟化剤、充填剤、安定剤、酸化防止剤、顔料、染料などを含ませてもよい。
【0098】
(アクリル系粘着テープまたはシート)
本発明の別の局面は、ポリオレフィン基材と、上記本発明に係るアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層とが共押出されて一体化されているアクリル系粘着テープもしくはシートが提供される。
【0099】
また、上記ポリオレフィン基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのエチレン及び/またはプロピレンを主成分として含む可撓性のポリオレフィンフィルムもしくはシートであれば任意のものを用いることができる。
【0100】
ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などを例示することができ、1−ブテンや1−ペンテンなどの長鎖のオレフィンモノマーが共重合されているものであってもよい。
【0101】
ポリプロピレンとしては、ランダムポリプロピレン、ホモプロピレン、高結晶化度ポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなどを挙げることができるが、可撓性を有する限り、これらに限定されるものではない。
【0102】
本発明に係る粘着テープもしくはシートでは、上記ポリオレフィン基材及びアクリル系粘着剤層が、共押出されて一体化されている。この共押出により一体化する具体的な方法については、特に限定されるものではないが、ポリオレフィン基材及びアクリル系粘着剤層を構成する材料を、それぞれ、別々の押出機から同時に押し出し、インフレーション法、Tダイ法あるいはその他の方法によって、共押出することにより得ることができる。
【0103】
上記のようにして共押出により得られたアクリル系粘着テープもしくはシートでは、電子線などを照射することにより、アクリル系粘着剤層を架橋したり、あるいは各種間の投錨力を高めてもよい。
【0104】
また、ポリオレフィン基材とアクリル系粘着剤層の投錨性を高めるために、中間層を介在させてもよい。中間層として用いられる樹脂としては、粘着剤層のアンカー性を高める限り特に限定されるものではないが、EEA樹脂(エチレン−エチルアクリレート共重合体:例えば、Dow Chemical社製、Primacor)、無水マレイン酸化ポリエチレン、エポキシ変性ポリエチレンなどの極性の高い樹脂であり、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンを変性したものが好適に用いられる。
【0105】
(ホットメルト型アクリル系接着剤)
本発明のさらに別の局面で提供されるホットメルト型アクリル系接着剤は、第1〜第5の発明に係るアクリル系共重合体を主成分とする。なお、ホットメルト型アクリル系接着剤組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて従来より既知の各種添加剤、例えば粘着付与樹脂、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、顔料、染料などを副成分として添加してもよく、上記アクリル系共重合体のみによりホットメルト型接着剤が構成されてもよい。
【0106】
(作用)
第1〜第5の発明に係るアクリル系共重合体では、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を主成分とする幹共重合体に対し、上記オレフィン重合体または共重合体(b)と、高いガラス転移温度を有する重合体(c)とが枝状に伸びたグラフト構造を有する。従って、幹共重合体部分が、極性の高い(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を主体としており、枝状重合体部分の極性が該幹共重合体部分と異なるため、該枝状重合体部分の極性をコントロールすることにより、高い極性を有する幹共重合体部分と、低い極性の枝共重合体部分とを有するアクリル系共重合体を得ることができる。
【0107】
よって、このような極性の異なる重合体部分を有する本発明に係るアクリル系共重合体は、例えば、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂)へのポリブタジエンゴムの分散剤として、あるいは耐衝撃性改良樹脂として用いることができる。
【0108】
また、上記極性の異なる重合体部分を有するアクリル系共重合体を粘接着剤用途に用いた場合には、極性の高い金属被着体から極性の低いプラスチック被着体まで適用することができ、いずれの場合においても高い接着性能を発現させ得る。すなわち、広範な極性を有する被着体に対して好適に用いられる粘接着剤を提供し得る。
【0109】
加えて、本発明に係るアクリル系共重合体は、その構造中に高いガラス転移温度を有する枝重合体部分を有するため、幹重合体部分を低いガラス転移温度を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を主体とて設定すれば、ガラス転移温度の高い重合体に由来する重合体部分が連続相を形成した場合には、耐熱性や耐衝撃性に優れた成形材料もしくはトナー用樹脂に好適に用いられる重合体を提供することができ、ガラス転移温度が低い重合体に由来する重合体部分が連続層を形成した場合には、強度や伸び率が高いフィルム、ホットメルト接着剤、熱可塑性エラストマーなどに好適に用いることができる。
【0110】
すなわち、第1の発明に係るアクリル系共重合体では、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)に由来する幹重合体部分に対して、オレフィン重合体または共重合体(b)及び重合体(c)に由来する枝重合体部分が組み合わされたグラフト共重合体であるため、それらの重合体部分の極性及びガラス転移温度を目的に応じて設計することにより、広範な用途に用い得るアクリル系共重合体を提供することができる。
【0111】
第2の発明に係るアクリル系共重合体では、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を主成分とする幹共重合体に、上記オレフィン重合体または共重合体(b)に由来する重合体部分と、重合体(e)に由来する重合体部分が枝状に伸びたグラフト構造を有する。
【0112】
従って、第1の発明の場合と同様に、幹重合体部分が高い極性を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主体とするため、上記枝状重合体部分を低極性とすることにより、極性の異なる重合体部分が組み合わされたアクリル系共重合体とされる。よって、このような重合体部分の組み合わせを調整することにより、第1の発明の場合と同様に、様々な用途に用いることができる。
【0113】
第3の発明に係るアクリル系共重合体では、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を主成分とする(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と重合性単量体(d)との共重合体により構成されている幹重合体部分に対し、上記オレフィン重合体(f)が枝状に伸びたグラフト構造を有する。
【0114】
従って、第1の発明の場合と同様に、幹重合体部分が高い極性を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主体とし、上記枝状重合体部分が幹重合体部分に比べて低極性であるため、極性の異なる重合体部分が組み合わされたアクリル系共重合体とされる。よって、このような重合体部分の組み合わせ方を調整することにより、第1の発明と同様に、様々な用途に用いることができる。
【0115】
第4の発明に係るアクリル系共重合体においても、同様に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を主成分とし、該(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)、重合性単量体(d)及び重合体(c)を共重合することにより得られた幹共重合体に、オレフィン重合体または共重合体(f)が枝状に伸びるようにグラフトされている。
【0116】
従って、第1の発明と同様に、幹重合体部分が高い極性を有し、枝状重合体部分が相対的に低い極性を有するため、極性の異なる重合体部分が組み合わされたアクリル系共重合体とされている。よって、このような重合体部分の組み合わせ方を調整することにより、第1の発明と同様に、様々な用途に用い得るアクリル系共重合体を提供することができる。
【0117】
第5の発明に係るアクリル系共重合体では、同様に、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、オレフィン重合体または共重合体(b)と、化合物(I)との共重合体からなる幹共重合体部分に対し、重合性単量体成分(II)の重合により得られた重合体部分が枝状に伸びたグラフト構造を有する。
【0118】
従って、第1の発明と同様に、幹重合体部分が高い極性を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主体とするため、上記枝状重合体部分を低極性とすることにより、極性の異なる重合体部分が組み合わされたアクリル系共重合体とされる。よって、このような重合体部分の組み合わせ方を調整することにより、第1の発明と同様に、様々な用途に用い得るアクリル系共重合体を提供し得る。
【0119】
また、本発明に係るアクリル系粘着剤組成物では、上記第1〜第5の発明に係るアクリル系共重合体を主成分とするため、上記アクリル系共重合体における重合体部分の組み合わせ方を調整することにより、様々な極性の被着体に対して高い接着強度を発現させ得る。
【0120】
加えて、ガラス転移点が30℃以上である重合体(c)を重合してなる第1,第2,第4の発明に係るアクリル系共重合体では、幹重合体部分を低いガラス転移温度を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を主体として設計されているので、ガラス転移温度の高い重合体(c),(e)に由来する重合体部分が連続相を形成した場合、耐熱性及び耐衝撃性を高めることができる。従って、高耐熱性及び高耐衝撃性が要求される成形材料や、トナー用樹脂に好ましいアクリル系共重合体を提供し得る。また、ガラス転移温度が低い重合体に由来する重合体部分が連続相を形成した場合には、高強度及び高伸び率が要求されるフィルム、ホットメルト粘接着剤、熱可塑性エラストマーなどに好適なアクリル系共重合体を提供し得る。
【0121】
さらに、上記重合体部分の組み合わせ方を工夫することにより、本発明に係るアクリル系粘着剤組成物において、耐熱性と低温貼付性を高次元でバランスすることが可能となる。
【0122】
本発明の上記別の局面では、上述のアクリル系粘着剤組成物よりなるアクリル系粘着剤層が、ポリオレフィン基材と共押出されて一体化されてアクリル系粘着テープもしくはシートが構成されているので、該テープもしくはシートは、良好な接着性を示し、かつ適度な再剥離性及び被着体非汚染性を両立することができ、さらに耐候性や耐光性が要求される用途にも好適に用い得る。
【0123】
さらに、本発明のホットメルト型アクリル系接着剤組成物は、上記本発明に係るアクリル系共重合体を主成分としているので、広い温度範囲にわたり良好な接着性を示す。また、耐候性に優れ、溶融粘度と凝集力とを高度にバランスできるため、ホットメルト型での使用に好適である。
【0124】
【実施例】
以下、本発明の非限定的な実施例を挙げることにより、本発明を明らかにする。
【0125】
(実施例1)
ブチルアクリレート(以下、BAと略称)141g、2−エチルヘキシルアクリレート(以下、2EHAと略称)150g、アクリル酸(以下、AAcと略称)9g、2−ヒドロキシルエチルアクリレート(以下、2HEAと略称)0.9g、及び酢酸エチル122.73g、トルエン122.73gを、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた2リットルのセパラブルフラスコに投入してモノマー混合液とした。
【0126】
上記モノマー混合液に、窒素ガスを20分間バブリングすることによりモノマー混合液中の溶存酸素を除去した後、100rpmの回転数で攪拌しながら、ウォーターバスを用い、モノマー混合液を昇温させた。
【0127】
冷却管に還流液が確認された時点で、重合開始剤として、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂社製、商品名:パーヘキサTMH)0.03gを約1gの酢酸エチルに溶解、投入することにより沸点重合を開始させた。
【0128】
1時間後に再び、パーヘキサTMH0.05gを約1gの酢酸エチルに溶解、投入した。また、重合開始2、3及び4時間後にジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド(日本油脂社製、商品名:パーロイル335)0.06g、0.3g及び0.9gを約1gの酢酸エチルに溶解、投入して7時間沸点重合を行うことによってアクリル系共重合体を得た。
【0129】
上記アクリル系共重合体の重量平均分子量は、76.4万、分子量分布(MW /Mn )は、2.6であった。
続いて、得られたアクリル系共重合体溶液100gに、片末端にエポキシ基を有するオレフィン重合体(シェル化学社製、商品名:KRATON LIQUID Polymer EK−207)の50重量%トルエン溶液を、33g添加した後、攪拌混合することによって目的とするアクリル系粘着剤を得た。
【0130】
(実施例2)
実施例1で得られたアクリル系粘着剤溶液133gに、水添石油樹脂(荒川化学社製、商品名:アルコンP140)の50%トルエン溶液を、11g添加した後、攪拌混合することによって目的とするアクリル系粘着剤を得た。
【0131】
(比較例1)
実施例1で得られたアクリル系共重合体溶液100gに、水添石油樹脂(荒川化学社製、商品名:アルコンP140)の50%トルエン溶液を、11g添加した後、攪拌混合することによって目的とするアクリル系粘着剤を得た。
【0132】
(粘着テープの作成)
実施例1,2及び比較例1で得られた粘着剤組成物の溶液に、架橋剤として、メチロールプロパントリレンジイソシアネート3量体付加物の酢酸エチル溶液(固形分45重量%、日本ポリウレタン社製、商品名:コロネート45)を、アクリル系共重合体100重量部に対して、2.5重量部となるように添加して均一に混合した後、厚み38μmのポリエステルフィルム(リンテック社製、品番:#3811)の一面に乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布した。しかる後、110℃の温度で5分間乾燥することにより粘着テープを得た。
【0133】
(SP粘着力の測定)
上記粘着テープを、JIS Z 0237に準じて、SUS304板に25mm幅で貼り合わせ、23℃で20分間放置した後、180°方向に引張速度300mm/分の条件で引き剥がし、剥離速度を測定した。
【0134】
(ポリプロピレンへの粘着力測定)
上記粘着テープを、JIS Z 0237に準じて、ポリプロピレン板に25mm幅で貼り合わせ、23℃で20分間放置した後、180°方向に引張速度300mm/分の条件で引き剥がし、剥離速度を測定した。
【0135】
(油面粘着力の測定)
上記粘着テープを、JIS Z 0237に準じて、ステンレス(SUS)板に予め防錆油を6g/m2 となるように塗布し、一日放置した被着体に、25mm幅で貼り合わせ、23℃で20分間放置した後、180°方向に引張速度300mm/分の条件で引き剥がし、剥離速度を測定した。
【0136】
以上、SP粘着力、ポリプロピレン粘着力(PP粘着力)、油面粘着力の測定結果を表1に示した。表1からわかるように、金属面、ポリオレフィン面、及び油面に対しても、良好な粘着力が発現している。
【0137】
【表1】
【0138】
(実施例3)
攪拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、アクリル酸ブチルエステル(BA)450gと、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン共重合体(b)として、商品名「KRATON LIQUID Polymer L−1253」(シャル化学社製)60gと、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されており、数平均分子量が2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(c)として東亜合成化学社製、商品名:AA−6を90gと、溶剤としてトルエン450.91gとを配合した。上記モノマー混合溶液を窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ内を窒素ガスで置換し、100rpmの条件で攪拌しつつ、ウォーターバスを用いてモノマー混合溶液を昇温した。
【0139】
冷却管に還流液が確認された時点で、重合開始剤としての1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂社製、商品名:パーヘキサTMH)0.30gを約1gの酢酸エチルに溶解し、投入することにより沸点重合を開始した。
【0140】
1時間後に、再び、パーヘキサTMH0.60gを約1gの酢酸エチルに溶解し、投入した。また、重合開始してから、2時間後、3時間後及び4時間後に、それぞれ、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド(日本油脂社製、商品名:パーロイル355)0.60g、1.20g及び1.80gを約1gの酢酸エチルに溶解し、投入した。8時間の沸点重合を行うことにより、アクリル系共重合体を得た。
【0141】
(実施例4)
モノマー混合溶液として、アクリル酸ブチルエステル450gと、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン共重合体(b)として、商品名:KRATON LIQUID Polymer L−1253(シャル化学社製)60gと、重合性単量体(d)としてグリシジルメタクリレート1.3gとを配合したものを用いたことを除いては、実施例1と同様にしてアクリル系共重合体(X1)を得た。
【0142】
また、別途、攪拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル(MMA)450gと、メルカプト酢酸4.14gと、アゾビスイソブチロニトリル0.45gとを配合し、沸点重合により、重量平均分子量約1万、ガラス転移温度Tg=約90℃の重合体(e)を得た。
【0143】
次に、2Lセパラブルフラスコに、上記アクリル系共重合体(X1)と重合体(e)とを混合し、攪拌しつつ8時間加熱反応し、目的とするアクリル系共重合体を得た。
【0144】
(実施例5)
モノマー混合溶液として、アクリル酸ブチルエステル492gと、重合性単量体(d)としてアクリル酸18gと、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されており、数平均分子量が2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(c)として東亜合成化学社製、商品名:AA−6を90gと、溶剤としてのトルエン450.91gとを配合したモノマー溶液を用いたことを除いては、実施例1と同様にしてアクリル系共重合体(X3)を得た。
【0145】
上記のようにして得られたアクリル系共重合体溶液100gに、片末端にエポキシ基を有するオレフィン重合体(f)(シェル化学社製、商品名:KRATON LIQUID Polymer EKP−207)の50重量%トルエン溶液33gを添加し、攪拌混合することにより、目的とするアクリル系共重合体を得た。
【0146】
(実施例6)
〔第1工程〕
攪拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、アクリル酸ブチルエステル(BA)540gと、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン共重合体(b)(シェル化学社製、商品名:KRATON LIQUID Polymer L−1253)60gと、1分子中にラジカル重合性の不飽和二重結合とパーオキサイド結合とを有する化合物(I)として、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート(日本油脂社製、商品名:ペロマーAC)0.36gと、連鎖移動剤としてのドデシルメルカプタン(DDM)0.27gと、光開始剤としてのベンジルメチルケタール(チバガイギー社製、商品名:イルガキュアー651)0.30gと、重合溶剤としてのトルエン490.91gとを配合した。
【0147】
上記モノマー混合溶液を窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した。次に、窒素ガスでモノマー混合溶液をバブリングしつつ100rpmの回転数で攪拌し、ケミカルランプを用い、波長365nmの光を2mWの強度で照射し、重合を開始した。昇温が確認された時点を重合開始点とし、4時間の重合反応を行った。
【0148】
〔第2工程〕
攪拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、第1工程で得られたポリマー−トルエン溶液を409g計り取った後、第1工程で得られたポリマーと、メタクリル酸メチル(MMA)との配合比が、固形分比(重量比)で80対20となるようにMMAモノマーを55.05g添加した。
【0149】
また、重合溶剤としてのトルエンを、全体の固形分が55重量%となるように、36.42g添加した。
上記のようにして用意した混合溶液を窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ計内を窒素ガスで置換し、60rpmで攪拌しつつ、ウォーターバスを用いて溶液を昇温した。冷却管に還流液が確認された時点を重合開始点とし、4時間の沸点重合を行うことにより、目的とするアクリル系共重合体を得た。
【0150】
(比較例2)
アクリル酸ブチルエステル(BA)510gと、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されており、数平均分子量は2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(c)(東亜合成化学社製、商品名:AA−6)90gとを用い、但し、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン共重合体(b)(シェル化学社製、商品名:KRATONLIQUID Polymer L−1253)を配合しなかったことを除いては、実施例3と同様にしてアクリル系共重合体を得た。
【0151】
(比較例3)
アクリル酸ブチルエステル(BA)510gを用い、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン共重合体(b)(シェル化学社製、商品名:KRATON LIQUID Polymer L−1253)及びラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されており、数平均分子量は2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(c)(東亜合成化学社製、商品名:AA−6)を配合しなかったことを除いては、実施例3と同様にしてアクリル系共重合体を得た。
【0152】
(比較例4)
実施例4において、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン共重合体(b)(シェル化学社製、商品名:KRATON LIQUIDPolymer L−1253)を配合しなかったことを除いては、実施例4と同様にしてアクリル系共重合体を得た。
【0153】
(比較例5)
実施例4において、官能基を有する重合性単量体(d)としてのグリシジルメタクリレートを配合しなかったこと、並びに重合体(e)を用いなかったことを除いては、実施例4と同様にして、アクリル系共重合体を得た。
【0154】
(比較例6)
実施例5において、アクリル酸ブチルエステル(BA)の使用量を510gとし、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾され、数平均分子量が2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(c)(東亜合成化学社製、商品名:AA−6)の使用量を90gとし、片末端にエポキシ基を有するオレフィン重合体(シェル化学社製、商品名:KRATON LIQUID Polymer EKP−207)を配合しなかったことを除いては、実施例5と同様にしてアクリル系共重合体を得た。
【0155】
(比較例7)
実施例5において、アクリル酸ブチルエステル(BA)の使用量を582g、アクリル酸の使用量を18gとし、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾され、数平均分子量は2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(c)を用いなかったことを除いては、実施例5と同様にして、アクリル系共重合体を得た。
【0156】
(比較例8)
実施例6において、アクリル酸ブチルエステル(BA)の使用量を600gとし、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン共重合体(シェル化学社製、商品名:KRATON LIQUID Polymer L−1253)を配合しなかったことを除いては、実施例6と同様にしてアクリル系共重合体を得た。
【0157】
(比較例9)
実施例6において、アクリル酸ブチルエステル(BA)の使用量を600gとし、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン共重合体(シェル化学社製、商品名:KRATON LIQUID Polymer L−1253)を用いなかったこと及び、第2工程でメタクリル酸メチル(MMA)の代わりにアクリル酸ブチルエステル(BA)を用いたことを除いては、実施例6と同様にして、アクリル系共重合体を得た。
【0158】
(実施例及び比較例の評価)
実施例及び比較例で得た各アクリル系共重合体を、厚さ38μmのポリエステルフィルム(リンテック社製、品番:#381)の一面に厚みが15μmとなるように塗工し、しかる後110℃の温度で5分間乾燥し、粘着テープとした。
【0159】
上記粘着テープについて、以下の要領で、▲1▼SP粘着力、▲2▼ポリエチレン粘着力及び▲3▼40℃保持力を測定した。
▲1▼SP粘着力…粘着テープを、JIS Z 0237に準じ、ステンレス板(SUS304板)に25mm幅で貼り合わせ、23℃で20分間放置した後、180°方向に引張速度300mm/分の条件で剥離し、剥離強度を測定し、SP粘着力とした。
【0160】
▲2▼ポリエチレン粘着力…粘着テープを、低極性被着体としてのポリエチレン樹脂板(三井石油化学工業社製、商品名:ハイゼックス1300J)に、25mm幅で貼り合わせ、23℃で20分間放置した後、180°方向に引張速度300mm/分で剥離し、剥離強度を測定し、ポリエチレン粘着力とした。
【0161】
▲3▼40℃保持力…粘着テープを、JIS Z 0237に準じ、ステンレス板(SUS304板)に25mm×25mmの面積で貼り合わせ、23℃で20分間放置した後、40℃の恒温槽中において1時間エージングした後、1gの懸垂荷重を掛け、1時間後の粘着テープのズレ量、あるいは懸垂荷重を掛けてから荷重が落下するまでの落下時間を測定し、40℃保持力とした。
【0162】
上記▲1▼SP粘着力、▲2▼ポリエチレン粘着力及び▲3▼40℃保持力についての結果を下記の表2に示す。
【0163】
【表2】
【0164】
(実施例7)
実施例3と同様にして得られたアクリル系共重合体/トルエン溶液から、定法によるトルエン除去を行うことによってアクリル系共重合体を取り出した。
【0165】
高密度ポリエチレン(旭化成社製、商品名:L4470)を50μmの厚みのフィルムに成形し、該高密度ポリエチレンフィルム上に、上記アクリル系共重合体を厚みが10μmになるように塗布し、さらに150℃のホットプレスで加熱融着させることにより、高密度ポリエチレンフィルムからなる基材にアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層が積層された粘着フィルムシートを得た。
【0166】
(比較例10)
比較例3と同様にして得られたアクリル系共重合体/トルエン溶液から、定法によるトルエン除去を行うことによってアクリル系共重合体を取り出したこと以外は、実施例7と同様にして、高密度ポリエチレンフィルムを基材とし、アクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層が積層された粘着フィルムシートを得た。
【0167】
(実施例7及び比較例10の評価)
上記のようにして得られた実施例7及び比較例10の粘着フィルムシートについて、以下の要領で、初期粘着力、経時粘着力及び耐候性評価を行った。
【0168】
〔初期粘着力の測定〕
粘着フィルムシートを、JIS Z 0237に準じ、SUS304板に25mm幅で貼り合わせ、23℃で20分間放置した後、180°方向に引っ張り速度300mm/分の条件で剥離した際の剥離力を測定し、初期粘着力とした。
【0169】
〔経時粘着力の測定〕
粘着フィルムシートを、JIS Z 0237に準じ、SUS304板に25mm幅で貼り合わせ、23℃で20分間放置した後、23℃及び80℃の恒温槽中で1週間放置し、しかる後、180°方向に引っ張り速度300mm/分の条件で剥離した際の剥離力を測定し、経時粘着力とした。
【0170】
〔耐候性及び耐光性評価〕
粘着フィルムシートを、JIS B 7753に準じ、サンシャインウエザーメーター(スガ試験機社製、WEL−SUN−HC)にて光を500時間照射し、180°方向に引っ張り速度300mm/分の条件で剥離し、剥離力を測定した。この剥離力を耐候性及び耐光性評価の指針とした。
【0171】
結果を下記の表3に示す。
【0172】
【表3】
【0173】
(実施例8)
実施例3と同様にして得られたアクリル系共重合体/トルエン溶液から、定法によるトルエン除去を行うことによってアクリル系共重合体を取り出した。
【0174】
該アクリル系共重合体からなるホットメルト接着剤に対して、以下の項目について、ホットメルト型接着剤としての物性測定を行った。
〔凝集力〕
ホットメルト型接着剤を5×5×5mm角に切断して試験片を作り、試験片を垂直に保持したアルミニウム板に貼付し、80℃のオーブン中で12時間放置した後の試験片の垂れ長さを測定し、凝集力とした。
【0175】
〔190℃溶融粘度〕
B型粘度計(東京計器製)を使用して、190℃における粘度を測定した。(回転数:2.5rpm、ロータ:♯HH4)
〔接着力〕
表面が清浄なポリエチレン板(厚さ1.5mm、巾20mm)に190℃のホットメルト型接着剤を厚さ1mm、10×20mmの面積で塗布した後、剪断接着強度を測定し、接着力とした。
【0176】
〔耐酸化性〕
ホットメルト型接着剤組成物を10×10mmの面積、厚さ2mmに切断して試験片を作り、試験片をガラス板に貼付し、200℃のオーブン中で8時間放置した後の試験片の色の変化を観察し、耐酸化性とした。
【0177】
(比較例11)
比較例3と同様にして得られたアクリル系共重合体/トルエン溶液から、定法によるトルエン除去を行うことによってアクリル系共重合体を取り出し、該アクリル系共重合体について、実施例8と同様にして、ホットメルト型接着剤としての物性測定を行った。
【0178】
結果を下記の表4に示す。
【0179】
【表4】
【0180】
【発明の効果】
以上のように、本願の第1〜第5の発明に係る各アクリル系共重合体では、上記特定の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を主成分とする幹重合体に対し、上述した種々の重合体部分がグラフトされた構造を有するため、幹重合体部分と枝重合体部分の組み合わせ方を調整することにより、様々な特性のアクリル系共重合体を容易に提供することができる。
【0181】
例えば、幹重合体部分が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を主成分とし、高い極性を有するため、枝重合体部分を低極性とすることにより、例えばアクリル系粘着剤として用いた場合、様々な極性の被着体に対する接着性に優れたアクリル系粘着剤を提供し得る。さらに、極性が異なる重合体部分を有するアクリル系共重合体とした場合、例えばアクリロニトリル−スチレン共重合体へのポリブタジエンゴムの分散剤や、耐衝撃性改良樹脂などにも好適に用いることができる。
【0182】
また、上記幹重合体部分と枝重合体部分のガラス転移温度の組み合わせ方を調整することにより、様々な材料に最適なアクリル系共重合体を容易に提供することができる。例えば、ガラス転移温度が高い重合体に由来する重合体部分が連続相を形成するように構成した場合には、高耐熱性や高耐衝撃性が要求される成形材料、トナー用樹脂などに好適に用いることができ、ガラス転移温度が低い重合体に由来する重合体部分が連続相を形成するように構成した場合には、高強度及び高伸び率が要求されるフィルム、ホットメルト粘接着剤、あるいは熱可塑性樹脂エラストマーなどに好適に用いることができる。
【0183】
また、本発明に係るアクリル系粘着剤組成物は、第1〜第5の発明に係るアクリル系共重合体を主成分とするため、上記のように、重合体部分の組み合わせ方を調整することにより、低極性の被着体から高極性の被着体まで高範囲な極性を有する被着体に対して、高い接着性能を発現させることができ、さらに、接着硬化物の耐熱性及び低温貼付性を高いバランスで両立させることができる。
【0184】
さらに、本発明の別の局面で提供されるアクリル系粘着テープまたはシートでは、ポリオレフィン基材と、本発明に係る粘着剤組成物からなる粘着剤層が共押出して一体化されているので、本発明のアクリル系粘着剤組成物により良好な接着性が発現し、かつ適度な再剥離性及び被着体非汚染性を両立することができる。
【0185】
また、本発明の別の局面により提供されるホットメルト型アクリル系接着剤は、第1〜第5の発明に係るアクリル系共重合体を主成分とするので、広い温度範囲にわたり優れた接着性を示す。加えて、接着硬化物が耐候性に優れており、溶融粘度と凝集力と高度にバランスすることができる。従って、良好な接着性を示し、かつ耐候性に優れ、種々の用途に用いるホットメルト型接着剤を提供することが可能となる。
Claims (14)
- 炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン重合体または共重合体(b)と、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾され、数平均分子量が2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(c)とを共重合してなることを特徴とするアクリル系共重合体。
- 炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、あるいはイソシアネート基から選ばれる1種類の官能基を有する重合性単量体(d)と、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン重合体または共重合体(b)とを共重合してなるアクリル系共重合体(X1)に、重合性単量体(d)の官能基と反応可能な1種類の官能基を片末端に有し、数平均分子量が2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(e)をグラフトさせたことを特徴とするアクリル系共重合体。
- 炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、カルボキシル基、水酸基、あるいはイソシアネート基から選ばれる1種類の官能基を有する重合性単量体(d)とを共重合してなるアクリル系共重合体(X2)に、片末端に重合性単量体(d)の官能基と反応可能な1種類の官能基を有するオレフィン重合体または共重合体(f)をグラフトさせたことを特徴とするアクリル系共重合体。
- 炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、あるいはイソシアネート基から選ばれる1種類の官能基を有する重合性単量体(d)と、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾され、数平均分子量が2000〜30000であり、かつガラス転移温度が30℃以上である重合体(c)とを共重合してなるアクリル系共重合体(X3)に、片末端に重合性単量体(d)の官能基と反応可能な1種類の官能基を有するオレフィン重合体または共重合体(f)をグラフトさせたことを特徴とするアクリル系共重合体。
- 1分子中にラジカル重合性の不飽和二重結合とパーオキサイド結合を有する化合物(I)が分解しない温度領域で、光開始剤を用いて、前記化合物(I)と、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)と、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたオレフィン重合体または共重合体(b)とのラジカル重合を行う第1工程と、
前記化合物(I)の分解温度領域で、先に行われたラジカル重合による生成物の存在下で、先に行われたラジカル重合に用いた重合性単量体成分とは異なる組成を有する重合性単量体成分(II)のラジカル重合を行う第2工程とによって製造されたことを特徴とするアクリル系共重合体。 - 前記オレフィン重合体または共重合体(b)が、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたエチレン−ブチレンランダム共重合体またはプロピレン重合体であることを特徴とする、請求項1,2または5に記載のアクリル系共重合体。
- 前記オレフィン重合体または共重合体(b)が、ラジカル重合性の不飽和二重結合で末端を修飾されたエチレン−ブチレンランダム共重合体またはプロピレン重合体であり、
前記重合性単量体(d)の官能基がエポキシ基であり、かつ前記重合体(e)の官能基がカルボキシル基であることを特徴とする請求項2に記載のアクリル系共重合体。 - 前記重合性単量体(d)の官能基がカルボキシル基であることを特徴とする、請求項3に記載のアクリル系共重合体。
- 前記重合性単量体(d)の官能基がカルボキシル基であり、かつ前記オレフィン重合体(f)の官能基がエポキシ基であることを特徴とする請求項3または4に記載のアクリル系共重合体。
- 前記第2工程で用いられる重合性単量体成分(II)のガラス転移温度が20℃以上であることを特徴とする請求項5または6に記載のアクリル系共重合体。
- 請求項1〜10のいずれかに記載のアクリル系共重合体を主成分とすることを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
- 水添石油樹脂をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のアクリル系粘着剤組成物。
- ポリオレフィン基材と、請求項11または12に記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層とを共押出して一体化したことを特徴とするアクリル系粘着テープまたはシート。
- 請求項1〜10のいずれかに記載のアクリル系共重合体を主成分とすることを特徴とするホットメルト型アクリル系接着剤。
Priority Applications (8)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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