JP3702417B2 - 選択的相溶性を利用した新規な制振材料 - Google Patents
選択的相溶性を利用した新規な制振材料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3702417B2 JP3702417B2 JP2000369800A JP2000369800A JP3702417B2 JP 3702417 B2 JP3702417 B2 JP 3702417B2 JP 2000369800 A JP2000369800 A JP 2000369800A JP 2000369800 A JP2000369800 A JP 2000369800A JP 3702417 B2 JP3702417 B2 JP 3702417B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polymer
- vibration damping
- imparting agent
- molecular weight
- compatible
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Vibration Prevention Devices (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制振性付与剤および該制振性付与剤と相溶状態を取る特性を示す第1の特定のポリマーと該制振性付与剤に対して相溶状態を取らなく、かつ、前記第1のポリマーと均一配合物を形成しない特定の第2のポリマーとを組み合わせて用いて得られる、前記制振性付与剤と第1の相溶性ポリマーとを主成分とする、両成分が水素結合などの共有結合より小さいが相互作用をして形成する一つの相溶性配合物相と、前記第2のポリマーを主成分とする前記相と別の第2ポリマー相とからなる複合形態型制振材料、特に相溶性配合相からなる島構造を、第2のポリマー相の海中に分散配置した構造の複合形態型制振材料に関する。特に、該相溶性配合物からなる相は制振制付与剤を結晶化させた成分を主成分とする針状に発現した結晶相が形成された島構造を、前記第2のポリマー相の海中に分離相として分散配置した構造の複合形態をなしている。また、前記制振性付与剤と第1の相溶性ポリマーとを主成分とする、両成分が水素結合などの共有結合より小さいが相互作用をして形成するとは、制振性を向上させる形態に機能性超分子を形成する構造を推測される形態を意味する。
本発明の制振性材料は、前記複合形態により、ガラス転移温度範囲が広く、かつ、大きな損失弾性率(E”)を持つ。
【0002】
【従来の技術】
科学技術の発展の中で色々な機器が生み出され、ある面では社会の機能性が高まる一方で、社会の一般生活の環境面において、振動、騒音などによる人に対する精神的および肉体的な障害を発生させている。特に最近では低音による人体に対する障害が確認され大きな問題として取り上げられている。
このような複雑なシステムの社会が出現する中で、制振材料に要求される特性も高度で、かつ複雑化している。
【0003】
このような社会情勢の中において、高分子材料の粘弾性特性を利用して前記制振の要求を満足させる材料の開発が盛んに行われている。そして高分子材料は、加工が容易であり、多様の構造に成形できることや比較的安価であることから、広く用いられている。しかし多くの高分子材料は広い温度範囲において高い減衰性能を得ることが難しい(制振効果の大きさと有効温度範囲の広さは互いに相反関係にある)という不都合があり、材料の使用条件を考慮して制振材料の設計を行わなければならない。
【0004】
高分子材料の減衰特性は動力学的挙動により評価できる。損失弾性率(E”)(力学的エネルギーの消散を伴う、加振力に対して1/4だけ遅れて応答することにより機能する。)と損失正接(tanδ)は減衰性能の指標である。特に前者は制振材料の性能を最も良く表す。
我々は、ポリマーと機能性有機低分子のコンポジットが持つ制振性能に注目し、色々な有機低分子を用いて、損失正接(tanδ)を指標として有機ハイブリッド系制振材料の研究を行ってきた(例えば文献繊維学会誌2000年9月号56巻P443参照)。
また、単独のポリマーでは、損失正接のピークの温度領域が広くない為、非相溶性の2種類のガラス転移が異なったポリマーをブレンドする等の技術を用いて実用温度範囲を改善することが行われてきた。しかし、ブレンドしたものは、損失正接のピークの温度領域は広くなるが、ピークの大きさは小さくなるという欠点がある。他方、相溶性のポリマーをブレンドしたのでは、ピークが1つしかなく実用温度領域を広げることにおいてはあまり意味がない。そこで、前記非相溶性と相溶性材料からの制振材料の中間の特性を持つ制振材料をねらって、半相溶性のものをブレンドしたり、相互侵入型のポリマーアロイを設計する試みがなされている。
しかしながら、満足すべき制振特性を持つ材料とは言えない、特に損失弾性率(E”)による制振特性としては殆ど改善されていないというのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本願発明の課題は、ガラス転移温度範囲が広く、広い温度領域の損失弾性率のピークを持つ制振材料を提供することである。特に60〜80℃といった高温において高い減衰特性、換言すれば、大きな損失弾性率(E”)を維持する制振材料を提供することである。
本発明者等は、ガラス転移領域の拡大と損失弾性率の低下の防止を目的として、フイラーやファイバーを添加する技術とは異なった低分子の選択的相溶性を利用した新しい技術を考えた。該添加成分を一旦ポリマーに相溶させ、それと非相溶のマトリック相(海を構成する)と海島構造を作り、該マトリック相に分散する微細構造に着目し、制振特性を改善したマトリックス中に、更に制振特性を改善する島構造のポリマーと制振機能性低分子、またはそれらを水素結合などの共有結合に比べて小さな結合により相互作用する機能性超分子を形成して分散する複合型制振材料を設計することを考えた。そして、当然ながら制振性能としては損失正接だけでなく損失弾性率にも注目し前記マトリックス相形成材料および島構造形成材料について鋭意検討した。また、島構造(ドメイン)の働きを充分に引き出す為に島構造の形態、すなわち前記機能性超分子を発現するようにコントロールした。また。マトリックス(海)と島構造に損失正接という1つの性質でなく、制振性能を評価する2つ以上の個別の性能の向上を求め、マトリックスを、比較的ガラス転移温度範囲が狭いが該温度範囲において比較的大きな損失弾性率を有する第1の1種以上のポリマーで構成し、島構造を前記マトリックス中に制振性付与剤として機能する低分子の針状結晶を析出した1種以上のポリマー、特に前記相互作用するようにもので構成することにより、前記課題を解決した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物と当該低分子化合物と相溶状態を取る特性を有する塩素化ポリエチレンからなる第1のポリマーとそれらと相溶状態を取らないアクリルゴムからなる第2ポリマーを主成分とし、第1のポリマーと前記制振性付与剤の前記相溶状態から制振性付与剤を結晶化させた成分を主成分とする針状に発現した結晶相が形成された前記第1ポリマーと制振性付与剤とを主成分とする島構造が前記第2のポリマーを主成分とする海中に分散配置されるように構成された複合形態型制振材料である。好ましくは、制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物がN,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DBS)であることを特徴とする前記複合形態型制振材料である。
第2の発明は、制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物と当該低分子化合物と相溶状態を取る特性を有する塩素化ポリエチレンからなる第1のポリマーとを加熱して均一な前記相溶状態とし、該相溶状態の中に、それらと相溶状態を取らないアクリルゴムからなる第2のポリマーを主成分とするものを配合してブレンドし、前記第1のポリマーと前記制振性付与剤の相溶状態の島構造が前記第2のポリマーの海中に分散配置した成型物を作り、該成型物の該相溶状態の島構造中の制振性付与剤を結晶化させ、該結晶化成分を主成分とする針状の結晶相を発現させた、前記第1ポリマーと制振性付与剤とを主成分とする島構造が前記第2のポリマーを主成分とする海中に分散配置されるように構成された複合形態型制振材料を製造する方法である。
【0007】
【本発明の実施の態様】
本発明をより詳細に説明する。
A,本発明において使用されるポリマーは、従来制振材料において用いられていたポリマーを用いることができる。
このようなポリマーとしては、塩素化ポリエチレン(CPE)、アクリルゴム(AR)、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、天然ゴム、天然ロジン、変性ロジン等を使用することができるが、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリアミドを好ましいもの、特に塩素化ポリエチレンとアクリルゴムとの組み合わせを好ましいもの、として挙げることができる。これらの中でも制振性付与剤と前記水素結合、ファデルワールス力などにより、これの結晶と機能性超分子を形成する結合構造、官能基などを持つ化合物が好ましい。
また、ポリマーの分子構造と、Tg(ガラス転移点温度)、損失弾性率(E”)、tanδには相関があることが考察されているから(ポリマーダイジェスト、Vol.50,No.3(1998,3),17−32参照。)このような観点から適宜ポリマーを選択できる。
【0008】
B,本発明で使用する、制振性付与剤として機能する低分子化合物としては、非結晶の状態で第一のポリマーである塩素化ポリエチレンと相溶し、その後、結晶化させ減衰性付与剤となるものであり、従来の制振材料において、減衰性付与剤として用いられていた化合物を用いることができる。特に前記相溶性ポリマーと相互作用する化合物が好ましい。
【0009】
OH基(+)を持っている化合物は、水素結合することが可能であり、O、N、F、Clなどを持った系のポリマー、ポリビニールアルコール、アクリル樹脂にOHを持たせたもの、アクリル樹脂にCOOHを持たせたもの、アクリル樹脂にNHを持たせたもの、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンまたは、これらの基を持つモノマーを組み合わせたポリマーなどと組み合わせることができる。
【0010】
π電子(−)を持っている化合物は、電気的な結合力生じさせる、+系のポリマー、NH基を持つポリマーなどと組み合わせることができる。
【0011】
より好ましくは、それらにおいて分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物であり、更に好ましくは低分子化合物が、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DBS)、テトラキス〔メチレン−ジ−t−ブチル−4−ヒドロハイドロシシンナメート〕、4,4‘−チオービス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール、および2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α’―ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾールからなる群から選択される少なくとも一種、一層好ましくはN,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DBS)であり、ポリマーが塩素化ポリエチレン及びアクリルゴムの組み合わせから選択される。
【0012】
C,本発明においては、島(ドメイン)構造を制御することによっても制振特性を制御できる。
島構造の形態は、例えば、複合形態型複合材料を構成するそれぞれの材料の選択、該材料の配合比などの材料面(I)の設計、または成形温度制御、ブレンド条件、押し出しノズルの形状(海島形成ノズル、静止混練子による分散形態)などの成形条件(II)によって制御することができる。
(I)については、具体的には、減衰性付与剤と相互作用する結合、官能基を有するポリマーを選択すること、また、相溶するポリマーと相溶しないポリマーの比を変えることによって、ドメインの大きさや形態(針状、柱状、塊状、超高分子の形成)を制御できる。例えば、ドメインのサイズを調整することによって、特定の周波数の振動を制御できた。また、針状結晶は吸音実験では160HZ近傍の低周波領域の音を吸音した。
(II)については、具体的には、結晶化前のマトリックスと島(減衰性付与剤の相溶したポリマーからなる相)の形状を押し出しノズルの形状(海島形成ノズル、静止混練子による分散形態)などの成形条件(II)によって制御することにより、減衰性付与剤を結晶化させた後の島の構造を制御できる。例えば、従来の、ガラスウール等の吸音材は、主として空気層により吸音していたため、500Hz以上では効果が大きかったが、100Hz近傍の低周波領域では吸音の効果が少なく問題になっていた。特殊なノズルで複雑な断面構造を持った繊維やフィルムを作成することにより、空気層の効果に加えて、材料自身が持つ特定の周波数の振動を吸収する効果が付与され、従来の方法の欠点を補うことができた。すなわち、制振性を改善する成型物の形状による効果を更に有効に機能させることを示唆している。
【0013】
D,本発明においては、他に従来制振材料を製造するのに使用されている種々の配合剤を添加することができる。
このようなものとしては、発泡剤、発砲助剤、着色剤(顔料、染料)、老化防止剤、粘着付与剤、難燃剤、光沢剤、加工助剤、オゾン劣化防止剤、ブロッキング防止剤、耐候剤、耐熱剤、架橋剤、架橋助剤、加硫剤、分散剤、相溶化剤、界面活性剤、帯電防止剤或いは滑剤等を挙げることができる。
【0014】
E,制振材料は、その構造を設計することにより、制振特性を改善しうること、また、制振材料を複合して種々の用途に適用できるようにできることも公知であるから、それぞれの用途に合った構造とすることができる。
【0015】
【実施例】
以下の実施例において、物性の測定に使用する機器類は、以下のとおりである。
I,電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM):(株)日立製作所製、S-800,
II,示差走査熱量(DSC)測定:熱流束型島津製DSC−50で10mgのサンプルを窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で室温から150℃まで測定した。
III,動的粘弾性(DMA)測定:貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)、損失正接(tanδ)は、アイティー計測制御(株)製の粘弾性測定装置で測定。
条件は、50Hz、昇温速度10℃/分、動的歪み0.1%、引っ張りモードで行った。試料サイズは、20mm×5mm×1mmである。
実施例1
AR/CPE/DBSからなる複合形態型制振材料の製造。
(ポリマーARとポリマーCPEは非相溶性であり、これらのブレンド体からは、配合比がAR/CPE=1/1では互いに入り込んだ構造の複合材料がえられ、AR/CPE=1/3では海島構造の複合材料が得られる。)
AR/CPE/DBSを配合比1/3/4(a)、1/1/2(b)および3/1/4(c)とした制振材料を製造する。
先ず、CPE/DBSの混合物を融解し、これにARを加えて、NISHIMURA社製、二軸ミキシングローラで約65℃において約10分間ブレンドし、約140℃、200kgf/cm2でホットプレスしてシート状の成型物を得た。その後、25℃で結晶化させた。
(a)からは、針状(棒状)のCPE/DBS成分が、AR中に分散した(針状物の間のARはイオンエッチングにより除去し制振性付与剤の結晶形態を観察したものである)(図1a:SEM写真)複合形態型制振材料が得られた。
(b)および(c)からは、塊状複合形態の材料が得られた(図1b,c:SEM写真)。
【0016】
これらの、示差走査熱量(DSC)測定結果を図2に示す。
これらの、制振特性を図3に示す。
図3(a)は、50Hzで測定した時の貯蔵弾性率〔E’(Pa)〕と温度との相関を示す〔AR/CPE/DBSの比が0/1/1の場合(●)、1/3/4の場合(○)、1/1/1の場合(■)、3/1/4場合(△)、1/0/0の場合(・・・)〕。
アルミナ等の無機フイラーを添加した場合、ガラス転移温度や貯蔵弾性率は増加するがカーブの形は大きく変化しない。
0/1/1(■)に見られるようにCPEにDBSを加えたものでは貯蔵弾性率の低下が2段階になった。これはDBSの結晶とCPEの間に相互作用があるためと考えられる。ARを加えた多元ポリマー系では、貯蔵弾性率は3/1/4で一番大きく、1/1/1、1/3/4の順に小さい値となったが、大体同じ傾向を示した。低下は3段階になっていた。DBSでは観察されなかったが、約20℃のガラス転移によるショルダーが観察された。これは結晶の周りやCEPとの界面に存在する非晶のDBSによると考えられる。あるいは、非晶性のDBSの分解物の影響と考えられる。
【0017】
図3の(b)は、50Hzで測定した時の損失弾性率(E”)(Pa)の温度依存性を示した。ガラス転移以下の温度では1/1/1、3/1/4、1/3/4の順に高く、ガラス転移以上の温度では3/1/4、1/1/1、1/3/4の順に高かった。〔ここで、AR/CPE/DBSの比が1/3/4の場合(○)、1/1/1の場合(■)、3/1/4の場合(△)、1/0/0の場合(・・・)を示す。〕
図4と比較して分るようにDBSを入れたものは広い温度範囲で高い損失弾性率の値を示した〔ここで、AR/CPEの比が0/1の場合(○)、1/1の場合(■)、1/0の場合(△)である。〕。
【0018】
図3の(c)は、50Hzで測定した時の損失正接(tanδ)の温度依存性を示した。いずれも損失正接は約3℃にピークがあり最大値は約0.32であった。このピークはポリマーによるものである。40℃近辺に第2のピークが見られた。これは非晶のDBSおよびその分解物によるものと思われる〔ここで、AR/CPEの比が0/1の場合(○)、1/1の場合(■)、1/0の場合(△)である。〕。
【0019】
実施例2
ここでは、AR/CPE/DBSの配合比を、4/1/2とした以外実施例1と同様に試料を作成した。結晶化のための熱処理は60℃で1週間行った。
得られた結果を図5に示す〔貯蔵弾性率E’(○)、損失弾性率(E”)(△)、損失正接(tanδ)(×)〕。
広い温度範囲に亘って損失正接(tanδ)は0.3以上で且つ高い損失弾性率(E”)を持つ制振材料が得られていることが分かる。
【0020】
【発明の効果】
以上述べたように、制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物と当該低分子化合物と相溶性を有する第1の1種以上のポリマーとを加熱して均一な相溶状態とし、該相溶状態の中に、それらと相溶しない第2の1種以上のポリマーを主成分を配合してブレンドし、第1のポリマーと前記制振付与剤の相溶状態の島構造が第2のポリマーの海中に分散配置した成型物を作り、該成型物を該相溶状態の島構造中の制振付与剤を結晶化させた成分を主成分とする針状の結晶相を形成させ、第1ポリマーと制振性付与剤とを主成分とする島構造が第2のポリマーを主成分とする海中に分散配置されるように構成された複合形態型制振材料とすることにより、前記制振性付与剤と第1の相溶性ポリマーとを主成分とする、両成分が水素結合などの共有結合より小さいが相互作用をして機能性超分子を形成する構造を推測される形態の形成により、ガラス転移温度範囲が広く、かつ、大きな損失弾性率(E”)を持つ制振材料が提供できるという優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 AR/CPE/DBSの配合比を1/3/4(a)、1/1/2(b)および3/1/4(c)とした制振材料のARマトリックスをプラズマエッチングにより除去した制振性付与剤の針状結晶形態を観察したFE-SEM写真
【図2】 AR/CPE/DBSの配合比が1/3/4(a)、1/1/2(b)および3/1/4(c)の示差走査熱量(DSC)測定結果
【図3】 AR/CPE/DBSの比が1/3/4の場合(○)、1/1/1 の場合(■)、3/1/4の場合(△)、1/0/0の場合(…)の損失弾性率(E”)
【図4】 AR/CPE(図3のDBSを添加しない場合)の比が0/1の場合(○)、1/1の場合(■)、1/0の場合(△)の損失弾性率(E”)
【図5】 AR/CPE/DBSの配合比を4/1/2とした場合の貯蔵弾性率E’(○)、損失弾性率(E”)(△)、損失正接(tanδ)(×)の特性
Claims (3)
- 制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物と当該低分子化合物と相溶状態を取る特性を有する塩素化ポリエチレンからなる第1のポリマーとそれらと相溶状態を取らないアクリルゴムからなる第2ポリマーを主成分とし、第1のポリマーと前記制振性付与剤の前記相溶状態から制振性付与剤を結晶化させた成分を主成分とする針状に発現した結晶相が形成された前記第1ポリマーと制振性付与剤とを主成分とする島構造が前記第2のポリマーを主成分とする海中に分散配置されるように構成された複合形態型制振材料。
- 制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物がN,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DBS)であることを特徴とする請求項1に記載の複合形態型制振材料。
- 制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物と当該低分子化合物と相溶状態を取る特性を有する塩素化ポリエチレンからなる第1のポリマーとを加熱して均一な前記相溶状態とし、該相溶状態の中に、それらと相溶状態を取らないアクリルゴムからなる第2のポリマーを主成分とするものを配合してブレンドし、前記第1のポリマーと前記制振性付与剤の相溶状態の島構造が前記第2のポリマーの海中に分散配置した成型物を作り、該成型物の該相溶状態の島構造中の制振性付与剤を結晶化させ、該結晶化成分を主成分とする針状の結晶相を発現させた、前記第1ポリマーと制振性付与剤とを主成分とする島構造が前記第2のポリマーを主成分とする海中に分散配置されるように構成された複合形態型制振材料を製造する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000369800A JP3702417B2 (ja) | 2000-12-05 | 2000-12-05 | 選択的相溶性を利用した新規な制振材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000369800A JP3702417B2 (ja) | 2000-12-05 | 2000-12-05 | 選択的相溶性を利用した新規な制振材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002173663A JP2002173663A (ja) | 2002-06-21 |
JP3702417B2 true JP3702417B2 (ja) | 2005-10-05 |
Family
ID=18839788
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000369800A Expired - Fee Related JP3702417B2 (ja) | 2000-12-05 | 2000-12-05 | 選択的相溶性を利用した新規な制振材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3702417B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005030585A (ja) * | 2003-06-18 | 2005-02-03 | Bridgestone Corp | 建築物用ダンパー材料及び建築物用ダンパー |
KR100834593B1 (ko) * | 2004-01-20 | 2008-06-02 | 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 | 제진 재료 및 제진 금속판 |
JP4915718B2 (ja) * | 2005-01-18 | 2012-04-11 | 株式会社神戸製鋼所 | 制振材料およびその製法 |
JP4465023B2 (ja) * | 2006-12-20 | 2010-05-19 | As R&D合同会社 | 有機減衰材料 |
WO2008075604A1 (ja) * | 2006-12-20 | 2008-06-26 | As R & D Llc | 有機減衰材料 |
JP5438930B2 (ja) * | 2008-08-04 | 2014-03-12 | 本田技研工業株式会社 | 水性制振塗料組成物 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10298354A (ja) * | 1997-04-25 | 1998-11-10 | Tokai Rubber Ind Ltd | 高減衰材料及びその製造方法 |
JPH11106580A (ja) * | 1997-10-02 | 1999-04-20 | Tokai Rubber Ind Ltd | 高減衰材料組成物 |
JP3693499B2 (ja) * | 1998-06-05 | 2005-09-07 | 東海ゴム工業株式会社 | 防振ゴム組成物の製造方法、防振ゴム組成物及び防振ゴム部材 |
WO2000036044A1 (fr) * | 1998-12-11 | 2000-06-22 | Shishiai-Kabushikigaisha | Compose convertisseur d'energie |
JP2000198974A (ja) * | 1998-12-28 | 2000-07-18 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 制振材または防振材 |
JP3675216B2 (ja) * | 1999-03-30 | 2005-07-27 | 東海ゴム工業株式会社 | 高減衰材料組成物 |
-
2000
- 2000-12-05 JP JP2000369800A patent/JP3702417B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002173663A (ja) | 2002-06-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7019613B2 (ja) | 正温度係数を有する導電性成形体 | |
JP6239177B2 (ja) | 制振材料用のポリエステル樹脂成形組成物 | |
JP5283390B2 (ja) | ポリ乳酸系シートまたはフィルム、およびその製造方法 | |
JP3702417B2 (ja) | 選択的相溶性を利用した新規な制振材料 | |
JP2010085585A (ja) | 反射フィルム | |
JP2006328117A (ja) | 耐衝撃性環境素材とその製造方法及び成形体 | |
JP2010215789A (ja) | 樹脂組成物及びその成形物、並びにこれらの製造方法 | |
JP2017197736A (ja) | 制振材料用のポリエステル樹脂組成物 | |
WO2002026869A1 (fr) | Matiere plastique malleable et son procede de fabrication | |
RU2761017C2 (ru) | Усиленная пленка на основе термопластичного полиолефинового эластомера | |
JP2007070379A (ja) | 環境素材マテリアルとその製造方法 | |
WO2019062675A1 (zh) | 一种非迁移型高效抗菌复合材料及其制备方法 | |
JP2009241482A (ja) | 積層発泡シート | |
JP2011032327A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP3731474B2 (ja) | 有機ハイブリッド制振材料の層を配した積層型制振材料 | |
JP2005248076A (ja) | 高分子組成物及びその成形品 | |
JP4394536B2 (ja) | 半硬質ポリ乳酸系樹脂フィルム及びその製造方法 | |
JP2004269756A (ja) | 制振材用シート | |
JP2001164015A (ja) | 多孔質フィルムとその製造方法、及び樹脂ノート | |
US12043737B2 (en) | Vibration-damping molded article and method for producing resin composition for vibration-damping molded article | |
WO2011001763A1 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物の製造方法、成形品、携帯電話機用卓上ホルダー、携帯電話機の内部シャーシ部品、電子機器用筐体及び電子機器用内部部品 | |
JP2005072042A (ja) | 圧電変換複合材料及びその製造方法 | |
JP2013079299A (ja) | ポリ乳酸系樹脂組成物 | |
JP4791384B2 (ja) | 改質ポリエステル | |
JP2005054147A (ja) | 熱可塑性樹脂/ゴム複合組成物及びその製造方法、並びにガスバリア性部品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20031031 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20031210 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20041105 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20041116 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050112 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050222 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050406 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20050705 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050706 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090729 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090729 Year of fee payment: 4 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090729 Year of fee payment: 4 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100729 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100729 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110729 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110729 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120729 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120729 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130729 Year of fee payment: 8 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |