JP3693499B2 - 防振ゴム組成物の製造方法、防振ゴム組成物及び防振ゴム部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はゴム材料の防振特性発現方法、防振ゴム組成物及び防振ゴム部材に関し、更に詳しくは、広い周波数領域あるいは振幅範囲の振動に対して有効な防振特性の実現を図ったゴム材料の防振特性発現方法と、この方法を利用した防振ゴム組成物及び防振ゴム部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
多様な用途に利用される防振部材や防振装置の中には、例えば自動車用のエンジンマウントやサスペンション系のマウント等のように、エンジンの回転数,タイヤの回転数,路面の状況等に応じて比較的低周波領域(例えば10〜20Hz程度)から比較的高周波領域(例えば100Hz以上)に至る広い周波数領域あるいは広い振幅範囲の振動の発生に対して有効な防振特性を発揮することが望まれるものがある。
【0003】
一般的にこのような防振部材や防振装置においては、低周波領域の振動に対しては高い減衰特性(いわゆる損失係数。「tanδ」とも呼ばれる。)を示し、高周波領域の振動に対しては低い動倍率(動的バネ定数/静的バネ定数)を示すことが有利であると考えられる。そして、かかる要求に対応するために液体封入式の防振ゴム装置が既に実用化され、一定の効果を得ている。しかし、上記の液体封入式防振ゴム装置では、部品点数が多く構造が複雑となる点、また高価格になる点で不満が残る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、高い減衰特性と低い動倍率とを兼ね備えたゴム材料を実現し、これを利用して、上記の要求に対応可能でしかも安価かつ構造的にも簡易な自動車用マウント部材その他の防振部材を提供することが望まれるが、次の理由から、このようなゴム材料は未だ実現されていない。
【0005】
即ち、自動車用防振ゴムに汎用されている天然ゴム(NR)の例で説明すると、NRは元々低い動倍率を示す点で好ましいが、減衰特性を示すtanδ値は余り高くない。これに対して、例えばカーボンブラックを添加すると高減衰化することが知られているが、その際に動倍率も非常に高くなってしまうと言う不具合がある。更に、カーボンブラックの添加以外にもNRの減衰を高くする既知の手段はあるし、それらの手段をNR以外の防振用ゴム材料に施すこともできるが、いずれの場合においても、動倍率を低く設定すると減衰も低く、減衰を高くすると動倍率も高くなる、と言うトレード・オフの関係には変わりがない。
【0006】
そこで本発明は、ゴム材料に低動倍率−高減衰と言う新しい防振特性を発現させる方法を見出すこと、及び、この方法を利用して広い周波数領域あるいは広い振幅範囲の振動の発生に対して有効な防振ゴム組成物及び防振ゴム部材を提供することを、解決すべき課題とする。
【0007】
本願発明者は、この課題の解決手段を試行錯誤する中で、ゴム材料に特定の海島構造を導入することが有効ではないか、と考えた。そしてこのような手法の効果を実験的に確認して本発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、一定の動倍率とtanδを示すゴム材料(a)に対して、そのマトリクス中にこれより高い減衰を示すゴム材料(b)の粒子を分散させた海島構造とすることにより、前記動倍率−tanδ値を低動倍率−高減衰側へシフトさせた防振ゴム組成物を製造する方法であって、
未加硫状態の前記ゴム材料(a)に対して、加硫状態の前記ゴム材料(b)の粉砕粒子であってその平均粒子径が200μm以下であるものを、前記ゴム材料(a)に対する添加量が40phr以上であるように添加して、混練した後にゴム材料(a)を加硫する、防振ゴム組成物の製造方法である。
【0009】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、相対的に低い動倍率を示すゴム材料(A)のマトリクス中に、相対的に高い減衰を示す加硫ゴム材料(B)の粉砕粒子が分散している防振ゴム組成物であって、前記加硫ゴム材料(B)の粉砕粒子が、その平均粒子径が200μm以下で、かつゴム材料(A)に対する加硫ゴム材料(B)の添加量が40phr以上である、防振ゴム組成物である。
【0010】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、前記第2発明に係る加硫ゴム材料(B)の粉砕粒子において、その平均粒子径値の2倍を超える大径の粉砕粒子の占める割合が10.2重量%以下である、防振ゴム組成物である。
【0011】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、前記第2発明又は第3発明に係るゴム材料(A)が天然ゴム、あるいはこれとブタジエンゴム又はスチレン−ブタジエンゴムとのブレンド材料であり、前記加硫ゴム材料(B)がtanδ(損失係数)0.4以上である、防振ゴム組成物である。
【0012】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、前記第2発明〜第4発明のいずれかに係る防振ゴム組成物を用いた、防振ゴム部材である。
【0013】
【発明の作用・効果】
(第1発明の作用・効果)
第1発明において、一定の動倍率とtanδを示すゴム材料中に、これより高い減衰を示す加硫ゴム材料粒子を分散させた海島構造とすると、前記動倍率とtanδが低動倍率−高減衰側へシフトする。その結果、当該ゴム材料に低動倍率−高減衰と言う新しい防振特性を発現させることができる。
【0014】
マトリクスを構成するゴム材料自体の動倍率やtanδが元々高い値であれ、低い値であれ、要するにそれよりも相対的に高い減衰を示す加硫ゴム材料粒子を分散させた海島構造とすれば、その動倍率とtanδがより低動倍率−高減衰側へシフトする。しかしながら、マトリクスのゴム材料が防振ゴムに汎用されているNRや、これとBR,SBRとのブレンド材料と言った元々低動倍率のものである場合の方が、又、マトリクス中に分散させる加硫ゴム粒子についても、IIR系ゴム,ノルボーネンゴム(ノーソレックスゴム)と言った元々高減衰を示すものである場合の方が、その効果が大きい。
【0015】
なお、マトリクスに分散させる粒子が、例えば強化材であるカーボンブラックや、その他の無機質充填材あるいは実質的にゴム弾性を示さない固体充填材である場合には、その動倍率とtanδが高動倍率−高減衰側へシフトし、上記第1発明の効果が得られない。
【0016】
従って、ゴム材料の動倍率とtanδがより低動倍率−高減衰側へシフトしたか否かは、第1発明を実施した場合と、ゴム材料のマトリクスに無機質充填材や固体充填材を分散させた場合との相対評価によって判定可能である。
【0017】
(第2発明〜第5発明の作用・効果)
第2発明によって、第1発明の効果を具体化した防振ゴム組成物を得ることができる。。
【0018】
第3発明において、マトリクスのゴム材料(A)が低動倍率でかつ防振ゴムとして汎用されるNR、あるいはこれとBR又はSBRとのブレンド材料であり、かつ、粒子状に分散される加硫ゴム材料(B)がtanδ0.4以上であるため、動倍率とtanδを低動倍率−高減衰側へシフトさせる効果が特に大きい。
【0019】
第4発明において、加硫ゴム材料(B)の粉砕粒子の平均粒子径が200μm以下であり、その添加量が40PHR以上であるため、動倍率とtanδを低動倍率−高減衰側へシフトさせる効果が特に大きい。
【0020】
第5発明において、第2発明〜第4発明のいずれかに係る防振ゴム組成物を用いて防振ゴム部材を構成するので、その用途を問わずに各種の優れた防振ゴム部材を提供でき、とりわけ、比較的低周波領域から比較的高周波領域に至る広い周波数領域あるいは広い振幅範囲の振動の発生に対して有効な防振ゴム部材を提供することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、第1発明〜第5発明の実施の形態を説明する。なお、以下において、単に「本発明」と言う場合は、第1発明〜第5発明を一括して指している。
【0022】
〔動倍率、tanδ〕
動倍率は、振動伝達を示す動的バネ定数を支持剛性を示す静的バネ定数で除した値(動的バネ定数/静的バネ定数)として与えられ、一方、tanδは、歪みと90°位相がズレた動的弾性率である損失弾性率を歪みと同位相の動的弾性率である貯蔵弾性率で除した値(損失弾性率/動的弾性率)として与えられる。tanδ値の大きなものは高減衰である。
【0023】
前記したように、従来のゴム材料において、動倍率とtanδとは通常かなり高い相関性を持っている。即ち、ゴム材料にカーボンブラック等を添加し、あるいはその添加量を増量して行った時、これが高減衰化ファクターとして働いてゴム材料の減衰係数を大きくするが、同時に動倍率もかなり高くなる。
従って、例えばゴム材料に高減衰化ファクターを添加していない状態、あるいは補強材として一定の必要量のカーボンブラックを添加した状態におけるtanδ−動倍率値をグラフ上の零点とし、次の(a),(b)のグラフをプロットして両者を対比することにより、本発明の効果である「低動倍率−高減衰側へのシフト」を判定することができる。実質的にシフト効果が認められる限り、その程度の如何に関わらず、第1発明の効果が発現したと認めることができる。
(a)本発明に係る加硫ゴム材料(B)粉砕粒子の添加量を次第に増量して行った場合のtanδ−動倍率値の変化。
(b)既知の高減衰化ファクターとしてのカーボンブラックその他の添加剤の添加量を増量して行った場合のtanδ−動倍率値の変化。
【0024】
〔ゴム材料(A)〕
第1発明,第2発明においてマトリクスを構成するゴム材料(A)は、その種類を限定されず、又、任意のtanδ値,動倍率値を示すものを使用することができる。なぜなら、少なくともそれより相対的に高い減衰を示すゴム材料(B)の粒子を分散させることにより、tanδ−動倍率値を相対的に低動倍率−高減衰側へシフトさせる効果が得られるからである。
【0025】
但しゴム材料(A)は、第3発明のようにNR、あるいはこれとBR又はSBRとのブレンド材料である場合の方が、tanδ−動倍率値を低動倍率−高減衰側へシフトさせる効果が大きい。NRを含まないBR,SBRやそのブレンド材料も、可能な場合には使用することができる。上記各種のブレンド材料におけるNRや他のブレンド成分の配合比率は、必要に応じて任意に設定することができる。
【0026】
〔加硫ゴム材料(B)〕
本発明に用いる加硫ゴム材料(B)は、少なくともゴム材料(A)よりも相対的に高い減衰を示すものであれば足りる。
【0027】
但し、ゴム材料(B)は、第4発明のように、その種類や高分子構造、分子量、加硫密度等に関わらず、tanδ0.4以上である場合の方が、tanδ−動倍率値を低動倍率−高減衰側へシフトさせる効果が大きい。
【0028】
粒子状に分散される加硫ゴム材料(B)の粒子径については、本来は特段の限定がないが、平均粒子径が過大であることにより本発明の効果を低減させる場合がある。一般的には、平均粒子径が200μm以下であるものを使用すると、効果がより大きい。一方、加硫ゴム材料(B)粒子の配合量は、20PHR以上が好ましいが、40PHR以上がとりわけ好ましい。
【0029】
〔製造プロセス及びその他の添加剤〕
本発明のゴム組成物/ゴム部材の製造プロセスについては、ゴム材料(B)を添加する点を除けば通常のゴムの製造プロセスと同様であって、常法あるいは公知の適当な製造プロセスを任意に採用することができる。ゴム材料(B)の添加については、通常は、加硫ゴムの粉砕品であるゴム材料(B)を未加硫のゴム材料(A)に添加した後に加硫するが、このプロセス以外の可能な方法を採用することもできる。
【0030】
ゴム材料(A)には、ゴム材料(B)以外の公知の各種添加剤/添加材が配合されても構わない。これらの添加剤/添加材の中には高減衰化−高動倍率化ファクターとして作用するものもあるが、更にゴム材料(B)を添加することによって本発明の効果は確保される。
【0031】
上記添加剤/添加材の例示として、次の加硫剤,加硫促進剤,軟化剤,カーボンブラック,カーボンブラック以外の各種目的の充填剤等を挙げることができる。それらの添加量は必要に応じて任意に設定すれば良い。
【0032】
加硫剤としては、常用される硫黄の他、モルホリンジスルフィド,テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。
【0033】
加硫促進剤としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物、2−メルカプトベンゾチアゾール,ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物、ジフェニルグアニジン,トリフェニルグアニジン等のグアニジン系化合物、アセトアルデヒド−アニリン反応物,アセトアルデヒド−アンモニア反応物等のアルデヒド−アミン又はアルデヒド−アンモニア反応物、2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物、ジエチルチオ尿素等のチオ尿素化合物、その他、チウラム系化合物、ジチオカルバミン酸塩系化合物、キサンテート系化合物等が挙げられる。
【0034】
軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油、トール油、蜜ロウ、ラノリン、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸等が挙げられる。
【0035】
カーボンブラック以外の充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、シリカ等の他、各種の可塑剤、安定剤、着色剤等が挙げられる。
【0036】
〔防振ゴム部材〕
第5発明の防振ゴム部材には、車両用,非車両用の各種防振ゴム部材が含まれる。これらの内、広い周波数領域あるいは広い振幅範囲の振動の発生に対処する必要のある用途の防振ゴム部材が、特に大きな効果を期待できる。
【0037】
例えば、自動車用防振ゴム部材は、エンジンの回転数,タイヤの回転数,路面の状況等に応じて、例えば10〜20Hz程度から100Hz以上に至る広い周波数領域あるいは広い振幅範囲の振動の発生に対処できることが望まれるため、本発明の効果が大きい。
【0038】
その具体例として、エンジンマウント、キャブマウント、メンバーマウント、ストラットバークッション、サスペンションブッシュ等の各種ブッシュ、FFエンジンロールストッパー等の各種部材に利用できる。とりわけ、例えばエンジンマウントのように、発振源となる装置を支持する防振ゴム部材が最適である。
【0039】
【実施例】
以下に本発明の実施例を、その比較例も含めて説明する。
【0040】
〔第1実施例〕
NR100PHR、酸化亜鉛5PHR、ステアリン酸1PHR、FEFカーボン( Fast Extruding Furnace Carbon)50PHR、ナフテンオイル20PHR、加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)1PHR、硫黄2PHRを基準配合とし、この配合のみからなる比較試料No.C1、基準配合に比較して上記FEFカーボンが70PHRに増量された配合からなる比較試料No.C2、基準配合に対して東海ゴム工業(株)製の加硫高減衰ブチルゴム粉CL−IIRをそれぞれ20,40,60及び80PHR添加した配合からなる実施例試料No.1〜4を準備した。
【0041】
上記の加硫高減衰ブチルゴム粉CL−IIRは、JIS硬度(HS)60、15Hz時のtanδ=0.42、100Hz時のKd(動的バネ定数)/Ks(静的バネ定数)=4.8のものであり、平均粒子径約150μmに冷凍粉砕された16メッシュパス品(そのエアージェットシーブ法による粒度分布の分析結果を末尾の表1に示す。)である。
【0042】
上記の各未加硫組成物は、それぞれ容量1.7リッターのバンバリーミキサーで練り、その後160°Cで30分間加熱して加硫することにより、比較試料No.C1,No.C2,実施例試料No.1〜4に係るゴム成形物を得た。そしてこれらのゴム成形物を用いて、図1に示すように、直径50mm、高さ25mmの円柱状ゴム1を作製し、その上面及び下面に直径60mm、厚さ6mmの円盤金具2,2をそれぞれ取付けて、動特性試験用のテストピースを構成した。
【0043】
比較試料No.C1,No.C2,実施例試料No.1〜4に係る上記テストピースのそれぞれについて、まず、軸方向に5.5mm圧縮させ、2回目の往きの荷重撓み曲線から1.25mmと3.75mmの撓み時の荷重を読み取って、静的バネ定数Ksを算出した。引き続き、テストピースを軸方向に2.5mm圧縮し、この2.5mm圧縮の位置を中心に、下方から、100Hzの周波数により振幅±0.05mmの定変位調和圧縮振動を加え、JIS K 6385の非共振方法(a)に準拠して、100Hz時の動的バネ定数Kdを算出した。
【0044】
こうして得られた静的バネ定数Ksと動的バネ定数Kdとから比較試料No.C1,No.C2,実施例試料No.1〜4に係るゴム成形物の動倍率(Kd/Ks)を求めた。又、上記と同様の手法で15Hzの周波数により振幅±0.5mmの定変位調和圧縮振動を加え、JIS K 6385の非共振方法(a)に準拠して、15Hz時のtanδも求めた。
【0045】
これらの結果を、動特性の評価値として、末尾の表2に示す。なお、比較試料No.C1,No.C2,実施例試料No.1〜4に係るゴム成形物の常態物性である100%モジュラス(M100),破断強度(TB),破断伸び強度(EB)及びJIS硬度(HS)についても測定し、表2に併せて示した。
【0046】
〔第2実施例〕
第2実施例と同一の基準配合に対して東海ゴム工業(株)製の高減衰ノーソレックス加硫ゴム粉をそれぞれ20,40,60及び80PHR添加した配合からなる実施例試料No.5〜8を準備した。
【0047】
上記の高減衰ノーソレックス加硫ゴムは、JIS硬度(HS)60、15Hz時のtanδ=0.715、100Hz時のKd(動的バネ定数)/Ks(静的バネ定数)=5.65のものであり、平均粒子径約170μmに冷凍粉砕された16メッシュパス品(そのエアージェットシーブ法による粒度分布の分析結果を末尾の表3に示す。)である。比較試料として第1実施例と同一の比較試料No.C2を用いた。
【0048】
そして第1実施例と同様に、各未加硫組成物を加硫ゴム成形物とし、動特性試験用テストピースを構成し、第1実施例と同様の試験によって動特性の評価値と常態物性値を得た。これらの結果を末尾の表4に示す。
【0049】
〔第1実施例及び第2実施例の評価〕
第1実施例,第2実施例及び比較試料について表2,表4に示す測定結果を、横軸を15Hz時のtanδ値、縦軸を100Hz時のKd/Ks値とするグラフにプロットした処、図2のようになった。図2において、◆は比較試料No.C1,No.C2をプロットしたもの、●は第1実施例の実施例試料No.1〜4をプロットしたもの、■は第2実施例の実施例試料No.5〜8をプロットしたものである。
【0050】
この図2より、第1実施例の実施例試料No.1〜4に係るプロット列、第2実施例の実施例試料No.5〜8に係るプロット列は、いずれも比較試料No.C1とNo.C2との間を結んだ標準のtanδ−動倍率相関線xよりも明らかに低動倍率−高減衰側へシフトしており、実施例試料に係る防振ゴム組成物あるいは防振ゴム部材が比較試料に係る天然ゴムあるいはカーボンブラック添加天然ゴムに対して低動倍率でありながら高減衰と言う特性を発現していることが分かる。
【0051】
なお、あえて第1実施例と第2実施例とを比較すると、第2実施例の方がより少量の加硫ゴム粉の添加量で大きな効果を得られる、と言う評価が可能である。このような差異は、両実施例において添加された粒子状高減衰加硫ゴムのtanδの相違に基づくものと思われる。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る動特性試験用テストピースの縦断面図である。
【図2】実施例に係る各試料のtanδ−動倍率値をプロットしたグラフである。
Claims (5)
- 一定の動倍率とtanδを示すゴム材料(a)に対して、そのマトリクス中にこれより高い減衰を示すゴム材料(b)の粒子を分散させた海島構造とすることにより、前記動倍率−tanδ値を低動倍率−高減衰側へシフトさせた防振ゴム組成物を製造する方法であって、
未加硫状態の前記ゴム材料(a)に対して、加硫状態の前記ゴム材料(b)の粉砕粒子であってその平均粒子径が200μm以下であるものを、前記ゴム材料(a)に対する添加量が40phr以上であるように添加して、混練した後にゴム材料(a)を加硫することを特徴とする防振ゴム組成物の製造方法。 - 相対的に低い動倍率を示すゴム材料(A)のマトリクス中に、相対的に高い減衰を示す加硫ゴム材料(B)の粉砕粒子が分散している防振ゴム組成物であって、
前記加硫ゴム材料(B)の粉砕粒子が、その平均粒子径が200μm以下で、かつゴム材料(A)に対する加硫ゴム材料(B)の添加量が40phr以上であることを特徴とする防振ゴム組成物。 - 前記加硫ゴム材料(B)の粉砕粒子において、その平均粒子径値の2倍を超える大径の粉砕粒子の占める割合が10.2重量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の防振ゴム組成物。
- 前記ゴム材料(A)が天然ゴム、あるいはこれとブタジエンゴム又はスチレン−ブタジエンゴムとのブレンド材料であり、前記加硫ゴム材料(B)がtanδ(損失係数)0.4以上であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の防振ゴム組成物。
- 請求項2〜4のいずれかに記載の防振ゴム組成物を用いたことを特徴とする防振ゴム部材。
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