JP3696195B2 - 電磁弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車用電子制御式自動変速機の各作動部の作動油圧を変更するために用いられる電磁弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば比例電磁弁として、ソレノイドコイルと、このソレノイドコイルの軸線上に軸線方向に移動可能に設けられたロッドと、このロッドに中間部で固着されたプランジャと、このプランジャの一方の側に前記ロッドを囲って設けられ前記ソレノイドコイルへの通電でプランジャを吸引するコアと、前記プランジャの他方の側に前記ロッドを囲って設けられたヨークと、前記プランジャの両側にそれぞれ設けられ前記ロッドを前記移動可能に支持した一対の軸受とを備え、一方の前記軸受は前記ヨークに圧入され、他方の前記軸受は前記コアに圧入されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−188744号公報(図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の比例電磁弁では、一対の軸受は、ロッドを軸線方向に摺動可能に支持しており、そのうちの一方の軸受はヨークに圧入され、他方の軸受はコアに圧入されている。そのため、部品加工のばらつき、組立時のばらつきが等により、それぞれの軸受の中心軸線が一致せず、その結果軸受とロッドとの摺動部には径方向の偏荷重が作用し、ロッドに対する摺動抵抗が増大し、ソレノイドコイルに流れる通電量に対して所定の開弁度が得られないという問題点があった。
また、前記偏荷重を低減するためには、軸受の内径面とロッドの外周面との間の隙間を大きくすることも考えられるが、この結果プランジャの中心軸線と、コアおよびヨークのそれぞれの中心軸線とがそれぞれ大幅にずれ、プランジャとコアとの間の磁力、プランジャとヨークとの間のそれぞれの径方向の磁力のバランスが崩れ、軸受とロッドとの摺動部には径方向の磁力の差により径方向の偏荷重が作用し、上記と同様の問題点があった。
また、軸受の内径面とロッドの外周面との摺動部に異物(金属粉、埃等)が噛み込みロッドは動作不能になってしまうおそれがあるという問題点もあった。
【0005】
この発明は、かかる問題点を解決することを課題とするものであって、性能が向上し、また異物の噛み込みによる動作不能を防止できる電磁弁を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る電磁弁では、一対の軸受の少なくとも一方は、コアの内径面、またはヨークの内径面に対して隙間ばめで設けられ、前記軸受の内、前記コアの内径面、または前記ヨークの内径面に対して隙間ばめで設けられた軸受と、前記プランジャとの間にスプリングが設けられ、前記軸受は前記スプリングの弾性力で保持されており、前記スプリングと、前記プランジャとの間には、スプリングの荷重がプランジャに及ぶのを阻止するホルダが設けられている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態および参考例について説明するが、同一、同等部材、部位については同一符号を付して説明する。
参考例1.
図1はこの発明の参考例1の比例電磁弁の断面図である。
この比例電磁弁は、自動車用電子制御式自動変速機の各作動部の作動油圧を変更するために用いられる、ノーマリーハイタイプ(非通電時に出力圧が高く、電流増加に伴い出力圧が減少するタイプ)の電磁弁であり、円筒形状のケース1と、このケース1内に設けられたソレノイド装置2と、ソレノイド装置2に通電することで作動する弁装置3とを備えている。
【0008】
ソレノイド装置2は、ボビン19に導線が巻回されたソレノイドコイル4と、ケース1の下側の内径面に嵌着されたヨーク5と、ボビン19の上側の内径面に嵌着されたコア6と、ソレノイドコイル4の中心軸線上に移動可能に設けられたプランジャ7と、このプランジャ7の上端面に下端部が当接しプランジャ7を押圧した第1のスプリング8aと、ソレノイドコイル4の導線に接続された端子11とを備えている。
弁装置3は、球状のバルブ16と、ヨーク5に固定されたハウジング17と、プランジャ7に圧入され一体化されたロッド18とを備えている。ハウジング17には、バルブ16が当接するバルブシート12、液体の流入口13、液体の流出口14および液体の排出口15がそれぞれ形成されている。
【0009】
コア6の内径面とロッド18の外周面との間には、コア6の内径面およびロッド18の外周面に対して隙間ばめで第1のすべり軸受9aが設けられている。この第1のすべり軸受9aの下端面にはロッド18を囲った第1のスプリング8aの上端部が当接している。コア6の内径部にはC形状のスプリングピン10が圧入されている。このスプリングピン10の下端部が第1のすべり軸受9aの上端面に当接し、スプリングピン10の圧入量を調整することで第1のスプリング8の荷重が調整されるようになっている。
また、ロッド18の外周面とヨーク5の内径面との間には、ロッド18の外周面およびヨーク5の内径面に対して隙間ばめで第2のすべり軸受9bが設けられている。この第2のすべり軸受9bの上端面にはロッド18を囲った第2のスプリング8bの下端部が当接しており、第2のすべり軸受9bは第2のスプリング8bの圧縮荷重によって確実に保持されるようになっている。
第1のすべり軸受9aおよび第2のすべり軸受9bは、内径面側および外径面側のそれぞれの両端部でテーパを設けた形状であり、また非磁性体で耐摩耗性のある黄銅で構成されている。なお、すべり軸受は、非磁性体で耐摩耗性のりん青銅で構成してもよいし、また焼結材料で構成してもよい。
【0010】
第2の軸受9bは、ロッド18の外周面とヨーク5の内径面との間で、ロッド18の外周面およびヨーク5の内径面に対して隙間ばめで設けられており、ロッド18の軸線に対して傾斜可能になっており、またロッド18に対して摺動可能になっている。
【0011】
第2のすべり軸受9bを保持するための第2のスプリング8bの圧縮荷重Fは、比例電磁弁に許容されている、出力圧P(流出口14での自動変速機液の圧力)のヒステリシス差をΔP、バルブ16とバルブシート12により決定されるシート径をφd、第2のすべり軸受9bとロッド18との間の動摩擦係数をμ、動摩擦係数μによって決定される係数をCとしたときに、下式によって得られる。
F=C×ΔP×π(φd)2/4
そして、例えばμ=0.1の場合、係数Cがとり得る範囲は0<C≦3の範囲内であり、第2のスプリング8bの圧縮荷重Fは、その係数Cの値に応じた範囲内の値が設定される。
【0012】
なお、図2に示すように、ソレノイドコイル4に流れる電流値Iと、出力圧Pとの関係において、電流値Iがゼロから所定値に上昇したときの行き方向出力圧曲線Aと、所定値からゼロに降下したときの戻り方向出力圧曲線Bとは異なる曲線を描き、同じ電流値Iでも異なる出力圧Pであり、この出力圧Pの差ΔPがヒステリシス差ΔPである。
【0013】
なお、第1のすべり軸受9aについても、ロッド18の外周面およびコア6の内径面に対して隙間ばめで設けられているが、この第1のすべり軸受9aに作用する第1のスプリング8aは、比例電磁弁の出力圧Pを調整するために設けられたものである。従って、この第1のスプリング8aの圧縮荷重は、第2のすべり軸受9aを保持するための第2のスプリング8bの圧縮荷重に比べて非常に高いため、第1のすべり軸受9aは、コア6に対して固定されているとみなすことができる。
【0014】
自動変速機では、その油圧回路のオイルパン内に蓄えられた作動液は、エンジンに同期して駆動するオイルポンプにより吸引され、レギュレータ等で所定の圧力に調圧された後、各電磁弁の流入口まで圧送される。
このうち、比例電磁弁では、自動車の走行状態に応じて自動変速機制御ユニットからの信号により比例電磁弁のソレノイドコイル4に与える電流値が制御され、バルブ16に加える力は制御され、それに応じてバルブ16とバルブシート12との間の隙間寸法が変動する。流入口13から一定の入力圧で流入した作動液は、ハウジング17内に流入するが、上記隙間寸法に応じて排出口15からの作動液の排出流量が定められ、例えばその排出流量の増加に伴い、流出口14からの液体の流出流量は減少し、流出口14での出力圧Pは減少する。
その出力圧Pにより、自動変速機の油圧回路内に装着されるコントロールバルブの開閉が制御されることで変速がなされる。なお、排出口15から排出された自動変速機液はオイルパンに回収される。
【0015】
次に、上記構成のノーマリーハイタイプの比例電磁弁の動作について説明する。
ソレノイドコイル4が非通電状態では、プランジャ7の端面を押圧した第1のスプリング8aの圧縮荷重により、プランジャ7と一体のロッド18はバルブ16をバルブシート12側に押圧する。流入口13からハウジング17を通って流出口14に流れてくる作動液の出力圧Pは、バルブ16の押圧力をシート径φdで定まるシート面積で割った値と平衡した圧力となるように、バルブ16はバルブシート12から離間して排出口15から作動液を排出する。このとき、最大の出力圧Pを示す。
ソレノイドコイル4に通電すると、磁界が発生し、磁気回路を構成する、ケース1、コア6、プランジャ7およびヨーク5には磁束が流れ、励磁されたコア6とプランジャ7との間にロッド18の摺動方向に対し電流に比例した磁気吸引力が発生する。磁気吸引力は第1のスプリング8aの弾性力に抗する方向に発生し、バルブ16の押圧力を減少させる。例えば、ソレノイドコイル4の通電量で定められた磁気吸引力に応じてバルブ16の押圧力を制御することで流出口14に流れてくる作動液の出力圧Pは制御される。そして、ソレノイドコイル4に通電する電流値を増加させた場合、バルブ16の押圧力が減少することで、出力圧Pは減少し、ソレノイドコイル4に第1のスプリング8aによる押圧力と平衡する磁気吸引力が発生したときに、最小の出力圧Pを示す。
【0016】
その後、ソレノイドコイル4への通電が遮断されると、コア6の磁気吸引力はゼロとなり、プランジャ7は第1のスプリング8aの弾性力により反コア6側に移動し、プランジャ7と一体のロッド18はバルブ16を押圧し、バルブ16はバルブシート12に着座して、比例電磁弁は閉弁される。
【0017】
上記構成の比例電磁弁では、第2のすべり軸受9bは、ロッド18の外周面およびヨーク5の内径面に対して隙間ばめで設けられており、ロッド18の軸線に対して傾斜可能になっており、またロッド18に対して摺動可能になっている。そのため、部品加工や組立のばらつきに起因して発生する第2のすべり軸受9bとロッド18との摺動部の偏荷重は、第2のすべり軸受9bのヨーク5に対する摺動および傾きにより緩和され、偏荷重によるヒステリシス差ΔPの増大を防止でき、各比例制御弁間における出力圧Pの性能のばらつきが低減する。
また,部品寸法公差の拡大による加工性の向上および組立作業性の向上を図ることができる。
さらに、異物の噛み込みによりロッド18が第2のすべり軸受9bに固着した場合でも、第2のすべり軸受9bの外周面がヨーク5の内径面に対する摺動面となるため、ロッド18は第2のすべり軸受9bと共に移動可能となり、所定の出力圧Pを得ることができる。
また、第1のすべり軸受9aおよび第2のすべり軸受9bは、内径面側および外径面側のそれぞれの両端部でテーパを設けた形状であるので、第2のすべり軸受9bとロッド18との摺動部の偏荷重に対して、第2のすべり軸受9bはより傾き易く、それだけよりロッド18の摺動抵抗はより低減される。
【0018】
参考例2.
図3はこの発明の参考例2の比例電磁弁の断面図であり、この比例電磁弁は、非通電時に出力圧が低く、電流増加に伴い出力圧が増加するタイプのものである。
このノーマリーロウタイプの比例電磁弁は、ノーマリーハイタイプの参考例1の比例電磁弁と比較して、コア6とヨーク5との配置が逆であること、比例電磁弁の出力圧Pを調整するための第1のスプリング8aが無い点で異なる。
また、ロッド18の外周面およびヨーク5の内径面に対して隙間ばめで第1のすべり軸受20aが設けられている。この第1のすべり軸受20aの下端面にはロッド18を囲った第1のスプリング21aの上端部が当接している。この第1のスプリング21aの弾性力により、第1のすべり軸受20aは、ロッド18の端部に確実に保持されるようになっている。
また、ロッド18の外周面およびコア6の内径面に対して隙間ばめで第2のすべり軸受20bが設けられている。この第2のすべり軸受20bの上端面にはロッド18を囲った第2のスプリング21bの下端部が当接している。この第2のスプリング21bの弾性力により、第2のすべり軸受20bは、ロッド18の中間部に確実に保持されるようになっている。
第1のすべり軸受20aおよび第2のすべり軸受20bは、内径面側および外径面側のそれぞれの両端部でテーパを設けた形状であり、また非磁性体で耐摩耗性のある黄銅で構成されている。なお、すべり軸受は、非磁性体で耐摩耗性のりん青銅で構成してもよいし、また焼結材料で構成してもよい。
【0019】
第1の軸受20aおよび第2の軸受20bは、ロッド18の外周面およびヨーク5の内径面に対して隙間ばめで設けられており、ロッド18の軸線に対して傾斜可能になっており、またロッド18に対して摺動可能になっている。
【0020】
この比例電磁弁では、非通電状態では、プランジャ7と一体のロッド18に当接するバルブ16を押圧する力は無く、流入口13からハウジング17の内部を通って流出口14に流れてくる作動液は、バルブ16を押し上げ、排出口15から排出される。このとき、最小の出力圧Pを示す。
次に、ソレノイドコイル4を通電すると、磁界が発生し、磁気回路を構成する、ケース1、コア6、プランジャ7およびヨーク5には磁束が流れ、励磁されたコア6とプランジャ7との間にロッド18の摺動方向に対し電流に比例した磁気吸引力が発生する。磁気吸引力はバルブ16にバルブシート12を押圧する方向に発生する。流出口14に流れてくる作動液の出力圧Pは、バルブ16の押圧力をシート径φdで定まるシート面積で割った値と平衡した圧力となる。例えば、ソレノイドコイル4の通電量で定められた磁気吸引力に応じてバルブ16の押圧力を制御することで流出口14に流れてくる作動液の出力圧Pは制御される。そして、ソレノイドコイル4に通電する電流値を増加させた場合、バルブ16の押圧力が増加することで出力圧Pは増加し、ソレノイドコイル4に流入口13の圧力と平衡する磁気吸引力が発生したときに最大の出力圧Pを示す。
【0021】
その後、ソレノイドコイル4への通電が遮断されると、コア6の磁気吸引力はゼロとなり、プランジャ7は第1のスプリング8aにより反コア6側に移動し、流入口13からの液体の入力圧により、バルブ16は、押し上げられ、バルブシート12から離間した状態が維持され、流入口13からの作動液はハウジング17の内部を通って排出口15から排出されており、比例電磁弁は全開状態となる。
【0022】
この参考例の比例電磁弁の場合にも、第1のスプリング21aによりロッド18の端部に保持された第1のすべり軸受20aは、ロッド18の外周面およびとヨーク5の内径面に対して隙間ばめで設けられており、ロッド18の軸線に対して傾斜可能になっており、またロッド18に対して摺動可能になっている。また、第2のスプリング21bによりロッド18の中間部に保持された第2のすべり軸受20bは、ロッド18の外周面およびコア6の内径面に対して隙間ばめで設けられており、ロッド18の軸線に対して傾斜可能になっており、またロッド18に対して摺動可能になっている。
そのため、参考例1と同様に、偏荷重によるヒステリシス差ΔPの増大を防止でき、各比例制御弁間における出力圧Pの性能のばらつきが低減する。
また,部品寸法公差の拡大による加工性の向上および組立作業性の向上を図ることができる。
さらに、異物の噛み込みによりロッド18が第1のすべり軸受20a、第2のすべり軸受20bに固着した場合でも、ロッド18は第1のすべり軸受20a、第2のすべり軸受20bと共に移動可能となり、所定の出力圧Pを得ることができる。
また、第1のすべり軸受20aおよび第2のすべり軸受20bは、内径面側および外径面側のそれぞれの両端部でテーパを設けた形状であるので、第1のすべり軸受20aおよび第2のすべり軸受20bと、ロッド18との摺動部の偏荷重に対して、第1のすべり軸受20aおよび第2のすべり軸受20bはより傾き易く、それだけよりロッド18の摺動抵抗はより低減される。
【0023】
実施の形態1.
図4はこの発明の実施の形態1の比例電磁弁の断面図であり、この比例電磁弁は、参考例2と同様に、非通電時に出力圧がゼロで、電流増加に伴い出力圧が増加するタイプのものである。
このノーマリーロウタイプの比例電磁弁では、ヨーク5の内径面に第1のスプリング21aの下端部が当接した第1のホルダ30aが固定されている。また、コア6の内径面に第2のスプリング21bの上端部が当接した第2のホルダ30bが固定されている。第1のホルダ30aおよび第2のホルダ30bは、ともに円環状で端部に内径側に突出した鍔部を有しており、この鍔部に第1のスプリング21a、第2のスプリング21bの端部が当接している。
他の構成は、参考例2と同様である。
【0024】
参考例1、2では、すべり軸受9b、20a、20bを保持するためのスプリング8b、21a、21bの端部はプランジャ7に当接していたのに対して、この実施の形態では、スプリング21a、21bの端部はホルダ30a、30bに当接しており、スプリング21a、21bの荷重は、ホルダ30a、30bで受け止められ、プランジャ7を通じてロッド18に加わることは無く、より安定した出力圧特性が得られる。
なお、他の作用および効果については、参考例2と同様である。
【0025】
参考例3.
図5はこの発明の参考例3の比例電磁弁の断面図であり、この比例電磁弁は、参考例2と同様に、非通電時に出力圧がゼロで、電流増加に伴い出力圧が増加するタイプのものである。
このノーマリーロウタイプの比例電磁弁では、第1のすべり軸受40は、ロッド18の外周面およびヨーク5の内径面に対して隙間ばめで設けられている。この第1のすべり軸受40は、円環状で端部に外径側に突出した鍔部40aを有しており、この鍔部40aはプランジャ7の端面に対向している。
他の構成は参考例2と同様である。
【0026】
この参考例では、プランジャ7の端面に対向した鍔部40aを有した第1のすべり軸受40を備えているので、プランジャ7が異常変位によりヨーク5に磁気吸着して動作不良が生じてしまうといった事態を未然に防止できる。
他の作用および効果は参考例2と同様である。
【0027】
なお、上記実施の形態および各参考例では、プランジャ7の両側のロッド18の両端部に、隙間ばめ構造のすべり軸受9a、9b、20a、20b、40を設けたが、何れか一方に設けてもよい。この場合、すべり軸受9a、9b、20a、20b、40とロッド18との摺動面における異物の噛み込みによる動作不良に対しては,異物が混入し易いバルブ16側のすべり軸受9b、20bに隙間ばめ構造を設ける方が効果的である。
また、上記実施の形態および各参考例では、軸受として簡単な構成であるすべり軸受9a、9b、20a、20b、40で説明したが、この発明はころがり軸受にも適用できるのは勿論である。
また、すべり軸受9a、9b、20a、20bは、内径面側および外径面側のそれぞれの両端部でテーパを設けた形状であるが、何れか一方だけでもよい。
また、上記実施の形態および各参考例では、電磁弁として自動車用電子制御式自動変速機の油圧回路において自動変速機の各作動部の作動液圧を変更する比例電磁弁について説明したが、勿論このものに限定されるものではなく、各種機械に適用される電磁弁にも適用できる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る電磁弁によれば、一対の軸受の少なくとも一方は、コアの内径面、またはヨークの内径面に対して隙間ばめで設けられ、前記軸受の内、前記コアの内径面、または前記ヨークの内径面に対して隙間ばめで設けられた軸受と、前記プランジャとの間にスプリングが設けられ、前記軸受は前記スプリングの弾性力で保持されており、前記スプリングと、前記プランジャとの間には、スプリングの荷重がプランジャに及ぶのを阻止するホルダが設けられているので、性能が向上し、また異物の噛み込みによる動作不能を防止できる。
また、前記スプリングの荷重は、前記ホルダで受け止められ、前記プランジャを通じてロッドに加わることは無く、より安定した出力特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の参考例1の比例電磁弁の断面図である。
【図2】 図1の比例電磁弁において電流と出力圧との関係図である。
【図3】 この発明の参考例2の比例電磁弁の断面図である。
【図4】 この発明の実施の形態1の比例電磁弁の断面図である。
【図5】 この発明の参考例3の比例電磁弁の断面図である。
【符号の説明】
4 ソレノイドコイル、5 ヨーク、6 コア、7 プランジャ、8a,21a 第1のスプリング、8b,21b 第2のスプリング、9a,20a,40 第1のすべり軸受、9b,20b 第2のすべり軸受、18 ロッド、30a 第1のホルダ、30b 第2のホルダ,40a 鍔部。
Claims (6)
- ソレノイドコイルと、このソレノイドコイルの軸線上に軸線方向に移動可能に設けられたロッドと、このロッドに中間部で固着されたプランジャと、このプランジャの一方の側に前記ロッドを囲って設けられ前記ソレノイドコイルへの通電でプランジャを吸引するコアと、前記プランジャの他方の側に前記ロッドを囲って設けられたヨークと、前記プランジャの両側にそれぞれ設けられ前記ロッドの外周面に対して隙間ばめで前記ロッドを前記移動可能に支持した一対の非磁性体である軸受とを備えた電磁弁であって、
一対の前記軸受の少なくとも一方は、前記コアの内径面、または前記ヨークの内径面に対して隙間ばめで設けられ、
前記軸受の内、前記コアの内径面、または前記ヨークの内径面に対して隙間ばめで設けられた軸受と、前記プランジャとの間にスプリングが設けられ、前記軸受は前記スプリングの弾性力で保持されており、
前記スプリングと、前記プランジャとの間には、スプリングの荷重がプランジャに及ぶのを阻止するホルダが設けられている電磁弁。 - 前記軸受の端部には、前記ヨークと前記プランジャの端面との間に前記ロッドの径方向に延びプランジャがヨークに磁気吸引されるのを防ぐ鍔部が設けられている請求項1に記載の電磁弁。
- 前記軸受は、内径面および外径面の少なくとも一方が端部にテーパを設けた形状である請求項1または請求項2の何れかに記載の電磁弁。
- 前記軸受は、黄銅、またはりん青銅で構成されている請求項1ないし請求項3の何れかに記載の電磁弁。
- 前記軸受は、焼結部材で構成されている請求項1ないし請求項4の何れかに記載の電磁弁。
- 前記軸受は、すべり軸受である請求項1ないし請求項5の何れかに記載の電磁弁。
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