JP3691688B2 - 消火栓装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル等に設置されて車両火災の消火に使用される消火栓装置に関し、特に、火災時に扉を開きノズルから放水しながらリールに巻かれたホースを引き出して消火する消火栓装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高速道路や自動車専用道路等のトンネルに設置された消火栓装置としては、例えば図23のようなものが知られている(実公平3−37646号)。
【0003】
図23の消火栓装置にあっては、トンネル壁面等に設置されたキャビネットケース100の扉101内に、ノズル102付きのホース103をホースリール104に巻いた状態で収納している。火災時には、図示のように扉101を開くことで扉内側に設置しているホースリール104がキャビネット100の前に露出し、ノズル付きホース103を引き出すことができる。
【0004】
この種の消火栓装置にあっては、消火栓の一人操作を想定しており、このため扉内に設置している放水レバー105を手前の開位置に操作してノズル102から加圧消火用水を放水させ、ノズル102から放水しながらホース103をホースリール104から引き出して消火する。
【0005】
ところで、このような従来の消火栓装置にあっては、扉を開いた際に前方及び左右のいずれの方向に対してもホース引き出しを容易にするため、扉を開いた際にホースリールが外部に露出するように扉内部に設置している。このため扉をホースリールの装着が可能なように堅牢な構造とする必要があり、またホースリールに巻いているホースに対し加圧消火用水を供給するための配管を内蔵するために扉に厚みをもたせている。
【0006】
このため扉の構造が複雑化して重量が重くなり、扉を開いた時の衝撃を防ぐためにショックアブソーバ等の緩衝装置を必要とし、より複雑で重い構造とならざるを得ない。またキャビッネットケースの内部には、ホースリールのノズル付きホースに加圧消火用水を供給するための調圧弁や放水弁が設置されるが、これらの弁の設置や配管等の作業を扉を開いて行う場合、扉にホースリールが装着されているため、キャビネット内部に対する作業が行いづらく、特に組立完了後の調整作業は極めてやりにくいという製造上の問題があった。
【0007】
また扉を開いた際にホースリールは横置き配置され、回転軸部にホースリール全体の荷重がスラスト力として加わるためにホースを引き出す際の抵抗が大きいという問題がある。
【0008】
更に引き出したホースをリールに巻き取る際に、ホースをリールのドラム外周に上下方向に並べるように順序良く巻き取らなければならず、ホースを上下方向に重ねるように巻き取ることから重みで崩れ易く、ホースの巻き取りに手間がかかる問題もあった。
【0009】
そこで本願発明者にあっては、筐体内に縦置きに配置されノズル付きホースを巻き回して収納したホースリールと、筐体内に縦置き配置されたホースリールを扉開口部から水平回りに回動して外部に露出した位置に支持可能な旋回配管機構とを設けた消火栓装置を提案している(特願平9−193565号)。
【0010】
このような本発明の消火栓装置によれば、装置の扉にホースリールを装着する必要がなくなり、扉構造の簡略化の軽量化が図られ、開閉も容易になる。またホースリールは、旋回配管機構によって扉開口部から水平回りに外部に配管によって吊り下げられた状態で取り出すことができ、この状態でのノズル付きホースの引き出しに対し、ホース引き出し方向にホースリールを向けるように水平回りの位置に回動し、前方、及び左右方向となる任意の方向へのホース引き出しを滑らかに行わせることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来は、消火栓開放レバーにより作動される消火栓弁として2方弁を使用しており、使用後の残り水は、消火栓弁に続いてホースリール側の配管に設けた自動排水弁で抜くようにしている。しかし、自動排水弁は、残り水を排水できればよいことから比較的口径の小さい小型のものを使用しており、その結果、自動排水弁にゴミが詰り易く、ゴミ詰りにより排水できない場合があった。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。
【0024】
本発明は、消火時に筐体の扉を開いてノズル付きホースを引き出して消火する消火栓装置を対象とし、筐体内に縦置きに配置され前記ノズル付きホースを巻き回して収納したホースリールと、筐体内に縦置き配置された前記ホースリールを扉開口部から水平回りに回動して外部に露出した位置に支持可能な旋回配管機構と、外部配管を引込み接続した給水管からホースリールまでの配管経路に設けられ二方弁を用いた消火栓弁と、消火栓弁の2次側配管に接続した排水管に設けられ二方弁を用いた排水弁と、消火栓弁と排水弁を消火栓開放レバーにワイヤー接続し、放水時には消火栓開放レバーの操作で消火栓弁を閉鎖位置から開放位置に切替えると同時に排水弁を開放位置から閉鎖位置に連動して切替え、放水停止時には消火栓弁を手動操作で開放位置から閉鎖位置に切替えると共に排水弁を閉鎖位置から開放位置に切替える弁操作機構とを備えたことを特徴とする。
【0025】
この連動操作機構は、消火栓弁と排水弁を消火栓開放レバーにワイヤー接続し、消火栓開放レバーの操作で消火栓弁を閉鎖位置から開放位置に切替えると同時に排水弁を開放位置から閉鎖位置に連動して切替え、手動操作で前記消火栓弁を開放位置から閉鎖位置に切替えると共に排水弁を閉鎖位置から開放位置に切替える。
【0026】
このため二方弁を用いた排水弁は、ノズルから排水するに十分な口径をもち、このため使用後に排水切替位置に切替えてホースリール側の残り水を排水する際に、ゴミ詰りを起さずに確実に排水できる。また消火栓操作レバーによりワイヤー接続した消火栓弁と排水弁を連動操作するが、共にボール弁等の二方弁であることから三方弁に比べ軽く切替え操作できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による消火栓装置の正面図である。図1において、消火栓装置1の本体2の前面には、消火栓扉4と消火器扉5が設けられている。消火栓扉4の内部には、後の説明で明らかにするように、先端にノズルを装着したホースを巻き回したホースリールが組み込まれており、消火栓扉4を開いてノズルを引き出し、扉内に設けている消火栓弁開放レバーを操作することで、消火ポンプ設備を起動して放水を行うことができる。
【0035】
消火栓扉4には開閉ハンドル4aが設けられ、開閉ハンドル4aを引くことで消火栓扉4を下側を回転軸に前方に開放することができる。また消火器扉5には開閉ハンドル5aが設けられ、開閉ハンドル5aで扉を横に開くことで内部の消火器を取り出すことができる。
【0036】
消火器扉5の上部には発信機6と火災灯7が設けられている。トンネル内での火災事故の際には、発信機6のボタン操作により監視室などに非常通報ができ、非常通報が行われると火災灯7が通常の点灯状態から点滅状態に切り替わる。
【0037】
図2は、図3における消火栓扉4の内部構造の説明図である。消火栓扉4の内部にはホースリール8が収納されている。ホースリール8にはホース13が巻き回されており、ホース13としては樹脂引き保形ホースを使用している。ホース13の先端には放水ノズル12が装着され、ノズルホルダー12aに保持されている。
【0038】
ホースリール8は、本体2に対し旋回第1軸10、旋回フレーム9及び旋回第2軸11を介して回転自在に装着されている。このため、図3の平面図のように、ホースリール8は旋回第1軸10を中心にホースリール8aのように水平回りに旋回して外部に取り出すことができ、且つこの状態で旋回第2軸11aを中心にホースリール8aは、例えば、8bのように同じく旋回フレーム9に対し旋回できる2段階の首振り旋回ができる。
【0039】
このようなホースリール8の水平回りの2段階の首振り動作により、ノズルホルダー12aから放水ノズル12を外して火災現場にホースを引き出す際に、任意の引き出し方向にホースリール8を向けて軽い力で引き出すことができる。
【0040】
次にホースリール8に対する配管接続を説明する。図2及び図3のホースリール8の右側には、給水栓17aを備えた給水弁17が設けられ、給水栓17aにホースを接続して給水弁17のハンドルを回すことで給水ができる。この給水弁17の下側には、背後に向けて給水接続口31が図3のように設けられる。
【0041】
給水接続口31に対しては、消火栓装置の設置状態で下側から立ち上げられた給水配管が接続され、消火ポンプ設備からの加圧消火用水を供給することができる。
【0042】
この給水接続口31の状態は図4の側面図から更に明らかとなる。背後に位置する給水接続口31の下部には三方弁18が設けられる。本発明にあっては、三方弁18は消火栓弁及び自動排水弁としての機能を備える。この点は後の説明で更に明らかにされる。
【0043】
三方弁18は、消火栓扉4の内側に設けている消火栓弁開放レバー28とワイヤー接続されており、レバー操作に伴って、ホースリール8側に加圧消火用水を供給するように切り替えることができる。また通常時にあっては、ホースリール8側の配管内を下部に設けた排水口19に連通して排水を行うように切り替わっている。
【0044】
三方弁18に続いては自動調圧装置20が設けられる。自動調圧装置20に続いては、給水管22が設けられ、給水管22の先端とホースリール8を支持している旋回第2軸11の下部のヘッドとの間はゴムホースなどのフレキシブル管23で接続し、固定側の給水管22に対し、ホースリール8側の水平回りの旋回を可能としている。
【0045】
また旋回第2軸11の上部には上向きに立ち上げた配管接続によって、大気開放弁16が設けられる。大気開放弁16は、消火用水の加圧供給を受けた際には自動閉鎖し、ポンプ停止などにより消火用水の加圧供給がなくなると、自動的に大気に開放し、ホース側の水抜きを可能とする。この大気開放弁16の詳細も後の説明で明らかにされる。
【0046】
旋回第2軸11の上部にはブレーキ機構25が設けられている。このブレーキ機構25は、ホースリール8の側面のドラム内周面26にボールを押圧することでブレーキ作用を実現している。このブレーキ機構25の詳細も後の説明で明らかにされる。更に、ホースルール8の右側には2本のホースガイド14が設けられている。
【0047】
図3は、図1について消火栓装置1の消火栓扉4を開いた状態の内部構造の平面図である。消火栓扉4と本体2の間には緩衝用ダンパー27が設けられ、消火栓扉4を滑らかに開放できるようにしている。
【0048】
消火栓扉4の内側の右側部分には消火栓弁開放レバー28が設けられ、この消火栓弁開放レバー28を手前に操作することで、ワイヤー連結された図2の三方弁を消火用水をホースリール8側に供給する放水位置に切り替えることができる。このときレバー下部に設けているポンプ起動用連動スイッチ(図示せず)がオンして消火ポンプ設備のポンプ起動を行うことができる。
【0049】
放水ノズル12からの放水を停止したい場合には、消火栓弁開放レバー28を図示の初期位置に戻すことによりワイヤ連結されている三方弁18により給水側は停止され、てホースリール8側を排水口19に連通する排水位置に手動で切り替える。このとき消火栓弁開放レバー28を排水位置に戻すと、スイッチがオフとなって消火ポンプ設備を停止することができる。
【0050】
また三方弁18についてホースリール8側を排水口19に連通する排水位置に切り替えておかないと、消火栓扉4を閉じることができないインターロック構造を設けておき、これによって三方弁18の戻し忘れを防ぐようにしている。
【0051】
図3の消火栓扉4の開放状態は、図4の側面図から更に明らかになる。消火栓弁開放レバー28は、本体2側に倒れた排水位置(初期位置)にあり、これを手前の消火栓弁開放レバー28aの放水位置に操作することで、ポンプ起動を行うことができる。
【0052】
また消火栓弁開放レバー28の横にはレバーガード29が設けられており、開放状態に操作している消火栓弁開放レバー28aにホースや物が当って誤ったレバー操作が行われることを防いでいる。
【0053】
このような本発明の消火栓装置1を用いたトンネル内での火災事故に対する消火活動を説明すると次のようになる。トンネル内には、例えば50メートルおきに本発明の消火栓装置1が設置されており、トンネル内で火災事故が発生した際には近くに設置されている消火栓装置1に行き、図1に示す消火栓扉4に設けている開閉ハンドル4aを持って手前に扉を開く。
このとき必要があれば発信機6の押ボタンを押して火災事故の発生を防災センターに通報する。防災センター側で確認が行われると点灯状態にあった火災灯15が点滅状態になり、通報確認ができる。
【0054】
開閉ハンドル4aを持って消火栓扉4を開いたならば、ホースリール8のノズルホルダー12aに放水ノズル12が装着されていることから、放水ノズル12を取り外してホース13を火災現場に向けて引き出す。このときホースリール8はホース13の引き出し方向に向くように、図2の平面図のように水平回りに首振りを行い軽い力でホースをホースリール8から引き出すことができる。
【0055】
放水ノズル12を持ってホースを引き出す際に、図2の消火栓扉4の内側に設けている消火栓弁開放レバー28を、図4の28aのように手前に操作する。これによって消火ポンプ連動スイッチ(図示せず)がオンし、消火ポンプ設備におけるポンプ起動により加圧消火用水の供給が開始される。
【0056】
同時にワイヤーにより三方弁18が消火用水をホースリール8側に供給する位置に切り替えられ、ホースリール8から取り外した放水ノズル12からの放水が開始される。このため取扱者は手に持った放水ノズル12から放水しながら火災現場に向けてホースリール8からホースを引き出し消火を行う。
【0057】
消火が完了して鎮火したならば、扉内に設けている消火栓弁開放レバー28を元に戻し、ポンプ室内のポンプ制御盤の停止スイッチを押すことにより、消化ポンプを停止することで、放水を停止することができる。消火が済んだホースは監視員がホースリール8にホースを押し込むように巻き戻す。このとき放水は停止していることから大気開放弁16が自動的に開放状態となり、ホース13の中に残っている消火用水がホースリール8への巻き戻しと同時に放水ノズル22から流れ出し排水することができる。
【0058】
同時に消火栓弁開放レバー28と連動している三方弁18が切り替わり、三方弁18からホースリール8までの左側の配管内にある消火用水を排水口19から排水することができる。
【0059】
図5は図2のホースリール8に設けたブレーキ機構25を取り出している。図5(A)は扉開放状態で見た正面図であり、図5(B)にその側面概略構造を示している。
【0060】
ブレーキ機構25は、旋回第2軸11の上部に支持部32により装着され、支持部32の上部に押圧ユニット33を設け、その上部にフレーム35で回転自在に支持したブレーキドラム34を配置し、ドラム内周面26にブレーキドラム34を押圧している。
【0061】
図6は図5のブレーキ機構25の内部構造の断面図である。ブレーキ機構25における押圧ユニット33の内部には、スプリング収納部36が上部に開口して形成され、その中にスプリング37を介してフレーム35の下部のステム35aを収納し、ブレーキドラム34をスプリング37でドラム内周面26に押しつけている。
【0062】
このようなホースリール8のブレーキ機構25にあっては、ブレーキ機構25がホースリール8の側面内側のドラム内周面26の中に組む込まれており、ホースリール8の外側に露出せずにコンパクトな構造であり、そのため図3のように水平回りに2段階に首振り操作するホースリール8の動きを妨げることなく、ホース引き出しの際のホースリール8の慣性回転によるホースのたわみを確実に防止するブレーキ作用が果せる。
【0063】
図7は、本発明の消火栓装置1に組み込まれた消火用水を放水ノズル12に供給する配管系統の説明図である。図7(A)は通常時であり、外部から加圧消火用水が供給される配管接続口31の上部には給水栓17aを備えた給水弁17が設けられ、下方には三方弁18が設けられる。
【0064】
三方弁18は、外部からの加圧消火用水が供給される給水管接続口18a、ホースリール8側を接続するホースリール接続口18b、排水管19を接続する排水接続口18cの3つの接続口を備える。
【0065】
三方弁18は内部に切替弁体40を持ち、切替弁体40は図7(A)の排水切替位置と図7(B)の放水切替位置に切り替えることができる。この場合図7(A)の排水切替位置から図7(B)の放水切替位置への切り替えはワイヤー38で連結された消火栓弁開放レバー28を手前の開放位置に操作することで切り替えることができる。
【0066】
また図7(B)の放水切替位置から図7(A)の排水切替位置への戻しにおいても、消火栓弁開放レバー28を初期位置に戻すことにより、ワイヤー連動により切り替えられる。これに対し図7(B)の放水切替位置から図7(A)の排水切替位置への戻しは、消火栓弁開放レバー28を初期位置に戻した後に専用のハンドルを使用した手動操作で切り替える。
【0067】
ここで図7(A)の排水切替位置にあっては、三方弁18の切替弁体40はホースリール接続口18bと排水接続口18cを連通すると共に、両者に対し給水管接続口18aを切り離すことになる。また図7(B)の放水切替位置にあっては、切替弁体40は給水管接続口18aとホースリール18bを連通すると共に、両者に対し排水接続口18cを切り離すことになる。
【0068】
三方弁18に続いては自動調圧装置20が設けられ、更に安全弁21を介してホースリール8に配管接続される。ホースリール8には大気開放弁16が設けられる。またホース13の先端に放水ノズル12を装着している。
【0069】
図8は、図7に示した本発明の三方弁18の代わりに消火栓弁42と自動排水弁43を使用した配管系の説明図である。この図8の配管系にあっては、消火栓弁42はワイヤー32により接続された消火栓弁開放レバー28の操作で開放するいわゆる二方弁であり、排水機能はないことから自動調圧装置20の左側に別途自動排水弁43を設けている。
【0070】
ここで自動排水弁43は、使用後にホースリール8から消火栓弁42の間の配管系の水抜きに使用されるため、口径の小さな弁を使用している。このため消火用水に含まれているゴミによって自動排水弁43が詰まり、使用後に自動排水ができずに消火用水が溜まって管内を腐食させるような問題を起こしやすい。
【0071】
これに対し図7に示した本発明の配管系にあっては、図8に示した消火栓弁42と自動排水弁43の機能を三方弁18で実現しており、三方弁18の切替弁体40の連通路は放水ノズル12に消火用水を加圧供給するに十分な口径であり、この切替弁体40の通路がそのまま排水に使用されるため、ゴミ詰まりによりホースリールまでの配管の排水ができなくなるような問題は起きない。
【0072】
また図8で消火栓弁42と自動排水弁43の2つを使用していたものがひとつの三方弁18で済み、その分、配管構成が簡単となりコストも低減できる。
【0073】
図9(A)(B)は、図7に示した本発明の三方弁18の代わりに消火栓弁42と排水弁43を使用した配管系の説明図である。ここで図8(A)が放水停止時であり、図9(B)が放水時である。
【0074】
この配管系にあっては、消火栓弁42としては、図8の場合と同様、ボール弁等の二方弁を使用し、消火栓弁42の2次側を自動調圧弁20を介してホースリール側の放水ノズル12に接続している。
【0075】
更に消火栓弁42の2次側に排水管19を接続し、その途中に、排水弁43を設けている。排水弁43は、消火栓弁42と同様、ボール弁等の二方弁を使用している。
【0076】
消火栓弁42及び排水弁43の切替え操作は、消火栓弁42と排水弁43を消火栓開放レバー28にワイヤー38で接続した連動操作機構で行われる。図9(A)の放水停止時は、消火栓弁42が閉鎖位置にあり、排水弁43が開放位置に切り替わっている。このため消火栓弁42からホースリールの放水ノズル12までの間の管内の水は矢印のように排水弁43を通って排水される。
【0077】
放水時には、図9(B)のように、消火栓弁開放レバー28を手前に引くと、ワイヤー接続されている消火栓弁42が閉鎖位置から開放位置に切替わり、同時に排水弁43が開放位置から閉鎖位置に切替わり、給水本管からの加圧供給された消火用水を放水ノズル12側に供給する。
【0078】
ここで消火栓弁開放レバー28は、消火栓弁42と排水弁43の2つをワイヤー接続により連動操作しているが、ボール弁等の二方弁を切替えるのに必要な力は、図7の三方弁に比べると十分に低く、軽く操作することができる。
【0079】
図9(B)の状態で放水を停止する場合には、手動操作で消火栓弁42を閉鎖位置に切替え、また手動操作で排水弁43を開放位置に切替え、図8(A)の放水停止状態とする。このとき消火栓弁42の2次側からホースリールの放水ノズル12までの間に残っている消火用水は、矢印のように排水弁43を通って排水される。
【0080】
ここで排水弁43としては消火栓弁42と同じ例えばボール弁を使用しており、消火用水を流すに十分な口径であり、ゴミ詰まりによりホースリールまでの配管の排水ができなくなるような問題は起きない。
【0081】
図10は本発明の消火栓装置1のホースリール8の部分に設けられて、使用後にホース内の排水を行うための大気開放弁16の実施形態の断面図である。
【0082】
図10において、大気開放弁16はハウジング44の下部のネジ部44aにより配管を介してホースリール8の消火用水接続口を兼ねた旋回第2軸11の上部に連結される。ハウジング44の内部には弁室45が形成され、弁室45の上部は弁室穴48を備えた弁座47で仕切られている。
【0083】
この弁座47に対しては、下部にガイドロッド51を備えた弁体50が配置される。弁体50のガイドロッド51はハウジング44の下側からねじ込んだガイドプレート52の中心部分に摺動自在に嵌め込まれ、ガイドプレート52は周囲に連通穴53を形成している。
【0084】
弁体50の弁座47の接触面にはリング溝が形成され、その中にOリング57が組み込まれている。ハウジング44の上部には大気開放室46が形成され、上部にカバー55をねじ込んでおり、カバー55と弁体50の間にスプリング54を組み込んでいる。またカバー55には連通穴56が複数設けられている。
【0085】
図10の大気開放弁16の動作は次のようになる。加圧消火用水が供給されると、ガイドプレート52の連通穴53を介して弁室54に加圧消火用水が供給され、弁体50はスプリング54に抗して図示のように弁座47に当接し、大気との連通を閉じる。
【0086】
消火栓装置の使用後に加圧消火用水の供給が断たれて圧力が低下すると、スプリング54により弁体50が押し下げられ、弁座47から離れることで連通穴48を介して大気に開放し、ホースの水抜きを行わせることができる。
【0087】
次に本発明の消火栓装置で使用する放水ノズル12を説明する。図2の消火栓装置1で使用している放水ノズル12は、ノズル自体に切替え調整機構を持たない固定式放水ノズルであったが、実際の消火にあっては、放水ノズル12自体で放水のオン・オフ切替えと、更に放水パターンの棒状と噴霧状の切替えができる事が必要である。そこで本発明の消火栓装置に使用する放水ノズル12に対して、図11の機能構造を備えたものを使用する。
【0088】
図11の放水ノズル12は、後部にホース接続口56を備え、先端に放水口57を備えている。そしてホース接続口56と放水口57の間に放水オン・オフ切替機構58と、放水パターン切替機構60を持ち、それぞれ操作機構59,61により独立に切替操作ができるようにしている。
【0089】
更に本発明の放水ノズル12にあっては、本体下部にグリップを持ったピストル型放水ノズルと、このようなグリップを持たない非ピストル型放水ノズルの2つの実施形態を提供する。
【0090】
図12は、図11の切替機構を備えた本発明によるピストル型の放水ノズルの実施形態をまとめたもので、図13〜図17に5つの実施形態を示しており、それぞれの実施形態にあっては、放水オン・オフ切替機構58はスライド操作、レバー操作のいずれかの操作機構59を持っている。
【0091】
また放水パターン切替機構60については回転操作、レバー操作、スライド操作のいずれかの操作機構61を持っている。また図13,図14の実施形態にあっては、放水パターン切替機構について切替中間位置を持っている。
【0092】
図13はピストル型の放水ノズル12の第1実施形態であり、図13(A)に外観を示し、図13(B)に内部の機構構造を示している。
【0093】
図13(A)において、この第1実施形態のピストル型放水ノズル12にあっては、本体62の後部にホース接続口56を設け、先端に放水口57を開口しており、本体62の下部にグリップ63を設けている。本体62の先端にはスライダ64が設けられ、これに続いて回転リング65を設け、回転リング65にはハンドルピン66が設けられ、スライダ64のスライド操作及び回転リング65の回転操作ができるようにしている。
【0094】
ここでハンドルピン66を前後に動かす事でスライダ64が移動し、スライダ64を後方に移動した位置で放水停止となり、スライダ64を前方に移動すると放水開始ができる。また回転リング65を前方に向かって右回りに回すと棒状放水となり、左側に回すと噴霧状放水となる。この棒状放水から噴霧状放水の放水パターンの切替えは、中間位置を介して連続的に変化させる事ができる。
【0095】
図13(B)は内部構造であり、本体62の先端側のスライダ64の内部にオン・オフ弁68を設け、更に先端側の回転リング65の中にパターン切替弁70を設けている。オン・オフ弁68は本体62側に固定支持した弁体68aに対し、スライダ64側に弁座68bを設けている。
【0096】
このためスライダ64を後方に引くと弁座68bが弁体68aに当接して内部流路を閉じ、放水停止となるオフ位置となる。この状態でスライダ64を前方にスライドさせると弁体68aから弁座68bが離れ、内部流路が開いて放水を開始するオン位置となる。
【0097】
パターン切替弁70は、スライダ64側に弁体70aを固定し、回転リング65側に弁座70bを設けており、固定側となるスライダ64に対し回転リング65をスクリューネジ67により嵌め込んでいる。このため回転リング65を回転させると前方に向かって右回りの回転により回転リング65が後退して、弁体70aから弁座70bを離し、これによって棒状の放水パターンとなる。
【0098】
逆に回転リング65を左に回すと回転リング65が前進し、固定側の弁体70aに対し図示のように弁座70bが近付くことで噴霧状の放水パターンとなる。
【0099】
図14は、本発明によるピストル型放水ノズル12の第2実施形態であり、この第2実施形態にあっては図13に示したように、放水オン・オフ切替機構がレバー操作となり、放水パターン切替機構は図13の第1実施形態と同様、回転操作としたことを特徴とする。
【0100】
図14(A)はピストル型放水ノズル12の第2実施形態の外観であり、本体62の下部に設けたグリップ63の前部にレバー72を設けており、レバー72は図示の位置で放水を行なう放水オン位置にあり、レバー72を引くと放水停止に切替えることができる。
【0101】
本体62の先端部には回転リング65が装着され、ハンドルピン66により前方に向かって回転リング65を右回りに回すことで棒状放水となり、逆に左回りに回すと噴霧状放水にパターンを切替えることができる。
【0102】
図14(B)は内部の機構構造である。本体62の内部にはレバー72の操作により移動するオン・オフ弁68の弁体68aが設けられ、この弁体68aに対し本体62側に弁座68bが固定されている。図示のレバー72の初期位置にあっては、弁体68aが弁座68bから離れて放水可能な放水オン位置に切替わっている。レバー72を引くと弁体68aが前進して弁座68bを閉じ、放水を停止する放水オフ位置に切替えることができる。
【0103】
本体62の先端に設けた回転リング65にはパターン切替弁70が設けられる。パターン切替弁70は弁体70aを本体62側に固定しており、これに対し回転リング65側に弁座70bを当接し、回転リング65は本体62に対しスクリューネジ67により嵌め込まれている。
【0104】
このため回転リング65を放水方向に向かって右回りに回転すると、回転リング65が後退して弁体70aに対し弁座70bが離れ、これによって棒状の放水パターンとなる。逆に回転リング65を左に回すと回転リング65が前進し、図示のように弁体70aに弁座70bが近付いて噴霧状の放水パターンに切替わる。
【0105】
図15は本発明によるピストル型放水ノズルの第3実施形態であり、この第3実施形態にあっては図12の表のように放水オン・オフ切替機構及び放水パターン切替機構の両方についてレバー操作としたことを特徴とする。
【0106】
図15(A)はピストル型放水ノズル12の外観であり、本体62の後部にグリップ63aを設け、グリップ63aの前に放水と停止を切替えるレバー72aを設けている。続いてグリップ63bが設けられ、グリップ63bの前に棒状と噴霧状に放水パターンを2段階で切替えるレバー72bを設けている。
【0107】
このレバー72bに対しては、グリップ63bの下部よりロック部73が設けられ、レバー72bを引いた状態でロック部73によりレバーをロックし、棒状の放水パターンの切替えを保持できるようにしている。
【0108】
図15(B)はその内部の機構構造である。本体62の内部にはオン・オフ弁68が設けられ、弁体68aをレバー72aにより前後に移動自在に設け、これに対し弁座68bを本体62に固定している。このためレバー72aの初期位置でオン・オフ弁68は図示の開放状態にあり、放水オン位置として放水を行なうことができる。
【0109】
レバー72aを引くと弁体68aが前進して弁座68bを閉じ、放水を停止するオフ位置に切替えることができる。本体62の先端側にはパターン切替弁70が設けられている。パターン切替弁70は弁体70aをレバー72bにより移動自在に設け、これに対し弁座70bを本体62側に固定している。レバー72bの初期位置で弁体70aは弁座70bに近付いた噴霧状の放水パターンの切替え位置にある。
【0110】
このためレバー72bを引くと弁体70aが前進して弁座70bから離れ、棒状放水に切替えることができる。この棒状放水の切替状態でレバー72bはロック部73により係止され、レバー72bを離しても棒状放水の状態を保持することができる。
【0111】
棒状放水の切替状態から噴霧状放水への切替えは、ロック部73を下げてレバー72bの係止を解除すると元に戻すことができる。これらレバー72a,72bの初期位置はリターンスプリング74a,74bによりセットされる。
【0112】
図16は本発明によるピストル型放水ノズル12の第4実施形態であり、この第4実施形態にあっては、図12の表のように放水オン・オフ切替機構はスライド操作、放水パターン切替機構はレバー操作とし、放水パターン切替機構の切替中間位置は無い構造としている。
【0113】
図16(A)は外観であり、本体62の下部に設けたグリップ63の前にレバー72を設け、レバー72によって噴霧状と棒状の放水を切替えることができる。グリップ63の下端にはロック部73が設けられている。レバー72の初期位置で噴霧状にあり、レバー72を引いてロック部73で保持すると、棒状放水に切替わる。
【0114】
本体62の先端にはスライダ64が設けられ、放水と停止のオン・オフ切替えを行なうことができる。
【0115】
図16(B)は内部の機構構造である。本体62の先端にはスライダ64が前後に移動自在に設けられている。スライダ64の先端側にはパターン切替弁70が設けられ、続いてオン・オフ弁68が設けられている。パターン切替弁70は弁体70aをオン・オフ弁68の部分を介してレバー72により前後に移動自在にロッド75で連結している。この弁体70aに対し弁座70bがスライダ64側に固定されている。
【0116】
一方、オン・オフ弁68は本体62側に弁体68aを固定し、スライダ64側に弁座68bを固定しており、弁体68の内部にロッド75をOリングを介して貫通している。
【0117】
スライダ64を後退させると放水が停止し、前方に移動すると放水が行なわれる。即ち、スライダ64を後ろに後退させた状態にあっては、オン・オフ弁68の弁体68aに弁座68bが当たって内部流路を閉じ、放水オフ状態に切替わる。スライダ64を前進させると弁座68bが弁体68aから離れ、内部流路を開いた放水オン位置に切替えることができる。
【0118】
この放水オン位置では、パターン切替弁70の弁座70bは破線の位置に移動し、これで噴霧状放水の切替位置となる。このためオン・オフ弁68をスライダ64の前進で開いた放水切替位置において、レバー72を操作しない初期状態でパターン切替弁70は噴霧状放水に切替わっている。
【0119】
この状態でレバー72を引いてロック部73に保持させると、ロッド75を介して弁体70aが前進し、弁座70bから離れることで棒状放水に切替えることができる。
【0120】
図17は本発明によるピストル型放水ノズル12の第5実施形態であり、この第5実施形態は、放水オン・オフ切替機構はレバー操作、放水パターン切替機構はスライド操作とし、放水パターン切替機構の切替え中間位置を無しとしたことを特徴とする。
【0121】
図17(A)は外観であり、本体62の下部に設けたグリップ63の前に放水と停止を切替えるレバー72を設けており、図示の初期位置で放水位置にある。本体62の先端には回転リング65が設けられ、放水方向に向かって右回りの回転位置で棒状放水に、左回りの回転位置で噴霧状放水に切替えることができる。
【0122】
図17(B)は内部の機構構造である。本体62の内部にはオン・オフ弁68が設けられ、レバー72により移動する弁体68aと本体62側に固定された弁座68bで構成される。
【0123】
スプリング74によるレバー72の初期位置で弁体68aは弁座68bから離れた放水オンの開放位置にある。レバー72を引くと弁体68aが前進して弁座68bを閉じ、放水オフの停止位置に切替わる。
【0124】
本体62の前方にはスクリューネジ67により回転リング65が嵌め込まれている。回転リング65の内部にはパターン切替弁70が設けられる。パターン切替弁70は弁体70aを本体62側に固定しており、弁座70bを回転リング65側に設け、回転リング65の回転による前後移動で棒状放水と噴霧状放水の2段階に切替えできるようにしている。
【0125】
この2段階切替えのため、図17(A)のように回転リング65には三角印のマーカーが設けられ、本体62側には棒状切替え位置Aと噴霧状切替え位置Bの同じく2段階の切替マーカーが示されいる。
【0126】
尚、ピストル型放水ノズルの実施形態としては、図13〜図17の実施形態に限定されず、放水オン・オフ切替機構及び放水パターン切替機構を個別に操作できるものであれば適宜の構造を含み、また放水パターン切替機構については切替中間位置があるものであってもよいし、中間位置のない段階切替のものであっても良い。
【0127】
次にノズル本体にグリップを持たない非ピストル型放水ノズルを説明する。
【0128】
図18は、本発明による非ピストル型放水ノズルについて、図19〜図22の各実施形態をまとめており、放水オン・オフ切替機構及び放水パターン切替機構についてスライド操作または回転操作とし、また放水パターン切替機構について切替位置のあるものと無いものを組み合わせている。
【0129】
図19は本発明による非ピストル型放水ノズル12の第1実施形態であり、この第1実施形態にあっては、図18の表のように放水オン・オフ切替機構はスライド操作、放水パターン切替機構は回転操作であり、更に切替中間位置があるようにしたことを特徴とする。
【0130】
図19(A)は外観であり、本体62の先端にスライダ64及び回転リング65を設けている。スライダ64を後方に引くと放水が停止する放水オフ位置となり、前方に前進させると放水が開始される放水オン位置に切替わる。
【0131】
回転リング65は棒状放水と噴霧状放水を切替えるもので、放水方向に向かって右回りに回転すると棒状放水に切替わり、左回りに回すと噴霧状放水に切替わり、その中間位置で連続的に変化させる事ができる。
【0132】
図19(B)は内部の機構構造である。本体62の先端には、スライダ64が前後に移動自在に設けられ、内部にオン・オフ弁68を設けている。オン・オフ弁68は弁体68aを本体62側に固定支持し、スライダ64側に弁座68bを設けている。このためスライダ64を後退させた図示の位置で弁座68bが弁体68aに当たって内部流路を閉じた放水オフ位置にある。スライダ64を前進させると弁体68aから弁座68bが離れ、内部流路を開いた放水オン位置に切替わる。
【0133】
スライダ64に対しては、スクリューネジ76を介して回転リング65が設けられる。回転リング65の内部には、パターン切替弁70が設けられる。パターン切替弁70は弁体70aをスライダ64側に支持し、回転リング65側に弁座70bを設けている。
【0134】
このためスライダ64に対し、回転リング65を放水方向に向かって右回りに回転すると、スクリューネジ76によって回転リング65が後退し、弁体70aに対し弁座70bが離れる事で棒状放水に切替わる。逆に回転リング65を左回りに回転すると、スライダ64に対し回転リング65が前進し、弁体70aに弁座70bが近付くことで噴霧状放水に切替わる。この放水オン・オフと放水パターンの切替構造は、図13(B)に示したピストル型放水ノズル12の場合と基本的に同じである。
【0135】
図20は本発明による非ピストル型放水ノズル12の第2実施形態であり、この第2実施形態にあっては、図19のように放水オン・オフ切替機構は回転操作、放水パターン切替機構はスライド操作とし、放水パターン切替機構は切替中間位置を持つようにしたことを特徴とする。
【0136】
図20(A)は外観であり、本体62の前に回転リング65に続いてスライダ64を設けている。回転リング65は放水と停止を切替える。例えば放水方向に向かって右回りで放水開始、左回りで放水停止となる。
【0137】
スライダ64は前後に移動させることで棒状放水と噴霧状放水を切替えることができ、例えば後退させた位置で棒状放水となり、前進させた位置で噴霧状放水となる。
【0138】
図20(B)は内部の機構構造である。本体62の先端にスクリューネジ76を介して回転リング65が設けられ、内部にオン・オフ弁68を設けている。オン・オフ弁68は弁体68aを本体62側に固定支持し、回転リング65側に弁座68bを設けている。
【0139】
このため、回転リング65を放水方向に向かって右回りに回した状態で図示のようにスクリューネジ76によって本体62に対し回転リング65が前進した位置にあり、弁座68bが弁体68aから離れることで内部流路を開いた放水オン位置にある。
【0140】
この状態で回転リング65を放水方向に向かって左回りに回すとスクリューネジ76により本体62に対し回転リング65が後退し、弁体68aに弁座68bが当たって内部流路を閉じる放水オフ位置に切替わる。
【0141】
回転リング65に対してはスライダ64が前後に移動自在に設けられる。即ち、スライダ64の後部にノブ77が内側に向けて突出され、これに対応して回転リング65側にロック溝78a,78bの2つが設けられている。ノブ77がロック溝78aに嵌合した図示の位置でパターン切替弁70は噴霧状放水に切替わり、ノブ77がロック溝78bに嵌合したスライダ64の後退位置で棒状放水に切替わる。
【0142】
即ち、パターン切替弁70は弁体70aを回転リング65側に支持しており、弁座70bをスライダ64側に支持している。このためノブ77がロック溝78aに嵌合した図示の前進位置で弁体70aに弁座70bが近付き、噴霧状放水となる。これに対しスライダ64を後方に移動してノブ77がロック溝78bに嵌合した位置では、弁体70aから弁座70bが離れ、棒状放水に切替わる。
【0143】
図21は非ピストル型放水ノズル12の第3実施形態であり、図18の表のように、この実施形態にあっては、放水オン・オフ切替機構及び放水パターン切替機構について同じスライド操作とし、更に放水パターン切替機構については切替中間位置を持つようにしている。
【0144】
図21(A)は外観であり、本体62の前部にスライダ64を設けている。スライダ64は前後方向に移動でき、最も後方の位置で停止、続いて前方に移動した位置で棒状放水、更に前進させると噴霧状放水に切替えることができる。
【0145】
図21(B)は内部の機構構造である。本体62に対しスライダ64が前後方向に移動自在に設けられ、スライダ64の後部のノブ77に対し本体62側に3つのロック溝78a,78b,78cを設けている。この3つのロック溝78a〜78cに対するノブ77の嵌合位置で前方から噴霧状放水位置A、棒状放水位置B、更に放水停止位置Cが設定される。
【0146】
スライダ64の内部にはオン・オフ弁68とパターン切替弁70が設けられる。それぞれの弁体68a,70aは一体に本体62側に固定支持されており、これに対しスライダ64側に弁座70bを設け、弁座70bはパターン切替弁70の弁座と同時にオン・オフ弁68の弁座としても機能する。
【0147】
即ち、図示のスライダ64を最も前進させたノブ77がロック溝78aに嵌合する噴霧状放水位置Aにあっては、弁体70aに弁座70bが近付くことで噴霧状放水となる。続いてスライダ64を後退させてノブ77がロック溝78bに嵌合する棒状放水位置Bに移動すると、弁座70bは弁体70aと68aの間の破線の位置に移動し、棒状放水に切替わる。
【0148】
更にスライダ64を後退させてノブ77がロック溝78cに嵌合する停止位置Cにセットするとオン・オフ弁68の弁体68aに弁座70bが破線のように当接して内部流路を閉じ、放水オフ位置に切替わる。
【0149】
図22は本発明による非ピストル型放水ノズル12の第4実施形態であり、図18の表から明らかのように、この実施形態は放水オン・オフ切替機構は持たず、放水パターン切替機構のみとした簡略構造の実施形態である。
【0150】
図22(A)は外観であり、本体62の先端にスライダ64が設けられ、スライダ64により先端側に移動したときの噴霧状放水位置と後退させたときの棒0放水位置位置をもつ。
【0151】
図22(B)は内部の機構構造であり、本体62に対しスライダ64は噴霧放水位置Aと棒状放水位置Bの2つの位置で切替自在に設けられている。具体的にはスライダ64の後端のノブ77に対し本体62側にロック溝78a,78bが設けられ、ノブ77がロック溝78aに嵌合したスライド位置で噴霧状放水位置Aとなり、またノブ77がロック溝78bに嵌合した位置で棒状放水位置Bとなる。
【0152】
スライダ64の内部にはパターン切替弁70が設けられ、弁体70aを本体62側に固定支持し、スライダ64側に弁座70bを支持している。このためスライダ64を前後に移動することで噴霧状放水位置Aと棒状放水位置Bの2段階の切替えができる。
【0153】
尚、図18の表に示した非ピストル型放水ノズルについても、基本的には放水オン・オフ切替機構と放水パターン切替機構を備えれば適宜の構造で良く、更に簡易構造として放水パターン切替構造のみであっても良く、その操作機構は必要に応じて適宜の機構を採用することができる。
【0154】
また上記の実施形態に示したピストル型及び非ピストル型の本発明による放水ノズルは、図1〜図4に示したホースリールを縦置きにして水平回りに回動自在にした構造の消火栓装置での使用に限定されず、図23に示したような扉側にホースリールを横置きした従来の消火栓装置の放水ノズルに使用しても良いことは勿論である。
【0155】
以上説明してきたように本発明によれば、消火栓弁及び排水弁を二方弁としたので、従来ゴミ詰まりが問題となっていた自動排水弁を廃止でき、また複雑な構造の自動排水弁から簡単な構造の2方弁に代えることでコストダウンが図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による消火栓装置の正面図
【図2】図1の消火栓扉を開いた内部構造の説明図
【図3】図2の扉を開いた状態の内部構造を平面から見た説明図
【図4】図2の扉を開いた状態の内部構造を側面から見た説明図
【図5】図2のホースリールに設けられたブレーキ機構の説明図
【図6】図5のブレーキ機構の断面図
【図7】三方弁を使用した図2の消火栓装置の配管説明図
【図8】三方弁を使用しない場合の図2の消火栓装置の配管説明図
【図9】二方弁を使用した図2の消火栓装置の配管説明図
【図10】図2のホースリールに設けた大気開放弁の断面図
【図11】本発明による放水ノズルの機能構造の説明図
【図12】本発明によるピストル型放水ノズルの機構構造の組合せを示した説明図
【図13】ピストル型放水ノズルの第1実施形態の説明図
【図14】ピストル型放水ノズルの第2実施形態の説明図
【図15】ピストル型放水ノズルの第3実施形態の説明図
【図16】ピストル型放水ノズルの第4実施形態の説明図
【図17】ピストル型放水ノズルの第5実施形態の説明図
【図18】本発明による非ピストル型放水ノズルの機構構造の組合せを示した説明図
【図19】非ピストル型放水ノズルの第1実施形態の説明図
【図20】非ピストル型放水ノズルの第2実施形態の説明図
【図21】非ピストル型放水ノズルの第3実施形態の説明図
【図22】非ピストル型放水ノズルの第4実施形態の説明図
【図23】従来の消火栓装置の説明図
【符号の説明】
1:消火栓装置
2:本体
3:架台
4:消火栓扉
4a,5a:開閉ハンドル
5:消火器扉
6:発信機
7:火災灯
8:ホースリール
9:旋回フレーム
10:旋回第1軸
11:旋回第2軸
12:ノズル
13:ホース
14:ホースガイド
15:給水接続口
16:大気開放弁
17:給水栓
18:三方弁
20:自動調圧装置
21:安全弁
22:給水管
23:フレキシブル管
24:軸受
25:ブレーキ機構
26:ドラム内周面
27:ショックアブソーバ
28:放水レバー
29:レバーガイド
30:扉回転軸
32:支持部
33:押圧ユニット
34:ブレーキドラム
35:フレーム
35a:ステム
37:スプリング
40:弁体
42:消火栓弁
43:排水弁(二方弁)
44:ハウジンクボ
45:弁室
49:通気ポート
50:弁体
54:スプリング
56:ホース接続口
57:放水口
58:放水オンオフ切替機構
59,61:操作機構
60:放水パターン切替機構
62:本体
63,63a,63b:グリップ
64:スライダ
65:回転リング
66:ハンドルぴン
67,76:スクリューネジ部
68:オンオフ弁
68a,70a:弁体
68b,70b:弁座
70:パターン切替弁
72,72a,72b:レバー
73:ロック部
77:ノブ
78a,78b,78c:ロック溝
Claims (2)
- 消火時に筐体の扉を開いてノズル付きホースを引き出して消火する消火栓装置に於いて、
前記筐体内に縦置きに配置され前記ノズル付きホースを巻き回して収納したホースリールと、
前記筐体内に縦置き配置された前記ホースリールを扉開口部から水平回りに回動して外部に露出した位置に支持可能な旋回配管機構と、
外部配管を引込み接続した給水管から前記ホースリールまでの配管経路に設けられ二方弁を用いた消火栓弁と、
前記消火栓弁の2次側配管に接続した排水管に設けられ二方弁を用いた排水弁と、
前記消火栓弁と排水弁を消火栓開放レバーにワイヤー接続し、放水時には前記消火栓開放レバーの操作で前記消火栓弁を閉鎖位置から開放位置に切替えると同時に前記排水弁を開放位置から閉鎖位置に連動して切替え、放水停止時には手動操作で前記消火栓弁を開放位置から閉鎖位置に切替えると共に前記排水弁を閉鎖位置から開放位置に切替える弁操作機構と、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。 - 請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記消火栓弁の2次側とホースリールとを接続する配管に、自動圧力調整弁と安全弁を設けたことを特徴とする消火栓装置。
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