JP3690283B2 - 車線追従制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行車線に対する自車両の走行状態を検出し、車線から逸脱する傾向にあるか否かを判定し、車線から逸脱する場合に、逸脱位置を長くするか又は逸脱時間を長くするようにした車線追従制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車線追従制御装置としては、例えば特開平11−348696号公報に記載されているものが知られている。
この従来例には、車両の走行安全性を向上させるための装置として、運転者の不注意等により車両が走行車線から逸脱したときには、これを警報等により運転者に通知して注意を促すように構成されている。
【0003】
すなわち、例えば、路面上における走行車線の両側部を仕切る各種の境界線を撮像する撮像装置と、この撮像装置で撮像した画像を処理することにより走行車線内における自車両の左右方向の走行位置を判定する判定装置と、その判定結果に基づき自車両が上記境界線を横切って逸脱したときに、これを運転者に通知する報知装置等で構成される。
【0004】
したがって、この種の装置によれば、車両が運転者の無意識のうちに走行車線を逸脱して隣接する車線を走行する車両や車線外の障害物と接触する等といった事態が未然に回避され、車両の走行安全性を向上させるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例にあっては、走行車線の境界線として白線を検出しこれに対する自車の相対位置に基づいて警報を発生させるようにしている。このため、例えば、コーナーを走行するような場合等には、自車が操舵を行っていない状態で進入したとしても、自車両が白線に接近していない以上は車線逸脱の判定を行うことができず、したがって白線に接近した時点で初めて警報が発生されることになるという未解決の課題がある。
【0006】
このような未解決の課題を解決するために、車両前方の道路形状と、自車両の旋回度合とから自車両が車線逸脱傾向にあるか否かを判断して、車線逸脱傾向にあるときに運転者に警報を発することが考えられるが、この場合でも車線逸脱傾向にあるときに警報が発せられるので、上記従来例よりは早めに警報を発することが可能となるだけで、コーナー出入口で車線逸脱を生じる場合には、自車両が車線から逸脱するまでの時間が短く、逸脱後の自車両と車線との乖離距離が大きく、警報を発してから運転者が車線内で余裕を持って留まるように修正操舵する時間を確保することが困難であるという課題が残る。
【0007】
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、車線逸脱を的確に検出すると共に、自車両が車線を逸脱するまでの間に運転者が余裕を持って修正操舵することが可能な車線追従制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る車線追従制御装置は、車両前方の車線を検出して道路形状を検出する道路形状検出手段と、自車両の旋回度合を検出する旋回度合検出手段と、前記道路形状検出手段で検出した道路形状と前記旋回度合検出手段で検出した旋回度合とに基づいて自車両が車線逸脱傾向にあるか否かを判定する車線逸脱判定手段と、該車線逸脱判定手段の判定結果が車線逸脱傾向にあるときに、自車両の操舵系に対して前記道路形状検出手段で検出した道路形状に沿う方向の操舵補助トルクを発生させながら自車両を前記車線から徐々に逸脱させる操舵制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る車線追従制御装置は、請求項1に係る発明において、運転者が操舵操作を行っていることを検出する操舵操作検出手段をさらに有し、前記操舵制御手段は、前記操舵操作検出手段によって運転者の操舵操作が検出されたとき、前記操舵補助トルクの付与を中止することを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明の請求項3に係る車線追従制御装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記操舵制御手段は、前記操舵補助トルクを徐々に増加して自車両が前記車線に沿う状態で所定時間操舵補助トルクを維持した後、徐々に解除することを特徴としている。
さらにまた、本発明の請求項4に係る車線追従制御装置は、請求項1乃至3の何れか1項の発明において、前記道路形状検出手段は、車両前方を撮像する撮像手段と、当該撮像手段で撮像した画像から白線を検出する白線検出手段と、該白線検出手段で検出した白線の曲率を検出する白線曲率検出手段とを備えていることを特徴としている。
【0011】
なおさらに、本発明の請求項5に係る車線追従制御装置は、請求項1乃至4の何れか1項の発明において、前記旋回度合検出手段は、車両の操舵角を検出する操舵角検出手段、車両のヨー角を検出するヨー角検出手段及び自車両横変位を検出する横変位検出手段を備えていることを特徴としている。
また、本発明の請求項6に係る車線追従制御装置は、請求項1乃至5の何れか1項の発明において、車両の車速を検出する車速検出手段を有し、前記操舵制御手段は、前記車速検出手段で検出した車速の増加に応じて大きな操舵補助トルクを与えるように構成されていることを特徴としている。
【0012】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、車両前方の道路形状を検出し、この道路形状と自車両の旋回度合とから車線逸脱傾向を判断し、車線逸脱傾向にあるときに自車両の操舵系に対して道路形状に沿う方向の操舵補助トルクを発生させながら自車両を前記車線から徐々に逸脱させる操舵制御操舵制御を行うので、車両が車線逸脱位置に近づくにつれて道路形状に沿うように操舵制御されることになり、実際に自車両が車線を逸脱するまでの距離を長くすることができると共に、車線逸脱後に車線から乖離する乖離距離を短くすることができ、運転者が車線を維持するための維持操作を余裕を持って容易に行うことができるという効果が得られる。
【0013】
また、請求項2に係る発明によれば、操舵制御手段が、前記操舵操作検出手段によって運転者の操舵操作が検出されたとき、前記操舵補助トルクの付与を中止するので、運転者の操舵操作に影響を与えることがなく、車線逸脱回避処理を良好に行うことができるという効果が得られる。
【0014】
さらに、請求項3に係る発明によれば、前記操舵制御手段が、前記操舵補助トルクを徐々に増加して自車両が前記車線に沿う状態で所定時間操舵補助トルクを維持した後、前記操舵補助トルクを徐々に解除するので、自車両が車線逸脱状態となるまでの逸脱所要時間を長くすると共に、車線逸脱位置も長くなり、所定時間車線に沿う状態を維持した後に徐々に車線から逸脱して行くことになり、運転者に車線逸脱状態を確実に認識させて操舵介入が必要であることを認識させることができるという効果が得られる。
【0015】
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、道路形状検出手段は、車両前方を撮像する撮像手段と、当該撮像手段で撮像した画像から白線を検出する白線検出手段と、該白線検出手段で検出した白線の曲率を検出する白線曲率検出手段とを備えているので、道路形状を正確に検出することができるという効果が得られる。
【0016】
なおさらに、請求項5に係る発明によれば、旋回度合検出手段は、車両の操舵角を検出する操舵角検出手段、車両のヨー角を検出するヨー角検出手段及び自車両横変位を検出する横変位検出手段を備えているので、自車両の旋回度合を正確に検出することができるという効果が得られる。
また、請求項6に係る発明によれば、車両の車速を検出する車速検出手段を有し、前記操舵制御手段は、前記車速検出手段で検出した車速の増加に応じて大きな補助操舵トルクを与えるようにしているので、車速が速いほど操舵制御量が大きくなって、操舵制御態様を車速に応じて変化させることができ、運転者の修正操舵時の余裕を確保することができるという効果が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態の構成を示す図である。
CCDカメラ等で構成されるカメラ1は、図2に示すように車幅方向中央の、車室内のフロントウィンドウ上部に、レンズの光軸と車両中心線とのヨー角が零、ピッチ角がαとなるように取り付けられ、車両前部の道路を撮像する。画像処理装置2は、カメラ1により撮像された画像を処理して道路上の白線を検出する。
【0018】
制御コントローラ3は、道路形状と車両挙動を表す複数のパラメータを用いて道路白線の形状を数式化モデルで表し、道路白線の検出結果と白線モデルとが一致するようにパラメータを更新することによって、道路白線を検出して道路形状を認識する。また、ヨーレートセンサ4で検出される現在のヨーレートθREAL及び車速センサ5で検出される車速Vに基づいて、自車両の車線からの逸脱状況を検出し、車線から逸脱していると判定されるときには警報器6を駆動し、この警報器6によって警報音、或いは警報表示等を行って、運転手に注意を促すと共に、操舵系に対して操舵補助トルクを発生する例えば電動モータを有する操舵補助機構7を、車線逸脱時の車両走行軌跡を道路白線の曲率に徐々に近づけるように操舵制御する。
【0019】
図3は、制御コントローラ3で実行される車線追従制御処理の一例を示すフローチャートである。この車線追従制御処理では、先ず、ステップS1で、道路白線を検出する道路白線検出処理を行い、次いでステップS2に移行して、前方道路曲率が直線から曲線に又はその逆に変化するか否かを判定し、道路曲率が変化しない場合には前記ステップS1に戻り、道路曲率が変化する場合にはステップS3に移行する。
【0020】
このステップS3では、方向指示器8で方向指示を行っていない非作動状態であるか否かを判定し、方向指示器8で方向指示を行っている作動状態であるときには前記ステップS1に戻り、方向指示を行っていない非作動状態であるときにはステップS4に移行する。
このステップS4では、運転者がステアリングホイールを操舵している操舵操作中であるか否かを判定する。この判定は、操舵トルクセンサ9で検出する操舵トルク検出値Tが閾値TTH以上であるか否かを判定することにより行い、T≧TTHであるときには運転者が車線変更等でステアリングホイールを操舵している操舵状態であるものと判断して前記ステップS1に戻り、T<TTHであるときには運転者が車線変更等の意志がないものと判断してステップS5に移行する。
【0021】
このステップS5では、後述する図11に示すように、ステップS1で検出した道路白線検出情報に基づいて車線逸脱傾向にあるか否かを判断するための必要ヨーレートφNEEDを算出し、算出した必要ヨーレートφNEEDとヨーレートセンサ4で検出した実ヨーレートφREALとのヨーレート偏差Δφを算出する車線逸脱予測処理を実行する。
【0022】
次いで、ステップS6に移行して、算出したヨーレート偏差Δφの絶対値|Δφ|が道路逸脱を判断する閾値ΔφTHを超えているか否かを判定し、|Δφ|≦ΔφTHであるときには車線逸脱傾向ではないものと判断して前記ステップS1に戻り、|Δφ|<ΔφTHであるときには車線逸脱傾向にあるものと判断して、ステップS7に移行して、警報器6に対して車線逸脱警報信号を出力して警報音又は警報表示を行ってからステップS8に移行する。なお、前記閾値φTHは、予め実験等によって設定された値であって、実ヨーレートφREALで走行した場合には、車線を逸脱すると予測される値である。
【0023】
ステップS8では、後述する図14に示すように、ステップS1での白線検出処理における補正した道路パラメータa〜eをもとに推定した二本の白線と、現在の実ヨーレートθREALに基づいて算出した自車両の旋回軌跡とが交差する車線逸脱位置Pまでの逸脱所要距離Lを算出すると共に、車線逸脱位置Pでの白線曲率ρを算出する。
【0024】
次いで、ステップS9に移行して、逸脱所要距離Lと車速Vとを基に下記式(1)の演算を行って逸脱所要時間tを算出する。
t=L/V …………(1)
次いで、ステップS10に移行して、操舵制御用パラメータとしての制御用曲率ρC を逸脱所要時間tで除算して制御用曲率更新値ΔρC (=ρC /t)を算出し、次いでステップS11に移行して、制御周期間隔を計時するタイマをスタートさせてからステップS12に移行し、現在の制御用曲率ρC に制御用曲率更新値ΔρC を加算した値を新たな制御用曲率ρC として設定してからステップS13に移行する。
【0025】
このステップS13では、算出された制御用曲率ρC とコーナーの曲がり方向とに基づいて目標補助操舵角θ* を算出し、次いでステップS14に移行して、算出した目標補助操舵角θ* を補助操舵機構7に出力して、補助操舵角θが目標補助操舵角θ* に一致するように操舵制御する。
次いで、ステップS15に移行して、ステップS11で算出した制御用曲率ρC が道路曲率ρに一致したか否かを判定し、ρC <ρであるときにはステップS16に移行して、タイマのタイマ値Tが“1”を逸脱所要時間tで除算した値1/tに達したか否かを判定し、T<1/tであるときにはT=1/tとなるまで待機し、T=1/tであるときにはステップS17に移行して、前述したステップS4と同様に運転者が操舵操作を行っているか否かを判定し、操舵操作を行っている場合にはステップS17aに移行して、目標補助操舵角θ* の補助操舵機構7への出力を中止してから前記ステップS1に戻り、操舵操作を行っていない場合には前記ステップS11に戻り、ρC =ρであるときにはステップS18に移行する。
【0026】
このステップS18では、制御用曲率ρC 及び道路曲率ρが“0”即ち直線状態となったか否かを判定し、ρC =ρ≠0であるときにはステップS19に移行して、前述したステップS13及びS14と同様に白線曲率ρに制御用曲率ρC に一致するように白線追従操舵制御処理を行ってからステップS20に移行し、前述したステップS4及びS17と同様に運転者が操舵操作を行っているか否かを判定し、運転者が操舵操作を行っている場合には前記ステップS17aに移行し、操舵操作を行っていないときには前記ステップS18に戻り、ρC =ρ=0であるときには直進走行状態に復帰したものと判断して前記ステップS1に戻る。
【0027】
また、ステップS1の白線検出処理は、本出願人が先に提案した特開平11−296660号公報に記載された方法にしたがって行う。
すなわち、先ず、ステップS21で、初期状態であるか否かを判定し、初期状態であるときにはステップS22に移行し、初期状態でないときに後述するステップS23に移行する。
【0028】
ステップS22では、道路形状や車両挙動を表すパラメータ(以下、単に道路パラメータという。)を初期設定する。図4に示すような画面座標系X,Y上において、白線モデルを道路パラメータを用いて次のように式(2)で表す。
X=(a+ie)(Y−d)+b/(Y−d)+c ……(2)
式(2)において、a〜eは道路パラメータであり、路面からのカメラ1の高さを一定とすると、それぞれの道路パラメータは次のような道路及び白線の形状又は車両挙動を表す。すなわち、aは車線内の自車両の横変位量、bは道路の曲率、cは自車両(カメラ1の光軸)の道路に対するヨー角、dは自車両(カメラ1の光軸)の道路に対するピッチ角、eは道路の車線幅をそれぞれ表す。
【0029】
なお、初期状態では、道路及び白線の形状や車両挙動が不明であるから、各道路パラメータには、例えば中央値に相当する値を初期値として設定する。つまり、例えば、車線内の自車両の横変位量aには車線中央を設定し、道路曲率bには直線を設定し、車線に対するヨー角cには零度、車線に対するピッチ角dには停止状態のα度を設定し、車線幅eには、道路構造令に示される高速道路の車線幅を設定する。
【0030】
次いで、ステップS23に移行し、図5に示すように、白線候補点を検出するための小領域の初期設定を行う。初期状態においては、道路パラメータに初期値を設定した白線モデルと、実際の画面上の道路白線との間には大きな開きがあると予想されるので、できる限り大きな領域を設定するのが望ましい。図5に示す例では、左右の白線に5個ずつ計10個の白線候補点検出領域を設定する。なお、前回の処理までに道路白線がすでに検出されている場合には、実際の道路白線と白線モデルとの差は小さいと考えられるので、図6に示すように、なるべく小さい領域を設定する方が、白線以外のものを誤検出する可能性が低く、しかも処理速度を向上させることができる。
【0031】
次いで、ステップS24に移行し、カメラ1により撮像され画像処理装置2で処理された画像を入力する。
次いで、ステップS25に移行し、ステップS24で画像処理装置2から入力した画像情報の道路画像上に、白線候補点の検出領域を設定する。このとき、ステップS23で算出した白線候補点検出領域とステップS22又は後述のステップS30で補正した道路パラメータによる白線モデルとに基づいて、図7に示すように、前回の処理で求めた白線モデルが領域の中心となるように白線候補点検出領域を設定する。図7に示す例では、左右の白線に5個ずつ計10個の白線候補点検出領域を設定する。なお過去の白線モデルの変化の様子から、白線モデルの変化方向にオフセットした位置に白線候補点検出領域を設定するようにしてもよい。
【0032】
次いで、ステップS26に移行し、白線候補点検出領域において白線候補点の検出を行う。この白線候補点の検出は、まず、入力画像を、sobelフィルター等を通して微分画像を生成する。次に、白線候補点検出領域の上底の一点と下底の一点とを結んでできる全ての線分に対し、図8に示すようにその線分上の画素の濃度が所定値以上の画素の数を計測する。さらに、全ての線分の中で、濃度が所定値以上の画素が最も多い線分を検出直線とし、その線分の始点と終点とを白線候補点とする。このとき、検出された直線上の所定値以上の濃度の画素数が、検出領域の長さに対する所定の割合よりも少ない場合には、白線候補点が検出されなかったものとみなす。
【0033】
例えば、検出領域の長さが15画素で、所定値以上の濃度の画素が1/2以上、すなわち、8画素以上検出されれば白線候補点が検出されたとする検出領域においては、所定値以上の濃度の画素数が最も多い線分上における画素数が、7画素未満の場合は、その検出領域において白線候補点が検出されなかったものとする。一方、9画素の場合は白線候補点が検出されたものとし、その線分の始点と終点とを検出結果とする。
【0034】
以上の処理を全ての白線候補点検出領域に対して実行する。このとき、白線候補点の検出の有無を判断するための検出領域の長さに対する上記所定の割合は、全ての領域に対して同一としてもよいし、検出領域毎に設定してもよい。また、上記濃度の所定値も全ての検出領域に対して同一としてもよいし、検出領域毎に変えてもよい。
【0035】
次いで、ステップS27に移行し、全ての白線候補点検出領域で検出した白線候補点の点数が所定値以上かどうかを確認し、所定値より少なければ、白線候補点検出領域内に道路白線が含まれていなかったと判断し、ステップS23へ戻って上述したように白線候補点検出領域を初期設定する。
一方、白線候補点が所定値以上検出された場合にはステップS28に移行し、図9に示すように、検出した白線候補点と前回の処理で求めた白線モデル上の点とのずれ量を各点毎に算出する。次いでステップS29に移行し、各点のずれ量に基づいて道路パラメータの変動量Δa〜Δeを算出する。この変動量の算出方法は、例えば特開平8−5388号公報に示されるように最小二乗法により算出する方法を用いることができる。
【0036】
続いて、ステップS30に移行し、ステップS29で算出した道路パラメータの変動量Δa〜Δeにより道路パラメータa〜eを補正する。例えば、前記式(2)に示す白線モデルの場合には、次式(3)により道路パラメータa〜eの補正を行う。
a=a+Δa
b=b+Δb
c=c+Δc
d=d+Δd
e=e+Δe ……(3)
そして、このようにして補正した道路パラメータを新たな白線モデルの道路パラメータとして所定の記憶領域に記憶する。そして、図3のステップS2に移行する。
【0037】
さらに、図3におけるステップS5の車線逸脱予測処理は、図11に示すように、先ず、ステップS31で、所定の記憶領域に記憶された最新の道路パラメータa〜eをもとに道路形状を推定し、これに基づき、車両前方の注視点Aにおける横変位XL1を検出する。
すなわち、図12に示すように、前述した図4に示す白線検出処理におけるステップS29で補正した道路パラメータa〜eをもとに推定した道路形状において、車両前方L1m(例えば30m)の位置における二本の白線モデルの中央部を注視点Aとする。そして、この注視点Aと画像中心との間の距離、すなわち、カメラ1は車幅方向中央に設けられているから、車両前方L1mにおける、二本の白線モデルで特定される走行車線中央部からの横変位XL1を検出する。
【0038】
次いで、ステップS32に移行し、車速センサ5からの車速Vを読み込み、ステップS33に移行して、ヨーレートセンサ4からの実ヨーレートθREALを読み込む。
次いで、ステップS34に移行し、ステップS31で算出した注視点における横変位XL1に基づき、この横変位位置から車線中央までに自車両を到達させ得るために必要なヨーレートφNEEDを次式(4)に基づいて算出する。
【0039】
φNEED=(2×XL1×V)/(L1×L1) ……(4)
次いでステップS35に移行し、ステップS14で算出した必要ヨーレートφNEEDと実ヨーレートφREALとの偏差であるヨーレート偏差Δφ(=φREAL−φNEED)を算出してから車線逸脱予測処理を終了して図3のステップS6に移行する。
【0040】
ここで、カメラ1が撮像手段に対応し、ヨーレートセンサ4が旋回度合検出手段に対応し、警報器6が警報手段に対応し、図3の道路白線検出処理が白線検出手段に対応し、図3のステップS1及び図4の道路白線検出処理及び図11のステップS31で道路パラメータから道路形状を推定する処理が道路形状検出手段に対応し、図11のステップS34の処理が必要旋回度合検出手段に対応し、図3のステップS6処理が車線逸脱判定手段に対応し、図3のステップS8〜S20の処理が操舵制御処理に対応している。
【0041】
次に、上記実施の形態の動作を説明する。
今、車両が走行している状態では、車両前方がカメラ1によって撮像され、これが画像処理装置2に入力され、画像処理装置2において所定の画像処理が行われた後制御コントローラ3に入力される。そして、制御コントローラ3では、入力される画像情報に対し前述の道路白線検出処理を実行し、車両前方の道路状況に応じて道路パラメータを逐次更新する。
【0042】
このとき、車両が直線走行を継続している場合には、道路曲率ρが“0”の状態を維持するので、前述した図3の処理において、ステップS2からステップS1に戻ることを繰り返すことにより、車線逸脱予測及び操舵補助機構7の操舵制御が行われない状態を維持する。
また、交差点等で右左折する場合には、その前に方向指示器8が作動状態となることにより、車両が右左折を開始して道路曲率ρが変化した場合には、ステップS2からステップS3に移行するが、方向指示器8が作動状態であるので、ステップS1に戻り、車線逸脱予測及び操舵補助機構7の操舵制御が行われない状態を維持する。
【0043】
さらに、運転者が車線変更する場合にも、ステアリングホイールが操舵されることにより、操舵トルクセンサ9で検出した操舵トルクTが閾値TTHより大きくなることにより、ステップS4からステップS1に戻り車線逸脱予測及び操舵補助機構7の操舵制御が行われない状態を維持する。
この直線走行状態から図13に示すように右に曲がるコーナーを走行する状態となったときに、運転者がステアリングホイールを操舵しない非操舵状態を継続すると、図3の処理において、ステップS4からステップS5に移行して、白線検出情報に基づいて車線逸脱予測処理を行う。
【0044】
このとき、ステップS1で算出された道路パラメータをもとに道路形状を推定し、これをもとに注視点Aにおける横変位XL1を算出する(ステップS31)。
右コーナーに前方注視点Aがさしかかった時点では、車両が直進走行し、車線中央を走行している場合には、カメラ1は車線中央に向かって撮像することになる。よって、画像中心つまり車線中央と二本の白線間の中央である注視点Aとはほぼ一致し、横変位XL1は略零となるから、必要ヨーレートφNEEDは略零となる(ステップS34)。またヨーレートセンサ4で検出される実ヨーレートφREALも略零となるから、ヨーレート偏差Δφの絶対値は閾値φTHよりも小さくなる。よって、車両は車線を逸脱することなく走行していると判定されてステップS6からステップS1に戻り、警報器6は駆動されない。
【0045】
この状態から、図13に示すように、前方注視点Aが右コーナーに進入すると、カメラ1の撮像方向が車線中心とずれるから、画像中心と注視点Aとがずれて横変位XL1が大きくなる。このため、横変位XL1に基づき算出される必要ヨーレートφNEED(ステップS34)と実ヨーレートφREALとにずれが生じ、ヨーレート偏差Δφの絶対値が徐々に大きくなる。
【0046】
このとき、ヨーレート偏差Δφの絶対値が閾値φTHを超えない状態では、車線逸脱状態であると判断されないことにより、ステップS6からステップS1に戻り、車線逸脱操舵制御は実行されない。
しかしながら、運転者の非操舵状態が継続して、ヨーレート偏差Δφの絶対値が閾値φTHを超える状態となると、車線逸脱傾向にあるものと判断して、ステップS6からステップS7に移行し、車線逸脱警報信号が警報器6に出力されることにより、この警報器6から車線逸脱傾向にあることを表す警報音及び/又は警報表示が発せられる。
【0047】
これと同時に、ステップS1で求めた白線検出情報に基づいて逸脱予想距離Lと逸脱予想位置における白線曲率ρを算出し(ステップS8)、次いで、逸脱予想距離Lを車速検出値Vで除算して逸脱所要時間tを算出し(ステップS9)、算出した逸脱所要時間tで白線曲率ρを除算することにより、制御用曲率更新値Δρを算出する(ステップS10)。
【0048】
そして、タイマをスタートさせ(ステップS11)、次いで算出した制御用曲率更新値Δρを現在の制御用曲率ρC に加算して新たな制御用曲率ρC を算出し(ステップS12)、この制御用曲率ρC に基づいて目標操舵角θ* を算出し(ステップS13)、算出した目標操舵角θ* を操舵補助機構7に出力することにより(ステップS14)、操舵補助機構7で転舵輪の転舵処理が行われることにより、車両の走行軌跡の曲率が図14に示すように、白線曲率ρに沿うように徐々に増加される。
【0049】
このとき、制御用曲率ρC の増加処理が制御用曲率ρC が白線曲率ρに一致するか又は超えるまで繰り返されることにより、制御曲率ρC が徐々に増加される。このため、最初に車線逸脱を検出した時点における車線逸脱位置Pより走行レーン内側を通って初期車線逸脱位置Pより遠くの車線逸脱位置に向かいながら最終的に制御曲率ρC が白線曲率ρと等しくなると、ステップS15からステップS18を経てステップS19に移行して、白線曲率ρに制御用曲率ρC を一致させる車線追従操舵制御を行う。
【0050】
その後、右コーナーを脱して直線走行状態となり、白線曲率ρが“0”となると、ステップS7〜ステップS20の車線追従制御処理を終了してステップS1に移行する。
また、ステップS7〜ステップS20の車線制御処理中に運転者がステアリングホイールを操舵する操舵状態となると、ステップS17又はステップS20からステップS17aに移行して、目標補助操舵角θ* の補助操舵機構7への出力を中止し、白線追従制御を終了してから前記ステップS1に戻る。このため、運転者の操舵操作に影響を与えることがなく、車線逸脱回避処理を良好に行うことができる。
【0051】
このように、上記第1の実施形態では、自車両の走行中に、直線から左右のコーナーにさしかかるか又は左右のコーナーから直線にさしかかる道路曲率の変化状態で、車線逸脱傾向を検出したときに、警報を発してから自車両の走行軌跡を制御する制御用曲率ρC を徐々に大きくして、車両の走行軌跡の曲率を白線曲率ρに近づけるので、車線逸脱傾向を検出した時点の操舵状態をそのまま継続する場合に比較して、自車両が白線逸脱するまでの時間が長くなり、運転者の操舵介入が容易となる。
【0052】
しかも、自車両がコーナーの外側白線に沿って走行することになるため、旋回外輪が外側白線に形成された細かな凹凸を有するランブルストリップ上を走行する時間が長くなるため、このランブルストリップを走行する際に発生する音や振動で運転者に車線逸脱傾向であることを警告することができる。
次に、本発明の第2の実施形態を図15について説明する。
【0053】
この第2の実施形態では、車両の走行速度に応じて道路曲率に近づける態様を異ならせるようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、制御コントローラ3で実行する車線追従制御処理が、図15に示すように、前述した第1の実施形態における図3の追従制御処理において、ステップS15が省略され、これに代えて車速センサ5で検出した車速検出値Vをもとに図16に示す制御曲率ゲイン算出用マップを参照して制御曲率ゲインGを算出するステップS41と、制御用曲率ρC が算出した制御曲率ゲインGを白線曲率ρに乗算した値以上となったか否かを判定するステップS42とが設けられ、ステップS41の判定結果がρC <ρ×Gであるときに前記ステップS16に移行し、ρC ≧ρ×Gであるときに前記ステップS18に移行するように変更されていることを除いては図3と同様の処理を行い、図3との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0054】
ここで、制御曲率ゲイン算出用マップは、図16に示すように、横軸に車速検出値Vをとり、縦軸に制御曲率ゲインGをとり、車速検出値Vが“0”であるときに制御曲率ゲインGが0.3程度となり、これらか車速検出値Vが増加するに応じて制御曲率ゲインGが直線的に増加し、車速検出値Vが設定値Vs(例えば60km/h)であるときに制御曲率ゲインGが“1”となり、その後車速検出値Vがさらに増加すると、制御曲率ゲインGが“1”を越えて直線的に増加するように特性線Lcが設定されている。
【0055】
この第2の実施形態によると、自車両の車速検出値Vが設定車速Vsで走行していて制御曲率ゲインGが“1”である状態では、図17でρCMで示すように、前述した第1の実施形態と同様に白線曲率ρに一致するように制御用曲率ρC が制御されるが、自車両の車速検出値Vが設定車速Vsより低い場合には、制御曲率ゲインGが“1”より小さくなることにより、制御用曲率ρC を一致させる値ρ×Gが実際の白線曲率ρより小さい値となる。このため、制御用曲率ρC が図17でρCSで示すように白線曲率ρより直線に近づくことになる。
【0056】
逆に、自車両の車速検出値Vが設定車速Vsより大きい場合には、制御曲率ゲインGが“1”より大きくなることにより、制御用曲率ρC を一致させる値ρ×Gが実際の白線曲率ρより大き“1”値となる。このため、制御用曲率ρC が図17でρCLで示すように白線曲率ρより大きな曲率となる。
したがって、自車両の車速検出値Vが設定車速Vsと等しい場合には、白線曲率ρと等しい曲率の走行軌跡となるが、車速検出値Vが設定車速Vsより小さい場合には、緩やかに白線から離脱する走行軌跡となり、車速検出値Vが設定車速Vsより大きい場合には、緩やかに白線より道路中央側に向かう走行軌跡となる。このため、車線逸脱所要時間に余裕のない高速走行状態では、車線内若しくは白線近傍を走行することになるが、車線逸脱所要時間に余裕がある低速走行状態では、車線内又は白線近傍を走行することなく白線を横切って緩やかに車線逸脱状態となるので、定常的且つ自律的にコーナーを旋回することを防止し、運転者に車線逸脱警報が発生されている状態では、車線逸脱となる可能性があることを警告して、操舵介入が必要であることを確実に認識させることができる。
【0057】
次に、本発明の第3の実施形態を図18図19について説明する。
この第3の実施形態では、車線逸脱する際の車線逸脱所要時間及び車線逸脱位置を長く延ばすと共に、車線逸脱後の車線からの逸脱距離を少なくするようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態では、制御コントローラ3で実行する車線追従制御処理が図18に示すように前述した第1の実施形態における図3の処理に対して変更されている。
【0058】
この車線追従制御処理では、先ず、ステップS8及びステップS9間にステップS8で算出した白線曲率ρに車線逸脱時間又は逸脱位置を所望値に設定する固定ゲインGsを乗算して制御用曲率ρG を算出するステップS51が介挿されていると共に、ステップS10の処理が制御用曲率ρG を逸脱所要時間tで除算して制御用曲率更新値ΔρG (=ρG /t)を算出するステップS52に変更され、ステップS12の処理が現在の制御用曲率ρC に制御用曲率更新値ΔρG を加算して新たな制御用曲率ρC (=ρC +ΔρG )を算出するステップS53に変更され、ステップS15の処理が制御用曲率ρC がステップS51で算出した制御用曲率ρG に一致したか否かを判定するステップS54に変更されている。
【0059】
また、ステップS18〜S20が省略され、これらに代えて、タイマをスタートさせるステップS55と、現在の制御用曲率ρC から制御用曲率更新値ΔρG を減算して新たな制御用曲率ρC を算出するステップS56と、算出した制御用曲率ρC に基づいて目標補助操舵角θ* を算出するステップS57と、算出した目標補助操舵角θ* を補助操舵機構7に出力するステップS58と、算出した制御用曲率ρC が“0”となったか否かを判定するステップS59とが設けられ、ステップS56の判定結果がρC >0であるときにはステップS60に移行して前記ステップS16と同様のタイマのタイマ値Tが1/tに達したか否かを判定し、タイマ値Tが1/tに達したときにステップS61に移行して運転者が操舵操作をしているか否かを判定し、操舵操作をしていないときに前記ステップS55に戻り、操舵操作をしているときに前記ステップS1に戻り、前記ステップS59の判定結果がテップS55に戻り、ρC =0であるときには前記ステップS1に戻るように変更されている。
【0060】
この第3の実施形態によると、車線逸脱傾向が検出されたときに、逸脱予測距離L及び車線逸脱位置Pでの白線曲率ρを算出し(ステップS8)、算出した白線曲率ρに逸脱所要時間及び車線逸脱位置Pを設定する固定ゲインGsを乗算して制御用曲率ρG を算出する(ステップS51)。そして、算出した制御用曲率ρG に一致するように制御用曲率ρC を徐々に増加させて、車両の走行軌跡を白線曲率ρに近づけることにより、図19に示すように、自車両が車線逸脱状態となるまでの逸脱所要時間を長くすると共に、車線逸脱位置Pも長くなり、さらに制御用曲率ρC が制御用曲率ρG に一致すると、その後制御用曲率ρC が更新値ΔρG づつ減少されて制御用曲率ρC が“0”即ち直進走行状態に復帰すると車線維持制御が終了される。
【0061】
このため、自車両が車線逸脱状態となってから又はその前に補助操舵機構7による補助操舵が終了されることにより、徐々に車線から逸脱して行くことになり、運転者に車線逸脱状態を確実に認識させて、操舵介入が必要であることを認識させることができる。
次に、本発明の第4の実施形態を図20及び図21について説明する。
【0062】
この第4の実施形態では、前述した第1の実施形態のように制御用曲率ρC を白線曲率ρに沿うように制御した後に徐々に車線逸脱するようにしたものである。
すなわち、第4の実施形態では、制御コントローラ3で実行する車線追従制御処理が図20に示すように、前述した第1の実施形態における図3の処理において、ステップS18〜S20の処理が省略され、これらに代えてステップS71〜S76の処理が設けられていることを除いては図3と同様の処理を行い、図3との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0063】
すなわち、ステップS15で制御用曲率ρC が白線曲率ρに一致したときに、ステップS71に移行して白線追従走行時間tdが経過したか否かを判定し、白線追従走行時間tdが経過していないときにはステップS72に移行して、運転者が操舵操作を行ったか否かを判定し、操舵操作を行っていないときにはステップS71に戻り、操舵操作を行っているときには前記ステップS17aに移行する。
【0064】
また、ステップS71の判定結果が所定時間tdが経過したときにはステップS73に移行して、現在の目標操舵角θ* が正であるときには、目標操舵角θ* から所定値Δθを減算した値を新たな目標操舵角θ* として設定し、現在の目標操舵角θ* が負であるときには、目標操舵角θ* に所定値Δθを加算した値を新たな目標操舵角θ* として設定する目標操舵角減少処理を行い、次いでステップS74に移行して、目標操舵角θ* を補助操舵機構7に出力してからステップS75に移行し、目標操舵角θ* が“0”であるか否かを判定し、θ* ≠0であるときにはステップS76に移行して、運転者が操舵操作をしているか否かを判定し、操舵操作をしていないときにはステップS73に戻り、操舵操作を行っているときには前記ステップS17aに移行し、ステップS75の判定結果がθ* =0であるときには前記ステップS1に戻る。
【0065】
この第4の実施形態によると、車線逸脱傾向にあることが検出されると、車線逸脱警報が発生され、車線逸脱距離L、車線逸脱位置Pにおける白線曲率ρ、車線逸脱所要時間tとが算出され、これらに基づいて自車両の走行軌跡の曲率が図21に示すように車線所要時間tを走行したときに白線曲率ρに沿うように制御用曲率ρC が徐々に増加され、制御用曲率ρC が白線曲率ρに一致したときに、白線追従走行時間tdだけ制御曲率ρC を白線曲率ρに一致させた状態を維持するが、白線追従走行時間tdが経過した後は、目標操舵角θ* を“0”となるまで徐々に減少させるので、車両が車線維持を徐々に解除することになり、前述した第3の実施形態と同様に運転者に車線逸脱状態を確実に認識させて、操舵介入が必要であることを認識させることができる。
【0066】
次に、本発明の第5の実施形態を図22及び図23について説明する。
この第5の実施形態では、車線逸脱傾向を検出した時点から実際に車両が車線逸脱するまでの時間を一定時間に制御するようにしたものである。
すなわち、第5の実施形態では、制御コントローラ3で実行される車線追従制御処理が図22に示すように、前述した第5の実施形態における図20の処理において、ステップS15とステップS71との間に予め設定した目標車線逸脱時間td* から車線逸脱所要時間tを減算して白線追従走行時間tdを算出するステップS77が介挿されていることを除いては図20と同様の処理を行い、図20との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0067】
この第5の実施形態によると、図23に示すように、車線逸脱傾向を検出した時点から車線逸脱所要時間t後に自車両の制御用曲率ρC が白線曲率ρと一致する白線追従制御が行われ、その後の白線曲率ρと自車両の制御用曲率ρC とが一致した状態を維持する白線追従走行時間tdが目標車線逸脱時間td* から車線逸脱検出時から車線逸脱するまでの車線逸脱所要時間tを減算した値として算出されるので、車線逸脱検出時から目標操舵角θ* を徐々に“0”に復帰させる操舵復帰制御が開始される時点即ち実際に車線逸脱状態となるまでの時間が常に目標車線逸脱時間td* に制御されることになり、目標車線逸脱時間td* を運転者の操舵介入に必要とする時間に設定することにより、運転者が車線逸脱警報の発生時から実際に車線逸脱するまでの間に確実に操舵介入することができる。
【0068】
なお、上記第3〜第5の実施形態においても、前記第2の実施形態のように、制御用曲率ρC の最大値を白線曲率ρに車速検出値Vの増加に応じて増加する制御用曲率ゲインGを乗算した値に制御することにより、図24に示すように車速検出値Vに応じて目標車線逸脱距離L* を変更するようにしてもよい。
次に、本発明の第6の実施形態を図25及び図26について説明する。
【0069】
この第6の実施形態では、車線逸脱傾向を検出したときに、実際に車線逸脱するまでの目標車線逸脱時間td* を維持するように車線逸脱距離を設定し、この車線逸脱距離で車線逸脱するように制御用曲率ρC を制御するようにしたものである。
すなわち、第6の実施形態では、制御コントローラ3で実行する車線追従制御処理が、図25に示すように、前述した第1の実施形態における図3の処理において、ステップS8〜ステップS18の処理が省略され、これらに代えて、ステップS7からステップS81に移行して、現在の車線逸脱位置での白線曲率ρを算出し、次いでステップS82に移行して、目標車線逸脱時間td* に車速センサ5で検出した車速検出値Vを乗算して図26に示す目標車線逸脱距離L* を算出し、次いでステップS83に移行して、前述した図12の画像情報から図26に示すように目標車線逸脱距離L* だけ先の白線上の車線逸脱位置Pを求め、現在の車両に対する車線逸脱位置Pの横変位xを算出し、次いでステップS84に移行して、目標車線逸脱距離L* を横変位xで微分することにより、制御用曲率ρC (=dL* /dx)を算出し、次いで、ステップS85に移行して、算出した制御用曲率ρC に対応する目標操舵角θ* を算出し、この目標操舵角θ* を操舵補助機構7に出力する操舵制御処理を行ってから前記ステップS1に戻るように変更されていることを除いては図3と同様の処理を行い、図3との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0070】
この第6の実施形態によると、車線逸脱傾向を検出した時点で、目標車線逸脱時間td* に車速検出値Vを乗算することにより、目標車線逸脱距離L* を算出し、この目標車線逸脱距離L* だけ先の白線上の車線逸脱位置Pを求めて、この車線逸脱位置Pの現在の車両位置に対する横変位xを求め、目標車線逸脱距離L* を横変位xで微分することにより、制御用曲率ρC を算出し、この制御用曲率ρC に基づいて補助操舵機構7を制御して、目標車線逸脱距離L* だけ先の白線上で車線逸脱するように操舵制御するので、車線逸脱傾向を検出してから実際に車線を逸脱するまでの車線逸脱所要時間を目標車線逸脱所要時間td* に車速にかかわらずに正確に一致させることができ、運転者がステアリングホイールを操舵することにより、車線逸脱回避動作を容易に行うことができる。
【0071】
なお、上記第1〜第6の実施形態においては、車線逸脱傾向を判断する閾値φTHが固定値である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、閾値φTHを車速検出値Vの増加に応じて増加するように設定することにより、車速検出値Vが大きくなるほど車線逸脱に至るまでの時間が短くなることから、より早い段階で車線逸脱を検出することができる。
【0072】
また、上記第1〜第6の実施形態においては、旋回状況検出手段としてヨーレートセンサ4を用いた場合について説明したが、ヨーレートセンサ4を設ける代わりに、舵角センサを設け、この舵角センサで検出した操舵角と車速センサ5で検出した車速Vとをもとに実際のヨーレートを推定するようにしてもよい。
さらに、ヨーレートに代えて横加速度を用いるようにしてもよい。なお、この場合、前方注視点における横変位XL1から車線中央に到達するまでに必要な横加速度YG-NEEDは、次式(5)に基づいて算出する。
【0073】
YG-NEED=(2×XL1×V×V)/(L1×L1) ……(5)
そして、ヨーレートセンサ4に代えて横加速度センサを設け、この横加速度センサで検出した横加速度と、(5)式から算出した必要横加速度YG-NEEDとの偏差の絶対値が、予め設定した閾値YG-THをこえるとき、車線逸脱の可能性があると判定して警報器6を駆動する。
【0074】
なお、この場合の閾値YG-THも、車速Vに応じて設定するようにし、車速Vが大きくなるほど小さくなるように設定すれば、車速Vが高い状態であっても車線逸脱に至る前に確実に警報を発生させることができる。
さらにまた、横加速度センサを設ける代わりに、舵角センサを設け、この舵角センサで検出した操舵角と車速センサ5で検出した車速Vとから横加速度を推定するようにしてもよい。
【0075】
なおさらに、上記第1〜第6の実施形態においては、白線モデル間の中央部、つまり車線中央部を注視点Aとして設定し、この注視点Aに自車両が到達するためのヨーレートを検出するようにした場合について説明したがこれに限るものではなく、車両が走行車線を逸脱することなく走行可能な位置を注視点として設定すればよい。
【0076】
また、上記各実施の形態においては、カメラ1が撮像した画像情報に対して画像処理を行い白線を検出してこれに基づき道路形状を推定するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、道路脇に道路曲率が変化する地点で道路曲率を送信する送信手段を設け、車両で送信手段からの道路曲率を受信することにより、走行路の道路曲率を得るようにしてもよく、さらには、全地球測位システム(GPS)を有するカーナビゲーションシステムを搭載した車両である場合には、自車両の現在位置と地図情報とから自車両前方の道路曲率を自動的に出力するようにしてもよく、要は車両前方の道路形状を検出することができればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】カメラの取り付け位置を示す説明図である。
【図3】第1の実施形態における車線追従制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】図3における道路白線検出処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】白線モデルを説明する図である。
【図6】白線候補点検出領域の初期値の設定方法を説明するための図である。
【図7】すでに道路白線が検出されている場合の、白線候補点検出領域の初期値の設定方法を説明するための図である。
【図8】撮像した道路画像上における白線候補点検出領域の設定方法を説明するための図である。
【図9】白線候補点の検出方法を説明するための図である。
【図10】今回検出した白線候補点と前回求めた白線モデル上の点とのずれ量を示す図である。
【図11】走行状況監視処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】注視点における横変位の検出方法を説明するための図である。
【図13】第1実施形態の白線検出動作を説明するための図である。
【図14】第1実施形態の車線追従動作を説明するための図である。
【図15】本発明の第2の実施形態における車線追従制御処理手順を示すフローチャートである。
【図16】車速検出値Vと制御用曲率ゲインGとの関係を示す制御マップである。
【図17】第2の実施形態の車線追従動作を説明するための図である。
【図18】本発明の第3の実施形態における車線追従制御処理手順を示すフローチャートである。
【図19】第3の実施形態の車線追従動作を説明するための図である。
【図20】本発明の第4の実施形態における車線追従制御処理手順を示すフローチャートである。
【図21】第4の実施形態の車線追従動作を説明するための図である。
【図22】本発明の第5の実施形態における車線追従制御処理手順を示すフローチャートである。
【図23】第5の実施形態の車線追従動作を説明するための図である。
【図24】第3〜第5の実施形態における車速に応じた車線追従動作を説明するための図である。
【図25】本発明の第6の実施形態における車線追従制御処理手順を示すフローチャートである。
【図26】第6の実施形態の車線追従動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 カメラ
2 画像処理装置
3 制御コントローラ
4 ヨーレートセンサ
5 車速センサ
6 警報器
7 補助操舵機構
8 方向指示器
9 操舵トルクセンサ
Claims (6)
- 車両前方の車線を検出して道路形状を検出する道路形状検出手段と、自車両の旋回度合を検出する旋回度合検出手段と、前記道路形状検出手段で検出した道路形状と前記旋回度合検出手段で検出した旋回度合とに基づいて自車両が車線逸脱傾向にあるか否かを判定する車線逸脱判定手段と、該車線逸脱判定手段の判定結果が車線逸脱傾向にあるときに、自車両の操舵系に対して前記道路形状検出手段で検出した道路形状に沿う方向に操舵補助トルクを発生させながら自車両を前記車線から徐々に逸脱させる操舵制御手段とを備えていることを特徴とする車線追従制御装置。
- 運転者が操舵操作を行っていることを検出する操舵操作検出手段をさらに有し、前記操舵制御手段は、前記操舵操作検出手段によって運転者の操舵操作が検出されたとき、前記操舵補助トルクの付与を中止することを特徴とする請求項1に記載の車線追従制御装置。
- 前記操舵制御手段は、前記操舵補助トルクを徐々に増加して自車両が前記車線に沿う状態で所定時間操舵補助トルクを維持した後、徐々に解除することを特徴とする請求項1又は2に記載の車線追従制御装置。
- 前記道路形状検出手段は、車両前方を撮像する撮像手段と、当該撮像手段で撮像した画像から白線を検出する白線検出手段と、該白線検出手段で検出した白線の曲率を検出する白線曲率検出手段とを備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車線追従制御装置。
- 前記旋回度合検出手段は、車両の操舵角を検出する操舵角検出手段、車両のヨー角を検出するヨー角検出手段及び自車両横変位を検出する横変位検出手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車線追従制御装置。
- 車両の車速を検出する車速検出手段を有し、前記操舵制御手段は、前記車速検出手段で検出した車速の増加に応じて大きな操舵補助トルクを与えるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の車線追従制御装置。
Priority Applications (2)
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