以下、図面を参照して、本発明に係る走行支援装置の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、本発明に係る走行支援装置を、車線維持支援装置に適用する。本実施の形態に係る車線維持支援装置は、運転者よる操舵操作を支援するために、カメラによる撮像画像から白線を認識し、左右の白線からなる車線に沿って走行するように操舵制御を行う。さらに、本実施の形態に係る車線維持支援装置は、運転者による車線変更意志を検出した場合、走行中の車線(以下で、元車線と呼ぶ)から車線変更先の隣接車線(以下で、次車線と呼ぶ)に車線変更するように操舵制御を行う。
図1及び図2を参照して、本実施の形態に係る車線維持支援装置1について説明する。図1は、本実施の形態に係る車線維持支援装置の構成図である。図2は、図1の白線認識センサで認識する情報の説明図である。
車線維持支援装置1は、車線維持支援機能と車線変更支援機能を有している。車線維持支援装置1では、通常、車線の中央線に沿って走行するために必要な目標ヨーレートを設定するが、車線変更支援許可条件を満たしたときには次車線に移動するために必要な目標ヨーレートを設定する。そして、車線維持支援装置1では、電動パワーステアリング装置を利用してその目標ヨーレートを発生させるための出力トルクを操舵機構に付加する。そのために、車線維持支援装置1は、車速センサ10、操舵トルクセンサ11、白線認識センサ12、ブレーキスイッチ13、ウインカスイッチ14、メインスイッチ15、電動パワーステアリング装置20、警報ブザー21、メータ装置22及び車線維持支援[Electronic Control Unit]ECU30を備えている。
なお、本実施の形態では、白線認識センサ12が特許請求の範囲に記載するオフセット取得手段、車線幅取得手段、角度取得手段、カーブ半径取得手段に相当し、車線維持支援ECU30における各処理が特許請求の範囲に記載する車線変更制御量設定手段、変更先車線認識判定手段、車線離脱判定手段に相当する。
車速センサ10は、車両の速度を検出するセンサである。車速センサ10では、検出した車速を車速信号として車線維持支援ECU30に送信する。操舵トルクセンサ11は、ステアリングホイールから入力された操舵トルクを検出するセンサである、操舵トルクセンサ11では、検出した操舵トルクを操舵トルク信号として車線維持支援ECU30に送信する。
白線認識センサ12は、カメラ(例えば、CCD[Charge Coupled Device]カメラ)と画像処理部を備えている。カメラは、車線維持支援装置1を搭載する車両の前方に取り付けられる(例えば、ルームミラーに内蔵)。この際、カメラは、その光軸方向が車両の進行方向と一致するように取り付けられる。カメラでは、車両の前方の道路を撮像し、その撮像したカラー画像(例えば、RGB[Red Green Blue]による画像)を取得する。カメラでは、その撮像画像のデータを撮像信号として画像処理部に送信する。カメラは、左右方向に撮像範囲が広く、走行している車線を示す左右両側(一対)の白線を十分に撮像可能である。なお、カメラはカラーであるが、道路上の白線を認識できる画像を取得できればよいので、白黒のカメラでもよい。
画像処理部では、カメラから撮像信号を取り入れ、撮像信号の撮像画像データから車両が走行している車線を示す一対の白線(道路区画線)を認識する。さらに、画像処理部では、認識した白線が実線かあるいは破線かを判定する。撮像画像では、路面とその上に描かれた白線との輝度差が大きいことから、走行レーンを区画する白線はエッジ検出などによって比較的検出しやすく、車両前方の車線を検出するのに都合がいい。
そして、図2に示すように、画像処理部では、認識した一対の白線から車線幅W、一対の白線の中心を通る線(すなわち、車線の中心線CL)を演算する。さらに、画像処理部では、車線の中心線CLのカーブ半径R(道路曲率=1/R)を演算する。また、画像処理部では、車線の中心線CLの接線方向と車両の前後方向の中心軸とのなす角度(偏向角θ)及び車線の中心線CLに対する車両重心位置の横方向のずれ量(オフセットD)を演算する。そして、画像処理部では、これら認識した一対の白線の情報や演算した各情報を画像信号として車線維持支援ECU30に送信する。
なお、白線認識センサ12で認識されるカーブ半径R、偏向角θ、オフセットDは、プラス値/マイナス値で表され、その符号が方向を示す。カーブ半径Rは、プラス値が右カーブ、マイナス値が左カーブを示す。偏向角θは、プラス値が右側偏向角であり、マイナス値が左側偏向角である。オフセットDは、プラス値が右側オフセットであり、マイナス値が左側オフセットである。
ブレーキスイッチ13は、運転者によってブレーキペダルが踏み込まれたか否か(ブレーキペダルのON/OFF)を検知するスイッチである。ブレーキスイッチ13では、ブレーキペダルのON/OFFをブレーキ信号として車線維持支援ECU30に送信する。
ウインカスイッチ14は、運転者による方向指示(右方向指示ON、左方向指示ON、OFF)を入力するためのスイッチである。ウインカスイッチ14では、運転者のウインカ操作情報をウインカ信号として車線維持支援ECU30に送信する。
メインスイッチ15は、運転者による車線維持支援装置1のON/OFFを入力するためのスイッチである。メインスイッチ15では、運転者のON/OFF操作をメインスイッチ信号として車線維持支援ECU30に送信する。車線維持支援装置1では、メインスイッチ15がON操作された場合には起動し、メインスイッチ15がOFF操作された場合には停止する。
電動パワーステアリング装置20は、EPS[Electric Power Steering]ECUによってモータを駆動制御し、モータによる駆動トルクにより運転者による操舵をアシストする。EPSECUでは、運転者の操舵による操舵トルクに基づいてアシストトルクを設定し、モータドライバによってそのアシストトルクを発生させるためにモータを駆動制御する。特に、EPSECUでは、車線維持支援ECU30からの出力トルク信号を受信すると、その出力トルク信号に示される出力トルクに所定の制御ゲインを乗算し、その乗算値(付加トルク)をアシストトルクに加算し、そのアシストトルク+付加トルクを発生させるためにモータを駆動制御する。モータによる駆動トルクは操舵機構に付加され、操舵機構には運転者による操舵トルク以外にモータによるトルクが加わる。なお、操舵トルク、アシストトルク、出力トルク(付加トルク)は、プラス値/マイナス値で表され、その符号が方向を示す。各トルクは、プラス値が左方向へのトルク、マイナス値が右方向へのトルクを示す
警報ブザー21は、車線維持支援装置1用の警報ブザーである。警報ブザー21では、車線維持支援ECU30からの異常信号を受信し、異常信号に異常と示されている場合にはブザー音を出力させる。
メータ装置22は、運転者に対して車両の様々な情報を提供する装置であり、スピードメータ、タコメータ、燃料計などの計器類と運転者に各種異常を知らせる警告灯などを備えている。メータ装置22では、車両内の様々なECUから信号を受信し、各信号に応じて各計器を作動させるとともに各警告灯を点灯/非点灯する。特に、メータ装置22では、車線維持支援装置1用の警告灯を備えており、車線維持支援ECU30からの異常信号を受信し、異常信号に異常と示されている場合にはその警告灯を点灯させる。
車線維持支援ECU30は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[ReadOnly Memory]、RAM[Random Access Memory]などからなり、車線維持支援装置1を統括制御する。車線維持支援ECU30では、メインスイッチ15からのメインスイッチ信号でONが示されている場合には起動し、メインスイッチ信号でOFFが示されている場合には停止する。起動すると、車線維持支援ECU30では、一定時間毎に、白線認識センサ12からの画像信号を取り入れるとともに、各センサ10,11からの検出信号や各スイッチ13,14からの信号を取り入れる。そして、車線維持支援ECU30では、ROMに格納される各プログラムをCPUで実行することによってメイン処理、次車線認識判定処理、車線変更支援許可判定処理、左車線変更処理、右車線変更処理などを一定時間毎に行う。
メイン処理について説明する。車線維持支援ECU30では、各種情報を取得すると、車線維持支援許可条件の判定を行う。車線維持支援許可条件は、車線維持支援(車線変更支援)を行ってよい状態か否かを判定するための条件であり、例えば、操舵トルク信号に示される操舵トルクが所定値未満、ブレーキ操作がOFF、白線認識センサ12で白線を認識可能である。運転者が大きな操舵操作を行う場合や運転者がブレーキ操作を行う場合、危険回避などの必要性の高い操作と予測されるので、支援を行わずに、運転者の操作に任せる。白線(車線)を認識できない場合、車線維持制御を行うことができない。
続いて、車線維持支援ECU30では、次車線認識判定処理を行う。そして、車線維持支援ECU30では、車線維持制御フラグのON/OFF(車線維持制御中か否か)及び車線変更制御フラグのON/OFF(車線変更制御中か否か)を判定する。車線維持制御フラグは、車線維持支援を行うか否かを示すフラグであり、車線維持支援許可条件を満たしている場合にはONであり、車線維持支援許可条件を満たしていない場合にはOFFである。車線変更制御フラグは、車線変更支援を行うか否かを示すフラグであり、車線変更支援許可条件を満たしている場合にはONであり、車線変更支援許可条件を満たしていない場合にはOFFである。車線維持制御フラグがOFFの場合、車線維持支援ECU30では、車線維持制御及び車線変更制御を行わない。車線維持制御フラグがONかつ車線変更制御フラグがOFFの場合、車線維持支援ECU30では、現在走行中の車線に対して車線維持制御を行うとともに、車線変更支援許可判定処理を行う。車線維持制御フラグがONかつ車線変更制御フラグがONの場合、車線維持支援ECU30では、左車線変更制御フラグがONの場合(右車線変更制御フラグがOFFの場合)には左車線変更処理を行い、右車線変更制御フラグがONの場合(左車線変更制御フラグがOFFの場合)には右車線変更処理を行う。左車線変更制御フラグは、左側の次車線への車線変更支援を行うか否かを示すフラグであり、ウインカが左方向指示ONのときに車線変更支援許可条件を満たしている場合にはONであり、車線変更支援許可条件を満たしていない場合にはOFFである。右車線変更制御フラグは、右側の次車線への車線変更支援を行うか否かを示すフラグであり、ウインカが右方向指示ONのときに車線変更支援許可条件を満たしている場合にはONであり、車線変更支援許可条件を満たしていない場合にはOFFである。
次に、次車線認識判定処理について説明する。次車線認識判定とは、白線認識センサ12における白線(車線)認識で元車線から車線変更方向の次車線を認識するようになったか否かを判定することである。白線認識センサ12で元車線から次車線への認識に切り替わった場合、求められるオフセットDなどの各パラメータは元車線に対する値から次車線に対する値となる。
車線維持支援ECU30では、まず、車線変更制御フラグのON/OFF(車線変更制御中か否か)を判定する。車線変更制御フラグがOFFの場合、車線維持支援ECU30では、次車線認識カウンタに0を設定する。次車線認識カウンタは、白線認識センサ12でどの車線を認識しているか否かを示すカウンタであり、0の場合には元車線であり、+1の場合には元車線の左側の次車線であり、−1の場合には元車線の右側の次車線である。
車線変更制御フラグがONの場合、車線維持支援ECU30では、式(1)で示す条件と式(2)で示す条件を判定する。式(1)の条件は、白線認識センサ12で元車線から左側の次車線の認識に切り替わったか否かを判定するための条件である。式(2)の条件は、白線認識センサ12で元車線から右側の次車線の認識に切り替わったか否かを判定するための条件である。白線認識センサ12で元車線の認識から次車線の認識に切り替わったときには、基準となる車線の中心線CLの位置が車両に対して左側から右側又は右側から左側に変わるので、その切り替わりの前後でオフセットD0,D1の符号が変わる(例えば、元車線の中心線CLに対して左側のオフセット(プラス値)であったが、左側の次車線への認識に切り替わると、左側の次車線の中心線CLに対しては右側のオフセットとなる)。また、その切り替わった前後のオフセットDの大きさの合計値(|D0|+|D1|)は、基準となる中心線CLの位置が車線幅分移動するので、元車線と次車線の車線幅の合計値の1/2の値(すなわち、車線幅)程度になる。ちなみに、元車線に対する認識を継続しているときでも、車両の重心位置が車線の中心線近傍で変動すると、オフセットDの符号が変わる場合があるが、オフセットDの大きさの合計値は小さい値となる。
D0はオフセットの前回値であり、D1はオフセットの今回値である。W0は車線幅の前回値であり、W1は車線幅の今回値である。αは、オフセットD0,D1の大きさの合計値の大きさ判定の許容範囲を示す定数であり、実験などによって予め設定される。
式(1)の条件を満たす場合、オフセットの今回値D1と前回値D0から白線認識センサ12では左側の次車線の認識に切り替わったと判断できるので、車線維持支援ECU30では、次車線認識カウンタに1を加算する。一方、式(2)の条件を満たす場合、オフセットの今回値D1と前回値D0から白線認識センサ12では右側の次車線の認識に切り替わったと判断できるので、車線維持支援ECU30では、次車線認識カウンタから−1を減算する。
次に、車線変更支援許可判定処理について説明する。車線維持支援ECU30では、まず、ウインカがOFFか否かを判定する。ウインカがOFFの場合、運転者は車線変更をする意志がないと判断できるので、車線維持支援ECU30では、車線変更制御フラグ及び左車線変更制御フラグと右車線変更制御フラグを0のまま維持し、ウインカOFF記憶フラグにONを設定する。ウインカOFF記憶フラグは、ウインカがOFFか否かを示すフラグであり、ウインカがOFFの場合にはONであり、ウインカが左方向指示ON又は右方向指示ONの場合にはOFFである。
ウインカがONの場合(左方向指示ON又は右方向指示ONの場合)、運転者は車線変更をする意志がある可能性があるので、車線維持支援ECU30では、ウインカOFF記憶フラグがONか又は車線変更許可タイマが0でないか否かを判定する。左車線変更許可タイマは、ウインカがOFFから左方向指示ONに切り替わってからの経過時間を計測するタイマである。右車線変更許可タイマは、ウインカがOFFから右方向指示ONに切り替わってからの経過時間を計測するタイマである。各車線変更許可タイマは、ウインカがOFFからONに切り替わった時点から車線変更支援許可判定処理を行う毎(車線維持支援ECU30で各処理を行う一定時間毎)に1ずつカウントアップされる。
ウインカOFF記憶フラグがONの場合又は車線変更許可タイマが0でない場合(前回処理でウインカがOFFで今回処理でONに切り替わった場合又はウインカが既にONに切り替わっており、切り替わってからの経過時間を計測中の場合)、次車線が車線変更を行ってよい車線か否かを判定するために、車線維持支援ECU30では、ウインカの指示方向の白線が実線か又は破線かを判定する。指示方向の白線が実線の場合、指示方向の車線への車線変更は禁止なので、車線維持支援ECU30では、支援を中止し、異常処理を行う。具体的に、車線維持支援ECU30では、車線維持制御フラグにOFFを設定するとともに、異常を示す異常信号を設定し、その異常信号を警報ブザー21及びメータ装置22に送信する。ここでは、運転者に対する支援を禁止して運転者の操作に任せ、警報を出力して車線変更禁止であることを運転者に知らせる。
指示方向の白線が破線の場合、指示方向の車線への車線変更は可能なので、ウインカがONに切り替わってから十分な時間が経過したか否かを判定するために、車線維持支援ECU30では、カウントアップ中の車線変更許可タイマがdelay_time以上になったか否かを判定する。delay_timeは、運転者がウインカをONしてから実際の車線変更制御を開始するまでに必要な遅延時間(例えば、ウインカの点滅3回程度)であり、車線変更許可タイマの単位で表した値(すなわち、実際に必要な遅延時間/車線維持支援ECU30で各処理を行う一定時間)である。delay_time分継続してウインカがON操作のままであることを車線変更支援の許可条件とすることにより、運転者の車線変更意志を十分に確認することができ(ひいては、誤操作による車線変更支援を防止でき)、周辺の車両に対して車線変更を行おうとしていることを十分に知らせる時間をとることができる。車線変更許可タイマがdelay_time未満の場合、車線変更支援を未だ車線変更支援を許可できないので、車線維持支援ECU30では、車線変更制御フラグをOFFのまま維持する。一方、車線変更許可タイマがdelay_time以上の場合、車線変更支援を許可できるので、車線維持支援ECU30では、車線変更制御フラグをONに設定するとともに、ウインカが左方向指示ONの場合には左車線変更制御フラグをONに設定し、右方向指示ONの場合には右車線変更制御フラグをONに設定する。
次に、左車線変更処理について説明する。車線維持支援ECU30では、白線認識センサ12で認識している車線を判別するために、次車線認識カウンタが+1又は0かを判定する。ちなみに、上記したように白線認識センサ12で元車線を認識しているかあるいは次車線を認識しているかによってオフセットDを求めるときの車線の中心線CLが変わるので、車線変更制御を行う場合、白線認識センサ12でどの車線を認識しているかは非常に重要となる。
次車線認識カウンタが+1の場合、車両が元車線寄りかあるいは次車線寄りかを判断するために、車線維持支援ECU30では、オフセットD(左側の次車線の中心線CLに対するオフセット)が車線幅W(左側の次車線の車線幅)の1/2より小さいか否かを判定する。オフセットDが車線幅Wの1/2より小さい場合、車両の重心位置が左側の次車線内にあるので、左側の次車線への車線変更制御を終了し、車線維持支援ECU30では、左側の次車線に対する車線維持制御を行う。
オフセットDが車線幅Wの1/2以上の場合、車線維持支援ECU30では、右側の白線が破線か否かを判定する。右側の白線が実線の場合、指示方向の車線への車線変更は禁止なので、車線維持支援ECU30では、上記と同様に、支援を中止し、異常処理を行う。オフセットDが車線幅Wの1/2以上かつ右側の白線が破線の場合、車線変更可能な車線であるが車両の重心位置が元車線内にあるので、車線変更を中止するかを判断するために、車線維持支援ECU30では、ウインカがOFF又は右指示方向がONに切り替わったか否かを判定する。ウインカがOFF又は右指示方向がONに切り替わった場合、車線変更制御中であるが車両が元車線寄りであり、運転者も車線変更中止の意志を示したので、車線維持支援ECU30では、元車線に対する右車線変更制御を行う。ここでは、白線認識センサ12で左側の次車線を認識しているので、元車線に復帰するためには、右車線変更制御が必要となる。一方、ウインカの左指示方向がONを維持している場合、運転者の車線変更意志が継続しているので、車線維持支援ECU30では、左側の次車線への車線変更制御を行う。
次車線認識カウンタが0の場合、車線維持支援ECU30では、オフセットD(元車線の中心線CLに対するオフセット)のマイナス値が車線幅W(元車線の車線幅)の1/2以下か否かを判定する。オフセットDのマイナス値が車線幅Wの1/2以下の場合、車線維持支援ECU30では、左側の白線が破線か否かを判定する。左側の白線が実線の場合、指示方向の車線への車線変更は禁止なので、車線維持支援ECU30では、上記と同様に、支援を中止し、異常処理を行う。オフセットDのマイナス値が車線幅Wの1/2以下かつ左側の白線が破線の場合、車線変更可能な車線であるが車両の重心位置が元車線内にあるので、車線変更を中止するかを判断するために、車線維持支援ECU30では、ウインカがOFF又は右指示方向がONに切り替わったか否かを判定する。ウインカがOFF又は右指示方向がONに切り替わった場合、車線変更制御中であるが車両が元車線寄りであり、運転者も車線変更中止の意志を示したので、車線維持支援ECU30では、元車線に対する車線維持制御を行う。ここでは、白線認識センサ12で元車線を認識しているので、元車線に復帰するためには、車線維持制御が必要となる。一方、ウインカの左指示方向がONを維持している場合、運転者の車線変更意志が継続しているので、車線維持支援ECU30では、左側の次車線への車線変更制御を行う。
オフセットDのマイナス値が車線幅Wの1/2より大きい場合、白線認識センサ12では左側の次車線を認識できていないが車両が元車線から離脱しているので、異常な状態か否かを判断するために、車線維持支援ECU30では、ウインカがOFF又は右指示方向がONに切り替わったか否かを判定する。ウインカがOFF又は右指示方向がONに切り替わった場合、元車線から移動し、車線として認識できない場所に移動したにもかかわらず、運転者が車両変更を終了したと判断しているので、異常な状態であり、車線維持支援ECU30では、上記と同様に、支援を中止し、異常処理を行う。この場合、一対の白線からなる車線として区画されていない路側帯などへの車両変更を行ったので、運転者に対する支援を禁止して運転者の操作に任せ、警報を出力して走行禁止であることを運転者に知らせる。一方、ウインカの左指示方向がONを維持している場合、運転者の車線変更意志が継続しているので、車線維持支援ECU30では、左側の次車線への車線変更制御を継続する。
次車線認識カウンタが+1でも0でもない場合、左側の次車線への車線変更を行っているにもかかわらず、白線認識センサ12で元車線も左側の次車線も認識できないので、異常な状態であり、車線維持支援ECU30では、上記と同様に、支援を中止し、異常処理を行う。この場合、白線を認識できないので、運転者に対する支援を禁止して運転者の操作に任せ、警報を出力して支援不可であることを運転者に知らせる。
次に、右車線変更処理について説明する。右車線変更処理は、上記した左車線変更処理と同様の処理であるので、説明を省略する。ただし、右車線変更処理の場合、次車線認識カウンタの判定とオフセットDの判定については符号が逆になり、白線の破線判定については逆側の白線に対する判定になり、ウインカの方向指示ON判定についても方向が逆側になる。
車線維持制御を行う場合(車線維持制御フラグがONかつ車線変更制御フラグがOFFの場合又は車線維持制御フラグがONかつ車線変更制御フラグがONかつ次車線認識カウンタが0のときに元車線に復帰する場合)、車線維持支援ECU30では、式(3)により目標ヨーレートγを算出する。左側車線への車線変更制御を行う場合(車線維持制御フラグがONかつ車線変更制御フラグがONかつ左車線変更制御フラグがONかつ次車線認識カウンタが0の場合又は車線維持制御フラグがONかつ車線変更制御フラグがONかつ右車線変更制御フラグがONかつ次車線認識カウンタが−1のときに元車線に復帰する場合)、車線維持支援ECU30では、式(4)により目標ヨーレートγを算出する。右側車線への車線変更制御を行う場合(車線維持制御フラグがONかつ車線変更制御フラグがONかつ右車線変更制御フラグがONかつ次車線認識カウンタが0の場合又は車線維持制御フラグがONかつ車線変更制御フラグがONかつ左車線変更制御フラグがONかつ次車線認識カウンタが+1のときに元車線に復帰する場合)、車線維持支援ECU30では、式(5)により目標ヨーレートγを算出する。車線変更後に車線維持制御を行う場合(車線維持制御フラグがONかつ車線変更制御フラグがONかつ左車線変更制御フラグがONかつ次車線認識カウンタが+1の場合又は車線維持制御フラグがONかつ車線変更制御フラグがONかつ右車線変更制御フラグがONかつ次車線認識カウンタが−1の場合)、車線維持支援ECU30では、式(6)により目標ヨーレートγを算出する。
K1、K2、K3は、制御ゲインであり、実験やシミュレーションなどによって予め設定される定数である。K3’は、制御ゲインであり、車速に応じた可変値(例えば、高車速ほど小さい値とする)である。Rはカーブ半径であり、θは偏向角であり、Dはオフセットであり、Wは車線幅である。
(K1×R)項は、車両をカーブに沿って走行させるために必要となる目標横加速度を発生させるヨーレートであり、直線路では0になる。(K2×θ)項は、偏向角を0に収束させるために必要となる目標横加速度を発生させるヨーレートである。(K3×D)項、(K3’×D)項は、オフセットを0に収束させるために必要となる目標横加速度を発生させるヨーレートである。(K3’×(D+W))項は、オフセットを0に収束させるとともに左側に1車線分移動させるために必要となる目標横加速度を発生させるヨーレートである。(K3’×(D−W))項は、オフセットを収束させるとともに右側に1車線分移動させるために必要となる目標横加速度を発生させるヨーレートである。(K1×R)項はフィードフォワード制御であり、(K2×θ)項と(K3×D)項、(K3’×D)項、(K3’×(D+W))項、(K3’×(D−W))項はフィードバック制御である。
車線維持制御では、車線の中心線CL上に車両の重心位置が位置するように、中心線CLからのオフセットDが0に収束するような目標ヨーレートを設定する。車線変更制御では、白線認識センサ12で元車線を認識している間は元車線の中心線CLに対するオフセットDが求められているので、車両の重心位置が次車線の中心線CLまで移動するように、元車線の中心線CLからのオフセットDに車線幅Wを加味した値が0に収束するような目標ヨーレートを設定する。車線変更制御によって車両が車線変更先の次車線の方向を向き、次車線の方向に近づくと、白線認識センサ12では次車線を認識するようになる。このとき、車線変更中であるが車線変更制御から車線維持制御に切り替え、次車線の中心線CLからのオフセットDが0に収束するような目標ヨーレートを設定する。
目標ヨーレートγを設定すると、車線維持支援ECU30では、目標ヨーレートγに車速を乗算し、目標ヨーレートを発生するための目標横加速度を算出する。さらに、車線維持支援ECU30では、出力トルクマップを参照し、その目標横加速度を発生するために必要な出力トルクを設定する。出力トルクマップは、目標加速度に対してその目標加速度を発生するために必要な出力トルク(操舵トルク)が対応付けられたマップであり、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。そして、車線維持支援ECU30では、その設定した出力トルクを示す出力トルク信号を電動パワーステアリング装置20(EPSECU)に送信する。
図1及び図2を参照して、車線維持支援装置1における動作について説明する。特に、車線維持支援ECU30におけるメイン処理については図3のフローチャートに沿って説明し、次車線認識判定処理については図4のフローチャートに沿って説明し、車線変更支援許可判定処理については図5のフローチャートに沿って説明し、左車線変更処理については図6のフローチャートに沿って説明し、右車線変更処理については図7のフローチャートに沿って説明する。図3は、図1の車線維持支援ECUにおけるメイン処理のフローチャートである。図4は、図1の車線維持支援ECUにおける次車線認識判定処理のフローチャートである。図5は、図1の車線維持支援ECUにおける車線変更支援許可判定処理のフローチャートである。図6は、図1の車線維持支援ECUにおける左車線変更処理のフローチャートである。図7は、図1の車線維持支援ECUにおける右車線変更処理のフローチャートである。
車速センサ10では、車速を検出し、その車速を示す車速信号を車線維持支援ECU30に送信する。操舵トルクセンサ11では、ステアリングホイールから入力される操舵トルクを検出し、その操舵トルクを示す操舵トルク信号を車線維持支援ECU30に送信する。
白線認識センサ12では、カメラで車両の前方を撮像する。そして、白線認識センサ12の画像処理部では、撮像画像から車線を区画する一対の白線を認識し、その各白線が実線かあるいは破線かを判定する。さらに、画像処理部では、カーブ半径R1、偏向角θ1、オフセットD1、車線幅W1を演算する。そして、白線認識センサ12では、これら一対の白線の情報や演算した各情報を画像信号として車線維持支援ECU30に送信する。
車線維持支援ECU30では、メインスイッチ15からのメインスイッチ信号を受信し、メインスイッチのON/OFF情報を取得する。そして、メインスイッチがONの場合、車線維持支援ECU30では、車線維持支援装置1を起動し、以下の処理を一定時間毎に繰り返し行う。
車線維持支援ECU30では、操舵トルク信号、車速信号及び画像信号を受信し、操舵トルク、車速、白線認識情報を取得する(図3のS10)。また、車線維持支援ECU30では、ブレーキスイッチ13からのブレーキ信号、ウインカスイッチ14からのウインカ信号を受信し、ブレーキのON/OFF情報、ウインカ操作情報を取得する(図3のS11)。
車線維持支援ECU30では、操舵トルク、白線認識情報、ブレーキのON/OFF情報などに基づいて車線維持支援許可条件を満たしているか否か判定する。車線維持支援許可条件を満たしている場合、車線維持支援ECU30では、車線維持制御フラグにONを設定する。一方、車線維持支援許可条件を満たしていない場合、車線維持支援ECU30では、車線維持制御フラグにOFFを設定する。
次に、車線維持支援ECU30では、次車線認識判定処理を行う(図3のS12)。まず、車線維持支援ECU30では、車線変更制御フラグがONか否かを判定する(図4のS20)。S20にて車線変更制御フラグがOFFと判定した場合、車線維持支援ECU30では、次車線認識カウンタに0を設定する(図4のS21)。
一方、S20にて車線変更制御フラグがONと判定した場合、車線維持支援ECU30では、今回取得したオフセットD1、車線幅W1と前回取得したオフセットD0、車線幅W0を用いて、上記の式(1)の条件を判定する(図4のS22)。S22にて式(1)の条件を満たすと判定した場合、車線維持支援ECU30では、次車線認識カウンタに1を加算する(図4のS23)。
一方、S22にて式(1)の条件を満たさないと判定した場合、車線維持支援ECU30では、今回取得したオフセットD1、車線幅W1と前回取得したオフセットD0、車線幅W0を用いて、上記の式(2)の条件を判定する(図4のS24)。S24にて式(2)の条件を満たすと判定した場合、車線維持支援ECU30では、次車線認識カウンタから1を減算する(図4のS25)。一方、S24にて式(2)の条件を満たさないと判定した場合、車線維持支援ECU30では、次車線認識カウンタを維持する。
最後に、車線維持支援ECU30では、今回取得したカーブ半径R1、偏向角θ1、オフセットD1、車線幅W1をカーブ半径R0、偏向角θ0、オフセットD0、車線幅W0としてそれぞれ記憶し、今回の次車線認識判定処理を終了する(図4のS26)。
次に、車線維持支援ECU30では、車線維持制御フラグがONか否かを判定する(図3のS13)。S13にて車線維持制御フラグがOFFと判定した場合、車線維持支援ECU30では、車線維持制御を行わずに、今回の処理を終了する。
一方、S13にて車線維持制御フラグがONと判定した場合、車線維持支援ECU30では、車線変更制御フラグがONか否かを判定する(図3のS14)。S14にて車線変更制御フラグがOFFと判定した場合、現在走行中の車線に対する車線維持制御を行うために、車線維持支援ECU30では、今回取得したカーブ半径R1、偏向角θ1、オフセットD1を用いて上記の式(3)により目標ヨーレートγを算出し、さらに、この目標ヨーレートγを発生させるための出力トルクを設定する(図3のS15)。そして、車線維持支援ECU30では、出力トルクを示す出力トルク信号を電動パワーステアリング装置20に送信する(図3のS15)。電動パワーステアリング装置20のEPSECUでは、出力トルク信号を受信し、その出力トルク信号に示される出力トルクに所定の係数を乗算する。そして、EPSECUでは、その乗算値(付加トルク)をアシストトルクに加算し、そのアシストトルク+付加トルクに応じてモータを駆動制御する。モータでは、EPSECUによる制御によって所定のトルクを発生し、そのトルクを操舵機構に付加する。すると、操舵機構には、ドライバによる操舵トルクに応じたアシストトルクが加わるとともに、車両を現在走行中の車線の中心線CLに沿って走行させるための付加トルクが加わる。これによって、車両が現在走行中の車線の中心線CLに沿って走行するようになる。
続いて、車線維持支援ECU30では、車線変更支援許可判定処理を行う(図3のS16)。まず、車線維持支援ECU30では、ウインカがOFFか否かを判定する(図5のS30)。S30にてウインカがOFFと判定した場合、車線維持支援ECU30では、ウインカOFF記憶フラグにONを設定し(図5のS31)、左車線変更許可タイマと右車線変更許可タイマにそれぞれ0を設定し(図5のS32)、今回の車線変更支援許可判定処理を終了する。
一方、S30にてウインカがONと判定した場合、車線維持支援ECU30では、ウインカの左方向指示がONか否かを判定する(図5のS33)。S33にて左方向指示がONと判定した場合、車線維持支援ECU30では、ウインカOFF記憶フラグがON又は左車線変更許可タイマが0でないか否かを判定する(図5のS34)。S34にてウインカOFF記憶フラグがOFFかつ左車線変更許可タイマが0と判定した場合、車線維持支援ECU30では、左車線変更許可タイマと右車線変更許可タイマにそれぞれ0を設定し(図5のS32)、今回の車線変更支援許可判定処理を終了する。
一方、S34にてウインカOFF記憶フラグがON又は左車線変更許可タイマが0でないと判定した場合、車線維持支援ECU30では、ウインカOFF記憶フラグにOFFを設定する(図5のS35)。そして、車線維持支援ECU30では、左側の白線が破線か否かを判定する(図5のS36)。S36にて左側の白線が実線と判定した場合、左側の車線への車線変更が禁止なので、車線維持支援ECU30では、車線維持支援を中止するために車線維持制御フラグに0を設定し、異常を示す異常信号を警報ブザー21及びメータ装置22に送信する(図5のS47)。警報ブザー21では、異常信号を受信すると、車線維持支援用のブザー音を出力する。メータ装置22では、異常信号を受信すると、車線維持支援用の警告灯を点灯させる。これによって、運転者は、車線変更に関して異常な状態であることに気づく。そして、車線維持支援ECU30では、左車線変更許可タイマと右車線変更許可タイマにそれぞれ0を設定し(図5のS32)、今回の車線変更支援許可判定処理を終了する。
一方、S36にて左側の白線が破線と判定した場合、車線維持支援ECU30では、左車線変更許可タイマに1を加算する(図5のS37)。そして、車線維持支援ECU30では、左車線変更許可タイマがdelay_time以上か否かを判定する(図5のS38)。S38にて左車線変更許可タイマがdelay_time未満と判定した場合、車線維持支援ECU30では、今回の車線変更支援許可判定処理を終了する。
一方、S38にて左車線変更許可タイマがdelay_time以上と判定した場合、左側の次車線への車線変更支援許可条件を全て満たしたので、車線維持支援ECU30では、左車線変更制御フラグにONを設定する(図5のS39)。
S33にて左方向指示がOFFと判定した場合(右方向指示がONの場合)、車線維持支援ECU30では、ウインカOFF記憶フラグがON又は右車線変更許可タイマが0でないか否かを判定する(図5のS40)。S40にてウインカOFF記憶フラグがOFFかつ右車線変更許可タイマが0と判定した場合、車線維持支援ECU30では、左車線変更許可タイマと右車線変更許可タイマにそれぞれ0を設定し(図5のS32)、今回の車線変更支援許可判定処理を終了する。
一方、S40にてウインカOFF記憶フラグがON又は左車線変更許可タイマが0でないと判定した場合、車線維持支援ECU30では、ウインカOFF記憶フラグにOFFを設定する(図5のS41)。そして、車線維持支援ECU30では、右側の白線が破線か否かを判定する(図5のS42)。S42にて右側の白線が実線と判定した場合、右側の車線への車線変更が禁止なので、車線維持支援ECU30では、上記と同様にS47の処理を行い、左車線変更許可タイマと右車線変更許可タイマにそれぞれ0を設定し(図5のS32)、今回の車線変更支援許可判定処理を終了する。
一方、S42にて右側の白線が破線と判定した場合、車線維持支援ECU30では、右車線変更許可タイマに1を加算する(図5のS43)。そして、車線維持支援ECU30では、右車線変更許可タイマがdelay_time以上か否かを判定する(図5のS44)。S44にて右車線変更許可タイマがdelay_time未満と判定した場合、車線維持支援ECU30では、今回の車線変更支援許可判定処理を終了する。
一方、S44にて右車線変更許可タイマがdelay_time以上と判定した場合、右側の次車線への車線変更支援許可条件を全て満たしたので、車線維持支援ECU30では、右車線変更制御フラグにONを設定する(図5のS45)。
左車線変更制御フラグ又は右車線変更制御フラグにONを設定すると、車線維持支援ECU30では、車線変更制御フラグにONを設定し(図5のS46)、左車線変更許可タイマと右車線変更許可タイマにそれぞれ0を設定し(図5のS32)、今回の車線変更支援許可判定処理を終了する。
図3のS14にて車線変更制御フラグがONと判定した場合、車線維持支援ECU30では、左車線変更制御フラグがONか否かを判定する(図3のS17)。
S17にて左車線変更制御フラグがONと判定した場合、車線維持支援ECU30では、左車線変更処理を行う(図3のS18)。まず、車線維持支援ECU30では、次車線認識カウンタが+1か否かを判定する(図6のS50)。S50にて次車線認識カウンタが+1と判定した場合、車線維持支援ECU30では、オフセットD1が(車線幅W1/2)より小さいか否かを判定する(図6のS51)。S51にてオフセットD1が(車線幅W1/2)より小さいと判定した場合、白線認識センサ12で左側の次車線を認識しかつ車両の重心位置が左側の次車線内に入っているので、左側の次車線に対する車線維持制御を行うために、車線維持支援ECU30では、車速に基づいて制御ゲインK3’を設定し、今回取得したカーブ半径R1、偏向角θ1、オフセットD1を用いて上記の式(6)により目標ヨーレートγを算出し、さらに、この目標ヨーレートγを発生させるための出力トルクを設定する(図6のS52)。そして、車線維持支援ECU30では、出力トルクを示す出力トルク信号を電動パワーステアリング装置20に送信し(図6のS52)、車線変更制御フラグと左車線変更制御フラグにOFFを設定し(図6のS56)、今回の左車線変更処理を終了する。この出力トルク信号を受信すると、電動パワーステアリング装置20では上記と同様に動作し、操舵機構には車両を左側次車線の中心線に沿って走行させるための付加トルクが加わる。これによって、車両が左側の次車線の中心線に沿って走行するようになる。
一方、S51にてオフセットD1が(車線幅W1/2)以上と判定した場合、車線維持支援ECU30では、右側の白線が破線か否かを判定する(図6のS53)。S53にて右側の白線が実線と判定した場合、左側の車線への車線変更が禁止なので、車線維持支援ECU30では、車線変更支援を中止するために車線維持制御フラグに0を設定し、異常を示す異常信号を警報ブザー21及びメータ装置22に送信する(図6のS64)。上記と同様に、この異常信号を受信すると、警報ブザー21では車線維持支援用のブザー音を出力し、メータ装置22では車線維持支援用の警告灯を点灯させる。これによって、運転者は、車線変更に関して異常な状態であることに気づく。そして、車線維持支援ECU30では、車線変更制御フラグと左車線変更制御フラグにOFFを設定し(図6のS56)、今回の左車線変更処理を終了する。
一方、S53にて右側の白線が実線と判定した場合、左側の次車線への車線変更が可能であり、車線維持支援ECU30では、ウインカがOFF又は右方向指示がONか否かを判定する(図6のS54)。S54にてウインカがOFF又は右方向指示がONと判定した場合(すなわち、左方向指示ONからの再ウインカ操作の場合)、車両の重心位置が元車線内に入っており、運転者も左側の次車線への車線変更中止の意思を示したので、元車線に戻すために(元車線に対する右車線変更制御を行うために)、車線維持支援ECU30では、車速に基づいて制御ゲインK3’を設定し、今回取得したカーブ半径R1、偏向角θ1、オフセットD1、車線幅W1を用いて上記の式(5)により目標ヨーレートγを算出し、さらに、この目標ヨーレートγを発生させるための出力トルクを設定する(図6のS55)。そして、車線維持支援ECU30では、出力トルクを示す出力トルク信号を電動パワーステアリング装置20に送信し(図6のS55)、車線変更制御フラグと左車線変更制御フラグにOFFを設定し(図6のS56)、今回の左車線変更処理を終了する。この出力トルク信号を受信すると、電動パワーステアリング装置20では上記と同様に動作し、操舵機構には車両を元車線に移動させるための付加トルクが加わる。これによって、車両が元車線に戻ってゆく。
S54にてウインカの左方向指示がONと判定した場合、車両の重心位置が元車線内に入っており、運転者が左側の次車線への車線変更の意思を継続しているので、左側の次車線に対する車線変更制御を行うために、車線維持支援ECU30では、車速に基づいて制御ゲインK3’を設定し、今回取得したカーブ半径R1、偏向角θ1、オフセットD1、車線幅W1を用いて上記の式(4)により目標ヨーレートγを算出し、さらに、この目標ヨーレートγを発生させるための出力トルクを設定する(図6のS57)。そして、車線維持支援ECU30では、出力トルクを示す出力トルク信号を電動パワーステアリング装置20に送信し(図6のS57)、左車線変更処理を終了する。この出力トルク信号を受信すると、電動パワーステアリング装置20では上記と同様に動作し、操舵機構には左側次車線に移動させるための付加トルクが加わる。これによって、車両が左側次車線に移動してゆく。
S50にて次車線認識カウンタが+1でないと判定した場合、車線維持支援ECU30では、次車線認識カウンタが0か否かを判定する(図6のS58)。S58にて次車線認識カウンタが0でないと判定した場合、白線認識センサ12の認識状態が異常な状態なので、車線維持支援ECU30では、上記と同様にS64の処理を行う。そして、車線維持支援ECU30では、車線変更制御フラグと左車線変更制御フラグにOFFを設定し(図6のS56)、今回の左車線変更処理を終了する。
一方、S58にて次車線認識カウンタが0と判定した場合、車線維持支援ECU30では、オフセットD1のマイナス値が(車線幅W1/2)以下か否かを判定する(図6のS59)。S59にてオフセットD1のマイナス値が(車線幅W1/2)以下と判定した場合、車線維持支援ECU30では、左側の白線が破線か否かを判定する(図6のS60)。S60にて左側の白線が実線と判定した場合、左側の車線への車線変更が禁止なので、車線維持支援ECU30では、上記と同様にS64の処理を行う。そして、車線維持支援ECU30では、車線変更制御フラグと左車線変更制御フラグにOFFを設定し(図6のS56)、今回の左車線変更処理を終了する。
一方、S60にて左側の白線が破線と判定した場合、左側の次車線への車線変更が可能であり、車線維持支援ECU30では、ウインカがOFF又は右方向指示がONか否かを判定する(図6のS61)。S61にてウインカがOFF又は右方向指示がONと判定した場合(すなわち、左方向指示ONからの再ウインカ操作の場合)、車両の重心位置が元車線内に入っており、運転者も左側の次車線への車線変更中止の意思を示したので、元車線に対する車線維持制御を行うために、車線維持支援ECU30では、今回取得したカーブ半径R1、偏向角θ1、オフセットD1を用いて上記の式(3)により目標ヨーレートγを算出し、さらに、この目標ヨーレートγを発生させるための出力トルクを設定する(図6のS62)。そして、車線維持支援ECU30では、出力トルクを示す出力トルク信号を電動パワーステアリング装置20に送信し(図6のS62)、車線変更制御フラグと左車線変更制御フラグにOFFを設定し(図6のS56)、今回の左車線変更処理を終了する。この出力トルク信号を受信すると、電動パワーステアリング装置20では上記と同様に動作し、操舵機構には車両を元車線の中心線CLに沿って走行させるための付加トルクが加わる。これによって、車両が元車線の中心線CLに沿って走行するようになる。
一方、S61にてウインカの左方向指示がONと判定した場合、車両の重心位置が元車線内に入っており、運転者が左側の次車線への車線変更の意思を継続しているので、左側の次車線に対する車線変更制御を行うために、車線維持支援ECU30では、上記と同様にS57の処理を行い、今回の左車線変更処理を終了する。
S59にてオフセットD1のマイナス値が(車線幅W1/2)より大きいと判定した場合、車線維持支援ECU30では、ウインカがOFF又は右方向指示がONか否かを判定する(図6のS63)。S63にてウインカがOFF又は右方向指示がONと判定した場合(すなわち、左方向指示ONからの再ウインカ操作の場合)、白線認識センサ12で左側の次車線を認識していないが元車線から離脱しており、運転者も車線変更終了の意志を示しており、車両が走行禁止の場所(路側帯など)を走行していると推測できるので、車線維持支援ECU30では、上記と同様にS64の処理を行う。そして、車線維持支援ECU30では、車線変更制御フラグと左車線変更制御フラグにOFFを設定し(図6のS56)、今回の左車線変更処理を終了する。
一方、S63にてウインカの左方向指示がONと判定した場合、運転者が左側の次車線への車線変更の意思を継続しているので、左側の次車線に対する車線変更制御を行うために、車線維持支援ECU30では、上記と同様にS57の処理を行い、今回の左車線変更処理を終了する。
図3のS17にて左車線変更制御フラグがOFFと判定した場合(右車線変更制御フラグがONの場合)、車線維持支援ECU30では、右車線変更処理を行う(図3のS19)。まず、車線維持支援ECU30では、次車線認識カウンタが−1か否かを判定する(図7のS70)。S70にて次車線認識カウンタが−1と判定した場合、車線維持支援ECU30では、オフセットD1のマイナス値が(車線幅W1/2)より小さいか否かを判定する(図7のS71)。S71にてオフセットD1のマイナス値が(車線幅W1/2)より小さいと判定した場合、白線認識センサ12で右側の次車線を認識しかつ車両の重心位置が右側の次車線内に入っているので、右側の次車線に対する車線維持制御を行うために、車線維持支援ECU30では、車速に基づいて制御ゲインK3’を設定し、今回取得したカーブ半径R1、偏向角θ1、オフセットD1を用いて上記の式(6)により目標ヨーレートγを算出し、さらに、この目標ヨーレートγを発生させるための出力トルクを設定する(図7のS72)。そして、車線維持支援ECU30では、出力トルクを示す出力トルク信号を電動パワーステアリング装置20に送信し(図7のS72)、車線変更制御フラグと左車線変更制御フラグにOFFを設定し(図7のS76)、今回の右車線変更処理を終了する。この出力トルク信号を受信すると、電動パワーステアリング装置20では上記と同様に動作し、操舵機構には車両を右側次車線の中心線CLに沿って走行させるための付加トルクが加わる。これによって、車両が右側の次車線の中心線CLに沿って走行するようになる。
一方、S71にてオフセットD1のマイナス値が(車線幅W1/2)以上と判定した場合、車線維持支援ECU30では、左側の白線が破線か否かを判定する(図7のS73)。S73にて左側の白線が実線と判定した場合、右側の車線への車線変更が禁止なので、車線維持支援ECU30では、図6のS64と同様の処理を行う(図7のS84)。そして、車線維持支援ECU30では、車線変更制御フラグと右車線変更制御フラグにOFFを設定し(図7のS76)、今回の右車線変更処理を終了する。
一方、S73にて左側の白線が実線と判定した場合、右側の次車線への車線変更が可能であり、車線維持支援ECU30では、ウインカがOFF又は左方向指示がONか否かを判定する(図7のS74)。S74にてウインカがOFF又は左方向指示がONと判定した場合(すなわち、右方向指示ONからの再ウインカ操作の場合)、車両の重心位置が元車線内に入っており、運転者も右側の次車線への車線変更中止の意思を示したので、元車線に戻すために(元車線に対する左車線変更制御を行うために)、車線維持支援ECU30では、車速に基づいて制御ゲインK3’を設定し、今回取得したカーブ半径R1、偏向角θ1、オフセットD1、車線幅W1を用いて上記の式(4)により目標ヨーレートγを算出し、さらに、この目標ヨーレートγを発生させるための出力トルクを設定する(図7のS75)。そして、車線維持支援ECU30では、出力トルクを示す出力トルク信号を電動パワーステアリング装置20に送信し(図7のS75)、車線変更制御フラグと右車線変更制御フラグにOFFを設定し(図7のS76)、今回の右車線変更処理を終了する。この出力トルク信号を受信すると、電動パワーステアリング装置20では上記と同様に動作し、操舵機構には車両を元車線に移動させるための付加トルクが加わる。これによって、車両が元車線に戻ってゆく。
一方、S74にてウインカの右方向指示がONと判定した場合、車両の重心位置が元車線内に入っており、運転者が右側の次車線への車線変更の意思を継続しているので、右側の次車線に対する車線変更制御を行うために、車線維持支援ECU30では、車速に基づいて制御ゲインK3’を設定し、今回取得したカーブ半径R1、偏向角θ1、オフセットD1、車線幅W1を用いて上記の式(5)により目標ヨーレートγを算出し、さらに、この目標ヨーレートγを発生させるための出力トルクを設定する(図7のS77)。そして、車線維持支援ECU30では、出力トルクを示す出力トルク信号を電動パワーステアリング装置20に送信し(図7のS77)、今回の右車線変更処理を終了する。この出力トルク信号を受信すると、電動パワーステアリング装置20では上記と同様に動作し、操舵機構には右側次車線に移動させるための付加トルクが加わる。これによって、車両が右側次車線に移動してゆく。
S70にて次車線認識カウンタが−1でないと判定した場合、車線維持支援ECU30では、次車線認識カウンタが0か否かを判定する(図7のS78)。S78にて次車線認識カウンタが0でないと判定した場合、白線認識センサ12の認識状態が異常な状態なので、車線維持支援ECU30では、図6のS64と同様の処理を行う(図7のS84)。そして、車線維持支援ECU30では、車線変更制御フラグと右車線変更制御フラグにOFFを設定し(図7のS76)、今回の右車線変更処理を終了する。
一方、S78にて次車線認識カウンタが0と判定した場合、車線維持支援ECU30では、オフセットD1が(車線幅W1/2)以下か否かを判定する(図7のS79)。S79にてオフセットD1が(車線幅W1/2)以下と判定した場合、車線維持支援ECU30では、右側の白線が破線か否かを判定する(図7のS80)。S80にて右側の白線が実線と判定した場合、右側の車線への車線変更が禁止なので、車線維持支援ECU30では、図6のS64と同様の処理を行う(図7のS84)。そして、車線維持支援ECU30では、車線変更制御フラグと右車線変更制御フラグにOFFを設定し(図7のS76)、今回の右車線変更処理を終了する。
一方、S80にて右側の白線が破線と判定した場合、右側の次車線への車線変更が可能であり、車線維持支援ECU30では、ウインカがOFF又は左方向指示がONか否かを判定する(図7のS81)。S81にてウインカがOFF又は左方向指示がONと判定した場合(すなわち、右方向指示ONからの再ウインカ操作の場合)、車両の重心位置が元車線内に入っており、運転者も右側の次車線への車線変更中止の意思を示したので、元車線に対する車線維持制御を行うために、車線維持支援ECU30では、今回取得したカーブ半径R1、偏向角θ1、オフセットD1を用いて上記の式(3)により目標ヨーレートγを算出し、さらに、この目標ヨーレートγを発生させるための出力トルクを設定する(図7のS82)。そして、車線維持支援ECU30では、出力トルクを示す出力トルク信号を電動パワーステアリング装置20に送信し(図7のS82)、車線変更制御フラグと右車線変更制御フラグにOFFを設定し(図7のS76)、今回の右車線変更処理を終了する。この出力トルク信号を受信すると、電動パワーステアリング装置20では上記と同様に動作し、操舵機構には車両を元車線の中心線CLに沿って走行させるための付加トルクが加わる。これによって、車両が元車線の中心線CLに沿って走行するようになる。
一方、S81にてウインカの右方向指示がONと判定した場合、車両の重心位置が元車線内に入っており、運転者が右側の次車線への車線変更の意思を継続しているので、右側の次車線に対する車線変更制御を行うために、車線維持支援ECU30では、上記と同様にS77の処理を行い、今回の右車線変更処理を終了する。
S79にてオフセットD1が(車線幅W1/2)より大きいと判定した場合、車線維持支援ECU30では、ウインカがOFF又は左方向指示がONか否かを判定する(図7のS83)。S83にてウインカがOFF又は左方向指示がONと判定した場合(すなわち、右方向指示ONからの再ウインカ操作の場合)、白線認識センサ12で右側の次車線を認識していないが元車線から離脱しており、運転者も車線変更終了の意志を示しており、車両が走行禁止の場所(路側帯)を走行していると推測できるので、車線維持支援ECU30では、図6のS64と同様の処理を行う(図7のS84)。そして、車線維持支援ECU30では、車線変更制御フラグと右車線変更制御フラグにOFFを設定し(図7のS76)、今回の右車線変更処理を終了する。
一方、S83にてウインカの右方向指示がONと判定した場合、運転者が右側の次車線への車線変更の意思を継続しているので、右側の次車線に対する車線変更制御を行うために、上記と同様にS77の処理を行い、今回の右車線変更処理を終了する。
この車線維持支援装置1によれば、車線変更制御を行う場合、目標ヨーレートを求めるときに車両の横方向の位置に関する項に車線幅を加味することにより、車線変更制御量を簡単に求めることができる。そして、この車線変更制御量によって操舵制御を行うことにより、変更先の次車線まで車両を誘導でき、車線変更を支援することができる。これによって、運転者の運転負担を軽減することができる。さらに、車線維持支援装置1では、車線変更制御を行う場合、目標ヨーレートを求めるときに車速を考慮して制御ゲインを設定することにより、車速に合った車線変更フィーリングを創出することができる。
また、車線維持支援装置1によれば、目標ヨーレートを求めるときに車両の横方向の位置に関する項の他にカーブ半径に関する項と車両の車線との偏向角に関する項を加味しているので、カーブ路での制御精度を向上させることがでるとともに車両の車線に対する収束性を向上させることができる。
また、車線維持支援装置1によれば、白線認識センサ12で次車線を認識しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて目標ヨーレートに車線幅を加味するか否かを判断しているので、白線認識センサ12で次車線を認識していない場合には次車線まで車線変更するための適切な目標ヨーレートを設定することができ、白線認識センサ12で次車線を認識している場合には次車線で車線維持するための適切な目標ヨーレートを設定することができる。これによって、白線認識センサ12で次車線を認識すると目標ヨーレートに車線幅を加味しなくなるので、次々車線への連続した車線変更を防止することができる。
また、車線維持支援装置1によれば、ウインカのOFFを記憶し、ウインカがOFFからONに切り替わったことを車線変更支援許可条件の1つとしているので、次々車線への連続した車線変更を防止することができ、ウインカを一旦OFFすることによって次々車線へ車線変更を再スタートさせることもできる。さらに、車線維持支援装置1によれば、車線変更支援許可条件として車線変更方向の白線が破線か否かやウインカがONに切り替わってからの遅延時間を設けることにより、車線変更を行ってよいか否かを高精度に判断でき、誤って車線変更をすることを未然に防止することができる。
また、車線維持支援装置1によれば、元車線からの離脱状態かつ白線認識センサ12の次車線未認識状態かつ再ウインカ操作を判定することにより、車両が車線として区画されていない場所(路側帯など)を走行し、車両の走行異常を判断できる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では車線維持支援装置に適用したが、自動操舵装置などの他の装置にも適用可能であり、あるいは、車線変更支援のみを行う車線変更支援装置にも適用可能である。
また、本実施の形態では電動パワーステアリング装置を利用して操舵トルクを付加する構成としたが、車線維持支援装置にラックやピニオンをアシストするアクチュエータを備える構成としてもよい。したがって、パワーステアリング装置を備えない車両にも適用可能である。また、電動パワーステアリング装置ではなく、油圧式のパワーステアリング装置にも適用可能であり、油圧を調整するアクチュエータを制御することによって操舵トルクを付加する構成としてもよい。
また、本実施の形態では操舵機構にトルクを付加することによって操舵制御を行う構成としたが、操舵角などの操舵状態を変化させることができる他のパラメータによって操舵制御を行う構成としてもよい。
また、本実施の形態ではオフセット取得手段、車線幅取得手段、角度取得手段、カーブ半径取得手段としてカメラによる撮像画像に基づいて白線(車線)を認識し、その認識した白線に基づいてカーブ半径(道路曲率)、車両の偏向角、車両のオフセット、車線幅を演算する構成としたが、他の手法によって白線やこれらのパラメータを求めてもよく、例えば、ナビゲーションシステムでの処理や地図情報に基づいて取得する場合、各種センサを用いて取得する場合、路車間通信などを利用して車外から情報を取得する場合がある。
また、本実施の形態では横方向位置のずれ量(オフセット、車線幅)、偏向角、カーブ半径の3つのパラメータを用いて目標ヨーレート(車線変更制御量)を求める構成としたが、横方向位置のずれ量だけで車線変更制御量を求める構成としてもよいし、あるいは、横方向位置のずれ量に偏向角又はカーブ半径を用いて車線変更制御量を求める構成としてもよいし、その他のパラメータも考慮して車線変更制御量を求める構成としてもよい。
また、本実施の形態では次々車線への誤誘導を防止するために、次車線認識判定を行い、白線認識センサで次車線を認識している場合には車線幅を加味せずに目標ヨーレートを求める構成としたが、このような構成を設けずに、他の手法によって次々車線への誤誘導を防止するようにしてもよいし、あるいは、運転者がウインカ操作による車線変更意志を継続している場合には次々車線への車線変更も連続して可能な構成としてもよい。
また、本実施の形態では白線認識センサで次車線未認識状態かつ元車線からの離脱状態かつウインカの再操作の条件を判定し、この条件を満たした場合に車線でない場所(路側帯など)への移動であり、車両走行異常と判定する構成としたが、他の条件によって車線でない場所への移動を判定するようにしてもよいし、あるいは、このような判定自体を行わない構成としてもよい。
1…車線維持支援装置、10…車速センサ、11…操舵トルクセンサ、12…白線認識センサ、13…ブレーキスイッチ、14…ウインカスイッチ、15…メインスイッチ、20…電動パワーステアリング装置、21…警報ブザー、22…メータ装置、30…車線維持支援ECU