JP3740787B2 - 車両の自動操舵装置 - Google Patents
車両の自動操舵装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3740787B2 JP3740787B2 JP11127897A JP11127897A JP3740787B2 JP 3740787 B2 JP3740787 B2 JP 3740787B2 JP 11127897 A JP11127897 A JP 11127897A JP 11127897 A JP11127897 A JP 11127897A JP 3740787 B2 JP3740787 B2 JP 3740787B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lateral displacement
- vehicle
- lane
- detected
- steering
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
- Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両を車線に沿って走行させるために当該車両の操舵を自動的に行う車両の自動操舵装置に関するものであり、特に、運転者が操作する,一般にウインカと呼ばれるターン信号に応じて車両を車線変更させるのに好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
このような従来の車両の自動操舵装置としては、例えば特開平7−81604号公報に記載されるものがある。この従来例に記載される車両の自動操舵装置は、高速道路等のように複数の車線が存在する道路環境において、他車を含む走行環境を認識して任意に車線変更しながら、自動走行できるようにしている。
【0003】
ちなみに、この従来例では、カメラ等で採り込んだ画像情報から車線そのものの位置や曲率を検出し、更にその車線に対する車両の横変位を検出し、この横変位が目標とする横変位に一致するように、より具体的には検出される横変位が零となるようにフィードバック制御しながら前輪又は後輪を自動操舵する。また、車線変更は例えば運転者が操作するターン信号に従って行われるように構成されており、当該ターン信号から車線変更する先の車線を検出し、その車線に対する車両の横変位が零となるようにフィードバック制御しながら前輪又は後輪を自動操舵する。その際、画像情報から得た車線変更する先の車線を、即座に、車両の対すべき車線に設定してしまったのでは、当該車線変更する先の車線に対して、現在の車両の横変位が即座に大きくなってしまう。そこで、このような車線変更時には参照横変位という仮想目標を設定する(従来公報では、目標横変位と記述されている)。つまり、例えば車線変更時には車線変更する先の車線のように、車両横変位の基準とする車線に対して検出される横変位(以下、検出横変位とも記す)と参照横変位との偏差が、目標とする横変位,即ち零となるようにフィードバック制御するものとし、車線変更開始時には、車線変更する先の車線に対する現在の車両の横変位を参照横変位とし、これを次第に車線変更する先の車線側に移行させる,つまり零に漸近させることで、車両が滑らかに車線変更するようにする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記車線変更開始時の参照横変位には、前記画像情報から検出された現在の車両の横変位があてられる。ところが、一般に画像情報には,所謂ノイズが多い。ここで、前記車線変更時に得られる検出横変位について考察すると、例えばそれまで車線に沿って定常的に走行しているときには、当該走行車線に対する車両の横変位を正確に又は略正確に検出できる。しかしながら、車線変更開始時には、まず車線変更する先の車線を検出しなければならず、それは画像情報を広範囲に亘って走査することでしか得られないから、その間の車線変更する先の車線そのものの情報や、当該車線変更する先の車線に対する検出横変位は高精度のものを期待することはできない。つまり、画像情報から得られる,車線変更する先の車線に対する検出横変位が非定常な間は、自動操舵される車両の挙動制御も限界があった。
【0005】
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、例えば画像情報から得られる,車線変更する先の車線に対する検出横変位の精度が低下しても、安定した車両の挙動が得られる車両の自動操舵装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る車両の自動操舵装置は、車両前方の画像情報から車両の横変位を検出する横変位検出手段と、車線変更に伴って出力されるターン信号を検出するターン信号検出手段と、このターン信号検出手段で検出されたターン信号に基づいて、少なくとも車線変更終了までの間で変化する車両の横変位の参照値を参照横変位として設定する参照横変位設定手段と、前輪又は後輪を操舵する操舵アクチュエータと、この操舵アクチュエータによって操舵される前輪又は後輪の舵角を検出する舵角検出手段と、車両の走行状態に関する情報を検出する走行状態情報検出手段と、前記横変位検出手段で検出された検出横変位と、前記参照横変位設定手段で設定された参照横変位との偏差から車両の制御用横変位を算出し、この車両の制御用横変位が目標とする横変位になるように前記操舵アクチュエータを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記ターン信号検出手段で車線変更のためのターン信号が検出されてから、前記検出横変位が定常状態となるまでの所定の時間、前記操舵アクチュエータによって操舵される前輪又は後輪の舵角を、運転者が車線変更を要求したとき以後の舵角に保持する舵角保持手段を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のうち請求項2に係る車両の自動操舵装置は、前記請求項1に係る発明において、前記参照横変位設定手段は、前記所定の時間が経過したとき又はその直前の検出値を参照横変位として設定し、その後、零に漸近することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のうち請求項3に係る車両の自動操舵装置は、前記請求項2に係る発明において、前記漸近する参照横変位を正弦関数で設定することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のうち請求項4に係る車両の自動操舵装置は、前記請求項3に係る発明において、前記走行状態情報検出手段として車速検出手段を備え、前記参照横変位設定手段は、車速が大きくなるほど、前記正弦関数の時間に係る角速度を小さく設定することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のうち請求項5に係る車両の自動操舵装置は、前記請求項1乃至4の何れかに係る発明において、前記制御手段は、前記走行状態情報検出手段で検出された走行状態情報から少なくとも目標とする車両の横変位を含む車両の状態量を推定する状態量推定手段を備えると共に、前記所定時間が経過したとき又はその直前に、当該状態量推定手段の非定常な状態量を初期化することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のうち請求項6に係る車両の自動操舵装置は、前記請求項5に係る発明において、前記状態量推定手段がカルマンフィルタで構成されることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の効果】
而して、本発明のうち請求項1に係る車両の自動操舵装置によれば、車線変更を要求するターン信号の検出から、検出横変位が定常状態となるまでの所定時間は操舵林の舵角を保持するため、この間の自動操舵をキャンセルすることが可能となり、車両挙動を安定に制御することができる。
【0015】
また、本発明のうち請求項2に係る車両の自動操舵装置によれば、横変位を零に漸近させたため制御用横変位を少しずつ変化させながら、先の車線への車線変更を滑らかに行うことができる。
【0016】
また、本発明のうち請求項3に係る車両の自動操舵装置によれば、正弦関数に従って参照横変位を設定する構成としたために、例えばその極小値及び極大値が車線変更する前後の車線に一致するようにすることで、車線変更の開始時と終了時との車両の挙動を滑らかにし、且つ車線変更中の車両挙動はきびきびとしたものとすることができる。
【0017】
また、本発明のうち請求項4に係る車両の自動操舵装置によれば、車速が大きくなるほど、前記正弦関数の時間に係る角速度を小さく設定する構成としたため、車速が増大するほど車線変更時に描かれる軌跡の曲率を小さくでき、車速の増大に伴って増大する車線変更時の遠心力などの横方向への力を低減して乗心地や車両挙動を向上することができる。
【0018】
また、本発明のうち請求項5に係る車両の自動操舵装置によれば、状態量推定手段の非定常な状態量を初期化するため、例えば状態量推定手段が目標とする横変位を除く非定常な状態量を補正するように操舵角の補正量を設定するものであったとき、車両の各状態量を推定するためのモデルに誤差があると誤認識することがなく、車両挙動の制御を安定にすることができる。
【0019】
また、本発明のうち請求項6に係る車両の自動操舵装置によれば、前記状態量推定手段がカルマンフィルタで構成されるとき、当該カルマンフィルタには出力誤差からモデル又は状態量を補正する作用があるから、非定常な状態量を初期化することで出力誤差をなくし、その補正に伴うハンチングを回避して車両挙動の制御を安定にすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここでは、前輪のみを操舵する自動操舵装置について説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態の自動操舵装置を示す概略構成図である。同図の符号12は前左右輪、15は後左右輪を示し、前左右輪12にはごく一般的なラックアンドピニオン式の操舵機構が付加されている。この操舵機構は、前左右輪12の操舵軸(タイロッド)に接続されるラック11と、これに噛合するピニオン10と、このピニオン10をステアリングホイール14に与えられる操舵トルクで回転させるステアリングシャフト9とを備えている。
【0022】
また、前記ステアリングシャフト9には、前左右輪12を自動操舵するための自動操舵機構も付加されている。この自動操舵機構は、前記ステアリングシャフト9に同軸に取付けられたドリブンギヤ8と、これに噛合するドライブギヤ7と、このドライブギヤ7を回転駆動するモータ5である。なお、モータ5とドライブギヤ7との間にはクラッチ機構6が介装されており、自動操舵制御時にのみクラッチ機構6が接続され、そうでないときにはクラッチ機構6が離間してモータ5の回転力がステアリングシャフト9に入力されないようにしている。そして、これらの機構で操舵アクチュエータを構成し、前記モータ5を含む自動操舵機構は、制御手段たる後述する自動操舵コントロールユニット13からの制御信号で制御される。
【0023】
また、この車両には走行状態情報検出手段である種々のセンサ類が取付けられている。符号3は舵角センサ(舵角検出手段)であり、ステアリングシャフト9の回転角から前左右輪12の実前輪舵角δf を割出して自動操舵コントロールユニット13に出力する。また、図中の符号4は車速センサであり、例えば変速機の出力軸の回転速度から車両の移動速度(車速v)を割出して自動操舵コントロールユニット13に出力する。また、図中の符号16は運転者によって操作され且つターン信号STSを前記自動操舵コントロールユニット13に出力するターン信号スイッチである。なお、このターン信号スイッチ16は、ここでは左右の隣接する車線への車線変更を要求するときにのみ操作されるものとし、そのターン信号STSは、右車線への車線変更を要求するときに“1”,左車線への車線変更を要求するときに“−1”,リセット状態で“0”となるように設定してある。
【0024】
一方、車両には、車両前方の情報を画像情報として採り込むための撮像手段としてCCDカメラ等の撮像器1が取付けられている。この撮像器1では、単に自車の直前だけでなく、隣接する左右の車線を含む比較的広範囲の前方情報が撮像され、その画像情報が、画像処理装置2に出力される。
【0025】
前記画像処理装置2は、横変位検出手段並びに走行状態情報検出手段を構成する。より具体的には、前記撮像器1からの画像情報のうち、例えば車線の両側の白線等を検出して、その中央を車線として認識し、当該車線に対して自車が何れの方向に如何程ずれているかを求めて検出横変位yORG を検出すると共に、当該車線の前方への曲がり具合等から車線曲率ρも検出できるようにしてある。そして、この画像処理装置2で検出された車両の検出横変位yORG や車線曲率ρは、制御手段を構成し且つ自動操舵制御を司る自動操舵コントロールユニット13に出力される。また、本実施形態では、前述したターン信号STSが出力されてから、そのターン信号STSに合わせて車線変更する先の車線を新たに検出し、当該車線変更する先の車線を基準として自車の検出横変位yORG を検出する。なお、この画像処理装置2は、横変位検出についても、車線曲率検出についても、内部に備えられたマイクロコンピュータ等の離散化したディジタルシステムで構成されているため、前述したような横変位や車線曲率のサンプリングは、予め設定されたサンプリングタイミングでしか行われない。
【0026】
前記自動操舵コントロールユニット13は、内部に備えられたマイクロコンピュータのような離散化されたディジタルシステムで構成されている。このディジタルシステムは、既存のマイクロコンピュータと同様に、前記各センサ類からの検出信号を読込むための入力インタフェース回路や、必要なプログラムや演算結果等を記憶するROM,RAM等の記憶装置や、実際に演算処理を行うと共に或る程度のバッファ機構を備えたマイクロプロセサユニット等の演算処理装置や、この演算処理装置で設定した制御信号を前記自動操舵機構のモータ5に出力するための出力インタフェース回路等を備えている。
【0027】
次に、前記コントロールユニット13内で実行される本実施形態の演算処理について図2のフローチャートを用いて説明する。なお、このフローチャートでは、特に情報の授受のためのステップを設けていないが、演算処理装置で読込まれた情報や物理量或いは演算された演算結果は随時記憶装置に更新記憶されるし、演算処理に必要はプログラムやマップ,テーブル等は随時記憶装置から演算処理装置のバッファに読込まれる。
【0028】
この演算処理は、例えば10msec. といった予め設定されたサンプリング時間ΔT毎にタイマ割込処理として実行され、まずステップS1で前記画像処理装置2からの検出横変位yORG を読込む。
【0029】
次にステップS2に移行して、前記画像処理出装置2からの車線曲率ρを読込む。
次にステップS3に移行して、前記車速センサ4からの車速vを読込む。
【0030】
次にステップS4に移行して、前記舵角センサ3からの前輪舵角δf を読込む。
次にステップS5に移行して、前記ターン信号スイッチ16からのターン信号STSを読込む。
【0031】
次にステップS6に移行して、前記読込まれたターン信号STSが“0”のリセット状態でないか否か,即ち何れかの方向に車線変更を要求するセット状態であるか否かを判定し、当該ターン信号STSがリセット状態でない場合にはステップS7に移行し、リセット状態である場合にはステップS8に移行する。
【0032】
前記ステップS7では、舵角保持制御フラグF1 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該舵角保持制御フラグF1 がリセット状態である場合にはステップS9に移行し、そうでない場合にはステップS10に移行する。
【0033】
前記ステップS9では、前記読込まれた車線曲率ρを車線曲率保持値ρ00として更新記憶してからステップS11に移行する。
前記ステップS11では、前記読込まれたターン信号STSをターン信号保持値STS00として更新記憶してからステップS12に移行する。
【0034】
前記ステップS12では、前記舵角保持制御フラグF1 を“1”にセットしてから前記ステップS10に移行する。
前記ステップS10では、車線変更開始カウンタqをインクリメントしてからステップS14に移行する。
【0035】
前記ステップS14では、前記車線変更開始カウンタqが、予め設定された所定値,ここでは前記画像処理装置2が車線変更する先の車線を検出し、当該車線に対する車両の検出横変位yORG が定常状態になるまでの時間に相当する所定値q0 以上であるか否かを判定し、当該車線変更開始カウンタqが所定値q0 以上である場合にはステップS15に移行し、そうでない場合にはステップS16に移行する。
【0036】
前記ステップS16では、前記車線曲率保持値ρ00を現在の車線曲率ρに設定し直してからステップS17に移行する。
前記ステップS17では、検出横変位yORG を“0”に設定し直してからステップS18に移行する。
【0037】
前記ステップS18では、参照横変位yREF を“0”に設定してからステップS19に移行する。
一方、前記ステップS15では、車線変更制御フラグF2 が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該車線変更制御フラグF2 がセット状態である場合にはステップS20に移行し、そうでない場合にはステップS23に移行する。
【0038】
前記ステップS20では、参照横変位設定カウンタnをインクリメントしてからステップS22に移行する。
また、前記ステップS23では、参照横変位設定カウンタnをクリアしてからステップS24に移行する。
【0039】
前記ステップS24では、そのときの検出横変位yORG を横変位保持値y00に設定してからステップS25に移行する。
前記ステップS25では、車線変更制御フラグF2 を“1”にセットしてから前記ステップS22に移行する。
【0040】
前記ステップS22では、舵角保持制御フラグF1 を“0”にリセットしてからステップS27に移行する。
前記ステップS27では、前記参照横変位設定カウンタnと前記所定サンプリング時間ΔTとの積値を車線変更経過時間tとして算出してからステップS28に移行する。
【0041】
前記ステップS28では、前記車線変更経過時間tと予め設定された角速度ωとの積値に(π/2)を和した値が(3π/2)以下であるか否か,つまり車線変更経過時間tと角速度ωとの積値がπ,つまり180°以下であるか否かを判定し、肯定の場合にはステップS29に移行し、そうでない場合には前記ステップS8に移行する。
【0042】
前記ステップS29では、下記1式に従って参照横変位yREF を算出してからステップS30に移行する。
yREF =y00/2・ sin(ω・t+π/2)+y00/2) ……… (1)
前記ステップS30では、ターン信号保持値STS00が左車線変更を要求する“−1”であるか否かを判定し、当該ターン信号保持値STS00が“−1”である場合にはステップS31に移行し、そうでない場合にはステップS32に移行する。
【0043】
前記ステップS31では、前記参照横変位yREF を負値に設定してから前記ステップS19に移行する。
また、前記ステップS32では、前記参照横変位yREF を正値に設定してから前記ステップS19に移行する。
【0044】
また、前記ステップS8では、ターン信号STSを“0”にリセットしてからステップS33に移行する。
前記ステップS33では、車線変更開始カウンタqをクリアしてからステップS34に移行する。
【0045】
前記ステップS34では、舵角保持制御フラグF1 を“0”にリセットしてからステップS35に移行する。
前記ステップS35では、車線変更制御フラグF2 を“0”にリセットしてからステップS36に移行する。
【0046】
前記ステップS36では、参照横変位yREF を“0”に設定してから前記ステップS19に移行する。
そして、前記ステップS19では、前記検出横変位yORG から参照横変位yREF を減じた偏差を制御用の横変位yとして算出する。
【0047】
次にステップS37に移行して、予め設定された時定数τを用いて、前記制御用の横変位yに、下記10式で表される一次遅れ伝達関数G(s) からなるローパスフィルタ処理を施して、その高周波成分,つまりノイズ成分が除去する。
【0048】
G(s) =1/(τS+1) ………(10)
但し、
S:ラプラス演算子
である。
【0049】
次にステップS38に移行して、車速v,車線曲率ρを用いて、下記3式に従って定常前輪舵角δf0を算出する。なお、この算出原理については後段に詳述する。
【0050】
但し、
a :前輪軸と車両重心点との平面視における距離
b :後輪軸と車両重心点との平面視における距離
m :車両質量
Cf :前左右二輪のコーナリングスティフネス
Cr :後左右二輪のコーナリングスティフネス
である。
【0051】
次にステップS42に移行して、前記制御用の横変位y,車速v,車線曲率ρを用いて、下記4式に従って補正前輪舵角Δδfdを算出設定する。なお、この算出原理についても後段に詳述する。また、4式中の比例ゲインKp ,微分ゲインKd ,積分ゲインKi の夫々は、何れも車速v及び車線曲率ρの関数であり、車速vが大きくなるほど、また車線曲率ρが大きくなるほど、算出される補正前輪舵角Δδfdが小さくなるように設定されている。
【0052】
Δδfd=(Kp +Kd ・S+Ki /S)・y ……… (4)
次にステップS43に移行して、前記算出された定常前輪舵角δf0,補正前輪舵角Δδfdを用い、下記2式に従って、目標前輪舵角δfdを算出する。
【0053】
δfd=δf0+Δδfd ……… (2)
次にステップS44に移行して、前記舵角保持制御フラグF1 が“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該舵角保持制御フラグF1 がセット状態である場合にはステップS45に移行し、そうでない場合にはステップS46に移行する。
【0054】
前記ステップS45では、更新記憶されている前回の目標前輪舵角保持値δfd00を目標前輪舵角δfdに設定し直してから前記ステップS46に移行する。
前記ステップS46では、前記設定された目標前輪舵角δfdに実前輪舵角δf を一致させるフィードバック制御の制御信号を創成し出力する。
【0055】
次にステップS47に移行して、設定された目標前輪舵角δfdを目標前輪舵角保持値δfd00として更新記憶してからメインプログラムに復帰する。
次に、前記3式の算出原理について説明する。本実施形態のように後輪を操舵しない場合,つまり後輪舵角が常時零であるときの運動方程式は、二輪モデルを用いて下記5式及び6式で表される。
【0056】
但し、
ψ' :ヨーレイト
β' :車両重心点の横滑り角速度
β :車両重心点の横滑り角
I :車両の慣性モーメント
ψ'':ヨー角加速度
である。
【0057】
また、旋回運動の定常状態におけるヨーレイトψ' は車線曲率ρと車速vとから下記7式で表される。
ψ' =ρ・v ……… (7)
また、旋回運動の定常状態では車両重心点の横滑り角速度β' もヨー角加速度ψ''も共に零であるから、それを下記8式で表す。
【0058】
β' =ψ''=0 ……… (8)
そして、本実施形態のように後輪を操舵しない場合,つまり後輪舵角が常時零である場合には、前記5式乃至8式において、定常的な前輪舵角δf を定常前輪舵角δf0として、この定常前輪舵角δf0について解けば前記3式を得る。
【0059】
また、前記補正前輪舵角Δδfdについては、前記定常前輪舵角δf0を与えたときの制御用の横変位yのフィードバック制御による補正分と考えれば、古典制御理論にいう所謂PID制御から前記4式が与えられる。
【0060】
次に、本実施形態の作用について、前記図3のタイミングチャートを併用しながら説明する。なお、同図3bには、同図3aのタイミングチャートに合わせた車線変更に伴う車両の挙動を簡潔に表示した。
【0061】
まず、図3のタイミングチャートの時刻t1 までのように、車両が車線に沿って走行しているときには、ターン信号STSは“0”にリセットされたままであるから、図2の演算処理ではステップS6からステップS8に移行して、ターン信号STSをリセットし直し、更にステップS33で車線変更開始カウンタqをクリアする。次いでステップS34で舵角保持制御フラグF1 を、ステップS35で車線変更制御フラグF2 を夫々リセットし、更にステップS36で参照横変位yREF を“0”に設定する。ここで、車両が車線に沿って走行していれば検出される検出横変位yORG も零又は略零であるから、結果的にステップS19で算出される制御用の横変位yも零又は略零となり、これにローパスフィルタ処理を行ってノイズを除去する。然る後、ステップS38で、例えば車線曲率ρに合わせて車線に沿って走行するために必要な定常的な前輪舵角,即ち前記定常前輪舵角δf0を求め、次いでステップS42で実際の制御用の横変位yを補正して真に車線を追従するために必要な補正前輪舵角Δδfdを算出し、次のステップS43で両者の和からなる目標前輪舵角δfdを算出する。また、舵角保持制御フラグF1 がリセットされたままであるから、次のステップS44からステップS45をジャンプしてステップS46に移行する。従って、このステップS46で前記目標前輪舵角δfdを追従するための制御信号が創成・出力されれば、前記制御用の横変位y(このときは検出横変位yORG と等価)を零とするようにして、前輪を自動操舵することで車両を車線に追従させ続ける。
【0062】
一方、図3のタイミングチャートのように、時刻t1 で例えば右車線への車線変更のために、符号“1”のターン信号STSが読込まれると、図2の演算処理ではステップS6からステップS7に移行して、未だ舵角保持制御フラグF1 がリセット状態であるから、ステップS9,ステップS11,ステップS12と移行する。従って、このフローでは車線曲率ρを保持値ρ00に、そのときのターン信号STSを保持値STS00に夫々更新記憶すると共に、舵角保持制御フラグF1 をセットする。そして、これ以後のサンプリングタイミングでは、例えばターン信号STSが運転手によってリセットされるなどして、この舵角保持制御フラグF1 が前記ステップS34でリセットされない限り、前記各保持値ρ00,STS00はターン信号入力時の値に固定される。次いで、ステップS10で車線変更開始カウンタqを各サンプリングタイミング毎にインクリメントし、次のステップS14で、このインクリメントされる車線変更開始カウンタqが所定値q0 以上となるまでステップS16以後のフローに進む。従って、このステップS16で車線曲率ρを前記ターン信号入力時に固定された保持値ρ00とし、次のステップS17で検出横変位yORG を強制的に“0”とし、更に次のステップS18でも参照横変位yREF を強制的に“0”とする。
【0063】
従って、これ以後、前記車線変更開始カウンタqが前記所定値q0 以上となるまで、即ち前記画像処理装置2が、車線変更する先の車線を検出し、この車線を基準とする自車の横変位を定常的に正確に検出するまで、このフローが繰返されることになる。それ故に、次のステップS19では制御用の横変位yは“0”となる。このため、続くステップS38では、ターン信号入力時の車線曲率ρが用いられるから、車速vが変化しない限り、或いは何らかの外乱がない限り、定常前輪舵角δf0はターン信号入力時の値と同じ値になり、次のステップS42では補正前輪舵角Δδfdが“0”となる。従って、次のステップS43では、前記ターン信号入力時と同じ又はほぼ同じ値の定常前輪舵角δf0がそのまま目標前輪舵角δfdに設定される。何れにしても、次のステップS44では、前記舵角保持制御フラグF1 がセット状態にあるために、次のステップS45で、目標前輪舵角δfdは、前記ターン信号入力時に固定された保持値δfd00に強制的にすげ替えられる。而して、車線変更を指示してから、車線変更する先の車線に対する車両の定常的な検出横変位yORG が正確に検出されるまでの間、前輪舵角δf は、その直前の舵角に保持される。なお、図3のタイミングチャートからも、この時刻t1 から後述する時刻t2 までの間、前記検出横変位yORG が非定常に揺れているのが分かる。
【0064】
次いで、例えば図3のタイミングチャートの時刻t2 で、前記車線変更開始カウンタqが前記所定値q0 以上となると、即ち車線変更する先の車線に対する車両の定常的な検出横変位yORG が正確に検出されるようになると、ステップS15に移行して、未だ車線変更制御フラグF2 がリセット状態であるためにステップS23に移行し、参照横変位設定カウンタnをクリアする。次いでステップS24に移行して、そのときの検出横変位yORG を保持値y00にセットし、次のステップS25で前記車線変更制御フラグF2 をセットする。従って、これ以後のサンプリングタイミングでは、例えばターン信号STSが運転手によってリセットされるなどして、この車線変更制御フラグF2 が前記ステップS35でリセットされない限り、ステップS15からステップS20に移行して、参照横変位設定カウンタnをインクリメントし続けることになる。
【0065】
ところで、前記参照横変位設定カウンタnがクリアされたとき、次のステップS22で舵角保持制御フラグF1 がリセットされ、次のステップS27では、算出される車線変更経過時間tが“0”になる。勿論、この車線変更経過時間tを代入したところで、(π/2)が(3π/2)より小さいのは自明なので、ステップS29に移行し、前記1式に従って参照横変位yREF が設定される。このとき、参照横変位yREF は、振幅が(y00/2),つまり前記保持値y00となった、車線変更する先の車線に対する検出横変位yORG の半分で、且つ位相が(π/2),つまり90°ずれ、且つ全体に前記(y00/2)だけ正方向にオフセットした正弦関数で与えられる。なお、本実施形態では、前記車線変更経過時間tに係る角速度ωは、車両特性に合わせて、適切な値に予め設定したままである。この車線変更経過時間tが“0”のときの参照横変位yREF は、正弦関数の極大値に相当し、勿論、接線の傾きは“0”であり、値そのものは前記保持値y00となった、車線変更する先の車線に対する検出横変位yORG の絶対値に等しくなる。また、次のステップS30でターン信号STSの方向が判定され、今回は右車線への車線変更であるから、ターン信号STSは“1”であり、従ってステップS32で前記正値の参照横変位yREF がそのまま参照横変位yREF に設定される。若し、ターン信号STSが、左車線への車線変更を意味する“−1”である場合には、ステップS31で負値の参照横変位yREF が設定されるから、何れにしてもこの段階で、参照横変位yREF は検出横変位yORG に等しくなる。
【0066】
従って、このときにステップS19で算出される制御用の横変位yは“0”であるから、そのときの補正前輪舵角Δδfdも“0”となり、一方、定常前輪舵角δf0は、車速vや車線曲率ρが変わらなければ前記ターン信号入力時と同等又は略同等であるから、目標前輪舵角δfdも同等の値となり、結果的に車両は横移動しない,つまり車線変更は未だ開始されない。しかしながら、次のサンプリングタイミングでは、前記ステップS20で車線変更経過カウンタnがインクリメントされるから、前記車線変更経過時間tは所定サンプリング時間ΔTだけ大きくなり、その結果、前記ステップS29で算出される参照横変位yREF は少しだけ小さな値になる(左車線変更の場合は絶対値で考えればよい)。すると、ステップS19で算出される制御用の横変位yが小さな正値となり、これに応じた補正前輪舵角Δδfdが前記ステップS42で算出される。一方、前記前輪舵角保持状態のような車線曲率ρのすげ替えは行われないから、車線変更する先の車線を大まかに追従するための定常前輪舵角δf0は、その目的通りに正確に算出される。また、舵角保持制御フラグF1 がリセットされている現段階では、前記ステップS45における目標前輪舵角δfdのすげ替えは行われないから、両者の和からなる目標前輪舵角δfdをフィードバック制御すれば、車両は、車線変更する先の車線曲率ρを追従しながら、僅かに次の車線側に移動して車線変更が開始されることになる。
そして、図3のタイミングチャートの時刻t3 以前のように、前記ステップS20で車線変更経過カウンタnがインクリメントされて、前記車線変更経過時間tが前記所定サンプリング時間ΔTずつ大きくなると、前記1式内の位相(ω・t+π/2)がπ,つまり180°以下であるうちは、当該1式に従って設定される参照横変位yREF の今回値と前回値との差分値は、次第に大きくなる。これに対して、車両に発生する横変位,つまり検出される検出横変位yORG には、必ず位相遅れが発生するから、ステップS19で算出される制御用の横変位yは少しずつ大きくなり、これを“0”とするように前記目標前輪舵角δfdが設定されて、前輪が自動操舵される。つまり、この間、車両は次第に大きく且つ次第に速く車線変更してゆくことになる。なお、この間、制御用の横変位yは少しずつ大きくなるとしたが、実際のサンプリングタイミングは非常に短く、また操舵入力に対する車両横変位の応答性がさほど遅いわけではないから、実際に算出される制御用の横変位yがさほど大きな値になることはない。
【0067】
次いで、図3のタイミングチャートの時刻t3 以後のように、前記1式内の位相(ω・t+π/2)がπ,つまり180°より大きくなると、参照横変位yREF の今回値と前回値との差分値は次第に小さくなり、従ってステップS19で算出される制御用の横変位yは少しずつ大きくなり、これを“0”とするように前記目標前輪舵角δfdが設定されて、前輪が自動操舵される。この間、車両の車線変更速度は次第に小さくなり、車線変更する先の車線に漸近するような挙動を示す。やがて、時刻t4 で前記1式内の位相(ω・t+π/2)が(3π/2),つまり270°に近づくと、当該1式で設定される参照横変位yREF が“0”に漸近する。勿論、正弦関数は極小値に近づき、接線の傾きも“0”になる。若し、車両が、この参照横変位yREF 通りに追従していれば、この時点で隣合う車線間の距離を移動しきったことになり、車線変更が終了する。実際には、車両挙動の応答遅れによって、完全に車線変更が終了するわけではないが、参照横変位yREF が“0”に漸近することによって、車線変更する先の車線を基準とする車両の検出横変位yORG も“0”に漸近する,つまり車両は車線変更する先の車線に漸近するように横移動する。この状態を、実質的に車線変更が完了したことと等価であると見なせば、そのときの制御用の横変位y,即ち検出横変位yORG に応じた車線追従制御に移行しても差し支えない。
【0068】
そこで、1式内の位相(ω・t+π/2)が(3π/2)より大きくなると、ステップS8に移行し、ここでターン信号STSをリセットし、次いでステップS33で車線変更開始カウンタqをクリアし、次いでステップS34で舵角保持制御フラグを、続くステップS35で車線変更制御フラグF2 を夫々リセットし、次いでステップS36で参照横変位yREF を“0”に設定する。従って、これ以後は、前述した走行中の車線追従制御が継続され、その結果、前記時刻t4 で残存していた検出横変位yORG を“0”とするような前輪の自動操舵が行われることになる。
【0069】
以上より、本実施形態は、本発明のうち請求項1又2又は3又は4に係る車両の自動操舵装置を実施化したものであり、前記画像処理装置2及び図2の演算処理のステップS1が本発明の横変位検出手段を構成し、以下同様に、前記ターン信号スイッチ16及び図2の演算処理のステップS5がターン信号検出手段を構成し、前記図2の演算処理のステップS15,ステップS18,ステップS20乃至ステップS32及びステップS36が参照横変位設定手段を構成し、前記自動操舵機構が操舵アクチュエータを構成し、舵角センサ3及び図2の演算処理のステップS4が舵角検出手段を構成し、画像処理装置2及び図2の演算処理のステップS2及びステップS3が走行状態情報検出手段を構成し、図2の演算処理全体及び自動操舵コントロールユニット13が制御手段を構成し、図2の演算処理のステップS7乃至12,ステップS14,ステップS44及びステップS45が舵角保持手段を構成する。
【0070】
なお、前述したローパスフィルタとしては、サンプリングされる横変位の移動平均を算出する手段で構成してもよい。この移動平均手段からなるローパスフィルタでは、移動平均に用いられるサンプリング横変位の数が多ければ多いほど、目標値への追従性が低下するから、このローパスフィルタの特性を強める場合には、サンプリング横変位の数を多くしてやればよい。
【0071】
次に、本発明の第2実施形態の自動操舵装置について説明する。まず、車両に設けられた自動操舵装置としての概要は、前記第1実施形態の図1に示すものと同様である。
【0072】
本実施形態の第1実施形態に対する最も大きな差異は、前記自動操舵コントロールユニット13内のマイクロコンピュータ等のディジタルシステム中に、状態推定器としてのカルマンフィルタが構築されている点にある。ここで、カルマンフィルタについて説明しておく。カルマンフィルタは、現代制御理論に基づいた状態量を、予め設定されたモデルに従って幾つか推定し、その夫々にフィードバック制御を行うことを前提として、結果的に種々の連鎖的な応答をなくして、単独の状態量のフィードバック制御を容易化,正確化する場合に、出力される推定状態量と検出された状態量との出力誤差に応じてモデル,即ち推定される状態量を補正可能としたものである。具体的には図4aに示す構成となる。
【0073】
ここで、本実施形態のカルマンフィルタ中のモデルは、車両の二輪モデルであるから、これを状態空間表現を用いて下記12式に示す。但し、この12式に示す二輪モデルは、後輪を操舵可能とし、更に後輪のトラクションによってヨーモーメントを制御可能としたものであるから、本実施形態のように前輪を操舵するだけで車両の横変位を制御するものの場合には後輪舵角δr 及びヨーモーメントTr を共に零に設定すればよい。
【0074】
但し、
a11=−(Cr +Cf )/(m・v) ………(12-1)
a12=(−1+(Cr ・b−Cf ・a))/(m・v2 ) ………(12-2)
a21=(Cr ・b−Cf ・a)/I ………(12-3)
a22=−(Cr ・b2 +Cf ・a2 )/(I・v) ………(12-4)
b11=Cf /(m・v) ………(12-5)
b12=Cr /(m・v) ………(12-6)
b21=Cf ・a/I ………(12-7)
b22=−Cr ・b/I ………(12-8)
b23=1/I ………(12-9)
である。なお、本実施形態では、rはヨーレイト、Δψは車線を基準とするヨー角として用いており、また、Ls は撮像器1,即ち車両横変位の検出位置と車両重心点との平面視における距離である。その他の符号については第1実施形態と同じである。
【0075】
そして、前記12式で、定常的な走行状態では左辺,つまり車両重心点の横滑り角速度β' も、ヨー角加速度r' も、ヨーレイトΔψ' も、横変位速度y' も全て零になると考えられるから、このときの各物理量,或いは状態量に添字“0”を付けて下記14式を得る。なお、このような定常走行状態における各状態量を平衡点周りの状態量と定義する。
【0076】
すると、前記第1実施形態と同様に、実際に必要な舵角やヨーモーメントは、この平衡点周りの定常的な舵角やヨーモーメントを与えたときに、更にモデル誤差等によって発生する補正分をフィードバックした値になるから、下記15−1〜3式が与えられ、更に同様のことが他の各状態量にも言えることから、ヨー角や横変位等の状態量についても下記16−1〜4式が成立する。
【0077】
δf =δf0+Δδf ………(15-1)
δr =δr0+Δδr ………(15-2)
Tr =Tr0+ΔTr ………(15-3)
β=β0 +Δβ ………(16-1)
r=r0 +Δr ………(16-2)
Δψ=Δψ0 +Δ2 ψ ………(16-3)
y=y0 +Δy ………(16-4)
次に、車線曲率ρには補正分がないことから、Δρが実質的に零であること(即ち、ρ0 =ρ)を考慮して以上を総合して解くと、下記17式を得る。つまり、ここで得られる状態量のベクトルx(補正横滑り角Δβ,補正ヨーレイトΔr,補正ヨー角Δ2 ψ、補正横変位Δy)が正確なものであるとすると、このベクトルから補正すべき前輪舵角,つまり補正前輪舵角Δδfdや、補正後輪舵角Δδrdや補正ヨーモーメントΔTrd等を算出可能となる。なお、前述と同様に、後輪舵角やヨーモーメントを補正しない本実施形態のような場合には、前記定常後輪舵角δr0や定常ヨーモーメントTr0、或いは補正Δδrdや補正ヨーモーメントΔTrd等を全て“0”に設定すればよいだけである。
【0078】
この17式を、前記図4aのカルマンフィルタの構成図に合わせて略記すると下記11式のように表れる。
【0079】
dx/dt=Ax+Bu ………(11)
つまり、前記11式で用いられる各ベクトル,x,A,B,uは夫々、以下のように纏められる。
【0080】
ここで、一旦、カルマンフィルタの構成の説明から離れて、前記状態量のベクトルxから車線追従,つまり補正横変位Δy=0を実現するための補正前輪舵角Δδfdや、補正後輪舵角Δδrdや補正ヨーモーメントΔTrdを設定するために、最適レギュレータを用いた最適化制御を考える。ここで、拘束条件は前記11式であり、評価関数Jは下記18式で与えられる。
【0081】
J=∫(xT Qx+uT Ru)dt ………(18)
なお、xT はベクトルxの転置ベクトルを、uT はベクトルuの転置ベクトルを示す。また、Qは対称非負定行列、Rは対称正定行列で、一般に重みと呼ばれる。ベクトルxにおける補正横変位Δyは4行目であるので、当該補正横変位Δyを小さくするためには、前記対称非負定行列Qの4行4列要素を大きくすればよい。但し、ゲインを上げれば、その分だけノイズを拾い易くなるというトレードオフを考慮しなければならないことは言うまでもない。
【0082】
結論として得られるフィードバック則は、図4bに示すブロック図に合わせて下記19式で表され、各要素を列記すると20式が得られる。なお、KR は定数行列である。
【0083】
u=−KR ・x ………(19)
つまり、本実施形態では、推定される補正横滑り角Δβ、補正ヨーレイトΔr、補正ヨー角Δ2 ψ、補正横変位Δyに対して、補正前輪舵角Δδfdは下記21式で端的に与えられることになる。
【0084】
Δδfd=k11・Δβ+k12・Δr+k13・Δ2 ψ+k14・(Δy−yrpf )………(21)
但し、yrpf は参照横変位を示す。
【0085】
なお、前述の状態推定器で補正横変位Δyを除く補正横滑り角Δβ、補正ヨーレイトΔr、補正ヨー角Δ2 ψが検出できない場合には、逆に補正横変位Δyと補正前輪舵角Δδf を用いて状態推定器を構成すれば、それらの状態量を推定することができる。
【0086】
一方、再びカルマンフィルタの説明に戻って、前述のようにして推定した推定横変位y^(^は推定値であることを示す)は、前述したモデルに前記補正前輪舵角Δδfdを代入(直線走行状態から見れば目標前輪舵角δfdを代入すべきであるように考えられるが、既にそれ以前のモデル,つまりそれまでの定常旋回走行状態に相当する平衡点周りのモデルは後述のように補正されているので、実質的に代入されるのは補正前輪舵角Δδfdになる)してみた結果、車両が達成すべき推定値であるから、これを推定横変位ye とする。しかしながら、前述したモデルと実際の車両とは、必ず誤差がある。そこで、図4aに示すように、この推定横変位ye と前記第1実施形態のようにして算出された制御用の横変位yとの偏差(以下、単に出力誤差とも記す)εを求め、この出力誤差εに出力誤差フィードバックゲインベクトルKe をかけて、前記状態推定器内のモデルを補正する。ここでは、理解を容易化するために、モデルを補正するという表記を用いるが、実質的には各状態量を直接補正しても何ら問題がないことから、広義には状態量を補正するとして取扱う。
【0087】
前記出力誤差フィードバックゲインベクトルKe は、ベクトルの特性上、単純に大小の比較ができないが、以上の説明から明瞭なように、そのゲイン特性が大きければ状態量の補正を速やかにして制御の応答性を高めることができるが、その反面、ノイズ成分の影響を受け易いことが分かる。逆に、出力誤差フィードバックゲインベクトルKe のゲイン特性が小さければ、状態量の補正効果は低下するが、ノイズ成分の影響を抑制防止して制御の正確性が向上可能であることが分かる。
【0088】
次に、前記コントロールユニット13内で実行される本実施形態の演算処理について図5のフローチャートを用いて説明する。なお、このフローチャートでも、特に情報の授受のためのステップを設けていないが、第1実施形態と同様に、情報の授受は随時実行される。また、この演算処理も、例えば10msec. といった予め設定されたサンプリング時間ΔT毎にタイマ割込処理として実行されるが、その処理内容は、前記図2に示す第1実施形態のものに類似している。両者の相違についてのみ詳述すると、図2の演算処理のステップS10,ステップS14,ステップS33,ステップS38,ステップS42が、夫々ステップS10’,ステップS14’,ステップS33’,ステップS38’,ステップS42’に変更になっている。また、前記変更になったステップS10’とステップS14’との間には新たにステップS13’が追加され、また、変更されないステップS15とステップS23との間には新たにステップS21’が追加され、同じく変更されないステップS25とステップS22との間には新たにステップS26’が追加されている。また、前記図2の演算処理のステップS37は削除されている。また、前記変更となったステップS38’とステップS42’との間には、新たにステップS39’,ステップS40’,ステップS41’が追加されている。また、演算処理中には明確に表れないが、前記検出横変位yORG は、シフトレジスタのような順送り記憶装置に、新しいものから、予め設定されたm個分だけ、順送りに更新記憶される。その他の各ステップは共通する。
【0089】
これらの変更又は追加された各ステップについてのみ、その演算処理の内容を詳述すると、まず前記ステップS10’では、前記シフトレジスタのような順送り記憶装置に記憶されているm個の検出横変位yORG(i)を用いて、検出横変位の移動平均値yAVE(p)を算出してから前記ステップS13’に移行する。
【0090】
また、前記ステップS13’では、前記検出横変位の移動平均値の今回値yAVE(p)から前回値yAVE(p-1)を減じて、検出横変位の移動平均値誤差yDIF を算出してから前記ステップS14’に移行する。
【0091】
また、前記ステップS14’では、前記検出横変位の移動平均値誤差の絶対値|yDIF |が、予め設定された所定値yDIF-0 以下であるか否かを判定し、当該検出横変位の移動平均値誤差の絶対値|yDIF |が所定値yDIF-0 以下である場合には前記ステップS15に移行し、そうでない場合には前記ステップS16に移行する。
【0092】
また、前記ステップS21’では、車速vの増加と共に減少する角速度ωを設定してから前記ステップS23に移行する。
また、前記ステップS26’では、前記カルマンフィルタの非定常な状態量,即ち前記補正横滑り角Δβ、補正ヨーレイトΔr、補正ヨー角Δ2 ψ、補正横変位Δyを全て“0”とする、カルマンフィルタリセットを行ってから前記ステップS22に移行する。
【0093】
また、前記ステップS33’では、前記検出横変位の移動平均値誤差yDIF をクリアしてから前記ステップS34に移行する。
また、前記ステップS38’では、前記14式に従って、車速v,車線曲率ρから、少なくとも前記平衡点周りに相当する定常前輪舵角δf0,定常横変位y0 を算出してから前記ステップS39’に移行する。
【0094】
また、前記ステップS39’では、下記22式に従って、実前輪舵角δf ,定常前輪舵角δf0から前輪舵角偏差Δδf を算出してから前記ステップS40’に移行する。
【0095】
Δδf =δf −δf0 ………(22)
また、前記ステップS40’では、下記23式に従って、前記算出された制御用の横変位y,定常横変位y0 から横変位偏差Δyを算出してから前記ステップS41’に移行する。なお、既に状態推定による前輪自動操舵が開始されている場合には算出される定常横変位y0 は略零であり、検出される制御用の横変位yは、前述したモデル誤差を補正すべきフィードバック分でしかないことから、検出される制御用の横変位yをそのまま横変位偏差Δyに直接設定してもよい。
【0096】
Δy=y−y0 ………(23)
また、前記ステップS41’では、前記17式から構成されるカルマンフィルタによって各状態量の推定を行い、前記状態推定ベクトルxを算出してから、前記ステップS42’に移行する。
【0097】
また、前記ステップS42’では、前記19式乃至21式から補正前輪舵角Δδfdを算出してから前記ステップS43に移行する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0098】
まず、本実施形態における車線変更制御は、前記第1実施形態に比して、後段に詳述するように、例えば車線変更を開始するタイミングや車線変更する際の参照横変位yREF ,つまり前述した車両の車線変更軌跡が若干異なるだけで、例えば参照横変位yREF は正弦関数で設定されるし、車線変更が開始されるまでは、それ以前の舵角が保持されているなどの点でも一致を見る。即ち、車線変更に係る概要は、前記第1実施形態のそれと同様又はほぼ同様である。
【0099】
次に、本実施形態が第1実施形態と異にする車線変更開始タイミングについて説明する。前記第1実施形態では、車線変更する先の車線に対する車両の横変位が定常的になる時間を予め設定しておき、この時間に相当する時間が経過したときから車線変更を開始、即ち検出横変位yORG から参照横変位yREF を減じた制御用の横変位yに対して、車線変更を行うための前輪舵角δf のフィードバック制御が開始される。これに対して、本実施形態では、図5の演算処理のステップS10で検出横変位yORG の移動平均を求め、同ステップS11で算出される検出横変位の移動平均値yAVE の前回値との誤差yDIF (正確にはその絶対値)が所定値yDIF-0 以下となったとき、検出横変位yORG が定常的な状態になったと判断して、同ステップS14からステップS15以降に移行して前記第1実施形態と同様な、車線変更制御を開始する。この実施形態の利点は、車線変更制御を開始するまでの時間を短縮することが可能であるという点にある。即ち、前記第1実施形態のように時間を設定する手法では、検出横変位yORG が定常的になるまでの時間の個々の個体差を考慮して、その最も長い時間を所定時間に設定しなければならない。しかしながら、本実施形態のように検出横変位の移動平均値yAVE の前回値との誤差yDIF をもって、定常か非定常かという判定を行えば、定常的と判定される最短時間から車線変更制御を開始することができる。
【0100】
次に、本実施形態が第1実施形態と異にする車線変更する際の参照横変位yRE F ,つまり前述した車両の車線変更軌跡について説明する。前記図3のタイミングチャートからも明らかなように、本発明の自動操舵装置は、車線変更する先の車線を基準とする参照横変位yREF に沿って車両が車線変更され、当該参照横変位yREF は時間に関する正弦関数で表れる。当然ながら、車速vが大きくなれば、描かれる軌跡の曲率も小さくなるが、前記第1実施形態では参照横変位yREF の時間tに係る角速度ωを一定としていたので、実際に車両が描く軌跡の角速度も一定となる。ところが、車速vが大きくなれば車線変更時に発生する遠心力などの横方向への力も大きくなるので、前記角速度ω一定では、車速vが大きくなるほど横方向への力も大きくなる。そこで、本実施形態では、車速vが大きくなるにつれて角速度ωを小さく設定し、これにより高速走行時の車線変更に伴って車両が描く軌跡の曲率をより一層小さくし、これにより横方向に作用する力を小さくして乗心地や車両挙動を向上することができる。
【0101】
しかしながら、本実施形態と第1実施形態との最も大きな差異は、やはり状態推定器としてカルマンフィルタを用いている点にある。前述のようにカルマンフィルタは、その出力誤差,つまり推定横変位と検出される制御用の横変位との誤差に応じて、例えばモデルを補正するなどして各状態量を補正する。しかしながら、これには、最初にモデルが正しいものであるという仮定がある。つまり、例えば直進状態を継続中にあっては、前輪舵角が操作されなければ、より厳密には前記平衡点周りの定常前輪舵角が達成されている状態では、補正前輪舵角分だけ前輪舵角が操舵されなければ、横変位は変化しないはずであり、逆に操舵していないのに横変位が変化するのは、何らかのノイズのせいであると認識するのである。すると、例えば前述のように車線変更の指示と共に、画像処理装置が、車線変更する先の車線に対する車両の横変位を検出し始めたとき、その検出横変位yORG がノイズ成分の多い,非定常なものであるとすると、この検出横変位yORG から参照横変位yREF を減じた制御用の横変位yもノイズ成分の多いものとなり得る。従って、カルマンフィルタはモデル誤差が発生したと誤認識して、本来は正常なモデルやその他の状態量を補正してしまう。
【0102】
本実施形態では、これらの諸問題に配慮して、前記時刻t1 〜時刻t2 のように検出横変位yORG が非定常で、その間の不安定な操舵を回避するために前輪舵角を保持する間、図5の演算処理のステップS18で前記参照横変位yREF を“0”とし、合わせて同ステップS17では検出横変位yORG も“0”にすげ替えている。従って、この間、同ステップS19で算出される制御用の横変位yも“0”となり、舵角保持に伴って定常横変位y0 も“0”となるはずだから、カルマンフィルタ中の補正横変位Δyも“0”となる。従って、この間にカルマンフィルタが出力誤差を認識することはない。
【0103】
一方、前記時刻t2 以後において、検出横変位yORG から参照用横変位yREF を減じた制御用の横変位yに応じて、前輪舵角δf がフィードバック制御されるようになると、検出横変位yORG のすげ替えは行われなくなる。このとき、検出される各状態量,即ち横滑り角β、ヨーレイトr、ヨー角Δψ、横変位yは全て前記平衡点周りの定常値に一致していると仮定する,つまり各補正値を“0”にリセットすることで、カルマンフィルタがノイズ成分を誤認識しないようにする。
【0104】
以上より、本実施形態は、本発明のうち請求項1又は2又は3又は4又5又は6又は7に係る車両の自動操舵装置を実施化したものであり、前記画像処理装置2及び図5の演算処理のステップS1が本発明の横変位検出手段を構成し、以下同様に、前記ターン信号スイッチ16及び図5の演算処理のステップS5がターン信号検出手段を構成し、前記図5の演算処理のステップS15,ステップS18,ステップS20乃至ステップS32及びステップS36が参照横変位設定手段を構成し、前記自動操舵機構が操舵アクチュエータを構成し、舵角センサ3及び図5の演算処理のステップS4が舵角検出手段を構成し、画像処理装置2及び図2の演算処理のステップS2及びステップS3が走行状態情報検出手段を構成し、図5の演算処理全体及び自動操舵コントロールユニット13が制御手段を構成し、図2の演算処理のステップS7乃至12,ステップS14’,ステップS44及びステップS45が舵角保持手段を構成し、図5の演算処理のステップS41’が状態推定手段を構成する。
【0105】
なお、前記第1及び第2実施形態では、共に車線曲率ρを、画像処理情報として読込む場合についてのみ詳述したが、この車線曲率ρは、前述した横変位やヨーレート,ヨー角,車速等の運動方程式で表れることを用いて推定することも可能である。
【0106】
また、前記第1及び第2実施形態では、共に前輪を操舵することだけで、車線追従,つまり検出される横変位を目標とする横変位に一致させることとしたが、これに代えて又はこれに加えて後輪を操舵するようにしてもよいし、或いはヨーイング運動に着目しながら横変位を制御するならば、それらに加えて前後各輪のトラクション,つまり駆動力を制御してステアリング特性を制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両の自動操舵装置の一例を示す車両概略構成図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図2】本発明の車両の自動操舵装置の第1実施形態の演算処理を示すフローチャートである。
【図3】図2の演算処理で行われる車線変更制御のタイミングチャートである。
【図4】(a)はカルマンフィルタの一例を示すブロック図、(b)は推定された状態量から制御量を出力する演算装置の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明の車両の自動操舵装置の第2実施形態の演算処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1は撮像器
2は画像処理装置(横変位検出手段,走行状態情報検出手段)
3は舵角センサ(舵角検出手段)
4は車速センサ(走行状態情報検出手段)
5はモータ
6はクラッチ機構
7はドライブギヤ
8はドリブンギヤ
9はステアリングシャフト
10はピニオン
11はラック
12は前左右輪
13は自動操舵コントロールユニット(制御手段)
14はステアリングホイール
15は後左右輪
16はターン信号スイッチ(ターン信号検出手段)
Claims (6)
- 車両前方の画像情報から車両の横変位を検出する横変位検出手段と、車線変更に伴って出力されるターン信号を検出するターン信号検出手段と、このターン信号検出手段で検出されたターン信号に基づいて、少なくとも車線変更終了までの間で変化する車両の横変位の参照値を参照横変位として設定する参照横変位設定手段と、前輪又は後輪を操舵する操舵アクチュエータと、この操舵アクチュエータによって操舵される前輪又は後輪の舵角を検出する舵角検出手段と、車両の走行状態に関する情報を検出する走行状態情報検出手段と、前記横変位検出手段で検出された検出横変位と、前記参照横変位設定手段で設定された参照横変位との偏差から車両の制御用横変位を算出し、この車両の制御用横変位が目標とする横変位になるように前記操舵アクチュエータを制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記ターン信号検出手段で車線変更のためのターン信号が検出されてから、前記検出横変位が定常状態となるまでの所定の時間、前記操舵アクチュエータによって操舵される前輪又は後輪の舵角を、運転者が車線変更を要求したとき以後の舵角に保持する舵角保持手段を備えたことを特徴とする車両の自動操舵装置。
- 前記参照横変位設定手段は、前記所定の時間が経過したとき又はその直前の検出値を参照横変位として設定し、その後、零に漸近することを特徴とする請求項1に記載の車両の自動操舵装置。
- 前記漸近する参照横変位を正弦関数で設定することを特徴とする請求項2に記載の車両の自動操舵装置。
- 前記走行状態情報検出手段として車速検出手段を備え、前記参照横変位設定手段は、車速が大きくなるほど、前記正弦関数の時間に係る角速度を小さく設定することを特徴とする請求項3に記載の車両の自動操舵装置。
- 前記制御手段は、前記走行状態情報検出手段で検出された走行状態情報から少なくとも目標とする車両の横変位を含む車両の状態量を推定する状態量推定手段を備えると共に、前記所定時間が経過したとき又はその直前に、当該状態量推定手段の非定常な状態量を初期化することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の車両の自動操舵装置。
- 前記状態量推定手段がカルマンフィルタで構成されることを特徴とする請求項5に記載の車両の自動操舵装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11127897A JP3740787B2 (ja) | 1997-04-28 | 1997-04-28 | 車両の自動操舵装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11127897A JP3740787B2 (ja) | 1997-04-28 | 1997-04-28 | 車両の自動操舵装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10297516A JPH10297516A (ja) | 1998-11-10 |
JP3740787B2 true JP3740787B2 (ja) | 2006-02-01 |
Family
ID=14557180
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11127897A Expired - Fee Related JP3740787B2 (ja) | 1997-04-28 | 1997-04-28 | 車両の自動操舵装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3740787B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017203159A1 (fr) * | 2016-05-24 | 2017-11-30 | Renault Sas | Dispositif de contrôle de trajectoire d un véhicule |
DE102018115175A1 (de) | 2017-09-15 | 2019-03-21 | Subaru Corporation | Fahrsteuervorrichtung eines Fahrzeugs |
US11429114B2 (en) * | 2020-02-14 | 2022-08-30 | Deere & Company | Implement control of vehicle and implement combination |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5109296B2 (ja) * | 2006-07-04 | 2012-12-26 | トヨタ自動車株式会社 | 走行支援装置 |
JP5324658B2 (ja) * | 2010-03-12 | 2013-10-23 | トヨタ自動車株式会社 | 操舵支援装置 |
JP5853589B2 (ja) * | 2011-10-26 | 2016-02-09 | 日産自動車株式会社 | 運転支援装置 |
JP6317972B2 (ja) * | 2014-03-28 | 2018-04-25 | 株式会社Subaru | 車両の車線逸脱防止制御装置 |
JP2016002978A (ja) * | 2014-06-19 | 2016-01-12 | 富士重工業株式会社 | 車両の走行制御装置 |
JP6419671B2 (ja) * | 2015-10-14 | 2018-11-07 | 三菱電機株式会社 | 車両用操舵装置および車両用操舵方法 |
JP6631289B2 (ja) * | 2016-02-08 | 2020-01-15 | トヨタ自動車株式会社 | 車両制御システム |
JP6654121B2 (ja) | 2016-09-23 | 2020-02-26 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 車両運動制御装置 |
JP2018144577A (ja) * | 2017-03-03 | 2018-09-20 | トヨタ自動車株式会社 | 運転支援装置 |
CN111886168B (zh) * | 2018-03-26 | 2023-04-07 | 三菱电机株式会社 | 路径生成装置、路径生成方法以及行驶控制装置 |
-
1997
- 1997-04-28 JP JP11127897A patent/JP3740787B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017203159A1 (fr) * | 2016-05-24 | 2017-11-30 | Renault Sas | Dispositif de contrôle de trajectoire d un véhicule |
FR3051756A1 (fr) * | 2016-05-24 | 2017-12-01 | Renault Sas | Dispositif de controle de trajectoire d’un vehicule |
DE102018115175A1 (de) | 2017-09-15 | 2019-03-21 | Subaru Corporation | Fahrsteuervorrichtung eines Fahrzeugs |
US11220290B2 (en) | 2017-09-15 | 2022-01-11 | Subaru Corporation | Traveling control apparatus of vehicle |
US11429114B2 (en) * | 2020-02-14 | 2022-08-30 | Deere & Company | Implement control of vehicle and implement combination |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10297516A (ja) | 1998-11-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4441909B2 (ja) | 車両制御装置 | |
JP3740787B2 (ja) | 車両の自動操舵装置 | |
JP6776998B2 (ja) | 自動運転システム | |
JP6743719B2 (ja) | 車両の操舵支援装置 | |
JP6076394B2 (ja) | 車両用操舵装置および車両操舵制御方法 | |
JPH08332971A (ja) | 車両挙動制御装置 | |
JP2007030612A (ja) | パワーステアリング装置。 | |
JP5556029B2 (ja) | 運転操作支援装置及び運転操作支援方法 | |
JP4807015B2 (ja) | 電動パワーステアリング制御装置 | |
JP3644211B2 (ja) | 車両の自動操舵装置 | |
JPH11198844A (ja) | 操舵力制御装置 | |
JP3696466B2 (ja) | 車両用操舵装置 | |
JP2010188854A (ja) | 車線維持支援装置及び車線維持支援方法 | |
JP6579699B2 (ja) | 車両の走行制御装置 | |
JP4853068B2 (ja) | 車両用支援制御装置 | |
JP7028115B2 (ja) | 車両用操舵支援装置 | |
JP2018127146A (ja) | 車両の操舵支援装置 | |
JP4692403B2 (ja) | 車両の操舵装置 | |
JP3780617B2 (ja) | 車両の自動操舵装置 | |
JP6278202B2 (ja) | 車線維持制御装置 | |
JP3707199B2 (ja) | 車両の自動操舵装置 | |
JP2003048564A (ja) | 車両用操舵制御装置 | |
JP5082237B2 (ja) | 車両用操舵支援装置 | |
KR102621533B1 (ko) | 차량 조향 시스템의 제어 장치 및 제어 방법 | |
JPH05278624A (ja) | 車両旋回状態推定装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050714 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050802 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050929 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20051018 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20051031 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091118 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |