JP3644211B2 - 車両の自動操舵装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両を車線に沿って走行させるために当該車両の操舵を自動的に行う車両の自動操舵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような従来の車両の自動操舵装置としては、例えば特開平7−81602号公報に記載されるものがある。この従来例に記載される車両の自動操舵装置は、操舵に係る種々の条件,特にカーブに沿って走行するときに、より人為的な操舵が行われるように操舵特性を規定するものである。これにより、乗員に、より自然な走行感や快適な乗心地を与えるようにしている。
【0003】
この従来技術は、カメラ等からの画像情報から車線に対する車両の横変位を検出するものであるが、その一方で、磁気ネイルと呼ばれる磁石などの磁力源を車線に沿って埋設し、これを車両に取付けた磁気センサで検出して、当該車両の横変位(磁力源に対する横位置情報であり、つまり車線に対する自車位置情報である)を検出し、この検出される横変位が例えば目標とする横変位に一致するように、前輪又は後輪をアクチュエータで操舵制御することが考えられている。しかしながら、前記従来技術の自動操舵装置を実際の車両に搭載して、この磁気ネイルによる車線追従式の自動操舵を行わせると、制御の正確性が低下してしまう恐れがある。これは、検出される横変位のノイズが車両の走行状態に応じて変化することに起因することや、こうした自動操舵装置が離散化されたシステムで構築されていることが関与しているためである。
【0004】
そこで、本出願人は、この車両の横変位を舵角制御の単純な結果とは考えないで、例えば車速や車線曲率を含む車両モデルで発生する種々の状態変数の一部と考えるものとし、これに基づいて行われる自動操舵装置を提案した。そして、それらの状態変数をカルマンフィルタ等のオブザーバ,即ち状態推定器(状態推定手段)で推定しながら、既に追従していると考える現在の定常舵角に対して補正すべき舵角を算出する。そして、この補正すべき舵角と定常舵角との和からなる目標舵角に実際の舵角を一致させるようにフィードバック制御する構成とし、これにより磁気ネイルによる安定した車線追従式自動操舵を行うことができるようになる。ちなみに、カルマンフィルタは、夫々が独立してフィードバック制御される種々の状態変数をモデル化して組み込み、結果的にそれらの連鎖的な応答をなくして、単独の状態量のフィードバック制御を容易化,正確化するものである。また、更に出力される推定状態変数と検出された状態変数との出力誤差に応じてモデル,即ち推定される状態量を補正可能としたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような車線追従式自動操舵装置を始めとする舵角のフィードバック制御では、当然ながら検出される舵角と、真の舵角との誤差について考慮しなければならない。特に自動操舵装置では、非常に正確な舵角のフィードバック制御が要求される。より具体的には、例えば舵角センサがエンコーダ等で構成されている場合にあって、例えば平坦な路面で車両を直進走行させるに足る舵角の中立状態を真の舵角の中立値と定義すると、この真の舵角の中立値に対して検出される舵角の中立値とのずれが、例えばドリフト成分として重畳されて検出される。従って、検出される舵角と真の舵角との誤差については、この舵角中立値ずれを検出すればよいことになる。このような舵角中立値ずれは、例えば舵角センサの個体差のみならず、組付け誤差なども含まれているので、少なくともその検出は、実際に車両を走行してみなければならない。
【0006】
この舵角中立値ずれを検出する手法は種々に開発されており、その一つとして、例えばエンジンを始動した後、所定の時間間隔で舵角センサからの検出値の平均値を算出し、それを舵角中立値ずれと見なすものもある。しかしながら、この手法では、例えば螺旋式の駐車場等のようにエンジン始動後にカーブが連続するような状態では、ステアリングホイールを切った状態での検出値を舵角中立値ずれと誤認識してしまうし、例え直線路であっても操舵入力によって前記所定時間内の平均値が真の舵角中立値ずれにならない恐れもある。勿論、前記所定時間を長く設定すれば、舵角中立値ずれを真値に近づけることも可能であるが、その間は舵角フィードバック制御を行えないというトレードオフもある。また、実際には直進走行に見合う車速以下のときや横加速度を伴うときには舵角中立値ずれを算出しないようにすることで精度を高めてもいるが、何れの手法でも、前述のような自動操舵装置に要求される高い精度には及ばない。
【0007】
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、自動操舵に要求されるような舵角中立値ずれを高い精度で検出して、舵角のフィードバック制御を可能とする車両の自動操舵装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る車両の自動操舵装置は、状態推定手段で車両の種々の状態変数を推定しながら、車両を自動操舵するにあたり、車両を直進走行させる真の舵角の中立値と、検出される操舵輪の舵角の中立値との舵角中立値ずれを、車両の状態変数の一つとしてモデル化して前記状態推定手段に組み込み、当該状態推定手段で前記舵角中立値ずれを推定すると共に、前記舵角中立値ずれを外乱で変化する変数とし、舵角中立値ずれを推定する度に、次第に外乱の影響を受けにくくして定数化することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置は、前輪又は後輪を操舵する操舵アクチュエータと、この操舵アクチュエータによって操舵される前輪又は後輪の舵角を検出する舵角検出手段と、走行車線に対する車両の横変位を検出する横変位検出手段と、少なくとも走行車線に対する車両の横変位を含む車両の状態変数を車両モデルから推定する状態推定手段と、この推定された車両の状態変数を用いて、前記検出された車両の横変位と推定された車両の横変位との誤差が目標とする値になるように、前記舵角検出手段で検出された舵角をフィードバック制御しながら、前記操舵アクチュエータを制御する操舵制御手段とを備えた車両の自動操舵装置において、前記状態推定手段は、車両を直進走行させる真の舵角の中立値と、前記舵角検出手段で検出される舵角の中立値との舵角中立値ずれを、モデル化された車両の状態変数の一つとして推定し、前記操舵制御手段は、この状態推定手段で推定された舵角の中立値とのずれを用いて前記舵角をフィードバック制御することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置は、前記請求項に係る発明において、前記状態推定手段は、直線又は略直線の車線を走行しているときに前記舵角中立値ずれを推定又は更新するものであることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置は、前記請求項に係る発明において、前記状態推定手段は、車両の走行状態情報を検出する手段として、少なくとも車線曲率を検出する車線曲率検出手段を備え、この車線曲率検出手段で検出された車線曲率を用いて前記舵角中立値ずれを推定するものであることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置は、前記請求項乃至に係る発明において、前記状態推定手段は、車両の走行状態情報を検出する手段として、車速を検出する車速検出手段を備え、この車速検出手段で検出された車速を用いて前記車両モデルを補正しながら前記舵角中立値ずれを含む車両の状態変数を推定するものであることを特徴とするものである。
【0014】
この発明では、車両モデルが車速依存の変数を有する場合に、車速を検出してモデルを補正することにより、推定される状態変数の精度を向上させることを目的としている。
【0015】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置は、前記請求項乃至に係る発明において、前記舵角中立値ずれを外乱で変化する一次遅れ系としてモデル化し、前記状態推定手段は、前記舵角中立値ずれの推定回数の増加に伴って、前記外乱の分散を小さくするように補正することを特徴とするものである。
【0016】
この発明で、外乱の分散を小さくするようにという表現は、外乱の変動によって受ける影響を小さくするようにという意味である。
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置は、前記請求項乃至に係る発明において、前記舵角中立値ずれを外乱で変化する一次遅れ系としてモデル化し、前記一次遅れ系の時定数を大きくするように補正することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置は、前記請求項乃至に係る発明において、前記操舵制御手段が、前記検出された車両の横変位と推定された車両の横変位との誤差を目標とする値に最適化する最適レギュレータを含んで構成されることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置は、前記請求項乃至に係る発明において、前記状態推定手段がカルマンフィルタで構成されることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の効果】
而して、本発明のうち請求項1に係る車両の自動操舵装置によれば、検出される舵角中立値と真の舵角中立値との舵角中立値ずれを、車両の状態変数の一つとしてモデル化して状態推定手段に組み込んで推定する構成としたため、その車両モデルが実際の車両走行を適切に反映しているものであれば、例え操舵中であっても舵角中立値ずれを高い精度で検出できる。勿論、状態推定手段は、自動操舵装置の必須構成要件であるから、格別に装置を追加したりする必要もなく、簡潔でコスト的にも有利である。
【0020】
また、舵角中立値ずれを外乱で変化する変数とし、舵角中立値ずれを推定する度に、次第に外乱の影響を受けにくくして定数化する構成としたため、例えば推定開始直後には外乱の影響を受け易くすることで真値への収束性を早め、次第に定数化して舵角フィードバック制御を安定させることができる。
【0021】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置によれば、検出される舵角中立値と真の舵角中立値との舵角中立値ずれを、車両の状態変数の一つとしてモデル化して状態推定手段に組み込んで推定する構成としたため、その車両モデルが実際の車両走行を適切に反映しているものであれば、例え操舵中であっても舵角中立値ずれを高い精度で検出でき、正確な舵角フィードバック制御によって適正な自動操舵を行うことができる。勿論、状態推定手段は、自動操舵装置の必須構成要件であるから、格別に装置を追加したりする必要もなく、簡潔でコスト的にも有利である。
【0022】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置によれば、直線又は略直線の車線を走行しているときに舵角中立値ずれを推定又は更新する構成としたため、得られる車線曲率情報が曖昧なものであるときに、それに基づいて不正確な舵角中立値ずれを推定したり更新したりすることがなく、その分だけ、制御性を向上することができる。
【0023】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置によれば、検出された車線曲率を用いて舵角中立値ずれを推定する構成としたため、車両が曲線車線を走行しているときでも舵角中立値ずれを推定し続けることができ、これにより、舵角中立値ずれの定常化を早めて制御性を早期に向上することができる。
【0024】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置によれば、検出された車速を用いて車両モデルを補正しながら車両の状態変数を推定する構成としたため、車両モデルの車速依存性を是正して、舵角中立値ずれを含む推定される状態変数の精度を向上させることができる。
【0025】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置によれば、舵角中立値ずれを外乱で変化する一次遅れ系としてモデル化すると共に、その推定回数の増加に伴って外乱の分散を小さくするように補正する構成としたため、推定を重ねる度に、舵角中立値ずれの推定値が外乱の変動の影響を受けにくくなって常数化され、例えば推定開始直後には外乱の影響を受け易くすることで真値への収束性を早め、次第に常数化して舵角フィードバック制御を安定化させることができるようになる。
【0026】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置によれば、舵角中立値ずれを外乱で変化する一次遅れ系としてモデル化すると共に、その推定回数の増加に伴って一次遅れ系の時定数を大きくするように補正する構成としたため、推定を重ねる度に、舵角中立値ずれの推定値が外乱の変動の影響を受けにくくなって常数化され、例えば推定開始直後には外乱の影響を受け易くすることで真値への収束性を早め、次第に常数化して舵角フィードバック制御を安定化させることができるようになる。
【0027】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置によれば、最適レギュレータによって、検出された車両の横変位と推定された車両の横変位との誤差を目標とする値に最適化する構成としたため、種々に変動する車両の状態変数を適正な状態にしながら、車両の横変位を目標とする推定横変位に一致させることが可能となる。
【0028】
また、本発明のうち請求項に係る車両の自動操舵装置によれば、前記状態推定手段をカルマンフィルタで構成したため、当該カルマンフィルタには出力誤差から車両モデルや状態変数を補正する作用があるから、その作用を用いて舵角中立値ずれを次第に適正化したり安定化したりすることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここでは、前輪を主として操舵する自動操舵装置について説明する。
【0030】
図1は、本発明の第1実施形態の自動操舵装置を示す概略構成図である。同図の符号12は前左右輪、15は後左右輪を示し、前左右輪12にはごく一般的なラックアンドピニオン式の操舵機構が付加されている。この操舵機構は、前左右輪12の操舵軸(タイロッド)に接続されるラック11と、これに噛合するピニオン10と、このピニオン10をステアリングホイール14に与えられる操舵トルクで回転させるステアリングシャフト9とを備えている。
【0031】
また、前記ステアリングシャフト9には、前左右輪12を自動操舵するための自動操舵機構も付加されている。この自動操舵機構は、前記ステアリングシャフト9に同軸に取付けられたドリブンギヤ8と、これに噛合するドライブギヤ7と、このドライブギヤ7を回転駆動するモータ5である。なお、モータ5とドライブギヤ7との間にはクラッチ機構6が介装されており、自動操舵制御時にのみクラッチ機構6が接続され、そうでないときにはクラッチ機構6が離間してモータ5の回転力がステアリングシャフト9に入力されないようにしている。そして、前記モータ5を含む自動操舵機構は、後述する自動操舵コントロールユニット13からの制御信号で制御される。
【0032】
一方、本実施形態では、後左右輪15を補助操舵するための補助操舵機構も付加されている。この補助操舵機構は、後左右輪15を連結する操舵杆20と同軸に取付けられたラック19と、このラック19に噛合し且つモータ17の回転駆動力でラック19を往動させて後左右輪15を補助操舵するギヤ18とを備えてなる。このモータ17を含む補助操舵機構も、後述する自動操舵コントロールユニット13からの制御信号で制御される。
【0033】
また、この車両には種々のセンサ類が取付けられている。符号3は舵角センサであり、ステアリングシャフト9の回転角から前左右輪12の実前輪舵角δf を割出して自動操舵コントロールユニット13に出力する。また、図中の符号4は車速センサであり、例えば変速機の出力軸の回転速度から車両の移動速度(車速)vを割出して自動操舵コントロールユニット13に出力する。また、図中の符号16は車線の曲率を検出する車線曲率検出装置であり、例えば車線脇から無線送信される車線曲率情報を得て、その車線曲率ρを自動操舵コントロールユニット13に出力する。なお、この車線曲率検出装置は、コントロールユニット13内で実行される演算処理によって構成されるようにソフト化してもよく、その簡潔な内容については後述する。また、図中の符号21は補助舵角センサであり、前記操舵杆20の移動量から後左右輪15の実後輪舵角δr を割出して自動操舵コントロールユニット13に出力する。
【0034】
一方、磁力源として車線に沿って埋設された磁石の磁力は、車両の前方下部に取付けられた磁気センサ1で検出される。この磁気センサ1は、単に磁石の磁力の大きさだけでなく、その磁力ベクトルを、車両上下方向に相当する縦成分と、車両幅方向に相当する横成分とに分解して、その夫々の方向と大きさとを検出することができる。
【0035】
この磁気センサ1の検出信号は、横変位検出手段を構成する横変位検出装置2に出力される。この横変位検出装置2は、後述する原理に基づいて、検出される磁力ベクトルの縦横成分比から車両(厳密には磁気センサ1)の車線(厳密には磁石)に対する横変位の方向と大きさとを検出(算出)する。なお、この横変位検出装置2は、図示されないマイクロコンピュータ等の離散化したディジタルシステムで構成されているため、前述したような横変位のサンプリングは、予め設定されたサンプリングタイミングでしか行われない。この横変位検出装置2で検出された車両の横変位yは、制御手段を構成し且つ自動操舵制御を司る自動操舵コントロールユニット13に出力される。
【0036】
前記自動操舵コントロールユニット13は、マイクロコンピュータのような離散化されたディジタルシステムで構成されている。このディジタルシステムは、既存のマイクロコンピュータと同様に、前記各センサ類からの検出信号を読込むための入力インタフェース回路や、必要なプログラムや演算結果等を記憶するROM,RAM等の記憶装置や、実際に演算処理を行うと共に或る程度のバッファ機構を備えたマイクロプロセサユニット等の演算処理装置や、この演算処理装置で設定した制御信号を前記自動操舵機構のモータ5や補助操舵機構のモータ17に出力するための出力インタフェース回路等を備えている。なお、本実施形態では、前記自動操舵コントロールユニット13内のマイクロコンピュータ等のディジタルシステム中に、状態推定器(状態推定手段)としてのカルマンフィルタが構築されている。このカルマンフィルタの構成や作用については後段に詳述する。
【0037】
次に、前記コントロールユニット13内で実行される本実施形態の演算処理について図2のフローチャートを用いて説明する。なお、このフローチャートでは、特に情報の授受のためのステップを設けていないが、演算処理装置で読込まれた情報や物理量或いは演算された演算結果は随時記憶装置に更新記憶されるし、演算処理に必要なプログラムやマップ,テーブル等は随時記憶装置から演算処理装置のバッファに読込まれる。また、この演算処理中、舵角中立値ずれδfofst 及び中立値算出カウンタCNTは、イグニッションスイッチのON/OFFに係わらず、リセットされたりクリアされたりしない不揮発性メモリに更新記憶される。
【0038】
この演算処理は、例えば10msec. といった予め設定されたサンプリング時間ΔT毎にタイマ割込処理として実行され、まずステップS1で前記車速センサ4からの車速vを読込む。
【0039】
次にステップS2に移行して、前記読込まれた車速vが予め設定された低速所定値v0 以上であるか否かを判定し、当該車速vが所定値v0 以上である場合にはステップS3に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰してしまう。なお、この低速所定値v0 については後段に説明する。
【0040】
前記ステップS3では、前記車線曲率検出装置16からの情報を取り込むことによって車線曲率ρを検出する。
次にステップS4に移行して、下記1式に従って定常前輪舵角δf0を算出する。なお、下記1式の算出原理については後段に詳述する。
【0041】
Figure 0003644211
次にステップS5に移行して、下記2式に従って定常後輪舵角δr0を算出する。なお、下記2式の算出原理については後段に詳述する。
【0042】
Figure 0003644211
次にステップS6に移行して、前記舵角センサ3からの前輪舵角δf 及び補助舵角センサ21からの後輪舵角δr を読込む。
【0043】
次にステップS7に移行して、下記3式に従って、実前輪舵角δf ,定常前輪舵角δf0及び記憶装置に更新記憶されている舵角中立値ずれδfofst を用いて前輪舵角偏差Δδf を算出する。なお、舵角中立値ずれδfofst の導出原理については後段に詳述する。
【0044】
Δδf =δf −δf0+δfofst ……… (3)
次にステップS8に移行して、後述する12式に従って、車速v,車線曲率ρから、後述する平衡点周りに相当する定常横変位y0 を算出する。
【0045】
次にステップS9に移行して、前記横変位検出装置2からの横変位yを読込む。
次にステップS10に移行して、下記4式に従って、前記検出された実横変位y,定常横変位y0 から横変位偏差Δyを算出する。なお、既に状態推定による前輪自動操舵が開始されている場合には、前記ステップS8で算出される定常横変位y0 は略零であり、検出される横変位yは、前述したモデル誤差を補正すべきフィードバック分でしかないことから、検出される横変位yをそのまま横変位偏差Δyに直接設定してもよい。
【0046】
Δy=y−y0 ……… (4)
次にステップS11に移行して、後述する図3の制御マップ等に従って中立値算出カウンタCNTから時定数τを設定する。この図3の制御マップで設定される時定数τは、後述する中立値算出カウンタ(回数)CNTの増加に伴って増加傾きが次第に小さくなる単純増加関数として設定される。
【0047】
次にステップS12に移行して、後述する11式から構成されるカルマンフィルタによって状態推定を行って、前記舵角中立値ずれδfofst を含む状態推定ベクトルxを算出(推定)する。
【0048】
次にステップS13に移行して、前記車線曲率ρが予め設定された近似直線所定値ρ0 以下であるか否かを判定し、当該車線曲率ρが所定値ρ0 以下である場合にはステップS14に移行し、そうでない場合にはステップS16に移行する。
【0049】
前記ステップS14では、前記ステップS12で推定された舵角中立値ずれδfofst を新たな舵角中立値ずれδfofst として記憶装置に更新記憶してからステップS15に移行する。
【0050】
前記ステップS15では、前記中立値算出カウンタCNTをインクリメントしてから前記ステップS16に移行する。
前記ステップS16では、後述する14式から補正前輪舵角Δδfdを算出するための補正状態ベクトルΔxを算出する。
【0051】
次にステップS17に移行して、後述する18式乃至21式から補正前輪舵角Δδfdを算出する。
次にステップS18に移行して、下記5式及び6式に従って、前記算出された補正前輪舵角Δδfd,定常前輪舵角δf0から目標前輪舵角δfdを、或いは定常前輪舵角δr0から目標後輪舵角δrdを、夫々算出する。
【0052】
δfd=δf0+Δδfd ……… (5)
δrd=δr0 ……… (6)
次にステップS19に移行して、前記設定された目標前輪舵角δfdに真の前輪舵角δfRを一致させるフィードバック制御の制御信号を創成し出力する。なお、真の前輪舵角δfRとは、前記舵角センサ3からの前輪舵角δf と舵角中立値ずれδfofst との和であって、その導出原理については後段に詳述する。
【0053】
次にステップS20に移行して、前記設定された目標後輪舵角δrdに前記後輪舵角δr を一致させるフィードバック制御の制御信号を創成し出力してからメインプログラムに復帰する。
【0054】
次に、前記カルマンフィルタについて説明する。カルマンフィルタは、現代制御理論に基づいた状態量(本発明で言う状態変数であり、物理量とのバランスをとって状態量と記す)を、予め設定されたモデルに従って幾つか推定し、その夫々にフィードバック制御を行うことを前提として、結果的に種々の連鎖的な応答をなくして、単独の状態量のフィードバック制御を容易化,正確化する場合に、出力される推定状態量と検出された状態量との出力誤差に応じてモデル,即ち推定される状態量を補正可能としたものである。具体的には図4aに示す構成となる。
【0055】
ここで、本実施形態のカルマンフィルタ中のモデルは、車両の二輪モデルであるから、これを状態空間表現を用いて下記11’式に示す。但し、この11’式に示す二輪モデルは、後輪を操舵可能とし、更に後輪のトラクションによってヨーモーメントを制御可能としたものであるから、本実施形態のように前輪を主として操舵して車両の横変位を制御する共に、後輪を補助操舵して、前記磁気センサ12の位置における対磁石横方向速度,つまりセンサ横滑り速度を低減するだけのものの場合にはヨーモーメントTr を零に設定すればよい。また、前記図2の演算処理のステップS12で用いられる11式からなるカルマンフィルタは、この11’式に、更に個別の外乱モデルを加えたものであって、それについては更に後段に詳述する。
【0056】
Figure 0003644211
但し、
11=−(Cr +Cf )/(m・v) ………(11-1)
12=(−1+(Cr ・b−Cf ・a))/(m・v2 ) ………(11-2)
21=(Cr ・b−Cf ・a)/I ………(11-3)
22=−(Cr ・b2 +Cf ・a2 )/(I・v) ………(11-4)
11=Cf /(m・v) ………(11-5)
12=Cr /(m・v) ………(11-6)
21=Cf ・a/I ………(11-7)
22=−Cr ・b/I ………(11-8)
23=1/I ………(11-9)
である。また、
β :車両重心点の横滑り角
r :ヨーレイト
Δψ:車線を基準とするヨー角
s :磁気センサと車両重心点との平面視における距離
r :後左右二輪のコーナリングスティフネス
f :前左右二輪のコーナリングスティフネス
m :車両質量
b :後輪軸と車両重心点との平面視における距離
a :前輪軸と車両重心点との平面視における距離
I :車両の慣性モーメント
である。
【0057】
ここで、各係数中の分母に車速vが介在していることから、これらが車速依存性のモデルであることが分かり、同時に車速vが“0”ではモデルが成立しないことから、前述のように車速vが低速所定値v0 以上であるときに限って、状態推定を行うことが分かる。
【0058】
そして、前記11式で、定常的な走行状態では左辺,つまり車両重心点の横滑り角速度β' (’は時間微分値を示す)も、ヨー角加速度r' も、ヨーレイトΔψ' も、横変位速度y' も全て零になると考えられるから、このときの各物理量,或いは状態量に添字“0”を付けて下記12式を得る。なお、このような定常走行状態における各状態量を平衡点周りの状態量と定義する。
【0059】
Figure 0003644211
すると、実際に必要な舵角やヨーモーメントは、この平衡点周りの定常的な舵角やヨーモーメントを与えたときに、更にモデル誤差等によって発生する補正分をフィードバックした値になるから、下記13−1〜3式が与えられ、更に同様のことが他の各状態量にも言えることから、ヨー角や横変位等の状態量についても下記14−1〜4式が成立する。
【0060】
δf =δf0+Δδf ………(13-1)
δr =δr0+Δδr ………(13-2)
r =Tr0+ΔTr ………(13-3)
β=β0 +Δβ ………(14-1)
r=r0 +Δr ………(14-2)
Δψ=Δψ0 +Δ2 ψ ………(14-3)
y=y0 +Δy ………(14-4)
これらから下記13式,14式で表れる二つの補正ベクトルΔu,Δxを得ることができる。
【0061】
Figure 0003644211
次に、車線曲率ρには補正分がないことから、Δρが実質的に零である(即ちρ0 =ρ)ことを考慮して以上を総合して解くと、下記15式を得る。つまり、ここで得られる状態量の補正ベクトルx(補正横滑り角Δβ,補正ヨーレイトΔr,補正ヨー角Δ2 ψ、補正横変位Δy)が正確なものであるとすると、このベクトルから補正すべき前輪舵角,つまり補正前輪舵角Δδfdや、補正後輪舵角Δδrdや補正ヨーモーメントΔTrd等を算出可能となる。なお、前述と同様に、ヨーモーメントを補正しない本実施形態のような場合には、前記定常ヨーモーメントTr0或いは補正ヨーモーメントΔTrd等を全て“0”に設定すればよいだけである。
【0062】
Figure 0003644211
この15式を、例えば前記図4aのカルマンフィルタの構成図に合わせて略記すると下記16’式のように表れる。
【0063】
dΔx/dt=A’Δx+B’Δu ……… (16')
なお、この16式で用いられる各ベクトル,A’,B’は夫々、以下のように纏められる。
【0064】
Figure 0003644211
Figure 0003644211
ここで、一旦、カルマンフィルタの構成の説明から離れて、前記状態量の補正ベクトルΔxから車線追従,つまり補正横変位Δy=0を実現するための補正前輪舵角Δδfdや、補正後輪舵角Δδrdや補正ヨーモーメントΔTrdを設定するために、最適レギュレータを用いた最適化制御を考える。ここで、拘束条件は前記16’式であり、評価関数Jは下記17式で与えられる。
【0065】
J=∫(ΔxT QΔx+ΔuT RΔu)dt ………(17)
なお、ΔxT は補正ベクトルΔxの転置ベクトルを、ΔuT は補正ベクトルΔuの転置ベクトルを示す。また、Qは対称非負定行列、Rは対称正定行列で、一般に重みと呼ばれる。補正ベクトルΔxにおける補正横変位Δyは4行目であるので、当該補正横変位Δyを小さくするためには、前記対称非負定行列Qの4行4列要素を大きくすればよい。但し、ゲインを上げれば、その分だけノイズを拾い易くなるというトレードオフを考慮しなければならないことは言うまでもない。
【0066】
結論として得られるフィードバック則は、図4bに示すブロック図に合わせて下記18式で表され、各要素を列記すると19式が得られる。なお、KR は定数行列である。
【0067】
Δu=−KR ・Δx ………(18)
Figure 0003644211
ここで、目標横変位をΔyd とすると、ΔyをΔyd とするためには、
Figure 0003644211
となる。
【0068】
つまり、本実施形態では、制御可能な後輪舵角δr であっても、このフィードバック分までは補正しない,つまり目標後輪舵角δrdは前記定常後輪舵角δr0に設定されるため、推定される補正横滑り角Δβ、補正ヨーレイトΔr、補正ヨー角Δ2 ψ、補正横変位Δyに対して、補正前輪舵角Δδfdは下記21式で端的に与えられることになる。
【0069】
Figure 0003644211
なお、前述の状態推定器で補正横変位Δyを除く補正横滑り角Δβ、補正ヨーレイトΔr、補正ヨー角Δ2 ψが検出できない場合には、逆に補正横変位Δyと補正前輪舵角Δδf を用いて状態推定器を構成すれば、それらの状態量を推定することができる。
【0070】
一方、再びカルマンフィルタの説明に戻って、本実施形態では、前述したような舵角センサ3で検出される前輪舵角δf と真の前輪舵角δfRとの誤差を両者の舵角の中立値のずれ,即ち舵角中立値ずれδfofst と表し、三者の関係を下記22式で定義する。
【0071】
δfR=δf +δfofst ………(22)
また、本実施形態では、前記舵角中立値ずれδfofst は外乱wによって変化する一次遅れ系の状態量(状態変数)と見なし、下記23式で、その挙動を定義する。なお、式中のτは一次遅れ系の遅れ時間を設定する時定数である。
【0072】
dδfofst /dt=−δfofst /τ+w ………(23)
この23式の関係を、前記二輪運動モデルを表す11’式に組み込んで、新たなカルマンフィルタを構築すると、それは下記11式で表される。
【0073】
Figure 0003644211
この11式を、前記図4aのカルマンフィルタの構成図に合わせて略記すると下記24式のように表れる。
【0074】
dx/dt=Ax+Bu+Gw ………(24)
そして、この24式で用いられる各ベクトル,x,A,B,u,G(外乱係数)は夫々、以下のように纏められる。
【0075】
Figure 0003644211
このようにして車両の各種の状態量を同時に推定することができるのであるが、前述したモデルと実際の車両とは、必ず誤差がある。そこで、図4aに示すように、この推定された横変位yと検出された横変位yとの偏差(以下、単に出力誤差とも記す)εを求め、この出力誤差εに出力誤差フィードバックゲインベクトルKe をかけて、前記状態推定器内のモデルを補正する。ここでは、理解を容易化するために、モデルを補正するという表記を用いるが、実質的には各状態量を直接補正しても何ら問題がないことから、広義には状態量を補正するとして取扱う。また、前記出力であるベクトルxから推定された横変位yを抽出するために図4aの構成図に合わせて下記25式を設定し、ベクトルCを下記25−1式で定義する。
【0076】
Figure 0003644211
前記出力誤差フィードバックゲインベクトルKe は、ベクトルの特性上、単純に大小の比較ができないが、以上の説明から明瞭なように、そのゲイン特性が大きければ状態量の補正を速やかにして制御の応答性を高めることができるが、その反面、ノイズ成分の影響を受け易いことが分かる。逆に、出力誤差フィードバックゲインベクトルKe のゲイン特性が小さければ、状態量の補正効果は低下するが、ノイズ成分の影響を抑制防止して制御の正確性が向上可能であることが分かる。本実施形態では、この出力誤差フィードバックゲインベクトルKe によって、特に前記舵角中立値ずれδfofst をフィードバック補正するものとし、他のモデル構成については補正しない。従って、本実施形態の出力誤差フィードバックゲインベクトルKe は、外乱の変動或いはその分散といったものの影響を、補正される舵角中立値ずれδfofst に如何に与えるかを規定するものであると言える。なお、このような出力誤差フィードバックゲインベクトルKe の設計法については一般の制御理論で提示されている。
【0077】
次に、前記1式及び2式の算出原理について説明する。本実施形態のように後輪を操舵する場合の運動方程式は、二輪モデルを用いて下記26式及び27式で表される。
【0078】
Figure 0003644211
但し、
β' :車両重心点の横滑り角速度
r' :ヨー角加速度
である。
【0079】
また、旋回運動の定常状態におけるヨーレイトrは車線曲率ρと車速vとから下記28式で表される。
r=ρ・v ………(28)
また、旋回運動の定常状態では車両重心点の横滑り角速度β' もヨー角加速度r' も共に零であるから、それを下記29式で表す。
【0080】
β' =r' =0 ………(29)
また、磁気センサ位置での横滑り速度vs は、ヨーレイトψ' 及び横滑り角βを用いて下記20式で与えられるものである。
【0081】
s =Ls ・r+v・β ………(30)
前記26式及び27式の前輪舵角δf を前記定常状態における定常前輪舵角δf0とすると共に、後輪舵角δr を前記定常状態における定常後輪舵角δr0とし、これらの夫々について前記26式乃至30式を解けば前記1式及び2式を得る。このような算出原理は、前記変更点周りの状態量,つまり定常状態における各状態量を導出するための原理と同じであるから、前記12式の定常前輪舵角δf0や定常後輪舵角δr0と1式や2式のそれらとが夫々等価であることが理解できる。これは車両の線形性によるものである。
【0082】
なお、補正前輪舵角Δδfdについては、前記定常前輪舵角δf0を与えたときの横変位yのフィードバック制御による補正分と考えて、古典制御理論にいう所謂PID制御に応じて設定してもよい。
【0083】
次に、本実施形態の作用について説明する。
ここで、車線に沿って埋設する磁力源として磁石を用いた場合、当該磁石からの磁力に基づいて車線に対する車両の横変位を検出する原理について簡潔に説明する。磁石からの磁力線が図10のように発生しているとき、磁気センサのレベル(高さ)は一定であるから、検出される磁力ベクトルの縦横成分の比が分かれば、磁気センサ,つまり車両は磁石,つまり車線に対してどの程度横方向にずれているかが分かる。即ち、磁気センサが磁石の真上にあれば、検出される磁力ベクトルの縦横成分の比は1:0になるし、それが横方向にずれればずれるほど、検出される磁力ベクトルの横成分が大きくなり、縦成分は小さくなる。また、磁力ベクトルの横成分の発生方向から、磁気センサ,つまり車両が磁石,つまり車線に対して、どちらにずれているかも分かる。
【0084】
次に、この原理を用いて車線に対する車両の横変位を検出するタイミングについて簡潔に説明する。今、車両に取付けられた磁気センサが、図10で説明したように磁石に対して横方向にずれていないとしたとき(ずれていても横変位が同じなら結局は同じ)、図11aに示すように磁気センサと磁石との距離をDとすると、距離Dと磁力との関係は図11bのように表れる。つまり、磁気センサが磁石に最も接近したときに、検出される磁力も最大になる。従って、検出される磁力が最大になったとき、その磁力ベクトルの縦横成分比から車両の横変位を正確に検出することが可能となる。
【0085】
そこで、この検出された横変位を用いて前述のように目標とする横変位に一致するように操舵アクチュエータを制御する場合に、本実施形態では、前述のように出力誤差を補正できるカルマンフィルタのようなオブザーバ(状態推定器)を用いてノイズ成分を除去する。
【0086】
次に、前述のようにして検出される横変位yのノイズ成分について説明する。このような車線に沿って埋設された磁石等の磁力源の磁力を磁気センサで検出して車線に対する車両の横変位を検出する手法では、実際の車両で検出される横変位にノイズ(誤差成分を含む)が多い。これについては、例えば図12に示すように、車線の幅を示す二本の白線の中央に相当する車線中央に磁石等の磁力源が正確に埋設されていないせいだと考えられてきた。つまり、本来、車線中央にあるべき磁石等の磁力源が横方向にずれて埋設されていれば、検出される横変位は図13に示すように、車両(正確には磁気センサ)が仮に車線中央に沿って移動したとしても、恰も横方向にずれているかのように誤認識してしまう。
【0087】
しかしながら、この検出される横変位yのノイズ成分には、この他に、以下のようなノイズ成分もある。即ち、前述のような車両の自動操舵装置は、一般に高度な演算処理を必要とすることから離散化したディジタルシステムで構成される。従って、例えば前述のように磁気センサで磁石の磁力を検出する,そのサンプリングタイミングと、実際に磁気センサが磁石に最も近づくタイミングとがずれてしまう可能性がある。この可能性は、磁石と磁気センサ,つまり車両との相対速度が大きくなればなるほど大きくなる。
【0088】
これを実際の車両で再現すると、例えば車速vが大きくなるほど、或いは車線曲率ρが大きくなるほど、検出される横変位のノイズ成分が大きくなり、結果的に自動操舵制御の正確性が低下する。このうち、車線曲率ρが大きくなるということは、車線中心線に沿って移動しようとする車両の移動方向と実際に車両が向いている方向との角度,つまりヨー角が大きいということであり、それは同時に磁気センサの横滑り速度が大きいということである。定常的な旋回運動中であれば、両者は互いに等価であると評価できるが、前述した磁力のサンプリングタイミングと磁気センサの最接近タイミングとのずれは、磁石と磁気センサ,つまり車両との相対速度に起因すると考えると、磁気センサの横滑り速度が大きくなるほど、検出される横変位のノイズ成分が大きくなる。
【0089】
こうした磁石と磁気センサ,つまり車両との相対速度のうち、車両の前後方向,つまり前記センサ横滑り速度と直交する方向の速度成分であって、所謂車速に相当する成分は、車両が所望する速度移動するために変更できない、或いは変更すべきでない速度成分である。そこで、本実施形態では、前記センサ横滑り速度を低減し、望ましくは零として、検出される横変位のノイズ成分を低減しようとする。ところが、通常の車両のように、前輪のみを操舵する車両にあっては、車両特性によっては、磁気センサの位置におけるセンサ横滑り速度を制御することができない。つまり、センサ横滑り速度(車両の横滑り速度と同じ)は、舵角と車速が与えられると、車両特性によって一意に決まってしまう(勿論、路面μや路面の形状等の外乱要素は個別の要素である)。
【0090】
そこで、本実施形態では、主として操舵される前輪が、あくまでも車線追従制御を司り、更に後輪を補助操舵することで、前記センサ横滑り速度を低減し、好ましくは零とする。このとき、補助操舵される後輪の目標とする舵角には、前記定常後輪舵角δr0を用いて前記センサ横滑り速度を零に近づけながら車両の挙動を安定させ、一方で前輪には定常前輪舵角δf0を与えて車線に大まかに追従できるようにしながら、更に補正前輪舵角Δδfdを与えて微小横変位Δyを補正して完全な車線追従を達成する。つまり、本実施形態の車両では、図5に示すように一般的な車両とはやや異なる車両旋回運動が達成される。勿論、センサ横滑り速度は零又は略零となるために、その分だけ、検出される横変位yのノイズ成分が低減し、結果的に自動操舵制御の正確性が向上する。
【0091】
一方、本実施形態では、前記カルマンフィルタで推定する状態量の一つとして舵角センサ3からの舵角中立値ずれδfofst を、車両の走行中に随時推定し続ける。ここでは、車両の走行そのものを二輪モデルとして同時並行的に推定しているので、それと共に推定される舵角中立値ずれδfofst は、例えば操舵しようとすまいと,或いは曲線路面であろうとなかろうと、車両挙動に伴う変動が補正されながら、あらゆる走行状態で正確な値であろうとし続ける。これは、前記出力誤差フィードバックゲインベクトルKe の影響によるものである。即ち、推定される状態量の一つである横変位yと検出される横変位yとの誤差εに応じて、出力誤差フィードバックゲインベクトルKe の影響によって舵角中立値ずれδfofst が補正されるので、例えば車両の走行開始直後には、推定される舵角中立値ずれδfofst が真値から大きく離れていたとしても、横変位yの誤差εでこれを補正する度に舵角中立値ずれδfofst は真値に近づいてゆくのである。
【0092】
しかも本実施形態では、舵角中立値ずれδfofst を推定する度に、即ち前記中立値算出カウンタCNTが大きくなるにつれて、当該舵角中立値ずれδfofst を外乱wに対する一次遅れ系に規定する時定数τが次第に大きくなるので、舵角中立値ずれδfofst は次第に外乱の影響を受けにくくなることになる。つまり、一次遅れ系の時定数τが大きくなれば、外乱wによって到達する目標値までの到達所要時間が長くなることになるから、次の外乱wを考えれば,即ち次回のサンプリング時刻までの変化量を考えれば、舵角中立値ずれδfofst は次第に安定化又は定常化,或いは数値的には定数化してゆくことになる。従って、例えば車両の走行開始直後には、推定される舵角中立値ずれδfofst が真値から大きく離れているものとするならば、この一次遅れ系の時定数τを小さくすることによって、推定サンプリング時刻毎の真値への収束性を高め、次第に時定数τを大きくすることによって、これを真値に向けて定数化し、制御の正確性を得ることができるようになる。
【0093】
また、本実施形態では、各サンプリング時刻毎に舵角中立値ずれδfofst を推定するものの、実際の演算処理に用いられる舵角中立値ずれδfofst は、前記図2の演算処理のステップS13乃至ステップS15において、車線曲率ρが近似直線所定値ρ0 以下のとき,即ちほぼ直線車線を走行しているときにしか更新されない。即ち、少なくとも現段階で、例えば車線脇からの無線情報として得られる車線曲率ρは比較的曖昧なものが多く、車両の自動操舵そのものは、あくまでも磁石,即ち車線に対する横変位yをフィードバック補正しながら行われるので、車線曲率ρの情報が曖昧でもさほど問題はないが、前述のように非常に正確な舵角フィードバック制御が要求される中での舵角中立値ずれδfofst は、曖昧な車線曲率ρでは不完全なものとなり易い。そこで、本実施形態では、車線曲率ρが近似直線所定値ρ0 以下の略直線車線走行時にのみ、演算処理に用いられる舵角中立値ずれδfofst を更新することで、制御の正確性を確保するようにしている。
【0094】
また、前述のようにカルマンフィルタを構成する各パラメータは車速vに依存しており、実際のカルマンフィルタの駆動時には、車速vで各パラメータを補正しながら状態量の推定を行うので、舵角中立値ずれδfofst を含む,推定される各状態量をより正確なものとすることができる。
【0095】
以上より、前記自動操舵機構が本発明の操舵アクチュエータを構成し、以下同様に、前記舵角センサ3及び図2の演算処理のステップS6が舵角検出手段を構成し、前記横変位検出装置2及び図2の演算処理のステップS9が横変位検出手段を構成し、図2の演算処理のステップS12乃至ステップS15がカルマンフィルタを含む状態推定手段を構成し、図2の演算処理のステップS16乃至ステップS20が最適レギュレータを含む操舵制御手段を構成し、車線曲率検出装置16及び図2の演算処理のステップS3が車線曲率検出手段及び走行状態情報検出手段を構成し、車速センサ4及び図2の演算処理のステップS1が車速検出手段及び走行状態情報検出手段を構成している。
【0096】
なお、前記第1実施形態では、後輪を補助操舵する機構を持ち、更に前記図2の演算処理では、横変位偏差に対する当該後輪の補正後輪舵角まで算出可能としながら、横変位偏差の補正に対しては後輪舵角を制御せず、センサ横滑り速度を零とするための定常後輪舵角のみを目標後輪舵角に設定したが、勿論、横変位を補正するために後輪舵角を補正してもよい。但し、この場合には、定常後輪舵角がセンサ横滑り速度を零とするための値に設定されたのに対して、更に横変位を補正するためにこれを補正するのであるから、センサ横滑り速度の収束性が低下する虞れがあることに留意したい。この場合には、センサ横滑り速度の出力誤差に対する状態量の補正か、若しくはセンサ横滑り速度に対する最適レギュレータが必要となろう。
【0097】
次に、本発明の第2実施形態の自動操舵装置について説明する。まず、車両に設けられた自動操舵装置としての概要は、前記第1実施形態の後輪の補助操舵機構に代えて、横運動量調整手段を構成するトラクション調整機構が取付けられている。このトラクション調整機構は、図6に示すように、例えば各車輪に設けられたトラクションコントロールアクチュエータ22によって構成され、各車輪のトラクション(駆動及び制動力)を調整することで車両に発生するヨーモーメントを調整するものである。より具体的には、本出願人が先に提案した特開平6−321087号公報に記載される制動力制御装置や、特開平8−127258号公報に記載される後左右輪の駆動力制御装置や、或いは公知の前後輪間駆動力配分制御装置等を単独で或いは適宜に組み合わせて用いることができる。これらのトラクションコントロールアクチュエータ22の具体的な制御の詳細については、これらの文献を参照されるものとして、ここでは目標とするヨーモーメントTrdを達成するための制御信号が、前記コントロールユニット13から各トラクションコントロールアクチュエータ22に供給されると、各アクチュエータは単独で或いは相互に作動して、当該目標とするヨーモーメントTrdを達成するものとする。それ以外の構成は、前記第1実施形態のものと同様又は略同様であり、同等の構成部材には同等の符号を附してその詳細な説明を省略する。
【0098】
また、本実施形態でも、前記第1実施形態と同様に、前記自動操舵コントロールユニット13内のマイクロコンピュータ等のディジタルシステム中に、状態推定器としてのカルマンフィルタが構築されている。但し、前記11式に示す二輪モデルは、後輪を操舵可能とし、更にヨーモーメントを制御可能としたものであるから、本実施形態のように前輪を主として操舵して車両の横変位を制御する共に、ヨーモーメントを制御して、前記磁気センサ12の位置における対磁石横方向速度,つまりセンサ横滑り速度を低減するだけのものの場合には前記11式中の後輪舵角δr を零に設定すればよい。また、後輪舵角を補正しない本実施形態のような場合には、前記12式,14式,15式,17式等における定常後輪舵角δr0や補正後輪舵角Δδrd等を全て“0”に設定すればよいだけである。また、本実施形態では、前記最適レギュレータ及びカルマンフィルタの説明と同様に、前記11式からなる状態推定器によって、横変位yと前輪舵角ΔδfdとからヨーモーメントTr を推定可能な構成となっている。
【0099】
次に、前記自動操舵コントロールユニット13内で実行される本実施形態の演算処理について図7のフローチャートを用いて説明する。なお、このフローチャートでも、特に情報の授受のためのステップを設けていないが、第1実施形態と同様に、情報の授受は随時実行される。また、この演算処理は、第1実施形態と同様に、例えば10msec. といった予め設定されたサンプリング時間ΔT毎にタイマ割込処理として実行される。
【0100】
この実施形態の演算処理は、前記図3に示す第1実施形態の演算処理のステップS13が削除され、同じくステップS4,S5,S6,S11,S18,S20の夫々が、ステップS4’,S5’,S6’,S11’,S18’,S20’に代わっている他は、全て第1実施形態と同様であるので、同等のステップには同等の符号を附してその詳細な説明を省略する。
【0101】
この変更になったステップのうち、ステップS4’では、下記31式に従って定常前輪舵角δf0を算出する。なお、下記31式の算出原理については後段に詳述する。また、この定常前輪舵角δf0は、車両の線形性により、定常後輪舵角δr0=0としたときの前記12式で表れる平衡点周りの状態量と等価である。
【0102】
Figure 0003644211
また、ステップS5’では、下記32式に従って定常ヨーモーメントTr0を算出する。なお、下記32式の算出原理についても後段に詳述する。また、この定常ヨーモーメントTr0は、車両の線形性により、定常後輪舵角δr0=0としたときの前記12式で表れる平衡点周りの状態量と等価である。
【0103】
r0=(a+b)・ρ・Cr (b+Ls )+a・m・ρ・v2 ………(32)
また、ステップS6’では、単に、前記舵角センサ3からの前輪舵角δf のみを読込む。
【0104】
また、ステップS11’では、後述する図8の制御マップ等に従って中立値算出カウンタCNTから前記出力誤差フィードバックゲインベクトルKe を設定する。この図3の制御マップで設定される出力誤差フィードバックゲインベクトルKe は、それ自身が複数の要素からなるベクトルであることから単純な1変数ではないが、各要素の変化の様子を示しており、全要素は前記中立値算出カウンタ(回数)CNTの増加に伴って減少傾きが次第に小さくなる単純減少関数として設定される。
【0105】
また、ステップS18’では、前記24式に従って目標前輪舵角δfdを算出すると共に、下記33式に従って目標ヨーモーメントTrdを算出する。
rd=Tr0 ………(33)
また、ステップS20’では、前記設定された目標ヨーモーメントTrdに実ヨーモーメントTr を一致させるフィードバック制御の制御信号を創成し出力してからメインプログラムに復帰する。
【0106】
次に、前記31式及び32式の算出原理について説明する。本実施形態のように車両のヨーモーメントを制御する場合の運動方程式は、二輪モデルを用いて下記34式及び35式で表される。
【0107】
Figure 0003644211
但し、
r :車両に発生する四輪分のヨーモーメント
である。
【0108】
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、検出される横変位yのノイズ成分については、前記第1実施形態での説明と同様であるために、ここでの説明を省略する。
【0109】
本実施形態では、主として操舵される前輪で車線追従制御を行い、更に各車輪のトラクションを調整して車両に発生するヨーモーメントを調整することで、前記センサ横滑り速度を低減し、好ましくは零とする。このとき、目標とするヨーモーメントTrdには、前記定常ヨーモーメントTr0を用いて前記センサ横滑り速度を零に近づけながら車両の挙動を安定させ、一方で前輪には定常前輪舵角δf0を与えて車線に大まかに追従できるようにしながら、更に補正前輪舵角Δδfdを与えて微小横変位Δyを補正して完全な車線追従を達成する。つまり、本実施形態の車両でも、理想的な旋回運動として、図9に示すように磁気センサの横滑り速度もヨー角速度も零であり、一定のヨー角を保ったまま、車両は旋回する。勿論、センサ横滑り速度は零又は略零となるために、その分だけ、検出される横変位yのノイズ成分が低減し、結果的に自動操舵制御の正確性が向上する。
【0110】
一方、前記カルマンフィルタでは、前記第1実施形態と同様に、正確な舵角中立値ずれδfofst が推定されるが、本実施形態では、前記時定数τに代えて出力誤差フィードバックゲインベクトルKe を変更している。前述のように、この出力誤差フィードバックゲインベクトルKe は、検出される横変位yと推定された横変位yとの出力誤差に応じて、外乱wの影響を補正される舵角中立値ずれδfofst に如何に与えるかを規定するものであるから、そのゲインが大きければ舵角中立値ずれδfofst は外乱wの影響を受け易く、小さければ受けにくい。ここでは、舵角中立値ずれδfofst を推定する度に、即ち前記中立値算出カウンタCNTが大きくなるにつれて、当該出力誤差フィードバックゲインベクトルKe が次第に小さくなるので、舵角中立値ずれδfofst は次第に外乱の影響を受けにくくなることになる。つまり、舵角中立値ずれδfofst は次第に安定化又は定常化,或いは数値的には定数化してゆくことになる。従って、例えば車両の走行開始直後には、推定される舵角中立値ずれδfofst が真値から大きく離れているものとするならば、この出力誤差フィードバックゲインベクトルKe を大きくすることによって、推定サンプリング時刻毎の真値への収束性を高め、次第に出力誤差フィードバックゲインベクトルKe を小さくすることによって、これを真値に向けて定数化し、制御の正確性を得ることができるようになる。
【0111】
また、本実施形態では、第1実施形態と異なり、各サンプリング時刻毎に推定された舵角中立値ずれδfofst を、実際の演算処理に用いられる舵角中立値ずれδfofst として、そのまま更新する。現段階における車線曲率ρ情報が比較的曖昧であることは否めないが、前述のように舵角中立値ずれδfofst は次第に真値に近づくように補正され続けるのであるし、自動操舵そのものは、車線に対する横変位yをフィードバック補正しながら行われるので、ここでは舵角中立値ずれδfofst のサンプリング数をできるだけ増やして自動操舵制御の正確性を向上させることを目的としている。また、将来的に得られる車線曲率ρ情報が正確なものとなれば、舵角中立値ずれδfofst のサンプリング数を早めることは、それ自身を速やかに真値に近づけることに繋がる。
【0112】
また、第1実施形態と同様に、カルマンフィルタ中の各パラメータを車速vで補正することにより、推定される各状態量を正確なものとすることができる。
以上より、前記自動操舵機構が本発明の操舵アクチュエータを構成し、以下同様に、前記舵角センサ3及び図7の演算処理のステップS6’が舵角検出手段を構成し、前記横変位検出装置2及び図7の演算処理のステップS9が横変位検出手段を構成し、図7の演算処理のステップS12乃至ステップS15がカルマンフィルタを含む状態推定手段を構成し、図7の演算処理のステップS16乃至ステップS20’が最適レギュレータを含む操舵制御手段を構成し、車線曲率検出装置16及び図7の演算処理のステップS3が車線曲率検出手段及び走行状態情報検出手段を構成し、車速センサ4及び図7の演算処理のステップS1が車速検出手段及び走行状態情報検出手段を構成している。
【0113】
なお、前記第2実施形態では、横運動量としてヨーモーメントを調整する機構を持ち、更に前記図7の演算処理では、横変位偏差に対する補正ヨーモーメントまで算出可能としながら、横変位偏差の補正に対してはヨーモーメントを制御せず、センサ横滑り速度を零とするための定常ヨーモーメントのみを目標ヨーモーメントに設定したが、勿論、横変位を補正するためにヨーモーメントを補正してもよい。但し、この場合には、前記定常ヨーモーメントがセンサ横滑り速度を零とするための値に設定されたのに対して、更に横変位を補正するためにこれを補正するのであるから、センサ横滑り速度の収束性が低下する虞れがあることに留意したい。この場合には、センサ横滑り速度の出力誤差に対する状態量の補正か、若しくはセンサ横滑り速度に対する最適レギュレータが必要となろう。
【0114】
また、上記二つの実施形態を組合わせて車両運動を制御することも勿論可能であるが、制御すべき状態量が二つだとしたら、制御する入力も二つにしておいたほうが、所謂連鎖的な反応を回避して制御の正確性を確保し易い。
【0115】
また、前記第1及び第2実施形態では、共に車線曲率ρを、外部からの情報として読込む場合についてのみ詳述したが、この車線曲率ρは、前述した横変位やヨーレート,ヨー角,車速等の運動方程式で表れることは周知であるから、これらを用いて推定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両の自動操舵装置の第1実施形態を示す車両概略構成図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図2】図1の車両の自動操舵装置で実行される演算処理を示すフローチャートである。
【図3】図2の演算処理で用いられる制御マップである。
【図4】(a)はカルマンフィルタの一例を示すブロック図、(b)は推定された状態量から制御量を出力する演算装置の一例を示すブロック図である。
【図5】図1の車両で達成される横滑り速度の説明図である。
【図6】本発明の車両の自動操舵装置の第2実施形態を示す車両概略構成図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図7】図6の車両の自動操舵装置で実行される演算処理を示すフローチャートである。
【図8】図7の演算処理で用いられる制御マップである。
【図9】図6の車両で達成される横滑り速度の説明図である。
【図10】車線に埋設された磁石からの磁力ベクトルの説明図である。
【図11】車両に取付けられた磁気センサで磁石の磁力を検出する説明図である。
【図12】車線に埋設された磁石の説明図である。
【図13】検出された磁力に応じて得られる車両横変位の説明図である。
【符号の説明】
1は磁気センサ
2は横変位検出装置(横変位検出手段)
3は舵角センサ(舵角検出手段)
4は車速センサ(車速検出手段)
5はモータ
6はクラッチ機構
7はドライブギヤ
8はドリブンギヤ
9はステアリングシャフト
10はピニオン
11はラック
12は前左右輪
13は自動操舵コントロールユニット
14はステアリングホイール
15は後左右輪
16は車線曲率検出装置(車線曲率検出手段)
17はモータ
18はギヤ
19はラック
20は操舵杆
21は補助舵角センサ
22はトラクションコントロールアクチュエータ

Claims (9)

  1. 状態推定手段で車両の種々の状態変数を推定しながら、車両を自動操舵するにあたり、車両を直進走行させる真の舵角の中立値と、検出される操舵輪の舵角の中立値との舵角中立値ずれを、車両の状態変数の一つとしてモデル化して前記状態推定手段に組み込み、当該状態推定手段で前記舵角中立値ずれを推定すると共に、前記舵角中立値ずれを外乱で変化する変数とし、舵角中立値ずれを推定する度に、次第に外乱の影響を受けにくくして定数化することを特徴とする車両の自動操舵装置。
  2. 前輪又は後輪を操舵する操舵アクチュエータと、この操舵アクチュエータによって操舵される前輪又は後輪の舵角を検出する舵角検出手段と、走行車線に対する車両の横変位を検出する横変位検出手段と、少なくとも走行車線に対する車両の横変位を含む車両の状態変数を車両モデルから推定する状態推定手段と、この推定された車両の状態変数を用いて、前記検出された車両の横変位と推定された車両の横変位との誤差が目標とする値になるように、前記舵角検出手段で検出された舵角をフィードバック制御しながら、前記操舵アクチュエータを制御する操舵制御手段とを備えた車両の自動操舵装置において、前記状態推定手段は、車両を直進走行させる真の舵角の中立値と、前記舵角検出手段で検出される舵角の中立値との舵角中立値ずれを、モデル化された車両の状態変数の一つとして推定し、前記操舵制御手段は、この状態推定手段で推定された舵角の中立値とのずれを用いて前記舵角をフィードバック制御することを特徴とする車両の自動操舵装置。
  3. 前記状態推定手段は、直線又は略直線の車線を走行しているときに前記舵角中立値ずれを推定又は更新するものであることを特徴とする請求項に記載の車両の自動操舵装置。
  4. 前記状態推定手段は、車両の走行状態情報を検出する手段として、少なくとも車線曲率を検出する車線曲率検出手段を備え、この車線曲率検出手段で検出された車線曲率を用いて前記舵角中立値ずれを推定するものであることを特徴とする請求項に記載の車両の自動操舵装置。
  5. 前記状態推定手段は、車両の走行状態情報を検出する手段として、車速を検出する車速検出手段を備え、この車速検出手段で検出された車速を用いて前記車両モデルを補正しながら前記舵角中立値ずれを含む車両の状態変数を推定するものであることを特徴とする請求項乃至の何れか一項に記載の車両の自動操舵装置。
  6. 前記舵角中立値ずれを外乱で変化する一次遅れ系としてモデル化し、前記状態推定手段は、前記舵角中立値ずれの推定回数の増加に伴って、前記外乱の分散を小さくするように補正することを特徴とする請求項乃至の何れか一項に記載の車両の自動操舵装置。
  7. 前記舵角中立値ずれを外乱で変化する一次遅れ系としてモデル化し、前記一次遅れ系の時定数を大きくするように補正することを特徴とする請求項乃至の何れか一項に記載の車両の自動操舵装置。
  8. 前記操舵制御手段が、前記検出された車両の横変位と推定された車両の横変位との誤差を目標とする値に最適化する最適レギュレータを含んで構成されることを特徴とする請求項乃至の何れか一項に記載の車両の自動操舵装置。
  9. 前記状態推定手段がカルマンフィルタで構成されることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の車両の自動操舵装置。
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