JP5380861B2 - 車線維持支援装置及び車線維持支援方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載の技術では、自車両の進行方向と走行車線との角度偏差が小さくなるように車輪の転舵角を制御する技術である。これによって、自車両が走行車線を逸脱することを防止することを目的としている。
ここで、以下の説明では、自車両が走行車線の一方の端部側に近づいた位置にいる場合を例に説明する。
例えば、逸脱防止効果を確保するために制御ゲインを大きく設定するとする。この場合、逸脱側(自車両の進行方向が上記一方の端部側)へヨー角がついている場合には逸脱回避側への制御量が大きくなって、より有効に逸脱を防止することができる。しかし、逸脱回避側(自車両の進行方向が上記一方の端部から離れる方向)へヨー角がついている場合には、逸脱側への制御が強く介入することになる。つまり、逸脱側へ制御が介入しているかのような違和感を乗員に与える可能性がある。
このように、上記従来技術では、逸脱側へのヨー角発生時の逸脱防止効果と、逸脱回避側へのヨー角発生時の制御介入違和感とがトレードオフの関係にある。
また、上記従来技術は、ヨー角がゼロとなるように自車両の進行方向を制御するだけであるので、自車両の進行方向が走行車線と平行になった時点で制御が終了する。このため、例えば、自車両のヨー角や走行車線に対する横速度が大きいことなどによって、上記制御により自車両の走行車線からの逸脱を防止しきれなかった場合に、次のような課題がある。
本発明は、上記のような点に着目したもので、運転者の意図する走行ラインとのずれからくる違和感を低減しつつ、走行車線逸脱を有効に防止することが可能な車線維持支援装置を提供することを課題としている。
また、逸脱側へヨー角がついている場合には制御ゲイン(制御量)を大きくし、逸脱防止効果を確保する。一方、逸脱回避側へヨー角がついている場合には制御ゲイン(制御量)を小さくし、制御過多という違和感も低減することができる。
以上のように、本発明によれば、運転者の意図する走行ラインとのずれからくる違和感を低減しつつ、有効に走行車線逸脱を防止することが可能となる。
図1は、本実施形態の車線維持支援装置を適用した自車両のシステム概要構成図である。
この実施形態の自車両は、ステアバイワイヤシステムを採用している。
(構成)
まず構成について図1を参照しながら説明する。
運転者が操作するステアリングホイール12にステアリング入力軸30が連結する。そのステアリング入力軸30には、ステアリングホイール12の操舵角を検出するハンドル角度センサ1を設ける。そのハンドル角度センサ1は、検出した操舵角度信号を操舵用コントローラ11に出力する。
上記第1中間軸31に、操舵反力アクチュエータ3が連結する。操舵反力アクチュエータ3は、操舵用コントローラ11からの指令に基づき操舵反力を第1中間軸31に付加する。その操舵反力アクチュエータ3の操舵反力モータに操舵反力モータ角度センサ4を設ける。操舵反力モータ角度センサ4は、操舵反力モータの回転角度位置を検出し、その検出信号を操舵用コントローラ11に出力する。
また、自車両状態パラメータ14が操舵用コントローラ11に入力する。自車両状態パラメータ14は、例えば車速検出手段が検出した車速や、路面摩擦係数推定手段が検出した走行路面の摩擦係数推定値である。
上記システム構成を備えた自車両に対し、車線維持支援装置を設ける。
自車両に、画像処理機能付き単眼カメラを搭載する。この画像処理機能付き単眼カメラは、自車両の位置を検出するための外界認識手段16である。画像処理機能付き単眼カメラは、自車両前方の路面を撮像する。その撮像したカメラ画像から路面の状態を判断し、自車が走行する走行車線内の自車両の位置に関する信号を、車線維持支援コントローラ15に出力する。走行車線内の自車両の位置に関する信号は、走行車線に対する自車両の進行方向の角度偏差であるヨー角θ、走行車線中央からの横変位X、及び走行車線の曲率ρである。
また、車線維持支援コントローラ15は、操舵用コントローラ11から、現在のステアの状態やタイヤの操舵状態などの信号が入力する。
車線維持支援コントローラ15は、入力した信号に基づき自車両を走行車線に維持させるための制御量を算出して、少なくとも上記操舵用コントローラ11に出力する。
この車線維持支援コントローラ15は、所定サンプリング周期毎に繰り返し実行する。
まず作動すると、ステップS100にて、各センサ及び操舵用コントローラ11などからの各種データを読み込む。センサからは、各車輪速Vw、操舵角δ、操舵角速度δ′、方向指示器スイッチの信号を読み込む。外界認識手段16のカメラコントローラからは、自車両の走行車線Lに対する自車両のヨー角θ、走行車線中央Lsからの横変位X、及び走行車線Lの曲率ρをそれぞれ読み込む。ここで、走行車線中央Lsからの横変位Xは、例えば図3及び図4に示すように、自車両Cの重心位置Gを基準とすれば良い。もっとも自車両C重心位置Gを基準としなくても良い。例えば、自車両Cの前端部中央を基準にして、走行車線中央Lsからの横変位Xを求めても良い。すなわち、図4のように、ヨー角θに応じて自車両C前端部から先に逸脱方向に変位するので、その部分を基準として横変位Xを求めて、より早期に横変位偏差を小さくするようにしても良い。
ここで、図3に示すように、右側の横変位基準閾値XRtは、右逸脱に対して設定する横変位Xの偏差の基準である横変位基準位置LXRの位置を特定するものである。左側の横変位基準位置XLtは、左逸脱に対して設定する横変位Xの偏差の基準である横変位基準位置LXLの位置を特定するものである。
− Xoffset ・・・(1)
XLt = −((Wlane/2 ) − ( Wcar/2 )
− Xoffset ) ・・・(2)
ここで、走行車線中央Lsからの横変位Xは、走行車線Lに対して自車両Cが中心より右側にいる場合を正とし、左側に位置する場合を負とする。このため、右側の横変位基準位置XRt側を正としている。
また、Xoffsetは走行車線端部Le(白線)位置に対する余裕代である。この余裕代Xoffsetは、走行車線幅Wlaneや車速などに応じて変更しても良い。例えば、走行車線幅Wlaneが狭い程、余裕代Xoffsetを小さくする。また、左右の横変位基準位置LXL、LXR毎に異なる余裕代Xoffsetを使用しても良い。また、この左右の横変位基準位置LXL、LXRは固定値であっても良い。
ΔXR = X − XRt ・・・(3)
ただし、ΔXR≦0の場合、ΔXR=0とする(正の値のみをとるようにする)。
上記(3)式によって、横変位Xと、右逸脱に対する横変位偏差ΔXRとは、図5(a)に示す関係となる。
すなわち、上記(3)式を使用することで、「X−XRt≧0」となると、自車両Cが、走行車線中央Lsに対し右の横変位基準位置LXRよりも外に出たと判定する。そして、自車両Cが右側の走行車線端部Le側に寄った場合であるので、自車両Cに近い横変位基準位置として右側の横変位基準位置LXRを横変位偏差の基準として、右逸脱に対する横変位偏差ΔXRを求めることになる。
ΔXL = X − XLt ・・・(4)
ただし、ΔXL≧0の場合、ΔXL=0とする(負の値のみをとるようにする)。
上記式によって、横変位Xと、左逸脱に対する横変位偏差ΔXLとは、図5(b)に示す関係となる。
すなわち、上記(4)式を使用することで、「X−XLt≦0」となると、自車両Cが、走行車線中央Lsに対し左の横変位基準位置LXLよりも外に出たと判定する。そして、自車両Cが左側の走行車線端部Le側に寄った場合であるので、自車両Cに近い横変位基準位置として左側の横変位基準位置LXLを横変位偏差の基準として、左逸脱に対する横変位偏差ΔXLを求めることになる。
ΔθR = θ (θ>0の場合)
ΔθR = 0 (θ≦0の場合) ・・・(5)
上記(5)式によって、ヨー角θと、右逸脱に対してのみ設定するヨー角偏差ΔθRとは、図6(a)に示す関係となる。
ΔθL = θ (θ<0の場合)
ΔθL = 0 (θ≧0の場合) ・・・(6)
上記(6)式によって、ヨー角θと、左逸脱に対してのみ設定するヨー角偏差ΔθLとは、図6(b)に示す関係となる。
すなわち、曲率ρの向き(走行車線Lのカーブ方向)に応じて3種類に分けて、下記のように、個別のマップを使用して、右逸脱に対する走行車線端部制御フィードバック補正ゲインKρL_R、及び左逸脱に対する走行車線端部制御フィードバック補正ゲインKρL_Lを設定する。
KρL_R:図7に示すような、カーブIN側補正ゲインマップから読み込む。
KρL_L:図8に示すような、カーブOUT側補正ゲインマップから読み込む。
曲率ρ>0(左カーブ)と判定した場合
KρL_R:図8に示すような、カーブOUT側補正ゲインマップから読み込む。
KρL_L:図7に示すような、カーブIN側補正ゲインマップから読み込む。
曲率ρ=0(直線路)と判定した場合
KρL_R = 1.0 (補正なし)
KρL_L = 1.0 (補正なし)
上記カーブIN側補正ゲインマップは、図7のように、曲率ρの絶対値が所定以上となると、曲率ρの絶対値が大きくなるにつれて、補正のゲインが小さくなるマップである。そして、左右の走行車線端部Leのうちカーブ路の内側に位置する走行車線端部Leに対する制御のゲインを、曲率ρの絶対値の増大に応じて低減するように補正するものである。
すなわち、曲率ρの向き(走行車線Lのカーブ方向)に応じて3種類に分けて、下記のように、マップを使用して、右逸脱に対する走行車線中央部制御フィードバック補正ゲインKρY_R、及び左逸脱に対する走行車線中央部制御フィードバック補正ゲインKρY_Lをそれぞれ設定する。
KρY_R : 図7に示すような、カーブIN側補正ゲインマップから読み込む。
KρY_L : 図8に示すような、カーブOUT側補正ゲインマップから読み込む。
曲率ρ>0(左カーブ)と判定した場合
KρY_R : 図8に示すような、カーブOUT側補正ゲインマップから読み込む。
KρY_L : 図7に示すような、カーブIN側補正ゲインマップから読み込む。
曲率ρ=0(直線路)と判定した場合
KρY_R = 1.0 (補正なし)
KρY_L = 1.0 (補正なし)
φL_Rt=−(((Kc_L1×Kv_L1×ΔXR)
+(Kc_L2×Kv_L2×θ)
+(Kc_L3×Kv_L3×ρ))
×KρL_R) ・・・(7)
φL_Lt=−(((Kc_L1×Kv_L1×ΔXL)
+(Kc_L2×Kv_L2×θ)
+(Kc_L3×Kv_L3×ρ))
×KρL_R) ・・・(8)
Kv_L1、Kc_L2、Kc_L3は、車速に応じた補正ゲインである。例えば、 Kv_L1、Kc_L2、Kc_L3は、車速に応じて大きくなる。
ここで、上記(7)式及び(8)式の2項目及び3項目は、横変位偏差に対する補正項(収束項)である。このため、補正ゲインKc_L1よりも補正ゲインKc_L2、Kc_L3を小さく設定してある。同様に、補正ゲインKv_L1よりも補正ゲインKc_L2、Kc_L3を小さく設定してある。
このとき、走行車線中央Ls側である左右の横変位基準位置LXL、LXRの間に自車両Cが位置する場合には、図5のように横変位偏差ΔXR、ΔXLの両方の値が0となる。すなわち、上記目標転舵角φL_Rtと目標転舵角φL_Ltの値は、小さな値となる。この結果、走行車線端部制御分の目標転舵角は小さなものとなり、後述の走行車線中央部制御分の目標転舵角φY_Lt、φY_Rtが支配的となる。
なお、上記第3項をゼロとしても良い。
φY_Rt=−(Kc_Y ×Kv_Y ×Ky_R ×KρY_R ×ΔθR)
・・・(9)
φY_Lt=−(Kc_Y ×Kv_Y ×Ky_L ×KρY_L ×ΔθL)
・・・(10)
ここで、Kc_Yは車両諸元により定まるフィードバックゲインである。また、Kv_Yは車速に応じた補正ゲインである。例えば、Kv_Yは車速が高いほど大きな値とする。
また、Ky_R、Ky_Lは、図9に示すような、走行車線Lに対する横変位Xに応じてそれぞれ個別に設定するフィードバックゲインである。
また、左逸脱に対する走行車線中央部制御による目標転舵角φY_Ltは、自車両Cの進行方向が、左側を向いている場合である。このため、左逸脱に対するフィードバックゲインKy_Lは、右側の走行車線端部Le側を基準として左側走行車線端部Leに近づくにつれて大きくなるように設定してある。なお、目標転舵角φY_Rt、及びφY_Ltは、右方向への転舵を正とし、左方向への転舵を負とする。
更に、カーブ路における走行車線中央Lsに対して内側若しくは外側に変位している場合には、ステップS170において算出するように、走行車線Lのカーブ方向、及び曲率ρに応じて補正することにより、カーブ路においても違和感なく、適切に、制御を行うことができる。
本実施例では、下記(11)式のように、ステップS408において算出した走行車線端部制御による左右の目標転舵角φL_Lt、φL_Rtと、ステップS409において算出した走行車線中央部制御による左右目標転舵角φY_Lt、φY_Rtとの和として算出する。
φt=(α_R ×φL_Rt +β_R ×φY_Rt)
+(α_L ×φL_Lt +β_L ×φY_Lt) ・・・(11)
上記重み付け係数α_R、α_L、β_R、β_Lは、図10に示す関係となっていて、自車両Cの横位置に応じて、α_R、α_Lに対するβ_R、β_Lの相対的な大きさが変化するようになっている。
また、下記式の関係となっている。
α_R + β_R = 1.0
α_L + β_L = 1.0
(7)式及び(8)式にあるように、走行車線端部制御による目標転舵角φL_Rt、φL_Ltの第2項としてヨー角要素(横速度)のフィードバックがある。このフィードバックは、走行車線端部Leからのはじき返され感を低減するための、横変位要素の微分項として設定してある。このために、横変位要素のフィードバックと併せて、横変位基準位置への収束性を向上させることが可能となる。
一方、(9)式及び(10)式にあるように、走行車線中央部制御におけるヨー角θ要素のフィードバックは、走行車線Lに対して自車両Cの進行方向を合わせることを目的として設定する。
すなわち、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と自車両Cの進行方向とが同方向の場合には、運転者が意識的に走行車線Lを変更しようとしていると判定する。この場合には、ステップS220における転舵角の補正を行うこと無く、復帰する。なお、ステアリングホイール12の操舵が、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と同方向の場合に運転者が意識的に走行車線L変更しようとしていると判定しても良い。
ここで、操舵用コントローラ11では、前述の通り、車線維持支援コントローラ15から最終目標転舵角φtの補正転舵角指令値を入力すると、運転者の操舵操作に応じて算出した目標転舵角に当該最終目標転舵角φtを付加して、最終的な目標転舵角とし、その目標転舵角に応じた転舵角となるように、転舵アクチュエータ5を駆動する。
また、ステアリング軸を回転変位して転舵角を変更可能な自車両Cにあっては、その回転変位量を上記最終目標転舵角φtの分だけ補正するようにすればよい。
(1)まず自車両Cが、左右の横変位基準位置LXL、LXRの間を走行している場合について説明する。
この場合には、ΔXR及びΔXLは共にゼロとなる。このため、(7)式及び(8)式で示す、走行車線端部制御による左右の目標転舵角φL_Rt及びφL_Ltの第1項はゼロとなる。つまり、走行車線端部制御による左右の目標転舵角φL_Rt及びφL_Ltは、小さな値となる。
ここで、走行車線端部制御による左右の目標転舵角φL_Rt及びφL_Ltの2項は、自車両Cの横速度分をゼロとする制御量となる。また、走行車線端部制御による左右の目標転舵角φL_Rt及びφL_Ltの2項は、直進路であればゼロの値を取る。
これによって、自車両Cが、左右の横変位基準位置LXL、LXRの間を走行している場合には、走行車線中央部制御による目標転舵角φY_Rt及びφY_Ltが支配的となる。特に、図10のように、走行車線端部制御による左右の目標転舵角φL_Rt及びφL_Ltに対する重み付け係数α_R、α_Lよりも、走行車線中央部制御による目標転舵角φY_Rt及びφY_Ltのβ_R、β_Lの方が大きくなるように設定してある。このことからも、自車両Cが、左右の横変位基準位置LXL、LXRの間を走行している場合には、走行車線中央部制御による目標転舵角φY_Rt及びφY_Ltが支配的となる。
以上のことから、自車両Cが走行車線中央Ls側に位置する場合には、角度偏差が小さくなるように制御する。また、横方向変位に対するフィードバックが無いか小さい。つまり走行車線中央Ls側に戻す制御介入は無いか小さい。この結果、運転者の意図する走行ラインに応じて、自車両Cは走行車線Lに沿って走行する。
このため、自車両Cの進行方向が逸脱側の場合には、目標転舵角φY_Rt及びφY_Ltは大きくなって逸脱防止効果が大きくなる。また、自車両Cの進行方向が逸脱回避側の場合には、目標転舵角φY_Rt及びφY_Ltは小さくなって、制御過多とならずに違和感を低減する。
また、上記制御ゲインKy_R、Ky_Lは、自車両Cの進行方向側の走行方向端部からの距離に応じて変化させる。このため、自車両Cの進行方向が走行車線Lに対し右側に傾いて、つまり右側にヨー角θがついている場合に、自車両Cが走行車線中央Lsに対して左側から右側に当該走行車線中央Lsを跨るように走行する場合であっても、運転者に違和感を与えにくくなっている。
この場合には、(7)式及び(8)式によって示す、走行車線端部制御による目標転舵角φL_Rt、φL_Ltによって、自車両Cが近い側の横変位基準位置との偏差が小さくなるように制御が介入する。すなわち、走行車線中央Lsに対し左右の横変位基準位置LXL、LXR内に向けて、つまり走行車線中央Ls側に戻す制御が介入する。これによって、走行車線L外側へ自車両Cの位置を制御しようとする動きを無くしつつ、適切に走行車線L内に留めることができる。
このため、図11の下側部分のように、逸脱側(自車両Cに近い走行車線Lの端部側)へ角度偏差(ヨー角θ)がついている場合には、その角度偏差を解消する制御量と共に、横方向変位を解消する方向の制御量が同方向に発生する。この結果、逸脱回避側への制御量が大きくなって、より有効に逸脱を防止することができる。またこのとき、上述のようにヨー角フィードバックの制御ゲインKy_R、Ky_Rは大きい値となっている。つまり、角度偏差を解消する制御量は大きくなっているので、その効果が大きい。
更に、制御フィードバック補正ゲインKρL_R、KρL_L、KρY_R、KρY_Lで制御量を補正することで、カーブ路においては、カーブ内側とカーブ外側とで、目標転舵角φtが変わる。
(1)自車両Cが左右の横方向変位閾値内では、角度偏差を小さくする制御である、ヨー角フィードバック制御を行う。これによって、走行車線中央Ls側では、走行車線Lに沿った方向に車両の進行方向を制御する。この結果、走行車線中央Ls側では、拘束感のない自由なライン取りができる。
(2)また、自車両Cが、走行車線中央Lsに対し左右の横方向変位閾値の外であれば、横変位Xとヨー角θのフィードバック制御を行う。この結果、走行車線端部Le側では、自車両Cを適切に走行車線L内に留め、かつ走行車線端部Leからのはじき返され感を低減した車線維持支援を行うことができる。
特に、本実施形態では、走行車線端部制御による目標転舵角φL_Rt、φL_Ltにおいて収束項(第2項)としてのヨー角フィードバック分があるが、上記重み付けによって、ヨー角フィードバックが制御過多となることを低減することが可能となる。
この結果、横変位基準位置に対する横変位Xに対する収束性が良くなる。これによって、走行車線端部Leからのはじき返され感を低減することが出来る。
(5)また、走行車線端部制御による目標転舵角φL_Rt、φL_Lt、つまり横変位Xによるフィードバック制御の制御量の第3項として走行車線Lの曲率に応じた制御量を付加している。
この結果、走行車線Lがカーブ路であっても、横変位基準位置に対する横変位Xに対する収束性が良くなる。
この結果、カーブ内側での制御過多を防止出来る。すなわち、制御量が大きい場合に発生する、カーブ外側へはじき返すかのような違和感を低減出来る。
また、カーブ外側での制御不足を防止することが出来る。すなわち、カーブ外側へのヨー角θ発生時の制御介入が強くなり、逸脱防止効果が大きくなる。
例えば、右側へヨー角θがついている場合には、左側の走行車線端部Leから右側の走行車線端部Leに近づくにつれて大きくする。また、左側へヨー角θがついている場合には、右側の走行車線端部Leから左側の走行車線端部Leに近づくにつれて大きく設定する。
また、逸脱側へヨー角θがついている場合には制御ゲイン(制御量)を大きくし、逸脱防止効果を確保する。一方、逸脱回避側へヨー角θがついている場合には制御ゲイン(制御量)を小さくし、制御過多という違和感も低減することができる。
このとき、逸脱回避側へヨー角θがついている場合の制御ゲイン(制御量)を小さくすることにより、逸脱側へヨー角θがついている場合の制御ゲイン(制御量)を大きく設定しても振動(ハンチング)が起こりにくく、より逸脱防止効果の大きいものとすることができる。
(1)上記実施形態では、横方向変位閾値と横変位基準位置とが、一致している場合を例示した。図13に示すように、横変位基準位置LXL、LXRを、横方向変位閾値LAL、LARよりも内側に設定しても良い。
この場合には、自車両Cが、走行車線中央Lsに対し横方向変位閾値よりも外側に位置すると、横方向変位閾値LAL、LARよりも内側に位置する横変位基準位置LXL、LXRに向けて横変位Xが小さくなるようにフィードバック制御が行われる。
(3)上記実施形態では、走行車線端部Leを横方向端部位置とした。これに替えて、横方向端部位置を走行車線端部Leよりも所定量だけ内側に設定しても良い。例えば、上記横変位基準位置LXL、LXRと等しくしても良い。
次に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記第1実施形態と同様な装置などについては同一の符号を付して説明する。
(構成)
本実施形態の基本構成は、上記第1実施形態と同様である。ただし、車線維持支援コントローラ15におけるステップS200の処理が異なる。
その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
このステップS200は、最終目標転舵角φtを算出する処理部である。第1実施形態では、ステップS180において算出した走行車線端部制御による左右目標転舵角φL_Lt、φL_Rtと、ステップS190において算出した走行車線中央部制御による左右目標転舵角に対して、それぞれ重み付けをした状態で和をとって最終目標転舵角φtを算出している。
これに対し、本実施形態では、ステップS180において算出した走行車線端部制御による左右目標転舵角と、ステップS190において算出した走行車線中央部制御による左右目標転舵角を選択的に用いてφtL、φtRを算出し、その和を取ることで最終目標転舵角φtを算出する。
まず、左右それぞれに対する制御量を選択的に算出する。
すなわち、右側の制御量であるφL_RtとφY_Rtとを比較して、大きい値の方をφtRとする。すなわち、φL_RtとφY_Rtとのセレクトハイをとって、φtRとする。
同様に、左側の制御量であるφL_LtとφY_Ltとを比較して、大きい値の方をφtLとする。すなわち、φL_LtとφY_Ltとのセレクトハイをとって、φtLとする。
そして、下記式によって、最終目標転舵角φtを算出する。
φt =φtR +φtL
最終目標転舵角φtを算出する際に、単純に横位置フィードバック制御量とヨー角フィードバック制御量とを加算すると、大きくヨー角θがついている場合などにおいて、走行車線Lの端部側で制御量が過大となる可能性があるという問題がある。この問題を解決するためには制御ゲインを一律的に落とすという手法も考えることができる。しかし、ヨー角フィードバックの制御ゲインを下げると走行車線中央Lsでの制御性能が低くなり、また横位置フィードバックの制御ゲインを下げると、走行車線端部Leでの制御性能が低くなってしまう。
本実施形態では、これに代えてセレクトハイによって対応するものである。
すなわち、右側の制御量(目標転舵角φL_Rt、目標転舵角φY_Rt)のセレクトハイを行う。同様に、左側の制御量(目標転舵角φL_Lt、目標転舵角φY_Lt)のセレクトハイを行う。その後に、左右の制御量の和をとって最終目標転舵角φtを算出する。
まず、自車両Cの進行方向の向きが逸脱側(右側)に向いている場合とする。
このとき、右側の制御量では、次のようになる。
すなわち、横位置フィードバック制御量である、走行車線端部側制御による目標転舵角φL_Rtと、ヨー角フィードバック制御量である走行車線中央側制御による目標転舵角φY_Rtとを比較する。そして、ヨー角θと横変位X量に基づき、走行車線端部側制御による目標転舵角φL_Rtの方が大きければ、φtRは目標転舵角φL_Rtとなる。一方、走行車線中央部制御による目標転舵角φY_Rtの方が大きければ、φtRは目標転舵角φY_Rtとなる。
ΔθLがゼロとなるため、走行車線中央部制御による目標転舵角φY_Rt=0となる。また、ΔXLもゼロとなるため、(8)式に基づき第1項がゼロとなる。このため、φtLは、走行車線中央側制御による目標転舵角φY_Ltとなるが、小さな値となる。
このため、最終目標転舵角φtは、右側の制御量の大きい方の値φtRが支配的な制御量となる。
これによって、走行車線端部Le側における制御量が過多となることが防止できる。
このとき、右側の制御量では、次のようになる。
すなわち、ヨー角フィードバック制御量である走行車線中央Ls側制御による目標転舵角φY_Rtはゼロとなる。このため、横位置フィードバック制御量である、走行車線端部Le側制御による目標転舵角φL_Rtが、φtRとなる。
ΔXLもゼロとなるため、(8)式に基づき第1項がゼロとなる。このため、φtLは、走行車線中央Ls側制御による目標転舵角φY_Ltとなるが、小さな値となる。
このため左側へのヨー角θであるΔθLが所定量以上であれば、走行車線中央部制御による目標転舵角φY_RtがφtLとなる。また、左側へのヨー角θであるΔθLが小さければ、φtLは小さな値となる。
このため、最終目標転舵角φtは、右側の走行車線端部Leからのはじき返され感を低減することが出来る。
(1)左右別々に、横位置フィードバック制御量とヨー角フィードバック制御量のセレクトハイを行った後に、左右の制御量を加算して最終目標転舵角φtを算出している。
この結果、最終目標転舵角φtの制御量を大きくしすぎることなく、走行車線中央Ls側での制御性能を確保しつつ、走行車線端部Le側での制御性能を確保できる。
(1)左右個別にセレクトハイを行う上記選択加算処理に対し、次のような閾値処理を追加しても良い。
すなわち、右側の制御量のセレクトハイを取る際に、
φL_Rt>φY_Rt であるならば、上述のように、
φtR =φL_Rtとする。
このとき、φY_Rt>φth_Yであるならば、つまり走行車線中央部制御による目標転舵角φY_Rtが所定閾値以上の場合には、下記式のように、補正する。
φtR =φtR + K1 ×(φY_Rt −φth_Y)
逆に、φL_Rt≦φY_Rt であるならば、上述のように、
φtR =φY_Rtとする。
φtR =φtR +K2 ×(φL_Rt −φth_L)とする。
同様に、左側の制御量のセレクトハイを取る際に、
φL_Lt>φY_Ltであるならば、上述のように、
φtL =φL_Ltとする。
このとき、φY_Lt<−φth_Yであるならば、つまり走行車線中央部制御による目標転舵角φY_Ltが所定閾値以上の場合には、下記式のように、補正する。
φtL =φtL +K3 ×(φY_Lt +φth_Y)とする。
逆に、φL_Lt≦φY_Ltであるならば、上述のように、
φtL =β_L ×φY_Ltとする。
φtL =φtL +K4×(φL_Lt +φth_L)とする。
そして、下記式によって最終目標転舵角φtを算出する。
φt =φtR +φtLとする。
このように、左右のセレクトロー側が所定量よりも大きい場合には、その分の補正を行う。
このようにすると、最終目標転舵角φtの制御量を大きくしすぎることなく、走行車線端部Le側で横変位Xもヨー角θも大きくついた場合などにおいても、制御性能を確保できる。
その処理の例を次に示す。
比較選択する際にヨー角θ、横位置、曲率、ナビゲーション情報等の走行自車両Cの情報、道路情報から決まるゲインγ_yaw、γ_latを用い、選択量に重み付けする。
ここで、γ_yawは、カーブ外側へ逸脱するヨー角θが発生していた場合など、ヨー角θがついていることに対し逸脱リスクが大きいシーンにおいて大きくなるゲインとする。γ_latは、カーブ外側をヨー角θで走行している場合など、現在の横位置を走行していることに対し逸脱リスクが大きいシーンにおいて大きくなるゲインである。
γ_lat × φL_Rt>γ_yaw × φY_Rtであるならば、
φtR =φL_Rtとする
一方、γ_lat × φL_Rt≦γ_yaw × φY_Rtであるならば、
φtR =φY_Rtとする。
同様に、γ_lat × φL_Lt>γ_yaw × φY_Ltであるならば、
φtL =φL_Ltとする
一方、γ_lat × φL_Lt≦γ_yaw × φY_Ltであるならば、
φtL =φY_Ltとする。
そして、下記式によって最終目標転舵角φtを算出する。
φt =φtR +φtLとする。
このようにすると、カーブ外側への逸脱に対する制御量は夫々の制御量を加算し、カーブ内側への逸脱に対する制御量はセレクトハイを行う。この結果、リスクの大きい(大きい制御量が必要な)カーブ外側への逸脱に対する制御量のみ大きくすることができる。その他のシーンでは最終目標転舵角φtの制御量を大きくしすぎることなく、走行車線中央Lsでの制御性能を確保しつつ、走行車線L端での制御性能を確保できる。
道路曲率ρを用い、以下のようにカーブ外側への逸脱に対しては制御量を加算し、カーブ内側への逸脱に対しては選択的に処理する。
ρ < 0(右カーブ)の場合には次のように算出する。
すなわち、右の制御量については、φL_Rt>φY_Rtであるならば、
φtR =φL_Rtとする。
一方、φL_Rt≦φY_Rtであるならば、φtR =φY_Rtとする。
φtL =φL_Lt + φY_Lt
逆に、ρ > 0(左カーブ)の場合には次のように算出する。
すなわち、右に制御量については、下記式のように加算値を取る。
φtR =φL_Rt + φY_Rt
左の制御量については、φL_Lt> φY_Ltであるならば、
φtL =α_L ×φL_Ltとする。
一方、φL_Lt≦φY_Ltであるならば、
φtL =β_L ×φY_Ltとする。
右側の制御量に対しては、
φL_Rt> φY_Rtであるならば、φtR =φL_Rtとする。
φL_Rt≦ φY_Rtであるならば、φtR =φY_Rtとする。
左側の制御量に対しては、
φL_Lt> φY_Ltであるならば、φtL =φL_Ltとする。
φL_Lt≦ φY_Ltであるならば、φtL =φY_Ltとする。
そして、下記式によって最終目標転舵角φtを算出する。
φt =φtR +φtLとする。
11 操舵用コントローラ
15 車線維持支援コントローラ
L 走行車線
Le 走行車線端部
Ls 走行車線中央
Wlane 走行車線幅
θ ヨー角
ρ 道路曲率
X 横変位
LXL 左の横変位基準位置
LXR 右の横変位基準位置
ΔXL 左逸脱に対する横変位偏差
ΔXR 右逸脱に対する横変位偏差
ΔθL ヨー角偏差
ΔθR ヨー角偏差
Ky_L フィードバックゲイン(カーブ路補正手段)
Ky_R フィードバックゲイン(カーブ路補正手段)
KρL_L 走行車線端部制御フィードバック補正ゲイン
KρL_R 走行車線端部制御フィードバック補正ゲイン
KρY_L 走行車線中央部制御フィードバック補正ゲイン
KρY_R 走行車線中央部制御フィードバック補正ゲイン
φL_Lt 左逸脱に対する走行車線端部制御による目標転舵角(制御量)
φL_Rt 右逸脱に対する走行車線端部制御による目標転舵角(制御量)
φY_Lt 左逸脱に対する走行車線中央部制御による目標転舵角(制御量)
φY_Rt 右逸脱に対する走行車線中央部制御による目標転舵角(制御量)
φt 最終目標転舵角(制御量)
α_R 重み付け係数
β_R 重み付け係数
Claims (6)
- 少なくとも走行車線に対する自車両の進行方向の角度偏差に基づき当該偏差を小さくする第1制御量を算出する制御量算出手段と、
その制御量算出手段が算出した第1制御量に基づき車輪の転舵角若しくは転舵トルクを補正する転舵補正手段と、を備え、
自車両が走行する走行車線の幅方向中央からそれぞれ幅方向左右に個別にオフセットした位置である左右の横端部基準位置を設定し、
走行車線に対する自車両のヨー角の向き側である自車両の進行方向に基づき、左右の横端部基準位置のうち、自車両の進行方向側に位置する横端部基準位置を、走行車線内における自車両の位置に関係なく、一方の横端部基準位置とし、その一方の横端部基準位置に対する自車両の距離によって上記第1制御量の制御ゲインを補正し、自車両の進行方向反対側に位置する他方の横端部基準位置側を基準として上記一方の横端部基準位置に自車両が近づくにつれて上記制御ゲインが大きくなるように補正し、
上記基準は、上記一方の横端部基準位置に対し走行車線の幅方向中央位置よりも上記他方の横端部基準位置側であり、上記制御ゲインは、上記基準から上記一方の横端部基準位置に向かうにつれて大きくなるように設定されていることを特徴とする車線維持支援装置。 - 上記左右の横端部基準位置は、左右の走行車線端部位置、若しくは当該走行車線端部位置から所定量だけ内側にオフセットした位置であることを特徴とする請求項1に記載した車線維持支援装置。
- 自車両が走行する走行車線の幅方向中央からそれぞれ幅方向左右に個別にオフセットした位置である左右の横方向変位閾値を設け、
上記制御量算出手段は、自車両が左右の横方向変位閾値の外側にいると判定すると、自車両が近い側の横方向変位閾値に対する横方向偏差を小さくする第2制御量を算出する第2制御量算出手段と、
上記第1制御量と第2制御量算出手段が算出した第2制御量に基づき、第3制御量を算出する最終制御量算出手段とを備え、
上記転舵補正手段は、最終制御量算出手段が算出した第3制御量に基づき車輪の転舵角若しくは転舵トルクを補正することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載した車線維持支援装置。 - 上記第1制御量と第2制御量のうち値が大きい方を第3制御量とすることを特徴とする請求項3に記載した車線維持支援装置。
- 走行車線の曲率が所定以上の場合に、
走行車線の中央に対する自車両の位置及び走行車線の曲率に基づき上記制御量算出手段が算出する制御量に対する制御ゲインを補正するカーブ路補正手段を備え、
その制御ゲインの補正は、走行車線の幅方向中央に対し走行車線のカーブ内側に自車両が位置する場合には、上記曲率が小さい場合よりも曲率が大きい場合に制御ゲインを小さく補正し、走行車線の幅方向中央に対し走行車線のカーブ外側に自車両が位置する場合には、上記曲率が小さい場合よりも曲率が大きい場合に制御ゲインを大きく補正する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した車線維持支援装置。 - 少なくとも走行車線に対する自車両の進行方向の角度偏差に基づき当該偏差が小さくなるように車両の進行方向をフィードバック制御する際に、
走行車線に対する自車両のヨー角の向き側である自車両の進行方向に基づき、左右の横端部基準位置のうち、自車両の進行方向側に位置する横端部基準位置を、走行車線内における自車両の位置に関係なく、一方の横端部基準位置とし、その一方の横端部基準位置に対する自車両の距離によって上記第1制御量の制御ゲインを補正し、自車両の進行方向反対側に位置する他方の横端部基準位置側を基準として上記一方の横端部基準位置に自車両が近づくにつれて上記制御ゲインが大きくなるように補正し、
上記基準は、上記一方の横端部基準位置に対し走行車線の幅方向中央位置よりも上記他方の横端部基準位置側であり、上記制御ゲインは、上記基準から上記一方の横端部基準位置に向かうにつれて大きくなるように設定されていることを特徴とする車線維持支援方法。
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