JP5245905B2 - 車線維持支援装置及び車線維持支援方法 - Google Patents

車線維持支援装置及び車線維持支援方法 Download PDF

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Description

本発明は、自車両を走行車線内に維持する車線維持支援装置に関するものである。
従来の車線維持支援装置は、自車両が走行車線に沿って走行するように操舵系に付加する付加トルクを制御する(例えば、特許文献1参照)。
ここでは、運転者による操舵意思が非検出であるときには、自車両が走行車線の所定位置を走行するように操舵トルクを制御する(第1の付加トルク制御)。また、運転者による操舵意思を検出したときには、運転者による操舵操作が反映され易いように操舵トルクを制御する(第2の付加トルク制御)。これにより、車線追従性とドライバ協調性(運転者の操舵操作に対する協調性)と考慮して運転者に違和感のない走行を行うようにしている。
特開2005−306283号公報
しかしながら、上記従来の車線維持支援装置にあっては、運転者の操舵意思を検出したとき、第1の付加トルク制御から第2の付加トルク制御へ直ちに移行している。そのため、制御移行時に急なトルク変化が生じ、運転者に違和感を与えるおそれがある。
そこで、本発明は、車線追従性とドライバ協調性とを考慮して、運転者に違和感のない車線維持制御を行うことができる車線維持支援装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る車線維持支援装置は、自車両が走行車線の所定位置を走行するために必要な目標操舵角と実操舵角との差分値である操舵角偏差を算出する。第1の操舵角制御手段は、前記操舵角偏差に応じて、自車両が走行車線の所定位置を走行するために必要な第1の付加トルクを操舵系に付加する第1の操舵角制御を行う。運転者による操舵意思を検出したとき、第2の操舵角制御手段は、前記操舵角偏差に応じて、前記第1の付加トルクの算出ゲインより小さい算出ゲインで、前記第1の付加トルクより運転者による操舵操作が反映され易い第2の付加トルクを操舵系に付加する第2の操舵角制御を行う。そして、第2の操舵角制御手段は、第1の操舵角制御から第2の操舵角制御へ移行したとき、第2の付加トルクを制御移行直前の第1の付加トルクと等しく算出するための仮想的な操舵角偏差に応じて、第2の付加トルクを算出する。
本発明によれば、運転者の操舵意思に応じて、異なる制御方式により付加トルクを制御するので、車線追従性とドライバ操舵操作との協調性とを考慮した適切な車線維持制御を行うことができる。また、制御移行時には、運転者のどのような操舵操作状態であっても、運転者にとって不快なトルク変動を防止することができる。その結果、運転者に違和感のない車線維持制御を行うことができる。
本発明における車線維持支援装置を適用した車両の概略構成図である。 カメラにより計測する車両状態量を説明する図である。 コントロールユニットの構成を示すブロック図である。 フリクション補償演算部の具体的構成を示す制御ブロック図である。 第1の実施形態におけるコントロールユニットで実行する車線維持制御処理手順を示すフローチャートである。 目標操舵角の算出方法を説明するための図である。 動作を説明するためのタイミングチャートである。 制御遷移状態を示す図である。 第2の実施形態におけるコントロールユニットで実行する車線維持制御処理手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
《第1の実施の形態》
《構成》
図1は、本発明における車線維持支援装置を適用した車両の概略構成図である。
図中、1FLは前左輪,1FRは前右輪である。ステアリングギア2と、ステアリングホイール3と、ステアリングシャフト4とによって、操舵系を構成している。ステアリングギア2は、前左右輪1FL,1FRに転舵角を発生する。ステアリングホイール3は、車両を操向するためにドライバが操作するものである。ステアリングシャフト4は、ステアリングホイール3とステアリングギア2とを機械的に連結する。そして、ステアリングシャフト4は、ステアリングホイール3の回転を操向輪としての前左右輪1FL,1FRの操舵角として伝える。
また、この車両には、ステアリングシャフト4のねじれ量から、運転者によってステアリングホイール3を介して操舵系に付与される操舵トルクThを検出する操舵トルクセンサ5を設ける。さらに、この車両には、ドライバが操舵したステアリングホイール3の角度(操舵角)θsを検出する操舵角センサ6を設ける。操舵トルクセンサ5及び操舵角センサ6の検出信号は、後述するコントロールユニット10に出力する。
ステアリングシャフト4には、操舵補助力(付加トルク)を付加する操舵アクチュエータ7を設ける。この操舵アクチュエータ7は、コントロールユニット10からの制御電流指令値に応じて駆動制御する。
また、この車両には、車両前方の走行車線形状と自車両との相対位置を検出する走行位置検出センサとして、CCDカメラ8a及びカメラコントローラ8bを設ける。このカメラコントローラ8bでは、CCDカメラ8aで捉えた自車両前方の撮像画像から、道路区画線等のレーンマーカを検出して走行車線を検出する。そして、その走行車線に対する自車両のヨー角Φ、走行車線中央からの横変位y、走行車線の曲率ρ等を算出する(図2)。これらの検出信号はコントロールユニット10に出力する。
さらに、この車両には、各車輪1FL〜1RRの車輪速度Vwi(i=FL〜RR)を検出する車輪速センサ9を設ける。この車輪速度Vwiもコントロールユニット10に出力する。
コントロールユニット10は、入力した各種検出信号をもとに操舵アクチュエータ7の制御電流指令値を算出し、これを操舵アクチュエータ7へ出力する。操舵アクチュエータ7は、上記制御電流指令値に比例したトルクを発生して操舵補助力を付加する。
(コントロールユニットの構成)
図3は、コントロールユニット10の構成を示す制御ブロック図である。
コントロールユニット10は、操舵介入判断部21と、車線維持制御部22と、操舵角制御部23と、フリクション補償演算部24と、電流制御部25と、を備える。
操舵介入判断部21は、操舵トルクセンサ5で検出した操舵トルクThと、操舵角センサ6で検出した操舵角θsとを入力する。そして、例えば、操舵トルクThが所定トルク以上であるか、操舵角θsが所定角度以上であるとき、運転者による操舵意思があると判断する。
車線維持制御部22は、カメラコントローラ8bで検出した走行車線情報と、車輪速センサ9で検出した車輪速度Vwiから算出される自車速Vとを入力する。そして、自車両が走行車線中央位置を走行するために必要な目標操舵角θrを算出する。算出した目標操舵角θrは、操舵角制御部23に出力する。
操舵角制御部23は、車線維持制御部22で算出した目標操舵角θrと、操舵角センサ6で検出した操舵角θsとを入力する。また、操舵角制御部23は、操舵介入判断部21の操舵介入判断結果も入力する。そして、操舵角制御部23は、操舵アクチュエータ7の制御電流指令値Irを算出する。算出した制御電流指令値Irは、電流制御部25に出力する。
この操舵角制御部23は、第1操舵角制御部23aと第2操舵角制御部23bとを備える。第1操舵角制御部23aは、自車両を走行車線中央に維持するような車線維持制御(第1の操舵角制御)を行うための制御電流指令値Irを算出する。また、第2操舵角制御部23bは、運転者による操舵操作が反映され易い車線維持制御(第2の操舵角制御)を行うための制御電流指令値Irを算出する。
そして、操舵角制御部23は、第1の操舵角制御を行う場合には第1操舵角制御部23aで算出した制御電流指令値Irを、第2の操舵角制御を行う場合には第2操舵制御部23bで算出した制御電流指令値Irを、電流制御部25に出力する。
第1操舵角制御部23a及び第2操舵角制御部23bは、何れも目標操舵角θrと実操舵角θsとの差分値である操舵角偏差Δθに応じて、制御電流指令値Irを算出する。ここで、第2操舵角制御部23bは、第1の操舵角制御における制御電流指令値Irの算出ゲインより小さいゲインで、第2の操舵角制御における制御電流指令値Irを算出する。
本実施形態では、操舵介入判断部21で運転者の操舵意思を検出した場合に、第1の操舵角制御から第2の操舵角制御へ移行すると判断する。そして、第1の操舵角制御から第2の操舵角制御へ移行したときは、所定期間、制御移行直前に第1操舵角制御部23aで算出した制御電流指令値Irと等しい制御電流指令値Irを算出するための仮想的な操舵角偏差に応じて、第2の操舵角制御を行う。
フリクション補償演算部24は、操舵トルクセンサ5で検出した運転者による操舵トルクThと、操舵角センサ6で検出した操舵角θsとを入力する。そして、タイヤから操舵系への入力や操舵装置のフリクションなどの外乱トルクを除去するためのフリクション補償電流Idを算出する。算出したフリクション補償電流Idは、電流制御部25に出力する。
電流制御部25は、操舵角制御部23から出力した制御電流指令値Irからフリクション補償演算部24から出力したフリクション補償電流Idを差し引く。そして、その結果を、最終的に操舵アクチュエータ7に印加する制御電流指令値Iとして操舵アクチュエータ7に出力する。
I=Ir−Id ………(1)
(フリクション補償演算部の構成)
次に、フリクション補償演算部24での演算処理について、より具体的に説明する。
図4は、フリクション補償演算部24の具体的構成を示す制御ブロック図である。
操舵系の運動方程式をラプラス変換すると、次のようになる。
ω(s)=P(s)(I(s)+(Td(s)+Th(s)/Kt)) ………(2)
但し、
P(s)=Kt/(Jss+Ds) ………(3)
である。これは、操舵系への回転操作力から操舵系の回転運動に対するモデルである。
また、各記号は、以下のパラメータを表している。
s:操舵系の慣性モーメント,
s:操舵系の粘性係数,
Kt:操舵アクチュエータのトルク定数,
ω:ステアリングシャフトの回転角速度
したがって、外乱トルクTdは、上記(3)式の操舵系モデルの逆特性を用いると、次式により求めることができる。
Td(s)=Kt(ω(s)/P(s)−I(s))−Th(s) ………(4)
但し、このままでは微分項に発生するノイズによって適切な外乱推定が行えない場合がある。そこで、外乱除去の周波数帯をωcとするローパスフィルタ
L(s)=ωc/(s+ωc) ………(5)
を設定し、次式をもとに、フリクション、タイヤ入力を含む操舵系への全ての外乱トルクTdを推定する。
Td(s)=Kt・L(s)/P(s)・ω(s)−L(s)(Th(s)+KtI(s)) ………(6)
そして、次式をもとに、フリクション補償電流Idを算出する。
Id(s)=Td(s)/Kt
=L(s)/P(s)・ω(s)−L(s)(Th(s)/Kt+I(s)) ………(7)
ここで、フリクション補償電流Idの役割について説明する。
上記(1)、(2)、(7)式から操舵系の伝達関数を求めると以下のようになる。
ω(s)=P(s)(KtIr+Th(s)+H(s)Td(s)) ………(8)
ここで、
H(s)=1−L(s)=s/(s+ωc) ………(9)
である。
このように、外乱を除去したい周波数帯ωcより低い周波数域において、外乱トルクTd(s)の操舵アクチュエータの運動への影響が除去されることがわかる。
すなわち、フリクション補償演算部24は、制御入力と運転者操作力によって駆動されるモデルP(s)を持つ。そして、操舵角速度ωを、そのモデルP(s)の逆特性に通したときに求められる制御入力及び操作入力の合計の推定値と、実際の制御入力及び操作入力の合計値との差から、外乱として入力された力をフリクション推定値とする。そのため、合理的なフリクション推定の構成を与えることができ、操舵角制御部23による操作反力だけをインフォメーションとして運転者に伝達することになる。
(車線維持制御処理手順)
次に、コントロールユニット10で実行する車線維持制御処理手順について説明する。
図5は、コントロールユニット10で実行する車線維持制御処理手順を示すフローチャートである。この車線維持制御処理は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として実行し、先ず、ステップS1で、コントロールユニット10は、各種センサからの信号を読込む。
具体的には、操舵トルクTh、操舵角θs、車輪速度Vwi(i=FL〜RR)、走行車線に対する自車両のヨー角Φ、走行車線中央からの横変位y、走行車線の曲率ρを読込む。
次にステップS2では、コントロールユニット10は、車速Vを算出する。この車速Vは、車輪速センサ9FL〜9RRで検出した車輪速Vwiのうち、例えば、非駆動輪としての前輪の車輪速度VwFL、VwFRの平均値から、次式をもとに算出する。
V=(VwFL+VwFR)/2 ………(10)
なお、例えば、車両に公知のアンチスキッド制御を行うABS制御装置が搭載されており、このABS制御装置によりアンチスキッド制御が行われている場合には、このアンチスキッド制御での処理過程で推定される推定車体速を車速Vとして用いることもできる。
また、本発明を前輪駆動車に適用した場合には、各車輪速度VwFL〜VwRRのうち、非駆動輪である後輪の車輪速度VwRL、VwRRの平均値から自車両の車速Vを算出すればよい。
次にステップS3で、コントロールユニット10は、目標操舵角θrを算出する。この目標操舵角θrの算出方法としては、例えば、目標ヨーレートγrから算出する方法を用いる。
図6は、目標操舵角θrの算出方法を説明する図である。
先ず、図6に示すように、カメラコントローラ8bから読込んだ各種信号に基づいて、目標経路Mp上の目標点Pを設定する。目標点Pは、前方注視点において、車体軸に対して横方向へ伸ばした線と目標経路Mp上の交点として求める。
車両から前方注視点までの距離Lsは、実際に走行する道路に対して適切な制御が行われるよう、小Rが重要な低速では小さい値に修正する。
目標点Pと車体軸との横方向の偏差ysは、カメラコントローラ8bから読込んだ自車両の目標経路に対する横変位y、ヨー角Φ、および目標経路の曲率ρを用いて次式をもとに算出する。
ys=0.5Ls2ρ−(y+LsΦ) ………(11)
次に、車両が目標点Pに到達するような経路Spを走行する場合のヨーレートγrを、次式をもとに算出する。
γr=2Vys/Ls2 ………(12)
したがって、上記(11)及び(12)式より、車両が目標経路Mp上を走行している場合には、
γr=Vρ ………(13)
となる。
一方、車両の実際の経路が大きく旋回内側にずれた場合には、そのずれ量に応じて、目標経路を走行する際のヨーレートに対して、次式で表す補正値γr0の分だけ旋回外側へ補正した値を目標ヨーレートγrとして算出することになる。
γr0=2V(y+LsΦ)/Ls2 ………(14)
車両のヨーレートが制御されて車両の横変位yとヨー角Φが小さくなると、上記(14)式の補正値γr0が小さくなる。そのため、目標ヨーレートγrが目標経路Mpを走行する際のヨーレートに漸近し、最終的に目標経路Mp上を走行するようになる。
次に、前記(12)式をもとに算出した目標ヨーレートγrを実現するために必要な前輪の目標操舵角θrを、下記(15)式をもとに算出する。
θr=1/(1+AV2)・L/V・γr ………(15)
ここで、Lは自車両のホイールベース、Aはステアリング特性のスタビリティファクタである。
このようにして、前方車線の状態と車両の運転状態とに基づいて、自車両を走行車線中央に向かって誘導するような目標操舵角θrを算出する。
なお、下記(16)式をもとに目標操舵角θrを算出することもできる。
θr=θs+Δθr=θs+1/(1+AV2)・L/V・Δγr ………(16)
ここで、Δθrは、現在の操舵角θsから目標操舵角θrへの舵角の補正分(θr−θs)である。また、Δγrは、現在のヨーレートγから目標ヨーレートγrへのヨーレートの補正分(γr−γ)である。これにより、路面カントやタイヤ違いによる旋回特性変化に対応することができる。
次にステップS4では、コントロールユニット10は、フリクション補償電流Idを算出する。先ず、上記(6)式をもとに外乱トルクTdを算出(推定)する。次に、推定した外乱トルクTdをキャンセルするのに必要なフリクション補償電流Idを、上記(7)式をもとに算出する。
次にステップS5では、コントロールユニット10は、前記ステップS1で読み込んだ操舵トルクThの絶対値|Th|が、予め設定した操舵トルク閾値T0を越えているか否かを判定する。そして、|Th|≦T0であるときには、運転者の操舵意思がないと判断してステップS6に移行する。一方、|Th|>T0であるときには、運転者の操舵意思があると判断して後述するステップS12に移行する。
ステップS6では、コントロールユニット10は、操舵介入判定フラグflagが“1”であるか否かを判定する。この操舵介入判定フラグflagは、運転者が意図的に操舵入力していると判断したときにflag=1にセットするものである。
この操舵介入判定フラグflagは、flag=1となった後は、|Th|≦T0となってもflag=1を維持する。そして、操舵介入判定フラグflagは、第2の操舵角制御を終了する時点で(例えば、第2の操舵角制御における制御電流指令値Ir=0となった時点で)クリアする。
上記ステップS6でflag≠1であると判定したときにはステップS7に移行し、flag=1であると判定したときには後述するステップS13に移行する。
ステップS7では、コントロールユニット10は、前記ステップS1で読み込んだ操舵角θsと、前記ステップS3で算出した目標操舵角θrとの偏差Δθ(=θr−θs)を算出する。
次にステップS8では、コントロールユニット10は、第1の操舵角制御を行うための制御電流指令値Irを算出する。ここでは、前記ステップS7で算出した操舵角偏差ΔθにフィードバックゲインK1を乗じて制御電流指令値Irを算出する。ここで行う舵角偏差のフィードバック制御は、車線維持を主たる目的とするためのものであり、運転者の操舵介入を許容し難いものとなっている。なお、制御電流指令値Irには所定の上限値を設ける。
次にステップS9では、コントロールユニット10は、仮想操舵角θを、次式をもとに算出し、ステップS10に移行する。
θ=θr−Ir/K2 ………(17)
この仮想操舵角θは、第1の操舵角制御から第2の操舵角制御に移行したときに、第2の操舵角制御において第1の操舵角制御と等しい制御電流指令値Irを算出するためのものである。
ステップS10では、コントロールユニット10は、仮想操舵角更新係数αを、予め設定した設定値α0にセットする。この仮想操舵角更新係数αは、後述する第2の操舵角制御において、仮想操舵角θを操舵角θsに漸近させる速度を設定するためのものである。ここで、仮想操舵角更新係数αは、0<α<1となる任意の値とする。
次にステップS11では、コントロールユニット10は、次式をもとに操舵アクチュエータ7に印加する制御電流指令値Iを算出してから、タイマ割り込み処理を終了する。
I=Ir−Id ………(18)
また、ステップS12では、コントロールユニット10は、操舵介入判定フラグflagを“1”にセットし、ステップS13に移行する。
ステップS13では、コントロールユニット10は、前記ステップS9で算出した仮想操舵角θと、前記ステップS3で算出した目標操舵角θrとの偏差Δθ(=θr−θ)を算出する。
次にステップS14では、コントロールユニット10は、第2の操舵角制御を行うための制御電流指令値Irを算出する。ここでは、前記ステップS13で算出した操舵角偏差ΔθにフィードバックゲインK2(<K1)を乗じて制御電流指令値Irを算出する。ここで行う舵角偏差のフィードバック制御は、運転者が容易に操舵介入できる程度の強さとなる。すなわち、運転者が操舵介入をしたときに舵角偏差の大きさに応じて運転者が感じる操舵反力を発生し、車両が適切な方向へ向かうように運転者の操舵操作を促すようになっている。
また、制御電流指令値Irには、前記ステップS8と同様に所定の上限値を設ける。なお、操舵角偏差Δθに対する制御電流指令値Irの増加率を、操舵角偏差Δθが大きいほど小さく設定することもできる。
次にステップS15では、コントロールユニット10は、仮想操舵角θの更新を行う。ここでは、前記ステップS10で設定した仮想操舵角更新係数αを用いて、次式をもとに仮想操舵角θの更新を行う。
θ=αθ+(1−α)θs ………(19)
上述したように、仮想操舵角更新係数αは0<α<1となる値である。そのため、前記ステップS15の演算を制御周期毎に行うことで、時間と共に仮想操舵角θが操舵角θsに漸近することになる。
仮想操舵角更新係数αは、仮想操舵角θが操舵角θsに漸近する速度を設定するパラメータである。仮想操舵角更新係数αが小さいほど、仮想操舵角θが操舵角θsに速く追従する。一方で、仮想操舵角更新係数αが大きすぎると、運転者の操舵に対して仮想操舵角θが追従しにくくなる。そのため、第2の操舵角制御による操舵反力特性が所望の特性になるまでに時間がかかるので、注意が必要である。この漸近特性は、運転者の操作フィーリングをもとにチューニングする。
このステップS15で更新した仮想操舵角θは、次回のタイマ割り込み処理に反映される。すなわち、更新した仮想操舵角θに基づいて、次回のタイマ割り込み処理におけるステップS13で操舵角偏差Δθを更新する。そして、ステップS14で制御電流指令値Irを算出する。
このように、第1の操舵角制御から第2の操舵角制御へ完全に移行するための所定の移行期間では、仮想的な操舵角偏差Δθを実際の操舵角偏差Δθへ遷移しながら制御電流指令値Irを算出する。
次にステップS16では、コントロールユニット10は、仮想操舵角θと操舵角θsとの差の絶対値|θ−θs|が所定値εより小さいか否かを判定する。そして、|θ−θs|<εである場合にはステップS17に移行する。このステップS17では、コントロールユニット10は、仮想操舵角更新係数αを“0”にセットして前記ステップS11に移行する。
仮想操舵角更新係数αが“0”となると、前記(19)式よりθ=θsとなる。これにより、以後の操舵角偏差Δθ(=θr−θ)の算出には操舵角θsが用いられることになる。
運転者の操舵によっては、仮想操舵角θの遷移方向に対して、実際の操舵角θsが逆方向へ変位するなどして、仮想操舵角θが実際の操舵角を追い越しそうになる場合がある。このような場合であっても、前記ステップS16における|θ−θs|<εの条件を満たす瞬間を必ず通過する。そのため、この場合には、前記ステップS17でα=0となってθ=θsとなる。したがって、運転者の操舵中であっても仮想操舵角θの遷移を適切に行うことができる。
一方、前記ステップS16で、|θ−θs|≧εであると判定した場合には、そのまま前記ステップS11に移行する。
《動作》
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
図7は、本実施形態の動作を説明するためのタイミングチャートである。
車線維持制御中(第1の操舵角制御中)に、図7の時刻t0で運転者が操舵操作を開始したものとする。すると、車両が目標経路から逸脱し、図5のステップS3で、車両を目標経路へ誘導するための目標操舵角θrを算出する。このとき、運転者による操舵操作が小さく|Th|≦T0であるので、ステップS5でNoと判定してステップS6に移行する。操舵介入判定フラグflagは“1”にセットされていないため、ステップS6でYesと判定してステップS7に移行する。ステップS7では、目標操舵角θrと操舵角θsとに基づいて操舵角偏差Δθを算出する。次に、ステップS8で、第1の操舵角制御を継続するための比較的大きな制御電流指令値Irを算出する。そして、この制御電流指令値Irをもとに算出した制御電流指令値Iを操舵アクチュエータ7に出力することにより第1の操舵角制御を行い、逸脱回避方向へ進路修正するような舵角制御を行う。
また、このとき、ステップS9では、前記ステップS8で算出した制御電流指令値Irに基づいて、前記(17)式をもとに仮想操舵角θを算出する。
この第1の操舵角制御は、|Th|≦T0である間、継続する。第1の操舵角制御は車線維持を主目的とする制御であるため、運転者の操舵介入性を重視した第2の操舵角制御を行った場合(図7(a)の破線A)と比較して、運転者の操舵操作が反映し難くなる。
その後、時刻t1で|Th|>T0となると、運転者が操舵介入を行ったと判定してステップS5からステップS12に移行する。これにより、第1の操舵角制御から第2の操舵角制御へ移行する。ステップS12では、操舵介入判定フラグflag=1にセットする。この操舵介入判定フラグflagは、以後|Th|≦T0となってもクリアせず、第2の操舵角制御を続けることになる。
この第2の操舵角制御では、仮想操舵角θを実際の操舵角θsに遷移させながら操舵角偏差Δθ(=θr−θ)を求め、この操舵角偏差Δθに基づいて第2の操舵角制御を行うための制御電流指令値Irを算出する。
時刻t1では、直前の制御周期におけるステップS9で算出した仮想操舵角θを用いて、ステップS13で操舵角偏差Δθを算出する(図7(c)の破線C)。次いでステップS14で、この操舵角偏差Δθに基づいて制御電流指令値Irを算出する。したがって、このとき算出した制御電流指令値Irは、直前の第1の操舵角制御において算出した制御電流指令値Irと等しくなる。
このように、第1の操舵角制御から第2の操舵角制御へ移行するとき、制御移行時のトルク変動を防止することができる。
その後は、ステップS15で、制御周期毎に仮想操舵角θを操舵角θsに漸近させるように当該仮想操舵角θを更新する。したがって、操舵角偏差Δθ(=θr−θ)は、時刻t1以降、第1の操舵角制御を行った場合の操舵角偏差Δθ(=θr−θs)に漸近する。
時刻t2で仮想操舵角θが操舵角θsに一致すると、それ以降は目標操舵角θrと実際の操舵角θsとの差によって操舵角偏差Δθを算出する。そして、この操舵角偏差Δθに基づいて、第2の操舵角制御を行うための制御電流指令値Irを算出する。すなわち、時刻t2以降では、実際の操舵角偏差に基づいた操舵角制御を行うことになる。
このようにして、第1の操舵角制御から、運転者による操舵操作が反映され易い第2の操舵角制御へ完全移行する。その結果、運転者は違和感なく操舵操作を行うことができる。
ところで、図7に示す例では、時刻t1から時刻t2までの仮想操舵角θの遷移中に、制御電流指令値Irの低下に伴って操舵トルクThが減少することで、|Th|≦T0となる状態が発生している。
このような現象に対応するために、操舵の介入判定閾値と非介入判定閾値とにある程度の差を設けたり、判断時間を設けたりして操舵介入/非介入の誤判定を防止するような処理を行う方法がある。
しかしながら、判断時間を設けることは運転者の意思を素早く判断することとは逆の処理である。そのため、運転者の操舵意思に基づいて遅れなく、さらに大きく変化する操舵トルクに対して適切な判断時間を設定するのが難しい。
同様に、介入判定閾値及び非介入判定閾値についても、操舵トルクの値そのものが運転者の操舵意思を一意に反映するものではないため、運転者の個性や運転環境に変化があった場合に、操舵介入を的確に判断するのが難しい。
また、走行シーンによって運転者が感じる違和感をできるだけ減らすためには、操舵制御の切り替え前後で操舵反力特性をあまり変わらないようにチューニングするのが一般的であり、制御性と操舵介入時の違和感抑制とを両立することは難しい。
さらに、操舵制御を切り替える場合、例えば、操舵介入判定条件に応じて算出した配分比によって第1の操舵角制御と第2の操舵角制御とを合成して、最終的な制御電流指令値を算出する方法がある。しかしながら、この場合、操舵トルクの変化は操舵角偏差の変化を生じさせるため、これにより制御電流指令値が変動してしまう。そのため、第1または第2の操舵角制御に完全に移行した状態にならないと、運転者の感じる操舵反力が安定せず、大きな違和感の原因となる。
また、別の例として、操舵介入を検出する直前の第1の操舵角制御手段による制御電流指令値を記憶しておき、操舵介入を検出した場合に、この記憶した値をゼロへ漸減すると共に,第2の操舵角制御による制御電流指令値をゼロから徐々に遷移させる方法がある。しかしながら、この場合、運転者の操舵量に変化があった場合に、制御電流指令値の遷移特性が操舵角の変化量に対応した遷移特性とならないため、違和感を与える場合がある。
図8は、本実施形態における制御遷移状態を示す図である。
この図8の矢印aで記すように、操舵介入判断後は仮想操舵角θを用いて、制御電流指令値Irが変化しないように、瞬時に第1の操舵角制御から第2の操舵角制御に移行する。その後は、運転者の操舵状態(実際の操舵角変化)によらず、第2の操舵角制御を継続し、仮想操舵角θが実際の操舵角θsに接近し続けるようにする。このようにして、第2の操舵角制御へ完全移行する。
一方、操舵介入判断後、実際の操舵角偏差Δθ(=θr−θs)に基づいて第2の操舵角制御を行う一般的な方法では、制御遷移状態が図8の矢印bで記すようになる。すなわち、第1の操舵角制御から第2の操舵角制御への移行時に、制御電流指令値Irに大きな変化が生じる。その結果、制御移行時に大きな操舵トルク変化が生じてしまう。
このように、本実施形態では、第1の操舵角制御によって操舵トルクを付与している際に第2の操舵角制御へ移行する場合、その時点で付与している操舵トルクと等しい操舵トルクを発生するように第2の操舵角制御を行う。そのため、運転者に違和感のない適切な制御遷移を行うことができる。
また、操舵介入を判断した後は、運転者の操作によらず第2の操舵角制御に遷移するため、余分な判断時間や操舵の介入判断閾値に関するヒステリシス特性が不要となる。さらに、一旦、操舵介入状態に入ると、車両の制御状態や車両周囲の状態を伝える操舵反力特性を安定させることができる。
その後、図7の時刻t3で運転者の操舵介入が終了し、操舵トルクTh=0となったものとする。
このとき仮に、第2の操舵角制御から第1の操舵角制御に遷移すると、大きな操舵角速度を伴って操舵角θsが目標操舵角θrに追従することになる(図7(a)の破線B)。
これに対して本実施形態では、時刻t3でTh=0となっても第2の操舵角制御を維持する。本実施形態では、フリクション補償演算部24を設けている。したがって、第1の操舵角制御に遷移しなくても、運転者の操舵トルクThが十分に小さい場合には、フリクション補償電流Idの作用によって実操舵角θsが目標操舵角θrに向かって漸近(操舵角偏差Δθがゼロへ漸近)する。
このように、操舵介入性を考慮した力の弱い第2の操舵角制御を行っていても、道路曲率の変化が十分に穏やかで必要な操舵角速度が十分に小さい場合には、目標経路に沿った走行制御を維持することができる。その結果、操舵反力の変動を防ぎつつ、操舵介入終了後の車線逸脱を小さく保つ効果がある。
また、第2の操舵角制御は運転者の操舵反力特性やハンドルの戻り特性を考慮してフィードバックゲインを設定している。したがって、時刻t3以降に運転者の操舵トルクが小さくなった場合でもハンドルの動きを安定させることが可能となる。その結果、ハンドルの戻り特性を運転者の感覚にあったものにすることができる。このように、運転者の意思に忠実な操作形態を実現することができる。
なお、図1において、CCDカメラ8a、カメラコントローラ8b及び車輪速センサ9が走行状態検出手段を構成している。また、操舵トルクセンサ5が操舵トルク検出手段を構成し、操舵角センサ6が操舵角検出手段を構成している。
また、図5の処理において、ステップS3が目標操舵角算出手段を構成し、ステップS5が操舵意思検出手段を構成し、ステップS7及びS13が操舵角偏差算出手段を構成している。さらに、ステップS8が第1の操舵角制御手段を構成し、ステップS9,S10,S14〜S17が第2の操舵角制御手段を構成している。
《効果》
(1)目標操舵角算出手段は、走行状態検出手段で検出した走行状態に基づいて、自車両が走行車線の所定位置を走行するために必要な目標操舵角を算出する。操舵角偏差算出手段は、目標操舵角演算手段で算出した目標操舵角と操舵角検出手段で検出した操舵角との差分値である操舵角偏差を算出する。第1の操舵角制御手段は、操舵角偏差算出手段で算出した操舵角偏差に応じて、所定の算出ゲインで、自車両が走行車線の所定位置を走行するために必要な第1の付加トルクを算出し、当該第1の付加トルクを操舵系に付加することで操舵角を制御する第1の操舵角制御を行う。第2の操舵角制御手段は、操舵意思検出手段で運転者による操舵意思を検出したとき、操舵角偏差算出手段で算出した操舵角偏差に応じて、第1の付加トルクの算出ゲインより小さい算出ゲインで、第1の付加トルクより運転者による操舵操作が反映され易い第2の付加トルクを算出し、当該第2の付加トルクを操舵系に付加することで操舵角を制御する第2の操舵角制御を行う。
そして、第2の操舵角制御手段は、第1の操舵角制御から第2の操舵角制御へ移行したとき、第2の付加トルクを制御移行直前に第1の操舵角制御手段で算出した第1の付加トルクと等しく算出するための仮想的な操舵角偏差に応じて、第2の付加トルクを算出する。
このように、運転者による操舵意思を検出し、運転者の操舵意思に応じて車線維持制御の制御方式を変更する。第1の操舵角制御では、目標操舵角に実操舵角が一致するような第1の付加トルクを算出することができる。そのため、十分な車線追従性能を実現して安定した走行を行うことができる。また、第2の操舵角制御では、目標操舵角と実操舵角との偏差に応じた第2の付加トルクを算出することができる。そのため、運転者による操舵操作が反映され易い走行制御を行うことができ、運転者に違和感のない操舵角制御を行うことができる。
さらに、第1の操舵角制御から第2の操舵角制御へ移行するときには、運転者のどのような操舵操作状態であっても、運転者にとって不快なトルク変動を防止することができる。そのため、より運転者に違和感のない操舵角制御を行うことができる。
(2)第2の操舵角制御手段は、所定期間内に、仮想的な操舵角偏差を、操舵角偏差算出手段で算出した操舵角偏差に一致するように連続的に遷移させる。
したがって、制御トルクが不連続となることなく、第1の操舵角制御から通常の第2の操舵角制御への移行を完了することができる。
(3)操舵意思検出手段は、操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクが所定のトルク閾値を超えたとき、運転者による操舵意思を検出する。これにより、確実に運転者の操舵意思を検出することができる。
(4)目標操舵角算出手段は、走行状態検出手段で検出した走行状態に基づいて目標ヨーレートを算出し、当該目標ヨーレートを実現するような目標操舵角を算出する。これにより、適正な目標操舵角を算出することができる。
(5)第2の操舵角制御手段は、操舵角偏差算出手段で算出した操舵角偏差が大きいほど、第2の付加トルクを大きく算出すると共に、操舵角偏差の増加量に対する第2の付加トルクの増加量を、当該操舵角偏差が大きいほど小さく設定する。
これにより、操舵角偏差が小さいときには、操舵角偏差の僅かな増加に対しても付加トルクを大きく発生することができる。そのため、運転者は敏感に操舵反力を受けることになる。したがって、実際に操舵意思がある場合には、走行車線の中央位置を知らせるインフォメーションを運転者に対して伝えることができる。また、実際には操舵意思がない場合には、操舵補助力として発生される付加トルクによって車線逸脱を回避する方向に進路修正することができる。
また、操舵角偏差が大きいときには、明らかに運転者による意識的な車線逸脱であると判断して、一定値以上の操舵トルクを発生させないようにすることができる。そのため、運転者の操舵操作を適切に反映させることができ、運転者は違和感なく車線変更等を行うことができる。
(6)自車両の走行状態に基づいて、自車両が走行車線の所定位置を走行するために必要な目標操舵角を算出し、算出した目標操舵角と実際の操舵角との差分値である実際の操舵角偏差を算出する。算出した操舵角偏差に応じて、所定の算出ゲインで、自車両が走行車線の所定位置を走行するために必要な第1の付加トルクを算出し、当該第1の付加トルクを操舵系に付与することで操舵角を制御する第1の操舵角制御を行う。運転者による操舵意思を検出したら、直前の第1の操舵角制御で算出した第1の付加トルクと等しい第2の付加トルクを算出するための仮想的な操舵角偏差に応じて、第1の付加トルクの算出ゲインより小さい算出ゲインで、第1の付加トルクより運転者による操舵操作が反映され易い第2の付加トルクを算出し、当該第2の付加トルクを操舵系に付与することで操舵角を制御する第2の操舵角制御を行う。その後、実際の操舵角偏差に応じて、前記小さいゲインで前記第2の付加トルクを算出し、当該第2の付加トルクを操舵系に付与することで操舵角を制御する第2の操舵角制御を行う。
これにより、制御移行時には、運転者のどのような操舵操作状態であっても、運転者にとって不快なトルク変動を防止することができる。その結果、運転者に違和感のない車線維持制御を行うことができる。
《第2の実施の形態》
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、第1及び第2の操舵角制御において、操舵トルクThから操舵角偏差Δθまでの動特性を任意に設定するような動的な補償器を用いるようにしたものである。
《構成》
第2の実施形態におけるコントロールユニット10の構成は、図3に示す前述した第1の実施形態におけるコントロールユニット10の構成と同様である。
先ず、操舵トルクThから操舵角偏差Δθまでの動特性を任意に設定するような動的な補償器について説明する。
第1の操舵角制御部に用いる動的な補償器を、離散値系の一般的な形式で記述すると次のように書ける。
1(k+1)=A11(k)+B1Δθ(k),
Ir(k)=C11(k)+D1Δθ(k) ………(20)
また、第2の操舵角制御部に用いる動的な補償器を、離散値系の一般的な形式で記述すると次のように書ける。
2(k+1)=A22(k)+B2Δθ(k),
Ir(k)=C22(k)+D2Δθ(k) ………(21)
ここで、x1,x2は、それぞれ第1または第2の操舵角制御を行う補償器内部の状態変数である。また、A1〜D1,A2〜D2は、第1または第2の操舵角制御を行って閉ループ系を構成した場合に、操舵トルクThから操舵角偏差Δθの応答を任意に設定するパラメータである。このA1〜D1,A2〜D2は、スカラーまたは行列の変数または定数である。さらに、kは演算のステップを表し、演算周期をdt、時刻tとすると、t=k×dtを満たす変数である。
(車線維持制御処理手順)
次に、第2の実施形態のコントロールユニット10で実行する車線維持制御処理手順について説明する。
図9は、第2の実施形態のコントロールユニット10で実行する車線維持制御処理手順を示すフローチャートである。この車線維持制御処理は、図5に示す車線維持制御処理において、ステップS8,S9およびS14をステップS21,S22およびS23にそれぞれ置換したことを除いては、図5と同様の処理を行う。したがって、図5との対応部分には同一符号を付し、処理の異なる部分を中心に説明する。
ステップS21では、コントロールユニット10は、次式をもとに、制御電流指令値Irと第一操舵角制御補償器状態変数x1とを算出する。
Ir=C11+D1Δθ,
1=A11+B1Δθ ………(22)
次にステップS22で、コントロールユニット10は、仮想操舵角θと第二操舵角制御補償器の仮想状態変数x2とを算出する。
まず、第1の操舵角制御で算出した制御電流指令値Irと同じ電流指令値を定常的に出力するように、第2の操舵角制御に入力される操舵角偏差Δθと状態変数x2とを算出する。
前記(21)式より、第2の操舵角制御の定常特性は次のようになる。
2=(I−A)-12Δθ,
Ir=(C2(I−A)-12+D2)Δθ ………(23)
したがって、仮想操舵角偏差Δθtmpと状態変数x2とは次式をもとに算出できる。
Δθtmp=(C2(I−A)-12+D2-1Ir,
2=(I−A)-12Δθtmp ………(24)
次いで、次式をもとに仮想操舵角θを算出する。
θ=θr−Δθtmp ………(24)
また、ステップS23では、コントロールユニット10は、前記(21)式より、次式をもとに制御電流指令値Irと状態変数x2とを算出する。
Ir=C22+D2Δθ,
2=A22+B2Δθ ………(25)
ここで、第2の操舵角制御は、運転者が操舵介入をしたときに操舵角偏差や操舵角偏差速度に応じて、運転者が感じる操舵反力を発生させたり、ハンドルの動きをスムーズにするような電流指令値を算出したりするようになっている。そして、その操舵反力(操舵トルク)の大きさは、運転者が容易に操舵介入できる程度の強さに制限している。したがって、第1の実施形態と同様に、車両が適切な方向へ向かうように運転者の操舵操作を促すものとなる。
《効果》
(7) モデルマッチング制御等により、操舵系の動特性が理想とする動特性に一致するように第2の操舵角制御を設計することができる。したがって、車線追従性とドライバ協調性とを考慮して、運転者に違和感のない車線維持制御を行う車線維持支援装置においてはさらに好適である。
《変形例》
(1)上記各実施形態においては、操舵角速度を用いてフリクション推定値を算出する場合について説明したが、操舵角度と2次のローパスフィルタとを組み合わせた構成とすることもできる。また、操舵トルクセンサがドリフトするような場合には、不感帯を設定して操舵トルクがゼロに近い範囲でフリクション補償が敏感に動作しないようにすることもできる。
(2)上記各実施形態においては、車線維持制御として、車両が車線の目標経路(走行車線中央位置)に沿って走行するような制御を適用する場合について説明したが、車両が車線をはみ出さないように走行する制御を適用することもできる。
(3)上記各実施形態においては、第2の操舵角制御で、制御電流指令値Irの算出ゲインを複数持つこともできる。そして、車両の走行状況(障害物の有無、隣接車線の車両の有無など)に応じて算出ゲインを変更して、制御電流指令値Irを算出するようにしてもよい。これにより、より運転者の感覚に合致した走行制御を行うことができる。
(4)上記各実施形態においては、第1及び第2の操舵角制御で、操舵角θsの操舵速度をフィードバックする微分制御を付加することもできる。これにより、操舵角偏差に対する操舵反力特性を調整することができる。例えば、運転者が急にハンドルから手を離した場合でも、ハンドルの動きが穏やかになるように調整することができる。したがって、より運転者の違和感が少ない操舵特性とすることができる。
1FL,1FR 前輪
2 ステアリングギア
3 ステアリングホイール
4 ステアリングシャフト
5 操舵トルクセンサ
6 操舵角センサ
7 操舵アクチュエータ
8a CCDカメラ
8b カメラコントローラ
9 車輪速センサ
10 コントロールユニット

Claims (6)

  1. 自車両が走行車線に沿って走行するように、運転者によって操舵される操舵系に付加するトルクである付加トルクを制御する車線維持支援装置において、
    自車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、
    前記走行状態検出手段で検出した走行状態に基づいて、自車両が走行車線の所定位置を走行するために必要な目標操舵角を算出する目標操舵角算出手段と、
    操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記目標操舵角演算手段で算出した目標操舵角と前記操舵角検出手段で検出した操舵角との差分値である操舵角偏差を算出する操舵角偏差算出手段と、
    前記操舵角偏差算出手段で算出した操舵角偏差に応じて、所定の算出ゲインで、自車両が走行車線の所定位置を走行するために必要な第1の付加トルクを算出し、当該第1の付加トルクを操舵系に付加することで操舵角を制御する第1の操舵角制御を行う第1の操舵角制御手段と、
    運転者による操舵意思を検出する操舵意思検出手段と、
    前記操舵意思検出手段で運転者による操舵意思を検出したとき、前記操舵角偏差算出手段で算出した操舵角偏差に応じて、前記第1の付加トルクの算出ゲインより小さい算出ゲインで、前記第1の付加トルクより運転者による操舵操作が反映され易い第2の付加トルクを算出し、当該第2の付加トルクを操舵系に付加することで操舵角を制御する第2の操舵角制御を行う第2の操舵角制御手段と、を備え、
    前記第2の操舵角制御手段は、前記第1の操舵角制御から前記第2の操舵角制御へ移行したとき、前記第2の付加トルクを制御移行直前に前記第1の操舵角制御手段で算出した前記第1の付加トルクと等しく算出するための仮想的な操舵角偏差に応じて、前記第2の付加トルクを算出することを特徴とする車線維持支援装置。
  2. 前記第2の操舵角制御手段は、所定期間内に、前記仮想的な操舵角偏差を、前記操舵角偏差算出手段で算出した操舵角偏差に一致するように連続的に遷移させることを特徴とする請求項1に記載の車線維持支援装置。
  3. 運転者によって前記操舵系に付加される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段を有し、
    前記操舵意思検出手段は、前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクが所定のトルク閾値を超えたとき、運転者による操舵意思を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の車線維持支援装置。
  4. 前記走行状態検出手段は、走行車線状態、走行車線に対する自車両の位置状態、及び自車両の車速を検出し、
    前記目標操舵角算出手段は、前記走行状態検出手段で検出した走行状態に基づいて目標ヨーレートを算出し、当該目標ヨーレートを実現するような目標操舵角を算出することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車線維持支援装置。
  5. 前記第2の操舵角制御手段は、前記操舵角偏差算出手段で算出した操舵角偏差が大きいほど、前記第2の付加トルクを大きく算出すると共に、前記操舵角偏差の増加量に対する前記第2の付加トルクの増加量を、当該操舵角偏差が大きいほど小さく設定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車線維持支援装置。
  6. 自車両が走行車線に沿って走行するように、運転者によって操舵される操舵系に付加するトルクである付加トルクを制御する車線維持支援方法において、
    自車両の走行状態に基づいて、自車両が走行車線の所定位置を走行するために必要な目標操舵角を算出し、算出した目標操舵角と実際の操舵角との差分値である実際の操舵角偏差を算出し、算出した操舵角偏差に応じて、所定の算出ゲインで、自車両が走行車線の所定位置を走行するために必要な第1の付加トルクを算出し、当該第1の付加トルクを操舵系に付加することで操舵角を制御する第1の操舵角制御を行い、運転者による操舵意思を検出したら、直前の第1の操舵角制御で算出した第1の付加トルクと等しい第2の付加トルクを算出するための仮想的な操舵角偏差に応じて、前記第1の付加トルクの算出ゲインより小さい算出ゲインで、前記第1の付加トルクより運転者による操舵操作が反映され易い前記第2の付加トルクを算出し、当該第2の付加トルクを操舵系に付加することで操舵角を制御する第2の操舵角制御を行い、その後、前記実際の操舵角偏差に応じて、前記小さい算出ゲインで前記第2の付加トルクを算出し、当該第2の付加トルクを操舵系に付加することで操舵角を制御する第2の操舵角制御を行うことを特徴とする車線維持支援方法。
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