JP3688638B2 - 磁気抵抗素子の製造方法ならびに磁気部品の製造方法 - Google Patents

磁気抵抗素子の製造方法ならびに磁気部品の製造方法 Download PDF

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Description

(技術分野)
本発明は、磁気抵抗素子の製造方法ならびに磁気部品の製造方法に関する。
【0001】
(背景技術)
TMR(Tunnel Magnetic Resistance)素子は、2つの強磁性層の間にごく薄い絶縁層を挿入した素子であり、絶縁層を流れるトンネル電流が各金属元素Mの磁化相対角度によって変化することを用いた素子である。
【0002】
上記強磁性層に、Feや、FeCo等のスピン分極率の高い強金属元素Mを用いた場合、理論的には35%以上の高い磁気抵抗変化が予想されていた(M.Jullier,Phs.Lett.54A(1975)225)。しかし、これまで高いMR(Magneto Resistance)は実現されなかった。
【0003】
近年、宮崎等が、絶縁層であるアルミナをAlの大気中自然酸化により作製し、高いMR変化率を得たという報告を行った(T.Miyazaki and N.Tezuka, J.Magn.Magn.Mater.139(1995)L231)。そして、この報告等が契機となって、TMRの材料およびTMR素子の開発が活発に行われ始めた。
【0004】
近年報告された、高いMRを示す絶縁層の作製方法は、2つの方法に大別される。1つの方法は、強磁性層上に形成したAl膜を大気中、あるいは純酸素中で酸化させる自然酸化法である。(柘植他、日本応用磁気学会第103会研究会資料,P119(1998))。もう1つの方法は、強磁性層上に形成したAl膜を、酸素プラズマ中でプラズマ酸化するプラズマ酸化法である(J.S.Mooderaet.al.Phy.Rev.Lett.,74,3273(1995))。
【0005】
これらのTMR素子は、高いMRを得るために、Al膜を形成する下部強磁性層として高スピン分極率を示すFeやCoFeといった遷移金属を使用している。
【0006】
TMR素子を流れる電流は、絶縁層を介したトンネル電流が主体であるため、本質的に素子抵抗が高くなる。このため、TMR素子を再生ヘッドやMRAMとして応用する場合、熱雑音によるS/N比の低下や、高速応答時における読み出し回路の限界周波数が低くなるという課題がある。
【0007】
素子抵抗を下げる方法として、アルミナ絶縁層の膜厚を薄くすることが考えられる。しかし、従来のAl膜の酸化プロセスでは、Al膜が薄い場合にはAl膜を超えて、下部の強磁性層まで酸化してしまいやすいという問題があった。その結果、たとえば過剰な酸化反応によって反強磁性体であるFe2O3、CoOなどがAl酸化膜との界面に形成されたとき、トンネル電子がこれらの反強磁性酸化物との相互作用によって外部磁界により磁化方向の情報を失うという課題があった。
【0008】
一方、Al膜を完全に酸化せずにAl膜の一部を残存させると、残存したAl膜を経由するトンネル電子のスピンメモリが失われてMRが低下するという課題があった。
【0009】
また、従来のTMR素子では、大きなバイアスをかけた場合にマグノンの発生などによってMR変化率が大きく低下するという課題があった。
【0010】
また、従来のMR素子は十分な熱安定性をもっておらず、たとえばMRAMとして用いる場合に、CMOSのポストアニール(約250〜400℃)、MRヘッド作製時の加熱工程(約250℃)、あるいは使用時において、MR特性の低下といった熱劣化が生じるという課題があった。
【0011】
(発明の開示)
上記の課題に鑑み、本発明は、接合抵抗が低くMRが高い新たな磁気抵抗素子の製造方法、ならびに磁気部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の磁気抵抗素子の製造方法は以下の構成を有する。
【0013】
すなわち、本発明の製造方法が対象とする磁気抵抗素子は、基板と、第1の磁性層と、高抵抗層と、第2の磁性層とを順に備え、前記高抵抗層は、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間にトンネル電子を流す障壁であり、かつ、酸素、窒素および炭素から選ばれる少なくとも1つの元素L ONC を含み、前記第1の磁性層が、Fe、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1つの金属元素Mと前記金属元素Mとは異なる元素R CP とを含み、前記元素R CP は、前記金属元素Mと比較して前記元素L ONC とエネルギー的に結合しやすい元素であり、元素R CP が、Si、Ge、Al、Ga、Cr、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、MgおよびCaから選ばれる少なくとも1つの元素であり、前記第1の磁性層は、前記金属元素Mと前記元素R CP とを含む合金からなる。
【0014】
そして、本発明の製造方法は、(a)前記基板上に配置された前記第1の磁性層と、前記第1の磁性層上に配置され酸素、窒素および炭素から選ばれる少なくとも1つの元素L ONC を含む前記高抵抗層とを形成する工程(a)と、(b)前記高抵抗層上に前記第2の磁性層を形成する工程(b)とを含む。工程(a)は、前記第1の磁性層を前記基板上に配置する工程(a−1)、前記第1の磁性層の上にAl層を形成する工程(a−2)、および前記Al層を酸化、窒化、または炭化させて前記高抵抗層を形成する工程(a−3)を含む。前記(a−1)の工程において、前記第1の磁性層は、前記元素R CP が前記高抵抗層側で高濃度になるように蒸着法またはスパッタリング法によって形成されることを特徴とする
【0015】
上記構成によれば、元素R CP の堆積速度を制御することによって、第1の磁性層内における元素R CP の濃度分布を容易に制御できる。
【0016】
上記構成の製造方法において、前記金属元素MがFeであり、前記元素R CP がAlおよびSiであることが好ましい
【0017】
上記構成の製造方法において、前記第1の磁性層の前記高抵抗層近傍では、前記元素R CP が、前記元素L ONC と化合物を形成していることが好ましい
【0018】
上記構成の製造方法において、前記第2の磁性層も、Fe、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1つの金属元素Mと前記金属元素Mとは異なる元素R CP とを含むことが好ましい
【0019】
また、本発明の磁気部品の製造方法は、上記の磁気抵抗素子の製造方法によって製造される磁気抵抗素子を含む磁気部品の製造方法であって、上記工程(b)により得られた磁気抵抗素子を200℃以上の温度で熱処理する工程を含む
【0020】
上記製造方法によれば、高いMRとともに各磁気部品の使用形態に応じた任意の素子抵抗を得ることが容易にできる。たとえば、MRAMではRA(レジスタンス・エリア)で数十〜数MΩ・平方ミクロンの抵抗が必要であり、また、磁気ヘッドでは数十ミリ〜数Ω・平方ミクロンの抵抗が必要である。また、比較的表面が粗い場合でも、高いMRを得ることができる。
【0021】
(発明を実施するための最良の形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
(実施形態1)
まず、実施形態1における製造方法によって製造される磁気抵抗素子について一例を説明する。
【0023】
実施形態1の製造方法に係る磁気抵抗素子10について、平面図を図1(a)に示し、図1(a)の線X−Xにおける断面図を図1(b)に示す。
【0024】
図1を参照して、磁気抵抗素子10は、基板11と、基板11上に順次積層された第1の磁性層12、高抵抗層13および第2の磁性層14とを備える。すなわち、磁気抵抗素子10は、高抵抗層13と、高抵抗層13を挟むように配置された第1の磁性層12と第2の磁性層14とを備える。
【0025】
基板11には、様々な基板を用いることができ、具体的には、たとえば、単結晶(マグネシア、サファイア、STOなど)、多結晶(たとえばAlTIC基板など)、アモルファス(シリコンの熱酸化膜)、または導電性基板(または下地上に、アルミナやシリコン酸化物を形成したもの)を用いることが出来る。また、これに限らず、基板11として、第1の磁性層12と第2の磁性層14との間を絶縁状態にする基板であれば他の基板を用いることができる。たとえば、基板11が導電体であっても、第1の磁性層12と第2の磁性層14のトンネル接合部を除く間に、さらに絶縁体を形成すればよい。
【0026】
基板11の表面粗さは1nm以下であることが好ましく、0.5nm以下であることが特に好ましい。なお、基板11は、必要に応じてその表面に、下部電極層や下部磁性層を備えてもよい。ここで下部電極層は、素子の磁気抵抗を測定するための電流および電圧用の電極であり、Pt、Au、Cu、Ru、またはAlなどの低抵抗金属を用いることができる。この場合、下部電極層が、Cuを90原子%以上含む材料からなることが特に好ましい。また、高抵抗層(非磁性層)を形成する前に、下部電極層の表面を平滑にするために、クラスター状のイオン(たとえばArなどの不活性ガスのクラスター)を下部電極層表面に対して低角度で入射させてもよい。ただし、第1の磁性層12が下部電極層を兼ねてもよい。
【0027】
また、下部磁性層には、高スピン分極率を有するペロブスカイト酸化物磁性体、FeCo、またはFeなどを用いることができる。また、スピンバルブ型の磁気抵抗素子を形成する場合には、第1の磁性層12または第2の磁性層14をピン層にするために、Pt、Ir、Cr、Pd、Ru、Reから選ばれる少なくとも1つの元素とMnとの化合物からなる導電性反強磁性材料(たとえば、PtMnやIrMn)を用いればよい。また、シンセテック構造として知られるCo系合金/Ru/Co系合金を用いてもよい。ここで、Ru層の厚さは、0.6〜0.8nmである。また、Co系合金はCoを50%以上含み、たとえば、Co、CoPt、またはCoPtCrなどを用いることができる。
【0028】
第1の磁性層12および第2の磁性層14は、本質的に磁性金属からなり、たとえば、Fe、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1つの金属元素Mを含む。具体的には、たとえば、Fe、Co、Ni、Feco合金、FeNi合金、CoFeNi合金を含む。特に、FeNi合金のニッケル量は、30〜80%、FeCo合金のCo量は10%以上が好ましい。さらに第1の磁性層12では、これらに元素Rcpが含まれることが好ましい。また、これらの材料のほか、AMnSb(ただし、AはNi、CuおよびPtから選ばれる少なくとも1つ)を用いてもよい。さらに、LaSrMnO、CrO2、Fe3O4のように、酸化物であっても高いスピン分極率を示す材料であればよい。
【0029】
高抵抗層(非磁性層)13は、第1の磁性層12と第2の磁性層14との間にトンネル電子を流す障壁である。なお、高抵抗層13は、トンネル電子とともに熱電子を流してもよい。磁気抵抗素子10では、第1の磁性層12および第2の磁性層14に対して、それぞれ電流端子と電圧端子とを接続し、4探針法で磁気抵抗を測定する。磁気抵抗素子10では、第1の磁性層12と第2の磁性層14とが交差した部分にトンネル電流が流れる。以下、この交差部分の面積を素子断面積と呼ぶ場合がある。
【0030】
高抵抗層13は、酸素、窒素および炭素から選ばれる少なくとも1つの元素LONCを構成元素として含む。具体的には、高抵抗層13として、酸化物、窒化物および炭化物から選ばれる少なくとも1つを含む高抵抗層を用いることができる。より具体的には、高抵抗層13として、たとえば、Al23、AlN、BN、SiO2、Si34、SiC、(AlGa)N、(AlB)Nなどの少なくとも1eV以上の高バンドギャップを有する高抵抗材料からなる層を用いることができる。また、これらの複合物からなる層またはこれらが多層化された層を用いてもよい。これらの材料の酸素、窒素、および炭素量は、化学両論比から5%程度ずれていてもよい。また、非磁性層13は、非磁性金属または磁性金属材料からなる層(厚さが1nm以下)を高抵抗材料の間に挟んだ多層構造としてもよい。また、高抵抗層13には、非磁性金属からなる層(厚さ0.5nm以下)が挟まれていてもよい。高抵抗層13の厚さは、たとえば、0.2nm〜5nmであり、特に0.5nm〜2.5nmであることが好ましい。
【0031】
磁気抵抗素子10では、第1の磁性層12(層A)が、Fe、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1つの金属元素Mと、上記金属元素Mとは異なる元素RCPとを含む。具体的には、たとえば、層Aとして、FeとSiとAlとからなる磁性層や、積に示した磁性材料と元素RCPとを含む層を用いることができる。層Aは、元素RCPを0.1原子%以上の含有量で含むことが好ましく、10原子%以上の含有量で含むことが特に好ましい。層Aは、元素RCPを金属元素Mと固溶した状態で含んでも、非固溶状態で含んでもよい。層A中の元素RCPは、元素LONCと結合して化合物を形成していてもよい。
【0032】
また、層Aは、元素RCPを高抵抗層13側で高濃度になるように含むことが好ましい。この場合、元素RCPの濃度は高抵抗層13側に向かって徐々に増えてもよい。また、層Aが元素RCPを含む層と元素RCPを含まない層との2層構造によって構成されてもよい。
【0033】
また、第2の磁性層14は、高抵抗層13を形成したのちに形成され、高抵抗層13のうち少なくとも第2の磁性層14と接する部分が、アルミニウム酸化物を主成分としてもよい。この場合、第1の磁性層12が正、第2の磁性層14が負となるように電流を流すことが好ましい。なお、アルミニウム酸化物には、たとえば、Al23を用いることができる。
【0034】
また、高抵抗層13の少なくとも一部は、金属元素Mと元素RCPとを含む膜を形成したのち、その膜の表面を元素LONCと反応させることによって形成されてもよい。この場合、第1の磁性層12が負、第2の磁性層14が正となるように電流を流すことが好ましい。
【0035】
元素RCPは、金属元素Mと比較して、元素LONCとエネルギー的に結合しやすいことを特徴とする。元素RCPには、たとえば、(1)1分子の酸素と結合して酸化物を形成する際の自由エネルギーが金属元素Mよりも負に大きい元素、(2)1分子の窒素と結合して窒化物を形成する際の自由エネルギーが金属元素Mよりも負に大きい元素、(3)1原子の炭素と結合して炭化物を形成する際の自由エネルギーが金属元素Mよりも負に大きい元素を用いることができる。具体的には、元素RCPとして、Si、Ge、Al、Ga、Cr、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、MgおよびCaから選ばれる少なくとも1つの元素を用いることができる。
【0036】
上記磁気抵抗素子10では、層A中の元素RCPが、高抵抗層13を形成する際や素子の使用時において、高抵抗層13側から拡散してくる元素LONCを捕獲して化合物を形成する。これによって、磁気抵抗素子10では、層A中でFe23やCoOなどの反強磁性体、またはFe4NやFeCなどのスピン分極率の小さい磁性体が発生することを防止できる。このため、磁気抵抗素子10によれば、高抵抗層を十分に薄くすることができ、接合抵抗が低く磁気抵抗が高い素子が得られる。
【0037】
なお、図1に示した磁気抵抗素子は一例であり、本発明の磁気抵抗素子は他の構造を有してもよい。磁気抵抗素子10とは構造が異なる一例として、磁気抵抗素子10aの平面図を図2(a)に示す。また、図2(a)の線Y−Yにおける断面図を図2(b)に示す。
【0038】
図2を参照して、磁気抵抗素子10aは、基板11と、基板11上に順次積層された第1の磁性層12aと高抵抗層13aと第2の磁性層14とを備える。第1の磁性層12aと第2の磁性層14とは、高抵抗層13aを挟むように配置されている。
【0039】
基板11および第2の磁性層14については、磁気抵抗素子10と同様であるため、重複する説明を省略する。高抵抗層13aは、第1の磁性層12aの一部を元素LONCと反応させることによって形成された高抵抗層であり、高抵抗層13と同様の機能を有する。すなわち、磁気抵抗素子10aにおいては、高抵抗層13の少なくとも一部は、金属元素Mと元素RCPとを含む膜を形成したのち、その膜の表面を元素LONCと反応させることによって形成されている。
【0040】
磁気抵抗素子10aでは、第1の磁性層12aが負、第2の磁性層14が正となるように電流を流すことが好ましい。
【0041】
上記磁気抵抗素子10aによれば、磁気抵抗素子10と同様の効果が得られる。
【0042】
次に、本実施形態における磁気抵抗素子の製造方法について一例を説明する。なお、上述の磁気抵抗素子に関して説明した部分および元素と同様の部分および元素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0043】
本実施の形態における製造方法は、
(a)基板11上に配置された第1の磁性層12aと、第1の磁性層12a上に配置され酸素、窒素および炭素から選ばれる少なくとも1つの元素LONCとを含む高抵抗層13とを形成し、
(b)高抵抗層13上に第2の磁性層14を形成することを含む。そして、第1の磁性層12aは、Fe、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1つの金属元素Mと金属元素Mとは異なる元素RCPとを含む。元素RCPは、上述したように、上記金属元素Mと比較して上記元素LONCとエネルギー的に結合しやすい元素である。なお、第2の磁性層14も、元素RCPを含むことが好ましい。
【0044】
以下、上記製造方法について、さらに具体的に4つの方法(参考例を含む)を挙げて説明する。なお、図3〜図6では、第1の磁性層と第2の磁性層とが交差している部分のみを図示する。
【0045】
(第1の方法)
第1の方法について、製造工程の一例を図3に示す。第1の方法では、まず、図3(a)に示すように、基板11上に、金属元素Mを含む磁性層32を形成する。具体的には、磁性層32には、Fe、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1つからなる層を用いることができる。磁性層32は、たとえば、メタルマスクを用いた蒸着法、スパッタリング法、MBE、レーザーアブレーション法、高周波マグネトロンスパッタリング、直流スパッタリング、対向ターゲットスパッタリング、またはイオンビームスパッタリングなどの成膜法によって形成できる。なお、以下の磁性層や高抵抗層などの各層も同様の成膜法で形成できる。
【0046】
その後、図3(b)に示すように、磁性層32上に、元素RCPを含む層Bを形成する。層Bは、たとえば、四角状の貫通孔を有するメタルマスクを用いて形成できる。
【0047】
その後、図3(c)に示すように、層Bの表面側の一部を元素LONCと反応させて高抵抗層13を形成する。すなわち、層Bの表面側の元素が、酸化、窒化または炭化されることによって、高抵抗層である高抵抗層13が形成される。層Bの表面を元素LONCと反応させるには、たとえば、元素LONCを含むガス雰囲気中で層Bを処理すればよい。元素LONCを含むガス雰囲気としては、酸素ガス雰囲気、酸素プラズマ雰囲気、窒素ガス雰囲気、窒素プラズマ雰囲気、酸素ラジカル雰囲気、窒素ラジカル雰囲気、オゾン雰囲気などが挙げられる。図3(c)の工程では、ガス種、ガス分圧、プラズマ密度、および基板温度などを制御して処理を行う。
【0048】
その後、図3(d)に示すように、高抵抗層13が形成された基板を50℃以上350℃以下の温度で熱処理することによって、高抵抗層13とならなかった未反応の元素RCPと磁性層32の金属元素Mとを相互に拡散させ、高抵抗層13側になるほど元素RCPを高濃度に含む第1の磁性層32aを形成する。
【0049】
その後、図3(e)に示すように、高抵抗層13上に第2の磁性層14を形成する。第2の磁性層14は、磁性層32と同様の方法で形成できる。このようにして、上述の磁気抵抗素子10を製造できる。
【0050】
なお、第1の方法では、基板の熱処理(元素RCPの拡散工程)を、第2の磁性層14を形成したのちに行ってもよい。また、磁性層32を形成する段階から基板を加熱しておき、層Bを形成する際に元素RCPを磁性層32内に拡散させてもよい。この場合には、層Bの最表面は真空装置内の残留酸素や残留水分などによって酸化して高抵抗層を形成する。したがって、実質的には高抵抗層を形成する工程と、未反応のRCPからなる層を形成する工程と、未反応のRCPを拡散させる工程とが同時に進行することになる。これらは、すべて第1の方法に含まれる。また、これらの工程の間に、素子形成のための微細加工を行ってもよい。
【0051】
(第2の方法)
第2の方法では、まず、図4(a)に示すように、基板11上に、第1の磁性層12aを形成する。
【0052】
その後、図4(b)に示すように、第1の磁性層12a上に、厚さが0.1nm〜2nmであり、元素RCPを含む層Cを形成する。
【0053】
その後、図4(c)に示すように、層Cを元素LONCと反応させて高抵抗層13を形成する。すなわち、層C中の元素が、酸化、窒化または炭化されることによって、高抵抗層である高抵抗層13が形成される。この工程は図3(c)の工程と同様であるが、第2の方法では、層Cの全体を元素LONCと反応させる。
【0054】
その後、図4(d)に示すように、高抵抗層13上に第2の磁性層14を形成する。このようにして、上述の磁気抵抗素子10を製造できる。
【0055】
なお、第1の磁性層12aは、高抵抗層13側になるほど元素RCPを高濃度で含むことが好ましい。このような第1の磁性層12aを形成するには、図4(b)または(c)の工程において、元素RCPを第1の磁性層12aに拡散させればよい。
【0056】
なお、第1の磁性層12aは、各元素の堆積速度を変えて蒸着またはスパッタリングすることによって、元素RCPが高抵抗層13側で高濃度になるように形成してもよい(以下の製造方法において同様である)。
【0057】
(第3の方法)
第3の方法では、まず、図5(a)に示すように、基板11上に第1の磁性層12aを形成する。この工程については、図4(a)の工程と同様である。
【0058】
その後、図5(b)に示すように、元素LONCを含むガス雰囲気下で元素RCPを第1の磁性層12a上に堆積させることによって、高抵抗層13を形成する。元素LONCを含むガス雰囲気としては、酸素ガス雰囲気、酸素プラズマ雰囲気、窒素ガス雰囲気、窒素プラズマ雰囲気、酸素ラジカル雰囲気、窒素ラジカル雰囲気、オゾン雰囲気などが挙げられる。
【0059】
図5(b)の工程では、元素RCPを第1の磁性層12aに拡散させ、第1の磁性層12a内において高抵抗層13側になるほど元素RCPが高濃度になるようにしてもよい。
【0060】
その後、図5(c)に示すように、第2の磁性層14を形成する。この工程は、図4(d)の工程と同様である。このようにして、上述の磁気抵抗素子10を製造できる。
【0061】
(第4の方法)
第4の方法では、まず、図6(a)に示すように、基板11上に金属元素Mと元素RCPとを含む磁性層62を形成する。磁性層62は、第1の磁性層12aと同様の方法で形成できる。
【0062】
その後、図6(b)に示すように、磁性層62の表面を元素LONCと反応させることによって、第1の磁性層12aと高抵抗層13とを形成する。すなわち、図6(b)の工程では、磁性層62の表面を酸化、窒化または炭化することによって、高抵抗層である高抵抗層13を形成する。磁性層62の表面を元素LONCと反応させるには、図4(c)の工程と同様に、磁性層62を、元素LONCを含むガス雰囲気中で処理すればよい。
【0063】
図6(b)の工程では、元素RCPを第1の磁性層12aに拡散させ、第1の磁性層内において高抵抗層13側になるほど元素RCPを高濃度になるようにすることが好ましい。この場合、磁性層62の表面を元素LONCと反応させる際に、磁性層62の表面を50℃以上800℃以下(好ましくは、100℃〜500℃)の温度に加熱することが好ましい。
【0064】
その後、図6(c)に示すように、第2の磁性層14を形成する。この工程は、図4(d)の工程と同様である。このようにして、上述の磁気抵抗素子10aを製造できる。
【0065】
記製造方法では、高抵抗層13を形成する際に、高抵抗層13側から第1の磁性層12a側に拡散する元素LONCが第1の磁性層12a中の元素RCPに捕獲される。したがって、上記製造方法によれば、接合抵抗が小さく磁気抵抗が大きい磁気抵抗素子を製造できる。
【0066】
なお参考例として、元素RCPが高抵抗層13側で高濃度である第1の磁性層12aは、以下の方法でも形成できる。まず、第1の磁性層12aと、高抵抗層13とを形成する。その後、ガス種、ガス分圧、プラズマ密度等、基板温度などを制御した環境下で、高抵抗層13の表面を酸化または窒化し、酸素イオンまたは窒素イオンの化学ポテンシャルの勾配を形成する。これによって、第1の磁性層12a内において、高抵抗層13側になるほど元素RCPが高濃度になるようにできる。
【0067】
また、上記実施形態では、メタルマスクを用いる製造方法について説明したが、半導体等で用いられる一般的な微細加工技術を用いてもよい。このような微細加工技術を用いることによって、磁気再生ヘッドやMRAM素子に用いられる磁気抵抗素子を製造できる。
【0068】
(実施形態
実施形態では、本発明の磁気部品の製造方法について説明する。
【0069】
本発明の製造方法に係る磁気部品は、磁気抵抗素子を含む。そして、その磁気抵抗素子は、実施形態1で説明した磁気抵抗素子を200℃以上の温度で熱処理した素子である。
【0070】
(実施例)
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【0071】
(実施例1)
実施例1では、図3に示した方法で磁気抵抗素子10を製造した一例について説明する。ただし、実施例1では、第2の磁性層を形成したのちに熱処理を行った層B中の元素RCPを拡散させた。
【0072】
実施例1では、素子断面積が20×20、50×50、100×100、200×200(μm×μm)の4種類の素子を作製した。なお、磁性層および層Bは、メタルマスクを用いたRFマグネトロンスパッタリングによって形成した。スパッタ装置の成膜時における真空度は6.65×10-4Pa(5×10-6Torr)とした。また、各層の成膜速度は10nm/min程度とした。
【0073】
実施例1では、基板として、熱酸化によって表面にSiO2膜(膜厚300nm)が形成されたSi基板を用いた。
【0074】
(1)上記Si基板上にメタルマスクを配置し、磁性層32としてFeからなる膜(膜厚20nm)を形成した。その後、スパッタ装置を大気暴露してメタルマスクを交換した。
【0075】
(2)磁性層32上に、層Bとして、Siからなる層(層厚0.5nm)とAlからなる層(層厚1.0nm)とを順次成膜した。
【0076】
(3)層Bが形成された基板を、純酸素雰囲気下、基板温度60℃で1時間放置し、層Bの表面を酸化した。これによって、高抵抗層13を形成した。その後、スパッタ装置を大気暴露してメタルマスクを交換した。
【0077】
(4)高抵抗層13上に、第2の磁性層14として、Fe50Co50からなる層(層厚20nm)を形成した。ここで、MR測定(印加磁界:±79600A/m(±1000Oe))を行った。
【0078】
(5)第2の磁性層14が形成された基板を、真空中250℃で1時間熱処理した。このようにして得られた磁気抵抗素子について、MR測定(印加磁界:±79600A/m(±1000Oe))を行った。
【0079】
工程(4)終了時に測定したMR曲線は、約2390A/m(約30Oe)で急激にMRが増大し、23900A/m(300Oe)でMRが急激に減少していた。これは、VSM(Vibration sample magnetometer)によるこの素子のMH曲線の2段ヒステリシスル−プに対応しており、典型的な保磁力差型の傾向を示した。ここで、2390A/m(300Oe)はFeの保磁力、23900A/m(300Oe)はCoFe合金の保磁力にそれぞれ対応している。±79600A/m(±1000Oe)と零磁場でのMR比は、何れの素子断面積でも約13〜16%程度であった。また、いずれの素子断面積でも、1μm×1μmの素子断面積で規格化した素子抵抗値は、1MΩ程度であった。
【0080】
工程(5)終了時に測定したMR曲線は、MRの立ち上がり磁界およびたち下がり磁界が減少しており、それぞれ、1990A/m(25Oe)および21500A/m(270Oe)であった。また、いずれの素子断面積でも、MR比は20〜23%程度まで上昇した。また、工程(5)終了後は、無磁界中での素子抵抗が300KΩまで減少した。
【0081】
工程(5)の熱処理前後における高抵抗層の界面を、オージェデプスプロファイルで観察した。その結果、成膜直後には急峻であったFeとSiとの界面が、熱処理後には、高抵抗層側でSiが高濃度になるようにブロードとなっていることが分かった。また、熱処理前後における酸化状態の変化をXPSで調べたところ、熱処理前、熱処理後ともに、Al酸化物のピークのみが観察された。さらに、熱処理前後における結合状態の変化をX線回折法によって調べたところ、成膜直後のFeのピークが、熱処理後にはFeSi合金側にシフトしていることが分かった。
【0082】
これらの結果から、成膜直後の界面では少なくともSiが第1の磁性層と高抵抗層との界面に残存しており、熱処理することによって、Siが第1の磁性層12のFeと相互拡散したことがわかった。
【0083】
熱処理前後におけるMRの変化は、熱処理前における未反応のSiによるスピンメモリの消失と、熱処理による高抵抗層界面のスピン分極率の向上とによってもたらされたものと考えられる。
【0084】
以上のように、実施例1の磁気抵抗素子の製造方法では、素子抵抗が低く、MRが高い磁気抵抗素子が得られた。
【0085】
(実施例2)
実施例2では、図4で説明した製造方法によって磁気抵抗素子10を製造した一例について説明する。
【0086】
実施例2では、素子断面積が20×20、50×50、100×100、200×200(μm×μm)の4種類の素子を作製した。なお、磁性層および層Bは、メタルマスクを用いたRFマグネトロンスパッタリングによって形成した。スパッタ装置の成膜時における真空度は6.65×10-4Pa(5×10-6Torr)とした。また、各層の成膜速度は10nm/min程度とした。
【0087】
実施例2では、基板として、熱酸化によって表面にSiO2膜(膜厚300nm)が形成されたSi基板を用いた。
【0088】
(1)上記Si基板上にメタルマスクを配置し、第1の磁性層12aとして、Fe(85質量%)−Si(10質量%)−Al(5質量%)からなるFeSiAl層(層厚20nm)を形成した。そして、スパッタ装置を大気暴露してメタルマスクを交換した。
【0089】
(2)FeSiAl層上に、層CとしてAl層(層厚1.0nm)を形成した。
【0090】
(3)Al層が形成された基板を、純酸素雰囲気下、基板温度60℃で24時間放置することによってAl層を酸化し、高抵抗層を形成した。その後、スパッタ装置を大気暴露してメタルマスクを交換した。
【0091】
(4)高抵抗層上に、第2の磁性層14として、Fe50Co50からなる層(層厚20nm)を形成した。
【0092】
なお、実施例2では、比較例として、磁性層32であるFeSiAl層の代わりにFeからなる層(層厚20nm)を用いた磁気抵抗素子も作製した。このようにして得られた磁気抵抗素子について、MR測定(印加磁界:±79600A/m(±1000Oe))を行った。
【0093】
磁性層32としてFeSiAl合金を用いた素子、およびFeを用いた素子のいずれも、得られたMR曲線は、VSMのヒステリシス曲線に対応した保磁力差型であることがわかった。磁性層32としてFeを用いた素子では、いずれの素子断面積でも、±79600A/m(±1000Oe)でのMRと零磁場でのMRとの比が7%程度であった。一方、磁性層32としてFeSiAl合金を用いた素子では、MRの比は20%程度と高い値を示した。また、FeSiAl合金を用いた素子では、いずれの素子でも規格化抵抗値が約2MΩであり、比較的低い抵抗値を示した。
【0094】
それぞれの素子について、オージェデプスプロファイルを観察した。その結果、磁性層32にFeを用いた素子では、高抵抗層であるアルミニウム酸化物と第1の磁性層(主にFe)との界面から、酸素が第1の磁性層側にブロードに広がっていた。一方、磁性層32にFeSiAlを用いた素子では、アルミニウム酸化物と第1の磁性層との界面近傍に、組成勾配を有するAlとSiとが高濃度に観察された。そして、SiやAlが高濃度の分布している深さと同じ深さに高濃度の酸素が観察され、それより深い場所では比較例に比べて酸素がシャ−プに減少していることが観察された。
【0095】
また、XPSで酸化状態を調べたところ、Feを用いた比較例では、Fe酸化物が観察された。これに対して、FeSiAlを用いた磁気抵抗素子では、Si酸化物とAl酸化物のみが観察された。
【0096】
これらの結果から、磁性層であるFeSiAlと高抵抗層であるアルミニウム酸化物との界面では、磁性層内への酸素の拡散が、SiおよびAlによって抑制され、かつ、スピン反転の原因になると思われる金属元素Mの酸化が抑制されることがわかった。このように、FeSiAlのように元素RCPを含有する磁性層を用いると、FeSiAlの分極率はFeの分極率よりも低いにも関わらず、非常に高いMRを実現できると思われる。
【0097】
以上のように、本発明の磁気抵抗素子によれば、素子抵抗が低く、MRが高い磁気抵抗素子を実現することが分かった。また、上記製造方法で製造した磁気抵抗素子は、素子特性のばらつきが10個の素子の平均で10%程度と非常に優れていた。
【0098】
なお、実施例2では第1の磁性層としてFeSiAlを用いた。しかし、金属元素Mと元素RCPを含む第1の磁性層であれば、他の元素を用いても同様の効果が得られる。
【0099】
(実施例3)
実施例3では、マグネトロンスパッタ法による薄膜形成と、フォトリソグラフィ・イオンミリングによるパターン加工を用いて素子を形成した一例について説明する。
【0100】
実施例3では、構成が異なる6種類の磁気抵抗素子を形成した。実施例3で形成した素子の構成を、表1および表2に示す。
【0101】
【表1】
Figure 0003688638
【0102】
【表2】
Figure 0003688638
【0103】
なお、第1の磁性層には、Fe(85質量%)−Si(10質量%)−Al(5質量%)からなるFeSiAl合金を用いた。また、サンプルX6では、第2の磁性層と層間絶縁層との間に、Ir20Mn80(原子%)からなるピン層(層厚25nm)を形成した。
【0104】
実施例3で製造した磁気抵抗素子70について、機能部の拡大図を図7(a)に示す。図7(a)を参照して、磁気抵抗素子70は、基板71と、基板71上に順次形成された第1の磁性層72、高抵抗層73、第2の磁性層74および上部電極75と、高抵抗層73および第2の磁性層74の側面に配置された層間絶縁層76とを備える。第1の磁性層72と第2の磁性層74との配置を示す平面図を、図7(b)に示す。
【0105】
実施例3の製造方法について、製造工程を図8に示す。なお、実施例3の製造方法では、薄膜の形成にマグネトロンスパッタリング法を用いた。薄膜形成時のスパッタ装置の真空度は、約4×10-4Pa(3×10-6Torr)以下とした。また、成膜速度は、0.1〜0.2nm/sec程度とした。
【0106】
まず、基板71上に、第1の磁性層72とAlからなるAl層とを順次形成した。なお、基板71には、表面にSiO2が形成されたSi基板を用いた。その後、スパッタ装置内に酸素を導入してAl層を酸化させ、高抵抗層73を形成した。その後、図8(a)に示すように、高抵抗層73上に第2の磁性層74を形成した。
【0107】
次に、フォトリソグラフィによって接合部の形状にレジストを残したのち、接合部をのぞく部分をミリングすることによって、図8(b)に示すように、高抵抗層73を越えて第1の磁性層72の途中まで除去した。
【0108】
次に、図8(c)に示すように、リフトオフ法によってSiO2からなる層間絶縁層76を形成し、接合部の側面を絶縁した。
【0109】
次に、図8(d)に示すように、必要に応じて接合部表面をクリーニングしたのち、上部電極75を形成した。なお、上部電極75は、図8(b)の工程と図8(c)の工程との間に形成してもよい。
【0110】
図8では、第1の磁性層72が下部電極として機能する磁気抵抗素子について説明した。しかし、第1の磁性層の下にさらに下部電極を形成しても同様の結果が得られた。この場合、図8(b)の工程において、第1の磁性層を越えて下部電極の途中までミリングによって除去しても同様の効果が得られた。
【0111】
上記製造方法によって製造された磁気抵抗素子について、代表的なMR曲線であるサンプルX2のMR曲線を図9に示す。また、熱処理前後におけるサンプルX1の素子について、MR値の印加バイアス依存性を示すグラフを図10に、接合抵抗の印加バイアス依存性を示すグラフを図11に示す。また、熱処理前後におけるサンプルX2の素子について、MR値の印加バイアス依存性を示すグラフを図12に、接合抵抗の印加バイアス依存性を示すグラフを図13に示す。ここで、熱処理は、多層膜成膜後、または素子形状に加工したのちに行った。多層膜成膜直後に熱処理を行う場合は、79600A/m(1000Oe)以上の磁界をかけて真空中で行うことが好ましい。また、素子形状に加工したのちに熱処理を行う場合は、反磁界の影響を考え、398000A/m(5000Oe)以上の磁界をかけて真空中で行うことが好ましい。なお、図10〜図13に示したグラフは、素子断面積が3μm×3μmのものである。また、図10〜図13のグラフでは、第2の磁性層から第1の磁性層に電流を流したとき(第1の磁性層から第2の磁性層に電子を流したとき)の印加バイアスを負としている。従来の素子とは異なり、接合抵抗にはわずかな非対称性がみられるのみで、ピーク値のシフトはみられないにもかかわらず、MR値にはMRピーク値の負バイアス方向へのシフト、および、負バイアスでのMR値の低下の抑制が観察された。その結果、MR値が半減するバイアス値は500mVを越えるという優れた特性が得られた。表1および表2中のサンプルX1〜X6のいずれにおいても、同様の結果が得られた。サンプルX1〜X6について、第1の磁性層から第2の磁性層へバイアスを印加した場合において、MR値が半減するバイアスを表3に示す。
【0112】
【表3】
Figure 0003688638
【0113】
なお、第1の磁性層として、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1つの元素を基本組成として、この中にAl、Si、Ge、Ga、Cr、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、MgおよびCaから選ばれる少なくとも1つの元素を0.5質量%以上添加した磁性層を用いても同様の効果が得られた。また、高抵抗層73となるAl層の代わりに、Si、Ge、Ga、Cr、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、MgおよびCaから選ばれる少なくとも1つの元素からなる層を用いても、同様の効果が得られた。
【0114】
(実施例4)
実施例4では、図6で説明した製造方法で磁気抵抗素子を製造した一例について説明する。
【0115】
実施例4では、素子断面積が20×20、50×50、100×100、200×200(μm×μm)の4種類の素子を作製した。また、各層は、RFマグネトロンスパッタリングを用いて形成した。成膜時におけるスパッタ装置の真空度は、6.65×10-4Pa(5×10-6Torr)とした。また、各層の成膜速度は10nm/min程度とした。
【0116】
実施例4では、基板として、熱酸化によって表面にSiO2膜(膜厚300nm)が形成されたSi基板を用いた。
【0117】
(1)Si基板上に、メタルマスクを配置し、磁性層62としてFe(85質量%)−Si(10質量%)−Al(5質量%)からなるFeSiAl層を形成した。成膜時の基板温度は450℃とした。FeSiAl層の層厚は20nmとした。
【0118】
(2)スパッタ装置内に、13.3Pa(100mTorr)の純酸素を導入した。そして、純酸素雰囲気下で基板温度450℃のまま0.5時間基板を放置した。これによって、FeSiAl層の表面を酸化し、高抵抗層である高抵抗層を形成した。その後、スパッタ装置を大気暴露してメタルマスクを交換した。
【0119】
(3)第2の磁性層として、Ni80Fe20からなるNiFe層(層厚20nm)を室温で形成した。このようにして、本発明の磁気抵抗素子を形成した。得られた素子について、MR測定(印加磁界:±79600A/m(±1000Oe))を行った。
【0120】
工程(3)終了時に測定したMR曲線は、FeSiAlのヒステリシス曲線とNiFeのヒステリシス曲線とに対応した保磁力差型であることがわかった。上記素子では、MR比が27〜30%という非常に高い値であった。また、素子抵抗は、規格化抵抗値で30kΩという非常に低い値を示した。
【0121】
上記素子のMR曲線の一例を、図14に示す。MR曲線の立ち上がり、たち下がりはいずれもソフトであり、互いの磁性膜のMR曲線から、FeSiAlとNiFeとの磁化が完全に反平行になっていないと思われるのにも関わらず非常に高いMRを実現していることがわかる。また、FeSiAlおよびNiFeは、ともにスピン分極率がFeやFeCoに比べて低いにも関わらず、実施例1または実施例2よりもさらに高いMRと低い抵抗値が得られた。
【0122】
上記素子についてオージェデプスプロファイルを観察したところ、FeSiAl層とNiFe層との界面に、SiとAlとが特に高濃度になったFeSiAl層(第1の磁性層)の酸化物層が観察された。また、酸素濃度がこの層で急峻に変化していた。SiとAlの組成比の変化を考慮すると、高抵抗層である高抵抗層には、FeSiAl層内からAlが特に拡散したものと思われる。
【0123】
これらの結果から、FeSiAlのように、元素RCPを含む磁性層を自然酸化(または熱酸化)することによって高抵抗層が形成でき、優れたMRと低い素子抵抗とを備えるTMR素子が得られることがわかった。
【0124】
なお、実施例4では、第1の磁性層としてFeSiAlを用いたが、Fe、CoおよびNiから選ばれる少なくとも1つの金属元素Mと、Si、Ge、Al、Ga、Cr、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、MgおよびCaから選ばれる少なくとも1つの元素RCPとを備える磁性層であれば同様の効果が得られる(以下の実施例でも同様である)。
【0125】
また、実施例4では、基板を加熱しながらFeSiAl層を形成した。しかし、FeSiAl層を室温で形成したのち、50℃以上800℃以下の温度に基板を加熱した状態で、FeSiAl層を酸化、窒化または炭化してもよい。酸化や窒化は、基板加熱を行った状態で、酸素雰囲気、酸素プラズマ雰囲気、窒素雰囲気、または窒素プラズマ雰囲気で処理することによって行える。このときのガス圧力は、たとえば、13.3mPa(0.1mTorr)〜1.11×105Pa(1気圧)である。この方法でも、実施例4と同様にトンネル接合が形成できる(以下の実施例でも同様である)。
【0126】
(実施例5)
実施例5では、実施形態2で説明した製造方法によって磁気抵抗素子を製造した一例について説明する。なお、実施例5では、実施例1と同様の成膜方法で各層を形成した。また、基板は、実施例1と同様のSi基板を用いた。また、実施例5の素子断面積は、100μm×100μmとした。
【0127】
(1)Si基板上にメタルマスクを配置し、第1の磁性層12aとして、Fe(85質量%)−Si(10質量%)−Al(5質量%)からなるFeSiAl層を形成した。成膜時の基板温度は430℃とした。FeSiAl層の層厚は20nmとした。
【0128】
(2)スパッタ装置内に、13.3Pa(100mTorr)の純酸素を導入した。そして、純酸素雰囲気下で基板温度430℃のまま1時間基板を放置した。これによって、FeSiAl層の表面を酸化し、高抵抗層である高抵抗層を形成した。その後、スパッタ装置を大気暴露してメタルマスクを交換した。
【0129】
(3)第2の磁性層として、Co50Fe50からなるCoFe層(層厚11nm)を室温で形成した。このようにして得られた磁気抵抗素子について、MR測定(印加磁界:±79600A/m(±1000Oe))を行った。
【0130】
工程(3)終了時に測定したMR曲線は、FeSiAlのヒステリシス曲線とCoFeのヒステリシス曲線とに対応した保磁力差型であることがわかった。工程(3)終了時の段階では、100平方ミクロンの接合抵抗が、電極を兼ねるFeSiAlのシートに対して十分に高くないために、MR曲線には形状効果が含まれていた。この素子を250℃で熱処理を行うと、接合抵抗が増加し、正常なトンネル磁気抵抗が測定できた。熱処理後のMRは20%程度と非常に高い値を示した。
【0131】
熱処理後のオージェデプスプロファイルを図15に示す。また、図15の縦軸を拡大した図を図16に示す。図に示すように、サンプルの最表面は大気と触れているために、CoFeが酸化しているが、深さ方向(基板方向であり、グラフの右側)に向かって、FeSiAlの表面酸化層が確認できる。図16では、高抵抗層を形成する酸素の強度分布に対して、特にAlの強度分布のピークがやや基板側にシフトし、FeSiAl層内では減少しているように観察できる。これは、Alが、主にFeSiAl層内から拡散してきているためであると思われる。
【0132】
これらの結果から、FeSiAlのように元素RCPを含有する磁性層を自然酸化(あるいは熱酸化)させることによって、高抵抗層が形成され、優れたMRと低い素子抵抗を備えるTMR素子が得られることがわかった。
【0133】
(実施例6)
実施例6では、実施例5の磁気抵抗素子について、バイアスの印加方向(電流の方向)を変えることによって、MR特性のバイアス依存性を調べた。図17に結果を示す。
【0134】
図17において、FeCo側からFeSiAl側に電流を流した場合を正バイアス側としている。逆に、FeSiAl側からFeCo側に電流を流した場合を負バイアス側としている。また、図17の縦軸は、規格化したMRを示している。
【0135】
実施例5の磁気抵抗素子では、実施例3と異なり、FeSiAl層側(第1の磁性層12a側)から電流を流した方が、高いバイアス安定性が得られた。
【0136】
(実施例7)
実施例7では、実施例5の磁気抵抗素子をさらに熱処理することによって、MRの熱処理温度依存性を調べた。熱処理は、無磁界かつ真空中で行った。
【0137】
測定結果を図18に示す。グラフの縦軸は、規格化したMRを示している。また、グラフの横軸は、熱処理温度を示している。図18ではMRを規格化している。従来のTMR素子とは異なり、400℃という高温において熱処理した後も、トンネル構造が維持されている。このことから、本発明の製造方法により製造される磁気抵抗素子は高い熱安定性を持つことが分かった。
【0138】
なお、本発明の製造方法により製造される磁気抵抗素子は200℃以上の熱処理でさらにMR比を向上させ、または、高温でも熱安定性を維持するという特徴を示した。
【0139】
以上本発明の実施の形態について例を挙げて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想に基づき他の実施形態に適用することができる。
【0140】
(産業上の利用可能性)
発明の磁気抵抗素子の製造方法では、高抵抗層を形成する際に、高抵抗層から第1の磁性層に拡散する酸素、窒素または炭素などが、元素RCPによって捕獲される。したがって、本発明の製造方法によれば、抵抗が低く磁気抵抗変化率が高い磁気抵抗素子を容易に製造できる。また、本発明の製造方法によれば、ばらつきが少ない素子を高い生産性で生産できる。
【図面の簡単な説明】
第1図の(a)は、本発明の製造方法により製造される磁気抵抗素子について一例を示す平面図である。第1図の(b)は、第1図(a)の磁気抵抗素子の断面図である。
第2図の(a)は、本発明の製造方法により製造される磁気抵抗素子について他の一例を示す平面図である。第2図の(b)は、第2図(a)の磁気抵抗素子の断面図である。
第3図は、本発明の磁気抵抗素子の製造方法について一例を示す工程図である。
第4図は、本発明の磁気抵抗素子の製造方法について他の一例を示す工程図である。
第5図は、本発明の磁気抵抗素子の製造方法についてその他の一例を示す工程図である。
第6図は、本発明の磁気抵抗素子の製造方法についてその他の一例を示す工程図である。
第7図の(a)は、本発明の製造方法により製造される磁気抵抗素子についてその他の一例を示す一部断面図である。第7図の(b)は、第7図(a)の磁気抵抗素子の磁性層の配置を示す模式図である。
第8図は、第7図の磁気抵抗素子の製造方法を示す工程図である。
第9図は、本発明の製造方法により製造される磁気抵抗素子についてMR曲線を示すグラフである。
第10図は、本発明の製造方法により製造される磁気抵抗素子について規格化MR値の印加バイアス依存性の一例を示すグラフである。
第11図は、本発明の製造方法により製造される磁気抵抗素子について接合抵抗の印加バイアス依存性の一例を示すグラフである。
第12図は、本発明の製造方法により製造される磁気抵抗素子について規格化MR値の印加バイアス依存性の他の一例を示すグラフである。
第13図は、本発明の製造方法により製造される磁気抵抗素子について接合抵抗の印加バイアス依存性の他の一例を示すグラフである。
第14図は、本発明の製造方法により製造される磁気抵抗素子についてMR曲線の他の一例を示すグラフである。
第15図は、本発明の製造方法により製造される磁気抵抗素子について接合部のオージェデプスプロファイルを示すグラフである。
第16図は、第15図に示したグラフの拡大図である。
第17図は、本発明の製造方法により製造される磁気抵抗素子について規格化MR値の印加バイアス依存性のその他の一例を示すグラフである。
第18図は、本発明の磁気抵抗素子の製造方法について熱処理温度と規格化MR値との関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 磁気抵抗素子の製造方法であって、
    前記磁気抵抗素子は、
    基板と、第1の磁性層と、高抵抗層と、第2の磁性層とを順に備え、
    前記高抵抗層は、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間にトンネル電子を流す障壁であり、かつ、酸素、窒素および炭素から選ばれる少なくとも1つの元素LONCを含み、
    前記第1の磁性層が、Fe、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1つの金属元素Mと前記金属元素Mとは異なる元素RCPとを含み、
    前記元素RCPは、前記金属元素Mと比較して前記元素LONCとエネルギー的に結合しやすい元素であり、
    元素RCPが、Si、Ge、Al、Ga、Cr、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、MgおよびCaから選ばれる少なくとも1つの元素であり、
    前記第1の磁性層は、前記金属元素Mと前記元素RCPとを含む合金からなり、
    前記磁気抵抗素子の製造方法は、
    (a)前記基板上に配置された前記第1の磁性層と、前記第1の磁性層上に配置され酸素、窒素および炭素から選ばれる少なくとも1つの元素LONCを含む前記高抵抗層とを形成する工程(a)と、
    (b)前記高抵抗層上に前記第2の磁性層を形成する工程(b)とを含み、
    工程(a)は、
    前記第1の磁性層を前記基板上に配置する工程(a−1)、
    前記第1の磁性層の上にAl層を形成する工程(a−2)、および
    前記Al層を酸化、窒化、または炭化させて前記高抵抗層を形成する工程(a−3)を含
    前記(a−1)の工程において、前記第1の磁性層は、前記元素R CP が前記高抵抗層側で高濃度になるように蒸着法またはスパッタリング法によって形成されることを特徴とする磁気抵抗素子の製造方法。
  2. 前記金属元素MがFeであり、前記元素RCPがAlおよびSiである、請求項1に記載の磁気抵抗素子の製造方法。
  3. 前記第1の磁性層の前記高抵抗層近傍において、前記元素RCPが、前記元素LONCと化合物を形成している、請求項1に記載の磁気抵抗素子の製造方法。
  4. 前記第2の磁性層も、Fe、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1つの金属元素Mと前記金属元素Mとは異なる元素RCPとを含む、請求項1に記載の磁気抵抗素子の製造方法。
  5. 磁気抵抗素子を含む磁気部品の製造方法であって、
    前記磁気抵抗素子は、
    基板と、第1の磁性層と、高抵抗層と、第2の磁性層とを順に備え、
    前記高抵抗層は、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間にトンネル電子を流す障壁であり、かつ、酸素、窒素および炭素から選ばれる少なくとも1つの元素LONCを含み、
    前記第1の磁性層が、Fe、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1つの金属元素Mと前記金属元素Mとは異なる元素RCPとを含み、
    前記元素RCPは、前記金属元素Mと比較して前記元素LONCとエネルギー的に結合しやすい元素であり、
    元素RCPが、Si、Ge、Al、Ga、Cr、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf、MgおよびCaから選ばれる少なくとも1つの元素であり、
    前記第1の磁性層は、前記金属元素Mと前記元素RCPとを含む合金からなり、
    前記磁気抵抗素子の製造方法は、
    (a)前記基板上に配置された前記第1の磁性層と、前記第1の磁性層上に配置され酸素、窒素および炭素から選ばれる少なくとも1つの元素LONCを含む前記高抵抗層とを形成する工程(a)と、
    (b)前記高抵抗層上に前記第2の磁性層を形成する工程(b)と、
    を含み、
    工程(a)は、
    前記第1の磁性層を前記基板上に配置する工程(a−1)、
    前記第1の磁性層の上にAl層を形成する工程(a−2)、および
    前記Al層を酸化、窒化、または炭化させて前記高抵抗層を形成する工程(a−3)を含み、
    前記(a−1)の工程において、前記第1の磁性層は、前記元素R CP が前記高抵抗層側で高濃度になるように蒸着法またはスパッタリング法によって形成され、
    前記磁気部品の製造方法は、
    前記工程(b)により得られた磁気抵抗素子を、200℃以上の温度で熱処理する工程(c)を含む、磁気部品の製造方法。
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