JP3688530B2 - 記録媒体、記録装置および記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体、記録装置および記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報化社会において、増大の一途を辿る情報量に対応した、従来より飛躍的に記録密度の高い記録方法や、それに基づく記録装置の出現が待望されている。
【0003】
記録密度の高い記録方法として期待されている、光記録を実現する技術としては、光を熱として利用するヒートモード記録と、熱に変換しないで記録するフォトンモード記録がある。ヒートモード記録は光磁気記録や相転移記録などで現在実用化されている。
【0004】
ヒートモード記録で記録密度の向上を図るために、光の波長よりも小さい微小スポットが形成できるNear−field Scanning Optical Microscope(NSOM)を用いた技術が提案されている。たとえば、Betzigらは、Arイオンレーザの出力をNSOM探針によりCo/Pt多層膜に照射し、光磁気的に情報の記録・再生を試み、直径約60nmの記録パタ−ンの形成を報告している(Appl.Phys.Lett.61,142(1992))。
【0005】
また、Hosakaらは、半導体レーザの出力をNSOM探針により、膜厚約30nmのGeSbTe薄膜に照射して相変化させ、直径約50nmの記録パターンの実現を報告している(Thin Solid Films 273,122(1996),J.Appl.Phys.79,8082(1996))。
【0006】
しかし、これらの方法では、熱の拡散により記録スポットが大きくなるうえに、必要エネルギーが大きいため、スポット径が10nm程度になるterabits/cmオーダーの記録密度には対応できないと予想される。
【0007】
これに対して、特開平7−254153号公報には有機色素の相変化を用いて、蛍光を読み出す記録媒体が開示されている。この記録媒体では、熱伝導性の低い有機色素分子を用いることにより、記録スポットをより小さくできる。しかし、この方法でもスポット径が10nm程度になるterabits/cmの記録密度を実現することは困難である。また、非晶質領域が結晶領域と接しているため、非晶質領域が結晶化しやすく、記録が破壊されやすい。さらに相変化媒体は均一な媒体であるため、結晶領域と非晶質領域とで信号強度の差が小さく、ノイズが大きい。
【0008】
フォトクロミック化合物を用いたフォトンモード記録の均一媒体でも、同様なノイズの問題がある。
【0009】
一方、特開平8−45122号公報には、有機色素分子からなる約10〜約100nm径のドット状(ドメイン構造)の記録領域を形成し、その記録領域に電荷を注入することにより、記録を行う記録媒体が開示されている。この記録媒体では、1つのドットが記録単位となるので、記録密度を上げることができる。しかし、この記録媒体では、記録単位となるドットの大きさや配置を均一にすることが困難であり、しかも形成されたドットの大きさや配置が経時的に変化しやすい。また、電荷の注入や排出の際に電極が接触するため記録媒体の全面を平坦にすることが必要であるが、平坦化が困難であり、平坦化するために上部に保護膜を設置すると電荷注入や排出の際に高電圧が必要となる。
【0010】
よって現在のところ、超高密度記録の可能な記録媒体は実現されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、実用的には、超高密度記録が可能な記録媒体はいまだ実現していない。超高密度記録が可能な記録媒体では、電荷を注入、排出する際に電極が接触するために、記録媒体表面が平坦化されている必要があるが、平坦化が困難であり、平坦化するために上部に保護膜を設置すると電荷注入や排出の際に高電圧が必要となる。
【0012】
この事に鑑み、本発明の目的は、高電圧をかけなくても超高密度記録が可能となる、記録媒体、記録装置および記録方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明の第1は、基板と、基板上に形成されかつ電荷を蓄積することが可能な材料を含む電荷蓄積領域を有する記録層と、記録層上に形成されかつ光を吸収して導電性が増加する材料を含む光導電領域を有する光導電層とを具備することを特徴とする記録媒体を提供する。
【0014】
本発明の第1では、基板と記録層との間に、基板上に形成される導電層と、導電層上に形成される絶縁層とを含んでも良い。
【0015】
本発明の第2は、基板と、基板上に形成される導電層と、導電層上に形成されかつ光を吸収して導電性が増加する材料を含む光導電領域を有する光導電層と、光導電層上に形成されかつ電荷を蓄積することが可能な材料を含む電荷蓄積領域を有する記録層とを具備することを特徴とする記録媒体を提供する。
【0016】
本発明の第1または第2では、記録層が、複数の電荷蓄積領域と、複数の電気絶縁性領域とを有しても良い。
【0017】
本発明の第3は、基板と、光を吸収して導電性が増加する材料を含む光導電領域及び電荷を蓄積することが可能な材料を含む電荷蓄積領域を有する光導電・記録層とを具備し、光導電・記録層が基板上に形成されることを特徴とする記録媒体を提供する。
【0018】
本発明の第3では、基板と光導電・記録層との間に、基板上に形成される導電層と、導電層上に形成される絶縁層とを含んでも良い。
【0019】
本発明の第1、第2または第3の記録媒体において、光導電領域は、導電性が光の強度に対して非線形的に変化する材料を用いても良い。
【0020】
本発明の第4は、本発明の第1、第2または第3の記録媒体に光を照射し電圧を印加することにより電荷を注入することを特徴とする記録方法を提供する。
【0021】
本発明の第4では、照射する光が近接場光であっても良い。
【0022】
本発明の第5は、本発明の第1、第2または第3の記録媒体に光を照射し電圧を印加することにより電荷を注入する記録手段を具備することを特徴とする記録装置を提供する。
【0023】
本発明の第5では、記録手段で注入される電荷を検出する再生手段を具備しても良い。
【0024】
また本発明の第5では、照射する光が近接場光であっても良い。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。本実施形態の記録媒体の断面図を図1に示す。
【0026】
本実施形態の記録媒体は、図1のように、基板11と、基板11上の導電層12、導電層12上の絶縁層13、絶縁層13上の電荷蓄積領域14と電気絶縁性領域15から成る記録層16と、記録層16上の光導電層17から成る。
【0027】
次に、本実施形態の記録媒体の各部について、製造方法に沿って説明する。
【0028】
まず基板11は、光学研磨された直径約120mm、厚さ約1.2mmのガラスディスクを用い、この基板11上に導電層12としてAl膜を約200nmの膜厚となるよう蒸着する。その上に絶縁層13としてSiO膜を約200nmの膜厚となるようスパッタする。
【0029】
そしてこの上に、電子線レジストとしてポリジイソブチルフマレートを厚さ約50nmでスピンコートし、EB描画装置を用いて電子線を照射し、直径約30nmの円領域を中心が約50nm間隔ごととなるようにする。これをエタノールで現像し、電気絶縁性領域15とする。
【0030】
次に、絶縁層13上の全面に下記(化1)で示されるドナー性の有機色素分子を蒸着する。このドナー性の有機色素分子は、電気絶縁性領域15上、つまり凸部にも、その周りの凹部にも蒸着されるが、蒸着後、窒素雰囲気中約80度で約1時間加熱することにより、この有機色素分子は電気絶縁性領域15の周りの凹部に流れ込み、電荷蓄積領域14が形成され、記録層16となる。その上に、下記(化2)で示される物質から成る光導電層17をスピンコートし、厚さ約50nmの膜を得る。
【化1】
Figure 0003688530
【0031】
【化2】
Figure 0003688530
【0032】
次に、この記録媒体に対して、図2で示す装置で情報の書き込み、読み出し、そして消去を行う。本実施形態では、記録手段としては、光照射手段として半導体レーザー23、光ファイバー24を用い、また電圧印加手段として、電極25を用いる。また再生手段としては微小FETセンサーヘッド28を用いる。なお、図2の拡大図に示すように、光ファイバー24の先端部分は細くなっており、開口部27が設けられている。なお、記録手段は消去手段も兼ねている。
【0033】
まず、書き込み、つまり記録を行う。モーター21を用いて、ディスク状の記録媒体22を約4000rpmで回転させながら、波長約620nm、出力約1mWの半導体レーザー23から光ファイバー24を介してこの光ファイバー24の細くした先端の直径約30nmの開口部27から、近接場光を記録媒体22にスパイラル状に照射する。近接場光を照射することにより、絶縁体である光導電層17の、近接場光を照射された部分の導電性が増加し、近接場光の照射と同時に電極25からパルス状に電圧を約10V印加して、電荷を記録層16に注入する。光ファイバー24と電極25はマウント26により固定されている。上述のように、記録媒体22に光を照射し電圧を印加する事により電荷を注入する記録ステップによって、本実施形態の記録方法は実現される。
【0034】
次に再生を行う。記録媒体22に注入された電荷を微小FETセンサーヘッド28で直接読み出す。そして約80度で約1週間放置後、再び注入された電荷を微小FETセンサーヘッド28で読み出したところ、電荷量は、約1週間前と比べ約5%の低下が見られたが、約30dBのS/N比が得られ、情報は安定に記録されていると言える。上述のように、記録媒体22に蓄積された電荷を読み出す再生ステップによって、本実施形態の再生方法は実現される。
【0035】
次に消去を行う。モーター21を用いて、記録媒体22を約4000rpmで回転させながら、半導体レーザー23から光ファイバー24を介して、近接場光を記録媒体22にスパイラル状に照射し、それと同時に電極25からパルス状に電圧を約−3V印加して、電荷を記録層16から排出する。微小FETセンサーヘッド28で読み出したところ、電荷の蓄積により記録された情報が消去されたことが確認された。上述のように、記録媒体22に蓄積された電荷を排出する消去ステップによって、本実施形態の消去方法は実現される。
【0036】
また、記録と消去を別々に行なうのではなく、電荷を蓄積させた状態の記録媒体22に、情報をオーバーライトすることも出来る。その際は、新たに加えたい情報に応じた、−3V(電荷の排出)と10V(電荷の注入)の電圧パルスを電極25によって印加することによりオーバーライトが可能となる。
【0037】
本実施形態の記録媒体22は、光導電層17が記録層16の上部にあるため、記録媒体22の平坦化が容易であり、また光導電層17は記録層16の保護膜や潤滑膜を兼ねることができる。光導電層17としては、光照射時には十分な導電性を、また光非照射時には十分な絶縁性を必要とすることから、膜厚は約5〜約100nm程度であることが好ましい。約5nm以下では絶縁性が不足する可能性が、また約100nm以上では導電性が不足する可能性がある。また、記録層16としては、十分な電荷量の蓄積が必要であるとともに、分解能も必要とすることから、膜厚は約10〜約100nm程度であることが好ましい。約10nm以下では蓄積する電荷量が不足する可能性があり、約100nm以上では分解能が不足する可能性がある。
【0038】
また本実施形態では、光導電層17は約30nmの開口部27の領域のみ光照射によって電気抵抗が減少する。したがって、比較的大きな電極25を用いても開口部27の領域のみに電荷を注入することが可能であり、光照射により電気抵抗が減少しているために、高電圧をかけて電荷を注入する必要もない。また、記録層16に注入された電荷は光が照射されない状態では光導電層17の抵抗が高いため、安定に保持される。
【0039】
また本実施形態の記録媒体22では、記録層16が、電荷蓄積領域14と電気絶縁性領域15から成り、2つの電荷蓄積領域14の間に電気絶縁性領域15が存在するためにこの電気絶縁性領域15が壁となり、記録層16中の電荷の移動がなくなる。これにより電荷の保存状態がさらによくなり、微小な記録ピットへの記録が可能となる。
【0040】
また本実施形態の記録媒体22では、基板11と記録層16の間に、導電層12と絶縁層13を具備する。これにより、導電層12に記録層16と逆符号のミラー電荷が蓄積するために、記録電荷が安定に保存でき、また記録電荷の量を多くすることが可能となる。
【0041】
また本実施形態では、光ファイバー24の先端に微小な開口部27を設けることにより、この開口部27から記録媒体22に照射される光が近接場光となる。近接場光とは、物体に光を照射した時、その物質表面に浸み出す非伝搬光である。物質に光が照射されると物質中に誘起双極子が発生するが、このうち、表面付近で互いに近接する誘起双極子間の電気力線が近接場光である。近接場光を用いることにより、光照射スポットを極めて微小にすることが可能となる。近接場光の発生方法としては微小開口を有するプローブを用いる方法、ソリッドイマージョンレンズを用いる方法、アンチモンなどの相変化媒体の非線形的な温度―屈折率応答を利用する方法、金属微粒子のプラズモン共鳴を利用する方法などを用いることもでき、その方法は限定されない。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の記録媒体の断面図を図3に示す。
【0042】
本実施形態の記録媒体は、図3のように、基板11と、基板11上の導電層12、導電層12上の絶縁層13、絶縁層13上の電荷蓄積領域の分散された記録層16と、記録層16上の光導電層17から成る。
【0043】
次に、本実施形態の記録媒体の各部について、製造方法に沿って説明する。
【0044】
まず基板11は、光学研磨された直径約120mm、厚さ約1.2mmのガラスディスクを用い、この基板11上に導電層12としてAl膜を約200nmの膜厚となるよう蒸着する。その上に絶縁層13としてSiO膜を約200nmの膜厚となるようスパッタする。
【0045】
絶縁層13上には、下記(化3)で示されるアクセプター性の有機色素分子を、絶縁性のポリスチレンに分散した膜をスピンコートで厚さ約100nmで成膜し、記録層16とする。有機色素分子部分が電荷蓄積領域となる。
【化3】
Figure 0003688530
【0046】
その上に、上記(化2)で示される物質をスピンコートし、厚さ約60nmの膜を得、光導電層17とする。
【0047】
次に、この記録媒体に対して、図2で示す装置で情報の書き込み、読み出し、そして消去を行う。本実施形態では、記録手段としては、光照射手段として半導体レーザー23、光ファイバー24を用い、電圧印加手段として電極25を用いる。また再生手段として微小FETセンサーヘッド28を用いる。なお、図2の拡大図に示すように、光ファイバー24の先端部分は細くなっており、開口部27が設けられている。なお、記録手段は消去手段も兼ねている。
【0048】
まず、書き込み、つまり記録を行う。モーター21を用いて、ディスク状の記録媒体22を約5000rpmで回転させながら、波長約620nm、出力約1mWの半導体レーザー23から光ファイバー24を介してこの光ファイバー24の細くした先端の直径約50nmの開口部27から、近接場光を記録媒体22にスパイラル状に照射する。近接場光を照射することにより、絶縁体である光導電層17の、近接場光を照射された部分の導電性が増加し、近接場光の照射と同時に電極25からパルス状に電圧を約−10V印加して、電荷を記録層16に注入する。光ファイバー24と電極25はマウント26により固定されている。上述のように、記録媒体22に光を照射し電圧を印加する事により電荷を注入する記録ステップによって、本実施形態の記録方法は実現される。
【0049】
次に再生を行う。注入された電荷を微小FETセンサーヘッド28で直接読み出す。そして約80度で約1週間放置後、再び注入された電荷を微小FETセンサーヘッド28で読み出したところ、電荷量は、約一週間前と比べ約10%の低下が見られたが、約30dBのS/N比が得られ、情報は安定に記録されていると言える。上述のように、記録媒体22に蓄積された電荷を読み出す再生ステップによって、本実施形態の再生方法は実現される。
【0050】
次に消去を行う。モーター21を用いて、記録媒体22を約5000rpmで回転させながら、半導体レーザー23から光ファイバー24を介して、近接場光を記録媒体22にスパイラル状に照射し、それと同時に電極25からパルス状に電圧を約4V印加して、電荷を記録層16から排出する。微小FETセンサーヘッド28で読み出したところ、電荷の蓄積により記録された情報が消去されたことが確認された。上述のように、記録媒体22に蓄積された電荷を排出する消去ステップによって、本実施形態の消去方法は実現される。
【0051】
また、記録と消去を別々に行なうのではなく、電荷を蓄積させた状態の記録媒体に、情報をオーバーライトすることも出来る。その際は、新たに加えたい情報に応じた、4V(電荷の排出)と−10V(電荷の注入)の電圧パルスを電極25により印加することによりオーバーライトが可能となる。
【0052】
本実施形態では、記録層16は、絶縁性のポリスチレン中に電荷を蓄積することが可能な材料が電荷蓄積領域として分散されたものである。このようにすることで、結晶性の分子で膜状になり難いものでも、電荷蓄積領域に用いることが出来る。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態の記録媒体の断面図を図4に示す。
【0053】
本実施形態の記録媒体は、図4のように、基板11と、基板11上の導電層12、導電層12上の絶縁層13、絶縁層13上の電荷蓄積領域と光導電領域の分散された、光導電・記録層41から成る。
【0054】
次に、本実施形態の記録媒体の各部について、製造方法に沿って説明する。
【0055】
まず基板11は、光学研磨された直径約120mm、厚さ約1.2mmのガラスディスクを用い、この基板11上に導電層12としてAl膜を約200nmの膜厚となるよう蒸着する。その上に絶縁層13としてSiO膜を約200nmの膜厚となるようスパッタする。
【0056】
絶縁層13上には、下記(化4)で示されるドナー性の有機色素分子と、下記(化5)で示される光導電性の分子を、絶縁性のポリスチレンに分散した膜をスピンコートにより厚さ約30nmで成膜し、光導電・記録層41とする。光導電・記録層41中、上記の有機色素分子が電荷蓄積領域を形成し、光導電性の分子が光導電領域を形成する。
【化4】
Figure 0003688530
【0057】
【化5】
Figure 0003688530
【0058】
次に、この記録媒体に対して、図2で示す装置で情報の書き込み、読み出し、そして消去を行う。本実施形態では、記録手段としては、光照射手段として半導体レーザー23、光ファイバー24を用い、電圧印加手段として電極25を用いる。また、再生手段としては微小FETセンサーヘッド28を用いる。なお、図2の拡大図に示すように、光ファイバー24の先端部分は細くなっており、開口部27が設けられている。また、記録手段は消去手段も兼ねている。
【0059】
まず、書き込み、つまり記録を行う。モーター21を用いて、ディスク状の記録媒体22を約5000rpmで回転させながら、波長約470nm、出力約1mWの半導体レーザー23から光ファイバー24を介してこの光ファイバー24の細くした先端の直径約80nmの開口部27から、近接場光を記録媒体22にスパイラル状に照射し、同時に電極25からパルス状に電圧を約10V印加して、電荷を光導電・記録層41に注入する。光ファイバー24と電極25はマウント26により固定されている。上述のように、記録媒体22に光を照射し電圧を印加する事により電荷を注入する記録ステップによって、本実施形態の記録方法は実現される。
【0060】
次に再生を行う。注入された電荷を微小FETセンサーヘッド28で直接読み出す。そして約80度で約1週間放置後、再び注入された電荷を微小FETセンサーヘッド28で読み出したところ、電荷量は、約一週間前と比べ約10%の低下が見られたが、約30dBのS/N比が得られ、情報は安定に記録されていると言える。上述のように、記録媒体22に蓄積された電荷を読み出す再生ステップによって、本実施形態の再生方法は実現される。
【0061】
次に消去を行う。モーター21を用いて、記録媒体22を約5000rpmで回転させながら、半導体レーザー23から光ファイバー24を介して、近接場光を記録媒体22にスパイラル状に照射し、それと同時に電極25からパルス状に電圧を約−4V印加して、電荷を光導電・記録層41から排出する。微小FETセンサーヘッド28で読み出したところ、電荷の蓄積により記録された情報が消去されたことが確認された。上述のように、記録媒体22に蓄積された電荷を排出する消去ステップによって、本実施形態の消去方法は実現される。
【0062】
また、記録と消去を別々に行なうのではなく、電荷を蓄積させた状態の記録媒体に、情報をオーバーライトすることも出来る。その際は、新たに加えたい記録に応じた、−4V(電荷の排出)と10V(電荷の注入)の電圧パルスを電極25により印加することによりオーバーライトが可能となる。
【0063】
本実施形態では、電荷を蓄積する事が可能な材料を含む電荷蓄積領域と光を吸収して導電性が増加する材料を含む光導電領域を有する、単層の光導電・記録層41を形成する。このことから、光導電層と記録層の2層構造とするよりも、工程が減少し、製造が容易となる。光導電・記録層41中に分散される電荷蓄積領域は、目的とする記録ピットのサイズよりも十分小さいことが好ましく、また、分散状態も均一であることが好ましい。また、光導電・記録層41としては、光照射時の導電性と光非照射時の絶縁性との兼ね合い、また、電荷の蓄積量と分解能との兼ね合いから、膜厚は約10〜約200nm程度であることが好ましい。(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態の記録媒体の断面図を図5に示す。
【0064】
本実施形態の記録媒体は、図5のように、基板11と、基板11上の導電層12、導電層12上の絶縁層13、絶縁層13表面に形成される記録ピット51と、光導電層17から成る。
【0065】
次に、本実施形態の記録媒体の各部について製造方法に沿って説明する。
【0066】
まず基板11は、光学研磨された直径約120mm、厚さ約1.2mmのガラスディスクを用い、この基板11上に導電層12としてAl膜を約500nmの膜厚となるよう蒸着する。
【0067】
次に、SiCで作成した、先端径が約3nmで突起が約13nm間隔ごとに作成されたスタンプを、導電層12上に押しつけて傷をつける。傷をつけた導電層12としてのAl膜を希硫酸中で陽極酸化することにより、酸化と化学エッチングが同時に行われる。そしてAl膜の表面は酸化作用により約80nmの膜厚のAl膜となり、化学エッチング作用により、直径約10nm、深さ約20nmの穴が、Al膜の表面に穴の中心間距離が約13nmの配列となるように形成される。 Al膜は絶縁層13として作用する。
【0068】
次に、真空下でSeを溶融してこの穴に充填し、記録ピット51とする。穴からはみ出たSeは、記録媒体を加熱しながら約200rpmで回転させ、遠心除去する。その上に、光導電層17としてCdSeを厚さ約10nmでスパッタする。
【0069】
次に、この記録媒体に対して、図2で示す装置で情報の書き込み、読み出し、そして消去を行う。本実施形態では、記録手段としては、光照射手段として半導体レーザー23、光ファイバー24を用い、電圧印加手段として電極25を用いる。また、再生手段として微小FETセンサーヘッド28を用いる。なお、図2の拡大図に示すように、光ファイバー24の先端部分は細くなっており、開口27が設けられている。なお、記録手段は消去手段も兼ねている。
【0070】
まず、書き込み、つまり記録を行う。モーター21を用いて、ディスク状の記録媒体22を約3000rpmで回転させながら、波長約670nm、出力約1mWの半導体レーザー23から光ファイバー24を介してこの光ファイバー24の細くした先端の直径約10nmの開口部27から、近接場光を記録媒体22にスパイラル状に照射する。近接場光を照射することにより、絶縁体である光導電層17の、近接場光を照射された部分の導電性が増加し、近接場光の照射と同時に電極25からパルス状に電圧を約−10V印加して、電荷を記録層16に注入する。光ファイバー24と電極25はマウント26により固定されている。上述のように、記録媒体22に光を照射し電圧を印加する事により電荷を注入する記録ステップによって、本実施形態の記録方法は実現される。
【0071】
次に再生を行う。注入された電荷を微小FETセンサーヘッド28で直接読み出す。そして約80度で約1週間放置後、再び注入された電荷を微小FETセンサーヘッド28で読み出したところ、電荷量は、約1週間前と比べ約5%の低下が見られたが、約30dBのS/N比が得られ、情報は安定に記録されていると言える。上述のように、記録媒体22に蓄積された電荷を読み出す再生ステップによって、本実施形態の再生方法は実現される。
【0072】
次に消去を行う。モーター21を用いて、記録媒体22を約3000rpmで回転させながら、半導体レーザー23から光ファイバー24を介して、近接場光を記録媒体22にスパイラル状に照射し、それと同時に電極25からパルス状に電圧を約5V印加して、電荷を記録層16から排出する。微小FETセンサーヘッド28で読み出したところ、電荷の蓄積により記録された情報が消去されたことが確認された。上述のように、記録媒体22に蓄積された電荷を排出する消去ステップによって、本実施形態の消去方法は実現される。
【0073】
また、記録と消去を別々に行なうのではなく、電荷を蓄積させた状態の記録媒体22に、情報をオーバーライトすることも出来る。その際は、新たに加えたい情報に応じた、5V(電荷の排出)と−10V(電荷の注入)の電圧パルスを電極25により印加することによりオーバーライトが可能となる。
【0074】
本実施形態では、記録ピット51を決められた位置に作成した為、記録ピット51の位置を記録した情報を読み込むことにより、記録ヘッドのブレ等による位置補正などが可能となる。さらに各記録ピット51は、絶縁層13に囲まれておりS/N比が高いため、記録ピット51を小さくすることが出来、高密度記録が可能となる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態の記録媒体の断面図を図6に示す。
【0075】
本実施形態の記録媒体は、図6のように、基板11と、基板11上の導電層12、導電層12上の絶縁層13、絶縁層13表面に形成される記録ピット51と、光導電層17から成る。
【0076】
次に、本実施形態の記録媒体の各部について製造方法に沿って説明する。
【0077】
まず基板11は、光学研磨された直径約120mm、厚さ約1.2mmのガラスディスクを用い、この基板11上に導電層12としてAl膜を約500nmの膜厚となるよう蒸着する。
【0078】
次に、SiCで作成した、先端径が約3nmで突起が約100nm間隔ごとに作成されたスタンプを、絶縁層13上に押しつけて傷をつける。傷をつけた導電層12としてのAl膜を希硫酸中で陽極酸化することにより、酸化と化学エッチングが同時に行われる。そしてAl膜の表面は、酸化作用により約100nmの膜厚のAl膜となり、化学エッチング作用により、直径約80nm、深さ約80nmの穴が、Al膜の表面に穴の中心間距離が約100nmの配列となるように形成される。そしてAl膜は、絶縁層13として作用する。
【0079】
次に、真空下でSeを溶融してこの穴に充填し、記録ピット51とする。穴からはみ出たSeは、記録媒体を加熱しながら約200rpmで回転させ、遠心除去する。その上に、光を吸収する際に、光強度により導電性が非線形的に変化する光導電層17としてβ型フタロシアニンを分散させたポリカーボネートのクロロホルム溶液をスピンコートし、厚さ約30nmとする。
【0080】
次に、この記録媒体に対して、図7で示す装置で情報の書き込み、読み出し、そして消去を行う。図7では図2と同様な部分については同じ番号を付し、説明を省略する。本実施形態では、記録手段としては、光照射手段として半導体レーザー23、レンズ71を用い、電圧印加手段として電極25を用いる。また、再生手段として微小FETセンサーヘッド28を用いる。このような構成により、半導体レーザー23の照射径よりも小さい記録ピット51単位の記録を行う。なお、記録手段は消去手段を兼ねている。
【0081】
まず、書き込み、つまり記録を行う。モーター21を用いて、ディスク状の記録媒体22を約3000rpmで回転させながら、波長約620nm、出力約1mWの半導体レーザー23からの光をレンズ71で照射径を約600nmに絞って、記録媒体22にスパイラル状に照射し、同時に電極25からパルス状に電圧を約−20V印加して、電荷を記録ピット51に注入する。上述のように、記録媒体22に光を照射し電圧を印加する事により電荷を注入する記録ステップによって、本実施形態の記録方法は実現される。
【0082】
次に再生を行う。注入された電荷を微小FETセンサーヘッド28で直接読み出したところ、約80nmの記録ピット51単位での記録が可能であることが分かった。これは、レーザー光の照射径は約600nmと大きくても、光の強度分布がガウス的であることから、光導電層17に光の強さに非線形的に応答する材料を用いているため、光照射された部分の中心部のみにおいて、光導電層17の光吸収によって導電性が非線形的に変化したためである。上述のように、記録媒体22に蓄積された電荷を読み出す再生ステップによって、本実施形態の再生方法は実現される。
【0083】
約80度で約1週間放置後、注入された電荷を再度読み出したところ、電荷量は、約1週間前と比べ約5%の低下が見られたが、約30dBのS/N比が得られ、情報は安定に記録されていると言える。
【0084】
次に消去を行う。モーター21を用いて、記録媒体22を約3000rpmで回転させながら、半導体レーザー23からの光をレンズ71で照射径を約600nmに絞って、記録媒体22にスパイラル状に照射し、それと同時に電極25からパルス状に電圧を約10V印加して、電荷を記録ピット51から排出する。微小FETセンサーヘッド28で読み出したところ、電荷の蓄積により記録された情報が消去されたことが確認された。上述のように、記録媒体22に蓄積された電荷を排出する消去ステップによって、本実施形態の消去方法は実現される。
【0085】
また、記録と消去を別々に行なうのではなく、電荷を蓄積させた状態の記録媒体に、情報をオーバーライトすることも出来る。その際は、新たに加えたい情報に応じた、10V(電荷の排出)と−20V(電荷の注入)の電圧パルスを電極25により印加することによりオーバーライトが可能となる。
本実施形態の記録媒体22では、光導電層17の導電度が、光強度に対して非線形的に変化することを特徴としている。これにより導電度が上昇するスポットサイズを、光の照射スポットのサイズよりも小さくすることが可能であり、いわゆる超解像記録が可能となる。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。本実施形態の記録媒体の断面図を図8に示す。
【0086】
本実施形態の記録媒体は、図8のように、基板11と、基板11上の導電層12、導電層12上の光導電層17、光導電層17上の電荷蓄積領域14と電気絶縁性領域15から成る記録層16と、記録層16上の保護膜81から成る。
【0087】
次に、本実施形態の記録媒体の各部について製造方法に沿って説明する。
【0088】
まず基板11は、光学研磨された直径約120mm、厚さ約1.2mmのガラスディスクを用い、この基板11上に導電層12としてAl膜を約200nmの膜厚となるよう蒸着する。
【0089】
導電層12上には、上記(化2)で示される物質からなる光導電層17をスピンコートし、厚さ約30nmの膜を得る。
【0090】
その上に、電子線レジストとしてポリジイソブチルフマレートを厚さ約20nmでスピンコートし、EB描画装置を用いて電子線を照射し、直径約80nmの円領域を中心が約120nm間隔ごととなるようにする。これをエタノールで現像し、電気絶縁性領域15とする。
【0091】
次に上記(化1)で示されるドナー性の有機色素分子を全面に蒸着する。このドナー性の有機色素分子は、電気絶縁性領域15上、つまり凸部にも、その周りの凹部にも蒸着されるが、蒸着後、窒素雰囲気中約80度で約1時間加熱することにより、有機色素分子は電気絶縁性領域15の周りの凹部に流れ込み、電荷蓄積領域14が形成され、記録層16となる。さらにその上に保護膜81として、ポリイミド膜を約10nm塗布成膜する。
【0092】
次に、この記録媒体に対して、図9で示す装置で情報の書き込み、読み出し、そして消去を行う。図9では図2と同様な部分については同じ番号を付し、説明を省略する。本実施形態では、記録手段としては、光照射手段として半導体レーザー23、光ファイバー91を用い、電圧印加手段として電極92を用い、スライダー94によって電極92を浮上させる。また再生手段として微小FETセンサーヘッド93を用いる。なお、図9の拡大図に示すように、光ファイバー91の先端部分は細くなっており、開口部96が設けられている。また、記録手段は消去手段を兼ねている。
【0093】
まず、書き込み、つまり記録を行う。モーター21を用いて、ディスク状の記録媒体22を約4000rpmで回転させながら、波長約620nm、出力約1mWの半導体レーザー23から光ファイバー91を介してこの光ファイバー91の細くした先端の直径約80nmの開口部96から、近接場光を記録媒体22にスパイラル状に照射する。近接場光を照射することにより、絶縁体である光導電層17の、近接場光を照射された部分の導電性が増加し、近接場光の照射と同時に電極92からパルス状に電圧を約10V印加して、電荷を記録層16に注入する。なお、図9に示すように、光ファイバー91のヘッド、電極92、微小FETセンサーヘッド93、及びスライダー94は、フライングヘッド95に集積されている。フライングヘッド95はスライダー94によって浮上し、電極92と記録媒体22は接触しない。上述のように、記録媒体22に光を照射し電圧を印加する事により電荷を注入する記録ステップによって、本実施形態の記録方法は実現される。
【0094】
次に再生を行う。注入された電荷を微小FETセンサーヘッド93で直接読み出す。そして約80度で約1週間放置後、再び注入された電荷を微小FETセンサーヘッド93で読み出したところ、電荷量は、約1週間前と比べ約3%の低下が見られたが、約30dBのS/N比が得られ、情報は安定に記録されていると言える。上述のように、記録媒体22に蓄積された電荷を読み出す再生ステップによって、本実施形態の再生方法は実現される。
【0095】
次に消去を行う。モーター21を用いて、記録媒体22を約4000rpmで回転させながら、半導体レーザー23から光ファイバー91を介して、近接場光を記録媒体22にスパイラル状に照射し、それと同時に電極92からパルス状に電圧を約−3V印加して、電荷を記録層16から排出する。微小FETセンサーヘッド93で読み出したところ、電荷の蓄積により記録された情報が消去されたことが確認された。上述のように、記録媒体22に蓄積された電荷を排出する消去ステップによって、本実施形態の消去方法は実現される。
【0096】
また、記録と消去を別々に行なうのではなく、電荷を蓄積させた状態の記録媒体に、情報をオーバーライトすることも出来る。その際は、新たに加えたい情報に応じた、−3V(電荷の排出)と10V(電荷の注入)の電圧パルスを電極92により印加することによりオーバーライトが可能となる。
【0097】
本実施形態のように、光導電層17が記録層16の下部にある場合には、電荷は基板11上の導電層12から注入される。この場合にも光導電層17は光照射によって光スポットの領域のみ電気抵抗が減少し、保護膜81上の電極からの電圧の印加によって、導電層12から電荷が注入される。光導電層17が記録層16の上部にある場合にはヘッドの電極92から電荷が注入されるためヘッドが接触する必要がある。しかし、光導電層17が記録層16の下部にある場合には、ヘッドの電極92は単に電圧を印加すればよいだけであり、電極92が記録媒体22に接触しない為、摩耗の可能性やヘッドが吸着して動かなくなる可能性を小さくすることができる。また記録層16を平坦化する必要もないことから、記録層16上の保護膜81は厚い必要がなく、高電圧をかけずに電荷を注入することが出来る。
【0098】
また、記録層16に蓄積された電荷を読み出す方法として、上記に示した実施形態の方法以外でも、例えば原子間力顕微鏡(AFM)を用いて静電気力を測定する方法、電気容量の変化を測定する方法、記録を破壊しないような強度や波長を持った光を照射して吸収光や反射光、蛍光の強度変化や波長変化を測定する方法などでも良く、その方法は限定されない。
【0099】
また、本発明に係る記録媒体、記録装置は、例えばDVDRAMのようにこれらが分離可能な、リムーバブル型のものであってもよいし、例えばHDDのような一体型のものであっても良い。
【0100】
なお、本発明の光を吸収して導電性が増加する材料としては、有機物、無機物等さまざまであり、一般に光非照射下では絶縁性が高く、光照射により導電度が急激に上がるものが好ましい。また、その応答もできるだけ早い方が好ましく、約100MHz〜約1GHz以上が好ましい。
【0101】
具体的には、有機物では、下記の(A1)から(A6)に示した化合物があげられるが、これらに限定されるものではない。
【化6】
Figure 0003688530
【0102】
【化7】
Figure 0003688530
【0103】
【化8】
Figure 0003688530
【0104】
【化9】
Figure 0003688530
【0105】
【化10】
Figure 0003688530
【0106】
また無機物では、Si、Se、Geや、ZnO、TiO、SnOなどの酸化物、AlGaAs、GaAs、AlInAs、GaInAs、GaInP、InP、PbS、ZnS、ZnSSe、ZnTe、AsSeTe、AsTe、CdS、CdTe、ZnCdTe、CdSSe、CdSe、CuInSe、CuSなどの合金もしくは化合物があるが、これらに限定しない。
【0107】
これらの材料はそのまま単独で用いても良く、また混合したり、また種々のマトリックス中に分散させて用いることも可能である。
【0108】
本発明の電荷を蓄積することが可能な材料としては、蓄積する電荷が電子の場合は、光導電層の伝導帯やLUMOのエネルギレベルに対して、記録層や記録領域の伝導帯やLUMOのエネルギレベルが低いことが必要である。蓄積する電荷が正孔の場合は、光導電層の価電子帯やHOMOのエネルギレベルに対して、記録層や記録領域のそれが高いことが必要である。
【0109】
具体的な材料としては有機物、無機物等さまざまであり、例えば、有機物では具体的には以下の構造式(B1)から(B7)、または(C1)から(C5)に示されるドナー性もしくはアクセプタ性の色素骨格を有する分子が好ましい。
【化11】
Figure 0003688530
【0110】
【化12】
Figure 0003688530
【0111】
【化13】
Figure 0003688530
【0112】
【化14】
Figure 0003688530
【0113】
【化15】
Figure 0003688530
【0114】
【化16】
Figure 0003688530
【0115】
【化17】
Figure 0003688530
【0116】
【化18】
Figure 0003688530
【0117】
【化19】
Figure 0003688530
【0118】
【化20】
Figure 0003688530
【0119】
【化21】
Figure 0003688530
【0120】
【化22】
Figure 0003688530
【0121】
これらの色素骨格を有する分子は製膜性を上げるために、これらの色素骨格を有する分子から成るポリマー、またはこれらの色素骨格を有する分子をYとする次の構造式を有した非晶質の低分子が望ましい。これらの分子はアモルファス性のため均一な薄膜ができやすくなる。
【0122】
Z−(X−Y)n
ここで、Zは芳香族骨格または脂肪族骨格であり、Yはドナー性を示す分子骨格またはアクセプター性を示す分子骨格であり、Xは単結合、エチレン結合、アミド、エステル結合等の結合基であり、nは1以上の整数である。ここでnが3以上であればガラス転移温度が25℃以上の安定な非晶質を形成しやすい。
【0123】
また、無機化合物であれば例えば、Au、Al、Seなどの各種金属やその合金、Si、Cなどの半導体、S、SiCなどの絶縁体などがある。
【0124】
これらの電荷蓄積性の材料はそのまま単独で用いてもよく、また混合したり、また種々のマトリックス中に分散させて用いても良い。マトリックスとしては電気絶縁性のポリマーなどが好ましい。
【0125】
【発明の効果】
以上の様に、本発明によれば、高電圧をかけずに超高密度記録が可能となる、記録媒体、記録装置および記録方法を提供する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る記録媒体の断面図。
【図2】 本発明の第1の実施形態に係る記録装置の構成図。
【図3】 本発明の第2の実施形態に係る記録媒体の断面図。
【図4】 本発明の第3の実施形態に係る記録媒体の断面図。
【図5】 本発明の第4の実施形態に係る記録媒体の断面図。
【図6】 本発明の第5の実施形態に係る記録媒体の断面図。
【図7】 本発明の第5の実施形態に係る記録装置の構成図。
【図8】 本発明の第6の実施形態に係る記録媒体の断面図。
【図9】 本発明の第6の実施形態に係る記録装置の構成図。
【符号の説明】
11…基板、
12…導電層、
13…絶縁層、
14…電荷蓄積領域、
15…電気絶縁性領域、
16…記録層、
17…光導電層、
21…モーター、
22…記録媒体、
23…半導体レーザー、
24、91…光ファイバー、
25、92…電極、
26…マウント、
27、96…開口部
28、93…微小FETセンサーヘッド、
41…光導電・記録層、
51…記録ピット、
71…レンズ、
81…保護膜、
94…スライダー、
95…フライングヘッド。

Claims (12)

  1. 基板と、前記基板上に形成されかつ電荷を蓄積することが可能な材料を含む電荷蓄積領域を有する記録層と、前記記録層上に形成されかつ光を吸収して導電性が増加する材料を含む光導電領域を有する光導電層とを具備することを特徴とする記録媒体。
  2. 前記基板と前記記録層との間に、前記基板上に形成される導電層と、前記導電層上に形成される絶縁層とを含むことを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
  3. 基板と、前記基板上に形成される導電層と、前記導電層上に形成されかつ光を吸収して導電性が増加する材料を含む光導電領域を有する光導電層と、前記光導電層上に形成されかつ電荷を蓄積することが可能な材料を含む電荷蓄積領域を有する記録層とを具備することを特徴とする記録媒体。
  4. 前記記録層が、複数の電荷蓄積領域と、複数の電気絶縁性領域とを有することを特徴とする請求項1または3記載の記録媒体。
  5. 基板と、光を吸収して導電性が増加する材料を含む光導電領域及び電荷を蓄積することが可能な材料を含む電荷蓄積領域を有する光導電・記録層とを具備し、前記光導電・記録層が基板上に形成されることを特徴とする記録媒体。
  6. 前記基板と前記光導電・記録層との間に、前記基板上に形成される導電層と、前記導電層上に形成される絶縁層とを含むことを特徴とする請求項5記載の記録媒体。
  7. 前記光導電領域は、導電性が光の強度に対して非線形的に変化する材料を用いることを特徴とする請求項1、3または5記載の記録媒体。
  8. 請求項1、3または5記載の記録媒体に光を照射し電圧を印加することにより電荷を注入することを特徴とする記録方法。
  9. 照射する前記光が近接場光であることを特徴とする請求項8記載の記録方法。
  10. 請求項1、3または5記載の記録媒体に光を照射し電圧を印加することにより電荷を注入する記録手段を具備することを特徴とする記録装置。
  11. 前記記録手段で注入される前記電荷を検出する再生手段を具備することを特徴とする請求項10記載の記録装置。
  12. 照射する前記光が近接場光であることを特徴とする請求項10記載の記録装置。
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