JP2859719B2 - 記録・消去方法、及び記録・消去装置、記録・再生・消去装置 - Google Patents

記録・消去方法、及び記録・消去装置、記録・再生・消去装置

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、高密度の記録容量を有し、かつ消去機能も
併わせ持つ記録・消去方法、記録・消去装置に関するも
のである。
更には、光導電性層上に電荷を蓄積することに因って
記録を行い、係る電荷量を探針電極を用いて電流値或は
電圧値として検出し記録された情報を再生、更に係る光
導電性層への光照射によって蓄積電荷を放電し消去す
る、記録・再生・消去装置に関する。
[従来の技術] 近年においてメモリ素子及びメモリシステムの用途
は、コンピュータ及びその関連機器、ビデオディスク、
ディジタルオーディオディスク等、多岐に亘り、エレク
トロニクス産業の中核をなしている。メモリシステムに
要求される性能は一般的には (1)容量が大きく、容積が小さい (2)記録再生の応答速度が速い (3)エラーレートが低い (4)消費電力が少ない (5)生産性が高く、価格が安い 等が挙げられる。従来は磁気メモリ、半導体メモリが主
流であったが、近年レーザー技術の進展に伴い、安価で
高密度な記録媒体を用いた光メモリ素子などが登場して
きた。しかし、今後のホームユースでのコンピュータ利
用や画像を中軸とした情報産業化が進む上で、さらに容
量を大きく、かつ容積を小さくしたメモリ装置あるいは
方法の具現化が望まれている。
一方、近年において、導体の表面原子の電子構造を直
接観測できる走査型トンネル顕微鏡(以後、STMと略
す)が開発され(G.Binnig et al.,Phys.Rev.Lett.49
(1982)57)、単結晶、非晶質を問わず実空間像を著し
く高い分解能(ナノメートル以下)で測定ができるよう
になった。STMは金属の探針と導電性物質の間に電圧を
加えて、1nm程度の距離まで近づけるとトンネル電流が
流れることを利用している。この電流は両者の距離変化
に非常に敏感であり、トンネル電流を一定に保つように
探針を走査することにより実空間の表面構造を描くこと
ができる。STMを用いた解析は導電性材料に限られる
が、導電性材料の表面に薄く形成された絶縁膜の構造解
析にも応用され始めている。更に、係る装置・手段は微
小電流を検知する方法を用いているため、媒体に損傷を
与えずに、かつ低電力で観測できる利点をも有する。ま
た、大気中での動作も可能である。
このためSTMの広範囲な応用が期待されているが、特
に、試料中に書き込まれた情報を高分解能で読みだす再
生装置としての実用化が積極的に進められている。例え
ば、スタンフォード大学のクエートらは、STMの探針を
用いて電圧印加に因って絶縁体層界面に電荷を注入し
(「記録」)、係る電荷を該探針に流れるトンネル電流
によって検出する(「再生」)方法を提案している(C.
F.クエート、米国特許明細書第4575822号)。係る方法
を用いれば極めて高い密度を有するメモリ装置を容易に
実現することが可能である。
具体的には以下の方法・手順で行う。例えば、不純物
をドーピングした導電性を示すシリコン半導体基板上に
形成されたシリコン酸化膜層、および該シリコン酸化膜
層上に形成されたシリコン窒化膜層を含む記録媒体が係
る発明に適している。すなわち、探針電極を該シリコン
窒化膜層に接触させ、該探針と基板間に電圧を印加する
ことに因って所望の電圧を絶縁層に印加し、その結果、
絶縁層を通して電子がトンネルし、絶縁層中の界面に電
荷が蓄積される(第6図参照)。その後、探針は絶縁層
表面から取り除かれ、トンネルした電子が絶縁層界面に
トラップされたまま残る。トラップされた電子によって
表わされる蓄積した情報を読みだす場合は、探針をシリ
コン窒化膜層およびトラップされた電子に充分近づけ、
トンネル電流が発生するように基板と探針間に電圧を印
加すると同時に、探針と絶縁体表面との距離を変化させ
る。
通常、データ読みだし時の探針バイアスは、データ記
録時の探針バイアスと反対極性とする。測定されたトン
ネル電流は、絶縁体層界面の蓄積電荷の有無を示す。こ
の時、データ1bitに対する蓄積領域は、表面積において
10-4μm2オーダまで小さくなる。その結果として、例
えば100Mバイトの大容量メモリ装置の容積を1cm3オー
ダまで小さくすることができる。
尚、クエートらは前記特許明細書のなかで、電荷蓄積
に限らず、物理的探針、或は焦光したレーザ光、電子ビ
ーム、微粒子の付着等によって形成された記録媒体表面
の「乱れ(物理的凹凸や電子状態の変化など)」によっ
て記録された情報も、トンネル電流を用いて容易に読み
出すことが出きることを示しているが、実用上、記録密
度および記録の再現性、簡便さなどから、電荷蓄積によ
る記録への期待が大きい。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上記記録・再生方法に関して、一度記
録した情報の消去が容易でないことが問題点として挙げ
られる。すなわち、消去の工程も記録工程と同様、探針
を接近させ1ビットごとにアクセスする必要がある。こ
の為、消去に要する時間が消去量に比例して増大し、ま
た広範囲にわたる消去に対して高速応答が難しい。更
に、蓄積された電荷に対して逆極性のバイアス電圧を印
加する必要がある。また、係る状況において電圧値や媒
体・探針間距離など、高い制御性が要求される。最適条
件からのずれは、消去不十分、或いは新たに逆極性の電
荷蓄積を引き起こす。従って、探針を用いず、多数ビッ
トを同時にアクセス可能な消去機構、方式が望まれる。
そこで本発明の目的は、著しい記録密度を有する電荷
蓄積による記録・再生技術において、前述した従来技術
の欠点を克服し、消去が容易な記録・消去方法、及び記
録・消去装置、記録・再生・消去装置を提供することに
ある。
[課題を解決するための手段及び作用] 上記の目的は、以下の本発明によって達成される。
即ち本発明の第1は、基板上に少なくとも下地電極と
光導電性薄膜とが順に積層されてなり、前記光導電性薄
膜上に電荷蓄積可能な記録領域を有する記録媒体を用
い、該記録媒体の記録領域に対向して配置された探針で
該記録媒体上を相対的に走査しながら、前記下地電極と
探針との間にパルス電圧を印加し、前記記録領域に電荷
を蓄積することによって情報を記録し、前記記録媒体の
光導電性薄膜に光を照射し、前記記録領域に蓄積された
電荷を放電させることによって記録された情報を消去す
る記録・消去方法である。
第2は、基板上に少なくとも下地電極と光導電性薄膜
とが順に積層されてなり、前記光導電性薄膜上に電荷蓄
積可能な記録領域を有する記録媒体と、前記記録媒体の
記録領域に対向して配置された探針と、前記探針を記録
媒体上で相対的に走査させる走査手段と、前記下地電極
と探針との間にパルス電圧を印加し、前記記録領域に電
荷を蓄積することによって情報を記録する記録手段と、
前記記録媒体の光導電性薄膜に光を照射し、前記記録領
域に蓄積された電荷を放電させることによって記録され
た情報を消去する光照射手段とからなる記録・消去装置
である。
第3は、上記第2の発明の記録・消去装置に、さら
に、前述下地電極と探針との間にバイアス電圧を印加
し、下地電極と探針との間に流れる電流を検出すること
によって前記記録領域に記録された情報を再生する再生
手段を備えた記録・再生・消去装置である。
本発明は、電荷蓄積可能な記録領域の支持体に光導電
性の薄膜構造体を用いたものであり、光を照射すること
により該薄膜の導電性を一時的に高め該薄膜を通して蓄
積電荷を放電し消去を行うことによって、探針を用いず
に、かつ多数ビットを同時にアクセス可能な消去機構、
方式を提供するものである。発明の詳細を以下に述べ
る。
その記録・再生の動作原理は、探針電極から電荷蓄積
領域へキャリア(電子若しくは正孔)を注入し該領域の
電子状態あるいは電荷状態に変化を生じさせることによ
って記録を行い、係る変化を探針電極を用いて電流或は
電圧の変化として検出し記録された情報を再生するもの
である。
電荷蓄積領域を形成する材料としては、注入されるキ
ャリアが占有できる充分な準位密度を有する材料であれ
ばよい。係る準位は連続分布している必要はなく、表面
や界面の準位や不純物準位など、トラップ性の準位でも
よく、半導体や絶縁体の適用も可能である。また、無機
材料に限らず有機材料を用いることも出来る。但し、準
位密度が高い材料が本発明の適用において望まれる。具
体的にはAu,Ag,Al,Cr,Ptなどの金属や合金など、一般的
な導体が好適な材料として挙げられる。
尚、該電荷蓄積領域は物理的に区切られていることが
望ましい。その結果、記録乃至蓄積時の電荷の広がりが
制限され、従来電荷広がりサイズによって律速されてい
た記録密度の向上が図られ、また、経時による電荷拡散
が引き起こす情報消失に対して著しい特性改善を行うこ
とができる。
光導電性薄膜構造体上に、互いに孤立した微小構造体
から成る電荷蓄積領域を作製するには、従来公知の技術
を適用することができる。例えば半導体技術で広く用い
られているフォトリソグラフ技術によって、ナノメート
ル以下の微小電極を容易に形成することができる。ま
た、材料を選択することによって、パターニングを必要
としない微小構造体の形成法を採用することが可能であ
る。例えばAuの蒸着膜(膜厚、10nm以下)等のように基
板上に成長させたときに島状構造を示す材料はパターニ
ング工程を必要としないため、本発明の適用に大変好適
である。或いは、バクテリオロドプシン膜や無機の超微
粒子膜のように分子ないし分子集合体がコラム状或いは
クラスタ状に配列する材料は一般に、分子内ないし集合
体内での電気伝導性が高く、分子間ないしバンダリー間
の電気伝導性が低い特性を示す。従ってパターニング処
理を必要とせずに、互いに電気的に孤立した微小構造体
を容易に形成することができる。更に係る材料は、微小
構造体の大きさの制御性、再現性が高く、本発明に極め
て好適である。
上述した電荷蓄積領域と下地電極とに挟まれた光導電
性薄膜の形態はトンネル電流が流れる程度に充分に薄
く、かつ均一である必要がある。具体的には膜厚は、少
なくとも100nm以下であることが望まれる。更に好まし
くは30nm以下、0.3nm以上の膜厚であれば、電極間を短
絡することなく、かつ充分なトンネル電流を流すことが
できる。なお、該薄膜を構成する材料ないしその形成方
法は本発明によってなんら制限されない。例えば、光導
電材料として代表的なSi、或いはGaAs、或いはCdSe、Cd
S、ZnSなどの無機半導体材料の他、種類が豊富で材料設
計の自由度の高い光導電性有機化合物などの適用が可能
である。また、通常の蒸着や分子線エピタキシー法、ス
パッタ法、塗布法などの従来公知の薄膜形成手段によっ
て本発明の目的を達成することができる。
しかし、本発明の好適な態様においては、係る薄膜は
親水性部位と疎水性部位とを併有し、かつ光導電性を示
す有機分子からなる単分子膜または単分子累積膜によっ
て構成される。係る単分子膜または単分子累積膜は、高
度の秩序性を有し、均一で欠陥の無い超薄膜を簡易に形
成し得る点で本発明の適用に極めて好都合である。有機
分子として具体的には、親水性部位と疎水性部位を併有
した従来公知の有機色素分子がある。好適な色素として
は、例えば、シアニン色素、メロシアニン色素、フタロ
シアニン色素、トリフェニルメタン色素、アズレン色素
等が挙げられる。また、クロロフィル、ローダミン、チ
トクローム等の色素タンパク質等の生体材料の適用も可
能である。
更に、係る有機膜層を形成する好適な方法としてラン
グミュア・ブロジェット法(LB法、と略する)を挙げる
ことができる。LB法は垂直浸漬法または水平付着法のい
ずれであってもよい。トンネル電流の収量を大きくする
ために時として膜厚が数nm以下で、かつ均一であること
が要求される場合があるが、LB法であれば係る形態を容
易に実現し得る。
なお、本発明において下地電極は、導電性のバルク
(例えば金属板や不純物をドープした半導体基板な
ど)、ないし支持体としての基板上に形成された導電性
薄膜(例えば金属蒸着膜など)などいずれでもよく、従
来公知の技術によって容易に達成することができる。ま
た、係る基板は、金属、ガラス、セラミックス、プラス
チック材料等いずれの材料でもよく、更に、耐熱性の著
しく低い生体材料も使用できる。係る基板は、任意の形
状をとることができる。平板状であるのが好ましいが、
平板に何ら限定されない。すなわち前記LB法において
は、基板の表面がいかなる形状であってもその形状通り
に膜を形成し得る利点を有するからである。
[実施例] 以下実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1 第1図に基づいて本発明を説明する。
洗浄後、ヘキサメチルジシラザンの飽和蒸気中に一昼
夜放置して疎水処理したガラス基板8(コーニング社製
#7059)を支持体として、係る基板上に下地電極9/光導
電性薄膜10/絶縁性薄膜11からなる積層構造の記録媒体1
4を形成した。係る記録媒体において光導電性薄膜10と
絶縁性薄膜11との境界12に存在する界面準位が電荷蓄積
領域として機能する。また、光導電性薄膜10および絶縁
性薄膜11には、いずれもLB法により作製した単分子累積
膜を用いた。記録媒体の形成方法の詳細は以下のとおり
である。
まず、上述したガラス基板8上に、抵抗加熱法を用い
た真空蒸着によって下引き層としてCrを5nm堆積した
後、Auを30nm堆積し下地電極9を作製した。
次に、LB法を用いて色素単分子膜の累積を行い、光導
電層10の形成を行った。即ち、アズレン系色素誘導体
(詳しくは、スクアリリウム・ビス−6−オクチル・ア
ズレン)をベンゼン溶媒に1mg/mlの濃度で溶解した後、
水温17℃の純水から成る水相上に展開し、水面上に単分
子膜を形成した。蒸発によってベンゼン溶媒が除去され
るのを待って表面圧を25mN/mまで高めた後、表面圧を一
定に保ちながら、上述の下地電極が形成された基板を水
面を横切る方向に速度5mm/minで静かに浸漬した。更に
続いて、5mm/minで静かに引き上げて2層のY型単分子
累積膜を作製した。係る操作を適当回繰り返して2、
4、6、8層のアズレン系色素誘導体の単分子累積膜
(1層あたりの膜厚、1.5nm)を得た。
更に、アラキジン酸分子を用いて絶縁性の単分子累積
膜11を積層し、前記光導電層との界面に電荷蓄積領域12
を形成した。アラキジン酸膜の累積は、上記のアズレン
系色素膜と同様LB法によるものであり、この時、水温17
℃、表面圧25mN/mであった。ただし、展開溶媒にはクロ
ロホルムを用い、累積速度は10mm/min、層数は2層(膜
厚、5.5nm)とした。
以上のようにして作製した記録媒体14に対し、STMを
用いて記録・再生を試みたところ、下記第1表の如き結
果を得た。すなわち記録操作として、STMの探針電極5
を該記録媒体に充分に接近させた状態で、更に探針5と
下地電極9間に5V、200nsのパルス電圧を印加すること
で電荷注入を行なった。次に探針を一旦記録部位より遠
ざけたのち、再生操作として再度探針を該記録媒体に近
づけ、記録媒体表面と平行な方向に走査した。その結
果、下地電極と探針間に流れるトンネル電流が先に電荷
蓄積した部位15において増大することを確認した。詳し
くは、再生時のバイアス電圧を100mVとした場合、記録
操作(パルス電圧印加)を行った部位においてトンネル
電流が2倍から数10倍増加することが明かとなった。該
単分子累積膜が2層の記録媒体に関して、経時(例えば
一昼夜放置)に対して記録情報の消失の傾向が認められ
た。
次に、消去操作として、中心波長がおよそ650nmの光1
6を上述した記録媒体に対し上方より照射した。係る操
作の後、再び探針を接近させ電荷蓄積を観察したとこ
ろ、光照射した範囲において、先に蓄積された電荷の消
失が生じていることが確認され、情報の消去が行われた
ことが明らかとなった。以上の結果も併せて第1表に記
す。
なお、上記の操作を繰り返し行なっても、記録層を破
壊することなく探針を記録面に接近させることができ、
記録・再生、及び消去を容易に行なうことができた。
実施例2 実施例1と同様にしてガラス基板8(コーニング社製
#7059)上に下地電極9/光導電性薄膜10/金属薄膜17か
らなる積層構造の記録媒体を形成した。構造の概略を第
2図に示す。
光導電性薄膜10にはフタロシアニン誘導体(詳しく
は、t−ブチル・銅フタロシアニン)単分子累積膜を用
いた。係る単分子累積膜の作製方法の詳細は以下のとお
りである。
粉末状のフタロシアニン誘導体を濃度0.2mg/mlでクロ
ロホルム溶液に溶かし、水温20℃の水相上に展開し水面
上に単分子膜を形成した。溶媒の蒸発除去を待って係る
単分子膜の表面圧を20mN/mまで高め、次に表面圧を一定
に保った状態下で下地電極が蒸着された基板を水面を横
切る方向に速度10mm/分で静かに浸漬し、続いて5mm/分
で静かに引き上げ2層のY型単分子膜を係る基板上に累
積した。累積操作を4回繰り返すことによって該基板上
に8層の単分子累積膜を形成した。
一方、金属薄膜にはAuを用い、通常の抵抗加熱法によ
る真空蒸着(基板温度:室温、成長速度:0.2nm/s)によ
って、前記光導電性薄膜10上への堆積を行った。但しこ
の時、膜厚を5nmと薄く制御した結果、金属薄膜として
島状の金属微小構造体17が得られた。微小構造体間には
バンダリー18が存在し、電気的に互いに孤立した該微小
構造体が電荷蓄積領域として機能する。既述したよう
に、電荷蓄積領域を物理的に区切ることによって、記録
時、乃至蓄積時の電荷の広がりが制限され、従来、電荷
広がりサイズによって律速されていた記録密度の向上が
図られ、また、経時による電荷拡散が引き起こす情報消
失に対して著しい特性改善を行うことができる。
上記の方法によって作製した記録媒体に対し、実施例
1と同様にしてSTMを用いて記録・再生を試みた。その
結果、記録媒体あるいは記録領域を破壊することなく容
易に探針を記録面に接近させることができ、更に記録を
容易に行なうことができた。探針を一旦記録部位より遠
ざけ再度記録した部位の記録再生を行なったところ容易
に再生を行なうことができた。また、実施例1同様、光
照射によって蓄積電荷の消去を行えることも確認した。
なお、走査型電子顕微鏡を用いて該記録媒体の観察を
行ったところ、各記録領域(Au島状電極)の大きさはい
ずれも直径約30nm以下で、最も小さい記録領域で直径数
nmであった。面積に換算しておよそ10-5μm2であり、
前述のクエートらによる記録・再生装置と比較して、記
録媒体形成法が容易であるにも関わらず記録密度が一桁
以上向上していることがわかる。
実施例3 実施例1の記録媒体のうち、単分子累積膜層数が4の
記録媒体に対し、第4図に示すブロック構成図のSTMを
用い記録・再生及び第3図に示す光による消去を行っ
た。その詳細は以下のとおりである。
上述した記録媒体14をXYステージ32上に固定した。XY
ステージは粗動機構31によって、約0.1μmの精度で最
大2mmまで水平方向に移動することができる。記録媒体
上の任意の領域を選択した後に、Z方向の粗動機構28を
用いて探針電極5を記録媒体14におおよそ接近させた。
更に、サーボ回路25を用いて探針を記録媒体表面に1nm
以下の距離まで接近させ、係る状態下で探針電極に5V、
200nsのパルス電圧を印加し、記録層13への電荷注入を
行い記録操作とした。次に探針を一旦記録部位より遠ざ
けたのち、再生操作として再度探針を該記録媒体に近づ
け記録媒体表面と平行な方向に走査し、このときの探針
に流れるトンネル電流の値から記録したデータの読みだ
しを行った。その結果、下地電極と探針間に流れるトン
ネル電流が先に電荷蓄積した部位15(第3図)において
増大することを確認した。詳しくは、再生時のバイアス
電圧を100mVとした場合、記録部位(パルス電圧印加を
行った位置)においてトンネル電流が一桁程度増加する
ことが確認された。
次に消去操作を行った。具体的には、STMのXYステー
ジ上に固定されたままの状態の記録媒体に、約4cm上方
に設置した赤色LED 20からの光22を照射した。このとき
記録媒体全体が均一に照射されるようLEDと記録媒体間
に乳白色の散乱板(透過率70%)21を設けた。係る操作
の後、光照射装置を取り除き、再び探針5を接近させ記
録媒体上の電荷蓄積を観察したところ、先に蓄積された
電荷の消失が生じていることが確認された。即ち光照射
によって既に記録した情報の消去が行われることが明ら
かとなった。
なお、上記の操作を繰り返し行なっても、記録層を破
壊することなく探針を記録面に接近させることができ、
記録・再生、及び消去を容易に行なうことができた。
実施例4 実施例2で作製した記録媒体に対し、実施例3と同様
にしてデータの記録と消去を試みた。用いた装置のブロ
ック構成図を第5図に示す。実施例3と異なる点は、光
照射36に、コリメータ35を通して約1μmまでビーム径
を絞った半導体レーザ34の出力光(中心波長〜650nm、
出力約4mW)を用いたことにある。斜め上方より照射す
ることにより、探針等を取り除くことなく光照射が行え
た。記録操作に関しては、実施例1同様、記録媒体ある
いは記録領域を破壊することなく容易に探針を記録面に
接近させることができ、また、電圧印加によって電荷蓄
積を容易に行なうことができた(再生操作によって確
認)。更に、上述した装置によって光照射を行ったとこ
ろ、蓄積電荷の消失が生じ、係る装置においても記録、
消去が容易に行えることがわかった。
尚、本実施例では照射領域はスポット形状、即ちビー
ム径で制限される範囲であったが、光源を固定したま
ま、記録媒体14を設置しているXYステージ32を水平方向
に動かすことによって光照射領域を走査させ、広範囲に
わたる光照射を行うことは容易である。具体的には、ST
Mの水平方向の粗動機構31を用いて係る目的を達成する
ことができる。即ち、STM粗動機構として設けられた駆
動系は、本実施例で示したリニア・アクチュエータに限
らず一般に、0.1μmオーダ以下の分解能、精度を有し
ており、記録媒体を相対的に動かし光ビームを走査させ
る機構として最適である。また、別途、走査機構を設け
る必要がないことから記録装置と消去装置を併設する場
合に、機構およびシステム全体が複雑化、大型化する事
なく、容易に実現することが可能である。
但し、STM記録と光消去を同時に、かつ非同期で行う
必要がある場合などに於いては、STM用粗動機構とは独
立した光走査機構を設けること、具体的には従来公知の
ミラーを用いた光ビーム走査系などを用いることで本発
明の目的を達成することができる。走査機構、方式は本
発明を何等制限するものではない。
[発明の効果] 本発明によれば、簡便な消去機構を有し、かつ高密度
(10-5〜10-6μm2/ビット)な記録が可能な記録・消
去装置を提供することができる。また、多数ビットの同
時消去が可能で、多量のデータ消去に対する再現性を高
め、更に消去操作の高速応答を可能にした。
また、本発明の記録・消去装置及び記録・再生・消去
装置は、半導体メモリで通常用いられている様な複雑な
パターンないしマトリックス回路を必要としないため記
録媒体に限らず装置全体の小型化に適している。更に、
記録媒体に関し安価な有機材料を用いることが可能で、
かつ製造プロセスが簡単であることから経済的な面での
効果も著しい。
【図面の簡単な説明】
第1図は絶縁性薄膜/光導電性薄膜界面を記録領域と
し、光消去機構を有した記録媒体を用いた本発明の記録
・再生・消去装置の概略図、第2図はグレイン状の上部
微細電極を記録領域とした本発明で用いる記録媒体の断
面の概略図、第3図はLEDからの光を照射して消去を行
う本発明の記録・再生・消去装置の概略図、第4図は本
発明の実施例において記録・再生装置として用いたSTM
のブロック構成図、第5図はレーザ光による消去装置を
有する本発明の記録・再生・消去装置のブロック構成
図、第6図はヘテロ構造の絶縁膜界面に電荷を蓄積し、
記録・再生を行なう従来の装置の概略図である。
フロントページの続き (72)発明者 黒田 亮 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 能瀬 博康 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−35743(JP,A) 特開 昭64−35744(JP,A) 特開 平3−71453(JP,A) 特開 平3−503463(JP,A) 特開 平3−156749(JP,A) 特開 平4−1951(JP,A) 特開 平4−1950(JP,A) 特開 平4−90151(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 9/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に少なくとも下地電極と光導電性薄
    膜とが順に積層されてなり、前記光導電性薄膜上に電荷
    蓄積可能な記録領域を有する記録媒体を用い、該記録媒
    体の記録領域に対向して配置された探針で該記録媒体上
    を相対的に走査しながら、前記下地電極と探針との間に
    パルス電圧を印加し、前記記録領域に電荷を蓄積するこ
    とによって情報を記録し、前記記録媒体の光導電性薄膜
    に光を照射し、前記記録領域に蓄積された電荷を放電さ
    せることによって記録された情報を消去する記録・消去
    方法。
  2. 【請求項2】前記記録媒体が、前記光導電性薄膜上に絶
    縁性薄膜を有し、情報記録時に該光導電性薄膜と絶縁性
    薄膜との界面に電荷が蓄積される請求項1に記載の記録
    ・消去方法。
  3. 【請求項3】前記記録媒体が、前記光導電性薄膜上に金
    属又は合金薄膜からなる電荷蓄積体を有する請求項1記
    載の記録・消去方法。
  4. 【請求項4】前記光導電性薄膜が30nm以下の膜厚を有す
    る有機材料の薄膜からなる請求項1〜3のいずれかに記
    載の記録・消去方法。
  5. 【請求項5】前記有機材料の薄膜が、親水性部位と疎水
    性部位とを併有する有機化合物の単分子膜又は該単分子
    膜を累積してなる膜から構成される請求項4に記載の記
    録・消去方法。
  6. 【請求項6】基板上に少なくとも下地電極と光導電性薄
    膜とが順に積層されてなり、前記光導電性薄膜上に電荷
    蓄積可能な記録領域を有する記録媒体と、前記記録媒体
    の記録領域に対向して配置された探針と、前記探針を記
    録媒体上で相対的に走査させる走査手段と、前記下地電
    極と探針との間にパルス電圧を印加し、前記記録領域に
    電荷を蓄積することによって情報を記録する記録手段
    と、前記記録媒体の光導電性薄膜に光を照射し、前記記
    録領域に蓄積された電荷を放電させることによって記録
    された情報を消去する光照射手段とからなる記録・消去
    装置。
  7. 【請求項7】前記記録媒体が、前記光導電性薄膜上に絶
    縁性薄膜を有し、情報記録時に該光導電性薄膜と絶縁性
    薄膜との界面に電荷が蓄積される請求項6に記載の記録
    ・消去装置。
  8. 【請求項8】前記記録媒体が、前記光導電性薄膜上に金
    属又は合金薄膜からなる電荷蓄積体を有する請求項6記
    載の記録・消去装置。
  9. 【請求項9】前記光導電性薄膜が30nm以下の膜厚を有す
    る有機材料の薄膜からなる請求項6〜8のいずれかに記
    載の記録・消去装置。
  10. 【請求項10】前記有機材料の薄膜が、親水性部位と疎
    水性部位とを併有する有機化合物の単分子膜又は該単分
    子膜を累積してなる膜から構成される請求項9に記載の
    記録・消去装置。
  11. 【請求項11】請求項7〜10のいずれかに記載の記録・
    消去装置に、さらに、前記下地電極と探針との間にバイ
    アス電圧を印加し、下地電極と探針との間に流れる電流
    を検出することによって前記記録領域に記録された情報
    を再生する再生手段を備えた記録・再生・消去装置。
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