JP2981789B2 - 記録媒体及び情報処理装置 - Google Patents

記録媒体及び情報処理装置

Info

Publication number
JP2981789B2
JP2981789B2 JP3205625A JP20562591A JP2981789B2 JP 2981789 B2 JP2981789 B2 JP 2981789B2 JP 3205625 A JP3205625 A JP 3205625A JP 20562591 A JP20562591 A JP 20562591A JP 2981789 B2 JP2981789 B2 JP 2981789B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording
recording medium
electrode
substrate
probe electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3205625A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0528549A (ja
Inventor
一佐哲 河出
明美 石崎
有子 森川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP3205625A priority Critical patent/JP2981789B2/ja
Publication of JPH0528549A publication Critical patent/JPH0528549A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2981789B2 publication Critical patent/JP2981789B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Semiconductor Memories (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査型トンネル顕微鏡
の原理を応用した大容量高密度記録媒体に使用される記
録媒体及びそれを用いた情報処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、メモリー素子の用途はコンピュー
タ及びその関連機器、ビデオディスク、ディジタルオー
ディオディスク等のエレクトロニクス産業の中核をなす
ものであり、その開発も活発に進んでいる。メモリー素
子に要求される性能は一般的には (1)高密度で、記録容量が大きい (2)記録・再生の応答速度が速い (3)エラーレートが小さい (4)消費電力が少ない (5)生産性が高く、価格が安い等が挙げられる。
【0003】従来までは、磁性体や半導体を素材とした
磁気メモリー、半導体メモリーが主流であったが、近年
レーザー技術の進展に伴い、有機色素、フォトポリマー
などの有機薄膜を用いた安価で高密度な記録媒体を用い
た光メモリー素子などが登場してきた。
【0004】一方、最近、導体の表面原子の電子構造を
直接観測できる走査型トンネル顕微鏡(以後STMと略
す)が開発され(ジー・ビーニッヒら,フェルベティカ
フィジィカ アクタ,55,726(198
2).)、単結晶、非晶質を問わず実空間像の高い分解
能の測定ができるようになり、しかも、媒体に電流によ
る損傷を与えることなく低電力で観測できる利点をも有
し、更に大気中でも動作させることが可能であるため広
範囲な応用が期待されている。
【0005】かかるSTMは、金属の探針(プローブ電
極)と導電性物質の間に電圧を加えて1nm程度の距離
まで近づけると、その間にトンネル電流が流れることを
利用している。この電流は両者の距離変化に非常に敏感
であり、トンネル電流を一定に保つように探針を走査す
ることにより実空間の表面構造を描くことができると同
時に、表面原子の全電子雲に関する種々の情報をも読み
とることができる。
【0006】この際、面内方向の分解能は0.1nm程
度である。従って、STMの原理を応用すれば十分に原
子オーダー(0.数nm)での高密度記録再生を行うこ
とが可能である。この際の記録再生方法としては、プロ
ーブ電極と基板電極間に局所的電界を加えることによ
り、基板電極の表面形状を局所的に変化させる方法や、
粒子線(電子線、イオン線)或はX線等の高エネルギー
電磁波及び可視・紫外光等のエネルギー線を用いて適当
な記録層の表面状態を変化させて記録を行いSTMで再
生する方法や、記録層として電圧・電流のスイッチング
特性に対してメモリ効果をもつ材料、例えばπ電子系有
機化合物やカルコゲン化物類の薄膜層を用いて、記録・
再生をSTMを用いて行う方法等が提案されている。こ
の方法によれば、記録のビットサイズを10nmとすれ
ば、1012bit/cm2もの大容量記録再生が可能で
ある。
【0007】図3にSTMを応用した記録再生装置の構
成例を示す。以下、図面に従って説明する。本図の中心
にあるものが、基板101,基板電極102,記録層1
03からなる記録媒体である。201はプローブ電極、
202はXYステージ、203はプローブ電極の支持
体、204はプローブ電極をZ方向に駆動するZ軸リニ
アアクチュエータ、205,206はXYステージをそ
れぞれX,Y方向に駆動するリニアアクチュエータであ
る。
【0008】301はプローブ電極201から記録層1
03を介して電極層102へ流れるトンネル電流を検出
する増幅器である。302はトンネル電流の変化をプロ
ーブ電極201と記録層103の間隙距離に比例する値
に変換するための対数圧縮器、303は記録層103の
表面凹凸成分を抽出するための低域通過フィルタであ
る。304は基準電圧VREFと低域通過フィルタ303
の出力との誤差を検出する誤差増幅器、305はZ軸リ
ニアアクチュエータ204を駆動するドライバーであ
る。306はXYステージの位置制御を行う駆動回路で
ある。307はデータ成分を分離する高域通過フィルタ
である。
【0009】207はプローブ電極201と電極102
の間に記録・再生・消去用のパルス電圧を印加するため
の回路である。パルス電圧を印加するときプローブ電流
が急激に変化するためドライバー305は、その間出力
電圧を一定になるように、HOLD回路をONになるよ
うに制御している。
【0010】図4に、従来例の記録再生装置の主要部の
模式図である記録媒体1の断面とプローブ電極201の
先端を示す。本図中、401は記録層103に記録され
たデータビット、402は基板101上に電極層102
を形成したときにできた結晶粒である。この結晶粒40
2の大きさは電極層102の材料として通常の金属を用
い、真空蒸着法やスパッタ法等により形成した場合30
〜50nm程度である。
【0011】プローブ電極201と記録層103との間
隙は、図3に示された回路構成により一定に保つことが
できる。即ち、プローブ電極201と記録層103の間
に流れるトンネル電流を検出し対数圧縮器302、低域
通過フィルタ303を介した後、この値を基準電圧と比
較し、この比較値が零に近付くようにプローブ電極20
1を支持するZ軸リニアアクチュエータ204を制御す
ることにより、プローブ電極201と記録層103の間
隙を一定にすることができる。
【0012】さらに、XYステージ202を駆動するこ
とにより、記録媒体の表面をプローブ電極201がなぞ
り、a点(図3)の信号の高域周波数成分を分離するこ
とにより、記録層103のデータを検出できる。
【0013】このときのa点の信号の周波数に対する信
号強度スペクトラムを図5に示す。f0以下の周波数成
分の信号は基板101の反り、歪等による媒体の緩やか
な起伏によるものである。f1を中心とした信号は記録
層103の表面の凹凸によるもので、主として電極材料
形成時に生じる結晶粒402によるものである。f2
記録データの搬送波成分で、403はデータ信号帯域を
示す。f3は記録層103の原子、分子配列から生じる
信号成分である。また、fTはトラッキング信号であ
る。図3の記録再生装置においては図示されていない
が、トラッキング信号fTは、データ列をプローブ電極
201が追跡できるようにするための信号で、媒体上に
段差を形成するか、トラックから外れると検出できる信
号を書き込むことにより実現している。
【0014】また、基板電極の形成方法としては、以上
述べた方法とは別に、真空蒸着において結晶性基板を加
熱し基板上に生じるエピタキシャル成長を利用し、基板
電極を形成するという高結晶性・高配向性膜形成の観点
からの試みや、通常の蒸着基板を加熱処理して、基板電
極層を再結晶化する試みがある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従来例に示された基板
電極を記録再生装置に使用される記録媒体に用いた場
合、以下のような問題点があった。
【0016】(1)通常の蒸着方法で基板電極を形成す
る場合 .STMの特徴である高分解能を生かし高密度記録を
行うには、データ信号帯域403をf1とf3の間に置く
ことが好ましい。この場合、データ成分を分離するため
遮断周波数fCの高域通過フィルタ307を用いる。し
かしながら、f1の信号成分の裾野がデータ信号帯域4
03と重なっている。これはf1の信号成分が電極層1
02の結晶粒402に起因しているためであり、結晶粒
402の30〜50nmに対しデータの記録サイズ及び
ビット間隔が1〜10nmと接近していることによる。
【0017】このため、データ再生のS/Nが低下する
恐れがあった。
【0018】.トラッキング信号fTはf0の近傍にし
か置くことができない。このため、トラッキング信号f
Tはデータ信号帯域に比べかなり低い周波数となってし
まい、トラッキングのデータ追跡精度が落ちる。このこ
とは、結果としてデータの読み取り誤り率を高くして、
記録再生装置としての信頼性を低下させている。
【0019】(2)エピタキシャル成長を利用して基板
電極を形成する場合 .エピタキシャル成長を利用した方法は、基板を高温
の、ある一定温度に保つことが困難であることと、ま
た、使用できる基板が結晶性の物に限られるという問題
点がある。
【0020】(3)通常の蒸着方法で形成した基板電極
を加熱処理する場合 .この方法では上述,の課題を防ぐほどの平滑性
を達成しようとすると、基板電極膜にダメージが加わる
場合が必要であった。
【0021】すなわち、本発明の目的とするところは、
上述した従来技術の問題点に鑑み、アモルファスカーボ
ン層を用いた電気的な高密度記録・再生等を行える高い
S/N比、高速アクセスが得られる記録媒体及びそれを
用いた情報処理装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の特徴と
するところは、プローブ電極により素子に流れる電流を
検出して情報の記録再生等を行う情報処理装置に用いる
記録媒体であって、該プローブ電極と対向配置する基板
電極上にアモルファスカーボン層を設け、該アモルファ
スカーボン層上に電気メモリー効果を有する記録層を積
層した記録媒体、としている点にある。
【0023】
【0024】さらには、前記記録層が、有機化合物の単
分子膜又は該単分子膜を累積した累積膜を有している記
録媒体を特徴とするものである。
【0025】また、前記有機化合物が分子中に共役π電
子系を持つ群とσ電子準位を持つ群とを有する記録媒体
をも特徴としている。
【0026】前記アモルファスカーボン層は、下地であ
る基板電極の材料に関わらず、該基板電極表面に存在し
た凹凸を緩和し平坦化する作用がある。しかも、LB法
により単分子膜を累積して記録層を形成する際には、親
水性を有する材料を使用した基板電極の場合疎水化処理
を行わなければならないが、本発明ではアモルファスカ
ーボン層は疎水性であるために、平坦化と同時に疎水化
も実現可能となる。尚、アモルファスカーボンは導電性
材料であり、基板電極としての役割も同時に果たしてい
る。
【0027】本方法により、基板電極の材質に拘わらず
表面を平坦化することが可能であり、かつ疎水化が同時
に実現される。その結果、プローブ電極を用いた電気的
な高密度の記録・再生を行う場合において、高いS/N
比、高速アクセスが得られる記録媒体を容易に提供する
ことが可能となる。
【0028】さらに、本発明の特徴とするところは、上
述のような記録媒体と、該記録媒体に対向配置させたプ
ローブ電極と、該記録媒体とプローブ電極間に電圧を印
加する手段と、該記録媒体とプローブ電極との間に流れ
るトンネル電流を検知する手段、とを少なくとも有して
情報の記録又は再生を行う情報処理装置、としている点
にある。
【0029】以下、本発明について詳細に説明する。
【0030】本発明の記録媒体の一例として、図1にそ
の断面図を示す。本発明に用いられる基板101として
は、基板電極102を支持するために用いるので、表面
がある程度平滑であればどの様な材料を用いても良い
が、基板電極の形成法によって若干利用できる基板材料
は限定される。
【0031】この様な基板上に形成する基板電極の材料
としては、高い導電性を有するものであればよく、例え
ばAu,Pt,Ag,Pd,Al,In,Sn,Pd,
Wなどの金属やこれらの合金、さらにはグラファイトや
シリサイド、またさらにはITOなどの導電性酸化物を
始めとして数多くの材料が挙げられ、これらの本発明へ
の適用が考えられる。かかる材料を用いた電極形成法と
しても、従来公知の薄膜技術で十分である。
【0032】本発明における、アモルファスカーボン層
104の形成に関しても、従来公知の薄膜技術で充分で
あり、真空蒸着法(抵抗加熱法)等が挙げられる。ま
た、アモルファスカーボン層の膜厚に関しては、基板電
極の平滑性にもよるが、3nm以上が好ましい。
【0033】本発明で用いる記録層103の形成に関し
ては、具体的には蒸着法やクラスターイオンビーム法等
の適用も可能であるが、制御性,容易性,再現性、そし
て、記録層表面の平滑性から公知の従来技術の中ではL
B法が極めて好適である。
【0034】このLB法によれば、1分子中に疎水性部
位と親水性部位とを有する有機化合物の単分子膜または
その累積膜を基板上に容易に形成することができ、分子
オーダーの厚みを有し、かつ大面積にわたって均一、均
質で基板電極の平滑性を反映した平滑性を持つ有機超薄
膜を安定に供給することができる。
【0035】かかるLB法は、分子内に親水性部位と疎
水性部位とを有する構造の分子において、両者のバラン
ス(両親媒性のバランス)が適度に保たれているとき、
分子は水面上で親水性基を下に向けて単分子の層になる
ことを利用して単分子膜またはその累積膜を形成する方
法である。
【0036】ここで、疎水性部位を構成する基として
は、一般に広く知られている飽和及び不飽和炭化水素基
や縮合多環芳香族基及び鎖状多環フェニル基等の各種疎
水基が挙げられる。これらは、各々単独又はその複数が
組み合わされて疎水性部位を構成する。
【0037】一方、親水性部位の構成要素として最も代
表的なものは、例えばカルボキシル基、エステル基、酸
アミド基、イミド基、ヒドロキシル基、更にはアミノ基
(1,2,3級及び4級)等の親水性基等が挙げられ
る。これらも各々単独又はその複数が組み合わされて上
記分子の親水性部分を構成する。
【0038】これらの疎水性基と親水性基をバランス良
く併有し、絶縁性を有する有機分子であれば、水面上で
単分子膜を形成することが可能であり、本発明に対して
極めて好適な材料となる。
【0039】本発明で用いる記録層としては、電流−電
圧特性に於いてメモリースイッチング現象(電気メモリ
ー効果)を有する材料、例えば、共役π電子系をもつ群
とσ電子準位のみを有する群を併有する分子を電極上に
積層した有機単分子膜あるいはその累積膜を用いること
が可能となる。電気メモリー効果は前記の有機単分子
膜、その累積膜等の薄膜を一対の電極間に配置させた状
態でそれぞれ異なる2つ以上の導電率を示す状態(図
7:ON状態、OFF状態)へ遷移させることが可能な
しきい値を越えた電圧を印加することにより、可逆的に
低抵抗状態(ON状態)および高抵抗状態(OFF状
態)へ遷移(スイッチング)させることができる。ま
た、それぞれの状態は電圧を印加しなくとも保持(メモ
リー)しておくことができる。
【0040】一般に、有機材料のほとんどは絶縁性もし
くは半絶縁性を示すことから、本発明に適用可能な、共
役π電子系を持つ群を有する有機材料は著しく多岐にわ
たる。
【0041】本発明に好適なπ電子系を有する色素の構
造としては、例えばフタロシアニン、テトラフェニルポ
ルフィリン等のポルフィリン骨格を有する色素、スクア
リリウム基及びクロコニックメチン基を結合鎖として持
つアズレン系色素及びキノリン、ベンゾチアゾール、ベ
ンゾオキサゾール等の2個の含窒素複素環をスクアリリ
ウム基及びクロコニックメチン基により結合したシアニ
ン系類似の色素、またはシアニン色素、アントラセン及
びピレン等の縮合多環芳香族、及び芳香環及び複素環化
合物が重合した鎖状化合物及びジアセチレン基の重合
体、さらにはテトラシアノキノジメタンまたはテトラチ
アフルバレンの誘導体およびその類縁体およびその電荷
移動錯体、またさらにはフェロセン、トリスビピリジン
ルテニウム錯体等の金属錯体化合物が挙げられる。
【0042】本発明に好適な高分子材料としては、例え
ばポリアクリル酸誘導体等の付加重合体、ポリイミド等
の縮合重合体、ナイロン等の開環重合体、バクテリオロ
ドプシン等の生体高分子が挙げられる。
【0043】具体例としては、例えば下記の如き分子等
が挙げられる。 <有機材料> [I]クロコニックメチン色素
【0044】
【化1】
【0045】
【化2】
【0046】
【化3】
【0047】
【化4】
【0048】
【化5】
【0049】
【化6】
【0050】
【化7】
【0051】
【化8】
【0052】
【化9】
【0053】
【化10】
【0054】
【化11】 ここでR1は前述のσ電子準位をもつ群に相当したもの
で、しかも水面上で単分子膜を形成しやすくするために
導入された長鎖アルキル基で、その炭素数nは5≦n≦
30が好適である。 [II]スクアリリウム色素 [I]で挙げた化合物のクロコニックメチン基を下記の
構造を持つスクアリリウム基で置き換えた化合物。
【0055】
【化12】
【0056】
【化13】[III]ポルフィリン系色素化合物
【0057】
【化14】
【0058】
【化15】 Rは単分子膜を形成しやすくするために導入されたもの
で、ここで挙げた置換基に限るものではない。又、R1
〜R4,Rは前述したσ電子準位をもつ群に相当してい
る。 [IV]縮合多環芳香族化合物
【0059】
【化16】
【0060】
【化17】
【0061】
【化18】
【0062】
【化19】 [V]ジアセチレン化合物
【0063】
【化20】 Xは親水基で一般的には−COOHが用いられるが−O
H,−CONH2等も使用できる。 [VI]その他
【0064】
【化21】
【0065】
【化22】
【0066】
【化23】
【0067】
【化24】
【0068】
【化25】
【0069】
【化26】 <有機高分子材料>
【0070】
【化27】
【0071】
【化28】 ここで、R1は水面上で単分子膜を形成し易くするため
に導入された長鎖アルキル基で、その炭素数nは5≦n
≦30が好適である。また、R5は短鎖アルキル基であ
り、炭素数nは1≦n≦4が好適である。重合度mは1
00≦m≦5000が好適である。
【0072】以上、具体例として挙げた化合物は基本構
造のみであり、これら化合物の種々の置換体も本発明に
おいて好適であることは言うにおよばない。尚、上記以
外でもLB法に適している有機材料、有機高分子材料で
あれば、本発明に好適なのは言うまでもない。例えば、
近年研究が盛んになりつつある生体材料(例えばバクテ
リオロドプシンやチトクロームC)や合成ポリペプチド
(PBLG)等も適用が可能である。
【0073】これらの共役π電子系を有する化合物の電
気メモリー効果は、数10μm以下の膜厚のもので観測
されているが、記録・再生時にプローブ電極と基板電極
間に流れるトンネル電流を用いるため、プローブ電極と
基板電極間にトンネル電流が流れるよう両者間の距離を
近づけなければならないので、本発明の記録層の膜厚
は、0.数nm以上10nm以下、好ましくは、0.数
nm以上3nm以下である。
【0074】また、プローブ電極201の材料は、導電
性を示すものであれば何を用いてもよく、例えばPt,
Pt−Ir,W,Au,Ag等が挙げられる。プローブ
電極201の先端は、記録・再生・消去の分解能を上げ
るためできるだけ尖らせる必要がある。本発明では、針
状の導電性材料を電解研磨法を用い先端形状を制御し
て、プローブ電極201を作製しているが、プローブ電
極201の作製方法及び形状は何らこれに限定するもの
ではない。
【0075】更には、プローブ電極201の本数も1本
に限る必要もなく、位置検出用と記録・再生用とを分け
る等、複数のプローブ電極を用いても良い。このプロー
ブ電極201から記録層103に電圧を印加することに
よって記録・再生を行う。
【0076】本発明に係る情報処理装置を示した図3中
a点の信号の周波数スペクトラムを図2に示す。f0
下の周波数成分の信号は基板101の反り、歪等による
媒体の緩やかな起伏によるものである。f2は記録デー
タの搬送波成分で、403はデータ信号帯域を示す。f
3は記録層103の原子、分子配列から生じる信号成分
である。また、fTはトラッキング信号である。f1を中
心とした信号は基板の表面の僅かな凹凸を反映したもの
であり、この凹凸はデータの記録信号と同等もしくは記
録信号より小さくなるような基板を用意している。この
凹凸の変化はSTMを応用した記録再生では1nm以下
である。また、本発明による記録媒体では記録層103
表面の平滑面の大きさが1μm角以上になる。
【0077】このことと、基板電極上にアモルファスカ
ーボン層を設けた記録媒体を用いることにより、以下の
ような作用効果がある。 .記録層103表面の凹凸による信号成分f1とデー
タ信号帯域403は重なり合うことはなく、f1のスペ
クトラムの広がりによるS/Nの低下はない。即ち、デ
ータ誤り率を小さくすることができる。 .トラッキング信号fTをデータ信号帯域403の近
傍に置くことができる。つまり、トラッキング信号fT
の周波数を高く採れることから、トラッキングの追跡精
度を十分に確保することができる。 .トラッキング信号fTの周波数が高いことから、こ
のトラッキングのための溝を記録媒体へ形成する場合は
データビット401サイズとほぼ同程度の形状で良く、
記録密度を犠牲にすることなくトラッキングを行うこと
ができる。 .記録層103表面の凹凸がないため、記録層103
表面とプローブ電極201との間隙を一定にしながらX
Y走査を行うときの、プローブ電極201のZ軸の変位
は少ない。このため極めて高速にXYステージを駆動す
ることができる。 .記録層103表面の凹凸がないことから、プローブ
電極201の先端、即ちトンネル電流が流れる先端原子
の位置が安定して選択される。また凹凸のある記録層1
03表面でみられるようなプローブ電極201の複数の
原子と記録層103との間で、トンネル電流が流れるゴ
ースト現象がなくなる。 .基板電極の真空蒸着において、結晶性基板を加熱
し、かかる基板上にエピタキシャル成長を利用し基板電
極を形成する方法に比べて、複雑な工程が全く不要とな
り、また、結晶性基板以外の基板に使用することができ
る。
【0078】
【実施例】以下、本発明を実施例に従って説明する。
【0079】(実施例1)光学研磨したガラス基板(コ
ーニング社製#7059)を中性洗剤およびトリクレン
を用いて洗浄して基板101とした。続いて、基板10
1上にスパッタ法により厚さ100nmのITOを成膜
して基板電極102を形成した。さらに、ITO基板電
極上にカーボンを真空蒸着法(抵抗加熱)により成膜し
た。これによりカーボンはITO電極上にアモルファス
状に成膜され、アモルファスカーボン層104が形成さ
れた。アモルファスカーボン層の膜厚は5nm、10n
m、20nmの3種類を成膜した。ITO表面の性質は
本来親水性であるがアモルファスカーボンの被膜により
疎水性を示した。これにより、従来の疎水化処理が不要
となった。かかる基板を担体として、下記LB法により
ポリイミド(以下PIと略記する)単分子膜を累積し、
これを記録層103とした。
【0080】以下に、このLB膜の成膜方法を示す。
【0081】化29式に示すポリアミック酸(以下PA
と略す)をN,N−ジメチルアセトアミド−ベンゼン混
合溶液(1:1V/V)に溶解させた(単量体換算濃度
1×10-3M)後、別途調整したN,N−ジメチルオク
タデシルアミンの同溶媒による1×10-3Mとを1:2
(V/V)に混合して、化30式に示すポリアミド酸オ
クタデシルアミン塩溶液を調整した。かかる溶液を、2
0℃の純水上に展開し、水面から溶媒を蒸発除去させた
後、その表面圧を25mN/mに高めて水面上単分子膜
を形成させた。
【0082】次に、この表面圧を一定に保持したまま、
前記基板を水面に横切るように速度5mm/分で静かに
浸漬し、更に引き上げる動作を繰り返して4層のY形単
分子膜の累積を行った。最後に、かかる基板を300℃
で10分間熱処理することによりPA累積膜をイミド化
して(化31式)、記録層103となるPI薄膜を形成
し、記録媒体1を得た。
【0083】
【化29】
【0084】
【化30】
【0085】
【化31】 次に、上述した方法により作製した記録媒体を、図3に
示す情報処理装置のXYステージ202上に設置し、白
金/ロジウムのプローブ電極201を用いて表面形状を
調べたところ、記録媒体の表面がアモルファスカーボン
層の平滑性を反映しており、アモルファスカーボン層の
膜厚が20nmの記録媒体は、10μm角において表面
凹凸は1nm以下であった(他の記録媒体は、若干の凹
凸が観察された)。
【0086】すなわち、ITO基板電極の結晶粒界部分
に存在した数nm〜数10nmの凹凸が、アモルファス
カーボン層によって緩和され、平滑性が向上しているこ
とが確認された。
【0087】次に、アモルファスカーボン層の膜厚が2
0nmの記録媒体について、記録・再生・消去の実験を
行った。プローブ電極201と記録媒体の電極層102
との間に+1.5Vの電圧を印加し、電流をモニターし
ながらプローブ電極201と記録層103表面との距離
(Z)を調整した。この時、プローブ電極201と記録
層103表面との距離Zを制御するためのプローブ電流
Pを、10-10A≧IP≧10-11Aになるように設定し
た。
【0088】次に、プローブ電極201を走査させなが
ら、10nmピッチで情報の記録を行った。かかる情報
の記録は、プローブ電極201を+側、電極層102を
−側にして、電気メモリー材料(ポリイミドLB膜4
層)が低抵抗状態(ON状態)に変化する図6に示すし
きい値電圧VthON以上の矩形パルス電圧を加えた。そ
の後、プローブ電極201を記録開始点に戻し、再び記
録層103上を走査させた。この時、記録の読み出し時
に於いては、Z=一定になるように調整した。その結
果、記録ビットに於いては、10nA程度のプローブ電
流が流れ、ON状態となっていることが示された。
【0089】なお、プローブ電圧を電気メモリー材料が
ON状態からOFF状態に変化するしきい値電圧Vth
FF以上の10Vに設定、再び記録位置をトレースした
結果、全ての記録状態が消去されOFF状態に遷移した
ことも確認した。
【0090】(実施例2)実施例1に対して真空蒸着に
より形成する基板電極102の材料をAgに変えた以外
は、実施例1と全く同様にして3種類の記録媒体1を作
製した。ただし、Ag表面の性質は本来親水性である
が、アモルファスカーボン層の形成により疎水性となっ
ており、疎水化処理を省くことができた。
【0091】次に、実施例1と同様に、かかる記録媒体
の表面凹凸形状を調べたところ、アモルファスカーボン
層厚が5nm,10nm,20nmの全てのものに関
し、10μm角においてその表面の凹凸は1nm以下で
あった。
【0092】さらに記録・再生・消去の実験を行ったと
ころ、実施例1と同様の結果を得た。
【0093】(実施例3)実施例1に対して真空蒸着に
より形成する基板電極102の材料をAuに変えた以外
は、実施例1と全く同様にして3種類の記録媒体1を作
製した。ただし、この時、Auと基板の密着性を向上さ
せるためにAuの下引き層として膜厚5nmのCr層を
真空蒸着法により形成している。
【0094】次に、実施例1と同様に、かかる記録媒体
の表面凹凸形状を調べたところ、アモルファスカーボン
層厚が5nm,10nm,20nmの全てのものに関
し、10μm角においてその表面の凹凸は1nm以下で
あった。
【0095】さらに記録・再生・消去の実験を行ったと
ころ、実施例1と同様の結果を得た。
【0096】以上の実施例より、基板電極上にアモルフ
ァスカーボン層を設けることにより、基板電極の平坦性
が向上し、なおかつ疎水面を保つことができるため、プ
ローブ電極を用いた電気的な高密度記録・再生等を行う
情報処理装置において、高いS/N比、高速アクセスが
得られる記録媒体を容易に提供することが可能となっ
た。
【0097】ただし、成膜するアモルファスカーボン層
の膜厚は基板電極の材料・成膜方法・成膜条件等によっ
て変える必要がある。これは、基板電極表面に存在する
凹凸に応じて平坦化に必要なアモルファスカーボン層の
膜厚が異なるためである。
【0098】また、以上述べてきた実施例中では、記録
層の形成にLB法を使用してきたが、極めて薄く均一な
膜が形成できる成膜法であればLB法に限らず使用可能
であり、具体的にはMBEやCVD法等の成膜法が挙げ
られる。更に、基板材料やその形状も本発明は何ら限定
するものではない。さらには、本実施例においてはプロ
ーブ電極を1本としたが、記録・再生用のものとトラッ
キング用のものを各々分けて2本以上としても良い。
【0099】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、基
板電極上に適切な膜厚のアモルファスカーボン層を設け
ることにより、基板電極の平坦性が向上し、かつ、疎水
面を保つことができるため、種々の基板および種々の基
板電極材料を自由に選ぶことができる。従って、プロー
ブ電極を用いた電気的な高密度記録・再生等を行う情報
処理装置において、高いS/N比、高速アクセスが得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る情報処理装置において、プローブ
電極と記録媒体の主要部の模式図である。
【図2】本発明の再生信号の周波数スペクトラムのダイ
ヤグラムである。
【図3】STMを応用した本発明に係る情報処理装置の
構成例である。
【図4】従来例の記録再生装置の主要部の模式図であ
る。
【図5】従来例の再生信号の周波数スペクトラムのダイ
ヤグラムである。
【図6】本発明の記録媒体に記録を行う際に加えるパル
ス電圧の波形図である。
【図7】本発明で用いた記録層の電気メモリー効果を示
す図である。
【符号の説明】 101 基板 102 基板電極 103 記録層 104 アモルファスカーボン層 201 プローブ電極 202 XYステージ 203 プローブ電極支持体 204 Z軸リニアアクチュエータ 205 X軸リニアアクチュエータ 206 Y軸リニアアクチュエータ 207 パルス電圧印加回路 301 増幅器 302 対数圧縮器 303 低域通過フィルタ 304 誤差増幅器 305 ドライバー 306 XYステージ位置制御駆動回路 307 高域通過フィルタ 401 データビット 402 結晶粒 403 データ信号帯域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 9/00 G11B 9/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プローブ電極により素子に流れる電流を
    検出して情報の記録再生等を行う情報処理装置に用いる
    記録媒体であって、プローブ電極と対向配置する基板電
    極上にアモルファスカーボン層を設け、該アモルファス
    カーボン層上に電気メモリー効果を有する記録層を積層
    したことを特徴とする記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記記録層が、有機化合物の単分子膜又
    は該単分子膜を累積した累積膜を有していることを特徴
    とする請求項1記載の記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記記録層が、分子中に共役π電子系を
    持つ群とσ電子準位を持つ群とを有する有機化合物の単
    分子膜又は該単分子膜を累積した累積膜を有することを
    特徴とする請求項1記載の記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれか一つに記載の記録
    媒体と、該記録媒体に対向配置させたプローブ電極と、
    該記録媒体とプローブ電極間に電圧を印加する手段と、
    該記録媒体とプローブ電極間に流れるトンネル電流を検
    知する手段とを、少なくとも有して情報の記録又は再生
    又は消去を行うことを特徴とする情報処理装置。
JP3205625A 1991-07-23 1991-07-23 記録媒体及び情報処理装置 Expired - Fee Related JP2981789B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3205625A JP2981789B2 (ja) 1991-07-23 1991-07-23 記録媒体及び情報処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3205625A JP2981789B2 (ja) 1991-07-23 1991-07-23 記録媒体及び情報処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0528549A JPH0528549A (ja) 1993-02-05
JP2981789B2 true JP2981789B2 (ja) 1999-11-22

Family

ID=16509988

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3205625A Expired - Fee Related JP2981789B2 (ja) 1991-07-23 1991-07-23 記録媒体及び情報処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2981789B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100468823B1 (ko) * 1998-02-04 2005-04-06 삼성전자주식회사 다이아몬드팁을이용한고밀도데이터저장장치및그작동방법
TWI281748B (en) 2001-12-18 2007-05-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd Non-volatile memory
FR2856184B1 (fr) 2003-06-13 2008-04-11 Commissariat Energie Atomique Dispositif d'enregistrement de donnees comportant des micro-pointes et un support d'enregistrement

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0528549A (ja) 1993-02-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2794348B2 (ja) 記録媒体、その製造方法、情報処理装置
EP0551964B1 (en) Recording and reproducing device
JP2859715B2 (ja) 記録媒体用基板及びその製造方法、記録媒体、記録方法、記録再生方法、記録装置、記録再生装置
JP2981804B2 (ja) 情報処理装置、それに用いる電極基板、及び情報記録媒体
JPH05282717A (ja) 記録媒体の製造方法、及び記録媒体、及び情報処理装置
JPS63161552A (ja) 記録装置及び記録法
EP0553938B1 (en) Recording and reproducing device
JP2981789B2 (ja) 記録媒体及び情報処理装置
JP3044421B2 (ja) 記録媒体製造方法
JP2992908B2 (ja) 基板電極の製造方法、記録媒体の製造方法
JP3261539B2 (ja) 電極基板の製造方法
JP2556520B2 (ja) 記録装置及び記録法
JP3220914B2 (ja) 記録媒体製造方法
JP2942013B2 (ja) 記録及び/又は再生装置
JP2961451B2 (ja) 平滑電極基板及びその製造方法、記録媒体及びその製造方法、及び情報処理装置
JP3054895B2 (ja) 記録媒体
JP2862352B2 (ja) 情報処理方法及び情報処理装置
JP2866164B2 (ja) 記録媒体およびその製造方法、情報処理方法、情報処理装置
JP2936290B2 (ja) 記録媒体の製造方法、記録媒体及びこれを備えた情報処理装置
JP2866165B2 (ja) 記録媒体およびその製造方法、情報処理方法、情報処理装置
JP2926522B2 (ja) 記録媒体及びその製造方法と情報処理装置
JP2859652B2 (ja) 記録・再生方法及び記録・再生装置
JPH0291836A (ja) 記録・再生装置及び方法
JP2932220B2 (ja) 記録媒体製造方法
JP2782275B2 (ja) 電極基板及び記録媒体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19990810

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees