JP5259645B2 - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気記録媒体およびその製造方法に関する。
特許文献1には、磁性体を分断した後、それらの間隙に非磁性体材料を埋め込んで形成されるデータ領域を有する磁気記録媒体が開示されている。微細加工に起因して生じるデータ領域の表面凹凸は、特許文献1に記載されているように非磁性体材料の埋め込みによってある程度低減できる。しかしながら、データ領域とサーボ領域との間に段差が生じるという問題がなお存在する。磁気記録媒体の表面平坦性の低下は、磁気記録再生ヘッドの浮上の不安定化につながり、磁気記録媒体として性能の低下をもたらすため、表面平坦性の向上が期待されている。
特許文献2には、サーボ領域に磁性部と非磁性部とを備えたビットパターンドメディア(BPM)方式の磁気記録媒体が開示されている。特許文献2に開示された磁気記録媒体では、非磁性部が磁性を有していないため、磁性部と非磁性部との信号差が小さい。その結果、サーボ領域に保持される情報を磁気記録再生ヘッドによって精度よく読み出すことが難しい。
また、特許文献1および特許文献2に記載されるような磁気記録媒体の製造は多数の工程を要する。
特開2004−295989号公報 特開2009−193636号公報
そこで本発明は、表面の平坦性が高く、安定して再生することができる磁気記録媒体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態によれば、サーボ領域を有し、前記サーボ領域は、第1の領域および第2の領域がパターンをなす磁気記録層で形成され、前記第1の領域は磁化の向きが第1の方向を向いた複数の第1の磁性粒子とその周囲の非磁性体マトリックスとを含み、前記第2の領域は磁化の向きが前記第1の方向とは反対の方向を向いた複数の第2の磁性粒子とその周囲の非磁性体マトリックスとを含み、前記磁気記録層の積層方向に直交する方向において前記第1の磁性粒子の大きさは、前記第2の磁性粒子の大きさよりも小さいことを特徴とする磁気記録媒体が提供される。
本発明によれば、表面の平坦性が高く、安定して再生することができる磁気記録媒体、及びその製造方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体の概略的な平面図。 本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体の周方向に沿う平面図。 本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体のデータ領域を拡大した平面図。 本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体のアドレス部を拡大した平面図。 本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体のバースト部を拡大した平面図。 本発明の第1の実施形態に係る磁気記録媒体のサーボ領域を示す断面図。 本発明の第2の実施形態に係る磁気記録媒体のサーボ領域を示す断面図。 本発明の第3の実施形態に係る磁気記録媒体のサーボ領域を示す断面図。 本発明の第2及び第3の実施形態に係る磁気記録媒体のサーボ領域の一部を破断した斜視図。 磁気記録媒体の製造途中の一実施形態を示す断面図。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1に本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体1の概略的な平面図を示す。図1は、磁気記録媒体1を上面から眺めた図である。図1に示されるように、磁気記録媒体1にはサーボ領域2とデータ領域3とが存在する。データ領域3はユーザデータが記録される領域であり、サーボ領域2はユーザデータの読み書きのために必要なサーボ信号を保持する領域である。
磁気記録媒体1上において、サーボ領域2は、ヘッドスライダがアクセスする際に描く軌跡に対応して円弧状に形成されている。サーボ領域2の周方向長さは、半径位置が外周側に行くに従い長くなるように形成されている。なお、図1では16個のサーボ領域2を図示しているが、実際の媒体では100以上のサーボ領域2が形成されている。
図2に本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体1の周方向に沿う平面図を示す。
図2は、図1の磁気記録媒体1の全体像のうちサーボ領域2をまたぐ部分を切り出して拡大した模式図である。紙面右方向は磁気記録媒体1の周方向を示す。紙面上方向は磁気記録媒体1の半径方向を示す。
図2(a)は、データ領域3が半径方向において非磁性体によって分離されたグラニュラー磁性体31を含む磁気記録媒体(ディスクリートトラックメディア、DTR)を示す。グラニュラー磁性体31(グラニュラー構造ともいう)とは、非磁性体の母材中に小さな磁性を帯びた磁性粒子が分散した構成をいう。
図2(b)は、データ領域3がドット状に分断された磁性体ドット32を含む磁気記録媒体(ビットパターンドメディア、BPM)を示す。磁気記録媒体1は、データ領域3をDTRおよびBPMのいずれの形態にもすることができる。
図2に示されるように、サーボ領域2は、プリアンブル部21、アドレス部22、バースト部23を含む。サーボ領域2のプリアンブル部21、アドレス部22およびバースト部23には、サーボ信号を与えるためのパターンが形成されている。
プリアンブル部21は、メディアの回転偏心などにより生ずる時間ズレに対し、サーボ信号再生用クロックを同期させるPLL(Phase Locked Loop)処理や、信号再生振幅を適正に保つAGC(Auto Gain Control)処理を行うために設けられている。プリアンブル部21では、半径方向に分断されることなく連続して放射状に略円弧をなして凸部の記録部が、周方向に繰返して形成されている。
アドレス部22は、サーボマークと呼ばれるサーボ信号認識コードや、セクタ情報、シリンダ情報などが、プリアンブル部21の周方向ピッチと同一ピッチで、マンチェスターコード等により形成されている。特に、シリンダ情報は、サーボトラック毎にその情報が変化するパターンとなるため、シーク動作時のアドレス判読ミスの影響が小さくなるように、隣接トラックとの変化が最小となるグレイコードに変換してから、マンチェスターコード化等して記録されている。
バースト部23は、シリンダアドレスのオントラック状態からのオフトラック量を検出するためのオフトラック検出用領域が形成されている。
図3に、データ領域3を拡大した平面図を示す。図3に示されるデータ領域3は、BPMの形態をとる磁気記録媒体1のものである。図3に示されるように、データ領域3は磁性体ドット32と非磁性体マトリックス33とから成る。磁性体ドット32は、磁性体材料によって構成され、ユーザデータの最小記録単位となる。非磁性体マトリックス33は非磁性体材料によって構成され、磁性体ドット32間を物理的および磁気的に分断する役割を有する。
なお、非磁性体マトリックス33は、主として非磁性体材料から成り、且つ磁性体構造(磁性体ドット32)の周囲を埋めて磁性体構造を分断する構造として定義される。同様に、後述するサーボ領域2における非磁性体マトリックス28は、主として非磁性体材料から成り、磁性体構造(第1の磁性粒子26および第2の磁性粒子27)の周囲を埋める構造を指す。
図4は、磁気記録媒体1のアドレス部22の拡大図を示す。図5は、バースト部23の拡大図を示す。
図4に示されるように、アドレス部22は、符号26および符号27によって示される磁性粒子が集合することで形成されている。図4中、一定のサイズを有し一様に整列している小さな磁性粒子を第1の磁性粒子26と称する。図4中、様々なサイズを有しランダムに配置され、第1の磁性粒子26よりも大きな磁性粒子を第2の磁性粒子27と称する。また、第1の磁性粒子26および第2の磁性粒子27の周囲を埋める構造を非磁性体マトリックス28と称する。さらに、図4において破線によって囲まれ、第1の磁性粒子26がまとまった領域を第1の領域24と称する。また、図4において点線によって囲まれ、第2の磁性粒子27がまとまった領域を第2の領域25と称する。
第1の領域24および第2の領域25が特定の位置に配置されることによってアドレス部22にパターンが形成される。
図2のアドレス部22において斜線が付され、長方形で描かれた構造は、図4に示す第1の領域24に対応する。図2のアドレス部22において空白として描かれた構造は、第2の領域25に対応する。
図5に示されるバースト部23も、アドレス部22と同様に、第1の磁性粒子26および第2の磁性粒子27が集合することで形成されており、これらの磁性粒子の周囲は非磁性体マトリックス28によって埋められている。さらに、第1の磁性粒子26がまとまった第1の領域24、および第2の磁性粒子27がまとまった第2の領域25が存在している。図2のバースト部23において斜線が付され、正方形で描かれた構造は、図5に示す第1の領域24に対応する。また、図2のバースト部23において空白で描かれた構造は、図5に示す第2の領域25に対応する。
プリアンブル部21も、アドレス部22およびバースト部23と同様に、第1の磁性粒子26、第2の磁性粒子27および非磁性体マトリックス28が集合して形成されており、そのパターンは第1の領域24および第2の領域25の配置によって形成される。
なお、サーボ領域2の第1の領域24に存在する第1の磁性粒子26の大きさ(上面からみた断面積)は、図3(BPMに係る磁気記録媒体)に示されるデータ領域3の磁性体ドット32と比較して同程度であるか、または小さい。
また、磁気記録媒体1のデータ領域3がDTRの構造を有している場合、データ領域3は図2(a)のように半径方向に磁性体が非磁性体によって分断されたトラックから構成される。
第1の磁性粒子26および第2の磁性粒子27は、ともに磁化されて磁性を帯びる。しかしながら、第1の磁性粒子26の大きさと第2の磁性粒子の大きさが異なるので、それぞれの保磁力が異なる。一般に、磁性粒子は同じ材料で形成されても、サイズが小さくなる程反磁界の影響が弱まり、結果として保磁力が大きくなることが知られている。従って、第1の磁性粒子26の大きさは第2の磁性粒子の大きさと比較して小さい。このために、第1の磁性粒子26の保磁力Hc1は、第2の磁性粒子27の保磁力Hc2よりも高くなる。磁気記録媒体1は、この保磁力の違いを利用して、第1の磁性粒子26および第2の磁性粒子27に、それぞれ反対方向の磁化を持たせている。すなわち、第1の磁性粒子26と第2の磁性粒子27とを含む磁気記録層が形成された後、磁気記録層に対して最初にHc1より高い磁力によって磁化して、第1の磁性粒子26および第2の磁性粒子27に同一方向の磁化を持たせる。その後、Hc1より低くHc2より高い磁力によって反対方向に磁化することで、第2の磁性粒子27の磁化のみ反転させる。このとき、第1の磁性粒子26から生じる反磁界によって、第2の磁性粒子27の磁化が安定化されるため、第2の磁性粒子27に逆磁化が発生することを防ぐことができる。これによって、サーボ領域2における第1の領域24および第2の領域25は、それらを構成する磁性粒子の大きさの違いによるパターンだけでなく、磁気的なパターンをも形成する。この磁気的パターンが、磁気記録媒体1のサーボパターンとして機能する。
磁気記録媒体1は、このような特徴を有することで、サーボ領域2が保持する信号の再生の安定化をもたらす。
従来のDTR方式又はBPM方式に係る磁気記録媒体ではサーボ領域は磁性体および非磁性体によって形成されている。
これに対して、磁気記録媒体1ではサーボ領域2は、特定の方向(第1の方向)に磁化された磁性体と、それとは反対の方向(第2の方向)に磁化された磁性体とから形成される。このため、従来のサーボ領域と比較して磁気記録媒体1のサーボ領域2ではパターンの信号差が明確になる、よって、サーボ情報を磁気記録再生ヘッドによって精度よく読み出すことができる。なお、磁化の方向(第1及び第2の方向)は、磁気記録層7の膜厚方向に対して平行(膜面に対して垂直)であることが好ましい。これは、磁気記録媒体の高記録密度化に適しているためである。
次に、本発明の第1の実施形態に係る磁気記録媒体1の構造について、断面図を用いて説明する。
図6に、本発明の第1の実施形態に係る磁気記録媒体1のサーボ領域2の断面図を示す。第1の実施形態に係る磁気記録媒体1では、基板(図示せず)上に、軟磁性裏打ち層(図示せず)、下地層4、磁気記録層7、および保護膜(図示せず)がこの順に積層される。下地層4は、その上に形成される磁気記録層7の磁性粒子の磁化容易軸をコントロールしその磁化容易軸の方向を膜面に垂直方向に配向させるために必要な層である。さらに、保護膜上には、適宜パーフルオロポリエーテル等の潤滑剤が塗布される。図6では下地層4および磁気記録層7のみを示している。
磁気記録層7は第1の領域24及び第2の領域25を有する。第1の領域24は、磁気記録層7の積層方向に垂直な方向において非磁性体マトリックス28により第1の磁性粒子26が分離されている。第2の領域25は、磁気記録層7の積層方向に垂直な方向において非磁性体マトリックス28により第2の磁性粒子27が分離されている。
第1の領域24において下地層4の磁気記録層7側の表面は、複数の突起を有する。第2の領域25において下地層4の磁気記録層7側の表面は平坦である。下地層4の複数の突起の上部には第1の磁性粒子26が存在している。また、第2の領域25において下地層4の磁気記録層7側の表面には第2の磁性粒子27が存在している。
データ領域3もサーボ領域2と同様に下地層4上に磁気記録層7が形成され、下地層4の表面には複数の突起が形成されている。データ領域3においても第1の領域24と同様に下地層4の突起上に磁性体ドット32が形成されている。磁気記録媒体1がDTR方式の場合、データ領域3を構成するグラニュラー磁性体31のうち磁性粒子が存在する部分の下地層4の表面には突起が存在している。一方で非磁性体が存在する部分の下地層4の表面は平坦である。
図6に示されるような第1の磁性粒子26と第2の磁性粒子27とから成る構造は、下地層4の表面の凹凸構造を制御することで形成することができる。磁気記録媒体1では、第1の磁性粒子26を形成したい下地層4の表面に突起を形成する。一方で、第2の磁性粒子27を形成したい下地層4の表面は平坦にする。
下地層4の表面に形成される突起の高さは、磁気記録層7の成膜条件によって適宜選択できるものの、1nm以上の高さであることが好ましい。一方、下地層4の表面が平坦な領域では、表面の凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.5nm未満であることが好ましい。このような表面形状を有する下地層4に対して磁気記録層7を成膜すると、下地層4の複数の突起を有する領域および平坦な領域において、第1の磁性粒子26及び第2の磁性粒子27がそれぞれ異なる形態で形成される。
下地層4の複数の突起を有する領域(第1の領域24に相当)では、磁気記録層7に含まれる磁性体がそれぞれの突起上で選択的にエピタキシャル成長して微細な第1の磁性粒子26が形成される。一方で、磁気記録層7に含まれる非磁性体は、下地層4の突起と突起との間で選択的に成長して非磁性体マトリックス28となる。
下地層4の表面が平坦な領域(第2の領域25に相当)では、成長の起点となる突起がないため、磁気記録層7に含まれる磁性体がまばらな位置から成長し第1の磁性粒子26よりも大きな第2の磁性粒子27が形成される。このとき、磁気記録層7に含まれる非磁性体は、第2の磁性粒子27を取り囲むように形成され、非磁性体マトリックス28となる。
本実施形態に係る磁気記録媒体1では、予め下地層4を加工して下地層4上に選択的に磁性体と非磁性体を形成させている。このために、製造工程においてエッチングを行う必要が無いので磁気記録層7の表面が荒れにくい。よって、平坦性の高い磁気記録層7を提供できるので磁気記録再生ヘッドによって精度よく書き込み及び読み出しをすることができる。
下地層4が予め加工されているので、少ない工程数で磁気記録媒体1を製造することができる。
図7に、本発明の第2の実施形態に係る磁気記録媒体1のサーボ領域2の断面図を示す。図9(a)に、このサーボ領域2の一部を破断した斜視図を示す。図9(a)中、磁気記録層7中の構造は、破線を使用して透過させて表現する。図7に示す磁気記録媒体1のサーボ領域2の断面図は、図9(a)中のA−A’線断面図に対応する。
本実施形態に係る磁気記録媒体1では、下地層4と磁気記録層7との間に、酸化物、窒化物、又は有機物のいずれかの材料からなる薄膜層5が存在する。図7に示されるように、第1の領域24において薄膜層5には薄膜層5の表面から下地層4の表面にまで貫通して形成された複数の孔が形成され、薄膜層5の底部で下地層4が露出している。複数の孔には第1の磁性粒子26が埋め込まれている。複数の孔は、図9(a)に示す第1の磁性粒子26が形成されている薄膜層5の部分に相当する。
第2の領域25において薄膜層5は平坦な層となっている。薄膜層5上には、無配向部6が形成されている。無配向部6は下地層4の上には形成されていないため、形成される磁性粒子の磁化容易軸の方向が膜面に対して任意の方向に向いている。なお、磁性粒子の磁化容易軸の方向は膜面の面内方向に向いて膜面の垂直方向に向いていないことが好ましい。薄膜層5の表面が平坦であるために無配向部6を構成する磁性体は第1の磁性粒子26よりも大きな形状で薄膜層5上に形成され、磁性体の周りを非磁性体が取り囲んでいる。磁性体の大きさが大きいために、保磁力も第1の磁性粒子26より低い。
本実施形態では、サーボ領域2のサーボパターンは、第1の領域24と第2の領域25とによって形成される。
図9(a)中、孔およびそこに形成される第1の磁性粒子26は間隔をあけて4つ表示されているものの、実際には、より密に且つより多数の孔および第1の磁性粒子26を形成することができる。
図7に示される磁気記録層7の構造は、薄膜層5を加工することで形成することができる。図7および図9(a)に示されるような複数の孔を有する領域(第1の領域24)と平坦な領域(第2の領域25)とを有する薄膜層5に対して磁気記録層7を成膜すると、それぞれの領域において互いに異なる形態で磁気記録層7が形成される。
孔を有する領域では、孔の下地層4の表面から磁気記録層7に含まれる磁性体が選択的にエピタキシャル成長して第1の磁性粒子26が形成される。一方で、磁気記録層7に含まれる非磁性体は、薄膜層5上で選択的に成長して、第1の磁性粒子26を取り囲むように非磁性体マトリックス28が形成される。
一方、平坦な領域(第2の領域25)では、薄膜層5の表面に磁性体の成長のための起点がないために、無配向部6を構成する磁性体は第1の磁性粒子26よりも大きな形状で薄膜層5上に配向し、磁性体の周りを非磁性体が取り囲んで形成される。
本実施形態では、データ領域3はサーボ領域2と同様に下地層4上に薄膜層5、磁気記録層7が順に形成されている。データ領域3においても第1の領域24と同様に薄膜層5の表面から下地層4の表面にまで貫通して複数の孔が形成されている。孔には磁性体ドット32が形成されている。孔が形成されていない薄膜層5上には非磁性体が形成されている。非磁性体は磁性体ドット32を取り囲むように形成されている。
図8に、本発明の第3の実施形態に係る磁気記録媒体1のサーボ領域2の断面図を示す。また、図9(b)に、このサーボ領域2の一部を破断した斜視図を示す。図9(b)中、磁気記録層7中の構造は、破線を使用して透過させて表現する。図8に示す磁気記録媒体1のサーボ領域2の断面図は、図9(b)中のB−B’線断面図に対応する。
本実施形態に係る磁気記録媒体1では、第1の領域24において下地層4と磁気記録層7との間に、酸化物、窒化物、又は有機物のいずれかの材料からなる薄膜層5が存在する。一方で、第2の領域25において下地層4上に薄膜層5は存在しない。
図8に示すように、薄膜層5には薄膜層5の表面から下地層4の表面にまで貫通して形成された複数の孔が形成され、薄膜層5の底部で下地層4が露出している。複数の孔には第1の磁性粒子26が埋め込まれている。複数の孔は、図9(b)に示す第1の磁性粒子26が形成されている薄膜層5の部分に相当する。第1の磁性粒子26を取り囲むように非磁性体マトリックス28が形成されている。
一方、薄膜層5が形成されていない下地層4の領域(第2の領域25)には、大きさおよび配列がまばらな第2の磁性粒子27およびその周囲を埋める非磁性体マトリックス28が存在する。サーボ領域2のサーボパターンは、上記したように磁界をかけることで磁化が一方向に向いた磁性粒子が集合した第1の領域24とそれとは反対方向に磁化が向いた磁性粒子が集合した第2の領域25とによって形成される。
図9(b)中、孔およびそこに形成される第1の磁性粒子26は間隔をあけて4つ表示されているものの、実際には、より密に且つより多数の孔および第1の磁性粒子26を形成することができる。
図8に示される磁気記録層7の構造は、薄膜層5を加工することで形成することができる。図8および図9(b)に示されるような複数の孔を有する領域(第1の領域24)と薄膜層5が形成されていない下地層4の領域(第2の領域25)に対して磁気記録層7を成膜すると、それぞれの領域において互いに異なる形態で磁気記録層7が形成される。
孔を有する領域では、孔の下地層4の表面から磁気記録層7に含まれる磁性体が選択的にエピタキシャル成長して第1の磁性粒子26が形成される。このとき、磁気記録層7に含まれる非磁性体は、薄膜層5上で選択的に成長して第1の磁性粒子26を取り囲むように形成され、非磁性体マトリックス28が形成される。
一方、薄膜層5が形成されていない下地層4の領域では、成長の起点となる突起がないため、磁気記録層7に含まれる磁性体がまばらな位置から成長し第1の磁性粒子26よりも大きな第2の磁性粒子27が形成される。このとき、磁気記録層7に含まれる非磁性体は、第2の磁性粒子27を取り囲むように形成され、非磁性体マトリックス28となる。
本実施形態でも第2の実施形態と同様、データ領域3はサーボ領域2と同様に下地層4上に薄膜層5、磁気記録層7が順に形成されている。データ領域3においても第1の領域24と同様に薄膜層5の表面から下地層4の表面にまで貫通して複数の孔が形成されている。孔には磁性体ドット32が形成されている。孔が形成されていない薄膜層5上には非磁性体が形成されている。非磁性体は磁性体ドット32を取り囲むように形成されている。
上記の第1から第3の実施形態における下地層4の表面の加工の態様以外に、たとえば図10(a)、(b)に示されるような下地層4の表面の加工を行うことができる。図10(a)および図10(b)は、磁気記録層7を形成する直前の状態を示す断面図である。
図10(a)では、下地層4上に薄膜層5が形成された後、さらに下地層4と同じ材料の第2の下地層10を下地層4上に形成している。
図10(b)では、図10(a)と同様に第2の下地層10を形成した後に、更にエッチング等によって第2の下地層10の表面を平坦化し、薄膜層5の一部が第2の下地層10の表面から露出している。
図10(a)では、第2の下地層10は下部に存在する薄膜層5に応じた表面凹凸を有する。なお、薄膜層5には複数の孔が形成されているので薄膜層5は突起を有しているように見える。
図10(a)に示される形態の場合、第2の下地層10の表面は、下地層4および薄膜層5と異なり加工を受けていない。そのため第2の下地層10表面の平坦性が高く、その上に平坦性の高い磁気記録層7を形成することができる。
図10(b)に示される形態の場合、図8に示される第3の実施形態と比べて薄膜層5による凹凸が小さい。このため、その上に磁気記録層7を形成すると、磁気記録層7の表面凹凸を小さくすることができる。
次に、磁気記録媒体1の製造方法について説明する。初めに図6に示す磁気記録媒体1の製造方法について説明する。
まず、基板上に下地層4を形成する。その後、下地層4上にレジストを形成する。予めパターンが形成されたスタンパでレジストをインプリント法によりレジストにパターンを転写する。このとき、スタンパには凹凸形状と平坦な形状が形成されているので、第1の領域24と第2の領域25に対応する形状がレジストにパターンとして転写される。このレジストをマスクとして下地層4をエッチングすることで下地層4にパターンを形成する。
次に、パターンが形成された下地層4上に磁気記録層7を成膜する。磁気記録層7は磁性材料および非磁性材料の混合物をターゲットとしてスパッタを行うことで成膜される。下地層4には、表面が凹凸形状を有する領域と平坦な領域が形成されている。よって、表面のパターンに応じて第1の磁性粒子26、第2の磁性粒子27および非磁性体マトリックス28によるパターンが形成される。
この製造方法によって、図6に示される第1の実施形態に係る磁気記録媒体1を形成することができる。
より具体的な製造方法の一例を以下に示す。
まず、基板上に軟磁性裏打ち層をスパッタ法により成膜する。軟磁性裏打ち層の膜厚は数10nm〜数100μm程度とすることが好ましい。
次に軟磁性裏打ち層上に下地層4をスパッタ法により成膜する。下地層4の厚さは数10nm〜数100nm程度とすることが好ましい。後に成膜する磁気記録層7と軟磁性裏打ち層との間の距離が離れることは、書き込み特性の低下につながる。このため、下地層4の厚さは特に50nm以下であることが好ましい。
次に下地層4の上にレジスト層を形成する。
形成したレジストに対して、インプリント法によりパターンを転写する。インプリント法に用いられるスタンパのパターンは電子線描画により形成することができる。カリックスアレーンやHSQを電子線レジストとして用いることにより10nm以下の高密度パターンの形成が可能である。レジストの厚さは、形成する凹凸の高さと、この後の工程で行われるエッチング工程におけるレジスト層材料と下地層材料とのエッチング選択比によって決定される。インプリント法は、熱インプリント、室温インプリント、UVインプリントなどを用いることができる。
次にドライエッチングによりレジスト層のパターンを下地層4に転写する。その後、エッチングマスクを剥離する。なお、エッチングマスクの厚さを調整することで、エッチングマスクを削りきるまでエッチングを進めることもできる。これによって、エッチングマスクの剥離プロセスを省くことができる。
なお、下地層4をエッチングするための材料を多層構造にすることもできる。例えば、下地層4上にカーボン膜およびSi膜を順に形成した後、その上にレジスト層を形成しても良い。この場合、パターンをインプリントしたレジスト層をマスクとしてSi膜をドライエッチングする。その後、さらにSi膜をマスクとしてカーボン膜をドライエッチングし、下地層4に対するエッチングマスクを形成することができる。この場合、カーボン膜をエッチングする際に酸素ガスによるドライエッチングを用いることでアスペクト比の高い凹凸をカーボン膜に形成できる。このため、下地層4へのエッチングの際にエッチングマスクが長時間残るので、アスペクト比の高い突起を形成することができる。
このような下地層4の加工方法の変形例として、下地層4を積層構造とすることもできる。すなわち、まず下地層4に対して上述したような方法で凹凸パターンを形成した後に、その上に第2の下地層10を形成することができる。この場合、エッチングプロセスによって表面にダメージが生じた下地層4を第2の下地層10で覆うため、平坦性の高い表面を得ることができる。
以上のようにして、下地層4の表面にデータ領域3およびサーボ領域2に応じた微細な凹凸を形成することができる。なお、サーボ領域2の第2の領域25に対応する下地層4の表面には凹凸が形成されないため、表面の粗さはスパッタ成膜された後の表面粗さと同程度である。
次に、磁性体と非磁性体をスパッタにより成膜することで磁気記録層7を形成する。このとき、下地層4の突起部分から磁性体がエピタキシャル成長する。一方、非磁性体は下地層4の凹部に選択的に成長する。
このようにして、インプリントにより形成したパターンに対応したグラニュラー構造が磁気記録層7に形成される。
これに対して、第2の領域25に対応する下地層4の平坦な領域では、種構造が存在しないため、結晶粒の大きなグラニュラー構造が形成される。
次に、図7に示す磁気記録媒体1の製造方法について説明する。
基板上に下地層4を形成する工程については、図6に示す磁気記録媒体1の下地層4の形成工程と同様であるので説明は省略する。
下地層4上に、酸化物、窒化物または有機物のいずれかから成る薄膜層5を形成する。薄膜層5上にレジストを形成し、スタンパをインプリントすることで、レジストにパターンを転写する。このときレジスト上に形成されるパターンは、複数の孔と平坦な領域からなる。複数の孔は第1の領域24に対応し、平坦な領域は第2の領域25に対応する。
パターン化されたレジストをマスクとして薄膜層5をエッチングし、パターンを薄膜層5に転写する。その後、パターンが形成された薄膜層5上に磁気記録層7を成膜する。これによって、薄膜層5のパターンに応じて第1の磁性粒子26および非磁性体マトリックス28等によるパターンが形成される。この方法によって、図7に示される第2の実施形態に係る磁気記録媒体1が形成される。
より具体的な製造方法の一例を以下に示す。
軟磁性裏打ち層の形成は第1の実施形態と同様に行うことができる。形成した軟磁性裏打ち層の上に下地層4を形成する。さらに下地層4の上に、酸化物、窒化物または有機物のいずれかを成膜して薄膜層5を形成する。酸化物または窒化物を使用する場合、RFスパッタにより成膜できる。有機物を使用する場合、有機物を溶媒に溶かした溶液をスピンコートすることで成膜できる。また、カーボン膜などの場合はスパッタ法により成膜できる。
次に、薄膜層5の上に、レジストを形成する。
次に、レジストに対してスタンパをインプリントして、データ領域3およびサーボ領域2に対応するパターンを形成する。このレジストをマスクとして、ドライエッチングにより薄膜層5を加工する。その後必要に応じて、残ったレジストを剥離する。薄膜層5の加工によって、第1の領域24に対応する領域では薄膜層5に複数の孔が下地層4にまで貫通して形成される。一方、薄膜層5の第2の領域25に対応する領域では、なんら加工を受けずに平坦な状態で薄膜層5が残る(図7)。このようにしてパターンを形成した薄膜層5の上に磁気記録層7を形成する。
なお、このような下地層4および薄膜層5の形成工程の変形例として、それらの層の上に更に下地層を積層することもできる。すなわち、薄膜層5に凹凸パターンを形成した後、その上から第2の下地層10を積層することができる(図10(a))。この場合、エッチングプロセスによって表面にダメージが生じた下地層4および薄膜層5を第2の下地層10で覆うため、平坦性の高い表面を得ることができる。
パターンが形成された第2の下地層10の上に、磁性体と非磁性体をスパッタにより成膜することで、磁気記録層7を形成する。これにより、第1の領域24に対応する領域では、薄膜層5の上に第2の下地層10が形成された部分では磁性体が選択的にエピタキシャル成長する。このとき、薄膜層5が形成されていない第2の下地層10では非磁性体が選択的に成長し、磁性体を非磁性体が取り囲む。
一方、第2の領域25に対応する領域では、薄膜層5が形成されていないので第2の下地層10の表面は平坦である。よって、成長の起点となる突起がないため、磁性体がまばらな位置から成長し、結晶粒の大きなグラニュラー構造が形成される。
次に図8に示す磁気記録媒体1の製造方法について説明する。
基板上に下地層4を形成する工程については、図6に示す磁気記録媒体1の下地層4の形成工程と同様であるので説明は省略する。
図8に示す磁気記録媒体1は、図7に示す磁気記録媒体1とは、第2の領域25において下地層4上に薄膜層5が形成されていない点が異なる。
このような違いは、薄膜層5の加工でのエッチングマスクの形状の違いによる。すなわち、第1の領域24に対応する領域においてナノインプリント後のエッチングマスクの形状が隆起しており、エッチングマスクの凸部の高さが第2の領域25に対応する領域においてのエッチングマスクの高さと比較して高くなっている。このようなエッチングマスクに対してエッチングを行うと、エッチングマスクの低い第2の領域25では、薄膜層5がエッチングにより消失させることができ、下地層4が露出する。このようにして加工した薄膜層5では、第1の領域24に対応する領域では、薄膜層5には複数の孔が下地層4にまで貫通して形成されている。下地層4が露出した孔にて選択的に磁性体がエピタキシャル成長する。このとき、薄膜層5の孔が形成されていない部分では、非磁性体が磁性体を取り囲むように選択的にエピタキシャル成長する。
一方、第2の領域25に対応する領域では、図8のように、粒子サイズのより大きな磁性体がランダムにエピタキシャル成長し、その周囲に非磁性体がエピタキシャル成長する。
なお、第3の実施形態における下地層4および薄膜層5の加工の変形例として、それらの層の上に更に第2の下地層10を積層した後にそれを加工することもできる。すなわち、薄膜層5にパターンを形成した後、その上から第2の下地層10を積層し、さらに第2の下地層10の表面をエッチング等により平坦化する(図10(b))。このとき、薄膜層5の一部が第2の下地層10の表面から露出している。この場合、薄膜層5の凹凸を小さい。このため、その上に磁気記録層7を積層すると、磁気記録層7表面凹凸を小さくすることができる。
次に、磁気記録媒体1を製造するための材料を説明する。
基板は、ガラス基板、プラスティック基板、セラミックス基板、アルミなどの非磁性金属基板、Si基板などを用いることができる。
軟磁性裏打ち層としては、飽和磁束密度が高く軟磁気特性が良好なCoZrNb、CoTaZr、FeCoB、FeCoN、FeTaC、FeTaN、FeNi、FeSi、NiFeNb、Co、CoBまたはFeAlSiなどが用いられる。軟磁性裏打ち層は単層であっても積層であっても良い。積層の場合、各軟磁性層間に任意の非磁性中間層を挿入することができる。
下地層4は、単層構造であっても積層であっても良く、磁気記録層7としてCoPt系の合金を用いる場合には、下地層4としてはRuもしくはRu合金の連続膜を用いることが好ましい。軟磁性裏打ち層の上に下地層4としてRu以外の金属膜を成膜した後、第2の下地層10としてRuもしくはRu合金の連続膜を形成しても良い。また、下地層4および第2の下地層10ともRuもしくはRu合金の連続膜として2段階のステップにより形成しても良い。
磁気記録層7は、垂直磁気記録層とすることができる。磁気記録層7の形成には、磁性材料と非磁性材料との混合物を使用することができる。磁性材料としては、CoPt、CoCr、CoCrPt、CoCrTaのCo系合金などを使用できる。非磁性体としては、SiO、Al、Ta、TiO等の酸化物またはSi、AlN、TaNなど窒化物を用いることができる。
薄膜層5の材料としては、磁気記録層7に含まれる非磁性体材料と親和性の高い材料が好ましい。例えば、SiO、Al、Ta、TiO等の酸化物、Si、AlN、TaNなどの窒化物またはフォトレジストもしくはオルガノシリケートなどの有機物などを用いることができる。
実施例1
磁気記録媒体1を製造した。加工した下地層4に磁気記録層7を形成した。
2.5インチHDD用のガラス基板上に、1×10−5Paの真空度において、0.7PaのArガス中でパワー500WのDCスパッタ成膜により、厚さ120nmのCoZrNb軟磁性裏打ち層を成膜した。その上に、Ruをパワー500Wにて20nm成膜し下地層4を形成した。その上に、レジストとしてSOG(スピンオングラス)を膜厚10nmで塗布した。
次に、レジストに対し、パターンを有したスタンパをプレス圧30トンでインプリントした。スタンパのパターンとしては、サーボ領域2の第1の磁性粒子26に対応する位置において、ドットが14nmピッチで三角格子状に配列した構造を有するものを用いた。次に、加速電圧400V、イオン電流40mAの条件でアルゴンイオンミリングを行い、Ruを5nmエッチングした。この条件によるエッチングの後において、SOGはRu表面に残っていなかった。
エッチングした下地層4上に、CoCrPt−8mol%SiOのコンポジットターゲットを用いて、磁気記録層7として磁化が積層方向に向いている垂直磁気記録層を15nm成膜した。次に、カーボン保護膜を7nm成膜した後、ディップ法によりパーフルオロエーテル系潤滑膜を1.5nmの膜厚で成膜し、磁気記録媒体1を得た。
得られた磁気記録媒体1に対して15kOeの磁界を印加して着磁を行った後、8kOeで逆の磁界を印加した。この媒体を、スピンスタンドを用いてサーボ領域2の再生出力を測定したところ、良好な信号を得ることができた。
比較例1
スタンパのパターンが異なること以外は、実施例1と同様にして磁気記録媒体1を製造した。この例で使用したスタンパは、サーボ領域2の第1の磁性粒子26に対応する位置にドット構造を有さず、代わりに第1の領域24全体が窪んだ構造を有しているものを使用した。これによって、第1の領域24全体が第2の領域25に対して凸になっている下地層4のパターンが得られる。
このような下地層4を使用して形成される磁気記録媒体1に15kOeの磁界を印加して着磁を行った後、8kOeの磁界を印加した。この媒体を、スピンスタンドを用いてサーボ領域2の再生出力を測定したところ、明瞭なサーボ信号は得られなかった。この結果はサーボ領域2のグラニュラーの粒径が一様に形成されており、保磁力に違いが出ていないことを示しているものと思われる。
実施例2
磁気記録媒体1を製造した。薄膜層5を形成して加工した後、その上に磁気記録層7を形成した。
Ruによる下地層4の形成までは、実施例1と同様に行った。その後、下地層4上に、SiO膜をRFスパッタにより10nm形成した。その上に、レジストとしてSOGを膜厚10nmで塗布した。
レジストに対しスタンパをインプリントした。スタンパのパターンは実施例1と同様のものを使用した。次に、レジストをマスクとしてアルゴンイオンミリングによりSiO膜を12nmエッチングした。
SiOから成る薄膜層5の加工後、CoCrPt−8mol%SiOのコンポジットターゲットを用いて、磁気記録層7として垂直磁気記録層を15nm成膜した。次に、カーボン保護膜を7nm成膜した後、ディップ法によりパーフルオロエーテル系潤滑膜を1.5nmの膜厚で成膜し、磁気記録媒体1を得た。
得られた磁気記録媒体1に対して15kOeの磁界を印加して着磁を行った後、8kOeで逆の磁界を印加した。この媒体を、スピンスタンドを用いてサーボ領域2の再生出力を測定したところ、良好な信号を得ることができた。
実施例3
磁気記録媒体1を製造した。下地層4を加工した後、その上にさらに下地層4を積層し、さらに磁気記録層7を形成した。
実施例1と同様に、下地層4を形成し、インプリント法を利用した加工を行った。その上に、第2の下地層10としてRu膜を5nm形成した。その上に、CoCrPt−8mol%SiOのコンポジットターゲットを用いて、磁気記録層7として垂直磁気記録層を15nm成膜した。
得られた磁気記録媒体1に対してX線回折測定行ったところ、実施例1による磁気記録媒体1のCoCrPt(002)のピークのロッキングカーブの半値幅は5.0度だったのに対し、本実施例では3.5度と改善していた。
1…磁気記録媒体、2…サーボ領域、21…プリアンブル部、22…アドレス部、23…バースト部、24…第1の領域、25…第2の領域、26…第1の磁性粒子、27…第2の磁性粒子、28…非磁性体マトリックス、3…データ領域、31…グラニュラー磁性体、32…磁性体ドット、33…非磁性体マトリックス、4…下地層、5…薄膜層、6…無配向部、7…磁気記録層、10…第2の下地層。

Claims (2)

  1. 下地層の表面に、前記表面まで貫通した複数の孔を有する領域と加工を受けていない領域とを含む薄膜層を有し、
    前記複数の孔を有する領域の上には、第1の磁性粒子およびその周囲の非磁性体マトリックスが設けられ、
    前記加工を受けていない領域の上には、前記磁性粒子の磁化容易軸の方向とは異なる磁化容易軸を有する磁性体と非磁性体とからなる無配向部が設けられていることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 下地層上に、酸化物、窒化物、又は有機物のいずれかから成る薄膜層を形成する工程と、
    前記薄膜層上にレジストを形成する工程と、
    前記レジストに対してスタンパをインプリントして凹凸形状及び平坦な形状を含むパターンを転写する工程と、
    前記パターンが転写されたレジストをマスクとして前記薄膜層をエッチングすることで、前記薄膜層に、前記下地層の表面まで貫通した複数の孔を有する領域及び加工を受けていない領域、又は前記下地層の表面まで貫通した複数の孔を有する領域及び前記薄膜層が除去されて前記下地層が露出した領域を形成する工程と、
    前記薄膜層上に形成された前記レジストを除去する工程と、
    前記薄膜層上、前記下地層の表面まで貫通した複数の孔を有する領域上及び加工を受けていない領域上、又は前記下地層の表面まで貫通した複数の孔を有する領域上及び前記薄膜層が除去されて前記下地層が露出した領域上に磁気記録層を成膜する工程とを有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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