JP3655157B2 - 磁気記録装置、磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録装置、磁気記録媒体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報の記録・再生を行なうための磁気記録装置および磁気記録媒体ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のコンピュータの処理速度向上に伴って、情報の記憶・再生を行なう磁気記憶装置(HDD)には高速・高密度化が要求されている。しかしながら、高密度化には物理的な限界がある。
【0003】
磁気ディスク装置では、高密度記録を行なうためには磁性体層に記録される磁区を小さくする必要がある。小さな記録磁区を磁気的に識別するためには磁区間の境界が滑らかであることが必要であり、そのためには磁区を構成する磁性粒子を微小化する必要がある。また、高密度記録を行なうためには磁性体層の膜厚も小さくする必要があり、従って磁性体層の各磁区を構成する磁性粒子の体積は小さくなる。
【0004】
しかし、磁性粒子を微小化すると、各磁性粒子の有する磁気異方性エネルギー(磁気異方性エネルギー密度×磁性粒子体積)が熱揺らぎエネルギーよりも小さくなってしまう可能性がある。磁性粒子の磁気異方性エネルギーが熱揺らぎエネルギーよりも小さくなってしまうと、熱揺らぎによって任意の位置の磁性粒子が反転しまうために媒体ノイズが増加してS/N比が低下するだけでなく、もはや磁区を保持することができなくなる。熱揺らぎによる磁化の反転の程度は、磁気異方性エネルギーと熱揺らぎエネルギーとの間のエネルギー差に対して指数的に変化する。つまり、磁気異方性エネルギーが熱揺らぎエネルギーよりもわずかに大きくなるように個々の磁性粒子の粒径を調整すれば、熱揺らぎによるS/N比の低下および磁化の反転を実用上避けることができる。従って、磁性粒子の粒径を調整してS/N比の低下および磁化の反転を防ぐためには、個々の磁性粒子の粒径をできるだけ小さくするとともに、粒径のばらつきをできる限り小さくして不必要に粒径の小さな磁性粒子が存在しないようにすることが必要である。
【0005】
しかしながら、従来行われてきたようなスパッタ法によって磁性体の連続薄膜を作製する方法では、磁性粒子の粒径を直接的に調整することができず、磁性粒子を一様に小さくすることは困難であった。また、スパッタ法で磁性体の連続薄膜を作製する代わりに、半導体プロセス等の研究で使われている電子線描画によって磁性体薄膜を直接加工することも行われている。これは、磁性材料を電子線によって人工的に「切る」ことによって磁性粒子を作製するため、粒径および粒径のばらつきが小さな磁性粒子を作製することができる。また、電子線描画を使ってディスク全面にわたりコヒーレントに磁性粒子を配列させたような場合には、通常のランダムに磁性粒子が配置している場合に比べて、磁化転移部から来るノイズやジッタ、サイドライティング等の問題が小さくなることが報告されている(R.White:Data Storage,September 1997,p.55)。しかしながら、電子線描画はコストおよび時間がかかるため、磁気記録媒体を低コストで大量生産する用途には適用できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、S/N比を向上させ高密度記録を行うことが可能な磁気記録装置および磁気記録媒体ならびにその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気記録装置は、基板上に形成された磁気記録層を有する磁気記録媒体と、前記磁気記録層に形成されたトラック上に記録セルを形成することにより情報を記録する記録ヘッドと、前記磁気記録層に記録された情報を再生する再生ヘッドとを有し、前記磁気記録層は非磁性母材中に磁性粒子が分散され、前記磁気記録層の表面で前記磁性粒子が規則的に配列した複数の粒子配列領域が形成された構造を有し、前記粒子配列領域のトラック幅方向の大きさは前記再生ヘッドのトラック幅の1/5以上であることを特徴とする。
【0008】
本発明の他の磁気記録装置は、基板上に形成された磁気記録層を有する磁気記録媒体と、前記磁気記録層に形成されたトラック上に記録セルを形成することにより情報を記録する記録ヘッドと、前記磁気記録層に記録された情報を再生する再生ヘッドとを有し、前記磁気記録層は磁性母材中に非磁性粒子が分散され、前記磁気記録層の表面で前記非磁性粒子が規則的に配列した複数の粒子配列領域が形成された構造を有し、前記粒子配列領域のトラック幅方向の大きさは前記再生ヘッドのトラック幅の1/5以上であることを特徴とする。
【0009】
本発明の磁気記録媒体は、基板と、基板上に形成された磁気記録層を有し、前記磁気記録層に形成されたトラック上に記録セルを形成することにより情報が記録されるものであって、前記磁気記録層は非磁性母材中に磁性粒子が分散され、その表面で前記磁性粒子が規則的に配列した複数の粒子配列領域が形成された構造を有し、前記粒子配列領域のトラック幅方向の大きさは磁気記録層上に形成されたトラック幅の1/5以上であることを特徴とする。
【0010】
本発明の他の磁気記録媒体は、基板と、基板上に形成された磁気記録層を有し、前記磁気記録層に形成されたトラック上に記録セルを形成することにより情報が記録されるものであって、前記磁気記録層は磁性母材中に非磁性粒子が分散され、その表面で前記非磁性粒子が規則的に配列した複数の粒子配列領域が形成された構造を有し、前記磁性母材は互いに2nm以下の平均間隔で隔てられた複数の磁性結晶粒子で構成され、前記非磁性粒子は1nm以上の平均粒径を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性層上にブロックコポリマー層を形成する工程と、前記ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程と、海島構造を有するブロックコポリマー層を通して前記非磁性基板をエッチングする工程と、前記非磁性基板のエッチング領域に磁性層を堆積する工程と、残留ポリマー層およびその上の磁性層をリフトオフする工程とを具備したことを特徴とする。この方法において、非磁性層は非磁性基板を含むものとする。
【0012】
本発明の他の磁気記録媒体の製造方法は、基板上に下地層を形成する工程と、前記下地層上に非磁性層を形成する工程と、前記非磁性層上にブロックコポリマーを形成する工程と、前記ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程と、海島構造を有するブロックコポリマー層を通して前記非磁性層をエッチングする工程と、前記非磁性層のエッチング領域に磁性層を堆積する工程と、残留ポリマー層およびその上の磁性層をリフトオフする工程とを具備したことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の磁気記録媒体の製造方法は、基板上に磁性層を形成する工程と、前記磁性層上にブロックコポリマー層を形成する工程と、前記ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程と、海島構造を有するブロックコポリマー層を通して前記磁性層をエッチングする工程と、前記磁性層のエッチング領域に非磁性層を堆積する工程と、残留ポリマー層およびその上の非磁性層をリフトオフする工程とを具備したことを特徴とする。
【0014】
本発明の他の磁気記録媒体の製造方法は、基板上に連続非磁性膜を形成する工程と、前記連続非磁性膜上に、配列された開口を有する自己組織化マスクを配置する工程と、前記マスクを通して前記連続非磁性膜をエッチングして前記連続非磁性膜中に配列された孔を形成する工程と、前記連続非磁性膜中に形成された孔中に磁性体を堆積して磁性粒子を形成する工程とを具備したことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明を詳しく説明する。
【0016】
図1は本発明に係る磁気記録装置の一例を示す斜視図である。磁気ディスク100はスピンドル101に装着され、図示しない駆動装置制御部からの制御信号に応答する図示しないモータにより回転する。一方、アクチュエータアーム102が固定軸103に取り付けられ、サスペンション104およびその先端のヘッドスライダ105を支持している。磁気ディスク100が回転すると、ヘッドスライダ105の媒体対向面は磁気ディスク100の表面から所定量浮上した状態で保持され、情報の記録/再生を行う。アクチュエータアーム102の基端にはリニアモータの1種であるボイスコイルモータ106が設けられている。ボイスコイルモータ106はアクチュエータアーム102のボビン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルとこのコイルを挟み込むように対向して配置された永久磁石および対向ヨークからなる磁気回路とを含む。アクチュエータアーム102は固定軸103の上下2個所に設けられた図示しないボールベアリングによって支持され、ボイスコイルモータ106により回動するようになっている。
【0017】
図1に示した磁気ディスク100のような磁気記録媒体は、基板上に磁気記録層が形成された構造を有する。基板と磁気記録層との間には下地層(シード層)が形成されていてもよい。磁気記録層上には保護層が形成されていてもよい。磁気記録層の表面に形成されたトラック上に記録セルが形成されることにより情報が記録される。
【0018】
図2に本発明の磁気記録装置における媒体と記録/再生ヘッドとの位置関係を模式的に示す。図2ではディスク表面の一部に形成された1つのトラック50を示している。トラック50はトラック幅Wtを有する。ヘッドスライダー105の先端部には記録/再生ヘッド60が形成されている。ディスクの回転によりヘッドスライダー105がディスクとの間に一定距離を保って浮上し、記録/再生ヘッド60はディスクに対して相対的に移動する。記録ヘッドから発せられる磁界によりトラック50上に一連の記録セル(記録磁区)55が形成され、情報が記録される。一方、再生ヘッドがトラック50上に形成された記録セル55を走査することにより、記録された情報が再生される。
【0019】
図3に再生ヘッドおよび記録ヘッドのトラック幅の関係を模式的に示す。図3において、61aおよび61bは再生ヘッドの磁極、62aおよび62bは記録ヘッドの磁極を示す。図3に示すように、再生ヘッドのトラック幅Wrは記録ヘッドのトラック幅Wwよりも狭くなっている。これは、トラック端における磁区の乱れが再生信号に及ぼす影響を除くためである。
【0020】
図4は、本発明に係る磁気記録媒体の一例を示す平面図である。この磁気記録媒体を構成する磁気記録層は、非磁性母材31中に磁性粒子32が分散した構造を有する。磁気記録層の表面には非磁性母材31中に磁性粒子32が規則的に配列した複数の粒子配列領域(ドメイン)1が形成されている。各粒子配列領域1内では磁性粒子32が一定の配列軸2に沿って配列されている。ここで、配列軸とは、隣接する磁性粒子間の距離が最も小さい粒子どうしを結んだ軸である。磁性粒子32が三角格子状に配列されているときには、3方向に向く配列軸2が存在する。1つの配列軸2上には3個以上の磁性粒子32が配置されている。
【0021】
図4に示した本発明の磁気記録媒体においては、粒子配列領域のトラック幅方向の大きさが、磁気記録層上に形成されたトラック幅の1/5以上である。図4の磁気記録媒体を用いた本発明の磁気記録装置においては、粒子配列領域のトラック幅方向の大きさが、再生ヘッドのトラック幅の1/5以上である。
【0022】
磁性粒子32を形成する材料には、飽和磁化Isが大きくかつ磁気異方性が大きいものが適している。このような磁性金属材料としては、例えばCo、Pt、Sm、Fe、Ni、Cr、Mn、Bi、およびAlならびにこれらの金属の合金からなる群より選択される少なくとも1種が用いられる。これらの磁性金属材料のうちでは、結晶磁気異方性の大きいCo基合金、特にCoPt、SmCo、CoCrをベースとしたものがより好ましい。具体的には、Co−Cr、Co−Pt、Co−Cr−Ta、Co−Cr−Pt、Co−Cr−Ta−Pt、Co、Fe、などである。また、これらの他にも、Tb−Fe、Tb−Fe−Co、Tb−Co、Gd−Tb−Fe−Co、Gd−Dy−Fe−Co、Nd−Fe−Co、Nd−Tb−Fe−Co、PtMnSb、FePt、Coフェライト、Baフェライト等の、Co基合金、希土類−遷移金属合金、規則合金、磁性酸化物などから幅広く選択することができる。飽和磁化、保磁力等の磁気特性を制御する目的で、上記の磁性体にさらにFe、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素と合金化させてもよい。また、これらの金属または合金に、磁気特性を向上させるための添加物、例えばCr、Nb、V、Ta、Ti、W、Hf、Cr、V、In、Si、B等、またはこれらの元素と、酸素、窒素、炭素および水素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素との化合物を加えてもよい。
【0023】
非磁性母材としては、一般式M−Gで表される化合物、あるいは炭素原子、有機物等が挙げられる。ここで、MはSi、Al、Zr、Ti、Ta、In、SnおよびBからなる群より選択される少なくとも1つの元素、Gは酸素、窒素および炭素からなる群より選択される少なくとも1つの元素である。具体的には、C、Si−O、Al−O、Zr−O、Ti−O、Ta−O、In−O、Si−N、Al−N、Zr−N、Ti−N、Ta−N、In−N、B−N、Si−C、Ti−C、B−C、SiAl−ON、Si−ON、AlTi−OC、In−Sn−O、テフロンなど、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、有機物から幅広く選択できる。もちろん、これらの母材にさらに非磁性の元素(特定の結晶構造を持つバルクでは磁性体となる材料であっても添加状態では非磁性となる元素も含む)を添加してもよい。この場合、添加元素が母材中に固溶していても構わないし、相分離した状態であっても構わない。また、添加元素が微粒子となって母材中に存在していても構わない。
【0024】
粒子配列領域1の形状はどんなものであっても構わない。また、粒子配列領域1間の境界がある大きさを有する遷移領域、すなわち配列軸が乱れている領域となっていても構わない。粒子配列領域1内部の磁性粒子32の配列の度合いは、例えば、配列軸2が必ずしも磁性粒子32の中心部を通過しない、といったある程度の乱雑さを含んでいても構わない。
【0025】
本発明において、磁性粒子32が規則的に配列されているということは、最近接磁性粒子間距離の分布の全半値幅(FWHM)が最近接磁性粒子間の平均距離の±40%以下であることを意味する。
【0026】
磁気記録媒体が持つ磁気異方性は、面内方向でも垂直方向でも構わない。面内媒体であれば、現行の記録再生システムがそのまま使えるので好ましい。また、垂直媒体であれば、磁性粒子3の体積を大きくすることができるので磁気異方性エネルギーが大きくなり、その結果熱揺らぎの問題が発生しにくく好ましい。
【0027】
磁性粒子が配列している媒体では、従来の磁性粒子がランダムに配置している媒体に比べて、磁化転移部に起因するノイズやジッタ、サイドライティング等の問題が小さくなることが報告されている(R.White:Data Storage,September 1997,p.55)。しかし、この文献で想定しているのはディスク全面にわたりコヒーレントに磁性粒子が配列している媒体であり、電子線描画によるパターニングを用いない限り、このような媒体は作製不可能である。
【0028】
本発明に係る磁性粒子が配列した磁気記録媒体は、後述するように例えばブロックコポリマーの自己組織化現象(相分離現象)を利用して製造される。ブロックコポリマーの自己組織化現象を利用する場合、大面積にわたって磁性粒子が同じ方向に配列している磁気記録媒体を得るのが一般に困難である。なぜならば、不純物、ダスト、基板の欠陥等の外乱要因が存在するためである。このような外乱要因が存在する結果、磁性粒子が同じ方向に配列する複数の粒子配列領域が媒体上に存在し、粒子配列領域間の配列方向は異なることになる。
【0029】
本発明に係る磁気記録装置または磁気記録媒体において、粒子配列領域のトラック幅方向の大きさは、再生ヘッドのトラック幅の1/5以上、または磁気記録層上に形成されたトラック幅の1/5以上である。これは、本発明者らが、上記のような構成を有する本発明の磁気記録媒体では、所定の条件で評価したエラーレートが、磁性粒子がランダムに配列している従来の媒体の90%に低減されることを実験により見出したことによる。
【0030】
図4に示す本発明の磁気記録媒体においては、粒子配列領域のトラック幅方向の大きさは、トラック幅の3倍以上であることが好ましい。本発明者らは、トラック幅方向の粒子配列領域がこのような大きさであると、単一周波数で記録した状態での媒体ノイズが90%に低減されることを実験によって見出している。また、本発明者らは、粒子配列領域のトラック幅方向の大きさがさらに大きくなるにつれて、媒体ノイズを低減する効果があることも実験によって見出している。媒体ノイズが低減することはS/N比の向上をもたらすため、熱揺らぎを起こさない同様のランダム磁性粒子媒体よりも、記録密度を向上させた磁気記録媒体を得ることができる。ただし、粒子配列領域のトラック幅方向の大きさがトラック幅よりも大きいと、転移幅の揺らぎは粒子配列領域内では一定であるが、粒子配列領域間では異なってくる。この影響は、転移ジッターとして現れる傾向がある。
【0031】
なお、エラーレートは、符号化方法など、システムの諸特性に強く依存する。したがって、適用しようとするシステムで要求される媒体ノイズおよびエラーレートを考慮して、粒子配列領域のトラック幅方向の大きさを、トラック幅の1/5以上の範囲の大きさで適宜設計することが好ましい。
【0032】
本発明に係る磁気記録媒体では、磁性粒子32の平均粒径が2nm以上であり、磁性粒子間の平均間隔が1nm以上であることが好ましい。現実的に得られる磁気異方性エネルギーから考えて、磁性粒子32の粒径が2nmよりも小さいと安定な磁化状態を保つのが難しい。また、磁性粒子32間の平均間隔が1nm以上でないと交換相互作用により隣接する磁性粒子32の間で磁化反転が引き起こされ、磁性粒子32が配列した効果が得られなくなってしまうため好ましくない。なお、磁性粒子32がその周縁部に非磁性の殻を持つような微細構造を持つ場合には、磁性粒子32間の距離には当然この殻の部分の厚さが含まれる。
【0033】
図5は、本発明に係る磁気記録媒体の他の例を示す平面図である。この磁気記録媒体を構成する磁気記録層は、磁性母材33中に非磁性粒子34が分散した構造を有する。磁性母材33は磁性結晶粒子を含む。磁性母材33内において、磁性結晶粒子の結晶方向は互いに異なっていてもよい。磁気記録層の表面には磁性母材33中に非磁性粒子34が規則的に配列した複数の粒子配列領域3が形成されている。各粒子配列領域3内では非磁性粒子34が一定の配列軸4に沿って配列されている。非磁性粒子34が三角格子状に配列されているときには、3方向に向く配列軸4が存在する。1つの配列軸4上には3個以上の非磁性粒子34が配置されている。
【0034】
本発明に係る磁気記録媒体においては、磁性母材33を構成する磁性結晶粒子間の平均間隔が2nm以下であり、非磁性粒子34の平均粒径が1nm以上である。磁性母材33を構成する磁性結晶粒子は、それらの間の平均間隔が2nm以下であるため、互いに交換相互作用を及ぼしあっている。一方、非磁性粒子34は1nm以上の平均粒径を有するため、磁性結晶粒子間の交換相互作用を切断するか、十分に弱めることができる。このため、記録動作により磁性母材33中に形成される磁壁は非磁性粒子34の位置でピンニングされて停止する。したがって、磁気記録層上に形成される反転磁区の形状の乱れが少なくなり、媒体ノイズを小さくできる。
【0035】
磁性母材33の材料は、図4に示した磁性粒子31の材料と同様である。非磁性粒子34の材料は、図4に示した非磁性母材32の材料と同様である。粒子配列領域3の形状はどんなものであっても構わない。また、粒子配列領域3間の境界にある大きさを有する遷移領域が形成されていてもよい。粒子配列領域3内部の非磁性粒子34の配列の度合いは、例えば、配列軸4が必ずしも非磁性粒子34の中心部を通過しない、といったある程度の乱雑さを含んでいても構わない。本発明に必要な配列の度合いは例えば、空間のFFT分析を行なった結果において、最低限、局所的なスポットが見える程度であればよい。磁性母材33が持つ磁気異方性は、面内方向でも垂直方向でも構わない。面内媒体であれば、現行の記録再生システムがそのまま使えるので好ましい。また、垂直媒体であれば、反磁界が反転磁区の形成を助ける方向に作用するので、高密度記録が可能となり好ましい。
【0036】
図5に示す媒体において非磁性粒子10を配列させるプロセスは、図4に示す媒体の磁性粒子3を配列させるプロセスと同様に、後述するブロックコポリマーの自己組織化現象を用いる。このため、前述したように、複数の粒子配列領域が生じる。
【0037】
図5に示す本発明の磁気記録媒体においては、粒子配列領域3のトラック幅方向の大きさが、磁気記録層上に形成されたトラック幅の1/5以上であることが好ましい。図5の磁気記録媒体を用いた本発明の磁気記録装置においては、粒子配列領域3のトラック幅方向の大きさが、再生ヘッドのトラック幅の1/5以上であることが好ましい。
【0038】
これは、本発明者らが、上記のような構成を有する磁気記録媒体では、所定の条件で評価したエラーレートが、磁性粒子がランダムに配列している従来の媒体の90%に低減されることを実験により見出したことによる。非磁性粒子34によって磁壁がピンニングされる結果、磁壁の形状がほぼ直線になるため、図4のように規則的に配列した磁性粒子32を有する媒体の場合とほとんど同じ形状の記録セルが形成される。この結果、図4に示す媒体と同様な傾向が得られるものと推定される。
【0039】
また、媒体ノイズを低減する観点からは、粒子配列領域3のトラック幅方向の大きさが、磁気記録層上に形成されたトラック幅の3倍以上であることが好ましい。
【0040】
また、図5に示した本発明の磁気記録媒体では、トラック幅方向の非磁性粒子間の平均間隔が磁気記録層上に形成されたトラック幅以下であることが好ましい。図5の磁気記録媒体を用いた本発明の磁気記録装置では、トラック幅方向の非磁性粒子間の平均間隔が記録ヘッドのトラック幅以下であることが好ましい。非磁性粒子34の平均間隔が上記の条件を満たしていないと、非磁性粒子34によってピンニングされる磁壁がトラック幅を越えて形成される。このことはトラック間の干渉を起こし、大きな媒体ノイズの原因となるため好ましくない。
【0041】
次に、本発明の磁気記録媒体の断面構造の例を図6〜図11を参照してより詳細に説明する。これらの図において、磁性体部35は図4における磁性粒子でもよいし、図5における磁性母材でもよい。同様に、非磁性体部36は図4における非磁性母材でもよいし、図5における非磁性粒子でもよい。
【0042】
図6は本発明に係る磁気記録媒体の一形態を示す断面図である。図6において、基板10上に下地層20が形成され、この下地層20上に磁気記録層を構成する磁性体部35および非磁性体部36が形成されている。下地層20は多層構造を有していてもよい。この図では、磁性体部35の下の下地層20の厚さは非磁性体部36の下の下地層20の厚さよりも厚くなっている。
【0043】
基板10としては、金属、ガラス、セラミクスなどを用いることができる。
【0044】
下地層20は磁性体または非磁性体からなる。多層構造の下地層では複数の磁性体および/または非磁性体が用いられる。下地層20の厚さは、10nm〜1000nm程度である。厚さが10nmを下回ると下地層20としての機能がなくなり、また厚さが1000nmを越えると下地層20の作製に時間がかかり量産に適さなくなるので、好ましくない。
【0045】
磁性体からなる下地層20は、磁気記録層に効率的な記録/再生を行なうために、磁気記録層中の記録セルと交換相互作用・静磁気相互作用を介して磁気的に結合されている。記録セルと交換結合するように設置する例としては、磁化反転しやすい磁性下地層を用いて記録セルを安定化する、または、磁化の大きな磁性下地層を用いて再生出力を増加させる等が挙げられる。
【0046】
非磁性体からなる下地層20は、磁性体部35や非磁性体部36の結晶構造を制御する目的、または基板10からの不純物の混入を防ぐ目的で設置される。例えば、磁性体部35の所望の結晶配向の格子間隔に近い格子間隔を持つ下地層20を用いれば磁性体部35の結晶状態を制御することが可能である。また、ある表面エネルギーを持ったアモルファス下地層20を用いることにより、磁性体部35または非磁性体部36の結晶性またはアモルファス性を制御する場合もある。基板10からの不純物の混入を防ぐ目的には、格子間隔の小さいまたは緻密な薄膜を下地層20として用いればよい。
【0047】
磁性体または非磁性体の下地層20は、各々の機能を兼ね備えていても構わない。すなわち、磁性下地層20により磁性体部35の結晶性を制御するようにしても構わない。この場合には、記録/再生特性上の効果と結晶性上の効果とが相乗されるので各々の場合よりも好ましい。このような機能を果たす下地層20としては、例えばアモルファスのCoZrNbなどが挙げられる。
【0048】
下地層20は、イオンプレーティング、雰囲気ガス中でのドープ、中性子線照射等によって基板10の表面を改質した表面改質層であっても構わない。この場合、薄膜堆積のプロセスを介さなくて済むので、媒体作製上好ましい。
【0049】
現在の磁気記録媒体はCr系非磁性合金下地層の上にCoCr系磁性層を堆積する構成が多い。この場合、下地層と磁性層との間には互いの元素が拡散した界面層が形成されやすい。このような界面層が形成されやすい下地層/磁性体の材料系で本発明による磁気記録媒体を作製すると、界面層が磁性体部35、非磁性体部36ともに広がっていって、両者の境界があいまいになる。また、非磁性体部36と下地層20との間の界面と磁性体部35との間で原子が相互拡散する結果、磁性体部35と非磁性体部36との境界部分の組成が磁性体部35の中央部分の組成と異なる場合がある。
【0050】
こうした状況を回避するには、磁性体部35の直下の下地層20の厚さを非磁性体部36の直下の下地層の厚さよりも厚くすればよい。こうすることによって、磁性体部35部直下と非磁性体部36直下の界面層との間の原子の拡散は抑制される。また、磁性体部35に比べて非常に活性な界面層ができるような非磁性材料を非磁性体部36に用いることも可能になり、磁気記録層の材料選択の幅を広げる効果が得られる。
【0051】
このような効果が得られる下地層20の厚さの差は、界面層の厚さにもよるが、0.5nm以上であればよい。厚さの差に上限は特に制限されないが、媒体作製、下地層20の厚さを考慮すれば、現実的に厚さの差は20nm以下であるのが好ましい。
【0052】
図7は、本発明に係る磁気記録媒体の他の形態を示す断面図である。図7において、基板10上に下地層20が形成され、この下地層20上に磁気記録層を構成する磁性体部35および非磁性体部36が形成されている。この図では、非磁性体部36の一部と下地層20との間に、磁性体部35を構成する元素の少なくとも1つを含有する界面層37が形成されている。
【0053】
一般に、磁性体部35は、下地層20から磁性または非磁性の不純物原子が拡散して混入すると下地層20側での磁気特性が変化する。磁気記録媒体では、磁性体部35の下地層20側の部分とそれ以外の部分、特に磁気記録ヘッドと対向する表面側の部分とで磁気特性が異なることは、安定した記録/再生の観点から好ましくない。一方、本発明による磁気記録層を構成する非磁性体部36は、磁性体部35間の交換相互作用を切断する、および一部磁性体部35となるなどして静磁エネルギー分布に乱れを作らない、という要件を満たしていればよい。そのため、非磁性体部36は、下地層20から磁性または非磁性の不純物原子が拡散してきてもその影響は小さい。そこで、非磁性体部36と下地層20との間に積極的に磁性体部35を構成する元素の少なくとも1つを含有する界面層37を形成することによって、下地層20から界面層37への原子の拡散を起こさせる。下地層20から界面層37への原子の拡散が起きることにより、下地層20から磁性体部35への原子の拡散を抑制することができる。その結果、磁性体部35の下地層20側の部分と表面側の部分とで磁気特性が異なるという問題を解決することができる。また、界面層37を導入することによって、非磁性体部36と下地層20との間の密着性を向上させ、非磁性体部36と下地層20の間での剥離などを防ぐことができる。磁気記録媒体上の磁気ヘッドはサブμmの非常に小さなスペーシングで動作するので、一部でもこういう剥離があると磁気記録システムとして動作しなくなる。
【0054】
界面層37の媒体面方向から見た面積については特に制限はないが、非磁性体部36の面積の0.5%以上の面積を持つことが好ましい。このような面積を有することによって、界面層37としての有効な作用が期待できる。界面層37を構成する材料は、磁性元素および非磁性元素のいずれか、または両者の混合物である。なお、上記の効果に影響を及ぼさない範囲において、界面層37は磁性体部35と接していてもいなくてもよい。なお、図7に示した界面層37は、界面でのミキシングの役割を果たせば十分であるので、平均厚さが5nm以下であることが好ましい。
【0055】
図8は本発明に係る磁気記録媒体の他の形態を示す断面図である。この図では、磁性体部35を連結する界面層37が形成されている。このように界面層37が存在することにより、下地層20から磁性体部35への原子拡散の影響をより小さくする、また下地層20と非磁性体部36と間の密着性をより向上させるという効果が得られる。また、磁性体部35が界面層37によって互いに連結されることにより、磁性体部35が下地層20上に連続して存在しているとみなすことができる。そのため、磁性体部35の結晶構造を下地層20によってより容易に調整できるという効果もある。
【0056】
なお、界面層37は磁性体部35とほぼ同様の組成を持っていてもよい。界面層37は膜厚が5nm以下と小さいので、磁性体部35とほぼ同様の組成であっても、界面層37を構成する磁性結晶粒子間の交換相互作用が十分に小さければ、超常磁性の効果によって非磁性体となる。また、膜厚が5nmと小さいのでほとんどが下地層20上での界面層37となり、この点からも磁性体間の交換結合という悪影響を避けることができる。
【0057】
界面層37が図7および図8のいずれの構造を取るかは、複数の効果があることもあって、下地層20、磁性体部35、非磁性体部36を形成する材料によって選ぶべきものである。
【0058】
図9は本発明に係る磁気記録媒体の他の形態を示す断面図である。図9において、基板10上に磁気記録記録層を構成する磁性体部35および非磁性体部36が形成されている。非磁性体部36の一部の上に、磁性体部35を構成する元素の少なくとも1つを含有する界面層38が形成されている。なお、基板10と磁性体部35および非磁性体部36との間に下地層が形成されていてもよい。基板10および下地層は、図6の記録媒体において用いられているものと同様である。
【0059】
一般に、磁気記録媒体においては、磁気記録層上に保護層が形成されるので、磁気記録層に対する保護層の密着性は重要である。保護層を用いない場合でも、磁気記録層上に潤滑層が形成されるので、磁気記録層に対する潤滑層の密着性および濡れ性が重要となってくる。
【0060】
磁性体部35を構成する元素の少なくとも1つを含有する界面層38を非磁性体部36上に形成することによって、非磁性体部36と保護層との間の密着性を向上させることができる。また、上述のような界面層38を形成することによって、磁性体部35のみに対して密着性および保護性能の良い保護層を開発すればよいので、材料選択の幅、大量生産性、コスト等の観点において好ましい。なお、図9に示した界面層38は、平均厚さが5nm以下であることが好ましい。
【0061】
図10は本発明に係る磁気記録媒体の他の形態を示す断面図である。この図では非磁性体部36上に磁性体部35を連結する界面層38が形成されている。このような界面層38が存在すると、非磁性体部36と保護層との間の密着性をより向上させることができる。また、磁性体部35が界面層38によって互いに連結されることにより、磁性体部35が非磁性体部36の上にも連続して存在しているとみなすことができる。そのため、保護層の密着性が向上するという効果もある。なお、界面層38は磁性体部35とほぼ同様の組成を持っていてもよい。界面層38は膜厚が5nm以下と小さいので、磁性体部35とほぼ同様の組成であっても、界面層38を構成する磁性結晶粒子間の交換相互作用が十分に小さければ、超常磁性の効果によって非磁性体となる。また、膜厚が5nmと小さいのでほとんどが前述した非磁性体部36上の界面層37となり、この点からも磁性体間の交換結合という悪影響は避けることができる。
【0062】
界面層38が図9および図10のいずれの構造を取るかは、複数の効果があることもあって、下地層20、磁性体部35、非磁性体部36を形成する材料によって選ぶべきものである。
【0063】
図11は本発明に係る磁気記録媒体の他の形態を示す断面図である。図11において、基板10上に下地層20が形成され、この下地層20上に磁気記録記録層を構成する磁性体部35および非磁性体部36が形成されている。図11では非磁性体部36が下地層20と接触した初期層36aとその上の成長層36bとからなっている。
【0064】
一般に、磁性体と非磁性体とは膨張率などの機械的特性が異なるため、両者が接していると歪みが発生しやすい。磁性体部35と非磁性体部36との間に歪みが発生すると、磁気記録層中への亀裂の進入、劣化、剥離などの問題が発生する。図11のように非磁性体部36が初期層36aと成長層36bに分かれていると、両者の界面が歪みを緩衝する領域となり、歪みの影響を小さくすることができる。この目的のためには、初期層36aと成長層36bとの界面が形成されればよいので、これらの層の厚さは特に制限されない。同様な効果は磁性層にも適用できる。
【0065】
本発明の磁気記録媒体においては、非磁性母材中に磁性粒子が規則的に配列した構造または磁性母材中に非磁性粒子が規則的に配列した構造を有する粒子配列領域に関して、それらの配列軸がトラック長さ方向となす角度の分布の半値幅が40°以下であることが好ましい。
【0066】
上記の配列軸とは、図4に示すように各粒子配列領域1内において磁性粒子32が配列している配列軸2、および図5に示すように各粒子配列領域3内において非磁性粒子34が配列している配列軸4のうち、トラック長さ方向に最も近い配列軸のことである。
【0067】
配列軸2または4とトラック長さ方向とのなす角度は、粒子配列領域1または2内における磁性粒子32または非磁性粒子34の配列が三角格子の場合には最大60°であり、四角格子の場合には最大45°である。図12は、配列軸とトラック長さ方向とのなす角度と粒子配列領域数との間の関係を示す図である。図12に示すように、配列軸とトラック長さ方向とのなす角度に対して粒子配列領域数はある分布を有する。一方、ランダム媒体では、配列軸とトラック長さ方向とのなす角度はフラットな分布を示すとみなすことができる。
【0068】
磁気記録媒体を回転させて磁気ヘッドで再生することを考えると、各粒子配列領域の配列軸がトラック長さ方向に対して揃っているほど、ヘッドと配列軸との間のずれが一定であるかまたはある値以下となるため、ずれによって発生する媒体ノイズ・ジッタ等が減少するので好ましい。すなわち、トラック長さ方向とのなす角度が小さい配列軸を有する粒子配列領域が多く存在することが好ましい。
【0069】
本発明者らは、粒子配列領域内で三角格子が形成されている磁気記録媒体について、配列軸とトラック長さ方向とがなす角度の分布のFWHMと媒体ノイズとの間の相関を調べたところ、FWHMが40°のときに60°のときのノイズレベルの90%になることを見出している。粒子配列領域の配列軸がトラック長さ方向となす角度の分布の半値幅FWHMは40°以下であることが好ましく、より好ましくは20°以下、さらに好ましくは10°以下である。上述の条件は、磁性粒子32または非磁性粒子34の配列度合いのみに関わることである。従って、図4の媒体でも図5の媒体でも効果は同じである。
【0070】
次に、本発明に係る磁気記録媒体の製造方法について説明する。本発明は、ブロックコポリマーの自己組織化を利用する以下に説明する第1から第8までの製造方法を含んでいる。各方法は、本発明に係る磁気記録媒体を製造する上で有効である。
【0071】
(1)第1の方法
第1の方法は、以下の工程を含んでいる。(a)非磁性基板の上にブロックコポリマー層を形成する工程、(b)ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程、(c)海島構造を有するブロックコポリマー層を通して非磁性基板をエッチングする工程、(d)非磁性基板のエッチング領域に磁性層を堆積する工程、(e)残留ポリマー層およびその上の磁性層をリフトオフする工程。なお、(d)工程では、下地層および磁性層を順次堆積してもよい。下地層は多層構造でもよい。以下、上記の各工程について説明する。
【0072】
(a)非磁性基板上にブロックコポリマー層を形成する工程。
【0073】
ブロックコポリマーとは、複数の異なるホモポリマーを構成成分とする直鎖ポリマーからなるコポリマーのことである。なお、ブロックコポリマーは、二元でもよいし、三元以上でもよい。ブロックコポリマーとしては、例えば、ポリスチレンとポリイソプレンを7:3の割合で含有し、分子量Mwが50万程度、分子量の分散が1.1以下のものが挙げられる。ブロックコポリマーは、例えばセロソルブ系溶媒に溶解して用いられる。この溶液を非磁性基板上にスピンコート等によって塗布して、ブロックコポリマー層を形成する。
【0074】
(b)ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程。
【0075】
ブロックコポリマー層をアニールすると、海島構造と呼ばれる自己組織化構造(相分離構造)を形成する。海島構造とは、ジブロックコポリマーでは一方のブロックが島、他方のブロックが島を取り囲む海となっている構造のことである。一方のブロックが例えば体積分率で約30%以下のときに海島構造となる。海島構造の一例としては、ポリスチレンの海に最小で10nm程度の平均粒径のポリイソプレンの島が規則的に分散しているような構造である。
【0076】
海島構造を形成したブロックコポリマー層を例えばオゾンで処理すると、後述するCF4を用いた反応性イオンエッチング(RIE)におけるエッチング速度比を、ポリスチレンの海:ポリイソプレンの島=1:4に調整することができる。このように島のエッチングレートが大きければ、後述するブロックコポリマー層を通しての基板のエッチング加工のときに、基板上に島の部分に対応した孔が開口されたパターンを形成することができる。
【0077】
なお、ブロックコポリマーの海と島のエッチングレートはどちらが大きくても構わない。ただし、海島構造の海および島のどちらのエッチングレートが大きいにしろ、両者の間のエッチングレートの比(選択比)が3以上でないと一般にエッチングによるパターンの作製は困難である。また、材料自体が上記の速度比を有しているときには、前述のオゾン処理等は不要である。オゾン処理等が不要であると、製造工程が削減されるため好ましい。
【0078】
(c)海島構造が形成されたポリマーを通して非磁性基板をエッチングする工程。
【0079】
工程(b)においてエッチング速度比が調整された海島構造を有するブロックコポリマー層を通して、CF4を用いたRIEなどによるエッチング処理を行なう。エッチングによって、まず、ブロックコポリマー層の海島構造のうちのエッチングレートの大きい海または島のみがエッチング除去される。例えば、前述したように、工程(b)においてブロックコポリマー層をオゾン処理した場合には、ポリイソプレンの島のみがエッチング除去され、ポリスチレンの海は残存する。エッチング除去された海または島に続いて非磁性材料の基板がエッチング除去されていく。こうして、ブロックコポリマー層を通して非磁性材料の基板のエッチング加工が行われる。
【0080】
(d)非磁性基板のエッチング領域に磁性層を堆積する工程。
【0081】
非磁性基板をエッチング加工した後に、通常のスパッタ等の方法によって磁性層を堆積する。こうして、非磁性基板のエッチング領域(例えば、ポリイソプレンの島に対応する開口部)および残存するブロックコポリマー層(例えば、ポリスチレンの海)の表面に磁性層が堆積される。なお、下地層および磁性層を順次堆積してもよい。この場合、多層構造の下地層を堆積してもよい。
【0082】
(e)残留ポリマー層およびその上の磁性層をリフトオフする工程。
【0083】
有機溶剤等によって残留ポリマー層(例えば、ポリスチレン)とともに、その上に磁性層または下地層および磁性層をリフトオフして除去する。その後、他の残留物をアッシングなどで取り除く。
【0084】
以上の(a)〜(e)の工程により、ブロックコポリマー層の海島構造のパターンに従って、非磁性基板中に磁性層を埋め込むことができる。このようにして、非磁性基板(非磁性母材)中に磁性粒子が分散した本発明による磁気記録媒体を形成することができる。
【0085】
上記の方法は、電子線描画によってマスクを作製する方法に比べて、マスク形成プロセスが不要なので安価であることは明らかである。また、アニール時には同時に複数枚の媒体を処理できるので、スループットの低下にはつながらない。
【0086】
この方法によれば、基板が非磁性母材を兼ねているため、残留ブロックコポリマー層を除去した後に化学機械研磨(CMP)等による平坦化処理が必要な場合でも、非磁性母材の剥離の問題が生じない。そのため、研磨条件は磁性体に対してのみ最適化すれば良く、記録媒体の作製が容易となる。このため磁気ヘッドを低いフライングハイトで動作させることができ、高密度記録の点で好ましい。
【0087】
なお、例えば、M.Park:Science,vol.276,p.1401,1997において説明されているように、海島構造を形成したブロックコポリマー層に対して、オゾン処理の代わりにオスミウム処理を行うと、海と島との間のエッチング速度比を逆転させることが可能である。海のエッチングレートが大きければ、エッチング時に基板上に島の部分を残すパターンを形成することができる。このように非磁性基板を島の部分が残るようにエッチングした後に、海の部分に対応してエッチング除去された基板部分に磁性体材料を充填することによって、磁性母材中に非磁性粒子が配置された構造を有する本発明に係る磁気記録媒体を作製することが可能となる。このように磁性母材中に非磁性粒子が分散した構造の媒体を形成する場合にも、上記と同様な効果が得られる。
【0088】
(2)第2の方法
第2の方法は、以下の工程を含んでいる。(a)基板上に非磁性層を堆積する工程、(b)非磁性層上にブロックコポリマー層を形成する工程、(c)ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程、(d)海島構造を有するブロックコポリマー層を通して非磁性層をエッチングする工程、(e)非磁性層のエッチング領域に磁性層を堆積する工程、および(f)残留ポリマー層およびその上の磁性層をリフトオフする工程。なお、(e)工程では、下地層および磁性層を順次堆積してもよい。下地層は多層構造でもよい。
【0089】
以上の工程のうち、工程(b)〜(f)は、前述した第1の方法における工程(a)〜(e)と同様である。
【0090】
この方法においては、最初に工程(a)において基板上に母材となる非磁性層を堆積した後に、工程(b)において非磁性層上にブロックコポリマー層を形成し、工程(c)においてブロックコポリマー層を海島構造にし、工程(d)において反応性イオンエッチングを行う。このとき、エッチング加工によって形成される凹部は、(i)非磁性層の途中にあって非磁性層の材料が露出しているか、または(ii)基板表面またはそれ以下に達して基板材料が露出しているか、のいずれかである。その後、工程(e)において磁性層、または下地層および磁性層を堆積する。
【0091】
上記の(i)の場合、非磁性層が磁性層の下の下地層、または下地層の下の下地層としての機能を有することができるため好ましい。例えば、非磁性層としてZnOなどの誘電体薄膜、磁性層としてCoPtを用いると、ZnOはCoPtのc軸配向を促す作用があるため、磁性層が垂直磁気異方性を持つCoPt−ZnO磁気記録媒体を得ることができる。上記の(ii)の場合、工程(e)において基板に対して配向性の良い下地層または磁性層を堆積させて磁気記録媒体の磁気特性を向上させることができるため、好ましい。
【0092】
(3)第3の方法
第3の方法は、以下の工程を含んでいる。(a)基板に下地層を堆積する工程、(b)下地層上に非磁性層を堆積する工程、(c)非磁性層の上にブロックコポリマー層を形成する工程、(d)ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程、(e)海島構造を有するブロックコポリマー層を通して非磁性層をエッチングする工程、(f)非磁性層のエッチング領域に磁性層を堆積する工程、および(g)残留ポリマー層およびその上の磁性層をリフトオフする工程。なお、(a)工程で堆積する下地層は多層構造でもよい。また、(f)工程においては下地層(多層構造でもよい)および磁性層を堆積してもよい。以上の工程のうち、工程(c)〜(g)は、前述の第1の方法における工程(a)〜(e)と同じである。
【0093】
この方法においては、最初に工程(a)において基板上に下地層を堆積し、工程(b)において非磁性層を堆積した後、工程(c)においてブロックコポリマー層を形成する。この方法においては、例えば工程(a)においてCrなどの金属層を下地層として堆積し、工程(b)においてSiO2などの誘電体を非磁性母材層として堆積する。この場合、工程(e)においてCF4などによるRIEを行ったときに、下地層がエッチングストップ層として作用し、エッチングを正確に下地層の表面で停止させることができるため好ましい。また、エッチングにより下地層が現れてから後もしばらくエッチングを続けることにより、下地層表面の有機物や不純物を取り除いてこの表面を清浄にすることが可能である。この場合、下地層表面に堆積させる磁性層の配向性をより良くすることが可能となるため好ましい。
【0094】
(4)第4の方法
第4の方法は、以下の工程を含んでいる。(a)基板上に磁性層を堆積する工程、(b)磁性層上にブロックコポリマー層を形成する工程、(c)ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程、(d)海島構造を有するブロックコポリマー層を通して磁性層をエッチングする工程、(e)磁性層のエッチング領域に非磁性層を堆積する工程、および(f)残留ポリマー層およびその上の非磁性層をリフトオフする工程。なお、(a)工程では基板上に下地層(多層構造でもよい)および磁性層を堆積してもよい。以上の工程は、第1および第2の方法における各工程と同様である。
【0095】
この方法においては、工程(a)において基板に磁性層を堆積し、工程(b)においてブロックコポリマー層を形成し、工程(d)においてエッチング加工により磁性層に凹部を形成した後、工程(e)において母材となる非磁性層を埋め込む。工程(d)において磁性体をエッチング加工するためのRIE反応ガスとしては、一酸化炭素および/またはアンモニアのプラズマを用いればよい。
【0096】
この方法においては、工程(a)において薄膜状態の磁性層が形成されるため、非磁性体の凹部に磁性体を埋め込む場合と比べて、配向性制御や磁気特性制御が容易であるという利点を持つ。また、工程(a)において下地層および磁性層を堆積した場合、工程(d)においてエッチング加工を下地層にまで進めることによって、図6に示した構造を有する磁気記録媒体を作製することが可能となる。さらに、工程(d)において、磁性層を完全に除去することなく磁性層の途中までしかエッチング除去しないように加工することによって、図7または図8に示す構造を有する磁気記録媒体を作製することが可能となる。
【0097】
(5)第5の方法
第5の方法は、以下の工程を含んでいる。(a)非磁性基板の上にブロックコポリマー層を塗布する工程、(b)ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程、(c)海島構造を有するブロックコポリマー層を通して非磁性基板をエッチングする工程、(d)残留ポリマーを除去する工程、(e)非磁性基板のエッチング領域に磁性層を堆積する工程、および(f)全面を化学機械研磨(CMP)する工程。なお、(e)工程では下地層(多層構造でもよい)および磁性層を堆積してもよい。以上の工程のうち、工程(a)〜(e)は、前述した第1の方法における各工程と同様である。
【0098】
この方法においては、工程(e)において磁性層の薄膜を堆積する前に、工程(d)において残留しているポリマーを完全に除去する。こうすることによってポリマーを構成する有機物が磁性層へと混入することが防がれるため好ましい。また、第1〜第4の方法のようにリフトオフプロセスを用いると、磁性体または非磁性体のバリが発生しやすいため、磁気ヘッドを低い浮上量で動作させる媒体では、バリの発生しにくい条件出しをする必要がある。これに対して、第5の方法ではリフトオフプロセスを用いないので、製造が容易になる。一方、この方法においては、全面に堆積された磁性層を平坦化するために工程(f)においてCMPを行う必要がある。この方法においては、工程(f)において非磁性基板の表面が完全に出る前にCMPを止めることにより、図9または図10に示した、非磁性体部の上に界面層が形成された磁気記録媒体を作製することが可能である。また、この方法は、第1の方法と同様に、基板が非磁性母材として機能するため、非磁性母材の剥離の問題がないという利点の他に、CMPの条件は磁性体に対してのみ最適化すればよいという利点を有している。なお、磁性母材中に非磁性粒子が分散した構造の媒体を製造する場合にも同様な効果が得られる。
【0099】
(6)第6の方法
第6の方法は、以下の工程を含んでいる。(a)基板の上に非磁性層を堆積する工程、(b)非磁性層の上にブロックコポリマー層を形成する工程、(c)ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程、(d)海島構造を有するブロックコポリマー層を通して非磁性層をエッチングする工程、(e)残留ポリマー層を除去する工程、(f)非磁性層のエッチング領域に磁性層を堆積する工程、および(g)全面を化学機械研磨する工程。なお、(f)工程では下地層(多層構造でもよい)および磁性層を堆積してもよい。この方法は、第5の方法を実施する前に、基板の上に非磁性層を堆積する工程(a)を行うものである。
【0100】
この方法においても、第5の方法と同様に、(e)工程において磁性層の堆積前に残留ポリマー層を除去するので、ポリマーの有機物が磁性層に混入することを防ぐとともに、バリの発生の問題がないという利点がある。また、最初に工程(a)において基板上に例えば非磁性材料の母材層を堆積した後に、工程(b)においてブロックコポリマー層を形成するため、前述の第2の方法において述べた効果と同様の効果を得ることができる。この方法においても、第5の方法と同様に、工程(g)において非磁性層の表面が完全に現れ前にCMPを止めることにより、図9または図10に示すような非磁性体部の上に界面層が形成された磁気記録媒体を作製することが可能である。
【0101】
(7)第7の方法
第7の方法は、以下の工程を含んでいる。(a)基板上に下地層を堆積する工程、(b)下地層上に非磁性層を堆積する工程、(c)非磁性層上にブロックコポリマー層を形成する工程、(d)ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程、(e)海島構造を有するブロックコポリマー層を通して非磁性層をエッチングする工程、(f)残留ポリマー層を除去する工程、(g)非磁性層のエッチング領域に磁性層を堆積する工程、および(h)全面を化学機械研磨する工程。なお、(a)工程で堆積する下地層は多層構造でもよい。また、(g)工程においては下地層(多層構造でもよい)および磁性層を堆積してもよい。この方法は、第6の方法を実施する前に、基板の上に1層以上の下地層を堆積する工程(a)を行うものである。
【0102】
この方法においても、第5の方法と同様に、ポリマーの有機物が磁性層に混入することを防ぐことができるとともに、バリの発生の問題がないという利点がある。また、最初に工程(a)において下地層を堆積した後、工程(b)において母材となる非磁性層を形成するために、第3の方法において述べた効果と同様の効果を得ることができる。さらに、この方法においても、第5の方法と同様に、工程(h)において非磁性層の表面が完全に出る前にCMPを止めることにより、図9または図10に示した、非磁性体部の上に界面層が形成された磁気記録媒体を作製することが可能である。
【0103】
(8)第8の方法
第8の方法は、以下の工程を含んでいる。(a)基板上に磁性層を堆積する工程、(b)磁性層上にブロックコポリマー層を形成する工程、(c)ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程、(d)海島構造を有するブロックコポリマー層を通して磁性層をエッチングする工程、(e)残留ポリマー層を除去する工程、(f)磁性層のエッチング領域に非磁性層を堆積する工程、および(g)全面を化学機械研磨する工程。なお、(a)工程では基板上に下地層(多層構造でもよい)および磁性層を堆積してもよい。以上の各工程は、第5〜7の方法における各工程と同様である。
【0104】
この方法においても、第5の方法と同様に、ポリマーの有機物が磁性層に混入することを防ぐことができるとともに、バリの発生の問題が生じないという利点がある。また、この方法においては、第4の方法で述べた効果と同様の効果が得られる。すなわち、工程(a)において薄膜状態の磁性体が形成されるため、非磁性体の凹部に埋め込まれた磁性体と比べて、配向性制御や磁気特性制御が容易であるという利点を持つ。また、工程(a)において下地層を堆積した場合には、工程(d)においてエッチング加工を下地層にまで進めることによって、図6に示した構造を有する磁気記録媒体を作製することが可能となる。さらに、工程(d)において、磁性層を完全に除去することなく磁性層の途中までしかエッチング除去しないように加工することによって、図7または図8に示す構造を有する磁気記録媒体を作製することが可能となる。
【0105】
【実施例】
(実施例1)
ブロックコポリマーを用いる第1の方法に従って、磁気記録媒体を作製した。
【0106】
まず、ポリスチレンとポリイソプレンを7:3の割合で含有し、分子量Mwが50万程度、分子量の分散が1.1以下のブロックコポリマーをセロソルブ系溶媒に溶かして溶液を作製した。この溶液を、2.5インチ径のガラス基板上にスピンコートして膜厚約30nmのブロックコポリマー層を形成した。ガラス基板を恒温槽に入れ、150℃で24時間アニールし、さらに120℃で2時間アニールした後に室温に戻した。試料の表面を走査電子顕微鏡で観察した結果、平均間隔30nmで配列した平均粒径13nmの島と、それを取り囲む海とに相分離した構造になっていることが確認された。
【0107】
試料をオゾンにさらして、CF4を用いた反応性イオンエッチング(RIE)処理を行なった。処理の結果、ブロックコポリマーの島の部分のみがエッチングされていた。膜厚測定から、CF4を用いたRIEに対する海と島の間のエッチング速度比は、海:島=1:4であることがわかった。
【0108】
エッチング後の試料に通常のスパッタリング法によって15nmのCoPtCr薄膜を堆積した。CoPtCr薄膜を堆積した試料をセロソルブ系溶媒中に浸して超音波洗浄を行ない、ブロックコポリマー上のCoCrPt膜を除去(リフトオフ)した。
【0109】
試料の表面を走査電子顕微鏡で観察した結果、図4に示すような粒子配列領域の構造が観察された。すなわち、ガラス基板母材中に約13nm径のCoPtCr磁性粒子が規則的に配列した構造が観察された。粒子配列領域の形状は等方的で、平均サイズは約200nmであった。
【0110】
この試料を高密度磁気記録媒体として用いるために、10nmのカーボンをスパッタ法により保護膜として堆積した。テープバニッシュを行なって異常突起を取り除いた後、潤滑剤を塗布した。
【0111】
この試料の磁気特性を測定したところ、保磁力2kOeの垂直磁気異方性を有していることがわかった。
【0112】
上記と同様な試料を、ブロックコポリマーのアニール時間を変えて作製した。その結果、上述と同様に図4に示した配列状態を有し、粒子配列領域の大きさが異なるCoPtCr−SiO2磁気記録媒体が得られた。
【0113】
これらの試料に対して、400kfciまでの周波数でランダム記録を行い、ビットエラーレートを調べた。チャネルには16/17EPR4MLを採用した。その測定結果を図13に示す。図13において、横軸は粒子配列領域のトラック幅方向(ディスク径方向)の大きさの平均値drを、記録トラック幅Wtすなわちディスク径方向の記録磁区の大きさを単位として示している。縦軸は300kfci単一周波数でのノイズパワーおよび上記条件下でのエラーレートであり、粒子配列領域のない従来のランダム媒体(dr=0)の値で規格化している。
【0114】
図13から明らかなように、エラーレートはdr=1/5付近で従来媒体の90%となり、システム上有益な効果が認められた。また、媒体ノイズはdr=3付近で急激に減少する傾向が認められた。このように、本発明の磁気記録媒体は媒体ノイズやエラーレートを低減できるので、熱揺らぎを起こさない従来のランダム磁性粒子媒体よりも記録密度を向上させることができる。
【0115】
上記のような効果が得られた理由は以下のように推定される。すなわち、本発明の磁気記録媒体では磁性粒子が規則的に配列しているために、ヘッドが生成する磁化転移領域は磁性粒子で量子化された状態になる。この場合、転移の乱れは高々磁性粒子間隔となり、磁性粒子がランダムな大きさと配置を持つ従来の媒体に比べて、転移の乱れが格段に小さくなる。同時に、トラックエッジにおいても、同じ理由でシャープな磁化転移が形成されるため、トラック端の乱れによるノイズが少なくなる。このため粒子配列領域のサイズの増加とともに、媒体ノイズが低減される。
【0116】
一方、ディスクが一周する間にヘッドは多数の粒子配列領域を横切る。このとき、粒子配列領域の配列軸のばらつきのために磁化転移幅は粒子配列領域毎に異なっている。ここで、dr>1の場合、転移幅の揺らぎは粒子配列領域内では一定であるが、粒子配列領域間では異なる。転移幅の揺らぎが粒子配列領域間で異なると、これが再生信号における転移ジッターとして現れる。これに対して、dr<1の場合、1つの粒子配列領域内での転移幅の揺らぎが平均化される。例えばdr=1/3の場合、転移幅の揺らぎが平均化されて1/3になる。したがって、転移ジッターの平均は変わらないが時間変化が小さくなるため、ジッターとしての悪影響が小さくなり、エラーレートを低減する効果が得られる。しかし、drがさらに小さくなり、dr<1/5になると粒子の配列の効果がなくなる。すなわち、転移ジッターの時間変化は小さくなるが、ジッターやノイズが増加してランダム磁性粒子媒体とほとんど変わらなくなる。
【0117】
以上のように、粒子配列領域の存在による媒体ノイズの低減効果と転移領域の時間揺らぎの低減効果があいまって、図13に示すように、dr=1/5より大きな粒子配列領域サイズでエラーレート低減の効果が得られたものと思われる。なお、単一周波数記録による媒体ノイズ測定では、感度が低いために、dr=1/5〜3である媒体の効果が明確には現れていないと考えられる。
【0118】
(実施例2)
ガラス基板にRIEを施した後に、下地層となるCrおよび磁性層となるCoCrTaPtをスパッタ法により堆積した以外は、実施例1と同様にして、磁気記録媒体を作製した。本実施例における磁気記録媒体は、面内磁気異方性を示し、保磁力は1.8kOeであった。
【0119】
異常突起高を実施例1より小さくする目的で、リフトオフ工程後に化学機械研磨により、バリ等の除去を行なった。その結果、ヘッドの浮上量を40nmにまで下げることができた。
【0120】
次に、ブロックコポリマーのアニール時間を種々変化させて、粒子配列領域の大きさが異なる磁気記録媒体を作製した。これら粒子配列領域の大きさが異なる試料に対して、300kfciまでの単一周波数の記録を行ない、同一のヘッドで再生信号を調べ媒体ノイズパワーを測定した。この場合にも、図13と同様な結果が得られた。このことから、図13に示す関係は、磁気記録媒体の材料、磁気特性の影響をあまり受けないことが判明した。
【0121】
(実施例3)
ブロックコポリマーを用いる第2の方法に従って磁気記録媒体を作製した。
【0122】
まず、2.5インチ径のNiPメッキAl基板に13nmのZnOをスパッタ法により堆積した。ZnOを堆積した後、実施例1と同じ要素プロセスで、ブロックコポリマーのスピンコート、アニール、オゾン処理、RIE、厚さ13nmのCoPtCrのスパッタ成膜、リフトオフ、保護層堆積、後処理を行なった。
【0123】
NiP層はRIEのストップ層となるため、RIE反応時間を長くして島の下のZnOを完全に除去した。得られた磁気記録媒体の磁気特性は、面内方向の保磁力が2kOe、垂直方向の保磁力が1.5kOeであった。
【0124】
また、種々の条件出しを行なって、ZnOを完全には除去しないようにRIEを行ない、厚さ10nmのCoPtCrを堆積した。得られた磁気記録媒体は、保磁力2.5kOeの垂直磁気異方性を示した。
【0125】
(実施例4)
ブロックコポリマーを用いる第3の方法に従って磁気記録媒体を作製した。
【0126】
まず、2.5インチ径のNiPメッキAl基板上に80nmのCrおよび15nmのSiNを堆積した。その後、実施例1と同じ要素プロセスで、ブロックコポリマーのスピンコート、アニール、オゾン処理、RIE、15nmのCoCrTaPtのスパッタ成膜、リフトオフ、保護層堆積、後処理を行なった。
【0127】
Cr層はRIEのストップ層となるため、RIE反応時間を長くして島の下のSiNを完全に除去した。得られた磁気記録媒体の磁気特性は面内の保磁力が2kOeであった。また、Cr下地層の下に15nmのTiを成膜することにより保磁力は2.6kOeに増加した。これはTi層によりCr下地層の結晶性が向上し、それがCoCrTaPtの磁気異方性を増加させたためである。
【0128】
次に、Cr層およびTi層の厚さを種々変化させて磁気記録媒体を作製した。得られた試料を透過型電子顕微鏡で観察した。その結果、磁性粒子を構成するCoCr系結晶粒子間の平均間隔が1〜4nmの範囲内にある種々の試料が得られた。
【0129】
これらの試料に対して、200kfciまでの単一周波数の記録を行ない、同一のヘッドで再生信号を調べ媒体ノイズパワーを測定した。測定結果を図14に示す。図14において、横軸はCoCr系結晶粒子の平均間隔であり、縦軸は媒体ノイズパワーである。縦軸の媒体ノイズパワーは、結晶粒子間の平均間隔が4nmの媒体の値で規格化してある。
【0130】
図14に示すように、結晶粒子間の平均間隔が2nm以上においてノイズの急激な増加が見られた。これは、結晶粒子間の平均間隔が2nm以上において磁性粒子内が多磁区化したことによるものである。また、結晶粒子の粒径が小さいものについては、結晶粒子の平均間隔が2nm以上において超常磁性の影響で磁気異方性の大きな低下が観察された。
【0131】
次に、2.5インチ径のNiPメッキAl基板に、15nmのTi、80nmのCr、15nmのSiNを堆積した。その後、実施例1と同じ要素プロセスで、ブロックコポリマーのスピンコート、アニール、オゾン処理、RIE、15nmのCoCrTaPtのスパッタ成膜、リフトオフ、保護層堆積、後処理を行なった。この際、ブロックコポリマーについて、ポリスチレンとポリイソプレンの混合比、分子量、分子量分散を変えて、磁性粒子の平均粒径と磁性粒子間の平均間隔の異なる磁気記録媒体を作製した。
【0132】
磁性粒子の平均粒径が12nmの記録媒体について、活性化磁気モーメント評価によって求めた活性化体積Vaと磁性粒子間の平均間隔との関係を調べた。その結果を図15に示す。図15において、横軸は磁性粒子間の平均間隔、縦軸は磁性粒子の体積Vgで規格化したVaである。
【0133】
図15に示されるように、磁性粒子間の平均間隔がおおむね2nm以上でVaとVgは一致してVa/Vg=1であり、平均間隔が1nmでVa/Vg=1.2となり、平均間隔が1nm以下ではVa/Vgは急激に増加する。この結果より、本実施例の磁気記録媒体においては、磁性粒子間の平均間隔は1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましいことがわかった。
【0134】
(実施例5)
ブロックコポリマーを用いる第3の方法に従って磁気記録媒体を作製した。
【0135】
まず、2.5インチ径のNiPメッキガラス基板に80nmのCrおよび15nmのSiNを堆積した。その後、実施例1と同じ要素プロセスで、ブロックコポリマーのスピンコート、アニールを行なった。
【0136】
アニールの後、実施例1のオゾン処理の代わりにOs処理(osmium−stained)を施した。Os処理の結果、CF4/O2ガスによるRIEのエッチングレートの比は島:海=1:3.2となる。
【0137】
Os処理の後、RIE、15nmのCoCrTaPtのスパッタ成膜、リフトオフ、保護層堆積、後処理を行なった。
【0138】
こうして得られた試料を透過型電子顕微鏡および磁気力顕微鏡(MFM)で観察した。その結果、図5に示すような自己組織化配列構造が確認された。具体的には、CoCrTaPt磁性母材中に7nmのSiN非磁性粒子が規則的に配列した粒子配列領域が形成されていた。粒子配列領域の形状は等方的で平均サイズは約500nmであった。
【0139】
次に、CoCrTaPt成膜時のスパッタ圧力を種々変化させて磁気記録媒体を作製した。その結果、CoCrTaPt母材を構成する磁性結晶粒子間の平均間隔が1〜4nmの範囲内にある種々の試料が得られた。これらの試料について、活性化磁気モーメント測定による活性化体積評価を行なった。測定結果は図15において横軸を非磁性粒子の平均間隔とした図と同様であった。
【0140】
高密度磁気記録のために磁化転移領域を短くするためには磁化反転単位である磁性結晶粒子の粒径を小さくする必要がある。しかし、結晶粒子が小さいと熱揺らぎの影響を受けて磁気記録そのものができなくなる。本発明による磁気記録媒体では、磁性母材においてVa>Vgの条件が得られるように、磁性結晶粒子間の平均間隔は2nm以下が好ましく、1nm以下がより好ましい。
【0141】
次に、実施例1と同様にして、ブロックコポリマーのアニール時間を変えて粒子配列領域の大きさの異なる試料を作製した。これらの試料について、トラック幅方向(ディスク径方向)における粒子配列領域の大きさと媒体ノイズとの関係を調べた。測定結果は図13と同様であった。このことより、低ノイズ媒体を得るためには、粒子配列領域のトラック幅方向の大きさが、媒体上のトラック(記録セル)幅または再生ヘッドのトラック幅の1/5以上でなければならないことがわかった。
【0142】
このように実施例1で得られた結果と同じ結果が得られた理由は、磁性母材中の磁壁は非磁性粒子でピンニングされると全自由エネルギーを最小にするために非磁性粒子間を結ぶ直線上に配置され、その結果として実施例1におけるような孤立した磁性粒子が配列した場合と同じ状況が実現されるからであると考えられる。
【0143】
次に、ブロックコポリマーについて、ポリスチレンとポリイソプレンの混合比、分子量、分子量分散を変えて、非磁性粒子の粒径の異なる磁気記録媒体の試料を作製した。これらの試料について、MFMで消磁状態の磁区観察を行なった。その結果、非磁性粒子の粒径が1nm以上でないと磁壁を十分にピンニングできないことがわかった。
【0144】
次に、非磁性粒子間の距離の異なる試料を作製した。そして、非磁性粒子間の平均間隔と媒体ノイズパワーとの間の関係を測定した。測定結果を図16に示す。横軸はトラック幅方向の非磁性粒子の平均間隔で、単位は再生ヘッドのトラック幅Wrである。縦軸は媒体ノイズパワーであり、非磁性粒子間の平均間隔が10×Wr以上である媒体の値で規格化してある。非磁性粒子間の平均間隔がWr以上では媒体ノイズの低減効果ははっきりしないが、Wrに等しくなったところで媒体ノイズは90%に低減され、Wrの0.5倍で媒体ノイズは50%に低減された。非磁性粒子間の平均間隔が0.1×Wr以下の試料は作製できなかった。しかし、0.01×Wr程度で最小記録セルが全て非磁性粒子で覆われることになるので、非磁性粒子間の平均間隔を極端に小さくすることは無意味である。
【0145】
非磁性粒子間の平均間隔を、再生ヘッドのトラック幅Wrではなく、媒体上のトラック幅Wtを単位として表した場合にも同様な結果が得られた。
【0146】
(実施例6)
ブロックコポリマーを用いる第4の方法に従って磁気記録媒体を作製した。
【0147】
まず、2.5インチのガラス基板に通常のスパッタリング法によって80nmのCr下地層を堆積し、その上に15nmのCoPtCr薄膜を堆積した。それ以後は、実施例1と同じ要素プロセスで、ブロックコポリマーのスピンコート、アニール、オゾン処理、RIE、15nmのBN母材層のスパッタ成膜、リフトオフ、保護層堆積、後処理を行なった。ただし、RIEにはCF4の代わりに一酸化炭素とアンモニアのプラズマを用い、またRIE中に試料を110℃に加熱した。RIE反応ガスに対するブロックコポリマーのエッチング速度比は、島:海=3:1であった。
【0148】
得られた試料を透過型電子顕微鏡で観察した。その結果、図4に示すような構造を持つ粒子配列領域が確認された。具体的には、BN母材中に約14nm径のCoPtCr磁性粒子が規則的に配列した粒子配列領域が形成されていた。粒子配列領域の形状は等方的で、平均サイズは約800nmであった。この試料の磁気特性を測定したところ、保磁力1.8kOeの面内磁気異方性を有していることがわかった。
【0149】
次に、RIE時間を種々変化させて試料を作製した。これらの試料の断面構造を、透過型電子顕微鏡TEMで観察した。観察の結果、RIE時間が短くなるにつれて、図6、図7、図8に示すような構造になっていくことが判明した。図6に示すような構造となった試料においては、下地層の厚さの差は2nmであった。図7に示すような構造となった試料においては、界面層は非磁性母材の面積の約60%を覆っており、平均厚さは1nmであった。図8に示すような構造となった試料においては、界面層の平均厚さは3nmであった。
【0150】
RIE時間の異なる試料について、分析TEMにより磁性粒子部の媒体面内の組成分布を測定した。測定の結果、磁性粒子の中心部と周縁部とにおけるCr組成比の違いは、図6、図7、図8の構造の試料についてそれぞれ10%、15%、22%であることが判明した。
【0151】
次に、アッシングおよびCMPによって磁気記録媒体に熱負荷をかける実験を行なった。これらの処理による下地層からのCrの拡散は、図6に示すような構造の試料についてはCoCrTaPt非磁性初期層までであり、磁性粒子の周縁部のCr組成比の変化は見られなかった。図7、図8に示すような構造の試料については、それぞれ、3%、5%のCr組成比の増加が認められた。
【0152】
次に、粘着テープによる剥離実験を行なった。具体的には、磁気記録媒体の表面にカッターナイフで、10×10の合計100個の正方形が1mm間隔で並ぶメッシュを刻印し、そのうちの何%が粘着テープとともに剥離するか測定した。測定の結果、図6、図7、図8に示すような構造を有するそれぞれの試料について、剥離した割合は13%、5%、0%であった。
【0153】
図6、図7、図8に示すような構造を有する各試料の保磁力を測定したところ、それぞれの構造について、1.8kOe、2kOe、2.8kOeであった。断面TEMを用いて、各構造における格子像を調べた。図8に示すような構造は初期層部分が媒体面内に連続しており、この連続した初期層部分によって結晶磁気異方性が向上して大きな保磁力が得られたものと考えられる。
【0154】
上述したように、RIE時間を変えることによって、図6、図7または図8に示す構造を有する記録媒体を作製できる。どの構造を有する記録媒体が最も優れているかは、一概に決めることはできず、記録媒体を用いるシステムによって異なる。逆に言えば、本発明の記録媒体は、適用するシステムの選択度が大きい。
【0155】
(実施例7)
磁性層成膜前にポリマー層を除去した以外は、実施例1と同様のプロセスによって磁気記録媒体を作製した。すなわち、基板上へのブロックコポリマーのスピンコート、アニール、オゾン処理、RIEまで行った時点で、溶剤によるブロックコポリマーの除去および酸素アッシングを行なった。アッシングの後、13nmのCoPtCrをスパッタ法により堆積し、CMPを行ない、保護層堆積、後処理を行なった。
【0156】
こうして作製した試料について磁気特性を測定したところ、磁気特性は実施例1で得られた試料の特性と同様であったが、磁気ヘッドのグライドハイトを50%低減することができた。実施例1で得られた磁気記録媒体と本実施例での媒体との間の得失は、媒体を適用するシステムの要求によって決定されるべき問題である。
【0157】
次に、13nmのCoPtCrのスパッタ成膜前にポリマー層を除去した以外は、実施例3と同様のプロセスによって磁気記録媒体を作製した。すなわち、RIEの後に、溶剤によるポリマー層の除去および酸素アッシングを行ない、13nmのCoPtCrをスパッタ法により堆積し、CMP、保護層堆積、後処理を行なった。
【0158】
こうして得られた記録媒体の磁気特性は、実施例3で得られた記録媒体の特性と同様であったが、磁気ヘッドのグライドハイトを50%低減することができた。実施例3で得られた記録媒体と本実施例で得られた記録媒体との間の得失は、媒体を適用するシステムの要求によって決定されるべき問題である。
【0159】
次に、15nmのCoCrTaPtのスパッタ成膜前にポリマー層を除去した以外は、実施例4と同様のプロセスによって本発明による磁気記録媒体を作製した。すなわち、RIEの後に、溶剤によるポリマー層の除去および酸素アッシングを行ない、15nmのCoCrTaPtをスパッタ法により堆積し、CMP、保護層堆積、後処理を行なった。
【0160】
こうして得られた記録媒体の磁気特性は、実施例4で得られた記録媒体の特性と同様であったが、磁気ヘッドのグライドハイトを50%低減することができた。実施例4で得られた記録媒体と本実施例で得られた記録媒体との間の得失は、媒体を適用するシステムの要求によって決定されるべき問題である。
【0161】
次に、15nmのBN母材層のスパッタ成膜前にポリマー層を除去した以外は実施例6と同様のプロセスによって本発明による磁気記録媒体を作製した。すなわち、RIEの後に、溶剤によるポリマー層の除去および酸素アッシングを行ない、15nmのBN母材層をスパッタ法により堆積し、CMP、保護層堆積、後処理を行なった。
【0162】
こうして得られた記録媒体の磁気特性は、実施例6で得られた記録媒体の特性と同様であったが、磁気ヘッドのグライドハイトを50%低減することができた。実施例6で得られた記録媒体と本実施例で得られた記録媒体との間の得失は、媒体を適用するシステムの要求によって決定されるべき問題である。
【0163】
(実施例8)
15nmのCoCrTaPtのスパッタ成膜前にポリマー層を除去した以外は、実施例4と同様のプロセスによって磁気記録媒体を作製した。すなわち、RIEの後に溶剤によるポリマー層の除去および酸素アッシングを行なった。その後、15nmのCoCrTaPtをスパッタ法により堆積し、CMP、保護層堆積、後処理を行なった。
【0164】
CMPの時間を短くして媒体を作製すると、図9に模式的に示したように、SiN母材上に界面層が形成された。組成分析の結果、この界面層にはCoとCrが含まれていることがわかった。また、界面層はSiN母材の40%の面積を覆っていた。界面層の厚さは平均で2nmであった。
【0165】
CMP時間をさらに短くして媒体を作製すると、磁気記録層全面を覆う平均厚さ4nmの界面層が形成された。組成分析の結果、この界面層にはCoとCrとPtが含まれていることがわかった。
【0166】
これらの媒体試料に対して粘着テープによる剥離実験を行なった。具体的には記録媒体にカッターナイフで、10×10の合計100個の正方形が1mm間隔で並ぶメッシュを刻印し、そのうちの何%が粘着テープとともに剥離するかを測定した。測定の結果、剥離した割合は、2nmの界面層をもつ構造、4nmの界面層を持つ構造の試料に対してそれぞれ、5%、0%であった。保護層の密着性という観点からは、後者の構造の方が優位であるが、磁気記録層ととヘッドとの距離が大きくなるので記録密度の観点で不利である。
【0167】
(実施例9)
ブロックコポリマーの溶液の濃度とスピンコートの回転数とを変えた以外は実施例1と同様のプロセスによって本発明による磁気記録媒体の試料を作製した。
【0168】
こうして得られた試料について、ディスク上のトラック長さ方向と粒子配列領域の配列軸とがなす角度の分布を走査電子顕微鏡によって測定した。測定の結果、粒子配列領域では磁性粒子が三角格子を形成していることが分かった。また、スピンコートの回転数が大きいほど、また溶液の濃度が高いほど、角度の分布が小さくなることがわかった。
【0169】
次に、スピンコートの回転数と溶液の濃度を変えて作製した試料に対して、200kfciまでの単一周波数の記録を行い、同一のヘッドで再生信号を調べ媒体ノイズパワーを測定した。測定結果を図17に示す。図17において、横軸はディスク上のトラック長さ方向と配列軸とのなす角度の分布のFWHMである。縦軸は媒体ノイズパワーであり、磁性体粒子がランダムに配置している場合の値で規格化してある。
【0170】
図17の結果より、本発明に係る磁気記録媒体にとってはFWHM<40°が好ましく、FWHM<20°がより好ましく、FWHM<10°がさらに好ましいことが分かった。
【0171】
(実施例10)
まず、2.5インチ径のNiPメッキAl基板に50nmのバナジウムと15nmのSiO2をスパッタ法により順次堆積させた。それ以降は、実施例1と同じ要素プロセスで、ブロックコポリマーのスピンコート、アニール、オゾン処理、RIEを行った。
【0172】
RIE反応ガスであるCF4に対するエッチングレートは、SiO2と比べて金属であるバナジウムは非常に小さいため、エッチング時にバナジウム層がエッチングストップ層として働く。このため、ブロックコポリマーの海島構造の島の下に位置するSiO2のみをエッチング除去することができた。こうして、島の部分に対応する複数の孔が開口されたSiO2層がバナジウム層の上に形成された。エッチングの後、酸素アッシングによって残留するポリマーを除去した。
【0173】
ポリマーを除去した後、RFバイアススパッタによって試料上に15nmのCoCrTaPtを堆積させた。具体的には、成膜時に試料に0.1W/cm2のRFパワーを印加し、成膜時の雰囲気を2mTorrのArとした。RFバイアススパッタを行うことにより、スパッタターゲットから試料へ飛来したCoCrTaPtクラスターの試料上での移動度が増加する。この結果、ほとんどのCoCrTaPtはSiO2のエッチング孔内に堆積された。堆積によって孔がほぼ完全に埋まるように堆積時間を調整することによって、試料表面が平滑な、図18に概略的に示すような断面構造を持つ磁気記録媒体を作製することができた。図18の磁気記録媒体は、非磁性母材31中に磁性粒子32が埋め込まれた構造を有する。CoCrTaPtの堆積の後、媒体上に10nmのCを保護層として堆積した。記録/再生評価を行ったところ、磁気ヘッドの浮上量を40nmにすることができた。
【0174】
本実施例においては、リフトオフ工程や研磨工程なしに平滑な表面を有する磁気記録媒体を得ることができた。このように高密度磁気記録媒体にとって有用な平滑な表面が得られたのは、バイアススパッタを行ったからである。すなわち、バイアススパッタ時に試料表面に堆積された原子・分子・クラスターの移動度は通常のスパッタ堆積時の移動度よりも大きいために、熱的に安定な平滑な試料表面を形成するのである。試料に印加するバイアスパワーは上述の値に限定されるものではなく、試料・装置・材料その他の条件によって最適な値を選択することができる。また、飛来してくるクラスターの試料上での移動度が増加すればよいので、印加するバイアスはDCバイアスでもよい。本実施例の工程を用いれば、リフトオフや研磨の工程を省略することができるため、磁気記録媒体の製造コストを低下させることができる。
【0175】
本実施例とは異なりブロックコポリマーの海島構造の海の部分をエッチングする場合にも、バイアススパッタを用いることができる。試料に対するエッチング位置やエッチング深さも、目的とする磁気記録媒体の特性やプロセス環境に合わせて任意に設定することができる。
【0176】
(実施例11)
同時スパッタによりSiO2とともにCoCrTaPtを試料上に成膜した以外は、実施例10と同様の条件によって試料を作製した。
【0177】
同時スパッタは、平坦な試料上に同時スパッタしたときの膜の体積組成比がCoCrTaPt:SiO2=90:10となるようにスパッタ装置を調整して行った。このように調整した結果、図19に概略的に示すような断面構造を持つ磁気記録媒体が得られた。図19に示す媒体は、SiO2の非磁性母材31中にCoCrTaPtの磁性粒子32が埋め込まれ、この磁性粒子32上にSiO2の非磁性層31’が形成されている。
【0178】
エッチング孔内部のスパッタ堆積膜が、磁性体と非磁性体との混合膜とならずに両部分が相分離した構造となっているのは以下の理由による。すなわち、エッチングによってSiO2の孔内部に露出したバナジウム層の表面は、SiO2よりもCoCrTaPtに対してより強い親和力を有する。試料へ飛来したCoCrTaPtクラスターは試料上での移動度が高いため、形成されるCoCrTaPt膜は熱安定状態に近い。そのため、孔内部においてCoCrTaPtが先にバナジウム層の表面で固化する。その結果、CoCrTaPtと固溶しないSiO2はCoCrTaPt上に堆積する。
【0179】
本実施例の工程を用いれば、リフトオフや研磨の工程を省略することができるため、媒体の製造コストを低下させる効果が得られる。ブロックコポリマーの海島構造の海の部分をエッチングするような工程においても、本実施例で用いた同時スパッタの方法を用いることができる。試料に対するエッチング位置やエッチング深さも、目的とする媒体の特性やプロセス環境に合わせて任意に設定することができる。試料に印加するバイアスパワーは上述の値に限定されるものではなく、試料・装置・材料その他の条件によって最適な値を選択することができる。試料へ印加するバイアスは、飛来してくるクラスターの試料上での移動度が増加すればよいので、DCバイアスでも構わない。さらに、CoCrTaPt:SiO2の体積組成比は目的とする記録媒体の構造やスパッタ装置によって適切なものを設定すれば良く、本実施例における値は一例にすぎない。同時スパッタの方法も、成膜する材料ごとに異なるターゲットを用いてもよいし、成膜する材料を複合した1つのターゲットを用いてもよい。
【0180】
本実施例で用いた同時スパッタにおいては、堆積時間を適度に長くすることによって、SiO2などの非磁性体を少しオーバーフローさせて媒体の表面上に堆積させ、保護層とすることもできる。このようにした場合、保護層の堆積工程を省くことができるので媒体コストを下げることができる。
【0181】
(実施例12)
まず、2.5インチ径のガラス基板に50nmのバナジウムと15nmのCoCrTaPtをスパッタ法により順次堆積させた。それ以降は、実施例1と同じ要素プロセスで、ブロックコポリマーのスピンコート、アニール、オゾン処理、RIEを行った。ただし、RIEには、実施例6と同様に一酸化炭素とアンモニアのプラズマを用いてRIE中の試料を110℃に加熱する方法を用いた。
【0182】
本実施例においては、エッチングはガラス基板表面で止まった。すなわち、ブロックコポリマーの海島構造の島の下に位置するバナジウムとCoCrTaPtのみがエッチング除去された。こうして、島の部分に対応する複数の孔が開口されたバナジウム層とCoCrTaPt層がガラス基板上に形成された。
【0183】
エッチングの後、RFバイアススパッタによって試料上に15nmのSiO2を堆積させた。具体的には、試料に0.1W/cm2のRFパワーを印加し、成膜時の雰囲気を2mTorrのArとした。
【0184】
RFバイアススパッタリングにより、試料へ飛来したSiO2クラスターの試料上での移動度が増加するため、ほとんどのSiO2がバナジウム層とCoCrTaPt層のエッチング孔内に堆積された。堆積によって孔がほぼ完全に埋まるように堆積時間を調整することによって、試料表面が平滑な、図20に概略的に示すような断面構造を持つ磁気記録媒体を作製することができた。図20に示す磁気記録媒体は、磁性母材33であるCoCrTaPt層の中に非磁性粒子34であるSiO2が埋め込まれた構造を有する
SiO2の堆積の後、媒体上に10nmのカーボンを保護層として堆積した。記録/再生を行ったところ、磁気ヘッドの浮上量を40nmにすることができた。
【0185】
本実施例においては、リフトオフ工程や研磨工程なしに平滑な表面を有する磁気記録媒体を得ることができた。このように高密度磁気記録媒にとって有用な平滑な表面が得られたのは、実施例11と同様に、バイアススパッタを行ったからである。試料に印加するバイアスパワーは上述の値に限定されるものではなく、試料・装置・材料その他の条件によって最適な値を選択すればよい。印加するバイアスは、DCバイアスでもよい。また、本実施例の工程を用いれば、リフトオフや研磨工程を省略することができるため、媒体の製造コストを低下させることができる。
【0186】
ブロックコポリマーの海島構造の海の部分をエッチングする工程においても、バイアススパッタを用いることができる。試料に対するエッチング位置やエッチング深さも、目的とする磁気記録媒体の特性やプロセス環境に合わせて任意に設定することができる。
【0187】
本実施例で用いたバイアススパッタの方法においては、堆積時間を適度に長くすることによって、SiO2などの非磁性体を少しオーバーフローさせて媒体の表面上に堆積させ、媒体の保護層とすることもできる。このようにした場合、保護層の堆積工程を省くことができるので媒体コストを下げることができる。
【0188】
(実施例13)
実施例11と同様な工程で磁気記録媒体を作製した。なお、RIE時間を実施例11の場合の2倍とした。この結果、RIE後に平均厚さ5nmのSiO2初期層が形成された。また、同時スパッタするCoCrTaPtとSiO2との体積比を50%とした。この結果、磁性粒子が明確に分離したいわゆるグラニュラー媒体が形成された。この媒体の断面構造を透過電子顕微鏡によって観察したところ、図11のような構造であることがわかった。すなわち、初期層はRIEによって形成されたSiO2であり、成長層は実施例11で述べた親和力の差により選択的に成長したSiO2である。EDX分析によって、成長層のSiO2は磁性体の構成元素であるTaを微量含むことが確認された。
【0189】
この媒体の密着性を調べるために、粘着テープによる剥離実験を行った。具体的には、記録媒体にカッターナイフで10×10の合計100個の正方形が1mm間隔で並ぶメッシュを刻印し、そのうちの何%が粘着テープとともに剥離するかを測定した。測定の結果、剥離した割合は、実施例11の媒体で10%、本実施例の媒体で0%であった。本実施例の媒体では、初期層と成長層が形成されたことにより磁気記録媒体内部の歪みが減少し、このことが密着性の向上をもたらしたものと思われる。どの程度の密着性が適しているかは、その媒体を用いるシステムの要求によって異なる。上記のグラニュラー媒体の場合、実施例11の媒体と比較して、密着性に優れるが、再生信号強度には劣る特性を持つ。
【0190】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、高密度記録が可能な磁気記録装置および磁気記録媒体ならびにその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気記録装置の一例を示す斜視図。
【図2】本発明に係る磁気記録装置におけるトラックおよび記録/再生ヘッドを示す斜視図。
【図3】本発明に磁気記録装置における記録ヘッドおよび再生ヘッドのトラック幅を示す平面図。
【図4】本発明による磁気記録媒体の一例を示す平面図。
【図5】本発明による磁気記録媒体の他の例を示す平面図。
【図6】本発明による磁気記録媒体の他の例を示す断面図。
【図7】本発明による磁気記録媒体の他の例を示す断面図。
【図8】本発明による磁気記録媒体の他の例を示す断面図。
【図9】本発明による磁気記録媒体の他の例を示す断面図。
【図10】本発明による磁気記録媒体の他の例を示す断面図。
【図11】本発明による磁気記録媒体の他の例を示す断面図。
【図12】本発明による磁気記録媒体における配列軸とトラック長さ方向とのなす角度と粒子配列領域数との間の関係を示す図。
【図13】実施例において測定した粒子配列領域のトラック幅方向のサイズと媒体ノイズパワーとの関係を示す図。
【図14】実施例において測定した磁性結晶粒子の平均間隔と媒体ノイズパワーとの関係を示す図。
【図15】実施例において測定した磁性結晶粒子の平均間隔と活性化体積との関係を示す図。
【図16】実施例において測定した非磁性粒子の平均間隔と媒体ノイズパワーとの関係を示す図。
【図17】実施例において測定した配列軸とトラック長さ方向とのなす角度のFWHMと媒体ノイズパワーとの関係を示す図。
【図18】実施例において作製した磁気記録媒体を示す断面図。
【図19】実施例において作製した磁気記録媒体を示す断面図。
【図20】実施例において作製した磁気記録媒体を示す断面図。
【符号の説明】
1…粒子配列領域
2…配列軸
3…粒子配列領域
4…配列軸
10…基板
20…下地層
30…磁気記録層
31…非磁性母材
32…磁性粒子
33…磁性母材
34…非磁性粒子
35…磁性体部
36…非磁性体部
37…界面層
38…界面層
50…トラック
55…記録セル(記録磁区)
60…記録/再生ヘッド
61a、61b…再生ヘッドの磁極
62a、62b…記録ヘッドの磁極
100…磁気ディスク
101…スピンドル
102…アクチュエータアーム
103…固定軸
104…サスペンション
105…ヘッドスライダ
106…ボイスコイルモータ

Claims (18)

  1. 基板上に形成された磁気記録層を有する磁気記録媒体と、前記磁気記録層に形成されたトラック上に記録セルを形成することにより情報を記録する記録ヘッドと、前記磁気記録層に記録された情報を再生する再生ヘッドとを有する磁気記録装置において、前記磁気記録層は非磁性母材中に磁性粒子が分散され、前記磁気記録層の表面で前記磁性粒子が規則的に配列した複数の粒子配列領域が形成された構造を有し、前記粒子配列領域のトラック幅方向の大きさは前記再生ヘッドのトラック幅の1/5以上であることを特徴とする磁気記録装置。
  2. 基板上に形成された磁気記録層を有する磁気記録媒体と、前記磁気記録層に形成されたトラック上に記録セルを形成することにより情報を記録する記録ヘッドと、前記磁気記録層に記録された情報を再生する再生ヘッドとを有する磁気記録装置において、前記磁気記録層は磁性母材中に非磁性粒子が分散され、前記磁気記録層の表面で前記非磁性粒子が規則的に配列した複数の粒子配列領域が形成された構造を有し、前記粒子配列領域のトラック幅方向の大きさは前記再生ヘッドのトラック幅の1/5以上であり、前記非磁性粒子のトラック幅方向における平均間隔は前記記録ヘッドのトラック幅以下であることを特徴とする磁気記録装置。
  3. 基板と、基板上に形成された磁気記録層を有し、前記磁気記録層に形成されたトラック上に記録セルを形成することにより情報が記録される磁気記録媒体であって、前記磁気記録層は非磁性母材中に磁性粒子が分散され、その表面で前記磁性粒子が規則的に配列した複数の粒子配列領域が形成された構造を有し、前記粒子配列領域のトラック幅方向の大きさは磁気記録層上に形成されたトラック幅の1/5以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 前記粒子配列領域のトラック幅方向の大きさは磁気記録層上に形成されたトラック幅の3倍以上であることを特徴とする請求項3記載の磁気記録媒体。
  5. 前記磁性粒子の平均粒径が2nm以上であり、磁性粒子間の間隔が1nm以上であることを特徴とする請求項3記載の磁気記録媒体。
  6. 基板と、基板上に形成された磁気記録層を有し、前記磁気記録層に形成されたトラック上に記録セルを形成することにより情報が記録される磁気記録媒体であって、前記磁気記録層は磁性母材中に非磁性粒子が分散され、その表面で前記非磁性粒子が規則的に配列した複数の粒子配列領域が形成された構造を有し、前記磁性母材は互いに2nm以下の平均間隔で隔てられた複数の磁性結晶粒子で構成され、前記非磁性粒子は1nm以上の平均粒径を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  7. 前記粒子配列領域のトラック幅方向の大きさは磁気記録層上に形成されたトラック幅の1/5以上であることを特徴とする請求項6記載の磁気記録媒体。
  8. 前記粒子配列領域のトラック幅方向の大きさは磁気記録層上に形成されたトラック幅の3倍以上であることを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
  9. 前記基板と前記磁気記録層との間に下地層が形成され、磁性体部の下の下地層の厚さは非磁性体部の下の下地層の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項3または6記載の磁気記録媒体。
  10. 非磁性体部と前記下地層との間に、磁性体部を構成する元素の少なくとも1種を含有する界面層が形成されていることを特徴とする請求項3または6記載の磁気記録媒体。
  11. 非磁性体部の上に、磁性体部を構成する元素の少なくとも1つを含有する界面層が形成されていることを特徴とする請求項3または6記載の磁気記録媒体。
  12. 前記非磁性体部上の界面層の厚さが5nm以下であることを特徴とする請求項11記載の磁気記録媒体。
  13. 前記基板と前記磁気記録層との間に下地層が形成され、前記磁気記録層を構成する非磁性体部が、下地層に接する初期層とその上に形成される成長層とからなることを特徴とする請求項3または6記載の磁気記録媒体。
  14. 前記粒子配列領域の配列軸がトラック長さ方向となす角度の分布の半値幅が40°以下であることを特徴とする請求項3または6記載の磁気記録媒体。
  15. 非磁性基板上にブロックコポリマー層を形成する工程と、
    前記ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程と、
    海島構造を有するブロックコポリマー層を通して前記非磁性基板をエッチングする工程と、
    前記非磁性基板のエッチング領域に磁性層を堆積する工程と、
    残留ポリマー層およびその上の磁性層をリフトオフする工程と
    を具備したことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  16. 基板上に下地層を形成する工程と、
    前記下地層上に非磁性層を形成する工程と、
    前記非磁性層上にブロックコポリマーを形成する工程と、
    前記ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程と、
    海島構造を有するブロックコポリマー層を通して前記非磁性層をエッチングする工程と、
    前記非磁性層のエッチング領域に磁性層を堆積する工程と、
    残留ポリマー層およびその上の磁性層をリフトオフする工程と
    を具備したことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  17. 基板上に磁性層を形成する工程と、
    前記磁性層上にブロックコポリマー層を形成する工程と、
    前記ブロックコポリマー層を自己組織化させて海と島との間でエッチング速度比が3以上である海島構造を形成する工程と、
    海島構造を有するブロックコポリマー層を通して前記磁性層をエッチングする工程と、
    前記磁性層のエッチング領域に非磁性層を堆積する工程と、
    残留ポリマー層およびその上の非磁性層をリフトオフする工程と
    を具備したことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  18. 前記基板と前記磁性層との間に下地層が形成されることを特徴とする請求項17記載の磁気記録媒体の製造方法。
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