JP4031456B2 - 磁気記録媒体および磁気記憶媒体製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気記憶媒体製造方法 Download PDF

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本発明は、高密度磁気記録が可能な磁気記録媒体および磁気記録媒体製造方法に関するものである。
近年、画像、映像、音声などのデータのマルチメディア化が進み、1ユーザあたりの検索データの情報量が増大化している。このため、データベースの大容量化、高速化が要求されている。一方、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」という。)の記録容量の増大に伴う磁気記録媒体の面記録密度の向上により、磁気記録媒体上の各記録ビットサイズは数10nm程度の極めて微細なものになってきている。このような微細な記録ビットから再生出力を得るには、各ビットに可能な限り大きい飽和磁化と膜厚の確保が必要となる。
しかしながら、記録ビットの微細化は、1ビットあたりの磁化量を小さくし、「熱揺らぎ」による磁化反転で、磁化情報の消失という問題を生じている。
一般に、この「熱揺らぎ」は、Ku・V/kT(ここで、Ku:異方性定数、V:磁化最小単位体積、k:ボルツマン定数、T:絶対温度)の値が小さい程影響が大きくなり、経験的には、Ku・V/kTが100未満になると、「熱揺らぎ」による磁化の反転が生じると言われている。
すなわち、磁性粒子の磁化の向きを一方向に保持するために必要な磁気異方性エネルギーは、磁気異方性エネルギー密度Kuと磁性粒子の体積Vの積で表現されるものであるが、これが室温の熱揺らぎエネルギー程度になってしまい、時間とともに磁化が揺らぎ、記録した情報が消失するという現象を生じている。
長手磁気記録方式の磁気記録媒体では、記録密度の高い領域の記録ビット内の減磁界が強くなるため、磁性粒子径が比較的大きいうちから「熱揺らぎ」の影響を受けやすい。これに対し、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体では、膜厚方向に磁性粒子を成長させることで、媒体表面の粒径は小さいまま磁化最小単位体積Vを大きくできるため、「熱揺らぎ」の影響を抑制できる。しかしながら、今後磁気記録媒体の高密度化がさらに進めば、たとえ垂直磁気記録方式であっても熱揺らぎ耐性に限界がでてくると予想される。
この熱揺らぎ耐性の問題を解決する媒体として、「パターンドメディア」と一般的に呼ばれる磁気記録媒体が注目されている(例えば、特許文献1参照)。パターンドメディアは、一般には、非磁性体層中に記録ビット単位となる磁性体領域を複数、それぞれ独立に形成した磁気記録媒体である。言い換えると、パターンドメディアは、磁気的に連続した磁性薄膜を記録磁区の大きさに分断した媒体である。
一般的なパターンドメディアでは、非磁性体層として、例えばSiO2、Al23、TiO2などの酸化物や、Si34、AlN、TiNなどの窒化物、TiCなどの炭化物、BN等の硼化物が用いられ、これらの非磁性体層中に選択的に強磁性体領域が形成されている。
パターンドメディアは、磁性薄膜を記録磁区の大きさに分断したものであるから、磁化最小単位体積Vを大きくでき、熱揺らぎの問題を回避することができる。従来の連続磁性薄膜では、1ビットあたり、磁性粒子数として1000グレイン程度までのものを用いているが、高記録密度化が進むにつれ、1ビットに対応するグレイン数が減少する。記録マークエッジはグレインの粒界で決まるので、S/Nを確保するにはグレインを極力小さくする必要がでてくる。従って、従来の連続膜ではVを小さくせざるを得ないが、パターンドメディアでは記録磁区のエッジを構造で規定できるため、Vを小さくすること無くS/Nの向上が期待できる。
パターンドメディアは、記録ビット単位である強磁性体領域が独立しているので、各々の記録ビット間の干渉を防止することができ、隣接ビットによる記録の消失や雑音の低減に効果がある。また、パターニングにより、磁壁移動抵抗が増大し(磁壁のピンニング効果)、磁気特性の向上を狙うことができる。
一方、トラック密度の向上においては、隣接トラックとの干渉という問題が顕在化している。特に記録ヘッド磁界フリンジ効果による書きにじみの低減は重要な技術課題である。そこで、記録トラック間をデータの書き込みが不能な非磁性領域によって物理的に分離するディスクリートトラック型の磁気記録媒体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
ディスクリートトラック型の磁気記録媒体では、記録時における隣接トラックに誤ってデータを書き込みまたは削除してしまうというサイドイレース現象や、再生時に隣接トラックの情報を誤って読み出してしまうというサイドリード現象など、高密度記録が可能な磁気記録媒体に特有の問題を回避することが可能であるため、トラック方向の密度を大幅に高めることができ、高密度な磁気記録媒体を提供できる。
上述したように、パターンドメディアは「熱揺らぎ」による磁化反転を抑制できるため、高密度磁気記録媒体として有効である。また、ディスクリートトラック媒体は、トラック方向密度を高める事ができるため、高密度磁気記録媒体として有効である。
このような磁気記録媒体を製造する場合、従来の連続膜の磁気記録媒体を製造する場合に比べて製造工程が大幅に増大するため、製造コストの増加が問題となる。このため、記録再生の際のヘッド位置決めに必要なサーボ信号、例えば、バースト信号、アドレス情報信号、プリアンブル信号等のパターンを記録領域のトラックとともに予めスタンパーに作りこんでおき、インプリント法で一括転写することで製造コストの増大を回避している。なお、このようなスタンパーを用いてインプリント加工して製作したディスクリートトラック型の磁気記録媒体およびパターンドメディアを「パターンド媒体」という。
従来のパターンド媒体の製造においては、ナノメータサイズの信号パターンをスタンパーに作り込んで、一発転写するナノインプリント方式を採用している。
従来の製造工程では、まず、例えばSiO2、Si等からなる非磁性基板に軟磁性体材料からなる下地層、強磁性体材料からなる記録層を順次成膜する。そして、記録層の上にレジストを形成する。
次いで、形成されたレジスト上に、トラックの記録領域に相当する凹凸(溝)と、バースト信号に相当する凹凸(溝)、プリアンブル信号凹凸(溝)等の異なるパターンの凹凸(溝)が形成されたスタンパーをプレスして凹凸を転写する。このようなスタンパーを用いたプレスによる形状転写法をインプリント工程という。インプリント法による形状転写の場合は、残渣が残る。このような残さのある状態で、RIE(Reactive ion etching)、Arイオンミリング等のドライエッチングで下の記録層をエッチングした場合、形状が著しく悪化する。
残渣は、酸素プラズマで除去できるため、例えば酸素RIEで異方性エッチングすることで完全に除去する。そして、Arイオンミリング等のドライエッチングで下の記録層をエッチングし、磁性体加工後にレジスト剥離を行っている。
特開2001―176049号公報(第1図) 特開平7―85406号公報(第1図)
しかしながら、このような従来の磁気記録媒体の製造方法では、次のような問題がある。異なるパターンの混在したスタンパーを用いたインプリント法でパターンド媒体を製作した場合、パターンのある部分(スタンパーの凸部)とパターンの存在しない部分(スタンパーの凹部)の面積比率(以下、「パターン白黒比」)によって、スタンパーによるレジストに対するプレスの際の圧力が異なるため、記録領域、プリアンブル領域、バースト領域に相当するレジストの部分で押し込み深さが異なってしまう。
具体的には、一般的に記録領域およびバースト部では、パターン白黒比は1:3であるのに対し、プリアンブル領域は1:1である。スタンパーの凸部が小さいほどインプリントしやすいため、記録領域およびバースト領域はより深くプレスすることが可能であるが、パターン白黒比が1:1のプリアンブル領域では、あまり深くプレスすることが困難である。
従来の製造方法で製造した磁気記録媒体の場合、記録領域とプリアンブル領域とを比較すると、それぞれのパターン白黒比に応じて、インプリントによるレジストの残渣が異なり、スタンパーのパターン白黒比1:3の部分でインプリントを行ったプリアンブル領域における残渣の方が、パターン白黒比1:1の部分によってインプリントを行った記録領域における残渣より少なくなる。
そして、従来のインプリント法による磁気記録媒体の製造方法では、形状の良い磁性体加工をするために、インプリントによるレジストの残渣を完全に除去すべく、一番残渣の多いプリアンブル領域で最適な残さ除去を行えるように、酸素プラズマエッチングを行っている。
このような場合、残渣の少ない記録領域およびバースト領域は、エッチング処理を過度に行うことになってしまい、必要以上に凹部の幅が広がるというサイドエッチ現象が生じ、パターン太りが発生する。
インプリント残渣除去後の磁気記録媒体の平面と、スタンパーの平面を比較すると、磁気記録媒体の記録領域のパターンは、経験的にスタンパー形状の2倍の太さになる。つまり、高TPI(Track per inch)記録に対応するために小さなバーストマークを形成しても、従来の製造方法で製作したパターンド媒体では2倍の大きさのパターンしか製造することができない。
仮に、電子ビーム描画で、50nm角のバーストパターンをスタンパーに形成したとしても、インプリントから媒体加工プロセスを経ることでパターンサイズが100nm角まで大きくなってしまう。
さらに、300kTPIの記録密度では、トラックピッチが85nmであり、バーストパターンは30nm角になる。そして、上述したパターン太りを考慮すると、電子ビーム描画で15nm角のパターンを形成しなくてはならず、高密度記録に対応したパターンド媒体を作成するのは困難であるという問題がある
高記録密度になると、上述の熱揺らぎの問題を生じるため、Ku・V/kT>100の条件を満足するためには、垂直磁気記録媒体として一般的なCoCrPt合金のKu=2.0x106erg/ccを考慮すると、磁化最小単位体積は2000nm3以上が必須となる。記録層膜厚は20nmであると仮定すると、パターン面積は10x10nm以上でないと、熱揺らぎで磁気信号が消失する。一方、600kTPIの記録密度に対応するバーストパターンは10nm下になる。すなわち、現行のパターンド媒体の構造で、600kTPI以上の記録密度に対応するバーストパターンを形成した場合、パターンの磁化が熱揺らぎで消失するため、記録再生ヘッドによる位置決めが不可能になってしまう。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高密度記録を実現することがきでるとともに、熱揺らぎ耐性に優れた磁気記録媒体およびこのような磁気記録媒体製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、軟磁性体からなる軟磁性体層と当該軟磁性体層上に積層された強磁性体からなる強磁性体層との少なくとも2つの層で構成され、前記強磁性体層の表面である平坦部から前記軟磁性体層へ向かって第1の凹部が形成され、前記第1の凹部の底面は前記軟磁性体層であり、略平行に形成された2つの前記第1の凹部とそれらの間の前記平坦部とにより形成された凸部にデータ書き込み可能である記録領域と、前記強磁性体層の表面である前記平坦部から前記軟磁性体層へ向かって第2の凹部が形成され、前記第2の凹部は底面が前記強磁性体層であり、磁気ヘッドを目標位置に位置決めするための位置情報が、前記平坦部と第2の凹部とに記録されたサーボ領域と、を具備することを特徴とする磁気記録媒体にかかるものである。
また、本発明は、非磁性基板上に、軟磁性材料からなる下地層と、強磁性材料からなる記録層とを順次形成する成膜工程と、前記成膜工程によって形成された記録層の上にレジストを形成するレジスト形成工程と、前記レジスト形成工程によって形成された前記レジスト上に、データ書き込み可能な凹凸状の記録領域と磁気ヘッドを目標位置に位置決めするための位置情報を記録した凹凸状のサーボ領域とにそれぞれ対応した凹凸が形成されたスタンパーを押圧し、前記レジスト上に凹凸を形成するインプリント工程と、前記インプリント工程によって凹凸が形成された前記レジストをエッチングし、前記記録領域の凹部から前記レジストを完全に除去するとともに、前記サーボ領域の凹部には前記レジストが残るように前記レジストを除去するレジスト除去工程と、前記レジスト除去工程で前記レジストが完全に除去された前記記録領域の凹部に相当する部分の前記記録層の前記強磁性体を完全にエッチングするとともに、前記レジスト除去工程で前記レジストが残った前記サーボ領域の凹部に相当する部分の前記記録層の前記強磁性体が残るようにエッチングする磁性体加工工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、磁気記録媒体の製造工程において、パターン白黒比の大きいプリアンブル領域の凹部におけるレジスト残渣を除去するために後工程でのエッチング処理の条件をプリアンブル領域の残渣除去にあわせる必要がなくなり、エッチング処理を過度に行うことを回避して、記録領域やバースト領域の凹部に余分な幅(パターン太り)が生じることを防止できるため、電子ビーム描画の限界まで小さなバーストパターンを転写することができるので、高密度記録を実現することができるとともに、熱揺らぎ耐性に優れた磁気記録媒体を提供することができる。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる磁気記録媒体および磁気記憶媒体製造方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる磁気記録媒体は、ディスクリートトラック型の磁気記録媒体にかかるものである。図1−1、図1−2は、実施の形態1にかかる磁気記録媒体の構造を示す構造図である。図1−1は、実施の形態1にかかる磁気記録媒体の平面図であり、図1−2は、実施の形態1にかかる磁気記録媒体の断面図である。
図1−1に示すように、本実施の形態の磁気記録媒体は、データを書き込む領域となる記録領域と、磁気ヘッドをトラック中の目標セクタに位置決めする際に参照され、各セクタの位置情報が記録されたサーボ領域とから構成される。そして、図1−1に示すように、隣接するトラックとの間は、物理的に分離されてにデータの書き込み不能となっている。
サーボ領域は、トラック先頭に設けられており、磁気ヘッドによる記録および再生の同期をとるための信号であるプリアンブル信号が記録されたプリアンブル領域と、セクタの位置情報の信号であるバースト信号が記録されたバースト領域とから構成されている。
図1ー2(a)は、記録領域の断面図、図1ー2(b)は、プリアンブル領域の断面図、図1−2(c)は、バースト領域の断面図である。図1−2に示すように、本実施の形態の磁気記録媒体は、非磁性体からなる非磁性基板103と、下地層102と、記録層101とが積層されている。そして、記録層101に凹部が設けられ、図1−2(b)に示すように、プリアンブル領域の記録層101の凹部には強磁性体104が存在する構造となっている。
下地層102は、軟磁性材料で形成されている。下地層102の軟磁性材料としては、Fe,Ni,Coのいずれかの元素を組成に含んでいる軟磁性材料、例えば、CoFe、NiFe、CoZrNb、フェライト、珪素鉄、炭素鉄等が使用できる。
下地層102の微細構造は、強磁性材料からなる記録層101と同様の構造であれば、結晶性や微細構造制御の点で好ましいが、磁気特性を優先させる場合には敢えて別の構造とすることもできる。例えば、アモルファスの下地層と結晶性の記録層、あるいはその逆とすることができる。
また、下地層は、軟磁性体微粒子が非磁性体マトリックス中に存在する、いわゆるグラニュラー構造であってもよい、磁気特性の異なる複数の層(例えば軟磁性層/非磁性層の多層膜)から構成することもできる。
なお、記録再生時以外の下地層の磁気異方性の方向は膜面に垂直でも、面内周方向でも、面内半径方向でも、あるいはこれらの合成であってもよい。
下地層102は、記録再生時に単磁極ヘッドの磁界によって磁気の向き(スピンの向き)が変化し閉じた磁気ループが形成される程度の保持力を有するものであればよい。一般的には数kOe以下であれば好ましく、1 kOe以下であればさらに好ましく、50Oe以下であればなお好ましい。
記録層101は、強磁性材料から形成されている。記録層101の強磁性材料としては、現在の磁気記録媒体で一般的に使用されている強磁性材料を使用できる。すなわち、飽和磁化Isが大きくかつ磁気異方性が大きいものが適している。この観点から、例えばCo、Pt、Sm、Fe、Ni、Cr、Mn、Bi、およびAlならびにこれらの金属の合金からなる群より選択される少なくとも一種を使用することができる。これらの中では、結晶磁気異方性の大きいCo合金、特にCoPt、SmCo、CoCrをベースとしたものや、FePt,CoPt等の規則合金が記録層の強磁性材料として使用することがより好ましい。具体的には、Co−Cr,Co−Pt,Co−Cr−Ta,Co−Cr−Pt,Co−Cr−Ta−Pt、Fe50Pt50、Co50Pt50、Fe50Pd50、Co75Pt25などを記録層101の強磁性材料として使用することができる。また、これらの他に、記録層101の強磁性材料として、Tb−Fe,Tb−Fe−Co,Tb−Co, Gd−Tb−Fe−Co,Gd−Dy−Fe−Co,Nd−Fe−Co,Nd−Tb−Fe−Co等の希土類−遷移金属合金、磁性層と貴金属層の多層膜(人工格子:Co/Pt、Co/Pdなど)、PtMnSb等の半金属、Coフェライト、Baフェライト等の磁性酸化物などから幅広く選択することができる。
記録層101の磁気特性を制御する目的で、上記の磁性体と、磁性元素であるFe、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素とを合金化させたものを記録層101として使用してもよい。また、これらの金属または合金に、磁気特性を向上させるための添加物、例えばCr、Nb、V、Ta、Mo、Ti、W、Hf、Cr、V、In、Zn、Al、Mg、Si、B等、あるいはこれらの元素と、酸素、窒素、炭素、水素の中から選ばれる少なくとも一つの元素との化合物を加えても良い。
記録層101の磁気異方性に関しては、垂直磁気異方性成分が主であれば面内磁気異方性成分があっても構わない。記録層101の厚さに特に制限はないが、高密度記録を考えると100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下が更に好ましい。なお、0.1nm以下になると連続した薄膜を構成するのが困難になるので好ましくない。
また、記録層101は、磁性粒子とその間に存在する非磁性物質とから構成される複合材料であることが好ましい。磁性粒子を反転単位とした高密度磁気記録が可能となるからである。しかしながら、記録領域をパターン化する場合には、非磁性物質の存在は必ずしも必要ではなく、また、希土類―遷移金属合金のような連続的なアモルファス磁性体であっても構わない。
記録層101では、図1ー2(a)に示すように、溝の凹部に強磁性体が存在しない。強磁性体が存在した場合、磁気ヘッドによる記録データの読み書き時にノイズが非常に大きくなる。
一方、サーボ領域の凹部には、強磁性体が存在する。位置情報であるサーボ情報は、凹凸として物理的に作りこまれており、一方向に着磁することでサーボ信号を形成するもので、磁気ヘッドによって信号を書き込むわけではないため、ノイズ源にはならないからである。
図2は、記録領域における磁気の状態とサーボ領域(プリアンブル領域)における磁気の状態を示す模式図である。図2の(a)が記録領域における磁気の状態を示し、図2の(b)がサーボ領域(プリアンブル領域)における磁気の状態を示している。
図2(b)に示すように、凹部に強磁性体が存在することによって、実効的な体積が増えることにより磁化の安定性が増す。さらに、凹部に強磁性体があることで、磁化最小体積を増加させる効果もあり、磁化の安定性が飛躍的に向上する。このため、サーボ領域では、磁気の安定化によって、サーボ情報が消去されることが防止されている。
特に本実施の形態にかかる磁気記録媒体では、図1−2(b)に示すように、サーボ領域のプリアンブル領域の凹部に強磁性体が存在している。本実施の形態の磁気記録媒体の製造工程において、記録領域、プリアンブル領域、バースト領域のそれぞれに対応して複数の異なる凹凸パターンが混在したスタンパーを使用してインプリント処理を行う場合に、スタンパーのパターン白黒比に相関して、残渣の量が異なってくる。しかし、プリアンブル領域に相当するスタンパーの凹凸のパターン白黒比が1:1であり、他の領域に比べて一番比率が高い。
しかし、本発明者は、プリアンブル領域では、磁気記録媒体の製造時に予め信号パターンをエッチングで作り込んでおり、磁気記録媒体の製造時に磁気ヘッドで記録するものではない。このため、製造工程時にプリアンブル領域の凹部のレジスト残渣が存在することによってプリアンブル領域の形状の悪化が生じた場合でも、プリアンブル信号に影響を及ぼしていないことが実験的に明らかになった。
したがって、本実施の形態にかかる磁気記録媒体では、プリアンブル領域の凹部に強磁性体を存在させることによって、プリアンブル信号に影響を及ぼさず、かつ、磁気記録媒体の製造工程において、パターン白黒比の大きいプリアンブル領域の凹部におけるレジスト残渣を除去するために、後工程でのエッチング処理の条件をプリアンブル領域の残渣除去にあわせる必要がなくなり、エッチング処理を過度に行うことを回避して、記録領域やバースト領域の凹部に余分な幅(パターン太り)が生じることを防止している。これによって、スタンパーに形成されたバーストパターンとほぼ等しいパターンを転写することができるため、例えば電子ビーム描画の限界まで小さなバーストパターンを転写することができ、従来の製造方法では製造することが出来なかった高TPI対応の磁気記録媒体を製造することが可能となる。
なお、本実施の形態では、プリアンブル領域の凹部のみに強磁性体が存在した構造となっているが、バースト領域に強磁性体が存在する構造としてもよい。
本実施の形態にかかる磁気記録媒体の別な形態としては、記録層の凹凸が、非磁性体で埋め込まれているものである。図3は、記録層の凹凸が、非磁性体で埋め込まれた磁気記録媒体の構造を示す断面図である。
図3に示すように、この磁気記録媒体は、記録層101の凹部を非磁性体302で埋め込み、記録層101の上に保護層301を形成して、表面を平坦化した構造となっている。このように表面を平坦化することにより、磁気記録再生ヘッドの浮上安定性が増大し、より低浮上を実現することができる。また、これにより、高S/N化、高分解能化を図ることができ、高TPI記録に対応することが可能となる。
次に、本実施の形態にかかる磁気記録媒体の製造方法について説明ずる。図4は、本実施の形態にかかる磁気記録媒体の製造処理を示す工程図であり、図5は、磁気記録媒体の製造処理の各工程の状態を示す模式図である。本実施の形態にかかる磁気記録媒体の製造方法は、ナノインプリント法を用いた加工方法である。
まず、例えばSiO2、Si等の非磁性基板103に、軟磁性材料からなる下地層102と強磁性材料からなる記録層101を順次成膜する(工程S401)。次いで、成膜した強磁性材料の記録層の上にレジスト502を形成する(工程S402、図5の(a))。ついで、形成したレジスト上に、記録領域、プリアンブル信号、バースト信号等に相当する凹凸が形成されたスタンパー501をプレスして凹凸を転写する(工程S403、図5の(b))。凹凸を転写すると、図5の(b)に示すように、パターン形状によって残渣の量が異なる。すなわち、記録領域とバースト領域における残渣の量がプリアンブル領域における残渣の量より少なくなっている。これは、プリアンブル領域に対応したスタンパーの凹凸のパターン白黒比が1:1と高く、記録領域およびバースト領域に対応したスタンパーの凹凸のパターン白黒比が1:3と低いことからスタンパーのプレスの際の圧力が異なるためである。
次に、酸素RIEで異方性エッチングを開始し(工程S404)、レジストの残渣を除去する。そして、記録領域、バースト領域の残渣の量はプリアンブル領域の残渣の量より少ないため、記録領域とバースト領域の残渣がプリアンブル領域の残渣より先に完全に除去されるが、記録領域とバースト領域の残渣が完全に除去た段階で異方性エッチングを終了する(工程S405)。これにより、プリアンブル領域の残渣は完全に除去されず凹部に残ることになる(図5の(c)参照)。次いで、Arイオンミリング等のドライエッチングを行い、下の磁性層をエッチングする(工程S406)。そして、磁性体加工後にレジスト剥離を行う(工程S407)。これにより、図5の(d)に示すように、プリアンブル領域に強磁性体が存在し、記憶領域とバースト領域に強磁性体が存在しない磁気記録媒体が製造されることになる。
このように本実施の形態にかかる磁気記録媒体では、ディスクリートトラック型の磁気記録媒体において、媒体製造時に信号パターンを予め記録しておくプリアンブル領域が凹部に強磁性体を有しているので、再生記録ヘッドによる記録再生時の信号に悪影響を及ぼすことなく、高密度記録を実現することができるとともに、熱揺らぎ耐性に優れた磁気記録媒体を提供することができる。
また、本発明によれば、記録層の上に形成されたレジスト上に記録領域とプリアンブル領域とバースト領域とにそれぞれ対応して異なる凹凸パターンのスタンパーを押圧し、レジスト上に凹凸を形成し、凹凸が形成されたレジストをエッチングし、記録領域の凹部からレジストを完全に除去するとともに、プリアンブル領域の凹部に残渣が存在した状態になるようにレジストを除去することで、残渣除去条件をパターン白黒比の大きいプリアンブル領域に適合させることが不要となり、この結果、高密度記録を実現することができるとともに、熱揺らぎ耐性に優れた磁気記録媒体を製造することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる磁気記録媒体は、パターンドメディアの磁気記録媒体にかかるものである。図6−1、図6−2は、実施の形態2にかかる磁気記録媒体の構造を示す構造図である。図6−1は、実施の形態2にかかる磁気記録媒体の平面図であり、図6−2は、実施の形態2にかかる磁気記録媒体の断面図である。
図6−1に示すように、本実施の形態の磁気記録媒体は、データを書き込む領域となる記録領域と、磁気ヘッドをトラック中の目標セクタに位置決めする際に参照され、各セクタの位置情報が記録されたサーボ領域とから構成される。そして、図6−1に示すように、隣接するトラックとの間は、物理的に分離されてにデータの書き込み不能となっている。
また、図6−1に示すように、記録領域内は、分離した強磁性体ドット600aが配列した構造を持ち、強磁性体ドット600a間は非磁性体600bによって分離された構造となっている。ここで、強磁性体ドット600aは本発明における磁性部に相当する。また、非磁性体600bは本発明における分離部に相当する。
また、本実施の形態の磁気記録媒体では、サーボ領域が強磁性体の凹凸として形成されている。
サーボ領域は、実施の形態1の磁気記録媒体と同様に、プリアンブル領域とバースト領域とから構成されている。
図6ー2(a)は、プリアンブル領域の断面図、図6−2(b)は、バースト領域の断面図である。図6−2に示すように、本実施の形態の磁気記録媒体は、非磁性体からなる非磁性基板603と、下地層602と、記録層601とが積層されている。そして、図6−2(a)に示すように、記録層601に凹部が設けられ、プリアンブル領域の記録層601の凹部には強磁性体604が存在する構造となっている。
本実施の形態の磁気記録媒体では、記録領域のトラック方向には溝が形成されているが、ビットは連続膜である。このため、ビット方向の分解能は記録再生ヘッドと記録層強磁性体の性能で定まる。そこで、AASA法を用いて、記録領域をビット方向にも分離孤立化し、このような構造によって、更なる高密度記録を実現している。
次に、本実施の形態にかかる磁気記録媒体の製造方法について説明ずる。図7は、本実施の形態にかかる磁気記録媒体の記録領域の製造処理を示す工程図であり、図8は、磁気記録媒体の記録領域の製造処理の各工程の状態を示す模式図である。本実施の形態にかかる磁気記録媒体の記録領域の製造方法は、AASA (Artificially Assisted Self−Assembling)法を用いた加工方法である。
AASA法は、ナノメートルサイズの微細パターンの形成にジブロックコポリマーの自己組織化現象を利用したものである(「IEEE Trans. Magn.,vol38, pp1949, 2002(第4図)」参照)。自己組織化現象は、大面積に微細パターンを安価に作製できる方法であるが、自己組織化で製作された微細パターンの揃った方向(ドメイン)を人為的に制御することは不可能である。そこで、AASA法では、あらかじめ案内溝を形成し、案内溝の中のみで自己組織化を行うことで、自己組織化の揃った領域を人為的に製作している。
本実施の形態の磁気記録媒体のようなパターンドメディアは、記録領域のトラック方向、記録線方向ともに物理的に分離する必要があるため、高度なナノメーター加工技術が必要となる。これに対し、ディスクリートトラック型の磁気記録媒体は、記録トラック方向のみを分離するので、パターンドメディアに比べるとパターン形成を容易に行うことが可能である。
まず、例えばSiO2、Si等の非磁性基板603に、軟磁性材料からなる下地層602と強磁性材料からなる記録層601を順次成膜する(工程S701)。次いで、成膜した強磁性材料の記録層の上にレジスト802を形成する(工程S702、図8の(a))。
次に、凹凸が形成されたスタンパー801を、強磁性材料の記録層601上に形成されたレジストにプレスして凹凸を転写ことにより(ナノインプリント)、一括溝形成を行う(工程S703、図8の(b))。
次に、形成された案内溝中に自己組織化材料803を充填し、アニールして自己組織化によるナノパターンを形成する(工程S704、図8の(c)および(d))。その後、酸素RIEによってナノホールを形成し(工程S705、図8の(e))、SOG(Spin on glass)805を充填する(工程S706、図8の(f))。
次に、酸素RIEを行い(工程S707、図8の(g))、高アスペクト比マスクとした後、イオンミリングで強磁性体をエッチングし(工程S708)、レジストをアッシングで完全に除去する(工程S709、図8の(h))。これによって、本実施の形態にかかる磁気記録媒体が製造される。
ここで、スタンパー801は、通常の光露光に加え、EB描画、Deep−UVカッティング等を用いることができる。また、工程S704〜S705(図8の(c)(d)(e))5の工程を省略することで、ディスクリートトラック型の磁気記録媒体を製造することも可能である。
なお、AASA法を使用して製造した磁気記録媒体は、磁性ドットが孤立分離化して配列した構造を有する。一つの記録に一つの磁性ドット(1bit 1cell)を使用してもよいが、1つの記録が多数の磁性ドット(1bit 多セル)で形成されるように構成してもよい。磁性ドットの粒径が10nm程度のパターンドメディアの場合、10nmの領域に正確にアクセスする現実的な手段が存在しないため、1つの記録が多数の磁性ドット(1bit 多セル)で形成するほうが好ましい。例えば、200Gbpsiの面密度を考えた場合、1ビットの面積はトラック幅125nm×記録ビット長25nmとなる。磁性ドット粒径が9nmの場合には、200Gbpsiの面密度では磁性ドット14個(トラック幅)×3個(トラック方向)で42個の磁性ドットで1ビットが形成される。
強磁性体の代わりにSiO2等を用いることで、スタンパー形成のための原盤とすることができる。図7および図8に示した工程では、AASA原盤を形成した後、原盤表面にNi導電化処理を行う。一般的にはスパッタ法でNiを10nm程度成膜する。その後、Ni電鋳を行い、AASA構造を持つスタンパーを形成できる。
ここで、工程S704においてレジスト上に転写された案内溝に充填する自己組織化材料803にはジブロックコポリマーを使用する。ブロックコポリマーとは、複数の単独高分子を部分構成成分(ブロック)とする直鎖高分子からなるコポリマー(共重合体)である。たとえば、ポリマー鎖AとBが−(AA・・AA)−(BB・・BB)−のような構造を有する。
ブロックコポリマーは、熱処理を加えることによって、ポリマーAが凝集したA相とポリマーBが凝集した相分離構造をとる。例えば、A相とB相が交互に規則正しく現れる「ラメラ」構造、片方の相が棒状になる「シリンダー」構造、片方の相が球状に分布する「海島」構造が存在する。
ブロックコポリマーでミクロ相分離構造を形成するには、2相の体積分率が重要である。ポリマーAとポリマーBはどのようなポリマーを選択することも可能であるが、リソグラフィーの観点からは、ドライエッチングレートの差が大きなポリマーを選択することが好ましい。比較的エッチング耐性の良好な芳香族ポリマー(例えばポリスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリαメチルスチレン、ポリビニルピリジン等)と、ドライエッチングレートの速いアクリル系のポリマー(例えば、PMMA、ポリtブチルメタクリレート等)などの組み合わせが好ましい。PS(ポリスチレン)とPMMAが結合したジブロックコポリマーの場合、大きなドライエッチング耐性の違いを利用して、PMMAのみ選択的に除去することが可能である。PSとポリビニルピリジンのジブロックコポリマーは良好に海島構造に相分離するが、ドライエッチング耐性に相違がほとんど無いため、相分離構造をエッチングマスクにすることは困難である。相分離構造の大きさ(ドット直径、ピッチ)は、ポリマーAとポリマーBの分子量で制御できる。例えばPS−PMMAジブロックコポリマーの場合、PSの分子量を172000、PMMAの分子量を41500にすることにより、PMMAドットの直径を40nm、ピッチを80nmにすることができる。分子量を減らすと構造も小さくなる。例えば、PSの分子量を43000、PMMAの分子量を10000にすることで、PMMAドットの直径を10nm、ピッチを29nmにすることができる。
本実施の形態にかかる磁気記録媒体のサーボ領域の製造方法は、実施の形態1の製造方法と同様に行われる。
このように本実施の形態にかかる磁気記録媒体では、記録領域が強磁性体と強磁性体の磁性部を非磁性体で分離したパターンドメディアにおいて、媒体製造時に信号パターンを予め記録しておくプリアンブル領域が凹部に強磁性体を有しているので、再生記録ヘッドによる記録再生時の信号に悪影響を及ぼすことなく、高密度記録を実現することができるとともに、熱揺らぎ耐性に優れた磁気記録媒体を提供することができる。
(実施例1)
電子ビーム露光によって、図1に示す凹凸パターンが100セクターあるディスク状スタンパーを形成した。その後、図4および図5で説明した工程によって、ディスクリート型磁気記録媒体を製造した。
即ち、ガラス基板上に軟磁性材料であるCoZrNbを膜厚200nm形成し、下地層とした。そして、スパッタ蒸着法を用いて、強磁性材料のCoCrPt合金を20nm成膜し記録層とした。その後、記録層の上にレジストを膜厚100nmで形成した。
次に、サーボ領域に対応する凹凸と記録領域に対応する凹凸が混在したスタンパーを用いてインプリントによるパターン形成を行い、酸素RIEでインプリントによる残渣を除去した。その際、残渣除去条件は、バースト信号部分に合わせて、酸素RIE時間を30秒とした。Arイオンミリングで磁性層をエッチングした後、レジストの剥離を行い、カーボン保護膜を5nm形成した。即ち、平面形状がが図1−1、断面形状が図1−2に示すようなパターンドメディアを製作した。
潤滑剤を塗布し、浮上量12nm、4200rpmで浮上型記録再生ヘッドによる評価を行った。バンドイレースにより、トラック方向5μm全てをDC消磁し、サーボパターンを一方向に磁化した。その後、オシロスコープによって再生波形を検出したところ、図9の(b)に示すようなバーストパターンに応じた再生信号が得られた。なお、この信号は微分して表示している。バーストC部分の信号はゼロであった。この状態でトラッキングサーボをかけることができた。
(比較例1)
一般的な従来の製造方法でディスクリートトラック型の磁気記録媒体を製造した。その際、インプリントによる残渣の除去条件は、プリアンブル信号部分に合わせて、酸素RIE時間を45秒とした。浮上型記録再生ヘッドによる評価を行ったところ、図9の(c)に示すようなバーストパターンに応じた再生信号が得られた。記録再生ヘッドを種々動かして検出しても、バーストC部分の信号がゼロになることはなかった。この状態でトラッキングサーボをかけることはできない。これは、従来技術のディスクリートトラック型磁気記録媒体では、バーストマークが太ってしまい、バーストC部分の信号はゼロにすることができないことを示しており、高TPI記録を実現することができないことがわかった。
(実施例2)
実施例1と同様の製造方法により、プリアンブル領域の凹部に強磁性体が存在し、記録領域およびバースト領域の凹部に強磁性体が存在しないディスクリートトラック型の磁気記録媒体を製造した。そして、浮上量12nm、4200rpmで浮上型記録再生ヘッドによる評価を行った。
バンドイレースにより、トラック方向5μm全てをDC消磁し、サーボパターンを一方向に磁化した。その後、オシロスコープによってプリアンブル信号の再生波形の振幅強度を測定した結果、1.6mVの強度が測定された。3ヶ月後、DC消磁を行わずに、プリアンブル信号の再生波形の振幅強度を測定した結果、1.6mVの強度が測定された。温度を100℃まで昇温し、同様の測定を試みたところ、信号強度の劣化はなかった。
(比較例2)
一般的な従来の製造方法でディスクリートトラック型の磁気記録媒体を製造した。断面TEMによる形状評価で、全ての領域で凹部に磁性体が存在しないことを確認した。
実施例2と同様に、オシロスコープによってプリアンブル信号の再生波形の振幅強度を測定した結果、1.6mVの強度が測定された。3ヶ月後、DC消磁を行わずに、プリアンブル信号の再生波形の振幅強度を測定した結果、1.4mVに信号強度が劣化していた。温度を100℃まで昇温し、同様の測定を試みたところ、1.0mVに信号強度が劣化していた。この結果により、凹部に強磁性体が存在しないため、磁化の安定性が低下することが判明した。
(実施例3)
実施例1と同様の製造方法により、プリアンブル領域の凹部に強磁性体が存在し、記録領域およびバースト領域の凹部に強磁性体が存在しないディスクリートトラック型の磁気記録媒体を製造した。記録層の上にカーボン保護膜を形成する前に、バイアススパッタ法でSiO2を200nm成膜し、ミリングによってエッチバックを行った。その後、カーボン保護膜を5nm成膜し、図3に示す断面構造を有するディスクリートトラック型の磁気記録媒体を製造した。
レーザードップラー法により、浮上ヘッドの浮上ばらつきを測定したところ、Fh=1.0〜2.0nmの測定結果となった。この値は、エッチング加工する前の連続膜と同程度である。バンドイレースにより、トラック方向5μm全てをDC消磁し、サーボパターンを一方向に磁化した。その後、オシロスコープによってプリアンブル信号の再生波形の振幅強度を測定した結果、3.0mVの強度が測定された。この結果により、ヘッドの浮上が安定したことによって、信号強度が大幅に改善したことが判明した。
(比較例3)
実施例1と同様の製造方法により、プリアンブル領域の凹部に強磁性体が存在し、記録領域およびバースト領域の凹部に強磁性体が存在しないディスクリートトラック型の磁気記録媒体を製造した。
レーザードップラー法により、浮上ヘッドの浮上ばらつきを測定したところ、Fh=10nmの測定結果となった。オシロスコープによってプリアンブル信号の再生波形の振幅強度を測定した結果、1.6mVの強度が測定された。記録層の凹部を非磁性体で埋め込みせず、保護膜による平坦化を行わない構造の磁気記録媒体では、浮上ヘッドによる浮上ばらつきによって、信号強度が低下し、S/N比が低下することが判明した。
(実施例4)
AASA法により記録領域に、直径15nm、ピッチ30nmのドットが12列配列した構造をSi基板上に製造した。その後、EB露光によって、サーボパターンを形成し、Ni電鋳にてスタンパーを作成した。その後、図4および図5で説明した工程によって、パターンドメディアを製造した。断面TEMによる形状評価で、プリアンブル領域の凹部に強磁性体が存在し、記録領域(強磁性体ドット)およびバースト領域の凹部に強磁性体が存在しないことを確認した。すなわち、図6ー1および図6−2に示すパターンドメディアを製造した。
潤滑剤を塗布し、浮上量12nm、4200rpmで浮上型記録再生ヘッドによる評価を行った。バンドイレースにより、トラック方向5μm全てをDC消磁し、サーボパターンを一方向に磁化した。その後、オシロスコープによって再生波形を検出したところ、図9の(b)に示すようなバーストパターンに応じた再生信号が得られた。バーストCの部分の信号は0であるため、トラッキングサーボをかけることができた。
また、記録領域が直径15nm、ピッチ30nmのドットに分断されているため、実施例1のディスクリートトラック型磁気記録媒体に比べて、信号S/N比が2倍程度向上した。
以上のように、本発明にかかる磁気記録媒体および磁気記録媒体製造方法は、ハードディスクに使用される磁気記録媒体およびその製造方法に有用である。
実施の形態1にかかる磁気記録媒体の平面図である。 実施の形態1にかかる磁気記録媒体の断面図である。 記録領域における磁気の状態とサーボ領域(プリアンブル領域)における磁気の状態を示す模式図である。 記録層の凹凸が、非磁性体で埋め込まれた磁気記録媒体の構造を示す断面図である。 本実施の形態にかかる磁気記録媒体の製造処理を示す工程図である。 磁気記録媒体の製造処理の各工程の状態を示す模式図である。 実施の形態2にかかる磁気記録媒体の平面図である。 実施の形態2にかかる磁気記録媒体の断面図である。 本実施の形態にかかる磁気記録媒体の記録領域の製造処理を示す工程図である。 磁気記録媒体の記録領域の製造処理の各工程の状態を示す模式図である。 実施例によるプリアンブル信号の測定結果を示す説明図である。
符号の説明
101,601 記録層
102,602 下地層
103,603 非磁性基板
104,604 強磁性体
301 保護層
302 非磁性体
501,801 スタンパー
502,802 レジスト
600a 強磁性体ドット
600b 非磁性体
801 スタンパー
803 自己組織化材料
805 SOG

Claims (7)

  1. 軟磁性体からなる軟磁性体層と当該軟磁性体層上に積層された強磁性体からなる強磁性体層との少なくとも2つの層で構成され、
    前記強磁性体層の表面である平坦部から前記軟磁性体層へ向かって第1の凹部が形成され、前記第1の凹部の底面は前記軟磁性体層であり、
    略平行に形成された2つの前記第1の凹部とそれらの間の前記平坦部とにより形成された凸部にデータ書き込み可能である記録領域と、
    前記強磁性体層の表面である前記平坦部から前記軟磁性体層へ向かって第2の凹部が形成され、前記第2の凹部は底面が前記強磁性体層であり、磁気ヘッドを目標位置に位置決めするための位置情報が、前記平坦部と第2の凹部とに記録されたサーボ領域と、
    を具備することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記サーボ領域は、磁気ヘッドの同期をとるためのプリアンブル信号が記録されたプリアンブル領域と、セクタの位置情報を示すバースト信号が記録されたバースト領域とを有し、
    前記サーボ領域内の前記バースト領域にある、前記第2の凹部の底面が軟磁性体層であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記記録領域に形成された前記第1の凹部と前記サーボ領域に形成された前記第2の凹部とに非磁性体が埋め込まれており、前記記録領域が存在する前記強磁性体層の上に保護膜が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記記録領域は、さらに、前記強磁性体を分離する非磁性体からなる分離部を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  5. 非磁性基板上に、軟磁性材料からなる下地層と、強磁性材料からなる記録層とを順次形成する成膜工程と、
    前記成膜工程によって形成された記録層の上にレジストを形成するレジスト形成工程と、
    前記レジスト形成工程によって形成された前記レジスト上に、データ書き込み可能な凹凸状の記録領域と磁気ヘッドを目標位置に位置決めするための位置情報を記録した凹凸状のサーボ領域とにそれぞれ対応した凹凸が形成されたスタンパーを押圧し、前記レジスト上に凹凸を形成するインプリント工程と、
    前記インプリント工程によって凹凸が形成された前記レジストをエッチングし、前記記録領域の凹部から前記レジストを完全に除去するとともに、前記サーボ領域の凹部には前記レジストが残るように前記レジストを除去するレジスト除去工程と、
    前記レジスト除去工程で前記レジストが完全に除去された前記記録領域の凹部に相当する部分の前記記録層の前記強磁性体を完全にエッチングするとともに、前記レジスト除去工程で前記レジストが残った前記サーボ領域の凹部に相当する部分の前記記録層の前記強磁性体が残るようにエッチングする磁性体加工工程と、
    を含むことを特徴とする磁気記録媒体製造方法。
  6. 前記サーボ領域は、磁気ヘッドの同期をとるためのプリアンブル信号が記録されたプリアンブル領域と、セクタの位置情報を示すバースト信号が記録されたバースト領域とを有し、
    前記インプリント工程は、前記レジスト形成工程によって形成された前記レジスト上に、データ書き込み可能な凹凸状の記録領域と、磁気ヘッドの同期をとるためのプリアンブル信号が記録されたプリアンブル領域と、セクタの位置情報を示すバースト信号が記録されたバースト領域とにそれぞれ対応した凹凸が形成されたスタンパーを押圧し、前記レジスト上に凹凸を形成し、
    前記レジスト除去工程は、前記インプリント工程によって凹凸が形成された前記レジストをエッチングし、前記記録領域の凹部と前記バースト領域の凹部とから前記レジストを完全に除去するとともに、前記プリアンブル領域の凹部には前記レジストが残るように前記レジストを除去し、
    前記磁性体加工工程は、前記レジスト除去工程で前記レジストが残った前記プリアンブル領域の凹部に相当する部分の前記記録層の前記強磁性体が残るようにエッチングすることを特徴とする請求項に記載の磁気記録媒体製造方法。
  7. 前記レジスト除去工程は、前記インプリント工程によって凹凸が形成された前記レジストのエッチング処理を開始し、前記記録領域の凹部と前記バースト領域の凹部とから前記レジストが完全に除去された時点でエッチング処理を終了することを特徴とする請求項に記載の磁気記録媒体製造方法。
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