JP5537628B2 - 自己組織化パターンの形成方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は,自己組織化パターンの形成方法に関する。
ブロックコポリマーを用いる,自己組織的なパターン形成方法は,ビットパターンドメディアなどの記録デバイスの作製方法として,期待されている。ビットパターンドメディアは,所定のビット数(例えば,1ビット)毎の磁性体のドットを有し,ハードディスクドライブの将来記録媒体として有望である。ダミードットを起点として,ブロックコポリマーを自己組織化することで,大面積で配列欠陥の少ない規則的なドット配列を高密度で形成できる。
ここで,ダミードットは,自己組織化で形成されるパターンと同程度の微小なサイズであることが要求される。光リソグラフィーや電子線リソグラフィーで,ダミードットを作成可能である。しかし,この場合,リソグラフィー装置の分解能が問題となり,自己組織化による微細化のメリットを十分に発揮することができない。
そこで,リソグラフィーにより作成されたパターンを縮小して微細なパターンを得る技術が開発されている。リソグラフィーで形成されたパターンを自己組織化材料により縮小できる。この方法をダミードット配列形成に利用することで,リソグラフィーの限界を超えるダミードットを形成できる。
Science vol.321, page 939 2009 ACS NANO vol.4, No.8, page4815-4823, 2010
US 2011/0147985A1
ところで,ビットパターンドメディアなどの記録デバイスでは,微細ドットのパターン以外にも,サイズの大きいパターン(例えば,位置決めパターン(ビットパターンドメディアの場合),配線パターン(電子デバイスの場合))を形成する必要がある。
しかしながら,微細ドットパターンと,このドットよりサイズの大きなパターンの双方を,自己組織化を用いた方法で,同一基板上に作成するのは,必ずしも容易ではない。
本発明は,微細なパターンと,比較的サイズの大きなパターンの双方を作成可能な自己組織化パターンの作製方法を提供することを目的とする。
実施形態の自己組織化パターン作製方法は,ガイドパターンを基板上に形成する工程と,第1のポリマーの層を形成する工程と,第1のブロックコポリマーを充填する工程と,前記第1のブロックコポリマーを相分離する工程と,を有する。ガイドパターンは,深さTおよびこの深さTより小さい径Dを有する第1の凹部および,この径Dの2倍より大きい幅および長さを有する第2の凹部を備える。第1のポリマーの層は,前記第1,第2の凹部の内壁上に形成される。第1のブロックコポリマーは,体積分率が略同一の,前記第1のポリマーおよび第2のポリマーを有し,前記第1,第2の凹部内に,充填される。前記第1のブロックコポリマーを相分離することで,前記第1の凹部内に配置され,前記第2のポリマーの柱状体および,この柱状体を覆う前記第2のポリマーの被覆体を有するシリンダ構造と,前記第2の凹部内に配置され,前記第1,第2のポリマーの層を有するラメラ構造と,が得られる。
一実施形態に係る自己組織化パターンの作製方法の流れを示すフロー図である。 作成中の自己組織化パターンを表す上面図および断面図である。 作成中の自己組織化パターンを表す上面図および断面図である。 作成中の自己組織化パターンを表す上面図および断面図である。 作成中の自己組織化パターンを表す上面図および断面図である。 作成中の自己組織化パターンを表す上面図および断面図である。 比較例に係る自己組織化パターンを表す上面図および断面図である。 比較例に係る自己組織化パターンを表す上面図および断面図である。
以下,図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1は,一実施形態の自己組織化パターン形成の概略のフローを示す。図2〜図6は,作成中の自己組織化パターンを表す模式的な上面図および断面図である。
(1)基板11上へのガイドパターン12の作成(ステップS11,図2参照)
基板11上にガイドパターン12を形成する。基板11上にレジスト層を形成し,パターニングすることで,ガイドパターン12を作成できる。このパターニングには,光リソグラフィー,電子線リソグラフィー,ナノインプリントリソグラフィーなどを用いることができる。
ここで,レジスト層として,炭素系のレジストを用いるのが好ましい。炭素系のレジスト層を用いるのは,酸素プラズマ処理により,このレジスト層を除去できるためである。電子線レジストを用いる場合には,例えば,PMMA,ZEP520Aなどのポジ型のレジスト材料を用いることができる。
ガイドパターン12は,凹部31,32を有する。凹部31は,深さTおよびこの深さTより小さい径Dを有する略柱状の形状である。これは,後のステップS13において,シリンダ(柱状)構造の作成を容易とするためである。凹部32は,凹部31の径Dの2倍より大きい幅L3を有する。これは,後のステップS13において,ラメラ(層状)構造の作成を容易とするためである。
この幅L3は,ガイドパターン12の端部(溝の側壁)から垂直方向に計測した対向するガイドパターンの端部までの距離である。後述のように,幅L3は,凹部32が有する複数の幅L1〜L4の最小値(最小幅)である。
凹部32は,略一定深さTの溝(凹み)である。凹部32は,この深さTよりも大きな二次元方向の拡がりを有し,大まかに見れば,幅L1,長さ(幅)L2を有する略矩形形状である。また,より子細に見れば,幅L3,L4の矩形形状を組み合わせたものと言える。
即ち,凹部32は,複数の幅L1〜L4を有し,これら幅L1〜L4の内で最小の幅が凹部32の最小寸法(最も狭い寸法)である。ここでは,幅L3が幅L1,L2,L4のいずれよりも小さく,凹部32の最小寸法(最小幅)となっている。
ここで,図2では,幅L1,L3の方向(および幅L2,L4の方向)は,互いに略平行である。また,幅L1,L2の方向(および幅L3,L4の方向)は,互いに略垂直である。しかし,この平行,垂直関係は必須とは言えない。例えば,幅L1〜L4の方向の一部または全部が,互いに斜めであっても良い。このとき,例えば,幅L1,L2がなす形状等は,略矩形では無く,略平行四辺形となる。
このように,複数の幅L1〜L4の方向が互いに平行,垂直でなくても,これらの最小値(最小幅)が凹部31の径Dの2倍より大きければ,後のステップS13でのラメラ(層状)構造の作成が容易となる。
以上のように,ガイドパターン12上は,シリンダ(柱状)構造,およびラメラ(層状)構造それぞれに対応する凹部31,32を配置する領域(ホールパターン(微少パターン)の領域,サイズの大きな凹みパターン(粗大パターン)の領域)に区分される。
(2)ポリマーAによるブラッシュ処理(ステップS12,図3参照)
このガイドパターン12の表面にポリマーAのブラッシュ膜(ポリマーAの層)41,42を形成する。即ち,凹部31,32の内壁上それぞれに,ブラッシュ膜41,42が形成される。
ブラッシュ膜41,42の形成には,二通りの意味がある。ポリマーAのブラッシュ膜41,42を形成することで,ブロックコポリマーとの親和性を向上させ,ステップS13でのブロックコポリマーの自己組織化が容易になる。また,凹部31,32で異なる構造の自己組織化が可能となる。なお,この詳細は後述する。
ブラッシュ膜41,42として用いられるポリマーAは,ステップS13で用いられるブロックコポリマー(ポリマーAとポリマーBが結合されたジブロックコポリマ)と共通するポリマー成分を有する。即ち,ポリマーAは,ブロックコポリマーA−BのポリマーAと同一のモノマーから形成される。
ポリマーAは,酸素プラズマにより除去可能であることが好ましい。ポリマーAは,ポリブタジエン,ポリメチルメタクリレート,ポリエチレン,ポリ−t−ブチルメタクリレート,ポリイソプレン,ポリスチレン,ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミド,ポリエチレンオキシド,ポリアクリル酸,ポリメタクリル酸等の炭素系ポリマーから選択できる。
ポリマーBは,酸素プラズマに高い耐性があることが好ましい。ポリマーBとして,ポリジメチルシロキサン,ポリシリコン,シルセスキオキサン等,シリコンなどの金属元素が主鎖もしくは側鎖に結合しているポリマーを選択できる。
ブロックコポリマー(自己組織化材料)は,A−B型ジブロックポリマーであっても良いし,またA−B−A型もしくはB−A−B型のトリブロックコポリマーであっても良い。
ポリマーAは,ポリマー鎖の末端に,ガイドパターン12(レジスト)の表面と吸着する官能基を有することが好ましい。ガイドパターン12とポリマーAのブラッシュ膜41,42の安定的な結合が可能となる。この官能基としては,ヒドロキシ基,カルボキシル基,アミノ基,トリメトキシシラン基,トリエトキシシラン基,などから選択できる。
具体的には,次のようにして,ポリマーAのブラッシュ膜41,42を形成できる。ガイドパターン12にポリマーAの溶液を塗布した後に,加熱することでポリマーAの末端の官能基とレジスト表面とを結合させる。この結果,ガイドパターン12の凹部31,32の内壁上それぞれに,ブラッシュ膜41,42を形成できる。その後,基板11を溶媒によりリンスすることで,ガイドパターン12の表面と結合していないポリマーAを除去する。
ここで,ポリマーAの溶液中の溶媒によって,レジストが溶解し,ガイドパターン12が破壊される場合がある。この場合,ポリマーAの溶液を塗布する前に,ガイドパターン12(レジスト層)の表面を溶媒に不溶の材料でコーティングすることが好ましい。スパッタ法などによって,例えば,カーボンの極薄い膜を形成することで,溶媒に対してレジスト層を不溶とすることが可能である。
(3)ブロックコポリマーA−Bによるホールシュリンク(ステップS13,図4参照)
次のように,ブロックコポリマーA−Bを自己組織化することで,ガイドパターン12の微細パターン領域を微細化できる。
1)ブロックコポリマーの充填
凹部31,32内にポリマーAとポリマーBからなるブロックコポリマーを充填する。ブロックコポリマーを塗布することで,凹部31,32内にブロックコポリマーを充填できる。このとき,ポリマーAとポリマーBの体積分率がそれぞれ50%と同程度となるようなものを用いる。即ち,ラメラ構造になり易い組成のブロックコポリマーを用いる。体積分率が同程度とは,40%〜60%の範囲であることを意味する。この範囲であれば,ブロックコポリマーがラメラ構造になる。
2)ブロックコポリマーの相分離(自己組織化)
凹部31,32内に充填されたブロックコポリマーを相分離させる。熱アニール(加熱),または溶媒雰囲気への暴露によって,ブロックコポリマーA−Bの分子の移動を容易とすることで,ブロックコポリマーが相分離される。
図4に示すように,ホールパターンの領域(凹部31が形成される領域)とサイズの大きな凹みパターンの領域(凹部32が形成される領域)では,ブロックコポリマーの相分離状態が異なる。凹部31,32それぞれ内に,シリンダ構造51,ラメラ構造52が形成される。
ホールパターンの領域(凹部31が形成される領域)とサイズの大きな凹みパターンの領域(凹部32が形成される領域)で,ブロックコポリマーの相分離状態が異なるのは次のように,凹部31,32で,ポリマーBに対するポリマーAの体積分率が異なることに起因する。
凹部31では,ポリマーAの体積分率が実効的に大きくなる。これは,凹部31内のポリマーAとして,ブラッシュ膜41内のポリマーAと,内部に充填されるブロックコポリマーA−BのポリマーAとの双方を考慮すべきだからである。ポリマーAの体積分率が実効的に大きくなることで,凹部31の内部に,シリンダ構造ができやすくなり,垂直に配向したポリマーBのシリンダが形成される。この結果,ホールパターンの直径を縮小できる。
以上から判るように,凹部31内における,ブラッシュ膜41でのポリマーAの体積V1と,ブロックコポリマーA−BでのポリマーAの体積V2の比率Rが問題となる。具体的には,体積V1が,体積V2に対して,1〜5倍であることが好ましい(比率R=1〜5)。比率Rがこの範囲から外れると,凹部31の内部に,シリンダ構造ができ難くなる。
なお,ブラッシュ膜41の厚さで言えば,この厚さが,凹部31の径Dに対して,ある範囲以内であることが好ましいことになる。但し,ブラッシュ膜41は,凹部31の底にも形成されるため,深さTも関係する。
これに対して,凹部32では,ポリマーAの体積分率の実効的な増大は生じ難い。これは,凹部32が大きいことで,凹部32内のブラッシュ膜42内のポリマーAの寄与が相対的に低減するためである(例えば,凹部32内の体積に対して,ブラッシュ膜42の体積が占める割合は低下する)。既述のように,凹部31は,深さTおよびこの深さTより小さい径Dを有する。一方,凹部32は,凹部31の径Dの2倍より大きい幅L1および長さL2を有する。
この結果,凹部32では,この内部に充填されるブロックコポリマーA−BのポリマーAとポリマーBの体積分率によって,事実上,ブロックコポリマーの相分離状態が決定される。この結果,凹部32内では,層状のラメラ構造が得られ,シリンダ構造は形成されない。
シリンダ構造51は,膜厚方向に柱状(例えば,円柱状)に形成されるポリマーBのドメイン(柱状体)51bと,この柱状体を囲むポリマーAのドメイン(被覆体)51aを含む。柱状(例えば,円柱状)のドメイン51bは,凹部31の径Dより小さな径を有する。
ラメラ構造52は,膜厚方向に積層したポリマAのドメイン(層)52a,ポリマBのドメイン(層)52bを有する。
このように,ブロックコポリマーA−Bは,ホールパターン(凹部31)の直径Dより小さな直経を有するガイドパターン(柱状のドメイン51b)を形成するために用いられる。従って,ブロックコポリマーA−Bの相分離パターンの1周期分のピッチPはホールパターンの直径Dと比較して同程度より小さい必要がある。理想的には,P<D<2Pであることが好ましい。径DがピッチPの2倍(2P)より小さいことによって,ホールパターン(凹部31)内に,複数のポリマーブロックBのドメインが形成されることを防がれる。その結果,凹部32の形状を事実上変化させず,凹部31の直径Dのみを縮小できる。
以上のように,本実施形態では,微細パターン(ホールパターン),粗大パターン(サイズの大きな凹みパターン)と,パターンのサイズを異ならせることで,形成される相分離構造を異ならせることができる。
一般に,ブロックコポリマー(自己組織化材料)では,ドット(柱状体,球状体)を形成するために,一般に,シリンダ構造またはミセル構造を形成する組成のブロックコポリマーを用いる。このため,粗大パターン部分で,このシリンダ構造やミセル構造が形成され,粗大パターンの2次元的な形状が維持されない可能性がある。これに対して,本実施形態では,微細パターンを縮小しつつ,粗大パターンを維持することが可能となる。
(4)酸素プラズマ処理(ステップS14,図5参照)
基板11を酸素プラズマ処理する。この結果,図5に示すように,レジスト層(ガイドパターン12),ポリマーA(ブラッシュ膜41,42を形成するポリマーAおよびブロックコポリマーのポリマーAのドメイン51a,52a)の大部分は,除去され,ポリマーBのドメイン51bが残る。即ち,孤立したポリマーBのドメイン51bが形成される。
孤立したポリマーBのドメイン51bは,次に塗布されるブロックコポリマーC−Dの配列を制御するガイドパターンとなる。
ここで,酸素プラズマで除去しにくい材料が最表面に偏析している場合,酸素プラズマ処理の前に,他のガス種を用いてエッチングしても良い(例えば,アルゴンイオンビームにより,スパッタエッチングする,または,フッ素系ガス(例えば,CFガス)によるリアクティブイオンエッチングする)。
他のガス種を用いてエッチングすることで,最表面に偏析している酸素プラズマで除去しにくい材料を除去できる。例えば,ポリマーBとして,ポリジメチルシロキサンを用いた場合,ポリジメチルシロキサンは,表面エネルギーが小さく,最表面に露出し易い。この場合,酸素プラズマ処理の前に,フッ素系ガス(例えば,CFガス)でプラズマ処理することにより,最表面のポリジメチルシロキサンの層を除去できる。
その後に,酸素プラズマ処理することで,ポリマーBのドメイン51bを孤立させることが容易となる。
(5)ブロックコポリマーC−Dによる規則配列形成(ステップS15,図6参照)
孤立したポリマーBのドメイン51bをガイドパターンとして,ポリマーCとポリマーDからなるブロックコポリマーC−Dを自己組織化できる。ブロックコポリマーC−Dは2次元的にはドット構造を取り,ポリマーBのドメイン51bのガイドパターンにより,配列方向を制御された規則配列パターンが形成される。
ポリマーCは,酸素プラズマにより除去可能であることが好ましい。ポリマーCは,ポリブタジエン,ポリメチルメタクリレート,ポリエチレン,ポリ−t−ブチルメタクリレート,ポリイソプレン,ポリスチレン,ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミド,ポリエチレンオキシド,ポリアクリル酸,ポリメタクリル酸等の炭素系ポリマーから選択できる。
ポリマーDは,酸素プラズマに高い耐性があることが好ましい。ポリマーDとして,ポリジメチルシロキサン,ポリシリコン,シルセスキオキサン等,シリコンなどの金属元素が主鎖もしくは側鎖に結合しているポリマーを選択できる。
ここで,ポリマーDとポリマーBの体積分率が同程度(略同一)であることが好ましい。この場合,ポリマーBからなるドット(ドメイン51b)のサイズとポリマーDからなるドット(ドメイン61a)のサイズがほぼ同程度となる。この結果,凹部31が形成されていた領域の全面に渡って,ドットサイズをほぼ均一にすることができる。
ここで,体積分率が同程度(略同一)とは,ポリマーDとポリマーBの体積分率の差が,±20%以下であることを意味する。この程度の差であれば,ドメイン51bとドメイン61aのサイズの同一性が担保される。ポリマーDとポリマーBの体積分率の差が,±10%以下であることがより好ましい。
ブロックコポリマー(自己組織化材料)は,C−D型ジブロックポリマーであっても良いし,またC−D−C型もしくはD−C−D型のトリブロックコポリマーであっても良い。
1)ポリマーCによるブラッシュ処理
ブロックコポリマーの充填に先だって,ポリマーBのドメイン51bおよびラメラ構造52の外周にポリマーCのブラッシュ膜(ポリマーCの層)を形成することが好ましい。ポリマーCのブラッシュ膜を形成することで,ブロックコポリマーC−Dとの親和性を向上させ,ブロックコポリマーC−Dの安定的な自己組織化が容易になる。
具体的には,次のようにして,ポリマーCのブラッシュ膜を形成できる。基板11にポリマーCの溶液を塗布した後に,加熱することで,ポリマーCのブラッシュ膜を形成できる。その後,基板11を溶媒によりリンスすることで,余分なポリマーCを除去する。
2)ブロックコポリマーの充填
ポリマーBのドメイン51bおよびラメラ構造52の周囲にポリマーCとポリマーDからなるブロックコポリマーC−Dを充填する。即ち,ブロックコポリマーC−Dを適当な溶媒に溶解させた後,孤立されたポリマーBのドメイン51b等のガイドパターン上に塗布して,ブロックコポリマーC−Dの膜を形成する。
3)ブロックコポリマーC−Dの相分離(自己組織化)
充填されたブロックコポリマーC−Dを相分離させる。熱アニール(加熱),または溶媒雰囲気への暴露によって,ブロックコポリマーA−Bを変形容易とすることで,ブロックコポリマーが相分離される。
その後,加熱によるアニール処理もしくは溶媒蒸気雰囲気中のアニール処理などにより相分離構造を形成させる。この結果,ブロックコポリマーC−Dの規則配列パターンを作成することができる。
図6に示すように,微細パターン(ホールパターン)および粗大パターン(サイズの大きな凹みパターン)の周囲に,ほぼ同一の構造61,62が形成される。構造61,62はそれぞれ,ポリマーDのドメイン61a,このドメイン61aを囲むドメイン61bを有する。ドメイン61aは,ドメイン(柱状体)51bを基準として作成され,精度を確保できる。
ここでは,ドメイン61a,62aは,スフィア構造(球状)であるが,シリンダ構造(柱状)としても良い。
その後,基板11を酸素プラズマ処理する。この結果,ポリマーC(ブラッシュ膜を形成するポリマーCおよびブロックコポリマーのポリマーCのドメイン)の大部分は,除去され,ポリマーDのドメインドメイン61a,62aが残る。即ち,孤立したポリマーDのドメインが形成される。
以上のようにして,ポリマーDのドメインが形成された基板11を型として用いて,パターンを複写できる。基板11から型を作成し,この型を用いてパターンを複写しても良い。
ここで,ポリマーBにより形成されるガイドパターンを基板11の下地の転写層にエッチング等により転写して用いても良い。この場合には,基板11のガイドパターン12の高さを転写層の厚さにより均一に形成できる。
下地の転写層としては,ポリマーBとエッチング選択比を高く取れることが好ましい,例えば,Si,Cr,炭素系材料を用いることが可能である。
Siの場合,塩素,SF,HBr等のガスを用いたプラズマ処理によって,ポリマーBとして用いられるポリシロキサン等のSiOxに対して,速いエッチングレートを示す。
また,Crを用いた場合には,塩素と酸素の混合ガス等を用いたプラズマ処理によってポリマーBに対して,速いエッチングレートを示す。
また,カーボン等の炭素系の膜に対しては酸素プラズマによりポリマーBに対して速いエッチングレートを得ることができる。
転写膜としては複数の層の積層膜から形成されているものであっても良い。
以上のように,本実施形態では,ホールパターン部では直径Dを自己組織化パターンと同程度まで微細化しかつ大きい2次元パターンの領域では自己組織化の構造を反映しない形状を維持した複合的な自己組織化パターン作製が可能となる。
(実施例1)
実施例1につき説明する。
A.作成手順
(1)基板11上へのガイドパターン12の作成
基板11にレジスト層のガイドパターン12を形成した。
基板としてSi基板を用いてレジスト層としてZEP520Aを膜厚50nmとなるように塗布した。
レジスト層に微少パターンと粗大パターンを描画した。電子線描画装置によって直径30nmピッチ60nmで三角格子状にホールパターンを描画した(微少パターンの描画)。同一基板上の別の場所に,幅100nmの溝をピッチ160nmのラインアンドスペースパターンを描画した(粗大パターンの描画)。
レジスト層を現像液(酢酸アミル)で現像した。その後,イソプロピルアルコールで基板をリンスして,現像液を取り除いた後,乾燥させた。
以上のように,基板11上にレジスト層(ZEP520A)のガイドパターン12が形成された。
(2)ポリマーAによるブラッシュ処理
その後,基板11をポリマーAによりブラッシュ処理した。
このブラッシュ処理に先立って,スパッタ法により,レジスト層の表面にカーボン膜を5nm形成した。その後,空気中で紫外線ランプを1min照射し,レジスト層を溶媒(プロピレングリコールモノエチルアセテート)から保護する保護膜を作成した。
次に,末端をヒドロキシ基により修飾したポリスチレン(分子量5000)をプロピレングリコールモノエチルアセテートに溶解した溶液をスピンコートした。その後,真空中で170度の温度で20時間アニールすることで,ポリスチレンによりブラッシュ処理した。なお,アニール後に,プロピレングリコールモノエチルアセテートで基板をリンスして,余剰のポリスチレンを除去した。
(3)ブロックコポリマーA−Bによるホールシュリンク
次にポリスチレンーポリジメチルシロキサン(それぞれ分子量5000)をプロピレングリコールモノエチルアセテート溶液としてスピンコートした。その後,真空中で170度の温度で20時間アニールした。
(4)酸素プラズマ処理
次に,CFガスによるプラズマ処理を10秒行った後,酸素プラズマ処理を100秒行い,レジスト層,カーボン膜およびポリスチレンを除去した。
(5)ポリマーCによるブラッシュ処理
次に,末端をヒドロキシ基により修飾したポリスチレン(分子量5000)をプロピレングリコールモノエチルアセテートに溶解した溶液をスピンコートした。その後,真空中で170度の温度で20時間アニールすることで,ポリスチレンブラッシュ処理した。
(6)ブロックコポリマーC−Dによる規則配列形成
次に,ポリスチレンーポリジメチルシロキサン(それぞれ分子量10000,3000)をプロピレングリコールモノエチルアセテート溶液としてスピンコートした。その後,真空中で170度の温度で20時間アニール処理を行った。
(7)酸素プラズマ処理
アニール後にさらにCFガスによるプラズマ処理を10秒,酸素プラズマ処理を50秒行った。
B.評価
自己組織化パターンを確認した。ホールパターンを形成した領域では全面に20nmピッチで2次元に最密充填に配置されたドットパターンが確認された。幅80nmピッチ160nmでラインアンドスペースパターンを形成していた領域では,80nm幅で20nmピッチのドットが配列したラインと80nm幅の凸のランド部が確認された。
このように,微細パターンと粗大パターンの双方を形成できた。
(比較例1)
比較例1につき説明する。
A.作成
ポリスチレンーポリジメチルシロキサン(それぞれ分子量10000,5000)を用いた。これ以外は,実施例1と同様の手順で自己組織化パターンを作成した。
B.評価
ブロックコポリマーA−B(ポリスチレンーポリジメチルシロキサン)を相分離したときに観察された構造の模式図を図7に示す。なお,この図では,ブラッシュ膜の記載を省略している。
自己組織化パターンを確認したところホールパターンを形成した領域では,全面に20nmピッチで2次元に最密充填に配置されたドットパターンが確認された。幅100nmピッチ160nmでラインアンドスペースパターンを形成していた領域では,80nm幅で20nmピッチのドットが配列したラインと80nm幅の領域内に20nmピッチのラインアンドスペースからなるメイズのようなパターンが確認された。即ち,粗大パターンがそのまま維持されてはいない。
(比較例2)
比較例2につき説明する。
A.作成
ポリスチレンーポリジメチルシロキサン(それぞれ分子量10000,2000)を用いた以外は,実施例1と同様の手順で自己組織化パターンを作成した。
B.評価
ブロックコポリマーA−B(ポリスチレンーポリジメチルシロキサン)を相分離したときに観察された構造の模式図を図8に示す。なお,この図では,ブラッシュ膜の記載を省略している。
自己組織化パターンを確認したところホールパターンを形成した領域では全面に20nmピッチで2次元に最密充填に配置されたドットパターンが確認された。幅100nmピッチ160nmでラインアンドスペースパターンを形成していた領域でも,20nmピッチのドットがランダムに配列したようなパターンが確認された。即ち,粗大パターンがそのまま維持されてはいない。
(実施例2)
実施例2につき説明する。
A.作成
基板11として,Si基板にHSQ膜を20nm形成した上にさらにカーボンを10nmスパッタ法により製膜したものを用いた。これ以外は,実施例1と同様の手順で自己組織化パターンを作成した。
但し,レジスト層,カーボン膜およびポリスチレンを除去した後に,CFガスのプラズマにより100秒エッチングして,パターンをHSQ層に転写した。その後,基板11を酸素プラズマに更に20秒さらした。
B.評価
自己組織化パターンを確認した。ホールパターンを形成した領域では全面に20nmピッチで2次元に最密充填に配置されたドットパターンが確認された。幅80nmピッチ160nmでラインアンドスペースパターンを形成していた領域では,80nm幅で20nmピッチのドットが配列したラインと80nm幅の凸のランド部が確認された。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが,これらの実施形態は,例として提示したものであり,発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は,その他の様々な形態で実施されることが可能であり,発明の要旨を逸脱しない範囲で,種々の省略,置き換え,変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は,発明の範囲や要旨に含まれるとともに,特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11 基板
12 ガイドパターン
31,32 凹部
41,42 ブラッシュ膜
51 シリンダ構造
51a,51b,52a,52b ドメイン
52 ラメラ構造
52a,52b ドメイン

Claims (11)

  1. 深さTおよびこの深さTより小さい径Dを有する第1の凹部および,この径Dの2倍より大きい幅Lを有する第2の凹部を備えるガイドパターンを基板上に形成する工程と,
    前記第1,第2の凹部の内壁上に,第1のポリマーの層を形成する工程と,
    前記第1,第2の凹部内に,体積分率が略同一の,前記第1のポリマーおよび第2のポリマーを有する第1のブロックコポリマーを充填する工程と,
    前記第1のブロックコポリマーを相分離して,前記第1の凹部内に配置され,前記第2のポリマーの柱状体および,この柱状体を囲む前記第1のポリマーの被覆体を有するシリンダ構造と,前記第2の凹部内に配置され,前記第1,第2のポリマーの層を有するラメラ構造と,を得る工程と,
    を有する自己組織化パターン作製方法。
  2. 前記第2の凹部が複数の幅を有し,前記幅Lがこれら複数の幅の最小値である
    請求項1記載の自己組織化パターン作製方法。
  3. 酸素プラズマ処理により,前記ガイドパターン,および前記被覆体を除去し,前記柱状体および前記ラメラ構造を残す工程,
    をさらに有する請求項1または2に記載の自己組織化パターン作製方法。
  4. 前記ガイドパターン,および前記被覆体を除去する工程の前に,アルゴンガスまたはフッ素系ガスでプラズマ処理する工程,
    をさらに有する請求項3に記載の自己組織化パターン作製方法。
  5. 前記基板が転写層を有し,
    前記ガイドパターン,および前記シリンダ構造の被覆体を除去する工程の後に,前記シリンダ構造の柱状体および前記ラメラ構造をマスクとして,前記転写層をエッチングする工程,
    をさらに有する請求項3または4に記載の自己組織化パターン作製方法
  6. 前記柱状体の外周に,第3のポリマーの層を形成する工程,
    をさらに有する請求項3乃至5のいずれか1項に記載の自己組織化パターン作製方法。
  7. 前記柱状体および前記ラメラ構造の周囲に,第4のポリマーおよび前記第3のポリマーを有する第2のブロックコポリマーを充填する工程,
    をさらに有する請求項6記載の自己組織化パターン作製方法。
  8. 前記第2のポリマーの体積分率と前記第4のポリマーの体積分率が,略同一である,
    請求項7記載の自己組織化パターン作製方法
  9. 前記第3のポリマーが炭素系材料からなり,前記第4のポリマーが珪素系ポリマーからなる
    請求項7または8に記載の自己組織化パターン形成方法
  10. 前記第2のブロックコポリマーを相分離して,前記第4のポリマーの柱状体または球状体と,この柱状体または球状体を囲む前記第3のポリマーの被覆体とを有するシリンダ構造またはスフィア構造を形成する工程,
    をさらに有する請求項7乃至9のいずれか1項に記載の自己組織化パターン作製方法。
  11. 酸素プラズマ処理により,前記第3のポリマーの被覆体を除去し,前記第4のポリマーの柱状体または球状体を残す工程,
    をさらに有する請求項10記載の自己組織化パターン作製方法。
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