JP3682668B2 - バンドギャップリファレンス回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスリープ機能を有するバンドギャップリファレンス回路に関し、特に、スリープの際の回路消費電流を少なくするバンドギャップリファレンス回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、バンドギャップリファレンス回路は温度特性一定の電圧(第1の電圧と呼ぶ)及びダイオード一個分の温度特性を有する電圧(第2の電圧と呼ぶ)を出力するための回路であり、従来、このようなバンドギャップリファレンス回路として、例えば、図3に示す回路が知られている。
【0003】
図3を参照して、図示のバンドギャップリファレンス回路は、バンドギャップリファレンス回路部11、スタートアップ回路部12、及びスリープ回路部13を備えている。図示のように、バンドギャップリファレンス回路部11はスタートアップ回路部12及びスリープ回路部13に接続されており、バンドギャップリファレンス回路部11は抵抗R10乃至R17とトランジスタQ10乃至Q19を備えている。一方、スタートアップ回路部12は抵抗R1及びトランジスタQ1及びQ2を備え、スリープ回路部13は抵抗R4及びR5とトランジスタQ5とを備えている。
【0004】
バンドギャップリファレンス回路は第1及び第2の出力端子を備えており、トランジスタQ13及びQ14のエミッタサイズを所定の比率(n:1)にすると、第1の出力端子11aに第1の電圧(VBGR)が現れ、第2の出力端子11bに第2の電圧(VREF)が現れる。
【0005】
図示のバンドギャップリファレンス回路では、電源Vccが供給された際、2つの動作安定点を有している(第1及び第2の動作安定点)。第1の動作安定点では、第1の電圧(VBGR)及び第2の電圧(VREF)がともに約1Vとなるように回路動作電流が流れるモードであり、第2の動作安定点では、回路電流が流れず、第1の電圧(VBGR)及び第2の電圧(VREF)がともに約0Vとなるモードである。
【0006】
スタートアップ回路部12では、スリープ回路部13のスリープ制御端子(SLEEPX)がハイレベル(HI:Vcc)となると(非スリープ状態と呼ぶ)、バンドギャップリファレンス回路部11に強制的に動作電流を流して、バンドギャップリファレンス回路部11を第1の動作安定点に移行させる。バンドギャップリファレンス回路部11に動作電流が流れて、バンドギャップリファレンス回路部11が立ち上がると、抵抗R13における電圧降下が増加して、この結果、トランジスタQ2のベース−エミッタ間電圧は小さくなっていき、最終的にトランジスタQ2に電流が流れない。従って、スタートアップ回路部12がバンドギャップリファレンス回路部11の動作に影響を与えることはない。
【0007】
一方、スリープ制御端子(SLEEPX)がロウレベル(LO:GND)のなると(スリープ状態と呼ぶ)、スリープ回路ではトランジスタQ5がオン状態となって、トランジスタQ10のコレクタ電圧がほぼ電源電圧Vccとなる。この結果、バンドギャップリファレンス回路部11には電流が流れないことになる。つまり、バンドギャップリファレンス回路部11は第2の動作安定点に移行することになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のバンドギャップリファレンス回路では、スリープ状態の際、つまり、スリープ制御端子(SLEEPX)がロウレベル(GND)であると、抵抗R4及びR5に電流が流れる関係上、スリープ制御をしているにもかかわらず、電流が流れてしまうという問題点がある。つまり、電力消費が起こってしまうという問題点がある。
【0009】
さらに、スリープ回路部13において、トランジスタQ5はその寄生トランジスタの影響で、つまり、漏れ電流の影響で、スリープ制御端子(SLEEPX)がロウレベル(GND)の際(つまり、ベース電位がコレクタ電位よりも低くなった際)、コレクタからベース及びベースからGNDへと電流パスが形成され、この結果、スリープ状態における消費電流が増大してしまうという問題点がある。
【0010】
本発明の目的はスリープ状態における消費電流を低減できるバンドギャップリファレンス回路を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第1の安定動作点で所定の電圧を電圧出力として出力し第2の安定動作状態でゼロボルトを前記電圧出力として出力するバンドギャップリファレンス回路部と、非スリープ状態となると前記バンドギャップリファレンス回路部を前記第1の安定動作点に移行させるスタートアップ回路部と、スリープ状態となると前記バンドギャップリファレンス回路部を前記第2の安定動作点に移行させるスリープ回路部とを有するバンドギャップリファレンス回路において、前記スリープ回路部には前記バンドギャップリファレンス回路部が前記第2の安定動作点になったか否かを検出して前記バンドギャップリファレンス回路部が前記第2の安定動作点になると前記スリープ回路自体をオフするオンオフ制御手段が備えられていることを特徴とするバンドギャップリファレンス回路が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明について図面を参照して説明する。
【0013】
図1を参照して、図示のバンドギャップリファレンス回路はバンドギャップリファレンス回路部11、スタートアップ回路部12、及びスリープ回路部14を備えており、バンドギャップリファレンス回路部11及びスタートアップ回路部12は図3に示すバンドギャップリファレンス回路部及びスタートアップ回路部と同一の構成要素を有している。
【0014】
スリープ回路部14はトランジスタQ3乃至Q6と抵抗R2及びR3を備えており、トランジスタQ3及びQ5はベース同士が互いに接続され、トランジスタQ3及びQ5のエミッタには電源電圧(Vcc)が印加されている。トランジスタQ3のコレクタはトランジスタQ4のベース及びトランジスタQ6のコレクタに接続されており、トランジスタQ5のコレクタはトランジスタQ10及びQ13のコレクタに接続されるとともにトランジスタQ2のコレクタに接続されている。
【0015】
トランジスタQ3及びQ5のベースはトランジスタQ4のエミッタに接続され、トランジスタQ4のコレクタは接地されている。トランジスタQ6のエミッタは抵抗R3を介して接地されるとともに抵抗R2を介してスリープ制御端子(SLEEPX)に接続されている。また、トランジスタQ6のベースは入力端子14aを介して第2の出力端子11bに接続されている。
【0016】
図1において、スリープ制御端子(SLEEPX)がハイレベル(Vcc)であり、バンドギャップリファレンス回路が動作状態であるとする。つまり、非スリープ状態であるとする。この状態からスリープ制御端子(SLEEPX)をロウレベル(GND)にすると、トランジスタQ6はベース電位がVREF(約1V)であるから、抵抗R2及びR3の並列接続をエミッタ抵抗とする定電流源として動作することになる。すると、トランジスタQ3のコレクタにはトランジスタQ6のコレクタ電流と同じ量のの電流が流れて、カレントミラー効果によってトランジスタQ5にも同等の電流が流れようとする。
【0017】
トランジスタQ5のコレクタ電流はトランジスタQ13に供給されるが、トランジスタQ13のコレクタ電流は制限されるから、トランジスタQ5からトランジスタQ13へ電流供給が始まると、結果的に、トランジスタQ10からトランジスタQ13へ電流の供給できなくなる。その結果、トランジスタQ10はオフとなり、カレントミラー対であるトランジスタQ11もオフとなって、バンドギャップリファレンス回路部11がオフとなる。
【0018】
バンドギャップリファレンス回路部11がオフとなると、その出力電圧VREFがオフとなるから、つまり、約0Vとなるから、トランジスタQ6もオフとなって、スリープ回路部14にも電流が流れなくなる。
【0019】
さらに、図示の例では、トランジスタQ5のベース電位がコレクタ電位より下がることがなく、このため、従来技術で説明したような寄生トランジスタによる漏れ電流が発生することがない。この際、図1から明らかなように、スタートアップ回路部12にも電流が流れない。
【0020】
このように、図1に示すバンドギャップリファレンス回路ではバンドギャップリファレンス回路部のオフを検出して、これによって、スリープ回路部をオフするようにしている。
【0021】
次に、スリープ状態からスリープ制御端子(SLEEPX)がハイレベル(Vcc)となると、スタートアップ回路部12のトランジスタQ1及びQ2に電流が流れて、トランジスタQ2にはトランジスタQ10及びQ12から電流が流れて、トランジスタQ2は電流をR13に供給することになる。これによって、バンドギャップリファレンス回路部11が起動される。
【0022】
バンドギャップリファレンス回路部11が動作を開始すると、抵抗R13における電圧降下が増加して、トランジスタQ2はオフとなって、スタートアップ回路部12はバンドギャップリファレンス回路部11に干渉しない。
【0023】
この際、スリープ回路部14はトランジスタQ6のベース−エミッタが逆バイアスであるから動作しない。いま、トランジスタQ6の耐圧を考慮すると、例えば、スリープ回路部14は抵抗R2=0Ωでも動作するが、スリープ制御端子(SLEEPX)=Vcc=3V、VREF=0Vとすると、トランジスタQ6には3Vの逆バイアスがかかることになる。通常、シリコンのバイポーラプロセスであるNPNトランジスタのベース−エミッタの逆耐圧は2〜3Vであるため、上述のような逆バイアスがかかるとトランジスタQ6は破壊される恐れがある。そこで、図示のように抵抗R2及びR3を用いて分圧して、逆バイアスを小さくしている。
【0024】
なお、抵抗R2の抵抗値を抵抗R3の抵抗値に比べて大きくしすぎるとスリープ制御端子(SLEEPX)がハイレベル(Vcc)の際、トランジスタQ6がオフしないので抵抗R2及びR3の比は大きくできない。
【0025】
また、バンドギャップリファレンス回路部において、トランジスタQ12を省略してトランジスタQ10のベースとコレクタとをショートさせるようにしてもよい。
【0026】
さらに、第2の電圧(VREF)を直接トランジスタQ6のベースに与えることなく、例えば、バッファを介してトランジスタQ6のベースに与えるようにしてもよい。
【0027】
加えて、スリープ回路部14において、トランジスタQ4を省略して、トランジスタQ3のベースとコレクタとをショートさせるようにしてもよい。
【0028】
次に、図2を参照して、本発明によるバンドギャップリファレンス回路の他の例について説明する。
【0029】
図示のバンドギャップリファレンス回路において、図1に示すバンドギャップリファレンス回路と同一の構成要素について同一の参照番号を付す。図示の例において、スリープ回路部は図1に示すスリープ回路部14と構成が異なっているので、参照番号15が付されている。
【0030】
スリープ回路部15はトランジスタQ5及びQ6と抵抗R2乃至R5を備えており、トランジスタQ5のコレクタには電源電圧(Vcc)が印加され、このコレクタは抵抗R5を介してベースに接続されている。さらに、トランジスタQ5のベースは抵抗R4を介してトランジスタQ6のコレクタに接続されている(なお、他の接続関係は図1に示す例と同様である)。つまり、図2に示すスリープ回路部15では図1に示すスリープ回路部14のようにトランジスタQ3乃至Q5からなるカレントミラー回路を用いず、抵抗R4及びR5による抵抗分割で同等の動作を実現している。
【0031】
なお、上述の例ではバンドギャップリファレンス回路部として図1に示す例をあげたが他の構成のバンドギャップリファレンス回路にも本発明を適用することができることはいうまでもない。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明ではバンドギャップリファレンス回路部のオフを検出してスリープ回路部をオフするようにしたから、簡単な回路設計及びICレイアウトによって、スリープ状態の際、バンドギャップリファレンス回路の消費電流をほとんどゼロにすることができ、その結果、スリープ制御を行う種々の電子機器において動作時間を長くできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるバンドギャップリファレンス回路の一例を示す回路図である。
【図2】本発明によるバンドギャップリファレンス回路の他の例を示す回路図である。
【図3】従来のバンドギャップリファレンス回路を示す回路図である。
【符号の説明】
11 バンドギャップリファレンス回路部
12 スタートアップ回路部
13,14,15 スリープ回路部

Claims (6)

  1. 第1の安定動作点で所定の電圧を電圧出力として出力し第2の安定動作状態でゼロボルトを前記電圧出力として出力するバンドギャップリファレンス回路部と、非スリープ状態となると前記バンドギャップリファレンス回路部を前記第1の安定動作点に移行させるスタートアップ回路部と、スリープ状態となると前記バンドギャップリファレンス回路部を前記第2の安定動作点に移行させるスリープ回路部とを有するバンドギャップリファレンス回路において、前記スリープ回路部には前記バンドギャップリファレンス回路部が前記第2の安定動作点になったか否かを検出して前記バンドギャップリファレンス回路部が前記第2の安定動作点になると前記スリープ回路自体をオフするオンオフ制御手段が備えられていることを特徴とするバンドギャップリファレンス回路。
  2. 請求項1に記載されたバンドギャップリファレンス回路において、前記バンドギャップリファレンス回路部は温度特性をもつ電圧を前記電圧出力として出力しており、前記オンオフ制御手段はオンオフ制御用トランジスタを備え、前記電圧出力が前記オンオフ制御用トランジスタのベースに与えられていることを特徴とするバンドギャップリファレンス回路。
  3. 請求項2に記載されたバンドギャップリファレンス回路において、前記スタートアップ回路部及び前記スリープ回路部に接続されたスリープ制御端子が備えられ、前記スタートアップ回路部は前記スリープ制御端子がハイレベルになると前記バンドギャップリファレンス回路部を前記第1の安定動作点に移行し、前記スリープ回路部は前記スリープ制御端子がロウレベルになると前記バンドギャップリファレンス回路部を前記第2の安定動作点に移行するようにしたことを特徴とするバンドギャップリファレンス回路。
  4. 請求項3に記載されたバンドギャップリファレンス回路において、前記オンオフ制御トランジスタのエミッタは前記スリープ制御端子に結合されるとともに接地されており、前記スリープ回路部はさらに第1乃至第3のトランジスタを備えており、前記第1及び前記第2のトランジスタはカレントミラー回路を構成し、前記第1及び前記第2のトランジスタのエミッタには電源電圧が加えられ、前記オンオフ制御トランジスタのコレクタが前記第1のトランジスタのコレクタに接続されるとともに前記第3のトランジスタのベースに接続され、前記第3のトランジスタのエミッタが前記第1及び前記第2のトランジスタのベースに接続され、前記第3のトランジスタのコレクタが接地されており、前記バンドギャップリファレンス回路部が前記第1の安定動作点にある際前記スリープ制御端子がロウレベルとなると前記スリープ回路部は前記オンオフ制御トランジスタのコレクタ電流に応じて前記第2のトランジスタをオンして該第2のトランジスタに流れるコレクタ電流によって前記バンドギャップリファレンス回路部をオフするようにしたことを特徴とするバンドギャップリファレンス回路。
  5. 請求項3に記載されたバンドギャップリファレンス回路において、前記オンオフ制御トランジスタのエミッタは前記スリープ制御端子に結合されるとともに接地されており、前記スリープ回路部はさらに第1のトランジスタを備えており、前記第1のトランジスタのベースは第1の抵抗を介して前記オンオフ制御トランジスタのコレクタに接続され、前記第1のトランジスタのエミッタは電源電圧が加えられるとともに第2の抵抗を介して前記第1のトランジスタのベースに接続されており、前記バンドギャップリファレンス回路部が前記第1の安定動作点にある際前記スリープ制御端子がロウレベルとなると前記スリープ回路部は前記オンオフ制御トランジスタのコレクタ電流に応じて前記第1のトランジスタをオンして該第1のトランジスタに流れるコレクタ電流によって前記バンドギャップリファレンス回路部をオフするようにしたことを特徴とするバンドギャップリファレンス回路。
  6. 請求項4又は5に記載されたバンドギャップリファレンス回路において、前記オンオフ制御トランジスタのエミッタは第3の抵抗を介して前記スリープ制御端子に接続されるとともに第4の抵抗を介して接地されていることを特徴とするバンドギャップリファレンス回路。
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