JP3681242B2 - 記録またはスケジュールの管理システムの制御方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
この発明は記録やスケジュールの管理のためのコンピュータ・システムの制御方法に関する。
【0002】
【背景技術】
記録として保存しておくデータ,伝達が必要なデータ,将来(1日後のような非常に近い将来も含む)の予定を表わすデータ等を保存し,それらを必要に応じて取出して所定のフォーマットにしたがって表示することはコンピュータが得意とする分野である。これらのデータ量がきわめて膨大となってもコンピュータはそれを容易に処理することができる。
【0003】
問題はヒューマンインターフェイスにある。これらのデータを単にテーブルの形で表示しても利用者にとっては分りにくい。特にデータ量や項目量が膨大になると,一覧表の形にするには多すぎるので適当に分割して出力せざるを得ず,全体像が把握しにくくなる。特に重要な事項が含まれていても見逃しやすくなる。
【0004】
コンピュータ・システムを利用する場所,機関,施設等に特有の事項もあるので,その利用者に応じて出力フォーマットを変えることも必要となる。データを入力する場合にも同様の問題がある。
【0005】
【発明の開示】
この発明は,コンピュータ・システムにおいて,記録,連絡事項,予定等を表わすデータを見やすくかつ分りやすい形で表示できるようにするものである。
【0006】
この発明はまた表示画面上でデータを容易に変更できるようにするものである。
【0007】
この発明はさらに利用者に応じて,データの入出力フォーマットを容易に変更または作成できるようにするものである。
【0008】
この発明による記録,伝達事項または予定の管理方法は,実データを組込める付箋構造をあらかじめ規定しておき,時間データを含む実データを取込み,一方向に時間目盛をもつ第1の背景の上の時間データによって規定される位置に,実データが組込まれた付箋を表示するものである。この発明は上述のように動作するコンピュータも提供している。
【0009】
時間軸をもつ背景に,時間データによって規定される位置に付箋が表示され,この付箋の中に実データが記入されている。付箋があたかも壁面に貼ってあるかのように表示されるので,非常に見やすく,かつ分りやすい。必要ならば,一部の(重要な)実データのみを付箋内に表わしてもよい。
【0010】
付箋の時間データが時間幅をもっている場合には,好ましくは時間データによって規定される期間バーを付箋とともに表示する。
【0011】
この発明の一実施態様では,刺さった状態と横になった状態とをもつピンを付箋上に表示し,ピンが刺さった状態のときに実データをメモリに保存する。また,ピンが横の状態のときにメモリの実データの書き換えを許す。
【0012】
これにより,表示画面上でデータの書換えが可能である。また,ピンの状態により実データが保存されているかどうかが分る。
【0013】
この発明の他の実施態様では,第1の背景の時間目盛よりも縮小された時間目盛をもつ第2の背景を表示し,この第2の背景上の時間データによって規定される位置に,付箋に対応するアイコンを表示する。
【0014】
これによって,第1の背景には詳細な情報が表示され,第2の背景には長い時間(期間)にわたった表示が行なわれるので,全体を充分に把握すると同時に詳細を知ることができる。
【0015】
少なくとも2つに分類される複数種類の項目がある場合には,項目の種類ごとに付箋構造が規定される。第1の背景が上記一方向に垂直な方向に分類区画をもつように分けられ,付箋が分類ごとに分けて表示される。重なる付箋がある場合には,それらが重ならないように,そのうちの一つの付箋を上記一方向に垂直な方向に移動させて表示する。
【0016】
上記の付箋の構造の変更も可能である。付箋構造を規定するデータが表示され,入力に応答して表示されたデータが変更される。
【0017】
新たな構造の付箋の作成も可能である。まず,新たな構造の付箋を入力するための画面が表示され,付箋の構造を規定するデータの入力に応じて新たな付箋構造が作られかつ記憶される。
【0018】
この発明は過去の記録のみならず,未来の予定(スケジュール管理),他人への伝達等に利用できる。
【0019】
この発明はまた,施設,病院,ホテル等の居室管理,ベッド管理に適した予定(スケジュール)の管理方法およびコンピュータを提供している。
【0020】
この発明による予定の管理方法は,識別符号と項目に関する区画データと期間データの入力を受付けて第1のファイルをつくり,一方向に時間目盛をもちこれに垂直な方向に項目に関して区画された背景上の,第1のファイルの区画データと期間データとによって規定される位置に,識別符号を表示するとともに,期間データによって規定される長さを持つバーを表示し,上記バーの途中の位置が特定されたときに,特定された位置以前のバーをそのままの位置に保ち,特定された位置以降のバーを指定された区画に移し,上記識別符号と同じ識別符号を付けて表示するとともに,指定された区画についての第2のファイルを作成し,第1のファイルの期間の終期と第2のファイルの期間の始期とを同じにし,かつ第1のファイルの期間の元の終期を第2のファイルの期間の終期とするものである。この発明は上記のように動作するコンピュータも提供している。
【0021】
ある人の区画(居室,ベッドなど)を変える場合,表示画面上で期間を示すバーを切り,その後半部分を新たな区画に移すだけで,移す前の第1のファイルに加えて,移した後のデータを格納した第2のファイルが自動的にでき上る。切断された期間バーによって区画の移動が視覚的に非常に分りやすいものとなっている。
【0022】
この発明はさらに,上述した方法にしたがう処理をコンピュータに実行させるプログラム,または上述したコンピュータの動作を実現させるためのプログラムを記録した媒体を提供している。ここで媒体とは,ハードディスク,フロッピーディスクのような磁気記録媒体,CD−ROMのような光学的記録媒体,光磁気記録媒体,半導体メモリ,その他のコンピュータが読取可能な媒体のすべてを包含する。
【0023】
【実施例】
この実施例は,この発明を,老人ホーム,老人福祉施設等に設置される施設ケア(介護)管理システムに適用したものである。この施設ケア管理システムは,施設の職員(看護婦を含む)が施設の居住者(被介護者)に対して行った多岐にわたる介護の記録の管理,介護の指示または予定の管理,職員相互の連絡(引継ぎ),被介護者の居室の振分け等に利用される。
【0024】
図1は施設ケア管理システムの電気的構成の概要を示すものである。
【0025】
施設ケア管理システムはホストコンピュータ10を含む。ホストコンピュータ10はいわゆるパーソナルコンピュータ,ワークステーション等と呼ばれる小型のコンピュータで実現できる。ホストコンピュータ10はハードディスク装置および内部メモリを備えている。ハードディスク装置のハードディスクには,施設ケア管理のための後述するプログラム,各種マスタ,各種データファイル(データベース)等が格納されている。内部メモリは半導体メモリにより実現され,表示画面を作成するために表示データを展開したり,各種データを一時的に記憶するために用いられる。マウスやキーボードを含む入力装置11,CRT表示装置(または液晶表示装置)12,プリンタ13等がホストコンピュータ10に接続されている。
【0026】
施設ケア管理システムでは,職員が実施した介護の内容を入力するために,いわゆる電子手帳20が用いられる。電子手帳20は携帯型の超小型コンピュータであり,表示装置,入力装置等を一つのケース内に一体的に備えている。電子手帳20はホストコンピュータ10と接続可能であり,ホストコンピュータ10との間でデータ交信を行う。
【0027】
図2は電子手帳20において入力され,電子手帳20からホストコンピュータ10に伝送された介護の内容(ケア記録)を,被介護者ごとに,表示装置12の表示画面に表示した一例を示している。図2の拡大図が図3および図4に示されている。ケア記録はホストコンピュータ10の入力装置11を用いて入力または変更することもできる。実施した介護の内容のみならず,職員への連絡事項,介護の予定等もケア記録の概念に含ませるものとする。
【0028】
この表示画面の特徴は表示領域Bを持ち,この表示領域Bの横方向に時間軸(時間目盛)が設定されて表示領域Bが区分され,縦方向は介護の種類(ケアタイトルという)ごとに区切られており,このような表示領域Bにおいて,実施した(または予定する)時間の位置に小領域(これを付箋という)Aが設けられ,この付箋A内に実施した(または予定しているもしくは伝達したい)介護等の内容が記入され,あたかも付箋が壁に貼り付けられているかのように表現されていることである。
【0029】
介護の種類および内容は次のように分類される。
【0030】
最も大きな分類をケアタイトル区分という。これには,食事,排泄,リハビリ等がある。
【0031】
中分類をケアタイトル名という。たとえば,ケアタイトル区分食事に属するケアタイトル名には,食事量,間食,手書きメモ,状態観察,摂食ケアがある。ケアタイトル区分排泄に属するケアタイトル名には,排泄量,尿量,手書きメモ,状態観察等がある。これらのケアタイトル名は必要に応じてさらに区分けされる。たとえば食事量は朝食,昼食,夕食に分けられる(チェック区分)。
【0032】
最も細かい分類はラベルと呼ばれる。たとえばケアタイトル名食事量のラベルには介助レベル,食事場所,主食,副食,水分,流動食,記録者が含まれる。付箋A内に表示されるのはすべての,または一部のラベルの実データである。
【0033】
図2の表示画面において,表示領域Bの左側の領域Dには上述したケアタイトル名が並んでいる。各ケアタイトル名にはそれに対応したアイコン35が設定され,かつ表示されている。これらのケアタイトル名が表示された区画はマウスでクリックできる入力ボタンとしても機能する。
【0034】
表示領域Dの下方には4種類の機能ボタン(編集道具)31〜34が配置されている。これらは矢印31(矢印のアイコン),消しゴム32(消しゴムのアイコン),要連絡記録33(ピンのアイコン),および普通の記録34(ピンのアイコン)である。これらのアイコン(区画31〜34)をクリックすると,クリックされた区画の表示が反転する(または色が変わる)(図2では区画31の表示が反転している:ハッチングで示す。)(これが,機能ボタンの機能が働いている状態である。)。必要ならば,クリックされた区画(31〜34)に応じて,表示画面上のカーソルがこれらのアイコンの形に変化するようにするとよい。要連絡記録33と普通の記録34のピンのアイコンは表示される色が異なる。ピンアイコンは各付箋A上にもあり,各付箋Aを表示領域Bにあたかも止めているかのような印象を与える。ピンが刺さっていればその付箋の実データはハードディスクに保持されていることを示し,ピンが横になっている状態では実データの書替えまたは書込みが可能となる。通常はピンは刺さった状態になっている。このようなピンの状態は矢印31,要連絡記録33,または普通の記録34の機能ボタンを働かせた状態でクリックすれば変えることができる。連絡が必要な記録については色の異なる(たとえば赤)ピンアイコンが用いられているので,他の記録と区別して分りやすくなっている。付箋上のピンアイコンの色(要連絡かどうか)は機能ボタン33,34のうち働いているボタンに応じて,ピンアイコンがクリックされたときに働いている機能ボタンのピンと同じ色になる。
【0035】
表示領域Bの下方にある表示領域Cは基本的には表示領域Bと同じ内容を表現している。表示領域Cでは横(時間軸),縦とも圧縮されており,特に長い期間にわたる(たとえば最大3週間分の)記録を一挙に見ることができる。表示領域Cでは,表示領域Bの付箋Aに対応して,その付箋のケアタイトル名のアイコン36(アイコン35と同じもの)を用いて各ケアタイトル名の時間軸上の位置が表示されている。
【0036】
上述した付箋Aは一種のメモ用紙であり,メモ用紙があたかも時間軸をもつ壁に貼られているフィーリングを与える。このような付箋Aを表示するためのデータ構造が図5に示されている。
【0037】
図5(A) において,付箋Aの上には期間指定アイコンとしての矢印と,期間を表わすバーとが表示される。バーの始端と終端がそれぞれ介護の開始日時および終了日時を表わす。これらの表示区画はそれぞれ期間指定アイコン枠と期間枠によって規定される。開始日時と終了日時に基づいてこれらの枠の表示画面上の位置が計算される。期間指定アイコン(矢印)と期間を表わすバーは適当な色でその内部が塗られている。期間指定アイコン(矢印)と期間を表わすバーとを付箋Aの中に入れてしまってもよい。
【0038】
付箋Aの上部にはピンアイコンとケアタイトル名とが表示される。これらの表示区画はピンアイコン枠とケアタイトル名表示枠によって規定される。これらの2つの枠を包含する枠がヘッダ枠である。
【0039】
付箋Aのヘッダの下方には複数の(最大9個まで)ラベル・データが表示される。各ラベル・データを表示するための区画がテキスト枠である。複数のテキスト枠とヘッダ枠とを含む枠がテキスト領域全体枠である。
【0040】
さらに,上述したすべての枠を含む方形の範囲を全体枠という。図5(A) においてはすべての枠が鎖線で示されている。表現上,鎖線の重なりを避けるために,各鎖線はわずかの間隔をあけて図示されている。
【0041】
これらの枠を表わすデータは,図5(B) にヘッダ枠を例にとって示すように,枠の左上の点を表わす座標(x,y)と,枠の横,縦の長さを表わすX,Yとによって表現される。座標は表示画面上の適当な点(たとえば図2の表示領域Bの左上隅の点)を原点として表わされる。長さX,Yはたとえばドット数で現わされる。座標(x,y)は開始日時データに基づいて算出される。
【0042】
期間指定アイコン(矢印),期間を表わすバーおよび付箋Aの構造と内容は後述するように修正することもできるし,新たに作成することもできる。そのような処理のために,各ラベル・データについて図5(C) に示すような定義がなされている。ラベル・データはラベル名と,実データと単位とから構成される。ラベル名と実データを表示する区画をフィールドといい,その長さをフィールド長さ,高さをフィールド高さという。単位を表示する区画もフィールドに含めてもよい。ラベル名はフィールドラベルといわれ,その表示長さがラベル長である。実データについては,そのデータを表わす語の入力可能桁数が規定される。
【0043】
図6はホストコンピュータのハードディスクに格納されているケアタイトルマスタを示している。ケアタイトル名ごとにこのようなマスタファイルがあらかじめ作成されているか,またはこのシステムの利用者(施設の職員)によって作成される。ケアタイトル区分,ケアタイトル名は上述した通りである。ケアタイトル名に割当てられたコードがケアタイトルコードである。送信フラグはこのようなマスタファイルデータを電子手帳20に送信すべきかどうかを表わす。1つのケアタイトル名について1つの付箋フォーマット(構造)が定義される。付箋には最大9個のフィールドが設けられるので,フィールドごとに,使用フラグ,フィールドラベル,フィールド長さ,フィールド高さ,ラベル長,入力可能桁数および単位が定められている。使用フラグは付箋A内にそのフィールドのデータを表示するかどうかを示すものである。すなわち,1つのケアタイトル名について最大9個のフィールドデータが電子手帳20から伝送される(またはホストコンピュータ10で入力される)が,それらのすべてのフィールドデータを表示する必要はなく,重要と思われるデータのみを表示すればよい。表示すべきかどうかが使用フラグによって表わされる。重要なもののみ表示されるので,表示が簡潔となり,かつ見易いものとなる。
【0044】
図7は同じようにハードディスク内に格納された利用者台帳ファイルを示している。この利用者台帳ファイルには施設ケア管理システムが設置された施設に入居しているすべての利用者(被介護者)が登録されている。利用者ごとに,台帳コード,氏名,そのふりがな,入所日,その他の利用者固有のデータが利用者台帳ファイルに格納されている。台帳コードは利用者ごとに割当てられたコードである。
【0045】
図8はハードディスクに格納されるケア記録ファイルを示している。ケア記録ファイルは,実行された(または予定された)1回の1つのケアタイトル名の介護(または連絡事項)ごとに(したがって付箋ごとに)作成される。基本的にはこのケア記録ファイルのデータは電子手帳20からホストコンピュータ10に伝送されたものである。もっとも図2に示す画面を用いてホストコンピュータ10においてケア記録ファイルを作成することもできる。
【0046】
台帳コード,ケアタイトル区分,ケアタイトル名,ケアタイトルコードは上述した通りである。開始日時,終了日時は1つのタイトル名についての1回の介護の開始日時,終了日時をそれぞれ示す。チェック区分は上述した通りである。作番コードはケア記録ファイルにユニークなコードでケア記録ファイルがつくられる毎に自動的に割当てられる。
【0047】
保存フラグはこのケア記録ファイルを保存すべきかどうかを示すもので,上述した図2の表示画面の付箋Aにおけるピンアイコンの状態に対応する。矢印アイコンボタン31,ピンアイコンボタン33または34の機能を働かせて保存解除されない限り,通常は保存を示す。保存が解除されているときにはケア記録ファイルの書替え,または書込みが可能である。要連絡フラグも付箋Aのピンアイコンに対応し,このフラグが立っているときにはピンアイコンがたとえば赤色で表示される。このフラグはピンアイコンボタン33または34を用いて変更可能である。職員名は介護をした職員の氏名である。
【0048】
テキスト領域全体サイズX,Yは付箋Aのテキスト領域全体枠の大きさ(横,縦方向の長さ)を示す。後に詳述するように,矢印アイコンボタン31,ピンアイコンボタン33または34の機能を働かせた状態でカーソルで付箋Aの右下の隅を指し,ドラッグすると,テキスト領域全体枠が拡大または縮小される。これは付箋A内に多量の文字が記入されているときに見やすいように拡大したり,多くの付箋を表示するために付箋を縮小するときに用いられる。このテキスト領域全体サイズX,Yに応じた拡大率または縮小率を用いて,対応するタイトル名についてケアタイトルマスタに記憶されているフィールド長さ,フィールド高さ等が計算され,その計算結果に基づいて付箋の表示が行なわれる。
【0049】
付箋データには,フィールドごとに,使用フラグと実データとが格納されている。使用フラグは上述したように,表示するかどうかを表わす。
【0050】
電子手帳20には,電子手帳20がホストコンピュータ10に接続されているときに,ホストコンピュータ10から上述した利用者台帳ファイル,ケアタイトルマスタ,後述する入退所履歴ファイル,居室マスタ等の内容があらかじめ伝送され,そのメモリに記憶されている。
【0051】
施設の職員は被介護者の介護を行うときに電子手帳20を携帯する(もちろん,電子手帳20はホストコンピュータ10から切離されている)。職員は自分が行った介護の内容を,自分の氏名,日付等とともに電子手帳20に入力する。
【0052】
職員が電子手帳20を用いて介護の内容(ケア記録)を入力するときに電子手帳20の表示装置に表示される表示画面の例が図9に示されている。
【0053】
図9(A) はタイトル区分食事,タイトル名食事量(朝食)を入力するときの表示画面を示すものである。表示画面には利用者(被介護者)の氏名,主食,副食,水分,流動食(これらのラベルについてのみ使用フラグが立っている)を入力する欄,および入力するための数値一覧が表示される。表示画面は入力パッドになっているので,所望の箇所をペンで押すことによりこれらのケア記録データが入力される。職員は電子手帳20のテンキーや機能キーを用いて開始時間,終了時間,画面(氏名)のスクロール等を行うことができる。
【0054】
図9(B) はタイトル区分食事,タイトル名状態観察を入力するときの電子手帳20の表示画面の例を示すものである。
【0055】
このようにして入力されたケア記録データは電子手帳20内のメモリに記憶される。
【0056】
電子手帳20がホストコンピュータ10に接続され,伝送命令が入力されたときに,電子手帳20のメモリに記憶されているケア記録データはホストコンピュータ10に伝送され,そのハードディスクに記憶される。すなわち,1回の1タイトル名の介護ごとに上述したケア記録ファイルがハードディスクに作成されかつ格納される。
【0057】
ホストコンピュータ10のメニュー画面には,ケア記録エディター,カスタマイズ,スケジュール管理等のいずれかの選択を促す表示が現われる。
【0058】
ケア記録エディターが選択されると,設定画面が現われる。この設定画面において被介護者の氏名,日時等が入力されると,入力された被介護者について入力された日時範囲のケア記録を表わす図2に示す表示が現われる。
【0059】
図2に示す表示を行うためにホストコンピュータ10は上述したケアタイトルマスタおよびケア記録ファイルを用いて,その内部メモリ上に図10に示すような表示用データを展開する。付箋に関するデータ(フィールド長さ,フィールド高さ等)がタイトル名ごとにケアタイトルマスタに格納されており,ケア記録ファイルごとにテキスト領域全体サイズX,Y(初期値は固定されている)が格納されているから,付箋を規定するヘッダ枠,テキスト領域全体枠,テキスト枠の大きさが算出される(ヘッダ枠はテキスト枠に比例して決定される)。また,ケア記録ファイルには開始日時および終了日時が格納されているから,期間枠の大きさおよび付箋の表示領域Bにおける位置も決定される(期間指定アイコン枠の大きさはプログラム上で定められており,全体枠はすべての枠が決定されれば決る)。さらに,実データがケア記録ファイルにあるので,使用フラグが立っている実データのみが付箋Aに記入される。領域B,C,Dの背景を表わす画面データ(線やアイコンなど)はあらかじめ作成されて保存されているのはいうまでもない。
【0060】
図2の表示において,複数の付箋Aの配置は次のようにして決められる。ホストコンピュータ10は表示すべき被介護者氏名,日時範囲が入力されると,ハードディスクからその被介護者氏名をもち,入力された日時範囲のケア記録ファイルを読出す。上述したように内部メモリ上に図10に示す表示用データを展開する。このとき,付箋(各種枠)のX座標(時間軸)上の位置は開始日時により決定される。Y座標はとりあえず0に設定しておく。付箋A1〜A5を表わすデータ(ケア記録データ)は図11(A) に示すように時間順序でソートされた形になる。
【0061】
続いて,これらの付箋表示データA1〜A5をケアタイトル区分ごとにY軸上で区分境界線で分ける。同じケアタイトル区分に属しかつ重なっている付箋表示データがあれば,開始時間の遅いものを,軸上で重なりがなくなるまで下げていく。このようにして,図11(B) に示すような付箋の配置が定まる。
【0062】
図2において,表示領域Bの表示画面を上下方向および左右方向にスクロールすることができる。表示領域Bのスクロールにしたがって表示領域Cの表示画面も自動的にスクロールされる。表示領域Cには表示領域Bの範囲が破線で示されている。表示領域Dのケアタイトル名もまたは上下にスクロールすることができる。
【0063】
図12から図18は,特に表示領域Bに付箋を表示したり,そのデータを変更したり,付箋を移動したりする処理を表わすフローチャートである。この処理はハードディスクに格納されたプログラムの命令にしたがって実行される。
【0064】
表示画面上にカーソル(図2には図示略)が表示されている。このカーソルは矢印の形をしている。画面上のカーソルをマウスを用いて移動させることができる。様々な指令はカーソルを画面上の所定の位置にもたらし,マウスをクリックすることにより入力される。ここでは,カーソルを所定位置にもたらしてマウスボタンを押すこと(マウスボタンオン)をクリックという。マウスボタンをオンしたままマウスでカーソルを動かすことをドラッグという。マウスボタンを離すと(オフ)ドラッグが終る。
【0065】
マウスボタンがオンされたときに(マウスクリック)図12に示す処理に入る。マウスボタンがオンされた時点で画面上のカーソルがどの位置にあるかが判断される。また,機能ボタン31〜34のうちのどのボタンが働いているかが判断される。カーソルの位置と働いている機能ボタンとの組合せに応じて各種処理に進むことになる。
【0066】
付箋A内のピンアイコンの位置にカーソルがある状態でクリックされ,かつ消しゴムボタン32以外の機能ボタン31,33または34が働いていた場合には,図13に示す付箋データの保存処理に進む(ステップ101 ,102 )。
【0067】
付箋A内のピンアイコンが刺さった状態のときには保存フラグがオンである(ステップ121 でYES )。この場合には,内部メモリ上に展開されたクリックされた付箋に対応する表示用データにおいて保存フラグがオフにされ,かつ付箋内のピンアイコンが横になる(ステップ122 )。この状態になると,次に述べる付箋データの修正が可能になる。
【0068】
保存フラグがオフであったときには,保存フラグがオンにされ,内部メモリ上の表示用データのうちの所要のものがハードディスク(ケア記録ファイル)に保存される。また,ピンが刺さった状態となる(ステップ123 )。
【0069】
付箋A内のフィールド(または実データが表示される区画)にカーソルがあるときにマウスがクリックされ,かつ消しゴムボタン32以外の機能ボタン(31,33または34)が働いているときには,付箋Aの実データの修正(または加入)が可能である(図12,ステップ103 ,104 )。
【0070】
図14を参照して,このときには保存フラグがオフであることが必要である(ステップ131 )。付箋A内の実データの表示区画がクリックされ,かつキーボード(入力装置11)からデータが入力されると,クリックされた区画に,(前に表示されていたデータに代えて)入力されたデータが表示される(ステップ132 )。
【0071】
したがって,表示されている付箋A内のデータを修正するときには,機能ボタン31,33または34をクリックした上で(既にクリックされていれば,この操作は不要である),カーソルを修正したい付箋Aのピンアイコンの位置にもたらしてクリックすると,付箋Aの刺さっていたピンが横になりデータ保存が解除される。この状態で修正したい実データをカーソルで指しながら新たなデータをキーボードから入力すればよい。最後に,付箋Aのピンアイコンをクリックすればピンアイコンは刺さった状態となり,新たに入力されたデータが保存される(保存フラブが立つ)。
【0072】
付箋Aの位置を移動する場合には,消しゴムボタン32以外の機能ボタン31,33,34が働いている状態で,ヘッダ枠の範囲内にカーソルをもたらしてクリックする(図12,ステップ105 ,106 )。マウスボタンを押したままカーソルを所望の位置まで移動させ,カーソルが所望の位置に到達したときにマウスボタンをオフする(ドラッグ)。
【0073】
図15を参照して,付箋の移動も保存フラグがオフの状態でなければ行なえない(ステップ140 )。したがって,上述した保存フラグをオフとする操作を前もって行う必要がある。
【0074】
マウスがクリックされると,そのときのカーソルの位置(ヘッダ枠内)(座標)が読取られる(ステップ141 )。
【0075】
マウスボタンがオンである限り,カーソルが移動されるにともなって,付箋の全体枠(全体枠を示す線図)が移動する(ステップ143 )。全体枠の左上の点の座標がカーソルの移動量(および移動方向)に応じて一定時間ごとに修正され,この修正された枠データに基づいて全体枠が表示される。
【0076】
マウスボタンがオフになると(ステップ142 ),カーソルの最終的な移動量が算出される(ステップ144 )。この移動量(X方向およびY方向の移動量)を用いて,その付箋を構成する各枠(図5に示す各枠)のデータ(座標(x,y)と長さX,Y)が計算される。また,期間枠の始点と終点の座標が時間データ(日時分)に変換され,開始日時と終了日時が得られる(ステップ145 )。このようにして,移動後の付箋の表示用データが計算により得られるので,得られた表示用データを用いて移動後の位置に付箋が表示されることになる。
【0077】
上述したように付箋上のピンアイコンがクリックされればピンが刺さり,開始日時,終了日時を含む新たな表示用データの所要のものがケア記録ファイルとしてハードディスクに保存される。また,保存フラグが立つ。
【0078】
消しゴムボタン32以外の機能ボタン31,33,34が働いているときに,期間枠内がクリックされると,期間枠のリサイズ処理が行なわれる(図12,ステップ107 ,108 )。
【0079】
図16を参照して,この期間枠のリサイズ処理も保存フラグがオフであることが条件である(ステップ150 )。期間枠のリサイズとは期間バーの終端(終了日時)を変更する処理である。付箋の移動と同じようにドラッグ操作が行なわれる。
【0080】
クリックされたときに,そのときのカーソルの位置座標が取得される(ステップ151 )。マウスボタンがオンされている限り,一定時間ごとに,カーソルの移動量に応じて,期間枠の線のみが表示される。すなわちカーソルの移動方向に応じて期間枠が長くなったり,短くなったりする(ステップ153 )。
【0081】
マウスボタンがオフとなると,カーソルの最終的な移動量が算出され(ステップ154 ),移動量に応じて期間枠の長さXが算出され,期間バーが表示される。また,期間枠の終端の位置にしたがって終了日時が計算される(ステップ155 )。
【0082】
ピンアイコンをクリックすることにより,新たな終了日時を含むデータが保存される。
【0083】
上述したように付箋Aの右下隅の部分をクリックしてドラッグすると,付箋Aが拡大される(付箋Aの左上隅の位置は変化しない)。これもまた,消しゴムボタン以外のボタンが働いているときに行なわれる(図12,ステップ109 ,110 )。この処理は保存フラグがオンであっても可能である。
【0084】
図17を参照して,クリックされると,カーソルの現在位置座標が読取られる(ステップ161 )。マウスボタンがオンである限り,カーソルの移動量に応じてテキスト領域全体枠が拡大または縮小されて表示される(ステップ163 )。
【0085】
マウスボタンがオフとなると(ステップ162 ),カーソルの最終移動量が取得され(ステップ164 ),これに基づいてテキスト領域全体枠の拡大率または縮小率が算出される(拡大または縮小される前の大きさはテキスト領域全体サイズとして記憶されている)。この拡大または縮小率に応じて付箋の他の枠の大きさが計算され,計算後の大きさで付箋が表示される。
【0086】
新たに付箋を表示したいときには,ピンアイコンボタン33または34が働いている状態としておく必要がある。この状態でカーソルを表示領域B内の付箋を表示したい位置にもたらしクリックする(図12,ステップ113 ,114 )。
【0087】
図18において,クリックされたときのカーソルの位置座標が検出される(ステップ171 )。表示領域Dにおいて指定されている(マウスでクリックして指定できる)ケアタイトル名の付箋フォーマット(ケアタイトルマスタ)がハードディスクから読出され,内部メモリ上に展開される(ステップ172 ,173 )。カーソルの位置が期間指定アイコン枠の位置となる。カーソルの位置座標を用いて付箋の各枠のデータが算出されるとともに,開始日時が算出される(ステップ174 )。これらの算出されたデータに基づいて付箋が表示される。ピンアイコンは横になっている。実データはまだ存在しないので表示されない。また期間バーも表示されない。
【0088】
実データは上述した付箋データの修正処理の手順(図14)で,期間バーは期間枠リサイズ処理(図16)の手順でそれぞれ入力されると,表示される。また,その後,ピンアイコンをクリックして刺した状態とすれば,これらのデータがハードディスクに保存される。
【0089】
たとえば図2のA0で示す付箋(その付箋の構造と内容(フォーマット)は既に規定されている)を表示するときには,表示領域D内の手書きメモ(上から3番目)をクリックする。その後,ピンアイコンボタン33または34の位置にカーソルをもたらしてクリックする。カーソルを,付箋A0を表示すべき位置までもっていってクリックする。すると,付箋A0がその位置に現われるので,実データ(手書きメモの内容)をキーボードから入力する。表示画面を用いた入力の過程で図10に示すような表示用データが作成される。最後に,付箋A0のピンアイコンをクリックすればピンアイコンが刺さった状態となり,その表示用データに基づいてケア記録ファイルが作成され,ハードディスクに保存される。
【0090】
この付箋A0を表示領域B内の食事の区域ではなく,排泄の区域にたとえ表示したとしても(空白がない等の理由により),ファンクションキーf9(画面整理)を押すと,図11を用いて説明したのと同じような処理により,食事のタイトル区分に属する付箋A0は食事の区域に表示されるようになる。
【0091】
消しゴムボタン32が働いているときに,カーソルを表示領域B内の付箋以外の位置にもたらしてクリックすると,消去処理が行なわれる(図12,ステップ111 ,112 )。カーソルを所望の付箋の位置にもっていくと,その付箋のデータが消去される(保存フラグがオフの場合のみ)。
【0092】
その他の処理としては,カーソルを表示領域B上でドラッグすると(矢印ボタン31が働いているとき),表示領域がカーソルの方向にスクロールされる。
【0093】
付箋のフォーマットを変更したい場合には,初期画面においてカスタマイズを選択する。すると,図19に示すような表示画面が現われる(ただし表示領域Eのデータや,表示領域Fの付箋は現われていない)。この状態で,表示領域D1のいずれかの区画,たとえば食事量の区画をクリックすると,そのタイトル名のケアタイトルマスタのデータが読出され,表示領域Eにデータ(文字や数字)が現われる。表示領域Gの適用ボタンを押すと,表示領域Fに付箋の画像が現われる。利用者は付箋の画像をみながら,表示領域Eのフィールド・データをマウスでクリックしながら訂正することができる。修正されたデータを反映するように付箋の画像も修正されていく。表示領域Eにおいて,フィールドの文字の頭にある正方形は使用フラグの状態を示す。表示領域Gの確定ボタンを押せば,修正されたデータがケアタイトルマスタとして保存される。
【0094】
新たなタイトル名と付箋をつくることもできる。カスタマイズを選択する。表示領域Gの新規作成ボタンを選択する。図20において,表示領域Hのケアタイトル区分およびケアタイトル名をマウスでクリックしながら所望の文字をキーボードから入力する。またコードを割当てる。ケアタイトル区分として食事,ケアタイトル名として食事趣向が,コードとして006が入力されたものとする。表示領域Eの空欄に希望のデータを入力していく。適用ボタンを押せば,入力されたデータによって規定される付箋が表示領域Fに現われる。
【0095】
いくつかのアイコンがあらかじめ登録されており,表示領域Iのアイコン選択ボタンを押していくと(クリックしていくと),これらのアイコンが順次表示されるので希望のアイコンを設定できる。表示領域D1において,入力されたタイトル名と設定されたアイコンをもつ区画が入力されたコードによって定まる位置に,表示される。確定ボタンを押せば,この新たに作成されたケアタイトルマスタがハードディスクに保存される。新たに作成されたケアタイトルマスタのデータは電子手帳20にも伝送可能であるから,このマスタにしたがったケア記録データを電子手帳20から入力することができるようになる。
【0096】
図2をみれば分るように,一人の被介護者についての個々のケア記録が付箋の形で表わされ,かつこの付箋が時間に対応する位置に並べて表示されるので,視覚的に非常に分りやすいものとなっている。このため,全体把握も容易である。表示領域Bに加えて表示領域Cには時間軸を圧縮した形でより長い時間帯にわたって表示されるので,長期にわたるケア記録も一覧できる。しかも表示領域Cではアイコン表示となっているので見やすい。表示領域Bにおいて,時間枠によってケア時間の長さも分り,かつピンアイコンの色によって連絡が必要なものかどうかも分る。
【0097】
また,表示領域B上に新たな付箋を出現させた上で,特に連絡を要する事項や,予定すべき事項も入力して表示できる。これらは次の介護者(たとえば日勤の人からその日の夜勤の人)への引継ぎのために重要である。
【0098】
さらに,新たなケアタイトル名とそのための付箋のフォーマットを作成することもできるので,自由度が高い。新たに作成されたケアタイトルマスタのデータは電子手帳にも伝送されるので,そのフォーマットにしたがったケア記録データの入力を電子手帳で容易に行うことができるようになる。
【0099】
付箋のフォーマットは固定したものではなく,上述のように修正,新たに作成が可能であるから,施設ごとのニーズによく適合する。付箋フォーマット(データ構造)によって電子手帳の入力画面も規定されるので,電子手帳とホストコンピュータとが統一される。
【0100】
これらのケア記録データはプリンタ13を用いて印刷することができるので,紙での保存,次の介護者への引継ぎに便利である。
【0101】
次に居室スケジュール管理の処理について説明する。
【0102】
メニュー画面においてスケジュール管理を選択し,日付と期間を入力すると,図21に示すようなスケジュール管理画面が表示装置12に現われる。
【0103】
この表示画面において,表示領域Jには縦方向に居室とベッド番号が並べられ,各ベッド番号に対応してそこに割当てられている(居住している)被介護者の氏名が表示され,氏名の位置から期間を示すバーが横方向にのびている。この表示領域の横方向も時間軸である。
【0104】
居室とベッド番号の下方には4種類の機能ボタン(編集道具)41〜43が配列されている。これらは矢印41,消しゴム42,ピン43およびはさみ44である。矢印41,消しゴム42およびピン43は上述した矢印31,消しゴム32およびピン33または34とほぼ同じ機能をもつ。はさみボタン44は被介護者を他の居室またはベッドに移動するときに,期間を示すバーを切って移動すべき場所に移すのに用いられる。詳しくは後述する。
【0105】
表示領域Jにおける氏名および期間を表わすバーを表示するためのデータ構造が図24に示されている。期間指定矢印アイコンを表示するための期間指定アイコン枠を含んで,期間を示すバーを表示する範囲を示す期間枠が設けられている。この期間枠の終端部には終端指定アイコン枠がある。期間指定アイコン枠の左端が開始日(ある居室のあるベッド番号の場所に入居する日)であり,終端指定アイコン枠の右端が終了日(同居室の同ベッド番号の場所から退居する日)である。
【0106】
表示領域Jに表示されている期間の範囲内に開始日がある場合には期間指定矢印アイコンが表示されるが(たとえば図21の長寿三郎を参照),表示領域J内に開始日がなく,表示された(入力された)日付よりも前に入居した者についてはこの矢印は表示されない(たとえば図21の長寿太郎,長寿二郎を参照)。
【0107】
終端指定アイコン枠は,終了日が確定的な日ではなく,おおよその日である場合に,破線を表示する場所として位置づけられる(図21の長寿三郎を参照)。期間指定アイコン枠もまた矢印ではなく破線を表示するために用いられることもある(たとえば図21の103 号室のベッド番号(2) に移った長寿四郎を参照)。
【0108】
通常は開始日や終了日は確定的である。これを決定という。図21の表示領域Kには概ねボタンと決定ボタンがある。概ねボタンがクリックされると上述した破線の表示になる。
【0109】
ピンアイコン枠と氏名表示枠とでヘッダ枠が構成される。ピンアイコンは上述した例と同じように刺さっている状態でデータ保存,横になっている状態でデータの変更ができる。上述した枠のすべてを含む方形の枠が全体枠である。
【0110】
これらの枠を規定するデータは,図24(B) にヘッダ枠について示してあるように,左上隅の座標(x,y)と,横および縦の長さXおよびYとによって構成される。座標の原点は表示領域Jの左上隅の位置にとられる。
【0111】
図25,図26および図27はハードディスクに格納される棟マスタ,居室区分マスタおよび居室マスタを示している。
【0112】
棟マスタは棟(建物)ごとに設けられ,棟コード,棟名等を含んでいる。
【0113】
居室区分とは一般ベッド,療養ベッド,痴呆ベッド,痴呆畳等を区別するためのものである。居室区分マスタは居室区分ごとに設けられ,居室区分コード,居室区分名等のデータを含む。
【0114】
居室マスタは居室ごとに設けられ,その居室の属する棟を表わす棟コード,居室区分を表わす居室区分コード,居室コード,居室名,その居室の定員等のデータを含む。
【0115】
図28はハードディスクに設けられた入退所履歴ファイルを示すものである。この入退所履歴ファイルは被介護者ごとに,かつその被介護者に割当てられた1つの居室の1つのベッド番号ごとに作成される。したがって,施設に入所している1人の被介護者の入所期間の間に居室やベッドが変った場合には,その被介護者について2つ以上の入退所履歴ファイルがつくられる。
【0116】
入退所履歴ファイルには,被介護者の台帳コード,氏名,その被介護者が入居している棟コード,棟名,居室区分コード,居室区分名,居室コード,居室名,ベッド番号,開始日,終了日,作番コード,次番コード,前番コード等が格納されている。作番コードは入退所履歴ファイルの作成ごとに割当てられるものであり,このファイルのインデックスとなる。1人の被介護者に2つ以上の入退所履歴ファイルがある場合には,これらの入退所履歴ファイルを相互にリンクさせる必要がある。前番コードは同一の被介護者について既に作成されている1つ前の入退所履歴ファイルの作番コードを意味し,次番コードは次に作成された入退所履歴ファイルの作番コードを意味する。
【0117】
図29は図21に示す氏名,ピンアイコン,期間指定矢印アイコン,期間を示すバー等を表示するときにホストコンピュータ10の内部メモリに展開されるデータ構造を示している。
【0118】
上述した入退所履歴ファイルのデータのほとんどがそのまま用いられる。期間指定アイコン枠の始点および期間枠の終点はそれぞれ開始日および終了日に基づいて計算される。他の枠(全体枠を除く)の大きさはあらかじめ定められている。
【0119】
被介護者のスケジュールを新たに作成する場合についてその動作を説明する。長寿三郎を例にとる。
【0120】
ピンボタン43をクリックしてこのボタン43を働いた状態にする。カーソルを所望の位置(開始日の位置)にもたらし,マウスボタンを押すと,その場所にまずヘッダ枠が表示される。このヘッダ枠に氏名を入力することになる。
【0121】
氏名の入力はキーボードを用いて入力することができる。また,利用者選択ボタンを押すと(クリックすると),入居者の一覧表が表示されるので,その中から所定の氏名をダブルクリックすれば,その氏名が確定し,ヘッダ枠の氏名表示枠に表示される。
【0122】
続いて,期間指定アイコン枠の矢印アイコン(またはピンアイコン)の位置にカーソルをもたらし,マウスボタンを押したまま横方向に引いていって所定のところ(終了日の位置)にきたときにマウスボタンを離すと(ドラッグ),その位置が終了日となる。開始日から終了日まで期間を示すバーが表示される。表示画面を用いた入力に応答して図29に示すような表示用データが作成されていく。
【0123】
最後に,ピンアイコン(ピンアイコン枠)クリックすると,ピンが刺さり,作成された表示用データに基づいて新たな入退所履歴ファイルが作成され,ハードディスクに保存される。
【0124】
このような入退所履歴ファイルの作成において,入力されている被介護者の居室が表示領域Lに表示される。また,作成されている被介護者のヘッダ枠は他の人のヘッダ枠と異なる色で表示される。好ましくは,表示されている日付よりも早く入所している人(長寿太郎等)のヘッダ枠もさらに異なる色で表示される。
【0125】
開始日および終了日は表示領域Kをクリックしてキーボードから入力することもできる。これらの日が入力されると,それらの日の間にバーが表示され,かつ開始日の位置にヘッダが表示される。
【0126】
通常は開始日および終了日は決定であるが,概ねボタンがクリックされると,おおよその表示となる。
【0127】
表示領域Jは左右,上下にスクロールが可能である。
【0128】
特定の被介護者について居室,ベッドを移すときにははさみボタン44を用いる。長寿四郎を例にとる。はさみボタン44をクリックすると,カーソルがはさみの形となる。このはさみカーソルを対象被介護者の期間バーの移動すべき日のところにもたらし,マウスボタンを押す。はさみカーソルのはさみが閉じ,期間バーが切断される。マウスボタンを押したまま閉じたはさみを垂直に移動して,新しい居室,ベッドの位置にもってくる。期間バーの切断された箇所よりも後の部分も一緒に移動する。所望の位置でマウスボタンを離すと,その位置にヘッダ枠ができる。ヘッダ枠には同じ被介護者の氏名が表示される。ピンアイコンは横になっているので,それをクリックして刺した状態にすれば,新たに作成された入退所履歴ファイルがハードディスクに保存される。
【0129】
図30ははさみアイコンを用いた居室,ベッドの移動処理を示している。
【0130】
はさみカーソルが所定位置にもたらされ,マウスボタンが押されて期間バーが切断されたところからこの処理が始まる。閉じたはさみカーソルが所定位置までほぼ垂直に移動されてマウスボタンが離されると(ステップ201 でYES ),マウスボタンが離された時点にはさみカーソルが存在した座標が検出される(ステップ202 )。
【0131】
図29を参照して対象被介護者の元の入退所履歴ファイル・データ(これを親とする)の台帳コード,氏名をコピーすることにより,新たな入退所履歴ファイル(これを子とする)データがつくられる。棟コード,棟名,居室区分コード,居室区分名,居室コード,居室名,ベッド番号は,はさみカーソルがもたらされた場所のものが用いられる。入退所履歴ファイル(子)に新たな作番コードが与えられる。この入退所履歴ファイル(子)の作番コードが入退所履歴ファイル(親)の次番コードとして入れられ,入退所履歴ファイル(親)の作番コードが入退所履歴ファイル(子)の前番コードとして入れられる(ステップ203 )。
【0132】
入退所履歴ファイル(子)の開始日は期間バーが切断された日であり,この日が入退所履歴ファイル(親)の終了日となる。入退所履歴ファイル(親)の元の終了日が入退所履歴ファイル(子)の終了日となる(ステップ204 )。
【0133】
はさみカーソルが移動した縦の線(これを接続線という)を表示するための枠(接続線枠)および接続線パターンが作成され,入退所履歴ファイル(親)に格納される(ステップ205 )。接続線パターンは,接続線が上方に向っているのか,下方に向っているのかを表わす。また,親の期間バーと子の期間バーが重なってしまった場合には,赤色等の異なる色で接続線が引かれ(接続線は縦の線と横の線の組合せ,または斜めの線となる),その旨が警告される。
【0134】
このようなスケジュール管理,とくに別の居室,ベッドへの移動は病院等における居室,ベッド管理にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】施設ケア管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】ケア記録エディターの表示画面の一例を示す。
【図3】図2に示す表示画面の一部を拡大して示すものである。
【図4】図2に示す表示画面の他の部分を拡大して示すものである。
【図5】 (A) は付箋表示のための枠を示し,(B) は枠を表わすデータを示し,(C) はデータフォーマットを示す。
【図6】ケアタイトルマスタを示す。
【図7】利用者台帳ファイルを示す。
【図8】ケア記録ファイルを示す。
【図9】 (A) および(B) は電子手帳の表示画面を示す。
【図10】表示用データ構造を示す。
【図11】付箋を配列する手順を示す。
【図12】マウスクリック処理を示すフローチャートである。
【図13】付箋データの保存処理を示すフローチャートである。
【図14】付箋データの修正処理を示すフローチャートである。
【図15】付箋の移動処理を示すフローチャートである。
【図16】期間枠のリサイズ処理を示すフローチャートである。
【図17】付箋のリサイズ処理を示すフローチャートである。
【図18】付箋の新規配置処理を示すフローチャートである。
【図19】カスタマイズの表示画面の一例を示す。
【図20】カスタマイズの表示画面の他の例を示す。
【図21】スケジュール管理の表示画面の一例を示す。
【図22】図21に示す表示画面の一部を拡大して示す。
【図23】図21に示す表示画面の他の部分を拡大して示す。
【図24】 (A) は期間表示のための枠を示し,(B) は枠を表わすデータを示す。
【図25】棟マスタを示す。
【図26】居室区分マスタを示す。
【図27】居室マスタを示す。
【図28】入退所履歴ファイルを示す。
【図29】表示用データ構造を示す。
【図30】はさみボタンの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 ホストコンピュータ
11 入力装置
12 表示装置
20 電子手帳
Claims (6)
- 実データを組込める付箋構造を記憶手段に記憶させておき,
外部から与えられる開始データおよび終了データをもつ時間データを含む実データを,取込手段によって取込み,
表示装置の表示画面上において,一方向に時間目盛をもつ第1の背景の上の上記時間データによって規定される位置に,上記取込手段によって取込まれた実データが組込まれた付箋を表示制御手段によって表示し,
上記開始データに基づく上記時間目盛の位置を始端位置として算出し,かつ上記終了データに基づく上記時間目盛の位置を終端位置として算出し,算出された始端位置から算出された終端位置までのびる期間バーを,上記表示制御手段によって付箋とともに上記第1の背景の上に表示する,
記録,伝達事項または予定の管理システムの制御方法。 - 第1の背景の時間目盛よりも圧縮された時間目盛をもつ第2の背景を,表示制御手段によって表示画面上に表示し,この第2の背景上の時間データによって規定される位置に,付箋に対応するアイコンを,表示制御手段によって表示する,請求項1に記載の方法。
- 少なくとも2つに分類される複数種類の項目があり,項目の種類ごとに付箋構造を規定しておき,上記一方向に垂直な方向に分類区画をもつ第1の背景の上に,付箋を,分類ごとに分けて表示制御手段によって表示する,請求項1または2に記載の方法。
- 表示制御手段によって,付箋が相互に重ならないように上記一方向に垂直な方向に付箋を移動させて表示する,請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- 付箋構造を規定するデータを,表示制御手段によって表示画面上に表示し,
入力手段からのデータ入力に応答して,表示されたデータを変更手段によって変更する,請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。 - 新たな構造の付箋を入力するための画面を,表示制御手段によって表示画面上に表示し,
付箋の構造を規定する入力データを,上記付箋構造入力画面にしたがって入力手段から受付け,
入力されたデータに応じて付箋構造作成手段によって新たな付箋構造を作り,
作った付箋構造を,記憶制御手段によって上記記憶手段に記憶する,
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
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