JP3675678B2 - プローブ接触状態検出方法およびプローブ接触状態検出装置 - Google Patents

プローブ接触状態検出方法およびプローブ接触状態検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のチップ部品を内蔵する多連チップのチップ端子間の絶縁抵抗、あるいはチップ抵抗の抵抗値を測定するために各チップ端子に接触されるプローブの接触状態を検出するプローブ接触状態検出方法およびプローブ接触状態検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型・軽量化に伴い、抵抗やコンデンサなどの複数のチップ部品を同一パッケージ内に収納した多連チップが普及している。多連チップは、狭小なスペースに複数のチップ部品を収納しているため、絶縁不良等が起こりやすい。このため、多連チップを製造した後には、多連チップ内のチップ間の絶縁抵抗を測定して絶縁不良の有無が検査される。
【0003】
絶縁抵抗の測定には絶縁抵抗測定器が用いられる。絶縁抵抗測定器は、多連チップ等の被検体に接触されるプローブと、直流電源と、電流計を備えており、プローブを被検体の端子に接触させた状態で被検体に電圧を印加し、プローブ間に流れる漏れ電流を測定して絶縁抵抗が求められる。
【0004】
この場合、プローブが被検体の端子に確実に接触していないと、絶縁抵抗を精度よく測定することはできない。そこで、絶縁抵抗の測定前に、プローブの接触状態を検出するのが一般的である。
【0005】
接触状態を検出する手法として、以下の▲1▼▲2▼の手法が知られている。
【0006】
▲1▼被検体がコンデンサの場合、プローブの接触の有無によりプローブ間の容量(キャパシタンス)が変化することに着目し、コンデンサの容量変化により接触状態を検出する。
【0007】
▲2▼プローブ接触時と非接触時の絶縁抵抗の差(または電流の差)により接触状態を検出する。
【0008】
上記▲1▼の手法では、各チップ部品の両端子間の容量を測定するため、容量がもともと小さいチップ部品については接触検出を精度よく行うことはできない。
【0009】
また、上記▲2▼の手法では、チップ間の絶縁抵抗がもともと非常に大きい場合には、プローブ接触時と非接触時で絶縁抵抗に差がなくなり、接触検出が不可能になる。
【0010】
このように、上記▲1▼▲2▼の手法とも、接触検出を精度よく行うことはできない。一方、上記▲1▼▲2▼の手法よりも精度よく接触検出を行える手法として、図に示す手法が知られている。
【0011】
図5は4つのチップ抵抗を内蔵する多連チップの端子a,b間の絶縁抵抗を測定する例を示している。端子a,b間には絶縁抵抗測定器2のプローブ6a,6bが接触され、端子aを有するチップ抵抗における他の端子cと、端子bを有するチップ抵抗における他の端子dにはそれぞれ接触検出回路11が接続されている。
【0012】
絶縁抵抗測定器2は直列接続された電池4と電流計5とを有し、接触検出回路11は直列接続された抵抗12と切り換えスイッチ13とを有する。
【0013】
まず、切り換えスイッチ13をオン(閉路)する。これにより、絶縁抵抗測定器2と接触検出回路11とで閉回路が形成される。もし、プローブ6a,6bが端子a,bに確実に接触していれば、電流計5には、直流電源4と抵抗12に応じた電流が流れる。一方、プローブ6a,6bと端子a,bとの接触が不完全であれば、その部分で接触抵抗が生じるため、電流計5で検出される電流が小さくなる。
【0014】
このように、図5の回路では、電流計5で検出される電流の大小により、プローブ6a,6bの接触状態を検出することができる。
【0015】
図5の回路において、プローブ6a,6bの接触状態が良好と判断されると、次に、切り換えスイッチ13をオフ(開路)する。これにより、接触検出回路11は電気的に切り離され、絶縁抵抗測定器2内の電流計5で検出される電流値により、端子a,b間の絶縁抵抗が測定される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
図5の回路は、上記▲1▼▲2▼よりも精度よくプローブ6a,6bの接触状態を検出することができるが、その反面、回路が複雑になる。また、プローブ6a,6bの接触状態検出時と絶縁抵抗の測定時とで、切り換えスイッチ13を切り換えなければならないため、その制御も面倒である。
【0017】
一方、チップ抵抗の抵抗値を測定する場合に、各チップ端子に接触されるプローブとチップ端子との接触が不完全な場合にも、チップ抵抗の抵抗値を精度よく測定することはできない。
【0018】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成および手順でプローブの接触状態を検出することができるプローブ接触状態検出方法およびプローブ接触状態検出装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、複数のチップ部品を内蔵する多連チップ内の異なるチップ部品の各チップ端子にそれぞれ接触される第1および第2のプローブと、前記第1および第2のプローブ間に流れる電流を検出する電流検出手段と、を備え、前記電流検出手段で検出された電流により、前記第1および第2のプローブが接触されたチップ端子間の絶縁抵抗を検出する絶縁抵抗測定器における前記第1および第2のプローブと絶縁抵抗の測定対象であるチップ端子との接触が良好か否かを検出するプローブ接触状態検出方法において、絶縁抵抗の測定対象である第1および第2のチップ端子にそれぞれ前記第1および第2のプローブを接触させ、かつ、前記第1および第2のチップ端子に相関する第3および第4のチップ端子間にコンデンサを接続した状態で、前記第1および第2のプローブ間のキャパシタンスを測定し、測定されたキャパシタンスの大小により前記第1および第2のプローブと対応する前記第1および第2のチップ端子との接触が良好か否かを検出する。
【0020】
請求項1の発明では、絶縁抵抗の測定対象である第1および第2のチップ端子に相関する第3および第4のチップ端子間にコンデンサを接続した状態で、第1および第2のプローブ間のキャパシタンスを測定し、その測定結果によりプローブの接触状態検出を行う。プローブの接触状態検出後に絶縁抵抗を測定する際にも、キャパシタを取り外す必要がないため、簡易な手順で絶縁抵抗を測定できる。
【0021】
請求項2の発明では、各チップ部品の一端にはプローブを接触させ、各チップ部品の他端にはキャパシタを接続する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るプローブ接触状態検出方法およびプローブ接触状態検出装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
図1は本発明に係るプローブ接触状態検出装置の第1の実施形態の回路図である。図1のプローブ接触状態検出装置は、チップ抵抗、チップコンデンサ、およびフェライトチップなどのチップ部品を複数内蔵する多連チップのチップ端子間の絶縁抵抗を測定する際に用いられるものである。
【0028】
図2は多連チップ1の一例を示す図であり、4つのフェライトチップを内蔵する多連チップ1の例を示している。以下では、図2の多連チップ1のチップ端子a,b間の絶縁抵抗を測定する例について説明する。
【0029】
図1のプローブ接触状態検出装置は、絶縁抵抗測定器2と、コンデンサ3とを備えている。絶縁抵抗測定器2は、直流電源4と電流計(電流検出手段)5とを有し、直流電源4と電流計5にはそれぞれ測定用のプローブ6a,6bが接続されている。絶縁抵抗測定器2は、プローブ6a,6bを被検体である多連チップ1のチップ端子に接触させた状態で、電流計5に流れる電流を検出し、検出された電流により絶縁抵抗を測定する。また、図1の絶縁抵抗測定器2は、プローブ6a,6b間の容量を測定することも可能である。
【0030】
絶縁抵抗測定器2のプローブ6a,6bは、多連チップ1のチップ端子a,bに接触される。また、コンデンサ3の一端に接続されたプローブ7aはチップ端子aを有するチップ部品の他の端子cに接触され、コンデンサ3の他端に接続されたプローブ7bはチップ端子bを有するチップ部品の他の端子dに接触される。
【0031】
コンデンサ3の容量(キャパシタンス)は、絶縁抵抗測定時における被検体への電圧印加時間をできるだけ短くするため、絶縁抵抗測定器2がプローブ6a,6bの接触検出を行うことができる最小限の値(例えば、2pF程度)に設定するのが望ましい。また、コンデンサ3は、絶縁性が高くて容易に入手可能な材料で形成するのが望ましい。
【0032】
次に、図1のプローブ接触状態検出装置の動作を説明する。多連チップ1のチップ端子a,b間の絶縁抵抗を測定する際は、まず、絶縁抵抗の測定対象であるチップ端子a,b間に絶縁抵抗測定器2のプローブ6a,6bが確実に接触しているか否かの接触状態検出を行う。
【0033】
具体的には、チップ端子a,bに絶縁抵抗測定器2のプローブ6a,6bを接触させるとともに、チップ端子aを有するチップ部品の他のチップ端子cにコンデンサ3の一端に接続されたプローブ7aを接触させ、かつ、チップ端子bを有するチップ部品の他のチップ端子dにコンデンサ3の他端に接続されたプローブ7bを接触させる。
【0034】
これにより、絶縁抵抗測定器2とコンデンサ3とで閉回路が形成されて、絶縁抵抗測定器2内の直流電源4からコンデンサ3に向けて電流が流れ、コンデンサ3に電荷が充電される。
【0035】
この状態で、絶縁抵抗測定器2は、プローブ6a,6b間の容量を測定し、その容量の大小により、プローブ6a,6bの接触状態を検出する。具体的には、プローブ6a,6bのチップ端子a,bへの接触が不完全な場合には、絶縁抵抗測定器2により測定される容量値が小さくなる。したがって、絶縁抵抗測定器2は、測定された容量値が規定値よりも大きければ接触が良好と判断し、小さければ接触不良と判断する。
【0036】
接触が良好と判断された場合は、図1の結線状態のまま、電流計5で検出された電流値により、絶縁抵抗を演算する。絶縁抵抗は、(直流電源4の電圧)/(電流計5で形成された電流値)で演算される。
【0037】
このように、本実施形態では、多連チップ1のチップ端子間の絶縁抵抗を測定する際、測定対象であるチップ端子に絶縁抵抗測定器2のプローブ6a,6bを接触させるとともに、測定対象であるチップ端子に対応する他端側のチップ端子間にコンデンサ3を接続した状態で、測定対象であるチップ端子間の容量を測定するため、容量の大小により、プローブ6a,6bの接触状態を精度よく判定することができる。
【0038】
また、プローブ6a,6bの接触状態が良好と判断された場合は、他端側に接続したコンデンサ3を取り外さずにチップ端子間の絶縁抵抗を測定できるため、図5のような切り換えスイッチが不要となり、部品コストを削減できるとともに、測定手順を簡略化することができる。
【0039】
なお、図1では、測定対象であるチップ端子の他端側のチップ端子にコンデンサ3を接続する例を説明したが、図3に示すように、プローブ6a,6bとコンデンサ3とを同一のチップ端子に接続してもよい。
【0040】
上述した実施形態では、複数のフェライトチップを内蔵する多連チップ1を例に取って説明したが、本発明は種々の多連チップ1に適用可能であり、多連チップ1の形状も図2に示したものに限定されない。
【0041】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、チップ抵抗の両端にプローブを接触させて抵抗値を測定する際、プローブがチップ端子に確実に接触しているか否かを検出するものである。
【0042】
図4は本発明に係るプローブ接触状態検出装置の第2の実施形態の回路図である。図4のプローブ接触状態検出装置は、測定対象であるチップ抵抗21の両端にそれぞれ接触されるプローブ7a,7bと、プローブ7a,7b間に接続されるコンデンサ3と、抵抗測定器22とを備えている。
【0043】
抵抗測定器22のプローブ22a,22bは、チップ抵抗21の両端にそれぞれ接触される。また、抵抗測定器22の内部には、直列接続された直流電圧源4と電流計5が設けられている。抵抗測定器22は、プローブ22a,22b間の容量(キャパシタンス)を測定可能とされている。
【0044】
次に、図4のプローブ接触状態検出装置の動作を説明する。まず、測定対象であるチップ抵抗21の両チップ端子にプローブ7a,7b,23a,23bをそれぞれ接触させる。この状態で、抵抗測定器22のプローブ22a,22bが対応するチップ端子に確実に接触しているか否かを検出する。
【0045】
具体的には、抵抗測定器22により、プローブ22a,22b間の容量を測定し、その容量の大小により、プローブ22a,22bの接触状態を検出する。プローブ22a,22bが確実にチップ端子に接触していると判断された場合は、抵抗測定器22によりチップ抵抗21の抵抗値を測定する。
【0046】
このように、第2の実施形態は、チップ抵抗21の抵抗値測定用のプローブ22a,22bがチップ端子に確実に接触しているか否かを、プローブ22a,22b間の容量により判断するため、プローブ22a,22bの接触検出を簡易かつ精度よく行うことができる。この第2の実施形態は、高抵抗のチップ抵抗の抵抗値を測定するのに特に適しているが、低抵抗のチップ抵抗を測定する際にも適用可能である。
【0047】
なお、上述した第1および第2の実施形態では、コンデンサ3に接続されたプローブ6a,6bまたは7a,7bをチップ端子に接触させる例を説明したが、治具等によりプローブを用いずにチップ端子にコンデンサ3を接続してもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、絶縁抵抗の測定対象である第1および第2のチップ端子に相関する第3および第4のチップ端子間にコンデンサを接続した状態で、第1および第2のプローブ間のキャパシタンスを測定し、その測定結果によりプローブの接触状態検出を行うため、チップ部品のキャパシタンス等に影響されることなく、精度よくプローブの接触状態を検出することができる。また、プローブの接触状態検出後に絶縁抵抗を測定する際にもキャパシタを取り外さなくてよいため、切り換えスイッチ等が不要となり、部品点数を削減できる。
【0049】
同様に、チップ抵抗の抵抗値を測定する際にも、チップ抵抗の両端にコンデンサを接続した状態で、第1および第2のプローブ間のキャパシタンスを測定し、その測定結果によりプローブの接触状態検出を行うため、精度よくプローブの接触状態を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプローブ接触状態検出装置の一実施形態の回路図。
【図2】多連チップの一例を示す図。
【図3】プローブとコンデンサとを同一のチップ端子に接続した例を示す図。
【図4】本発明に係るプローブ接触状態検出装置の第2の実施形態の回路図。
【図5】従来のプローブ接触状態検出装置の一例を示す回路図。
【符号の説明】
1 多連チップ
2 商用電源
3 コンデンサ
4 直流電源
5 電流計
6a,6b,7a,7b プローブ

Claims (3)

  1. 複数のチップ部品を内蔵する多連チップ内の異なるチップ部品の各チップ端子にそれぞれ接触される第1および第2のプローブと、前記第1および第2のプローブ間に流れる電流を検出する電流検出手段と、を備え、前記電流検出手段で検出された電流により、前記第1および第2のプローブが接触されたチップ端子間の絶縁抵抗を検出する絶縁抵抗測定器における、前記第1および第2のプローブと絶縁抵抗の測定対象であるチップ端子との接触が良好か否かを検出するプローブ接触状態検出方法において、
    絶縁抵抗の測定対象である第1および第2のチップ端子にそれぞれ前記第1および第2のプローブを接触させ、かつ、前記第1および第2のチップ端子に相関する第3および第4のチップ端子間にコンデンサを接続した状態で、前記第1および第2のプローブ間のキャパシタンスを測定し、測定されたキャパシタンスの大小により前記第1および第2のプローブと対応する前記第1および第2のチップ端子との接触が良好か否かを検出することを特徴とするプローブ接触状態検出方法。
  2. 前記コンデンサの一端は、前記第1のチップ端子を有するチップ部品の他のチップ端子に接続され、前記コンデンサの他端は、前記第2のチップ端子を有するチップ部品の他のチップ端子に接続されることを特徴とする請求項1に記載のプローブ接触状態検出方法。
  3. 複数のチップ部品を内蔵する多連チップ内の異なるチップ部品の各チップ端子にそれぞれ接触される第1および第2のプローブと、前記第1および第2のプローブ間に流れる電流を検出する電流検出手段と、を有し、前記電流検出手段で検出された電流により、前記第1および第2のプローブが接触されたチップ端子間の絶縁抵抗を検出する絶縁抵抗測定器を備え、
    前記第1および第2のプローブと、絶縁抵抗の測定対象であるチップ端子との接触が良好か否かを検出するプローブ接触状態検出装置であって、
    前記第1および第2のチップ端子に相関する第3および第4のチップ端子間に接続されるコンデンサを備え、
    前記絶縁抵抗測定器は、絶縁抵抗の測定対象である第1および第2のチップ端子にそれぞれ前記第1および第2のプローブを接触させ、かつ、前記第1および第2のチップ端子に相関する第3および第4のチップ端子間に前記コンデンサを接続した状態で、前記第1および第2のプローブ間のキャパシタンスを測定し、測定されたキャパシタンスの大小により前記第1および第2のプローブと対応する前記第1および第2のチップ端子との接触が良好か否かを検出することを特徴とするプローブ接触状態検出装置。
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